説明

製品

【課題】一番表側の位置に無くても、例えば二番目、三番目、四番目と言った如きの奥側の位置において吊り下げられていても、目的の位置に吊り下げられている商品を取り出し(取り外し)易く、かつ、目的の位置に商品を吊り下げるにも大きな手間を煩わせることが無く、更には吊り下げられている商品が落ち難い吊下機構を提供することである。
【解決手段】本体部と、前記本体部から繋がって設けられた第1突出片部4と、前記本体部から繋がって設けられた第2突出片部5とを具備してなる製品であって、前記第1突出片部4と前記第2突出片部5と前記本体部とによって構成される孔6を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば容器に関する。特に、内部に商品を収納し、この商品が収納された容器を吊り下げて陳列する場合に用いられる容器に関する。
【背景技術】
【0002】
商品の販売に際しての陳列形態が商品を収納した容器を吊り下げた形態である場合は、現実に、しばしば、見受けられる。このような吊下・陳列を達成する手段として、図5に示される如くのフック方式の場合と、図6に示される如くの孔方式の場合とが有る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
さて、図5の如きのフック方式のものは、軸にフックを引っ掛けるに過ぎないことから、フックが軸から外れることが頻繁に起きる。
【0004】
ところで、フックが軸から外れた場合、商品(容器)を触っていた顧客自らが掛け直してくれる場合も有るが、そのままに放置の場合の方が多い。従って、商店経営者自らが外れて散乱している商品のフックを掛け直さなければならない。
【0005】
これに対して、図6の如きの孔方式の場合、軸の先端から抜き取らない限り、商品が軸から抜け落ちる心配は少ない。すなわち、図5の場合に起きる脱落事故が図6の場合には起き難い。
【0006】
ところが、図6の如きの孔方式の場合、逆に、取り出し難い問題が有る。例えば、一つの軸に色違いの商品、例えば赤色の商品がグループになって3個、青色の商品がグループになって3個、そして白色の商品がグループになって3個、順に、一つの軸に差し込まれて吊下・陳列されている場合、奥の位置に在る青色の商品を抜き取るには、目的とする位置までの商品、例えば白色の商品3個を、先ず、軸から抜き取り、そして青色の商品を1個だけ抜き取り、この後で最初に抜き取った白色の商品3個を刺し直すことになる。従って、この場合には、顧客側の商品取出作業性が非常に悪い。又、奥側に位置する商品を補給する場合も、その作業性が悪い。
【0007】
尚、各々のグループ毎のものを別の軸に通しておけば、上記問題は無いものの、吊下・陳列用の軸をそれだけ多く用意しておかねばならない。しかしながら、そのような余裕が無い場合も多く、どうしても、混在して吊下・陳列せざるを得ない場合も多い。
【0008】
従って、本発明が解決しようとする課題は、一番表側の位置に無くても、例えば二番目、三番目、四番目と言った如きの奥側の位置において吊り下げられていても、目的の位置に吊り下げられている商品を取り出し(取り外し)易く、かつ、目的の位置に商品を吊り下げるにも大きな手間を煩わせることが無く、更には吊り下げられている商品が落ち難い吊下機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題は、本体部と、前記本体部から繋がって設けられた第1突出片部と、前記本体部から繋がって設けられた第2突出片部とを具備してなる製品であって、
前記第1突出片部と前記第2突出片部と前記本体部とによって構成される孔を具備してなる
ことを特徴とする製品によって解決される。
【0010】
又、好ましくは、上記の製品であって、
本体部は第1体部と第2体部とを具備してなり、
第1突出片部は前記第1体部に繋がって設けられると共に、第2突出片部は前記第2体部に繋がって設けられてなり、
前記第1体部と前記第2体部とを合体させて本体部を構成した場合、前記第1突出片部と前記第2突出片部と前記本体部とによって構成される孔を具備してなる
ことを特徴とする製品によって解決される。
【0011】
又、好ましくは、上記の製品であって、
孔が左右方向に長手状の孔である
ことを特徴とする製品によって解決される。
【0012】
又、好ましくは、上記の製品であって、
第1突出片部と第2突出片部とは、互いの先端部同士が重なるよう構成されてなる
ことを特徴とする製品によって解決される。
【0013】
又、好ましくは、上記の製品であって、
製品が成形手段で成形されたプラスチック製容器であり、
前記プラスチック製容器における第1突出片部と第2突出片部と本体部とによって構成された孔に軸が配されて該プラスチック製容器が吊り下げられるよう構成されてなる
ことを特徴とする製品によって解決される。
【発明の効果】
【0014】
第1突出片部と第2突出片部と本体部とによって構成された孔は、フックの如きの開口が無い、即ち、孔内周縁が特にクローズな閉ざされた形態のものであるから、軸に前記孔が通されて吊り下げられている状態にあっては取り外れが起き難い。すなわち、商品を吊下・陳列している場合に、脱落・散乱事故が起き難い。
