説明

複合型印刷装置

【課題】ユーザーの使い勝手に優れ、単票紙と連続紙が装置内で詰まる虞が少ない、小型でコンパクトな構成の複合型印刷装置を提供すること。
【解決手段】複合型印刷装置1は小切手処理部2と連続紙処理部3を備えている。小切手処理部2は装置前方に開くU字形状の小切手搬送路P1を備え、処理対象の単票紙、処理済の単票紙を装置前側から取り扱うことができる。小切手搬送路P1の内側に、装置後側から前方に向けて、ロール紙収納部11のロール紙Rから繰り出された連続紙S2を搬送する連続紙搬送路P2が形成されており、装置前方からロール紙交換、処理済の連続紙を取り出すことができる。双方の搬送路P1、P2は独立した搬送路であり、それぞれの印刷位置も離れているので、搬送される単票紙と連続紙が相互に干渉することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小切手等の単票紙に対する印刷とロール紙から繰り出される連続紙に対する印刷とを独立して行うことのできる複合型印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入金処理、出金処理を含む銀行業務においては、小切手を利用した決済方法が利用されている。小切手による決済方法では、銀行窓口で小切手に記載されている日時、署名などを確認し、必要な入金処理、出金処理等を行い、その後に処理済の小切手に裏書きを行い、当該小切手処理に関するレシートを顧客に発行する。また、小切手処理に当っては、本人確認のために、運転免許証やIDカードの提示を求め、必要に応じて、複写機でこれらのコピーを取って保管している。銀行窓口においては、このような処理を短時間で大量に行うことが必要である。
【0003】
近年、これらの処理を電子的に行うことが試みられている。小切手の磁気情報、光学情報をMICR(Magnetic-Ink Character Reader)、光学スキャナーで読み取り、小切手の裏書きを印刷装置で行うことが試みられている。
【0004】
特許文献1には、小切手処理を一括して狭い銀行窓口などにおいて行うことができるように、MICR、光学スキャナーおよび印刷ヘッドを備えたコンパクトな複合型印刷装置が提案されている。この複合型印刷装置では、小切手などの単票紙を搬送する搬送路と、レシート用の連続紙を搬送する搬送路とを直交して配置し、両者の搬送路が交わる部分に、小切手及びレシートを印刷する単一の印刷ヘッドが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−243764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の複合型印刷装置では、小切手などの単票紙とレシート作成用の連続紙のそれぞれを専用の印刷ヘッドを用いて印刷する場合に比べて、装置の小型コンパクト化には有利である。しかし、単一のヘッドを用いて同一箇所において単票紙および連続紙に印刷を行うので、単票紙および連続紙のそれぞれに対する印刷を同時に並行して行うことができない。また、印刷位置において単票紙と連続紙の搬送路が交差しているので、双方の搬送動作においては相互に干渉しないように搬送タイミングを制御する必要がある。
【0007】
このため、単票紙の搬送、印刷と、連続紙の搬送、印刷とをシーケンシャルに行わざるを得ず、これ以外の形態で単票紙と連続紙を処理することができないので、銀行員などのユーザーの使い勝手や処理速度を向上させることに限界がある。また、二つの搬送路が交差している部分に単票紙、連続紙が詰まり易く、接近した搬送路を通過する単票紙と連続紙が相互に干渉しやすいという解決すべき課題もある。
【0008】
一方、単票紙および連続紙に印刷などの処理を行う複合型印刷装置においては、単票紙の装填、排出操作、連続紙の装填、排出操作が必要であり、印刷ヘッドがインクジェトヘッドの場合にはインクタンクの交換作業あるいはインク充填作業などが必要である。このため、このような多様な操作、作業をユーザーが使い勝手良く行うことができるようにすることが望まれている。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、小切手および連続紙を多様な形態で処理でき、搬送路上における単票紙、連続紙の相互干渉あるいは紙詰まりを防止でき、しかも、ユーザーにとって使い勝手のよい複合型印刷装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の複合型印刷装置は、
単票紙を処理する単票紙処理部と、連続紙を処理する連続紙処理部と、前記単票紙処理部および前記連続紙処理部が組み込まれている装置筐体とを有し、
前記単票紙処理部は、処理対象の単票紙を装填する入口ポケットと、処理後の単票紙が排出される出口ポケットと、前記単票紙に印刷を行う単票紙印刷部と、前記単票紙の磁気情報を読み取る磁気読取部と、前記単票紙の画像を読み取る光学式読取部と、前記入口ポケットから繰り出される単票紙を、前記単票紙印刷部の印刷位置、前記磁気読取部の読取位置および前記光学式読取部の読取位置をこの順序あるいは異なる順序で経由させて前記出口ポケットに導く単票紙搬送路とを備え、
前記連続紙処理部は、ロール紙収納部と、このロール紙収納部に収納したロール紙から繰り出される処理対象の連続紙に印刷を行う連続紙印刷部と、処理後の連続紙を排出する連続紙排出口と、前記連続紙印刷部の印刷位置を経由して前記ロール紙から繰り出される連続紙を前記連続紙排出口に導く連続紙搬送路とを備え、
記装置筐体を正立状態で平面上に置いた場合における当該平面に平行な一つの方向を装置前後方向とし、前記平面に平行で前記装置前後方向に直交する方向を装置幅方向とし、前記平面に直交する方向を装置上下方向とすると、
前記ロール紙収納部は前記ロール紙を前記装置幅方向に当該ロール紙の中心軸線が向く状態で収納するものであり、
前記単票紙搬送路は、前記連続紙処理部を、前記装置幅方向の両側および前記装置前後方向の後側から取り囲む状態に形成した搬送路であり、
