説明

製品の配送および担体の返送のための効率的なシステムおよび方法

担体中に含まれる水素のような製品を使用者に分配し、そして使用済品を使用者から回収するためのシステムおよび方法を提供する。ある態様で、本発明は、担体中に放出可能に組み込まれた製品を分配し、使用済品を回収し、そして使用済品を回復設備に運搬するためのシステムである。この態様では、システムは、可動式配送輸送手段を含み、該輸送手段は、接続された未使用品分配装置を用いて未使用品を保管しそして未使用品を分配し、かつ使用済品を使用済品分配装置から受入れそして保管するための第1の保管容器を含み、保管容器は、未使用品を使用済品から分離するための手段をさらに含む。システムは、未使用品、使用済品および第1の使用者をさらに含む。第1の使用者は、未使用品を受入れ、保管しそして分配するための未使用品保管容器を含み、使用済品を受入れ、保管しそして分配するための第1の使用済品保管容器をさらに含む。システムは、未使用品を第1の使用者に分配するための第1の使用者の第1の保管容器と未使用品保管容器とを接続するための未使用品分配装置、および、第1の保管容器で保管する目的で未使用品を第1の使用者から取出すために第1の使用者の第1の保管容器と使用済品保管容器とを接続するための使用済品取出装置をさらに含む。未使用品の配送と、回復のための複数の使用者からの使用済品の回収のための可動式の配送輸送手段の使用によって、論理的な非効率性が回避され、製品、担体、未使用品および使用済品の汚染および/または損失の可能性が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、同一出願人による以下の特許および特許出願番号第10/430,246、2003年5月6日提出および表題”Hydrogen Storage by Reversible Hydrogenation of Pi−Conjugated Substrates”(現在の公開番号US2004−0223907−A1)、10/833,467,2004年4月27日提出および表題”Method of Delivering a Reversible Hydrogen Storage Fuel to a Mobile or Stationary Fuel Source”、ならびに10/833,484,2004年4月27日提出および表題”Hydrogen Storage By Reversible Hydrogenation Of Pi−Conjugated Substrates”、米国特許出願番号 ,これと同日出願および表題”Secure Loop System and Method For Supply and Delivery of Product Contained in a carrier”、および米国特許出願番号 、これと同日出願および表題”Method and System of Supply and Delivery of Product Contained in a Carrier.”に関する。これらの特許および特許出願の開示は、参照によりここに組み入れられる。これらの特許および特許出願は、本発明に関して使用できる担体、使用済品、未使用品および製品を開示する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、担体、製品、未使用品および使用済品を配送し、分配し、販売しそして交換するシステムおよび方法に関する。担体は、少なくとも1種の製品を放出可能に組み込む。本発明のある側面においては、水素等の製品(たとえば、別のガス状または不安定な化学製品)を担体(すなわち、ここに定義される未使用品)中に組み込み、使用者に未使用品を分配し、そして再生を含んでもよい回復のために使用済品(すなわち、少なくとも1種の脱水素化された担体を含む)を回収するための方法が提供される。
【0003】
背景技術の目的のために、水素系燃料電池は電力を生成する従来の手段の代替と見なされ、そして水素は、従来の内燃機関エンジン(ICE)のための将来性ある燃料代用品と見なされている。このような水素系システムは望ましいが、水素の供給、配送、および保管は、多くの技術的難関をもたらす場合がある。典型的な水素配送トラックは、極低温かつ高圧で水素を運ぶ。ある代替方法では圧縮ガスを採用する。圧縮ガスの供給は、たとえば保管容量によって制限される場合がある。他の代替としては、吸着剤、たとえば金属水素化物吸着剤、があり、重量の制約によりこの用途には十分でない場合がある。この技術では、燃料電池用途またはICE用途のための製品を、効率的およびコスト的に有利であるように提供する方法に対する需要がある。この技術ではまた、輸送手段運転者、充填基地、および他の使用者を含むが限定されない全ての製品の取引先グループにより実施できる、簡単、効率的および低コストの取引を提供する方法に対する需要がある。
【0004】
製品を分配するための従来の方法およびシステムは、Cohen,Joseph PerryおよびCopeman,Tama,”Mobile hydrogen generation and supply system”,U.S.P.N.6745801B1,2004年6月8日、Brandley,Keith,Kwon,Young-Kyun,Gruner,George,Wyatt,Jeff,Jhi,Seung-Hoon,Gabriel,Jean Christophe,”Hydrogen storage and supply system”,U.S.P.N.6834508B2,2004年12月28日、Metsiger Pierre,”Pharmaceutical Composition for Oral Delivery”特許出願第WO98/01118およびEP0862423A1,1998年1月15日、Vickers,Michael T.,Jianhua,YanおよびMonson,Robert J.,”Comprehensive Product Delivery System”特許出願第WO9702898,1997年1月30日、Chrai,Suggy S.,Murari Ramaswamy,”Liquid Pharmaceutical for Oral Delivery”米国特許出願公開番号第US20030108601A1,2003年6月12日、U.S.P.N.6402938B1におけるMoore,Howard F.およびShaffer,Jr.,Arthur Gの”Vaporization of used motor oil with non−hydrogenating recycle vapor”、U.S.P.N.6536523B1におけるKresnyak,SteveおよびBraun,Alexの”Water treatment process for thermal heavy oil recovery”2003−03−25公開、ならびに、JP2005009062AにおけるYAMADA MASAOの”WASTE PAPER FIBROUS MATERIAL UTILIZING SYSTEM AND WASTE PAPER DEFIBRATING MACHINE”2005−01−13公開、に開示されている。以上で特定した特許および公開公報の開示は参照によりここに組み入れられる。
【0005】