【0015】
しかしながら、第1突出片部と第2突出片部との間に捻れの力を作用させた場合、孔には開口(隙間)が形成されるから、挿通している軸からの取り外しが可能になる。従って、一番表側の位置に無くても、例えば二番目、三番目、四番目と言った如きの奥側(内側)の位置において吊り下げられていても、目的の位置に吊り下げられている商品を容易に取り出す(取り外す)ことが出来る。
【0016】
更には、目的の位置に商品を吊り下げるにも大きな手間を煩わせることが無い。例えば、表から三番目の位置(内側)に吊り下げる場合でも、それまでに吊り下げられている商品(表から一番目および二番目の吊り下げられている商品)を取り外すこと無く、即ち、そのままの状態で、二番目と三番目との間に吊り下げることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の製品は、特に、商品を収納した状態にて吊下・陳列の形態で販売される製品である。更には、商品を内部に収納した状態にて吊下・陳列の形態で販売される容器である。この製品(容器)は、例えば真空成形などの成形手段で成形された樹脂製のものである。本製品は、本体部(容器本体部と蓋体部)と、前記本体部から繋がって設けられた第1突出片部と、前記本体部から繋がって設けられた第2突出片部とを備えている。そして、第1突出片部と第2突出片部と本体部とによって構成される孔を具備する。言い換えれば、孔が構成されるように第1突出片部と第2突出片部とを本体部に対して設ける。例えば、本体部は第1体部(例えば、容器本体部)と第2体部(例えば、蓋体部)とを具備し、第1突出片部は第1体部(例えば、容器本体部)に繋がって設けられると共に、第2突出片部は第2体部(例えば、蓋体部)に繋がって設けられてなり、第1体部と第2体部とを合体させて本体部を構成した場合、第1突出片部と第2突出片部と本体部とによって構成される孔を具備する(孔が構成されるように第1突出片部と第2突出片部とを本体部に対して設ける)。特に好ましくは、第1突出片部と第2突出片部との先端部同士が重なるように第1突出片部や第2突出片部を構成している。孔は、好ましくは、左右方向(吊下方向(鉛直方向)に対して直交する方向:水平方向)に長手状の孔である。そして、この孔に軸を通すことによって、製品(容器)が吊り下げられる。
【0018】
以下、更に、詳しく説明する。
図1〜図4は本発明の一実施形態を説明する為のものであって、図1は本発明になる製品(容器)の展開状態での正面図、図2は本発明になる製品(容器)の正面図、図3は本発明になる製品(容器)の側面図、図4は取外状態(吊下状態からの抜取状態)での説明図である。
【0019】
各図中、Aは、例えばポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を用いて真空成形によって成形された容器である。この容器は、その外形が図1から判る通り、容器外形(周縁)に沿って打ち抜かれた場合、例えば孔を打ち抜いた場合の如きの破片が生じない。例えば、図6の如きの孔が形成されるものでは無いから、打ち抜かれた破片の捕集に注意する必要が無い。例えば、打ち抜きによって構成された孔を有する容器を製造後、同じ真空成形機を用いて食品収納用の容器を成形しようとした場合、前記打ち抜かれた箇所の破片が混入しないようにとの注意が必要である。これは、現実には、結構、大変なことである。しかしながら、図6の如きの打抜き孔が図1の容器には無いから、図1タイプの容器を製造後に、食品収納用の容器を成形しようとした場合、問題が少なく、その製造が非常に容易になる。
【0020】
本発明の製品、即ち、容器Aは、容器Aからの突出片がペラペラなものでは無く、それなりに、機械的強度を持ち、ハードなものであるよう構成されている。これは、厚さ(肉厚)、樹脂素材、或いはリブ構造などの構造面を考慮することで達成される。
【0021】
1は、販売しようとする商品が収納される空間を持つ容器本体部である。2は、容器本体部1に対する蓋体部である。そして、容器本体部1に商品を収納後、蓋体部2が閉蓋され、図2,3に示されるものが得られる。尚、容器本体部1と蓋体部2とは、境界部に設けられたヒンジ部3を介して繋がっている。尚、このような構造は、従来からも周知であるから、詳細な説明は省略される。
【0022】
4は、容器本体部1の上端左側(図1中、上端左側)から略楕円弧状(略半島状)に延在した第1突出片部である。5は、蓋体部2の上端左側(図1中、上端左側)から略楕円弧状(略半島状)に延在した第2突出片部である。そして、図2に示される如く、蓋体部2を容器本体部1に対して閉蓋した場合、第2突出片部5の先端部が第1突出片部4の先端部に重なるように第1突出片部4と第2突出片部5とは構成されている。特に、蓋体部2を容器本体部1に対して閉蓋した場合、容器本体部1(蓋体部2)と第1突出片部4と第2突出片部5とで完全に囲まれる孔6が構成されるように第1突出片部4と第2突出片部5とは構成されている。更には、孔6が、図2中、左右方向に長手、例えば略楕円状の孔の如きのものとなるよう第1突出片部4と第2突出片部5とは構成されている。