説明

補強装置、照明デバイス用ソケット、照明デバイスアセンブリおよび車両

【課題】ランプをソケット内に長期にわたり安定的に固定する装置を提供する。
【解決手段】本発明は、照明デバイスソケット(3)のキャッチ要素(31)のための補強装置(5)に関し、前記キャッチ要素(31)は、照明デバイス(2)が前記照明デバイス用ソケット(3)に押し込まれているときに、前記照明デバイス(2)の前記ベース(22)と係合するための複数のキャッチフランジ(32)を備える。前記キャッチフランジ(32)は、前記照明デバイス用ソケットの平面に対して垂直方向に延びている。補強装置(5)は、リング(6)と、このリング(6)と一体的となっているブレース手段(7)とを備え、このブレース手段(7)は、前記照明デバイス用ソケット(3)内に照明デバイス(2)が位置しているときに照明デバイスのベース(22)に対して前記キャッチ要素(31)のうちの少なくとも1つのキャッチフランジ(32)をブレースできる。本発明は、かかる補強装置(5)を含む照明デバイス用ソケット(3)、照明デバイスアセンブリおよび車両にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明デバイス用ソケットのための補強装置に関すると共に、かかる補強装置を含む照明デバイスアセンブリにも関する。
【背景技術】
【0002】
フィリップス社によるハイパービジョン(HiPer Vision)ランプのような高性能ランプは、種々の理由から自動車業界の関心を集めているが、その理由の1つは、この高性能ランプの有効寿命が、かかるランプが装備された車両の有効寿命と同じ長さとなっているということである。
【0003】
高性能ランプの劣化を防止するために、これら高性能ランプは、通常クリック可能なプラスチック要素を通してランプソケットに組み立てられている。
【0004】
図5に示されるような従来技術の照明デバイスアセンブリ1は、ランプ2と、ランプソケット3とを備える。ランプソケットは、ランプ2に給電するために必要な電気接続部を含む。ランプ2は、電球21と、給電および位置決めのためのランプソケット3、例えばランプソケット3上に設けられた対応するハウジング内に固定された導電要素(図示せず)と協働するランプベース(口金)22とを有する。ランプ2がランプソケット3から外れないようにするために、ランプソケット3には複数のキャッチフランジ32を備えるキャッチ要素31が装備されている。このキャッチフランジ32は、ランプソケットの平面に対して垂直方向に延びている。これらフランジは、円に沿って一定に配置することができる。これらキャッチフランジは、フランジヘッド33と、脚部34とを備え、フランジヘッド33は、ショルダー36として終端する面取りされたガイド表面35を有する。ランプ2をランプソケット内に押し込むと、キャッチフランジ32はショルダー36がランプ2のベース22に係合するまで、面取りされたガイド表面35に沿って外側に押される。このように、ランプ2はクリック可能なキャッチ要素31によりランプソケット3に組付けられる。ランプソケットはランプ2の破損を防止するよう、耐熱性プラスチック材料から製造できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、種々の機器、例えばキャッチ要素31、より詳細にはキャッチフランジ32が長期にわたって熱に曝された状態で、長期の機械的応力を受けるような、昼間に作動する機器では、キャッチ要素31は永続的な変形の問題を受け得る。長時間、例えば数週間から数カ月後に、かかる結果が観察されている。この変形の結果、ランプ2は、ランプソケット3内で緩んだ状態となることがあり、このことは種々の理由、例えば安全性の理由から、またはランプが有効寿命にまだ達していないのにランプアセンブリを取り外して交換しなければならないという理由から、望ましいことではない。
【0006】
本発明の目的は、照明デバイス用ソケットの永続的な塑性変形の望ましくない効果を防止し、特に照明デバイスの緩みを防止すると共に、照明デバイスアセンブリの有効寿命を長くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の一実施形態は、照明デバイス用ソケットのキャッチ要素のための補強装置であって、前記キャッチ要素は、照明デバイスが前記照明デバイス用ソケット内に押し込まれているときに、前記照明デバイスのベースに係合するための複数のキャッチフランジを備え、前記キャッチフランジは、前記照明デバイス用ソケットの平面に対して垂直に延びており、前記補強装置は、リングと、このリングと一体的なブレース手段とを備え、前記ブレース手段は、前記照明デバイス用ソケット内に照明デバイスが位置しているときに、照明デバイスのベースに対し、前記キャッチ要素のうちの少なくとも1つのキャッチフランジを支えることができる、補強装置を提案するものである。
【0008】
本願において、「照明デバイス」なる記載は光を発生できる任意のデバイス、例えばランプ、LED、OLEDなどに関するものである。
【0009】
本発明の一実施形態では、前記リングは、前記照明デバイス用ソケットの前記キャッチ要素に対して前記補強装置を回転自在に位置決めするための位置決め手段を備える。別の実施形態では、前記ブレース手段は、前記リングから延びる少なくとも1つの板バネを備える。更に別の実施形態では、少なくとも1つの前記板バネは、前記照明デバイス用ソケットの前記キャッチ要素に対して前記補強装置を軸方向に位置決めするための位置決め手段を備える。
【0010】
本発明の別の実施形態は、照明デバイスの導電要素を収納するためのハウジングと、照明デバイス用ソケット内に照明デバイスが押し込まれているときに照明デバイスのベースと係合するための複数のキャッチフランジを含むキャッチ要素とを備え、前記キャッチフランジは、前記照明デバイス用ソケットの平面に対して垂直に延びており、リングと、このリングと一体的なブレース手段とを含む補強装置を更に備え、前記ブレース手段は、前記照明デバイス用ソケット内に照明デバイスが位置しているときに、照明デバイスのベースに対し、前記キャッチ要素のうちの少なくとも1つのキャッチフランジを支えることができる、照明デバイス用ソケットを提案するものである。
【0011】
一実施形態では、前記ブレース手段は、前記リングから延びる少なくとも1つの板バネを備える。別の実施形態では、前記ブレース手段が、内側ブレース手段となるよう、前記キャッチフランジのベースには、前記板バネを収納するハウジングが設けられている。更に別の実施形態では、前記板バネは、前記ブレース手段が外側ブレース手段となるように前記キャッチフランジを押圧する。
【0012】
更に別の実施形態は、本明細書に開示した照明デバイス用ソケットと、前記照明デバイス用ソケットに係合する照明デバイスとを備える、照明デバイスアセンブリに関する。
【0013】
本発明の実施形態は、本明細書に開示した少なくとも1つの照明デバイス用ソケットが装備された車両にも関する。
【0014】
当業者が、添付図面を参照して本明細書に記載した開示内容を読めば、本発明の上記およびそれ以外の様相、特徴および利点が明らかとなろう。本発明の好ましい実施形態を示す次の詳細な説明は、単に本発明の説明のために記載したに過ぎない。
【0015】
以下、添付図面を参照し、例により、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる補強装置の斜視図を示す。
【図2】本発明の第2実施形態に係わる補強装置の斜視図を示す。
【図3】図2に示された補強装置を含むランプソケットの斜視部分図を示す。
【図4】図1に示された補強装置のような、外側補強装置を備えるランプアセンブリの斜視図を示す。
【図5】従来技術のランプアセンブリの斜視図を示し、この図5は、図2に示された補強装置のような内側補強装置を備えるランプアセンブリの斜視図も示すものと解釈できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書および特許請求の範囲で使用するような、「ある」、「1つの」および「この」なる単一表現は、特に文脈が単数であることを明記しない限り、複数存在することも含むものである。更に本明細書のすべての科学技術用語は、本発明が属す技術分野に精通する者が一般に理解するものと同じ意味を有する。
【0018】
次に説明する例は、ランプ、例えば白熱ランプまたは放電ランプに関するが、本発明は任意のタイプの照明デバイス、例えばLEDまたはOLEDにも実施できる。
【0019】
図1および2は、ランプソケットのキャッチ要素を補強するのに有効な補強装置5の第1および第2実施例を示す。説明のために図5も参照する。補強装置5は、リング6と、このリングと一体的なブレース手段7とを備える。このブレース手段7は、リング6から延びる少なくとも1つの板バネ71a、71b、71c(全体を番号71で示す)を備えることが好ましい。これら板バネ71は、リング6に近い近接ゾーンと、遠方端部72a、72b、72c(全体を番号72で示す)とを有する。リング6よりも寸法が小さい仮想的リング上に板バネ71の遠方端部72が配置されるよう、これら板バネ71は、リング6の中心62に向かって若干傾斜している。従って、補強装置5がランプソケット3に組付けられると、板バネ71の内側表面73a、73b、73c(全体をバネ73で示す)がランプソケット3のキャッチフランジ32を押圧し、ランプが前記ランプソケット3内に位置しているときには前記キャッチフランジ32をランプ2のベース22に対して支える。ブレース手段7は、キャッチフランジ32が機械的変形を受けた場合に機械的変形が生じるのを防止する。