前記連続紙搬送路は、その搬送路幅方向が前記装置幅方向を向く状態で、前記ロール紙収納部から前記装置前後方向の前方に延びていると共に、前記単票紙搬送路との間で共通搬送路部分を備えていない独立した搬送路であることを特徴としている。
【0011】
本発明の複合型印刷装置では、単票紙搬送路と連続紙搬送路が、共通する搬送路部分のない相互に独立した搬送路であり、それぞれの搬送路に、単票紙印刷部および連続紙印刷部が備わっている。したがって、これらに沿って搬送される単票紙および連続紙に対する搬送、印刷を同時に独立して行うことができる。また、双方の搬送路が独立しているので、これらの交差部分において紙詰まりが発生するという弊害は起きない。さらに、各搬送路における印刷位置を十分に離れた位置となるようにすることで、搬送される単票紙と連続紙が相互に干渉して紙詰まり状態になるといった弊害も回避できる。
【0012】
また、連続紙処理部は単票紙搬送路によって装置幅方向の両側および装置前後方向の後側が取り囲まれており、装置前後方向の前方には単票紙搬送路が位置していないので、装置前後方向の後方から前方に延びる連続紙搬送路を形成し、当該連続紙搬送路に沿って各構成部品を配置すれば、単票紙搬送路によって取り囲まれているスペースを有効利用できる。換言すると、2つの独立した搬送路を備えた複合型印刷装置を小型でコンパクトに構成できる。
【0013】
次に、本発明の複合型印刷装置では、前記入口ポケットおよび前記出口ポケットは装置上下方向の上方に開口しており、前記単票紙搬送路は、装置上下方向の上方に開口している所定深さの搬送溝によって規定されており、前記連続紙排出口は装置上下方向の上方に開口しており、前記ロール紙収納部は前記装置筐体における装置上下方向の上側に位置する装置上面に取り付けたロール紙収納部カバーを開くと上方に開口することを特徴としている。
【0014】
単票紙の入口ポケット、出口ポケット、ロール紙収納部、連続紙排出口が、共に、装置上面に開口しているので、複合型印刷装置の向きを変えることなく、また、ユーザーが複合型印刷装置の側方あるいは後方に移動し、あるいは手を回すことなく、同一の側、すなわち、装置手前側の上方から、単票紙の装填・排出作業、ロール紙交換作業、連続紙取り出し作業を行うことができる。よって、ユーザーの使い勝手の良い形態で単票紙および連続紙に対する処理を行うことができる。また、連続紙搬送路は単票紙搬送路が形成されていない装置前側に延び、その先に連続紙排出口が形成されているので、連続紙排出口を単票紙搬送路から離した位置に配置することができるので、上方に開口している単票紙搬送路を搬送される単票紙に、連続紙排出口から排出される連続紙が干渉して、紙詰まりが発生してしまうことも防止できる。
【0015】
ここで、本発明の複合型印刷装置においては、前記単票紙印刷部および前記連続紙印刷部のうちの少なくとも一方にインクジェットヘッドを用いることができる。この場合には、前記連続紙搬送路の装置前側に前記インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留したインクタンクが装着されたインクタンク装着部を配置し、前記インクタンク装着部を、前記装置上面に取り付けたインクタンク装着部カバーを開くと装置上方に開口するようにしておくことが望ましい。このようにすれば、装置上側からインクタンクの装着作業あるいはインク充填作業を行うことができるので、これらの作業を簡単に行うことができる。
【0016】
この場合、前記ロール紙収納部カバーを、その装置前後方向の後側の部位を回動中心として装置上下方向の上方に開けることのできる開閉カバーとし、前記インクタンク装着部カバーを、その装置前後方向の前側の部位を回動中心として装置上下方向の上方に開けることのできる開閉カバーとし、前記ロール紙収納部カバーの装置前側の縁部分と前記インクタンク装着部カバーの装置後側の縁部分との間に前記連続紙排出口を形成しておくことができる。
【0017】
また、本発明の複合型印刷装置において、前記連続紙搬送路に、前記連続紙排出口と前記連続紙印刷部の間の位置において、連続紙をその幅方向に切断するためのオートカッターを配置しておけば、排出される連続紙を切断して一定長さのレシートなどとして発行することが可能になる。この場合には、前記インクタンク装着部カバーを開けると、前記オートカッターの駆動ユニットを露出状態にできれば、オートカッターのメンテナンスなどを簡単に行うことができるので望ましい。また、インクタンク装着部カバーをオートカッターのカバーに兼用することで、別個のカバーを設ける必要がないので、装置の小型化、低コスト化に有利である。
【0018】
次に、本発明の複合型印刷装置では、前記単票紙搬送路は、前記ロール紙収納部の装置幅方向の一方の側の部位において前記入口ポケットから装置前後方向の後方に延びている上流側搬送路部分と、前記ロール紙収納部の装置幅方向の他方の側の部位において前記出口ポケットから装置前後方向の後方に延びている下流側搬送路部分と、前記ロール紙収納部の装置前後方向の後側の部位において前記上流側搬送路部分の下流端から前記下流側搬送路部分の上流端まで装置幅方向に延びている後側搬送路部分とを備えている。
【0019】
この場合には、前記ロール紙収納部カバーの後側に位置する単票紙搬送路の後側搬送路部分が形成されている装置上面部分の高さを、全開状態の前記ロール紙収納部カバーに干渉しない高さに設定することが望ましい。また、全開状態の前記ロール紙収納部カバーの位置を、前記後側搬送路部分を通る単票紙に干渉しないように設定しておくことが望ましい。このようにすれば、ロール紙収納部カバーを大きく開けることができるのでロール紙交換作用などの作業性が改善される。また、ロール紙収納部カバーを開けた状態のまま単票紙の搬送を行っても、単票紙がロール紙収納部カバーに当って、破損あるいは紙詰まり状態になってしまうことを回避できる。
【0020】
また、このように単票紙搬送路に背の低い部分(搬送溝の浅い部分)を形成する場合には、前記磁気読取部、前記単票紙印刷部および前記光学読取部を、前記ロール紙収納部カバーが全開時に位置する前記装置上面部分から装置幅方向に外れた部位に配置すればよい。例えば、前記上流側搬送路部分に前記磁気読取部を配置し、前記後側搬送路部分における下流側端部に前記単票紙印刷部を配置し、前記下流側搬送路部分には前記光学式読取部を配置すればよい。