しかし、以上の文献のいずれも、本発明により取り組まれる課題を適切に解決するものではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、化学製品の供給のために従来の方法が用いられる際に生じる課題を解決または回避する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、少なくとも1種の化学物質を製品として含む担体を提供し、同時に、製品を担体から放出して使用済品(ここに定義される)を生成するためのシステムおよび方法を提供する。担体は、製品を含むように加工された組成物、または製品を組み込むように加工された、事前に加工された組成物を含むことができる。システムおよび方法は、使用済品を収集するためにさらに提供される。収集された使用済品は回復され、未使用品の提供のために再生されることが可能な担体を提供することができる。
【0008】
1つの態様では、本発明は担体中に放出可能に組み込まれた製品を分配し、使用済品を回収し、そして使用済品を回復設備に運搬するためのシステムである。この態様において、該システムは、可動式配送輸送手段を含み、該輸送手段(vehicle)は、未使用品を保管し、接続された未使用品分配装置を用いて未使用品を分配し、かつ使用済品分配装置から使用済品を受入れそして保管するための第1の保管容器を含み、保管容器は、未使用品を使用済品から分離するための手段をさらに含む。該システムは、未使用品、使用済品、および第1の使用者をさらに含む。第1の使用者は、未使用品を受入れ、保管しそして分配するための未使用品保管容器を含み、使用済品を受入れ、保管しそして分配するための第1の使用済品保管容器をさらに含む。該システムは、未使用品を第1の使用者に分配するために第1の使用者の第1の保管容器と未使用品保管容器とを接続するための未使用品分配装置、および、第1の保管容器で保管する目的で未使用品を第1の使用者から取出すために第1の使用者の第1の保管容器と使用済品保管容器とを接続するための使用済品取出装置をさらに含む。
【0009】
第2の態様では、該システムはまた、使用済品を可動式配送輸送手段の保管容器から受入れ、そして使用済品を回復させて未使用品を形成するための回復設備を含む。該システムは、未使用品、製品、使用済品、担体、またはこれらの任意の組み合わせの、少なくとも1つの化学的または物理的な特性を検出するための機器手段を任意にさらに含む。
【0010】
他の態様では、本発明は、担体中に組み込まれた製品を分配し、そして使用済品を回収する方法を提供する。該方法は、可動式配送輸送手段を含むシステムを提供することを含み、該輸送手段は、未使用品を保管し、そして接続された未使用品分配装置を用いて未使用品を分配し、かつ使用済品分配装置から使用済品を受入れそして保管するための第1の保管容器を含み、該保管容器は、未使用品を使用済品から分離するための手段をさらに含む。該システムは、未使用品、使用済品、および第1の使用者をさらに含む。第1の使用者は、未使用品を受入れ、保管しそして分配するための未使用品保管容器を含み、使用済品を受入れ、保管しそして分配するための第1の使用済品保管容器をさらに含む。該システムは、未使用品を第1の使用者に分配するために第1の使用者の第1の保管容器と未使用品保管容器とを接続するための未使用品分配装置、および、第1の保管容器で保管する目的で未使用品を第1の使用者から取出すために第1の使用者の第1の保管容器と使用済品保管容器とを接続するための使用済品取出装置をさらに含む。該システムはまた、使用済品を可動式配送輸送手段の保管容器から受入れ、そして使用済品を回復させて未使用品を形成するための回復設備を含む。該方法は、可動式配送輸送手段の第1の保管容器を第1の使用者の未使用品保管容器に未使用品分配装置を用いて接続し、そして未使用品分配装置を操作して未使用品を可動式配送輸送手段の第1の保管容器から第1の使用者の未使用品保管容器に分配することを必要とする。該方法は、配送輸送手段の第1の保管容器を第1の使用者の使用済品保管容器に使用済品取出装置を用いて接続し、そして、可動式配送輸送手段の第1の保管容器での保管のために、使用済品取出装置を操作して未使用品を第1の使用者の使用済品保管容器から取出すことをさらに含む。
【0011】
本発明のシステムおよび方法は、水素等の含有製品(未使用品)とともに担体材料を配送するために採用でき、該水素は、燃料電池内またはICE内等での消費(たとえば脱水素化反応によって)のための好適な方法で放出できる。未使用品は、水素を放出できることによって使用済品となるように加工できる。次いで、使用済品は、水素またはその成分を含有させる回復によって未使用品に再生されて戻ることができる(たとえば、水素を未使用品から取出し、そして使用済品を回復させ未使用品として再利用するために水素を添加する)。たとえば水素を可逆的に運搬できる具体的な担体の記載は、米国特許出願第US2004/0223907およびUS2005/0002857(参照によりここに組み入れられる)に見出すことができ、これに限定されないが以下の、ペルヒドロインドロ[3,2,1−jk]カルバゾール,ペルヒドロジベンゾフラン、ドデカヒドロビフェニレン、ペルヒドロ−N,N’−ジエチル−ビス−インドリメタン、ペルヒドロ−N−エチルカルバゾール、ペルヒドロ−N−メチルカルバゾール、および、10−メチル−10H−フェノキサジンを含むことができる。本発明は、使用済品を収集する一方で未使用品を配送および/または分配する。配送される未使用品および返送される使用済品の両者の流れにおける担体の存在が本発明によって取り組まれる。
【0012】
本発明の方法およびシステムは、未使用品の少なくとも一部を使用済品の少なくとも一部に実質的に対等に交換し、そして未使用品とともに配送される製品のために相殺分を受入れることを含む。「実質的に対等」により、使用済品の規定量は、(たとえば輸送手段のタンク内に)分配される未使用品の規定量に一般的に対応することが意味される。このような量は、ばらつき原因の中でもとりわけ、たとえば、未使用品からの製品の回収および場合によっては使用中の配送設備におけるばらつき、測定装置、コンピュータ制御システムまたは未使用品からの製品の取出に関連する他の損失等の種々の理由によって同一にならない場合がある。本発明の方法およびシステムはまた、使用できる種々の担体と分配位置との間に、使用者位置(たとえば、担体の加工者および/または回復から分配基地または充填基地接点まで)に対するのと同様に担体を分配することを含む。
【0013】
以下の定義された用語がここに用いられる。
・「製品」は、担体中で放出可能に保管することが可能ないずれの化学物質も含む。限定しない例として、製品は、水素、フッ素、塩素、酸素、アルシン、スチビン、ホスゲン、メタン、フッ化水素、ホウ素成分、リン成分、アルミニウム成分、またはシリコン成分を含むガス、およびこれらの組み合わせを含むことができる。さらなる例としては、製品は、担体中に完全にそのまま(H2等)、および/または製品の成分(他の非−H分子に結合したH等)として、担体からの放出後に該成分が再構築されて製品を形成できる限りにおいて組み込まれていることができる。
・「担体」は、物質または物質の混合物であって、製品または製品成分を組み込み、製品を放出し、これにより可逆的に未使用品および使用済品になることが可能であるものを含む。同じ製品に対して異なる担体、複数種の製品に対して1種の担体、または異なる製品に対して異なる担体、が存在する場合がある。限定されない例として、担体は、1種または2種以上の有機化合物(たとえば、特にイオン液体、溶媒和化合物)を含むことができる。
・「未使用品」−製品または製品成分を組み込んだときの担体である。
・「使用済品」−製品または製品成分を、使い切ったかまたは部分的に使い切ったときの担体である。使用済品は、未使用品および/または担体と類似する幾つかの化学的および/または物理的な特性を示すことができる。しかし使用済品は、未使用品と比べたときに、これに限定されないが、異相、比重、粘度、密度、蒸気圧、発火点、混和性、および他の公知の化学的および/または物理的な特性等の少なくとも1つの検出可能な化学的および/または物理的な相違を有する可能性がある。
・「使用者」は、未使用品、使用済品、担体、製品、および製品成分の少なくとも1つを受入れることが可能な任意の実在物、人物、または装置である。限定されない例としては、使用者は、燃料電池、燃焼機関、充填基地、工業プロセス、分配システム、または任意の他の装置またはシステムであることができる。
・「再生」は、担体に製品または製品成分を組み込ませるいずれの処理も含む。限定されない例としては、製品が水素であり、再生が不飽和有機担体の水素化であることができる。
・「回復」は、使用済品を未使用品に復元することを含む。回復としては、製品加工、担体加工、再生、リサイクル、精製、分析および試験、ならびに他の類似の処理を挙げることができる。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、例示により本発明の理念を説明する添付の図面とともに、好ましい態様の以下のより詳細な説明から明らかとなろう。
【0015】
図面中の種々の要素の番号は、番号が付された要素の説明で一貫性を維持し、そしてある要素における相互作用および見込まれる互換性を示すことが意図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に記載される技術は、製品(たとえば水素)が担体中に含まれている方法またはシステムに関する。一般的に、担体は、固体、液体、蒸気、プラズマ、または上記の任意の組み合わせ、等の任意の物理状態であることができる。担体の少なくとも1つの化学的または物理的な特性を修飾するために、担体は、少なくとも1種の添加剤(たとえば、担体の凝固点を低くするための添加剤)を含むことができる。加えて、担体は、製品を捕捉、保持、または放出するための任意の好適なメカニズム、とりわけ、たとえば化学反応、吸収、吸着、分解、希釈を伴うことができ、これらは前述の同一出願人の特許および特許出願に開示される。一般的に、担体は、製品または製品成分を含むように用いられる。含有させた製品またはその成分を有する担体(すなわち未使用品)は、製品を保管および/または輸送するために用いられる。未使用品は、当該技術において公知の方法または設備(たとえば、ISOコンテナ、シリンダ、軌道車コンテナ、等)を用いることによって輸送できる。一旦製品が取出されると、製品が使い尽くされた担体(すなわち、使用済品)は、未使用品の配送に対して使用されるのと同じまたは異なる設備を用いた回復のために返送されることができる。回復されたときには、担体は未使用品となって製品またはその成分を再び含んでいる。担体分配の全体の操作および配送のシステムは、効率的な方法および/または担体が汚染する可能性を低減する方法で実施すべきである。たとえば、パージされた接続/切断設備は、空気が未使用品、使用済品、または担体の汚染物となり得る場合において未使用品または使用済品の収容容量中に空気が入り込まないようにするために使用できる。たとえば隔離弁、キャップ、プラグ等の装置は、接続端部の輸送中にまたは稼働中でないときに、くもの巣、虫の死骸、水、道路汚れ等の汚染を防ぐために用いることができる。ここに説明する主要な製品は水素であるが、ここに説明される種々の側面は、放出可能に担体中に組み込まれることができる他の製品に対して有用であることができる。本発明の1つの望ましい側面は、使用済品を回復させる能力に関するが、所望であれば、担体(単独または製品とともに)が、他の用途、たとえば内燃機関エンジン(ICE)の燃料として使用できる担体において有用であることもできる。
【0017】
製品に富む担体(すなわち未使用品)は、とりわけ、たとえば輸送手段、発電機、分配設備、化学処理システム(たとえば、製品からの担体の分離および製品の消費が可能であるもの)といった使用者(装置)上に装填してもよい。製品は消費されるため、使用済品は、保管容量(たとえば、輸送手段に関連し使用者に属する容器)内で生成し、そして保管されることができる。保管容量は、未使用品のためのものと同じでも異なっていてもよい。たとえば、1つの態様では、2つの分かれた保管容器を用いることができ、一方を未使用品のみに用い、他方を使用済品のみに用いることができる。他の態様では、固定された仕切壁を有する1つの容器を、該容器の2つの分離した区画を決めて用いることができる。各々の区画は、未使用品または使用済品の各々の専用とすることができる。さらに他の態様では、移動する仕切りを有する1つの容器を用いることができ、仕切りは、i)使用者保管容器内の固定された仕切り、ii)使用者保管容器内の移動可能な仕切り、iii)使用者保管容器内の空気袋、iv)未使用品および使用済品の固有のまたは改変された各々の特性に基づく化学的分離、ならびにv)未使用品および使用済品の固有のまたは改変された各々の物理的特性に基づく物理的分離、の少なくとも1つを含むことができる。一旦全てのまたは実質的に全ての製品容量が消費されると、使用済品を取出しそして未使用品で交換しなければならない場合がある。使用済品の未使用品による交換は、再充填操作の間に実施することができる。製品分離装置は、再充填操作が完了する間および/または後で機能し続けることができる。使用済品を未使用品または再生使用済品に交換するためには種々の方法がある。たとえば、装置上(たとえば輸送手段上)の使用済品の回復、再充填位置における回復(たとえば、現場回復)で、決められた交換基準等で使用済品が未使用品に交換される。加えて、現場回復ユニットは、固定されており、可動式であり、または両者の組み合わせであることができる。また使用者は、用途の中でとりわけ、たとえば発電機、個々の家屋またはビル、工業用途のように固定され、たとえば燃料電池付の輸送手段、分配トレーラー等のように可動式であり、またはたとえば動力工具、携帯電話、燃料電池付のコンピュータのように携帯型であることができる。
【0018】
一般的に、製品、未使用品および使用済品は異なる分子であることができる。すなわち、担体中に組み込まれた水素は、完全に異なる材料または物質を両者別々のそれから形成することができる。製品および担体の組み合わせのある例は、水素、キノリン、ペルヒドロキノリン、および1,2,3,4−テトラヒドロキノリンであることができる。水素化を経て水素と組み合わされたキノリン(たとえば使用済品)は、ペルヒドロキノリン(たとえば未使用品)を形成できる。脱水素化を経て製品を放出し、部分的に脱水素化されたペルヒドロキノリンは、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン(たとえば使用済品)または完全に脱水素化されたキノリン(たとえば使用済品)となることができる。製品および担体の組み合わせの他の例としては、水素、ホウ酸ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウムを挙げることができる。ホウ酸ナトリウムは、水素化ホウ素ナトリウムになるような方法、たとえば、水素ガスの直接の組み合わせを含み得るかまたは含み得ない処理で処理できる。水素は、水および触媒との反応において水素化ホウ素ナトリウムから放出できる。製品および担体の組み合わせのさらなる例としては、ホスフィン、および、たとえば1,3−ジメチルイミダゾリウムをカチオンとして、Al2Cl7-をアニオンとして用いた少なくとも1種のイオン液体を挙げることができる。ホスフィンは、未使用品担体に対して圧力差を適用すること、すなわち減圧、によりイオン液体(未使用品担体)から除去できる。好適なイオン液体のさらなる例は、米国特許出願番号第10/948,277および11/208,723,表題”Ionic Liquid Based Mixtures For Gas Storage And Delivery”(参照によりここに組み入れられる)に開示されている。製品は、処理パラメータのうちとりわけ、1)少なくとも1種の触媒にさらすこと、2)エネルギー、たとえば熱、を適用しまたは取り除くこと、3)圧力を適用しまたは取り除くこと、4)少なくとも1種の反応剤を組み合わせること、5)上記の組み合わせ、によって担体から回復または放出できる。製品は、複数のシステムおよび方法にさらすことによって担体から放出できる。ある例としては、担体を第1の方法にさらして製品の一部を放出させ、その後担体を第2の方法にさらして製品の他の部分を放出させることが挙げられる。第1および第2の方法は、同一の方法(たとえば異なる条件で実施される)または異なる処理であることができる。
【0019】
両方の流れ(すなわち、配送された未使用品および返送された使用済品)における担体の潜在は新たな難問を生み、これには現在入手可能な供給および配送のロジスティックでは取り組まれていない。たとえば、再充填基地で停止した輸送手段は、たとえばガソリン等の燃料を受入れるのみに対して、使用済品を未使用品に交換しなければならない場合がある。有用な担体の例、および、ここに記載される態様のある側面に関するさらなる情報は、特許出願番号第US10/430,246,2003年5月6日提出、US10/833,467,2004年4月27日提出、および特許出願番号第US10/833,484,2005年4月27日提出に見出すことができ、これらの全ては参照によりここにそのまま組み入れられる。
【0020】
供給および配送のロジスティックスとしては、たとえば分配システム経由の、使用者に配送された担体の装填および排出を挙げることができる。設備またはシステムの中でとりわけ、加工、回復、分配、配送は、その位置に担体が供給されそしてその位置から担体が収集されるべき複数の位置を有することができる。製品の供給プロセスおよび担体の分配プロセスは、担体、未使用品および/または使用済品の配送のための効率的なシステムを有することを必要とする。このような例示的なシステムの説明を以下で行う。
【0021】
図1に示すように、配送手段9は、未使用品を、たとえば回復位置8aおよび8bから複数の使用者、たとえば使用者1a,1b,1cに供給する。ここで図1を参照し、配送手段9は、使用済品を使用者1a,1bおよび1cから回復位置8aおよび8bに返送して戻すために使用できる。配送手段9は、使用済品を含みそしてそこから運搬し、かつ未使用品を含みそして他のまたは次の使用者を汚染物にさらすことなく所定の使用者に運搬するための手段を含むことができる。配送手段9等の任意の担体保管装置内で種々の担体を共存(たとえば使用済品と未使用品)させることは、任意の好適な分離手段を用いることによって実現できる。好適な分離手段の例としては、i)使用者保管容器内の固定された仕切り、ii)使用者保管容器内の移動可能な仕切り、iii)使用者保管容器内の空気袋、iv)未使用品および使用済品の固有のまたは改変された各々の特性に基づく化学的分離、ならびにv)未使用品および使用済品の固有のまたは改変された各々の物理的特性に基づく物理的分離、の少なくとも1つを挙げることができる。一旦全てのまたは実質的に全ての製品容量が消費されると、使用済品を取出しそして未使用品で交換しなければならない場合がある。未使用品および使用済品を同じ配送手段9内に保持する能力により、配送手段9は、同じ工程で稼働中の任意の単数または複数の使用者に未使用品を運搬し、そして同じ工程で稼働中の任意の単数または複数の使用者から使用済品を取出す能力を確実に有することができる。
【0022】
典型的な製品配送プロセスは、たとえば加工者から使用者へのみの一方向で完了する。このような一方向製品配送プロセスは、製品がプロセス中に完全に消費される場合があり、そしてさらなる循環に対して返送されるために含まれる製品担体が存在しないこと、または、製品が、直接可逆的ロジスティクスの製品供給連鎖において有用でない形に変換される場合があること、のいずれかの理由で用いられる。一方向製品配送の例としては、これに限定されないが、燃料基地へのガソリンの配送、化学プラントおよび電子工学製作者への工業ガスの供給、オイル交換基地への潤滑油の配送等を挙げることができる。一旦配送された製品が所望のプロセスで用いられると、パッケージ、汚染した製品、プロセス残留物等の返送が必要とされる。典型的には、このような戻し配送操作は、たとえば、工業ガスが製品として配送された場合のシリンダ返送、または、精油所でのリサイクルおよび再処理のための汚染油返送としてのパッケージ返送プロセスに関わる。
【0023】
本発明は、たとえば使用済品が未使用品に対する汚染物となり得る場所で未使用品および使用済品の分離を維持する手段を提供し、廃油生成物が再利用のために返送される先行技術の例に対して改善がなされる。例示的な担体(たとえば未使用品/使用済品)配送のシステムおよび方法を以下に説明する。
【0024】
本発明の1つの例示的な側面では、製品の配送、担体の運搬および担体の輸送配送を実現するような方法で配送手段が担体(未使用品および使用済品)と関連付けられる。配送手段は、好適な手段のうちとりわけ、パイプライン、トラックまたは荷船等の可動式輸送システム、の少なくとも1つを含むことができる。多量の未使用品担体がある場所で運搬される際に実質的に等しい量の使用済品担体が運搬されるように、担体は配送手段内に含まれる。担体のための運搬手段は、担体を1つの実体から他の実体に運搬することが可能な任意の好適な装置を含むことができる。任意の運搬手段を使用できるが、運搬装置の部品の例としては、パイプライン、ホース、ノズル、またはディスペンサが挙げられる。このシステムおよび方法は、図1に描かれる種々の輸送ポイントA、B,Cを考慮し、表1に例示される典型的な未使用品成分、使用済品成分、および製品成分の体積、質量、および密度と連動して説明される。
【0025】
表1を参照し、例示的な担体は、N−エチルカルバゾールまたはキノリンのいずれかであることができ、例示的な製品は水素である。以下の実験データを用いて表1を作成した。密度測定は、含まれる水素レベルが低下する際に密度が10%程度の増大で変動する可能性を示す水素化キノリンを含む担体で実施した。たとえば、キノリンを含む使用済品の密度は、1.093g/ccで測定した。キノリンが完全に水素化される際、これが(担体として)、測定される密度が0.933g/ccであるペルヒドロキノリンを含む未使用品となり、そして、部分的にのみ使用された担体は、たとえば、測定される密度が1.061g/ccの1,2,3,4−テトラヒドロキノリンとなる。たとえば、ラボ実験中に使用済品担体キノリンおよびN−エチルカルバゾールで測定されたように、使用済品体積は未使用品体積の約80〜85%となる場合がある。水素容量5.7wt.%は、後者が160℃および800psiaH2圧で水素化され、そして180℃および15psiaH2圧で脱水素化された際にN−エチルカルバゾール中で測定した。
【0026】
表1において、ポイントAでは、使用済品の全装填物を分配しそして回復設備から未使用品の全装填物を受入れた後等のように、タンカーが完全に未使用品担体で充填されている。タンカーは、複数の部品を含み、各々は、100%の未使用品担体で充填されている。タンカー中の未使用品の全体積は、3,000ガロン(401 ft3)であり、質量が3000ガロンの未使用品は、58.1 lbs/ft3の密度を用いて23,298 lbsである。
【0027】
ポイントBでは、タンカーが未使用品の装填物500ガロンを使用者位置で分配し、タンカー上における全体の入手可能な未使用品を2,500ガロンの質量19,405 lbsとした。同一の使用者位置で、同時または同時でなく、並行してまたは後に続けて、タンカーは、実質的に等しい量(たとえば、等しい製品運搬量)の使用済品、425ガロン、使用済品密度68.1 lb/ft3に基づき質量が3,882 lbs、を受入れる。装填および排出が生じた後、タンカーは、2,500ガロンの未使用品および425ガロンの使用済品を有することになる。この場合の実質的に等しい製品運搬容量とは、500ガロンの未使用品および交換された425ガロンの使用済品を表す。すなわち、一旦425ガロンの使用済品が再生されると、およそ500ガロンの未使用品となることになる。水素の取出しに基づく差に加え、未使用品と使用済品との間での体積および密度の差は担体の物理的および化学的な特性に左右され、そしてこれらの値は種々の担体で変動する場合がある。
【0028】
表1のポイントCでは、タンカーにおいて実質的に完全に未使用品が空(0ガロン)であり、そして満杯に装填された使用済品を含む(たとえば、容量3,000ガロンを有するタンカーが2550ガロンの使用済品を含む)。すなわち、タンカーは、初期の未使用品装填物と実質的に等しい製品運搬量を有する。タンカー内の使用済品の質量は、このとき23,222 lbsである。このポイントで未使用品は実質的に完全に分配されるため、これに含まれる製品はもはやタンカー内にはなく、したがって、0 lbsの値が表中に示される。タンカーは、未使用品を幾つかの使用者位置に配送し、そしてそれらの位置の各々で、実質的に等しい製品運搬量の使用済品を引取った。製品は未使用品とともに配送した。
【0029】
他の態様では、使用者は異なる性質のもの、たとえば、燃料電池車、発電機、再充填基地、運搬手段、工業プロセス、および使用のための製品を必要とする他の公知の装置であることができる。いずれの使用者も、固定されまたは可動式であることができる。未使用品を分配しそして使用済品を返送するこの同一のサイクルは、供給連鎖における分配ポイントおよび/または配送ポイントのうち任意のポイントで行うことができる。効率的な配送システムおよび分配システムを作り出し、したがって担体の効率的な使用を可能にするために、各々の供給連鎖の配送ポイントでの未使用品と使用済品との実質的に対等の交換が望まれる場合がある。
【0030】
【表1】

【0031】
回復位置8aおよび/または8bから受入れた未使用品を有する配送手段9は、未使用品を複数の使用者、たとえば図1に示す使用者1a,1bおよび1cに配送する。配送手段9は、未使用品を各々の位置で、たとえば連続的に運搬する。同時に、配送手段9は、使用済品をたとえば排出処理の進行中および/または排出処理の完了の後等に受入れることができる。よって、配送手段9は、種々の量の未使用品および使用済品の両方を同時に含むことができる。配送手段9によって受入れた使用済品は、回復位置8aおよび/または8bに戻すことができる。よって、未使用品の配送および使用済品の返送の両方のプロセスは、単純化され、より効率的になる。担体の配送手段は、担体を、たとえば使用者、回復、加工、または廃物収集の場所間で、1つの実体から他の実体に輸送することが可能ないずれの装置または輸送手段を経由しても達成できる。配送手段の限定しない例としては、パイプライン、またはトラック、船、飛行機、軌道車か他の輸送手段かを問わない輸送手段が挙げられる。たとえば各々の位置で1度停止すること、および位置間で1度ルーティングトリップすることが、未使用品および使用済品をたとえば回復位置8aおよび/または8bと使用者1a,1b,1cとの間で後方または前方へ運ぶために必要とされる場合がある。この供給プロセスおよび配送プロセスは、製品が担体中に含まれるいずれの供給および配送の場合にも使用でき、そして、担体は、たとえば担体の再生位置または回復位置、中間分配位置、中間使用済品保管設備(たとえば、図2ないし7に示すような)へ、回復のために返送することが必要である場合がある。たとえば、図2,3,7に説明される設備は、担体の回復設備への配送手段を必要とする単一使用者を示す。図4および5に説明される設備は、たとえば修理またはメンテナンスを必要とする場合で現場回復が使えない場合には、担体のための配送手段を必要とする場合がある。図3の設備はまた、タンク7内の使用済品廃物のための配送手段を必要とする場合がある。図2〜5に説明される設備は、使用者1a,1bおよび/または1cを含むことができる。
【0032】
配送手段9は、任意の幾つかの方法で設計および提供できる。たとえば、タンカー、軌道車、ISOコンテナ等の、液体、固体、および/または気体の化学物質の輸送が可能な可動式配送輸送手段は、配送サイクルの間使用済品と未使用品とを分離できる厳密に規定された区分または区画を有することができる。加えて、配送手段、たとえばコンテナは、区画されたコンテナの場合には各区画に、または区画されていないコンテナの場合には全体のコンテナに、伸縮性の空気袋または移動可能な壁を有することができる。有用な設計の例は、参照によりそのままここに組み入れられる、US6802875B1、EP1081780A2、US6382264B1およびWO03061047A1に開示されている。空気袋タイプの分離または移動可能な壁の構想を用いることによって、単一の容積(区画)の動的な容積変更が可能になる。さらに他の態様では、移動する仕切りを備えた1つの容器を用いることができ、仕切りは、i)使用者保管容器内の固定された仕切り、ii)使用者保管容器内の移動可能な仕切り、iii)使用者保管容器内の空気袋、iv)未使用品および使用済品の固有のまたは改変された各々の特性に基づく化学的分離、v)未使用品および使用済品の固有のまたは改変された各々の物理的特性に基づく物理的分離、の少なくとも1つを含むことができる。加えて、ある場合では、輸送および保管のために使用済品および未使用品を互いに混合し、後に、配送および使用のために各々の化学的特性または物理的特性、たとえば密度差によって分離することが望ましい。この特別な例では、使用済品は未使用品よりも軽いと推測され、間に仕切りを備えるかまたは備えない保管タンクの上部から使用済品を充填する際に、同保管タンクの下部から未使用品を取出すことができる。
【0033】
以下の態様は、担体(たとえば未使用品および使用済品)を2以上の位置、たとえば回復位置および分配位置の間での取り扱いおよび輸送を規定する。配送手段9、たとえばタンカー、軌道車、ISOコンテナ等は、未使用品が完全に装填された状態で自身の行路を開始することができ、すなわち最大許容装填量の未使用品、これは有利な経済性および高いシステム効率と言い換えられる、を運ぶことができる。配送手段9は、未使用品の排出および使用済品の受入れの結果として、その行路の終点で実質的に使用済品のみを含むことができる。未使用品の使用済品への交換は、多くの種々の方法、たとえば実質的に対等の、質量、体積、含有製品容量等の基準での交換で行うことができる。配送手段9は、1または2以上の位置で装填および排出されることができ、そして同時に行われることができる。一旦、配送手段9が、初期に装填された未使用品の全てまたは実質的に全てを使用済品に交換すると、使用済品はたとえば回復位置8に運ばれることができる。
【0034】
他の方法では、配送手段9は、実質的に対等で装填および排出する必要がない。たとえば、配送した未使用品よりも多くの使用済品を受入れることができる。配送手段9は、配送された未使用品よりも多くの使用済品の返送を効率的に提供できない場合があり、これはたとえば、該手段が、単一使用済品の輸送のために、受入れた未使用品のための配送手段9よりも多くの容積を要求する場合があるという理由による。また、後者のプロセスは、特に製品担体がたとえば製品自体としてのかけ離れた実体値を有する場合、潜在的な不正の影響をより受けやすい。不正に対抗するためには、使用者位置での未使用品/使用済品の再充填手順を、好ましくは実質的に対等でのみ完了させる。たとえば流量計、質量計、IDリーダー、データベース、計算、ソフトウエア、アルゴリズム等の、適切な機器の使用、手順、および/または技術を用いることができる。担体は、これらに限定されないが、粘度計、伝導度および密度の測定装置、化学分析器、ガス分析器、クロマトグラフ、紫外/可視検出器(UV/Vis)、光および赤外光(IR)検出器、マイクロ波検出器、核磁気共鳴(NMR)分光法、磁化率、およびレーザ技術等の機器手段によって、タンク5の内容物がさらに運搬される前に分析できる。たとえば、粘度測定に基づく分析は、未使用品/使用済品の品質制御対策として実施するために適していることが示された。担体の粘度、光吸収特性等は、水素化サイクル/脱水素化サイクルの間に変化することが実証された。たとえば、ペルヒドロ−N−エチルカルバゾールの粘度は、脱水素化で7.4倍に増大する。ブルックフィールド動的粘度計を用い、♯2スピンドル、100rpmで測定された全ての数は以下の通りである。ペルヒドロ−N−エチルカルバゾール 13.5センチポイズ、およびテトラヒドロ−N−エチルカルバゾール 100センチポイズである。粘度におけるこのような相違により、未使用品/使用済品の品質分析のための未使用品/使用済品のコントロールカーブが生成する。他の例、水素化されたN−エチルカルバゾールでは、脱水素化されたN−エチルカルバゾールの構造を特定するためにIRを使用できる。芳香族C−Hに関する複数のバンドが、1230、747および721cm-1のカーブで存在する。さらに他の例では、水素化されたN−エチルカルバゾールに対し、脱水素化されたN−エチルカルバゾールの構造を特定するためにUV/Visを用いることができる。270nmでのDDD転位は、ペルヒドロ−N−エチルカルバゾールで存在せず、芳香族中間体構造として大きくなり、そして、N−エチルカルバゾールに完全に脱水素化されたときに最大である。このバンドの強度に基づいて脱水素化量を定量するためのキャリブレーションを設定できた。
【0035】
そうは言っても、担体(たとえば使用済品および未使用品)を対等でなく交換することが有利な場合もある。このような場合の例としては、再充填設備の拡張、偶発的な担体の損失、廃業設備等を挙げることができる。これらの場合では、未使用品および使用済品の効率的な配送システムを、等しくない交換、すなわち使用済品をより多くまたは完全に装填し、または未使用品をより多くまたは完全に排出することを完了させるように特殊化した配送とすることができる。さらなる例としては、使用者が追加の未使用品を要求する場合がある。
【0036】
本発明の操作およびシステムは、手動、自動およびこれらの組み合わせであることができる。操作およびシステムは、データ収集、および/または例として特定、測定および他の用途に対するデータ使用を含むことができる。
【0037】
ここに記載される装填排出操作は、手動、自動、またはこれらの任意の組み合わせであることができる。加えて、分析設備および関連する論理制御システムのようなシステムは、データ収集および/またはたとえば上記のようなデータ使用を含むことができる。該システムはまた、手動、自動、または任意の組み合わせモードで操作できる。
【0038】
効率的な製品配送、さらにここに記載される種々の計画を確実にするための、未使用品/使用済品の輸送、担体の移動、および未使用品/使用済品の運搬を含むシステムの例を説明するために、図8において幾つかの装置を列挙し、かつ概略図として示す。
【0039】
限定されない例として、ここで図8を参照し、図8は未使用品を排出し、そして使用済品を配送手段9に装填するためのシステムおよび方法の例を示し、配送手段9は、使用者に連絡可能に接続された可動式タンカーシステムであり、保管位置である。タンカーは、未使用品を分配しており、そして使用済品を、固定された2つの容積の保管タンク11Aから受入れている。可動式タンカーは、未使用品と使用済品との0から100%の組み合わせを輸送し、分配しそして受入れることが可能である。区画1A,1B,1C、1D,1Eおよび1Fは、未使用品および使用済品を保持しそして輸送するために使用できる。自動制御装置3A、3B,3C,3D,3E,3F,2A,2B,2C,2D,2Eおよび2Fは、設計された区画にまたは設計された区画から未使用品または使用済品を直接流すために使用できる。装置4Aおよび5Aは、分配または返送される使用済品または未使用品の量を測定する。これらの測定装置は、マイクロプロセッサ制御コンピュータ4Bおよび5B等の接続されたコントローラに情報を与える。これらのコントローラおよび任意の関連するコンピュータは、コンピュータ実行コード(「ソフトウエア」)プログラムを実行して使用済品および未使用品の運搬に多数の種々のモードをもたらすことができる。たとえば、あるモードは、担体の製品運搬容量に基づき実質的に同等の方法で未使用品を運搬しそして使用済品を受入れるようにすることができる。ソフトウエアによって実行されるアルゴリズムは、制御出力を自動制御バルブ3A、3B,3C,3D,3E,3F,2A,2B,2C,2D,2Eおよび2F、ならびに未使用品/使用済品運搬ポンプ6Aおよび7Aのそれぞれに提供するために使用できる。8A,8B,8C,8Dは、固定された使用済品および未使用品の保管タンクにフレキシブルホース9Aおよび10Aをそれぞれ一時的に接続するために必要な切断/接続装置を表す。示されたシステムおよび制御は、可動式タンカー、固定設備または両方の一部であることができる。固定設備は、再充填基地、回復プラント、分配基地、または未使用品および使用済品の保管庫を伴う他の任意の設備であることができる。一般的に、システム内の区画は、保管区画の数に基づき量およびタイプにおいて変化することができる。図面は、可動式タンカー、未使用品および使用済品の保管を伴う使用者位置、ならびに回復設備等の配送手段を含む配送システムおよび分配システムにおいて未使用品を配送しそして使用済品を受入れる発明を可能にするシステム内の好ましい装置を説明する。または、可動式タンカーが固定設備または固定ユニットを含むことができ、および/または、使用済品保管庫または未使用品保管庫の少なくとも1つが可動式または他の運搬可能なものであることができる。
【0040】
図1〜7に説明する発明の側面は、単独または本発明の他の側面との組み合わせで使用できる。たとえば、図7に説明する側面は図3に示す特徴との組み合わせで使用でき、そして図1に説明する側面は、図2,3,4,5,6および7に説明する側面で使用できる。さらに、1つの図による区画またはシステムは、他の図の区画またはシステムを置換えまたは追補するために使用できる。
【0041】
以上の説明ではある用途に対して製品を配送するための未使用品の使用を強調するが、本発明は、これらに限定されないが、用途の中でとりわけ、発電機、個々の家屋またはビル、工業用途、たとえば燃料電池付の輸送手段、分配トレーラー、エネルギー供給システム、発電プラントおよび加工設備等のエネルギー消費者、たとえばバッテリー再充電用途、動力工具、携帯電話、燃料電池付のコンピュータ、等の再充電基地および再充電システム、といった可動式のもの、等の幅広い範囲の最終用途に対する好適な製品の配送に採用できる。
【0042】
本発明をある態様を参照して説明してきたが、種々の変更が可能であり、そして均等物は本発明の範囲から逸脱することなくその要素に置換可能であることが当業者に理解されよう。また、特定の場合または物質に適応させるために、本発明の教示への、その本質的な範囲から逸脱しない多様な改変が可能である。したがって本発明は、本発明を実施するために意図される最良の形態として開示された特定の態様に限定されず、特許請求の範囲に含まれる全ての態様を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、複数の使用者位置および/または複数の回復位置を含む効率的な製品未使用品の配送および使用済品の返送の概略図である。
【図2】図2は、未使用品および使用済品の装填操作/排出操作の概略図である。
【図3】図3は、再充填基地での装填および排出のシステムの概略図である。
【図4】図4は、回復を伴う位置での輸送手段燃料補給処理の概略図である。
【図5】図5は、図5において説明する処理の側面の概略図である。
【図6】図6は、単一担体ループプロセスの概略図である。
【図7】図7は、使用者位置で装填/排出する未使用品/使用済品のシステムの概略図である。
【符号の説明】
【0044】
1a,1b,1c 使用者
1A,1B,1C、1D,1E,1F 区画
2A,2B,2C,2D,2E,2F,3A、3B,3C,3D,3E,3F 自動制御装置
4A,5A 装置
4B,5B マイクロプロセッサ制御コンピュータ
6A,7A 未使用品/使用済品運搬ポンプ
8A,8B,8C,8D 切断/接続装置
7 タンク
8,8a,8b 回復位置
9 配送手段
9A,10A フレキシブルホース
11 保管タンク
11A 2つの容積の保管タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体中に放出可能に組み込まれた製品を使用者に分配し、そして使用済品を使用者から回収するためのシステムであって、
可動式配送輸送手段、前記輸送手段が、未使用品配送手段から未使用品を受入れそして保管し、かつ使用済品配送手段から使用済品を受入れそして保管するための第1の保管容器を含み、前記保管容器が、未使用品を使用済品から分離するための手段を含む、
第1の使用者、前記第1の使用者が、未使用品を受入れ、保管しそして配送するための未使用品保管容器を含み、使用済品を受入れ、保管しそして配送するための第1の使用済品保管容器をさらに含む、
未使用品を第1の使用者に運搬するために第1の使用者の第1の保管容器と未使用品保管容器とを接続するための未使用品運搬手段、および
使用済品を第1の使用者から運搬するために第1の使用者の第1の保管容器と使用済品保管容器とを接続するための使用済品運搬手段、
を含むシステム。
【請求項2】
第2の使用者をさらに含み、前記第2の使用者が、可動式配送輸送手段から未使用品を受入れそして配送するための第2の未使用品保管容器を含み、使用済品を受入れ、保管しそして可動式配送輸送手段に配送するための第2の使用済品保管容器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記可動式配送輸送手段が、
未使用品、使用済品、担体、製品、およびこれらの組み合わせを第2の使用者に輸送するための可動式配送手段、
使用済品および未使用品を第1の使用者および第2の使用者で分離するための手段、ならびに
交換された使用済品を回復設備に配送するための手段、
をさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
未使用品を使用済品から分離するための手段が、使用者保管容器内の固定された仕切り、使用者保管容器内の移動可能な仕切り、使用者保管容器内の空気袋、未使用品および使用済品の固有のまたは改変された各々の特性に基づく化学的分離、未使用品および使用済品の固有のまたは改変された各々の物理的特性に基づく物理的分離、ならびに未使用品および使用済品の各々のための複数の専用区画、からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
未使用品運搬手段および使用済品運搬手段が、実質的に対等交換で、未使用品を使用者に装填しそして使用済品を使用者から取出すために操作するように制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記システムが使用済品を回復設備に配送するための手段をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
使用済品を回復設備に配送するための手段が、回復設備への直接接続、可動式回復設備への接続が可能な使用済品分配装置、および離れた回復設備に輸送するための可動式保管容器への接続が可能な使用済品分配装置、からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
未使用品、製品、使用済品、担体、またはこれらの任意の組み合わせの、少なくとも1つの化学的または物理的な特性を検出するための手段をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
検出手段が、粘度計、伝導度および密度の測定装置、化学分析器、ガス分析器、クロマトグラフ、紫外/可視検出器(UV/Vis)、光および赤外光(IR)検出器、マイクロ波検出器、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
中間使用済品保管容器をさらに含み、前記中間使用済品保管容器は使用済品取出装置と使用済品保管容器との間に連絡可能な接続で配置され、前記中間使用済品保管容器が、使用済品の中間保管容器から汚染物保管容器または使用済品保管容器への選択的な運搬のための制御可能な連絡可能の接続をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
製品が、水素、フッ素、塩素、酸素、アルシン、スチビン、ホスゲン、メタン、フッ化水素、ホウ素成分、リン成分、アルミニウム成分、またはシリコン成分を含むガス、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
製品が水素を含み、担体が少なくとも1種の脱水素化された有機化学物質を含み、未使用品が有機化学物質の水素化誘導体を少なくとも1種含み、かつ使用済品が、未使用品の少なくとも部分的に脱水素化された誘導体を少なくとも1種含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
担体が少なくとも1種のイオン液体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
担体中に放出可能に組み込まれた製品を使用者に分配し、そして使用済品を使用者から回収するためのシステムであって、
可動式配送輸送手段、前記輸送手段が、未使用品配送手段から未使用品を受入れそして保管し、かつ使用済品配送手段から使用済品を受入れそして保管するための第1の保管容器を含み、保管容器が、未使用品を使用済品から分離するための手段を含む、
第1の使用者、前記第1の使用者が、未使用品を受入れ、保管しそして配送するための未使用品保管容器を含み、かつ使用済品を受入れ、保管しそして配送するための第1の使用済品保管容器をさらに含む、
未使用品を第1の使用者に運搬するために第1の使用者の第1の保管容器と未使用品保管容器とを接続するための未使用品運搬手段、
未使用品を第1の使用者から運搬するために第1の使用者の第1の保管容器と使用済品保管容器とを接続するための使用済品運搬手段、および
可動式配送輸送手段から使用済品を受入れ、そして使用済品を回復させて未使用品を形成するための回復設備、
を含むシステム。
【請求項15】
第2の使用者をさらに含み、前記第2の使用者が、未使用品を可動式配送輸送手段から受入れそして保管するための第2の未使用品保管容器を含み、かつ使用済品を受入れ、保管しそして可動式配送輸送手段に運搬するための第2の使用済品保管容器をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
未使用品、製品、使用済品、担体、またはこれらの任意の組み合わせの、少なくとも1つの化学的または物理的な特性を検出するための手段をさらに含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
検出手段が、粘度計、伝導度および密度の測定装置、化学分析器、ガス分析器、クロマトグラフ、紫外/可視検出器(UV/Vis)、光および赤外光(IR)検出器、マイクロ波検出器、核磁気共鳴(NMR)分光法、磁化率、およびレーザ技術、ならびにこれらの組み合わせ、からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
製品が水素からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含み、使用済品が少なくとも1種の脱水素化された有機化学物質を含み、そして、使用済品を未使用品に回復させるための手段が、使用済品を水素化して未使用品を形成するための水素化手段を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
担体中に放出可能に組み込まれた製品を使用者に分配し、そして使用済品を使用者から回収するための方法であって、
システムを準備すること、前記システムが、
可動式配送輸送手段、前記輸送手段は、未使用品を保管しそして接続された未使用品配送手段を用いて未使用品を配送し、かつ使用済品を使用済品配送手段から受入れそして保管するための第1の保管容器を含み、前記保存容器は未使用品を使用済品から分離するための手段を含む、
第1の使用者、前記第1の使用者が、未使用品を受入れ、保管しそして配送するための未使用品保管容器を含み、かつ使用済品を受入れ、保管しそして配送するための第1の使用済品保管容器をさらに含む、
未使用品を第1の使用者に配送するために第1の使用者の第1の保管容器と未使用品保管容器とを接続するための未使用品配送手段、
第1の保管容器内で保管する目的で未使用品を第1の使用者から配送するために第1の使用者の第1の保管容器と使用済品保管容器とを接続するための使用済品配送手段、および
使用済品を可動式配送輸送手段の保管容器から受入れそして使用済品を回復させて未使用品を形成するための回復設備、
を含む、
可動式配送輸送手段の第1の保管容器を第1の使用者の未使用品保管容器に未使用品配送手段を用いて接続すること、
未使用品配送手段を操作して未使用品を可動式配送輸送手段の第1の保管容器から第1の使用者の未使用品保管容器に配送すること、
配送輸送手段の第1の保管容器を第1の使用者の使用済品保管容器に使用済品配送手段を用いて接続すること、および
使用済品配送手段を操作して、可動式配送輸送手段の第1の保管容器で保管するために未使用品を第1の使用者の使用済品保管容器から配送すること、
を含む方法。
【請求項20】
未使用品配送手段を操作して未使用品を可動式配送輸送手段の第1の保管容器から第1の使用者の未使用品保管容器に配送すること、および使用済品配送手段を操作して可動式配送輸送手段の第1の保管容器での保管のために未使用品を第1の使用者の使用済品保管容器から配送することが、未使用品および使用済品の実質的に対等交換である交換をもたらすように制御される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第2の使用者を未使用品配送手段または使用済品配送手段のいずれかに接続することと、使用済品および未使用品を可動式配送輸送手段の第1の保管容器および第2の使用者の間で交換することとをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
担体中に放出可能に組み込まれた製品を使用者に分配し、そして使用済品を使用者から回収するためのシステムであって、
可動式配送輸送手段、前記輸送手段が未使用品配送手段から未使用品を受入れそして保管し、かつ使用済品配送手段から使用済品を受入れそして保管するための第1の保管容器を含み、保管容器は、未使用品を使用済品から分離するための手段を含む、
第1の使用者、前記第1の使用者が、未使用品を受入れ、保管しそして配送し、かつ使用済品を受入れ、保管しそして配送するための使用者保管容器を含み、前記使用者保管容器は未使用品を使用済品から分離するための手段を含む、
未使用品を第1の使用者に運搬するために第1の使用者の第1の保管容器と使用者保管容器とを接続するための未使用品運搬手段、および
使用済品を第1の使用者から運搬するために第1の使用者の第1の保管容器と使用者保管容器とを接続するための使用済品運搬手段、
を含むシステム。
【請求項23】
担体中に放出可能に組み込まれた製品を使用者に分配し、そして使用済品を使用者から回収するためのシステムであって、
可動式配送輸送手段、前記輸送手段が、未使用品配送手段から未使用品を受入れそして保管し、かつ使用済品配送手段から使用済品を受入れそして保管するための第1の保管容器を含み、前記保管容器が、未使用品を使用済品から分離するための手段を含む、
第1の使用者、前記第1の使用者が、未使用品を受入れ、保管しそして配送し、かつ使用済品を受入れ、保管しそして配送するための使用者保管容器を含み、前記使用者保管容器が、未使用品を使用済品から分離するための手段を含む、
未使用品を第1の使用者に運搬しそして使用済品を第1の使用者から運搬するために第1の保管容器と使用者保管容器とを接続するための運搬手段、
を含むシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−537718(P2008−537718A)
【公表日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505527(P2008−505527)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/012866
【国際公開番号】WO2006/110469
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA