説明

複合糸の製造方法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多数の連続ガラスフィラメントおよび熱可塑性有機材料の連続フィラメントの組み合わせにより形成された、複合糸の製造のための方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および課題】このような複合糸の製造は、欧州特許公開第A−0367661号明細書に記載されている。この出願は、ガラスの連続フィラメントが引き出されるダイ、および圧力下、熱可塑性有機材料が供給され、連続有機フィラメントを生成する引き出しヘッドを含有する装置を記載している。この二つの種類のフィラメントは、お互いを組み合わせる際には、シート、あるいはシートおよび糸の形状にすることができる。この出願に記載された態様の一つの有利な形態は、これらを組み合わせる際、有機フィラメントでガラスのフィラメントまたは糸を囲むことである。この方法において形成された複合糸は、これが接触する固体表面との摩擦からガラスフィラメントを保護するという利点を有する。一方、この構造は、フィラメントの二つの種類の混合物の完全な均一性にとって有利ではない。実際、複合糸の断面は、フィラメントの各種類のための特異的なゾーンを示しており、これは特定の用途にとっては望ましい組み立て方法となるであろう。
【0003】さらに、この複合糸は、波打っている。これは糸がスプールの形状であるとき顕著となる。なぜならば、スプールは、その全体表面の周囲に波打ちを示すからである。実際、この複合糸の波打ち現象は、ガラスフィラメントの波打ち現象をもたらす有機フィラメントの収縮現象によるものである。この現象は様々な不利な点を有する。第1に、これは、複合糸の形成の際の結合の影響に耐えるように、スプールを製造するための厚いコアチューブを必要とする。さらに、幾何学的な変化により、スプールをほどくことが非常に困難となる。糸のこの形態は、これが例えば湾曲部の構成部分を強化するために後に役立つ布帛の構造の一部分を形成する場合、有利となる。有機フィラメントの変形の性能およびガラスフィラメントの波打ち現象により、布帛に付与されたフレキシビリティは、金型内における設置を容易にする。対照的に、一方向に強化された平面の構成部分を製造するための複合糸の製造の場合、このことは不利となる。なぜならば、このフィラメントは、最終複合物において一列に整列していないため、一つの特定方向における強化能力が減少するからである。
【0004】本発明は、形成時に波打ち現象を全く示さず且つ必要なときまで安定である複合糸の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】ガラスフィラメントを含む複合糸の内部の熱可塑性フィラメントの収縮により生じるこの問題は、ダイから出る連続ガラスフィラメントと引き出しヘッドから出る熱可塑性有機材料の連続フィラメントの組み合わせにより形成される複合糸の製造方法により解決される。この方法は、熱可塑性フィラメントが、シートの形状において、ガラスフィラメントの束またはシートと混合され、この混合のとき(熱可塑性フィラメントのガラスフィラメントの束またはシートへの侵入時)の熱可塑性フィラメントの速度は、ガラスフィラメントの引き出し速度よりも速い速度であるというものである。
【0006】本発明の好適な一つの方法によれば、熱可塑性フィラメントは、ガラスフィラメントの束またはシート上に、シートの形状において投入される。
【0007】また、これは、ガラスフィラメントの束またはシートまで、シートの形状における熱可塑性フィラメントを正確に案内することができる。
【0008】この方法は、第1に、ガラスフィラメントの中で、波打った熱可塑性糸の混合または埋め込みを形成することができる。収縮現象は、複合糸が支持体上に巻かれる前に完了するのに十分に速い。
【0009】有機フィラメントの速度およびガラスフィラメントの引き出し速度の間に確立された差は、明白に、用いられる熱可塑性材料の性質と、有機フィラメントの直径の関数である。一般的に、この差は、ガラスフィラメントの長さと比較して、有機フィラメントの最初の長さの過剰分を、収縮現象が補うように決定される。複合糸を形成するすべてのフィラメントが、スプールに巻かれるときに完全に整列すると仮定した場合、この製造されたスプールは、もはや従来に見られる欠点を何ももたない。このために、従来において、収縮によりもたらされる、結合の影響から生じる圧力に耐えなければならない厚いコアチューブを使用する必要がなくなり、普通のコアチューブを使用することができる。またこのコアチューブは、スプールが形成され、続いてスプールが糸のボールまたは糸玉となった後、取り除くこともできる。これは、外側からほどかれる、あるいは内側から引き出される方法により複合糸を使用することができるので、有利である。
【0010】また、この場合において、複数回にわたりコアチューブを再利用することができるので、節約となる。
【0011】この方法の別の有利な点は、熱可塑性フィラメントにより囲まれたガラス繊維またはガラスフィラメントのシートの延伸からなる製造方法により得られたものよりも、さらに均一性が良好な複合糸が得られることである。
【0012】本発明の第1の態様において、熱可塑性フィラメントとガラスフィラメントとの混合は、ダイの底部とコーティングローラーとの間で行われる。続いて、熱可塑性フィラメントとガラスフィラメントとのお互いの組み立てが、ガラスフィラメントの束により形成された集合体の内部で行われ、このことにより、優れた均一性が確立される。
【0013】本発明の第2の態様において、熱可塑性フィラメントとガラスフィラメントとの混合は、ガラスフィラメントとコーティングローラーとの接触ライン上で行われる。この接触ラインは、実際、その上をガラス繊維が通過するコーティングローラーの母線(generatrix)に相当する。
【0014】本発明の第3の態様において、熱可塑性フィラメントとガラスフィラメントとのお互いの混合は、コーティングローラーの下流で行われる。この場合において、ガラスフィラメントは、もはやその集合体の形状を拡大せずに、フラットなシートの形状である。従って、二つの種類のフィラメントの組み立ては、平面において行われる。この組み立てのタイプは、非常に良好な均一性をもたらし、投入時のガラスフィラメントの分解のリスクを排除することができる。
【0015】しかしながら、ガラスフィラメントの長さと比較して熱可塑性フィラメントの過剰な長さが、収縮により全体に補われることのないような値に、有機フィラメントの速度を調節することがしばしば有利となる。これは、変更可能な方法において、ガラスおよび熱可塑性フィラメントが直線である複合糸、あるいはガラスフィラメントが直線であり、熱可塑性フィラメントが波打っている複合糸を製造することができる。この方法において、布帛の製造のために用いることのできる多少かさのある糸を製造することができる。
【0016】本発明の好適な態様によれば、熱可塑性フィラメントの速度は、複合糸の所望されるかさを得るように選択される。
【0017】さらに本発明は、この方法を行うことのできる装置を提案するものである。本発明によれば、ガラスの連続フィラメントと熱可塑性有機材料の連続フィラメントとの組み合わせにより形成された複合糸の製造を可能にするために、この装置は、一方では、多数のオリフィスをその底面に備えた、ガラスが供給される少なくとも一つのダイ(このダイは、コーティングローラーと組み合わされる)を含む装置を含有し、また一方では、多数のオリフィスをその底面に備えた、溶融熱可塑性材料が圧力下供給される少なくとも一つの引き出しヘッドを含む装置を含有し、この引き出しヘッドは、ドラムを含むタイプの、速度変更可能な引き出し装置、熱可塑性フィラメントがガラスフィラメントと混合可能となる手段、およびお互いの組み立てを可能にする装置および複合糸をスプールにすることのできる装置の共通の手段で組み立てられている。
【0018】好ましくは、二つの種類のフィラメントをお互いに混合可能にする手段は、パルスまたは圧縮された空気のような、液体または気体となり得る流体の性質を利用した装置である。これは、例えばベンチュリ(Venturi)装置であることができ、その機能は、適切な配置および適切な空間的分配を与えながら、単独に、熱可塑性フィラメントを投入させることである。
【0019】ダイ、引き出しヘッド、ドラムタイプの引き出し装置および熱可塑性フィラメントとガラスフィラメントとの混合を可能にする装置のレイアウトは、従来の技術に確定されたレイアウトと対照的に、単一の水平面で行うことができる。このために、有機材料のための引き出しヘッドとドラムタイプの引きだし装置との間のローラーのようなデフレクター要素を配置することができる。
【0020】一つの態様において、ガラスフィラメントの背部に配置され、熱可塑性フィラメントのための投入ゾーンの反対側(すなわちベンチュリとは反対側)に配置されたバッフルプレートのような要素を設けることができる。このバッフル要素は、ガラスシートを通る熱可塑性フィラメントの通過を制限することができる。
【0021】二つの種類のフィラメントをお互いに混合することのできる手段は、二つのローラーの組み合わせにより構成することができる。最初の“案内”ローラー(運転ローラーとなり得る)は、熱可塑性フィラメントのシートを第2ローラーの方向に向ける。この第2ローラー上で、熱可塑性フィラメントは、ガラスフィラメントと混合され、シートの形状となる。
【0022】このように、記載された装置は、ガラスフィラメントおよび熱可塑性フィラメントから複合糸を製造することを可能にし、後者は、複合糸の引き出し速度よりも速い速度で、ガラスフィラメントとの接触空間に到着する。
【0023】
【実施例】本発明の他の詳細および有利な点は、図面を参照しながら、以下の本発明の実施態様である実施載により、明らかとなるであろう。
【0024】図1および図2は、本発明による装置の構成図である。図3は、第2の態様の構成図である。図4は、第3の態様の構成図である。図5a、b、cは、本発明および従来の技術により製造された複合糸の断面構成図である。
【0025】図1は、本発明による完成した装置の構成図を示すものである。ダイ1には、その上部に溶融ガラスを直接供給する炉の前床により、あるいは常温のガラスを含む炉、例えばボールの形状で単に重量により落ちる炉によりガラスが供給される。供給のこれらの形態の一つまたはその他によれば、ダイ1は、白金−ロジウム合金が一般的であり、高温でガラスを再溶融するか、あるいは溶融状態を維持するように、ジュール効果により加熱される。続いて溶融ガラスは、大多数の糸の形状として流れ、ある装置(図示せず)によりフィラメントの束2の形状となり、そしてこれは、以下さらに詳細に説明するように、スプール3が形成される。これらのフィラメント2は、続いてコーティングローラー4上を通過し、ガラスフィラメント上にサイズまたはコーティング物質が付着する。このコーティング物質は、複合糸6を形成するためにガラス繊維と組み合わされる熱可塑性フィラメントを構成する化合物またはその誘導体を含むことができる。
【0026】この図1においては、熱可塑性フィラメント5が押し出される引き出しヘッド7が概略的に示されている。この引き出しヘッド7は、例えば粒体の形状において貯蔵された熱可塑性材料が供給され、溶融され、続いて引き出しヘッド7の下部に配置された多数のオリフィスからの圧力により流れ、引き出しおよび冷却によりフィラメント5を形成する。フィラメントの冷却は、引き出しヘッド7の形状に適合した形状を有し、フィラメントに対して垂直な空気の層流を発生するコンディショニング装置8により、強制対流により行われる。冷却空気は、温度および水分率が一定になるような流速である。フィラメント5は、続いてローラー9を通過し、これは一方ではシート10の形状に組み立てることを可能にし、他方では進行する方向を変えることができる。この方法においては、ダイ1および引き出しヘッド7を単一水平面で配置することができるので、複合糸は、熱可塑性のための引き出し場所の装置を除き、大幅な変更の必要なく、従来ガラス糸を製造することだけが可能であったところで製造され得る。実際、複合糸の製造のためにすでに提案された装置は、一般的に、熱可塑性フィラメントのダイよりも上方に、ガラス糸またはフィラメントのシートの入口を必要とする。従って、高い水平面でガラスフィラメントのダイを設置することになる。これは、一般的に構造の完全な変更を導く。
【0027】ローラー9の周囲の通過の後、熱可塑性フィラメントのシート10は、例えば三つのドラムからなる、ドラムタイプの引き出し装置11を通過する。これらのドラムは、熱可塑性フィラメントの進行方向に加速がつくように、同じ速度で回転することができ、あるいは異なる速度で回転することができる。また、熱可塑性フィラメント5の引き出しおよび巻取り張力の間で、分離が維持できる。さらに、ガラスシート14中に、熱可塑性材料が投入する速度を非常に正確に調節できるように、非常に容易にドラムの速度を変えることができる。
【0028】次に、シート10は、デフレクターローラー12およびベンチュリ装置13から構成された装置を通過する。このベンチュリ装置13は、ダイ1から流れるガラスフィラメント14のシートに、シート10の形状として熱可塑性フィラメントの配置および投入を確実にするものである。ベンチュリ装置13は、熱可塑性フィラメントの分離を維持しながら、すでにコーティングされたガラスフィラメント14のシートに、熱可塑性シート10の投入のみを確実にする。一方、ベンチュリ装置13は、シート10に対して速度を増すことを全く行わないので、最小の圧縮空気がガラスフィラメントのシート上に投射される。この方法において、熱可塑性フィラメントの投入に加え、圧縮空気の供給により生じるガラスフィラメントのシートにおける動揺の危険性は可能な限り制限される。
【0029】ベンチュリ13の反対側、従って熱可塑性フィラメントの投入側の反対側には、例えば適切な形状のプレートのバッフル15が配置されている。ガラスフィラメント14のシートの背部に配置されているバッフルプレート15は、ガラスフィラメント14のシートへの、熱可塑性フィラメントの通過を制限することができる。フィラメントの相互侵入の間、熱可塑性フィラメントの低いかさにより、ガラスフィラメントの損失または破損の危険性が制限される。
【0030】この相互侵入後、熱可塑性フィラメントは、下降する空気に引き起こされた効果、重力、ガラスフィラメント間のグリップ、巻き取り、二つのタイプのフィラメントの間の交差および摩擦により、ガラスフィラメントのシートと同じ方向に自然に進む。
【0031】例えばモーターで動作する補助的な“案内”ローラー27および“プレッサー”ローラー17を導入することにより、この装置をわずかに変更することができる。このように変更された装置を図2に示す。ここで熱可塑性フィラメントは、二つのシートの接合が、“プレッサー”ローラー17の母線上で行われるように、ガラスフィラメントと混合される。この図2において、熱可塑性フィラメントは、他の技術によりガラスフィラメントと混合されている。その技術は、熱可塑性フィラメントを、“案内”ローラー27とガラスフィラメントとの混合が行われる“プレッサー”ローラー17との間に案内することからなる。この案内技術は、熱可塑性フィラメントのシートの形状寸法を非常に明確に決定するという有利さを有し、従ってガラスフィラメントとの非常に均一な混合を可能にする。
【0032】ガラスフィラメントと熱可塑性フィラメントの組立体は、続いて、これらのフィラメントをお互いに組み立て、複合糸6を形成することのできる装置16上を通過する。この複合糸6は、長さあたりの所望する嵩が得られるように、一定に維持された、設定された直線的な速度でガラスフィラメントが引き出し可能である装置(図示せず)により、直ちにスプール3の形状となる。
【0033】本発明によれば、ドラムタイプの引き出し装置11によりシート10に対して設定された速度は、ガラスフィラメントのための引き出し装置に設定された速度よりも速い。この方法において、各フィラメントの相互侵入の際、熱可塑性フィラメントは、ガラスフィラメントの速度よりも速い速度で到達する。実際、本発明の装置は、ガラスフィラメントとの混合時、熱可塑性フィラメントの過引き出しが可能である。製造された複合糸6は、最初は、直線ガラスフィラメントおよび波打ちを有する熱可塑性フィラメントから構成されている。この波打ち現象の傾向は、熱可塑性フィラメントに伝達される加えられた速度、すなわち引き出し装置11とスプール3を形成する装置の引き出し速度の間の差に依存する。速度におけるこの差が大きくなればなるほど、熱可塑性フィラメントが有する波打ち現象の傾向も大きくなる。従って、熱可塑性材料の性質(すなわち収縮)が分かれば、収縮後、直線フィラメントの組立体を含有する複合糸6が得られるように、この速度の差を決定することができる。また、収縮後もいまだに波打っている熱可塑性フィラメントを有する高い充填容量の複合糸6が得られるようにも、この差を決定することができる。この複合糸の最後のタイプは、布帛に厚さを与えるので、ある織りの用途に有利である。
【0034】従って、この技術は、従来の製造されたものと対照的に、ガラスフィラメントによる波打ち現象をもはやもたないものであり、問題なく巻きほどくことができる。さらに、スプールはもはや変形していないので、コアチューブを除去することができ、このことによりこれは再利用可能であり、内側からスプールを巻きほどくことができる。一方、ガラスフィラメントは直線として残り、これらの複合糸から製造された構成部分において、一方向性の強化材(これが望まれるとき)としての機能を十分に満たしている。
【0035】図1および図2に示された装置の表現において、熱可塑性フィラメントは、シートの形状においてすでにコーティングされ且つ組み立てられたガラスフィラメントと混合される。他の可能な認識において、図3に示されるように、ダイとコーティングローラーの間のガラスフィラメント上に熱可塑性フィラメントを投入することもできる。この目的のために、ローラー12、ベンチュリ13およびバッフル15(この図には示さず)は、図1とは異なって配置されている。この他の形態によれば、熱可塑性フィラメントのシート18は、ガラスフィラメント19の束中に投入され、表面だけではなく、集合体をなしている。従って、この装置は、もはやシート−シート混合ではなくシートとかさの混合を許し、これは先の場合よりも良好な均一性が導かれる。対照的に、ガラスフィラメントがコーティングまたはサイズされるよりも前に、この上に熱可塑性フィラメントを投入することは、破損の危険性を増加させるであろう。次に、フィラメントの混合物がコーティングローラー20上を通過し、コーティングまたはサイジング溶液でフィラメントが全体にわたリコーティングされる。ローラー20上の通過の後、フィラメントの組立体全体は、シート21の形状となり、その後複合糸の形状にフィラメントを組み立てるための装置(図示せず)上を通過し、引き出し装置上に巻き取られる(図示せず)。
【0036】図4は、コーティングローラー22の中央領域で組み立てが可能である装置を記載している。熱可塑性フィラメント23とガラスフィラメント24とのシートの組み立ては、ガラスフィラメント24がシートの形状をとるときに、コーティングローラーの母線上で行われる。この装置は、フィラメントの束への投入による破損の危険性を避けることができ、熱可塑性フィラメントとガラスのシートとの混合の間、フィラメントの相互混合の均一性を最適化する。実際、組み立てる場所の方向に集まるガラスフィラメントのシートは、形成される場所、すなわちコーティングローラー上で最も広い幅を有する。この最大幅は、二つのガラスフィラメント間の最も広い間隔に相当し、投入の際、フィラメントの可能な限りの均一な混合を確実にしている。この形態は、例えばベンチュリ装置による投入による、あるいは案内ローラーによる案内によるフィラメントの混合を可能にする。また、案内ローラーの機能は、コーティングローラーを囲む装置により満たされるので、バッフルプレートの使用を省略することができる。
【0037】図5a、b、cは、異なる方法により製造された複合糸の概略的な断面を示すのである。図5aは、本発明により製造された複合糸の断面を表している。熱可塑性フィラメント25とガラスフィラメント26の均一な分散が観察される。複合糸の良好な均一性は、複合糸の良好な凝集を導く。図5bおよび5cは、例えば環状ダイの熱可塑性用ダイを用いた、糸−シートの組み立て(図5b)か、あるいはシート−シートの組み立て(図5c)による、他のプロセスにより製造された複合糸の断面図を示している。これら両方の場合において、フィラメントの分散は、均一ではなく、糸の中心は、ガラスフィラメント26'、26''のための特異的領域であるが、熱可塑性フィラメント25'、25''は、周囲に向かって多くなっている。シート−シート組立体は、良好な均一が導かれていることが分かるであろう。
【0038】記載された装置には、幾つかの変更を提供することができる。第1に、コーティング溶液は、化学線の作用によりコーティング物質の化学変換を開始することのできる光開始剤を含むことができる。このようなコーティングは、複合糸の凝集をさらに増加させることができる。これを行うために、複合糸に続く通路に沿って、組立装置とスプールを製造できる装置の間に紫外線タイプの照射源を設けることのみが必要となる。熱処理により活性化する熱開始剤もまた用いることができる。
【0039】複雑な複合糸、すなわち異なる熱可塑性有機材料を含む複合糸の製造に本発明を組み入れることができる。この目的のために、ガラスフィラメントへのの投入の前に、例えば複数の引き出しヘッドから製造され、且つあらかじめ組み立てられた異なる種類のフィラメントを投入することができる。
【0040】
【発明の効果】フィラメントが均一に混合され、得られる複合糸には波打ち現象が見られず、安定である複合糸の製造方法およびそのための装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による装置の構成図である。
【図2】図2は、本発明による装置の構成図である。
【図3】図3は、第2の態様の構成図である。
【図4】図4は、第3の態様の構成図である。
【図5】図5a、b、cは、本発明および従来の技術により製造された複合糸の断面構成図である。
【符号の説明】
1 ダイ
2,14,19,24,26 ガラスフィラメントの束
3 スプール
4,20,22 コーティングローラー
5,10,18,23,25 熱可塑性フィラメント
6 複合糸
7 引き出しヘッド
11 ドラムタイプの引き出し装置
12 デフレクターローラー
13 ベンチュリ装置
15 バッフルプレート
17 プレッサーローラー
27 “案内”ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダイ(1)から出る連続ガラスフィラメント(2、14、19、24、26)および少なくとも一つの引き出しヘッドから出る熱可塑性有機材料の連続フィラメント(5、10、18、23、25)の組み合わせにより形成される複合糸(6)の製造方法において、該熱可塑性フィラメント(10、18、23)がシートの形状において、該ガラスフィラメントの束またはシート(2、14、19、24)と混合され、および、該ガラスフィラメント(2、14、19、24)の束またはシートに侵入するときの該熱可塑性フィラメント(10、18、23)の速度が、該ガラスフィラメント(2、14、19、24、26)の引き出し速度よりも速いことを特徴とする、複合糸の製造方法。
【請求項2】 熱可塑性フィラメント(18)が、ダイ(1)の底部とコーティング装置(20)との間で、ガラスフィラメントの束(19)と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】 ガラスフィラメント(24)がコーティングされるコーティングローラー(22)の母線上で、熱可塑性フィラメント(23)がガラスフィラメントと混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】 熱可塑性フィラメント(10)が、コーティングローラーの下流でガラスフィラメントのシート(14)と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】 熱可塑性フィラメント(10、18、23)の速度が、複合糸の所望するかさが得られるように決定される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】 熱可塑性フィラメントがシートの形状において、ガラスフィラメントの束またはシート上に投入される、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】 連続ガラスフィラメント(2、14、19、24、26)および熱可塑性有機材料の連続フィラメント(5、10、18、23、25)の組み合わせから生成される複合糸の製造のための装置であって、該装置は、一方では、多数のオリフィスをその底面に備えた、ガラスが供給される少なくとも一つのダイ(1)とコーティング装置(4、20、22)を有し、また一方では、多数のオリフィスをその底面に備えた、溶融熱可塑性材料が供給される少なくとも一つの引き出しヘッド(7)、お互いを組み立て、且つ該複合糸を引き出すことのできる、該ダイおよび該引き出しヘッドに共通の手段(3、16)を含有し、ここで、該熱可塑性有機材料のためのダイ(7)が、ドラムを含むタイプの速度変更可能な引き出し装置(11)および該熱可塑性有機フィラメントを該ガラスフィラメントと混合可能にする手段(13、27)と組み合わされていることを特徴とする、複合糸の製造のための装置。
【請求項8】 熱可塑性フィラメントとガラスフィラメントとの混合を可能にする手段が、ベンチュリ装置(13)である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】 ベンチュリ装置(13)が、ガラスフィラメントの背部におかれたバッフル(15)と反対側に配置される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】 熱可塑性フィラメントとガラスフィラメントとの混合を可能にする手段が、“案内”ローラー(27)および“プレッサー”ローラー(17)から構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】 デフレクターローラー(9)が、ダイ(7)とドラムタイプの引き出し装置(11)の間におかれる、請求項7ないし10のいずれか1項に記載の装置。

【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【特許番号】特許第3258790号(P3258790)
【登録日】平成13年12月7日(2001.12.7)
【発行日】平成14年2月18日(2002.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−290935
【出願日】平成5年11月19日(1993.11.19)
【公開番号】特開平6−220731
【公開日】平成6年8月9日(1994.8.9)
【審査請求日】平成12年7月6日(2000.7.6)
【出願人】(592230254)ヴェトロテックス・フランス・ソシエテ・アノニム (1)
【氏名又は名称原語表記】VETROTEX FRANCE S:A:
【参考文献】
【文献】特開 平4−222246(JP,A)
【文献】特開 昭58−60032(JP,A)