説明

製紙用添加剤の製造方法

【構成】 (A)N,N−ジメチルアクリルアミド及びN,N−ジメチルメタクリルアミドの中から選ばれた少なくとも1種の単量体0.01〜15モル%、(B)第三級アミノ基を有するビニル単量体及びその塩の中から選ばれた少なくとも1種のカチオン性ビニル単量体の0.1〜15モル%、(C)α,β−不飽和モノカルボン酸、α,β−不飽和ジカルボン酸及びそれらの塩の中から選ばれた少なくとも1種のアニオン性ビニル単量体0.1〜15モル%及び(D)アクリルアミド及びメタクリルアミドの中から選ばれた少なくとも1種の単量体99.79〜55モル%から成る単量体混合物を、水性媒質中、ラジカル重合開始剤の存在下で重合させて、重量平均分子量500,000〜1,500,000のプレポリマーを形成させ、次いで過硫酸塩を追添してさらに重量平均分子量が少なくとも1.1倍になるまで重合を行わせることにより製紙用添加剤を製造する。
【効果】 従来のものに比べ、分子量が高いにもかかわらず低粘度で、しかも広いpH範囲にわたって優れた紙力増強効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた紙力増強効果を有し、しかも抄紙する際に用いる水の品質やパルプスラリーのpH変動によりその効果が左右されない、新規な製紙用添加剤の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、製紙の際に得られる紙の強度を向上させるために紙力増強剤を添加することが行われている。
【0003】しかしながら、この紙力増強剤の多くは、使用時の条件、例えば共存する物質の種類や量、pHなどによりその効果が変動し、均一な品質のものを得るための条件の管理がむずかしいという欠点を有している。特に最近の製紙工業においては、省資源、環境汚染防止の上から、白水を循環再利用することが行われているが、この場合には、用水の品質が次第に悪化していくのを免れず、これに適合しうる紙力増強剤が求められている。
【0004】このような要求にこたえるものとして、これまで、α,β‐不飽和モノカルボン酸又はその塩と、ジメチルアミノアルキルアクリレートとα,β‐不飽和モノカルボン酸アミドとノニオン性モノマーとから得られる水溶性共重合体を有効成分とする紙力増強剤(特開昭54−30913号公報)、水溶性カチオンモノマー又はその塩と、α,β‐不飽和ジカルボン酸又はその塩と、アクリルアミド又はメタクリルアミドとから得られる水溶性共重合体を有効成分とする紙力増強剤(特開昭60−94697号公報)、アクリルアミド又はメタクリルアミドと、ジメチルアミノアルキルアクリレート又はその酸付加塩と、α,β‐不飽和モノ若しくはジカルボン酸又はそれらの塩と二官能性ビニルモノマーとから得られる水溶性共重合体を有効成分とする紙力増強剤(特開昭63−50597号公報)などが提案されている。
【0005】しかしながら、これらの紙力増強剤は、水質の悪化、古紙の再利用による原料パルプの品質低下などに対しては、ある程度対応できるが、さらに、紙力を増強するために高分子量化すると著しく粘度が上昇して作業性が低下するし、また二官能性以上の多官能性モノマーを含むものは三次元網目構造を形成しやすく、十分な水性分散体を得ることができないので、所望の効果が得られなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、過度の粘度上昇を伴わずに容易に高分子量化することができ、また三次元網目構造の形成を極力少なくし、より分岐構造に富んだ水溶性アクリルアミド系共重合体を有効成分とする新規な紙力増強のための製紙用添加剤を提供することを目的としてなされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、用水の水質やパルプスラリーのpH変動に対して、その効果が影響されない紙力増強作用をもつ製紙用添加剤を開発するために、鋭意研究を重ねた結果、N,N‐ジメチルアクリルアミド又はN,N‐ジメチルメタクリルアミドを必須成分として含む単量体混合物を、特定条件下で二段階重合して得られる、水溶性アクリルアミド系共重合体を有効成分として用いることにより、その目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
【0008】すなわち、本発明は、(A)N,N‐ジメチルアクリルアミド及びN,N‐ジメチルメタクリルアミドの中から選ばれた少なくとも1種の単量体0.01〜15モル%、(B)第三級アミノ基を有するビニル単量体及びその塩の中から選ばれた少なくとも1種のカオチン性ビニル単量体0.1〜15モル%、(C)α,β‐不飽和モノカルボン酸、α,β‐不飽和ジカルボン酸及びそれらの塩の中から選ばれたアニオン性ビニル単量体0.1〜15モル%及び(D)アクリルアミド及びメタクリルアミドの中から選ばれた少なくとも1種の水溶性単量体99.79〜55モル%から成る単量体混合物を、水性媒質中、ラジカル重合開始剤の存在下で、重合させて、重量平均分子量500,000〜1,500,000のプレポリマーを形成させ、次いで過硫酸塩を追添してさらに重量平均分子量が少なくとも1.1倍になるまで重合を行わせることを特徴とする製紙用添加剤の製造方法を提供するものである。
【0009】本発明方法においては、原料として、(A)N,N‐ジメチルアクリルアミド及びN,N‐ジメチルメタクリルアミドの中から選ばれた少なくとも1種の単量体0.01〜15モル%と、(B)第三級アミノ基を有するビニル単量体及びその塩の中から選ばれた少なくとも1種のカチオン性ビニル単量体0.1〜15モル%と、(C)α,β‐不飽和モノカルボン酸、α,β‐不飽和ジカルボン酸及びそれらの塩の中から選ばれたアニオン性単量体0.1〜15モル%及び(D)アクリルアミド及びメタクリルアミドの中から選ばれた少なくとも1種の水溶性単量体99.79〜55モル%から成る単量体混合物を用いることが必要である。
【0010】この中の(A)成分すなわちN,N‐ジメチルアクリルアミドやN,N‐ジメチルメタクリルアミドは、紙力増強用添加剤の有効成分となる水溶性共重合体の必須の特定構成単量体単位としてはこれまで用いられたことがなく、本発明においてはじめて用いられたものであり、この点において、本発明方法により得られる製紙用添加剤は新規なものということができる。
【0011】この(A)成分としては、N,N‐ジメチルアクリルアミド又はN,N‐ジメチルメタクリルアミドをそれぞれ単独で用いてもよいし、また両者を混合して用いてもよいが経済性の点で、N,N‐ジメチルアクリルアミドを単独で用いるのが好ましい。
【0012】次に(B)成分として用いる第三級アミノ基を有するビニル単量体としては、例えば一般式
【化1】


(式中のRは水素原子又はメチル基、R及びRは低級アルキル基、nは1〜3の整数である)で表わされるジアルキルアミノアルキルアクリレート又はジアルキルアミノアルキルメタクリレート、一般式
【化2】


(式中のR、R、R及びnは前記と同じ意味をもつ)で表わされるN‐(ジアルキルアミノアルキル)‐アクリルアミド又はN‐(ジアルキルアミノアルキル)‐メタクリルアミドなどがある。このような化合物を具体的に示せば、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート及び対応するメタクリレートやN‐(ジメチルエチル)‐アクリルアミド、N‐(ジメチルプロピル)‐アクリルアミド、N‐(ジエチルアミノプロピル)‐アクリルアミド及び対応するメタクリルアミドなどである。
【0013】また、(B)成分としては、上記のビニル単量体の塩を用いることもできるが、この塩は、塩酸、硫酸のような無機酸との塩でもよいし、ギ酸、酢酸のような有機酸との塩でもよい。さらにメチルクロリド、メチルブロミドのようなアルキルハライド、ベンジルクロリド、ベンジルブロミドのようなアラルキルハライド、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリンなどで第三級アミノ基を四級化した第四級塩でもよい。
【0014】このような塩の具体例としては、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムサルフェート、アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド及び対応するメタクリロイル化合物を挙げることができる。これらの化合物及びその塩は、単独で用いてもよいしまた2種以上混合して用いてもよいし、これらの化合物又はその塩に四級化剤を反応させて得られる第四級アンモニウム塩類を混合して用いることもできる。
【0015】次に、(C)成分のα,β‐不飽和モノカルボン酸の例としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などを、またα,β‐不飽和ジカルボン酸の例としては、マレイン酸、フタル酸、イタコン酸、シトラコン酸を挙げることができる。これらは、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩として用いることもできる。また、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0016】本発明方法における(D)成分としては、アクリルアミド又はメタクリルアミドが用いられるが、これらは単独で用いてもよいし、両者を混合して用いてもよい。
【0017】これらの単量体成分は、(A)成分0.05〜15モル%、好ましくは0.1〜10モル%、(B)成分0.1〜15モル%、好ましくは1〜10モル%、(C)成分0.1〜15モル%、好ましくは1〜10モル%、残りが(D)成分になる割合で配合する。(A)成分の割合が0.05モル%よりも少ないと、本発明の目的とする高分子量、かつ低粘度の共重合体を得る効果が不十分になるし、またこの割合を15モル%よりも多くしても紙力増強効果が変化しないか、あるいはむしろ低下するので経済上不利である。他方、(B)成分及び(C)成分の割合がそれぞれ0.1モル%よりも少ないと、用水の水質やpHの変動により添加剤の作用の影響を受けやすく、十分な紙力増強効果が得られないし、またこれらの成分の割合を15モル%よりも多くしても、紙力増強効果が変化しないか、むしろ低下するので経済的でない。
【0018】本発明方法において用いる単量体混合物には、必須成分(A)〜(D)のほかに、本発明の目的をそこなわない範囲で、他の単量体成分例えばジアセトンアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルメタクリレート、酢酸ビニル、スチレンなどを含有させることもできる。
【0019】本発明方法においては、上記の単量体混合物を少なくとも2段階で重合させることが必要である。
【0020】第1段階の重合は、水性媒質例えば水溶液中、ラジカル重合開始剤の存在下で行われる。この際の単量体濃度は5〜30重量%、好ましくは10〜25重量%である。ラジカル重合開始剤としては、水溶性のものであれば特に制限はなく、例えば過酸化水素、過酸化ベンゾイル、t‐ブチルパーオキシドのような過酸化物触媒、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩触媒、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウムのような臭素酸塩触媒、過ホウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸カリウムのような過ホウ素酸塩触媒、これらと還元剤例えば亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、銅、鉄、コバルトのような遷移金属の低い電子価の塩、N,N,N′,N′‐テトラメチルエチレンジアミンのような有機アミン、アルドース、ケトースなどと組み合わせたレドックス系触媒、2,2′‐アゾビス‐4‐アミジノプロバン塩酸塩、2,2′‐アゾビスイソブロチロニトリル、2,2′‐アゾビス‐2,4‐ジメチルバレロニトリル、4,4′‐アゾビス‐4‐シアノバレイン酸又はその塩のようなアゾ系触媒などを用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、また2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの重合開始剤の使用量は、単量体の重量に基づき0.01〜10重量%、好ましくは0.02〜8重量%の範囲内で選ばれる。
【0021】この第1段階の重合は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(以下GPC法と略す)により、0.5N‐NaNO水溶液中のポリエチレンオキシド換算値から算出した重量平均分子量で500,000〜1,500,000のプレポリマーが形成されるまで行うことが必要である。この第1段の重合により、先ず比較的分岐鎖の少ない重合体が形成される。
【0022】本発明方法の第2段階以降の重合は、ラジカル重合開始剤として過硫酸塩例えば過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの存在下、40℃以上、好ましくは70〜90℃の温度で行われる。この重合は、通常過硫酸塩を追添して行われるが、第1段階の重合生成物中に十分な量の過硫酸塩が残存している場合には、特に追添する必要はないし、また適当な還元剤との組み合せによるレドックス系を適用することもできる。
【0023】この過硫酸塩の添加量は、最初に仕込んだ単量体の合計重量に基づき、0.01〜8重量%、好ましくは0.05〜5重量%の範囲内で選ばれる。
【0024】この第2段階以降において、必要に応じ単量体混合物を追添することもできる。この単量体混合物の組成は、第1段階で用いたものと同一であっても異なっていてもよい。
【0025】過硫酸塩の存在下で、60℃以上に加熱すると、単量体混合物中のN,N‐ジメチルアクリルアミド又はN,N‐ジメチルメタクリルアミドと過硫酸イオンとが一時的に結合して分岐を生じやすい活性点を形成する。そして、この活性点から分岐鎖が成長し、分岐構造を有し、高分子量であるにもかかわらず粘度の比較的低い重合体が形成される。
【0026】第2段階以降の重合は、第1段階で得られたプレポリマーの重量平均分子量が少なくとも1.1倍に増加するまで継続させることが必要である。
【0027】本発明方法においては、プレポリマーに対し、過硫酸塩の存在下での重合を少なくとも1回行うことが必要であるが、所望ならば、さらに過硫酸塩又は単量体混合物あるいはその両方を追添して同じ重合を繰り返すこともできる。
【0028】このようにして、本発明方法により得られる共重合体は、同じ単量体を1段階で重合させて得られるものに比べ、高分子化が実現されているにもかかわらず低粘度を示すという特徴を有する。
【0029】本発明方法に得られた反応混合物は、そのままあるいは希釈して製紙用添加剤として抄紙原料に添加されるが、上記のように有効成分として作用する共重合体が分岐構造を有するため、パルプ繊維との接点が多く、安定した紙力増強効果を与える。
【0030】
【実施例】次に実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。なお、各例中特に示されていない限り、%は重量に基づくものである。
【0031】実施例1かきまぜ機、還流冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた、1リットル容量のセパラブルフラスコに、50%アクリルアミド水溶液250g(91.0モル%)、ジメチルアミノエチルメタクリレート15.22g(5.0モル%)、イタコン酸7.56g(3.0モル%)及びジメチルアクリルアミド1.93g(1.0モル%)の混合物を仕込み、イオン交換水を加えて全量を900gとしたのち、10%硫酸水溶液によりpH4.5に調整した。次いで窒素ガスを通しながら、水浴上で内温55℃まで加熱し、かきまぜながら、重合開始剤として10%過硫酸アンモニウム水溶液10g及び10%亜硫酸水素ナトリウム5gを添加し、重合を開始させた。85℃で3時間重合を行わせたのち、イオン交換水を注入し、重合を停止させることにより、不揮発分16.0%、25℃におけるブルックフィールド粘度1500センチポアスの水溶性プレポリマー(重量平均分子量50万)を得た。
【0032】次に、この水溶性プレポリマーにかきまぜながら、10%過硫酸アンモニウム水溶液15gを加え、80℃で3時間重合させたのち、イオン交換水を加えて反応を終結させ、不揮発分15.0%、25℃におけるブルックフィールド粘度6000センチポアス、重量平均分子量240万の水溶性共重合体を含む製紙用添加剤を得た。
【0033】実施例2〜5(A)成分としてN,N‐ジメチルアクリルアミド(DMAAと略す)を、(B)成分としてジメチルアミノエチルメタクリレート(DMと略す)又はメタクロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロリド(DMCLと略す)を、(C)成分としてイタコン酸(IAと略す)又はアクリル酸(AAと略す)を、(D)成分としてアクリルアミド(AMと略す)をそれぞれ表1に示された量で用い、実施例1と同様に操作して水溶性共重合体を得た。このものの性状を表1に示す。
【0034】比較例1実施例1と同じ組成の単量体混合物を用い、第2段階で過硫酸アンモニウムの代りに10%2,2′‐アゾビス‐アミジノプロパン塩酸塩水溶液15gを添加をすること以外は、実施例1と同様に操作して水溶性共重合体を得た。このものの性状を表1に示す。
【0035】比較例2実施例1と同じ組成の単量体混合物を用い、重合開始剤として10%過硫酸アンモニウム水溶液5g及び10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液2.5gを添加し、85℃で3時間、次いで80℃で粘度が実施例1の最終生成物とほぼ同じ共重合体が得られるまで連続的に重合させた。得られた水溶性共重合体の性状を表1に示す。
【0036】比較例3N,N‐ジメチルアクリルアミドを含まない単量体混合物を用い、実施例1と同様の操作を繰り返して2段階で重合させることにより水溶性共重合体を得た。このものの性状を表1に示す。
【0037】
【表1】


【0038】参考例1段ボール古紙をナイアガラ式ビータで叩解し、カナディアン・スタンダード・フリーネス(C.F.S)400mlに調整した濃度1.0%のパルプスラリーを調製、市販のロジンエマルジョンサイズ剤を乾燥重量基準でパルプに対し0.15%の割合で添加し、2分間かきまぜる。次いで硫酸アルミニウム1%を添加してpH5.2としたのち、各実施例又は各比較例で得られた水溶性共重合体を乾燥重量基準で0.6%の割合で添加し、かきまぜた。このようにして得たパルプスラリーを濃度0.5%になるように希釈し、タッピースタンダードシートマシンで抄紙した。得られた湿紙を5kg/cmで2分間プレスし、次いで回転ドライヤーにより105℃で3分間乾燥し、米坪125g±2g/mの手抄き紙を製造した。この手抄き紙を20℃、65%RHに24時間保持したのち、JIS‐P‐8112に準じて比破裂強度を、JIS‐P‐8126に準じて比圧縮強度を、また熊谷理機工業インターナルボンドテスターを用いて内部強度を測定した。この結果を表2に示す。
【0039】
【表2】


【0040】参考例2参考例1における硫酸アルミニウムの添加量を変えてpHを6.3又は4.5とし、他は参考例1と同様にして、実施例1及び比較例3の水溶性共重合体について、そのpH変動による各物性への影響を調べた。その結果を表3に示す。
【0041】
【表3】


【0042】
【発明の効果】以上の結果から明らかなように、本発明方法で製造した製紙用添加剤は、従来のものに比べ、分子量が高いにもかかわらず低粘度であり、しかも広いpH範囲にわたって優れた紙力増強効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)N,N‐ジメチルアクリルアミド及びN,N‐ジメチルメタクリルアミドの中から選ばれた少なくとも1種の単量体0.01〜15モル%、(B)第三級アミノ基を有するビニル単量体及びその塩の中から選ばれた少なくとも1種のカチオン性ビニル単量体の0.1〜15モル%、(C)α,β‐不飽和モノカルボン酸、α,β‐不飽和ジカルボン酸及びそれらの塩の中から選ばれたアニオン性ビニル単量体0.1〜15モル%及び(D)アクリルアミド及びメタクリルアミドの中から選ばれた少なくとも1種の水溶性単量体99.79〜55モル%から成る単量体混合物を、水性媒質中、ラジカル重合開始剤の存在下で、重合させて、重量平均分子量500,000〜1,500,000のプレポリマーを形成させ、次いで過硫酸塩を追添してさらに重量平均分子量が少なくとも1.1倍になるまで重合を行わせることを特徴とする製紙用添加剤の製造方法。
【請求項2】 追添する過硫酸塩が、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム又は過硫酸アンモニウムである請求項1記載の製造方法。
【請求項3】 過硫酸塩を追添した後の重合温度を40℃以上にする請求項1又は請求項2記載の製造方法。