【0021】
次に、前記単票紙印刷部および前記連続紙印刷部は、それぞれライン型の印刷ヘッドを備えたものを用いることができる。
【0022】
一方、小切手などの単票紙の処理時などにおいて本人認証のための免許証などのカードを光学的、磁気的に読み取ることができるように、装置上面における前記入口ポケットの装置幅方向の外側の部分に、装置前後方向に延びる所定深さの磁気読取用のカードスロットを形成し、前記装置上面における前記排出ポケットに対して装置幅方向の内側の部分に、前記下流側搬送路部分の前記光学式読取部の読取位置にカードを送り込むためのカードスキャン用のカードスロットを形成しておくと便利である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の複合型印刷装置を示す斜視図である。
【図2】図1の複合型印刷装置を二つのカバーを開けた状態で示す斜視図である。
【図3】図1の複合型印刷装置を上方から見た場合の斜視図である。
【図4】図1の複合型印刷装置を後側のカバーを開けた状態で示す斜視図である。
【図5】図1の複合型印刷装置の小切手処理部と連続紙処理部を示す説明図である。
【図6】図1の複合型印刷装置の内部構成を示す構成図である。
【図7】図1の複合型印刷装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した複合型印刷装置の実施の形態を説明する。以下に説明する複合型印刷装置は、単票紙である小切手の処理と、ロール紙から繰り出される連続紙を印刷および切断してレシートを発行する処理を行うものであるが、小切手以外の単票紙の処理を行う複合型印刷装置や、レシート以外のクーポン等を印刷して発行する処理を行う複合型印刷装置に対しても本発明を同様に適用可能なことは勿論である。
【0025】
(全体構成)
まず、図1および図5を主に参照して、本実施の形態に係る複合型印刷装置の全体構成を説明する。図1は、複合型印刷装置を前方右側の斜め上方から見た場合の斜視図であり、図5は複合型印刷装置に組み込まれている小切手処理部と連続紙処理部の構成を示す説明図である。複合型印刷装置1は、その装置筐体1aに、小切手処理部2および連続紙処理部3が組み込まれている。なお、以下の説明においては、図1に示すように、複合型印刷装置1を水平な平面上に正立状態で置いた通常の使用状態において、当該複合型印刷装置1(装置筐体1a)における操作者の側に向ける面を前面とし、反対側を後面とすると、これら前面および後面が位置する方向を装置前後方向Yとし、平面に平行で装置前後方向Yに直交する方向を装置幅方向Xとし、平面に垂直な方向を装置上下方向Zとする。
【0026】
複合型印刷装置1に組み込まれている小切手処理部2は、処理対象の小切手S1を装填する入口ポケット4と、処理後の小切手S1が排出される出口ポケット5と、小切手S1の磁気情報を読み取る磁気読取部6と、小切手S1に印刷を行う小切手印刷部7と、小切手S1の表裏の画像を読み取る光学式読取部8と、平面視でU字形状をした小切手搬送路P1とを備えている。入口ポケット4から小切手搬送路P1に繰り出された小切手S1は、磁気読取部6の読取位置、小切手印刷部7の印刷位置、および光学式読取部8の読取位置を、この順序で経由して、出口ポケット5に排出される。これらの各部6、7、8は、本例とは異なる順序で小切手搬送路P1に沿って配置することも可能である。
【0027】
複合型印刷装置1に組み込まれている連続紙処理部3は小切手搬送路P1によって取り囲まれた部分に配置されており、図5に示すように、ロール紙収納部11と、このロール紙収納部11に収納したロール紙Rから繰り出される処理対象の連続紙S2に印刷を行う連続紙印刷部12と、印刷後の連続紙S2を幅方向に切断するオートカッター13と、処理後(印刷後、または印刷および切断後)の連続紙S21を排出する連続紙排出口14と、連続紙印刷部12の印刷位置を経由してロール紙Rから繰り出される連続紙S2を連続紙排出口14に導く連続紙搬送路P2とを備えている。
【0028】
小切手搬送路P1は、連続紙処理部3を、装置幅方向Xの両側および装置前後方向Yの後側から取り囲む状態に形成した平面視でU字形状をした搬送路である。この小切手搬送路P1は、装置上下方向Zの上方に開口している所定深さの搬送溝によって規定されている。小切手S1は、その長辺縁が上下に位置する立った姿勢で入口ポケット4に挿入され、この立った姿勢のまま小切手搬送路P1に沿って出口ポケット5まで搬送され、出口ポケット5に排出された小切手S1は立った姿勢のまま横方向に積層される。一方、連続紙搬送路P2は、小切手搬送路P1との間で共通搬送路部分を備えていない独立した搬送路であり、装置前後方向に延び、搬送幅方向が装置幅方向を向いている搬送路である。
【0029】
(外観構成)
図1と共に図2〜図4を参照して複合型印刷装置1の外観構成を説明する。図2は装置上面に配置されている2枚のカバーを開けた状態の複合型印刷装置1を前方左側の上方から見た場合の斜視図であり、図3は複合型印刷装置1を上方前側から見た場合の斜視図であり、図4は後側のカバーを開けた状態の複合型印刷装置1を後方右側の上方から見た場合の斜視図である。
【0030】
これらの図に示すように、複合型印刷装置1の装置筐体1aは、その下側部分が矩形輪郭の一定厚さの下側筐体部21によって規定されており、その上側部分が、内側筐体部22と、この内側筐体部22の右側、後側および左側の側面を一定の隙間を開けて取り囲む状態に配置した右側筐体部23、後側筐体部24および左側筐体部25とによって規定されている。これらの部位22〜25における装置上下方向の上側に位置する上面によって複合型印刷装置1の装置上面が規定されている。また、内側筐体部22と、右側筐体部23、後側筐体部24および左側筐体部25との間に形成されている一定幅で所定深さの縦溝によって、平面視で、装置前方に開いているU字形状の小切手搬送路P1が規定されている。さらに、内側筐体部22と右側筐体部23の間における装置前後方向の前側の部分に、上方および前方に開口している広幅の入口ポケット4が形成されており、内側筐体部22と左側筐体部25の間における装置前後方向の前側の部分には、上方に開口している広幅の出口ポケット5が形成されている。