尚、第1突出片部4の基部側(容器本体部1に近い側)や第2突出片部5の基部側(蓋体部2に近い側)は、図1,2からも判る通り、先端側よりも幅広なものである。これは、第1突出片部4や第2突出片部5の機械的強度を高める為である。又、蓋体部2を容器本体部1に対して閉蓋した場合、孔6に開口が出来難いものとなるよう、第1突出片部4と第2突出片部5とが互いに圧接するものとなるよう構成させている。すなわち、蓋体部2を容器本体部1に対して閉蓋した場合、第1突出片部4は蓋体部2の面側に傾くよう、又、第2突出片部5は容器本体部1の面側に傾くように構成させており、第1突出片部4や第2突出片部5が持つ弾撥性機能によって、第1突出片部4と第2突出片部5とが互いに圧接するものとなるよう構成させている。又、第1突出片部4や第2突出片部5は、恰も、勾玉の断面形状の如きの略楕円弧(円弧)形状のものとしているが、これは、軸から取り外す場合や軸に配する場合の作業をスムーズなものとする為である。
【0023】
上記のように構成させた本発明になる製品(容器)は、例えば吊下・陳列状態では、図2に示される如く、孔6に軸10が通された状態である。そして、図2からも判る通り、孔6にはフックの場合の如きの開口が無く、孔6の周縁は完全に閉ざされたクローズなものであるから、軸10に掛止させて吊り下げている商品が脱落する事故は非常に少ない。理論的には、図6の場合と同様、脱落事故は非常に少ない。
【0024】
さて、図6の場合には、奥側の位置に吊り下げられているものを取り出すのが非常に厄介であった。又、奥側の位置に吊り下げるのも非常に厄介であった。これが、図6タイプの場合の最大の欠点である。
【0025】
しかしながら、本発明の吊下機構を備えていると、図4に示される如く、軸10に対して第1突出片部4を捻るように傾けて遣れば、第1突出片部4と第2突出片部5との間に隙間7が出来る。従って、この隙間7を用いれば、吊り下げている商品を軸10から取り外すことが出来る。逆に、吊り下げようとする場合には、第1突出片部4と第2突出片部5との間に隙間7が出来るように、即ち、第2突出片部5を傾けて割り込ませるようにすれば、軸10に吊り下げることが出来る。従って、図6の如きの孔方式の最大の欠点が解決される。
【0026】
尚、上記実施形態において、孔6を左右方向において長手のものとしたのは、上記傾量を大きくしなければ、隙間7が出来難いものとする為である。孔6の左右方向の寸法が非常に短いと、一寸傾けるのみで、軸10によって隙間7が出来る。そうすると、吊下・陳列状態における商品の選定に際して、現実には、商品が前後方向に対して傾けられる場合が多い。このような時に、孔6が円形であるとすると、一寸したことで商品が脱落し易い。そこで、左右方向において長手の孔としておくことによって、傾角度を大きくしなければ、隙間7が出来難いから、吊り下げられている商品の脱落が起き難いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明になる製品(容器)の展開状態での正面図
【図2】本発明になる製品(容器)の正面図
【図3】本発明になる製品(容器)の側面図
【図4】本発明になる製品(容器)の取外状態での説明図
【図5】従来の吊下機構を示す説明図
【図6】従来の吊下機構を示す説明図
【符号の説明】
【0028】
A 容器(製品)
1 容器本体部
2 蓋体部
4 第1突出片部
5 第2突出片部
6 孔
7 隙間
10 軸

代 理 人 宇 高 克 己


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、前記本体部から繋がって設けられた第1突出片部と、前記本体部から繋がって設けられた第2突出片部とを具備してなる製品であって、
前記第1突出片部と前記第2突出片部と前記本体部とによって構成される孔を具備してなる
ことを特徴とする製品。
【請求項2】
本体部は第1体部と第2体部とを具備してなり、
第1突出片部は前記第1体部に繋がって設けられると共に、第2突出片部は前記第2体部に繋がって設けられてなり、
前記第1体部と前記第2体部とを合体させて本体部を構成した場合、前記第1突出片部と前記第2突出片部と前記本体部とによって構成される孔を具備してなる
ことを特徴とする請求項1の製品。
【請求項3】
孔が左右方向に長手状の孔である
ことを特徴とする請求項1又は請求項2の製品。
【請求項4】
第1突出片部と第2突出片部とは、互いの先端部同士が重なるよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの製品。
【請求項5】
製品が成形手段で成形されたプラスチック製容器であり、
前記プラスチック製容器における第1突出片部と第2突出片部と本体部とによって構成された孔に軸が配されて該プラスチック製容器が吊り下げられるよう構成されてなる
ことを特徴とする請求項1〜請求項4いずれかの製品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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