【0020】
好ましい実施形態では、ブレース手段7は、ランプソケット3のキャッチ要素31上のキャッチフランジ32と同じ数の板バネ71を備える。かかる構造では、1つの板バネ71が1つのキャッチフランジ32と協働する。このことは、図1〜4に示されており、ここで、キャッチ要素は、6つのキャッチフランジ32を備え、補強装置は6つの板バネ71を備える。しかしながら、キャッチフランジおよび板バネの数は必ずしも6でなくてもよい。キャッチ要素31およびブレース手段7は、径方向に対向する少なくとも2つのキャッチフランジ32および板バネ71を備えることが好ましい。好ましい特徴は、キャッチ要素31およびリング6のまわりにキャッチフランジ32と板バネ71とが等距離に配置されていることである。ブレース手段は径方向に対向する2つの板バネ71しか含まないような別の実施形態もある。
【0021】
好ましい実施形態では、リング6は位置決めリングとなっている。この位置決めリング6は、ランプソケット3のキャッチ要素31に対して補強装置5を望ましい位置にするための手段を備える。例えば位置決めリング6の内側プロフィル61は、キャッチ要素32の外側プロフィルに一致するように定められている。図示されている実施形態では、位置決めリング6の内側プロフィル61は、キャッチ要素32の外側プロフィル、例えば正六角形に一致するように定められている。このように、キャッチ要素31に対して補強装置を容易に取り付けできる。別の実施形態では、キャッチ要素31の位置決めニブと協働できる位置決めスロット63がリング6に設けられている。こうして、補強装置5をキャッチ要素31に対して回転するように位置決めできる。
【0022】
図1に示されるように、ブレース手段7は、異なる板バネ71a、71bを含むことができる。例えば、板バネ71bからリング6の中心62に向かって内側に延びるノッチ74を板バネ71bの遠方端部72bに設けてもよい。補強装置5とキャッチ要素31とを組み立てると、このノッチ74は、補強装置5がキャッチ要素31に沿って軸方向にスライドすることを防止できる。例えば、自動車からの振動の作用を受けて時間経過と共にかかるスライドが生じる。したがって、補強装置5は、キャッチ要素31に対して軸方向に位置決めされている。
【0023】
好ましい実施形態では、補強装置5は金属製または金属合金製である。補強装置5を製造するのに、種々の金属成形方法を実施できる。例えば金属スタンピング加工は、特殊な形状の金属部品を製造するのに使用される方法であり、原材料として金属または金属合金のシートが使用される。この材料は、ダイまたはパンチを使ったプレス上でスタンピング加工されるか、または油圧式の深絞り機械で種々の形状に絞られる。金属スタンピング加工方法は、ダイ(スタンプの雌型部品)およびパンチ(スタンプの雄型部品)を使用し、金属を必要な形状にカットする方法である。スタンピング加工方法では、プレス工作機械が使用される。硬化スチール製のダイは、仕上げられた部品の形状に一致する輪郭を有し、このダイはプレス機械のテーブルに装着される。通常、硬化ツール用スチールまたはカーバイトから製造されるパンチは、部品の輪郭に一致するが、ダイとパンチとの間に間隙が生じることができるように、若干小さくなっている。パンチはヘッドまたはパレット内に取り付けられ、下方に移動し、金属をパンチングする。この板金の厚さは、このスタンピング加工中に変化することはない。その他の加工技術、例えば精密ブランク加工、深絞りまたは漸次ダイスタンピング加工方法も使用できる。
【0024】
補強装置5は、内側ブレース手段または外側ブレース手段として作動できる。これらは内側スケルトンまたは外側スケルトンに相当する。図3は、内側ブレース手段の場合を示しており、図5も、この場合を示すが、この場合、補強装置がランプソケット3のキャッチ要素31内に収納されているために補強装置を見ることができないということを考慮して、内側ブレース手段と見なすことを条件としている。図4は、外側ブレース手段の場合を示している。
【0025】
図3では、内側補強装置5、例えば図2に示されている補強装置が設けられたキャッチ要素31の構造を示すように、キャッチフランジ32のヘッドがカットされている。この実施形態では、板バネ71cを収納するようになっているハウジング37がキャッチフランジ32のベースに設けられている。ハウジング37は、このハウジング37の内側で板バネ71が緩まないよう、板バネ71cの形状に一致していることが好ましい。更にこれによって、キャッチフランジ32における板バネ71のブレース効果が改善されている。
【0026】
更にランプソケットは、ランプ2の導電要素を受けるためのハウジング23を備える。このことは、更なる開発を必要としない従来の特徴である。
【0027】
図4は、外側補強装置5によってキャッチ要素31が補強されている、本発明の別の実施形態を示す。この補強装置は図1の補強装置に類似している。
【0028】
本明細書に開示したような照明デバイスアセンブリを車両に装備することができる。かかる照明デバイスアセンブリを組み込むためのプロセスは周知であり、車両は自動車、オートバイ、トラック、ボートなどでよい。
【0029】
本発明の好ましい実施形態のこれまでの説明は、すべての実施形態を網羅するものでもないし、本発明をこれまで開示した実施形態だけに限定するものでもない。当業者には、本発明の範囲内で種々の変形が可能であることは明らかであり、本発明を実施すれば、変形を行うことができよう。
【符号の説明】
【0030】
1 照明デバイスアセンブリ
2 ランプ
3 ランプソケット
5 補強装置
6 リング
7 ブレース手段
21 ランプ電球
22 ランプベース
23 ハウジング
31 キャッチ要素
32 キャッチフランジ
33 フランジヘッド
34 脚部
35 ガイド表面
36 ショルダー
37 ハウジング
61 内側プロフィル
62 中心
71a、71b、71c 板バネ
72a、72b、72c 遠方端部
73a、73b、73c 内側表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明デバイス用ソケットのキャッチ要素のための補強装置であって、前記キャッチ要素は、照明デバイスが前記照明デバイス用ソケット内に押し込まれているときに、前記照明デバイスのベースに係合するための複数のキャッチフランジを備え、前記キャッチフランジは、前記照明デバイス用ソケットの平面に対して垂直に延びており、前記補強装置は、リングと、このリングと一体的なブレース手段とを備え、前記ブレース手段は、前記照明デバイス用ソケット内に照明デバイスが位置しているときに、照明デバイスのベースに対し、前記キャッチ要素のうちの少なくとも1つのキャッチフランジを支えることができる、補強装置。
【請求項2】
前記リングは、前記照明デバイス用ソケットの前記キャッチ要素に対して前記補強装置を回転自在に位置決めするための位置決め手段を備える、請求項1に記載の補強装置。
【請求項3】
前記ブレース手段は、前記リングから延びる少なくとも1つの板バネを備える、請求項1に記載の補強装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記板バネは、前記照明デバイス用ソケットの前記キャッチ要素に対して前記補強装置を軸方向に位置決めするための位置決め手段を備える、請求項3に記載の補強装置。
【請求項5】
照明デバイスの導電要素を収納するためのハウジングと、照明デバイス用ソケット内に照明デバイスが押し込まれているときに照明デバイスのベースと係合するための複数のキャッチフランジを含むキャッチ要素とを備え、前記キャッチフランジは、前記照明デバイス用ソケットの平面に対して垂直に延びており、リングと、このリングと一体的なブレース手段とを含む補強装置を更に備え、前記ブレース手段は、前記照明デバイス用ソケット内に照明デバイスが位置しているときに、照明デバイスのベースに対し、前記キャッチ要素のうちの少なくとも1つのキャッチフランジを支えることができる、照明デバイス用ソケット。
【請求項6】
前記ブレース手段は、前記リングから延びる少なくとも1つの板バネを備える、請求項5に記載の照明デバイス用ソケット。
【請求項7】
前記ブレース手段が、内側ブレース手段となるよう、前記キャッチフランジのベースには、前記板バネを収納するハウジングが設けられている、請求項6に記載の照明デバイス用ソケット。
【請求項8】
前記板バネは、前記ブレース手段が外側ブレース手段となるように前記キャッチフランジを押圧する、請求項6に記載の照明デバイス用ソケット。
【請求項9】
請求項5に記載の照明デバイス用ソケットと、前記照明デバイス用ソケットに係合する照明デバイスとを備える、照明デバイスアセンブリ。
【請求項10】
請求項5に記載の少なくとも1つの照明デバイス用ソケットが装備された車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−529596(P2010−529596A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509939(P2010−509939)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/IB2008/052121
【国際公開番号】WO2008/146258
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】