【0031】
小切手搬送路P1は、内側筐体部22と右側筐体部23の間において装置前後方向に直線状に延びる上流側搬送路部分P11と、内側筐体部22と左側筐体部25の間において装置後側から装置前側に向けて内側に僅かに傾斜した方向に直線状に延びている下流側搬送路部分P13と、内側筐体部22と後側筐体部24の間において上流側搬送路部分P11の下流端から下流側搬送路部分P13の上流端まで装置幅方向に直線状に延びている後側搬送路部分P12とを備えている。
【0032】
本例では、右側筐体部23の上面部分には、直線状に装置前後方向に延びるカードスロット26が形成されている。このカードスロット26は、IDカードなどに担持されている磁気情報を読み取るためのスロットである。ユーザーが、カードスロット26の後端からカードを当該カードスロット26に挿入して手前側に引き出すことにより、カードスロット26の内部に配置されている不図示の磁気読取部によって磁気情報が読み取られる。
【0033】
また、内側筐体部22における出口ポケット5に隣接する上面部分にも、図2、図3に示すように、直線状のカードスロット27が形成されている。カードスロット27は、下流側搬送路部分P13の下流端に連続して当該下流側搬送路部分P13の延長上に位置する直線状のスロットであり、僅かに装置幅方向の内側に傾斜した方向に延びている。カードスロット27に手前側から運転免許証などのカードを挿入すると、内蔵の不図示のセンサーによってカードが検出され、挿入されたカードが下流側搬送路部分P13に向けて送り込まれる。送り込まれたカードが再びカードスロット27に送り出される間に、その表裏の画像情報が、下流側搬送路部分P13に配置されている小切手読取用の光学式読取部8によって読み取られる。
【0034】
内側筐体部22の上面にはロール紙収納部カバー28およびインクカートリッジ装着部カバー29が配置されている。ロール紙収納部カバー28は、その装置後端部の装置幅方向に延びる回動中心線回りに、図1に示す閉じ位置から図2に示す略垂直に起立した開き位置まで開けることができる。ロール紙収納部カバー28を開けると、内側筐体部22の内部に形成されているロール紙収納部11が上方に開口し、ロール紙Rの交換作業などを行うことができる。
【0035】
また、インクカートリッジ装着部カバー29は、装置前端部において装置幅方向に延びる回動中心線回りに、図1に示す閉じ位置から図2に示す開き位置まで開けることができる。インクカートリッジ装着部カバー29を開けると、内側筐体部22の内部に配置されているインクカートリッジ装着部29aが上方に開口し、インクカートリッジ29bの交換作業などを行うことができる。また、インクカートリッジ装着部29aの装置後側にはオートカッター13の駆動ユニット13cが配置されている。したがって、インクカートリッジ装着部カバー29を開けると、オートカッター13の駆動ユニット13cも露出するので、オートカッター13のメンテナンスなどを行うことができる。
【0036】
ここで、内側筐体部22の上面に形成されている連続紙排出口14は、これらロール紙収納部カバー28の開閉側の先端縁と、インクカートリッジ装着部カバー29の開閉側の先端縁とによって規定されている。また、図2から分かるように、ロール紙収納部カバー28の開閉側の先端部には、連続紙印刷部12のプラテンローラー12bおよびオートカッター13の固定刃13aも搭載されている。したがって、ロール紙収納部カバー28を開くと、連続紙搬送路P2が開放状態になり、ロール紙から引き出される連続紙を連続紙搬送路P2にセットする操作が簡単にできる。
【0037】
次に、内側筐体部22における装置後側の左隅部分には、装置前方に僅かに傾斜した平坦な操作面22aが形成されている。この操作面22aには、操作ボタン22b、動作状態表示用の複数のLED表示部22cなどが配列されている。また、図1から分かるように、装置前端面の右下部分には電源スイッチ22dが配置されている。
【0038】
このように、複合型印刷装置1においては、入口ポケット4が装置上下方向Zの上方および装置前後方向Yの前方に開口しており、出口ポケット5が装置上下方向Zの上方に開口しており、連続紙排出口14も装置上面から上方に開口している。さらに、ロール紙収納部カバー28を開けることにより、ロール紙収納部11に対するロール紙交換作業などを装置前側から行うことができ、インクカートリッジ装着部カバー29を開けることにより、インクカートリッジ装着部29aに対するインクカートリッジ29bの交換作業なども装置前側から行うことができる。また、操作面22aも装置前側から操作することができる。すなわち、操作者は、装置前側から装置上面を向いた姿勢のままで各種の操作を行うことができ、顔あるいは手を装置の側方あるいは後方に回して操作を行う必要がない。また、インクカートリッジ装着部カバー29を開けると、オートカッター13の駆動ユニット13cが露出するので、この部分のメンテナンスなども装置手前側から簡単に行うことができる。よって、複合型印刷装置1は操作性、作業性に優れており、極めて使い勝手が良い。
【0039】
(小切手処理部)
次に、図6は小切手処理部2を示す構成図であり、この図6を主に参照して、小切手処理部2の内部の構成を説明する。まず、小切手処理部2の入口ポケット4には、その右側筐体部23の側の側面に給紙ローラー30aが配置され、内側筐体部22の側の側面に押圧部材30bが配置されている。押圧部材30bは入口ポケット4に挿入された小切手S1を給紙ローラー30aの側に押圧する。送り出しモーター41により駆動される給紙ローラー30aによって小切手S1は小切手搬送路P1の上流側搬送路部分P11に送り出される。本例では、小切手S1は、その裏面が装置内側(内側筐体部22の側)を向くように、入口ポケット4に立てた状態で挿入される。
【0040】
小切手搬送路P1の上流側搬送路部分P11には、入口ポケット4から送り出された小切手S1を送り出す送り出しローラー31bと、上流側搬送路部分P11を介して当該送り出しローラー31に向かい合うリタードローラー31aとが設けられている。送り出しローラー31bは、送り出しモーター41により駆動され、給紙ローラー30aと同期して回転される。リタードローラー31aは送り出しローラー31bの側に付勢されており、小切手S1を一枚ずつ分離しながら下流側に送り出す。
【0041】
小切手搬送路P1における送り出しローラー31bの下流側の搬送路部分には、複数の搬送ローラー対32〜36が配置されている。上流側搬送路部分P11には搬送ローラー対32が配置されており、後側搬送路部分P12には搬送ローラー対33、34が配置されており、下流側搬送路部分P13には残りの搬送ローラー対35、36が配置されている。これらの搬送ローラー対32〜36はそれぞれ、内側筐体部22の側に配置されている駆動ローラー32a、33a、34a、35a、36aと、外側の右側筐体部23、後側筐体部24および左側筐体部25の側において、小切手搬送路P1を介して対向するように設けられた従動ローラー32b、33b、34b、35b、36bとを備えている。駆動ローラー32a、33a、34a、35a、36aは、無端ベルト37を介して、駆動モーター40によりそれぞれが同期して回転駆動される。また、従動ローラー32b、33b、34b、35b、36bは、不図示の付勢部材により、対向する駆動ローラー32a〜36aの側に付勢されている。
【0042】
小切手搬送路P1の上流側搬送路部分P11には磁気読取部6が配置されている。磁気読取部6は、小切手S1に磁気インク等で書き込まれた磁気情報を読み取り可能なMICR等の磁気スキャナー6aを備え、磁気スキャナー6aは、その磁気読取面が上流側搬送路部分P11の側を向く姿勢で右側筐体部23に配置されている。また、磁気スキャナー6aの磁気読取面には、上流側搬送路部分P11を挟み、押し付けローラー6bが対向配置されている。押し付けローラー6bによって、搬送される小切手S1が磁気スキャナー6aの磁気読取面に押し付けられて、磁気スキャナー6aによって確実に磁気情報が読み取られる。
【0043】
上流側搬送路部分P11の下流端に連続して装置幅方向に延びている後側搬送路部分P12には、その装置右隅の側の部分に、小切手S1の裏面に裏書き印刷を行う小切手印刷部7が設けられている。小切手印刷部7は装置上下方向に延びる状態に配置されたライン型のインクジェットヘッド7aを備え、当該インクジェットヘッド7aのノズル面が後側搬送路部分P12の側を向く状態に配置されている。後側搬送路部分P12を挟み、このノズル面に対峙する後側筐体部24の部位には、インクジェットヘッド7aの印刷位置を規定するプラテン7bが配置されている。インクジェットヘッド7aのインク供給源は、インクカートリッジ装着部29aに装着したインクカートリッジ29b(図2、図7参照)である。インクジェットヘッド7aの代わりにサーマルヘッドを用いることもできる。
【0044】
ライン型のヘッドを用いると、シリアル型のヘッドを用いる場合に比べて、小切手印刷部7をコンパクトに形成できるので好ましい。また、小切手印刷部7は、後側搬送路部分P12における下流側の端、すなわち、内側筐体部22における後側の左隅部分に配置されている。したがって、内側筐体部22内において装置前後方向に延びる連続紙搬送路P2が形成されている連続紙処理部3の設置スペースを確保しやすいという利点がある。
【0045】
次に、小切手搬送路P1の下流側搬送路部分P13には、搬送ローラー対35、36が配置されており、これらの間の搬送路部分には、小切手S1の両面の画像情報を読み取る光学式読取部8が設けられている。光学式読取部8は、小切手の表面読取用の光学スキャナー8aと裏面読取用の光学スキャナー8bとを備えており、互いの読取面が下流側搬送路部分P13を挟んで向かい合うように設けられている。
【0046】
下流側搬送路部分P13の下流端には、磁気情報の読取、裏書き印刷、および画像情報の読取が終了した処理済みの小切手S1が排出される出口ポケット5が設けられている。出口ポケット5は上方に開口しており、当該出口ポケット5に排出された小切手S1を上方から取り出すことができる。小切手処理部2では、入口ポケット4および出口ポケット5のいずれもが上方に開口しているので、ユーザーは常に複合型印刷装置1の手前側の位置において小切手を扱うことができる。
【0047】
ここで、図7は複合型印刷装置1の縦断面図であり、この図7と図4から分かるように、後側搬送路部分P12におけるロール紙収納部カバー28の後側に位置する搬送路部分においては、その装置上面部分の高さが、開いた状態のロール紙収納部カバー28に干渉しないように、低くなるように設定されている。
【0048】
詳細に説明すると、内側筐体部22の上面部分は、閉じ状態のロール紙収納部カバー28の後端縁28bの下側位置から下方に向けて傾斜した傾斜面部分22fとなっており、この傾斜面部分22fの後端縁に連続して下方に垂直に延びる端面部分によって後側搬送路部分P12の一方の側面が規定されている。ロール紙収納部カバー28を開けると、その後端部のヒンジ52を中心としてロール紙収納部カバー28の後端部分が後方に旋回し、その後端縁28bが傾斜面部分22fに当接した位置まで開くようになっている。
【0049】
後側筐体部24におけるロール紙収納部カバー28の後側に位置している部分は、ロール紙収納部カバー28を開けたときに、当該ロール紙収納部カバー28に干渉しないように、その上面部分24aが両側の上面部分に比べて低い位置となるように設定されている。すなわち、後側筐体部24の上面部分24aは一定高さの平坦面であり、その右側部分は、右側筐体部23の上面部分23aから下方に傾斜している傾斜面部分23bの下端部分に繋がっている。上面部分24aの左側部分は上方に傾斜している傾斜面部分24bの下端に繋がっており、傾斜面部分24bの上端は高い位置にある平坦な上面部分24cに繋がっている。
【0050】
このように、ロール紙収納部カバー28の後側の上面部分24aを低くしておくことにより、ロール紙収納部カバー28を開けたときに、ロール紙収納部カバー28が後側筐体部24に干渉することがない。また、全開状態のロール紙収納部カバー28を後側搬送路部分P12よりも前側に位置するようにしてある。したがって、当該後側搬送路部分P12に沿って搬送される小切手S1がロール紙収納部カバー28に干渉してしまうことを回避できる。
【0051】
また、本例では、後側搬送路部分P12の両側に位置する背の高い筐体部分を利用して、磁気読取部6、小切手印刷部7および光学式読取部8を配置するようにしている。すなわち、右側筐体部23の後側の部分に磁気読取部6が配置されており、後側筐体部24における左側の背の高い部分に、小切手印刷部7および光学式読取部8が配置されている。
【0052】
(ロール紙処理部)
次に、図7を主に参照して連続紙処理部3の各部の構造を説明する。連続紙処理部3のロール紙収納部11は、内側筐体部22の装置後側の内部に形成されており、ロール紙Rをその中心軸線が装置幅方向に向く横置き姿勢で転動自在の状態に収納するものである。ロール紙Rから繰り出される連続紙S2を連続紙排出口14に導く連続紙搬送路P2は、その搬送路幅方向が装置幅方向を向く状態で、前記ロール紙収納部11から装置前方および上方に延びている。
【0053】
ロール紙収納部11は、その底面が凹円弧状断面の底板51によって規定されており、その天面開口がロール紙収納部カバー28によって封鎖されている。ロール紙収納部カバー28の後端部は装置幅方向に延びる回動中心線を中心軸線とするヒンジ52によって支持されており、このヒンジ52を中心として開閉することができる。
【0054】
ロール紙収納部11のロール紙Rから繰り出される連続紙S2は、連続紙搬送路P2に沿って搬送されて連続紙排出口14に導かれる。すなわち、底板51の装置前側の縁部分に取り付けた紙ガイド53によって前方に案内され、連続紙印刷部12に導かれる。なお、ロール紙収納部11の底部にロール紙Rの回転摩擦抵抗を軽減するために回転自在なガイドローラーを取り付け、この上にロール紙Rを載せるようにしてもよい。
【0055】
連続紙印刷部12は、ライン型のサーマルヘッド12aと、このサーマルヘッド12aのヘッド面に連続紙S2を押し付けながら搬送するプラテンローラー12bとを備えている。本例では、内側筐体部22の側にサーマルヘッド12aが取り付けられ、プラテンローラー12bはロール紙収納部カバー28に搭載されている。
【0056】
連続紙印刷部12の上側にはオートカッター13が配置されている。オートカッター13は固定刃13aと、可動刃13bを備えた駆動ユニット13cからなる。固定刃13aはロール紙収納部カバー28の側に搭載されており、可動刃13bおよび駆動ユニット13cは内側筐体部22の側に搭載されている。連続紙S2は、連続紙印刷部12の印刷位置を経由した後にオートカッター13の切断位置を通り、その上側に開口している連続紙排出口14から上方に排出される。なお、図1〜図3に示すように、連続紙排出口14における装置前側の縁に沿って装置幅方向の配列したカッター刃54が配置されており、操作者は、連続紙S2を適切な位置で切断することが可能となっている。
【0057】
(複合型印刷装置の制御系および動作)
複合型印刷装置1の動作は、小切手処理部2および連続紙処理部3を支持している下側筐体部21の上面に配置した基板60に搭載されているMPU等の制御部61(図6、図7参照)によって制御される。単一の制御部61により複合型印刷装置1を制御することにより、例えばドライバーのアップデートなどのメンテナンス性が向上する。なお、制御部61は、図6に示すように基板60の上面に設けるほか、基板60の裏面(小切手搬送路P1が形成される側とは反対側)に、制御基板として取り付けても良い。
【0058】
小切手S1が上方から入口ポケット4に挿入されると、制御部61は小切手処理部2の送り出しモーター41と駆動モーター40を制御して、小切手S1を給紙ローラー30a等により送り出し、リタードローラー31aと送り出しローラー31bにより一枚ずつ上流側搬送路部分P11に沿って搬送する。
【0059】
制御部61は、小切手S1が上流側搬送路部分P11を搬送されてくると、まず磁気読取部6を制御して小切手S1の磁気情報を読み取り、読み取られた磁気情報を取得する。次に制御部61は、読み取った磁気情報に基づいて、小切手印刷部7により小切手S1の裏面に裏書き印刷を実行する。また、制御部61は光学式読取部8を制御して小切手S1の両面の画像を読み取り、読み取られた画像情報を取得する。さらに、画像情報が読み取られた小切手S1は搬送ローラー対36により出口ポケット5に排出される。
【0060】
このように、複合型印刷装置1の小切手処理部2によれば、磁気情報の読み取り、裏書き印刷、画像情報の読み取りといった一連の処理を一括して行うことができるので、ユーザーの負担を軽減することができる。
【0061】
また、制御部61は連続紙処理部3の不図示の駆動モーターを制御してプラテンローラー12bを回転駆動し、ロール紙Rから連続紙S2を繰り出して連続紙搬送路P2に沿って送り出す。送り出された連続紙S2はサーマルヘッド12aとプラテンローラー12bの間を通って搬送される間に、制御部61の制御のもとに必要な情報が連続紙S2に印刷される。印刷された連続紙S2は更にプラテンローラー12bによって連続紙排出口14から装置外部に排出される。連続紙S2における印刷済の先端部分が排出されて、印刷部分の後端がオートカッター13の切断位置に至ると連続紙S2の搬送が停止され、制御部61によってオートカッター13が駆動されて連続紙S2の印刷部分が幅方向に切断されて切り取られ、一定長さのレシートが得られる。
【0062】
このように、複合型印刷装置1によれば、小切手搬送路P1と連続紙搬送路P2とを独立して設け、小切手印刷部7の印刷位置はU字形状の小切手搬送路P1における連続紙印刷部12の印刷位置から最も離れた位置に配置してある(図6参照)。したがって、小切手処理部2と連続紙処理部3は、一方のそれぞれの動作が他方の動作に従属するという関係性がない。また、制御部61が小切手処理部2と連続紙処理部3を共に制御するように構成されているので、自在に双方の動作を関連付けることができる。すなわち、制御部61は、小切手印刷部7の処理と、連続紙印刷部12のレシート印刷処理とを、様々に関連付けて各種の形態で各処理を実行することができる。
【0063】
例えば、小切手処理部2の磁気読取部6で読み取られた小切手S1の額面金額などの磁気情報を制御部61が受け取り、制御部61はそのまま読み取った磁気情報を印刷するように、連続紙印刷部12に指令することができる。
【0064】
また、小切手S1が出口ポケット5に排出されると同時に、連続紙S2を連続紙排出口14から排出させるように制御することもできる。具体的には、小切手処理部2の駆動ローラー32a〜36aを駆動する駆動モーター40の駆動速度と、連続紙処理部3のプラテンローラー12bを駆動する不図示の駆動モーターの駆動速度とを、それぞれ適切な値に設定することにより、上記制御を実行できる。このような制御によれば、複数枚の小切手を連続して処理した場合でも、小切手とレシートとの対応関係を分かり易くすることができる。
【0065】
以上のように、本実施形態に係る複合型印刷装置1によれば、小切手処理部2と連続紙処理部3とを様々に関連付けて制御することにより、ユーザーの使い勝手を大幅に向上させることができる。
【0066】
なお、上述の例では、磁気情報や画像情報が制御部61に伝達される構成を例に挙げて説明したが、磁気スキャナー6a及び光学スキャナー8a、8bはこれらの情報をコンピューターやディスプレイといった外部機器に出力してもよい。この場合、外部機器からの出力を制御部61に入力し、制御部61は外部機器の指令に応じて小切手印刷部7および連続紙印刷部12で印刷を実行するように構成してもよい。
【0067】
また、小切手処理部2の側の駆動モーター40と連続紙処理部3の側の駆動モーターとを別々に設ける例を挙げて説明したが、連続紙処理部3のプラテンローラー12bも、減速機やプーリー、無端ベルトを介して小切手処理部2の側の駆動モーター40により駆動させてもよいことは勿論である。
【0068】
(本実施の形態に係る複合型印刷装置による主な作用効果)
以上の如く、本実施形態に係る複合型印刷装置1によれば、小切手搬送路P1と連続紙搬送路P2が独立して設けられているので、小切手搬送路P1を搬送される小切手S1と、連続紙搬送路P2を搬送される連続紙S2を、独立して搬送することができる。また、小切手S1と連続紙S2を同時に搬送しても、両者が接触することがなく、紙詰まりの虞がない。
【0069】
さらに、図5に示すように、小切手S1に印刷する小切手印刷部7の印刷位置A1は、小切手搬送路P1上における連続紙S2に印刷する連続紙印刷部12の印刷位置A2から最も離れた位置となるように設定されている。したがって、それぞれ互いの印刷状況によらず、小切手S1と連続紙S2に同時に印刷したり、所定の時間差を設けて印刷したりすることができる。また、搬送される小切手S1と排出される連続紙S2(レシート)が相互に干渉して紙詰まりが発生するおそれを大幅に低減できる。
【0070】
さらに、連続紙搬送路P2は、U字状の小切手搬送路P1によって囲まれた部分において、そのU字の開口側である装置前方に向けて延びる搬送路としてある。連続紙搬送路P2を装置幅方向に延びる状態に配置する場合などに比べて、小切手搬送路P1に干渉することなく必要な長さの連続紙搬送路P2を確保することができ、また、U字状の小切手搬送路P1によって囲まれている領域内に効率良く連続紙処理部3の各部を配置することができる。よって、全体として、小型でコンパクトな複合型印刷装置を実現できる。
【0071】
さらにまた、図1〜図3から分かるように、複合型印刷装置1の各部の操作は装置手前側において装置上側から行うことが可能である。装置側方あるいは後側に回って操作する場合、装置側方あるいは後側に手などを回して操作する場合に比べて、操作性に優れており、ロール紙交換、インクカートリッジ交換などの作業の作業性にも優れている。
【符号の説明】
【0072】
S1 小切手、S2 連続紙、R ロール紙、P1 単票紙搬送路、P11 上流側搬送路部分、P12 後側搬送路部分、P13 下流側搬送路部分、P2 連続紙搬送路、X 装置幅方向、Y 装置前後方向、Z 装置上下方向、
1 複合型印刷装置、1a 装置筐体、2 小切手処理部、3 連続紙処理部、4 入口ポケット、5 出口ポケット、6 磁気読取部、6a 磁気スキャナー、6b 押圧ローラー、7 小切手印刷部、7a インクジェットヘッド、7b プラテン、8 光学式読取部、8a 光学スキャナー、8b 光学スキャナー、11 ロール紙収納部、12 連続紙印刷部、12a サーマルヘッド、12b プラテンローラー、13 オートカッター、13a 固定刃、13b 可動刃、13c 駆動ユニット、14 連続紙排出口、21 下側筐体部、22 内側筐体部、22a 操作面、22b 操作ボタン、22c LED表示部、22d 電源スイッチ、23 右側筐体部、24 後側筐体部、25 左側筐体部、26 カードスロット、27 カードスロット、28 ロール紙収納部カバー、29 インクカートリッジ装着部カバー、29a インクカートリッジ装着部、29b インクカートリッジ、30a 給紙ローラー、31a リタードローラー、31b 送り出しローラー、32a,33a,34a,35a,36a 駆動ローラー、32b,33b,34b,35b,36b 従動ローラー、40 駆動モーター、41 送り出しモーター、51 底板、52 ヒンジ、53 紙ガイド、54 カッター刃、60 基板、61 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単票紙を処理する単票紙処理部と、連続紙を処理する連続紙処理部と、前記単票紙処理部および前記連続紙処理部が組み込まれている装置筐体とを有し、
前記単票紙処理部は、処理対象の単票紙を装填する入口ポケットと、処理後の単票紙が排出される出口ポケットと、前記単票紙に印刷を行う単票紙印刷部と、前記単票紙の磁気情報を読み取る磁気読取部と、前記単票紙の画像を読み取る光学式読取部と、前記入口ポケットから繰り出される単票紙を、前記単票紙印刷部の印刷位置、前記磁気読取部の読取位置および前記光学式読取部の読取位置をこの順序あるいは異なる順序で経由させて前記出口ポケットに導く単票紙搬送路とを備え、
前記連続紙処理部は、ロール紙収納部と、このロール紙収納部に収納したロール紙から繰り出される処理対象の連続紙に印刷を行う連続紙印刷部と、処理後の連続紙を排出する連続紙排出口と、前記連続紙印刷部の印刷位置を経由して前記ロール紙から繰り出される連続紙を前記連続紙排出口に導く連続紙搬送路とを備え、
前記装置筐体を正立状態で平面上に置いた場合における当該平面に平行な一つの方向を装置前後方向とし、前記平面に平行で前記装置前後方向に直交する方向を装置幅方向とし、前記平面に直交する方向を装置上下方向とすると、
前記ロール紙収納部は前記ロール紙を前記装置幅方向に当該ロール紙の中心軸線が向く状態で収納するものであり、
前記単票紙搬送路は、前記連続紙処理部を、前記装置幅方向の両側および前記装置前後方向の後側から取り囲む状態に形成した搬送路であり、
前記連続紙搬送路は、その搬送路幅方向が前記装置幅方向を向く状態で、前記ロール紙収納部から前記装置前後方向の前方に延びていると共に、前記単票紙搬送路との間で共通搬送路部分を備えていない独立した搬送路であることを特徴とする複合型印刷装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記入口ポケットおよび前記出口ポケットは前記装置上下方向の上方に開口しており、
前記単票紙搬送路は、前記装置上下方向の上方に開口している所定深さの搬送溝によって規定されており、
前記連続紙排出口は前記装置上下方向の上方に開口しており、
前記ロール紙収納部は、前記装置筐体における前記装置上下方向の上側に位置する装置上面に取り付けたロール紙収納部カバーを開くと、前記装置上下方向の上方に開口することを特徴とする複合型印刷装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記単票紙印刷部および前記連続紙印刷部のうちの少なくとも一方はインクジェットヘッドを備えており、
前記連続紙搬送路の装置前側には前記インクジェットヘッドに供給されるインクを貯留したインクタンクが装填されたインクタンク装着部が配置されており、
前記インクタンク装着部は、前記装置上面に取り付けたインクタンク装着部カバーを開くと前記装置上下方向の上方に開口することを特徴とする複合型印刷装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ロール紙収納部カバーは、その前記装置前後方向の後側の部位を回動中心として前記装置上下方向の上方に開けることのできる開閉カバーであり、
前記インクタンク装着部カバーは、その前記装置前後方向の前側の部位を回動中心として前記装置上下方向の上方に開けることのできる開閉カバーであり、
前記ロール紙収納部カバーの装置前側の縁部分と前記インクタンク装着部カバーの装置後側の縁部分との間に前記連続紙排出口が形成されていることを特徴とする複合型印刷装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記連続紙搬送路には、前記連続紙排出口と前記連続紙印刷部の間の位置において、連続紙をその幅方向に切断するためのオートカッターが配置されており、
前記インクタンク装着部カバーを開けると、前記オートカッターの駆動ユニットが露出状態になることを特徴とする複合型印刷装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記単票紙搬送路は、前記ロール紙収納部の前記装置幅方向の一方の側の部位において前記入口ポケットから前記装置前後方向の後方に延びている上流側搬送路部分と、前記ロール紙収納部の前記装置幅方向の他方の側の部位において前記出口ポケットから前記装置前後方向の後方に延びている下流側搬送路部分と、前記ロール紙収納部の前記装置前後方向の後側の部位において前記上流側搬送路部分の下流端から前記下流側搬送路部分の上流端まで前記装置幅方向に延びている後側搬送路部分とを備えており、
前記ロール紙収納部カバーの前記装置前後方向の後側に位置する前記後側搬送路部分が形成されている前記装置筐体の部分において、前記装置上下方向の上側に位置する装置上面部分の高さは、全開状態の前記ロール紙収納部カバーに干渉しない高さであり、
全開状態の前記ロール紙収納部カバーの位置は、前記後側搬送路部分を通る単票紙に干渉しないように設定されていることを特徴とする複合型印刷装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記磁気読取部、前記単票紙印刷部および前記光学読取部は、前記ロール紙収納部カバーが全開時に位置する前記装置上面部分から前記装置幅方向に外れた部位に配置されていることを特徴とする複合型印刷装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記上流側搬送路部分には前記磁気読取部が配置されており、
前記後側搬送路部分における下流側端部に前記単票紙印刷部が配置されており、
前記下流側搬送路部分には前記光学式読取部が配置されていることを特徴とする複合型印刷装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちのいずれかの項において、
前記単票紙印刷部および前記連続紙印刷部には、それぞれライン型の印刷ヘッドが備わっていることを特徴とする複合型印刷装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちのいずれかの項において、
前記装置筐体における前記装置上下方向の上側に位置する装置上面における前記入口ポケットの前記装置幅方向の外側の部分には、前記装置前後方向に延びる所定深さの磁気読取用のカードスロットが形成されており、
前記装置上面における前記出口ポケットに対して前記装置幅方向の内側の部分には、前記下流側搬送路部分の前記光学式読取部の読取位置にカードを送り込むためのカードスキャン用のカードスロットが形成されていることを特徴とする複合型印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate