説明

複屈折板及び液晶表示素子

【目的】複屈折板による干渉色補償効果が画面内で均一で、色むら等のない見栄えの良い液晶表示素子を得る。
【構成】液晶表示素子の干渉色補償用の複屈折板として、基板11上に液晶性モノマー14等の液晶性化合物からなる層を形成し、磁場、電場、基板配向処理によって所定の方向に配向させ、その配向状態を固定して形成してなる複屈折板を用いることを特徴とする液晶表示素子。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、両電極間の液晶分子のツイスト角を大きくして、鋭い電圧−透過率変化を起し、高密度のドットマトリクス表示をする方法として、スーパーツイスト素子[ T.J.Scheffer and J.Nehring ,Appl.,Phys.,Lett.45 (10) 1021-1023 (1984)]が知られていた。
【0003】しかし、この方法は用いられる液晶表示素子の液晶の屈折率異方性△nと液晶層の厚みdとの積△n・dの値が実質的に0.8〜1.2μmの間にあり(特開昭60−10720号)、表示色として、黄緑色と暗青色、青紫色と淡黄色等、特定の色相の組み合せでのみ、良いコントラストが得られていた。
【0004】このようにこの液晶表示素子では白黒表示ができなかったことにより、マルチカラーフィルターと組合せて、マルチカラーまたはフルカラー表示ができない欠点があった。
【0005】一方、同様な方式を使用し、液晶の屈折率異方性と厚みとの積△n・dを0.6μm付近と小さく設定することにより、ほぼ白と黒に近い表示が得られる方式が提案されている( M.Schadt et al,Appl.Phys.Lett.50(5)1987,p.236 )。
【0006】しかし、この方式を使用した場合においては表示が暗く、かつ、最大コントラストがあまり大きくなく、青みを帯びるため、表示の鮮明度に欠ける欠点があった。
【0007】また、白黒表示でかつコントラストの高い液晶表示素子として、互いに逆らせんの液晶セルを2層積層し、一方のセルのみ電圧を印加し、他方のセルは単なる光学的な補償板として使用する方式が提案されている[奥村ほか、テレビジョン学会技術報告、11(27),p.79(1987) ]。
【0008】しかし、この方式は2層セルでの△n・dのマッチングが非常に厳しく、歩留りの向上が困難なうえ、液晶セルが2層必要なため、液晶セルの薄く軽いという特長を犠牲にしている欠点があった。
【0009】これらの問題を解決するために、ほぼ平行に配置された配向制御膜を有する一対の透明電極付きの基板間に挟持された旋光性物質を含有した誘電異方性が正のネマチック液晶によるねじれ角が160〜300°の液晶層と、この液晶層を挟持する上下の基板の透明電極間に電圧を印加する駆動手段とを有し、この液晶層の外側に少なくとも1枚の複屈折板と一対の偏光板を設置した液晶表示素子が提案されている。
【0010】これによれば、従来の二層式スーパーツイスト液晶表示素子と比べてより薄く、軽くてコンパクトな白黒表示液晶素子が得られる。
【0011】一方、ホモジニアス配向した液晶層を用いて、その複屈折効果を利用したいわゆるECB液晶素子についても、これを白黒化するために上記の複屈折板を用いることが提案されている。このように液晶素子に複屈折板を組み合せて用いることには、様々な用途がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】かかる複屈折板を製造する方法として、従来にはいわゆる精密熱プレス法が知られている。
【0013】しかしながら、この方法によるフィルムは、大面積のものは面内方向に光軸が生じるため、一様な屈折率を得にくく、表示むらの原因となるという欠点を抱えている。また、液晶表示素子の製造上からも、複屈折板をセル表面に貼りあわす工程が必要であり、工程数が多くなるのみならず、貼り付けの不均一に起因する表示むらを防ぐことはきわめて難しい。
【0014】また、このような複屈折板において、nx >nz >ny (x、yは面内、zは厚さ方向の屈折率)というものを用いて広視角化すること、nx >nz =ny といういわゆる負の一軸性の複屈折板と、通常の正の一軸性の複屈折板とを組み合わせることにより、広視角化する提案がなされている(特開平2−264919号、特開平2−291519号)。
【0015】前者のような複屈折板で均一性の高いものを得ることはきわめて難しい。また、後者のような場合においても、貼り合せの工程が多くなることにより、貼り付けの不均一の問題が大きい。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の問題点を解決すべくなされたものであり、基板上に硬化時に液晶性を示す化合物を含む組成物からなる層を形成した後、磁場または電場によって所定の方向に配向させつつ硬化を行い、その配向状態を固定して形成してなる複屈折板、及び、表面を配向処理した一対の基板間に硬化時に液晶性を示す化合物を含む組成物からなる層を挟持して、該液晶性を示す化合物を配向させて硬化を行い、その配向状態を固定して形成してなる複屈折板、並びにそれを用いた液晶表示素子を提供するものである。
【0017】ここで、液晶性化合物とはそのものが単独で液晶性を示すもの、組成物として液晶性を示すもののいずれでもよい。少なくとも基板上に膜形成する時点では流動性を有する必要がある。液晶モノマー、オリゴマーもしくはその混合物、ないしは高分子液晶などで加熱もしくは溶剤に溶解するなどして流動性を持たせるようにしたものがある。液晶性モノマー、オリゴマーとは光やラジカル触媒によって重合できる液晶性化合物である。また、その配向状態を固定するためには、液晶モノマー等の場合は光等のエネルギー照射などにより重合させてポリマーとする方法が採用できる。一方、高分子性液晶の場合は温度降下、溶媒揮散により配向状態が固定される。
【0018】かかる液晶性モノマーとしては例えば、 CnH2n+1−Ph−Ph−CN、 CnH2n+1−Cy−Ph−CN、 CnH2n+1−Ph−COO −Ph−CN、 CnH2n+1−Ph−COO −Ph(F) −CN、 CnH2n+1−Cy−COO −Ph−O( CmH2m+1)、 CnH2n+1−Cy−Ph−O( CmH2m+1) 、 CnH2n+1−Cy−Ph−Ph−CmH2m+1 、 CnH2n+1−Cy−C2H4−Ph−Ph(F) −CmH2m+1 (Phはベンゼン環、Cyはシクロヘキサン環、またPh(F) はベンゼン環の Hの1つが Fと置換したものを示す)等に重合基を化学的に付加、または置換した化合物を使用することができる。
【0019】また、この場合の重合基としてはアクリル基、メタクリル基の他、α−クロロアクリレート基、スチリル基、ビニル基、ビニルエステル基、ビニルケトン基などを挙げることができる。
【0020】液晶モノマーとして、光重合性のものを用いる場合、通常、液晶性を乱さない範囲において光開始剤を加えておくことができる。かかる光開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルエーテル、ベンジルジメチルケタール、チオキサントン及びこれらの誘導体を挙げることができる。
【0021】高分子性液晶としては、サーモトロピック型とライオトロピック型のいずれをも用いることができる。サーモトロピック型の場合は加熱して、ライオトロピック型の場合は溶媒に溶かすことにより、流動性を持たせ、自由に配向できるようになる。サーモトロピック型の例としては、ポリメタクリレート系のH(CH2CH(CH3))n-COO(CH2)2-O-Ph-COO-Ph-Ph-CN、また、ライオトロピック型の例としては、ポリ−γ−ベンジル−L−グルタメート等が挙げられる。
【0022】これら高分子性液晶、液晶性モノマーはそのままあるいは粘度を100cps以上10000cps以下にするために液晶性ポリマー、溶剤、非液晶性ポリマーと混合して基板上に塗布される。その厚みは所望の複屈折により異なるが、1〜100μmが好ましい。
【0023】このようにして塗布された膜の分子の配向を制御する手段としては、例えば、磁場を用いるものがある。その方法を示したのが図1である。液晶性モノマー14が正の磁化率異方性を有するときは所望の傾きをθとすると、基板11を磁石12、13の磁力線の向きから角度θだけ傾ける。磁場の強度は5Kガウス程度以上が好ましい。液晶性モノマー14の重合は、磁場中で行ってもよいし、磁場から取り出して別に行ってもよい。重合は、光重合可能な液晶性モノマーを使用して光重合により行なう方法が、簡便でかつ配向性が乱れにくい利点がある。
【0024】また、磁場と同様に配向制御の手段として電場を用いることもできる。配向力として電場をかけるために、基板としては導電性のある金属板、あるいは、透明導電膜つき基板をもちいて液晶を塗布するか、挟持することが好ましい。コロナ放電を用いることもできる。磁場を使う場合は基板の種類を問わない。使用する液晶の、誘電率異方性、磁化率異方性が正の場合は、電場、磁場の方向に配向し、負の場合は垂直に配向する。
【0025】基板の配向処理による場合、基板の配向処理の方法は多岐にわたる。複屈折板の用途、所望の複屈折等により、基板に対して平行、垂直、斜めなどの配向を施すことができる。平行配向方法としては、ポリイミドのような有機ポリマーを塗布しラビングする方法、ラングミュアプロジェット膜を用いる方法、平行配向を生じる配向剤を塗布する方法などが挙げられる。垂直配向法としては長鎖アルキル基を有するシランカップリング剤を塗布する方法などが挙げられる。斜め配向方法としては、一酸化珪素の斜め蒸着法や比較的高チルト角のSTN用配向膜を用いる方法、ポリイミド膜のエージング処理による方法がある。。
【0026】以上説明したような方法を用いて、配向がなされたらその状態を固定する。光重合性液晶の場合は著しい温度上昇が光照射によって生じないように行うことが好ましい。高分子液晶の場合は配向を乱さないように徐冷するか、もしくは溶媒揮散する。
【0027】2枚の配向処理した基板間に前記液晶性化合物の層を挟み、2枚の基板の向きを変化させたり、複数の配向処理法を組み合わせることにより、任意の方向に配向させることが可能である。配向に用いた基板は液晶性化合物の配向が固定された後、剥離されてもよい。
【0028】液晶表示素子の広視角化において重要な複屈折板は、前述したように、面内で直交する屈折率をnx 、ny 、厚み方向の屈折率をnz とすると、nx >nz >ny となるもの、または、nx =nz >ny となるものである。前者のようなものは、表面の一方が垂直配向し、一方が平行配向したハイブリッド配列ネマチック方式(HAN)と呼ばれる配向をさせて得られる複屈折板(ハイブリッド型複屈折板)、および両基板に対し液晶分子のディレクタが斜めに向いている複屈折板(チルト型複屈折板)、チルト型複屈折板二枚を液晶分子のディレクタの向きが非平行になるように貼りあわせた複屈折板(シェブロン型複屈折板)があり、後者の例として、2枚のホメオトロピック処理された基板で挟持して得られる複屈折板(ホメオトロピック複屈折板)がある。
【0029】ここでディレクタとは、複屈折板の全体を巨視的に眺めたとき、分子長軸が優先的に配向している方向の単位ベクトルをいう。
【0030】チルト型複屈折板を得るための方法としては、前述の磁界、電界による配向、、一酸化珪素の斜め蒸着法や比較的高チルト角のSTN用配向膜を用いる方法、ポリイミド膜のエージング処理による方法が挙げられる。傾き角の大きさは、基板に対して、通常、10〜80°でよく、好ましくは30〜60°である。
【0031】シェブロン型複屈折板の製造は、チルト方複屈折板の製造を2回繰り返すことで行うことができる。すなわち1層目に右上方向にチルトする層を設け、続いて左上方向にチルトする層を設けるなどの方法である。
【0032】本発明の複屈折板は複屈折(Δn・d)が通常0.1〜2.0μmの範囲であり、複屈折板厚は、液晶素子の複屈折にもよるが、数μmから数十μm程度が好ましい。
【0033】本発明の複屈折板の製造においては、複屈折板の板厚が均一であることが重要である。厚さを均一にするために通常の液晶表示素子を製造するのと同様、スペーサを使用することができる。
【0034】以上のように製造された複屈折板を用いて液晶素子を形成するが、このとき、液晶素子としては通常用いられるものが一般に適用できる。液晶素子用基板は、通常は基板上に電極、具体的にはITO(酸化インジウム−酸化スズ)や酸化スズの透明電極、クロム、アルミニウム等の不透明電極等が形成されるとともに液晶配向膜が形成されている。さらに、この電極の下に基板からのアルカリの溶出の防止の目的の絶縁膜、偏光膜、カラーフィルター膜等のアンダーコート膜を形成していてもよく、電極の上に絶縁膜、カラーフィルター膜、光透過防止膜等のオーバーコート膜を形成していてもよい。これらの電極を絶縁膜を介して2層構造にしてもよいし、TFT、非線形抵抗素子等の能動素子を形成していてもよい。これらの電極、アンダーコート、オーバーコート、その他のセル内の構成は従来の液晶表示素子の構成が使用可能である。
【0035】このようにして形成された基板を使用してセル化し、内部に液晶を注入して、注入口を封止する。この封入される液晶としては、通常のネマチック液晶のほか、二色性色素を添加した液晶や、強誘電性液晶(SmC* 液晶)等種々の液晶が使用できる。セルの両側もしくは片側に本発明にかかる複屈折板が配置される。更に、セル用の基板として基板上に複屈折板を形成したものをそのまま用いることも可能である。
【0036】また、このようにして製造された液晶セルの外面に、一対の偏光板を設けるとともに必要に応じて、文字、図形、光不透過層、カラーフィルター等を印刷したり、光の無反射層を形成したり、反射板、導光板、照明を配置する。
【0037】なお、本発明では、干渉色補償用の複屈折板を用いるので、液晶のねじれが大きい用途に適している。このため、一対の基板の配向膜の配向処理方向が160〜360°ねじれとなるようにされている液晶表示素子に適している。さらに、この基板の両外面に一対の偏光膜が配置され、夫々の偏光軸がそれに隣接する配向方向に対して20〜70°ずらされているスーパーツイステッドネマチック(STN)LCDに使用することが好適である。
【0038】即ち、液晶のねじれ角を160〜360°とし、かつ本発明の高チルト角の配向膜を用いることにより、配向異常を生ずることなく、かつ高コントラストの液晶表示素子を容易に得ることができる。このSTNLCDに使用される液晶としては、誘電率異方性が正の液晶が使用され、種々の液晶を混合して作成されればよい。
【0039】
【実施例】
実施例1エチレンクロルヒドリンとp−オキシ安息香酸のエタノール/水混合溶液に水酸化カリウムを作用させて得られるエーテル化合物に、メタクリル酸クロリドを反応させエステル化した。これを塩化チオニルで酸クロリドとし、テトラヒドロフラン中ピリジンの存在下、p−オキシ安息香酸とカップリングさせ、液晶性モノマーを得た。この相転移温度は、固相→ネマチック相(134℃)、ネマチック相→アイソトロピック相(175℃)、アイソトロピック相→ネマチック相(160℃),ネマチック相→固相(115℃)であった。
【0040】次に、これに光開始剤としてベンジルジメチルケタール(商品名イルガチュア651、チバガイギー製)を0.1%加え、これをITO付きガラス基板でギャップが10μmのセルを作成し、真空注入法で液晶を注入した。このセルを約150℃に保ち20V、60Hzの交流電場をかけ、垂直配向していることを確認した。この状態で約100mJ/cm2 の紫外線を照射した。このセルの屈折率異方性を大塚電子製MCPD−1000で測定したところ、厚さ方向に0.3μmの大きさの屈折率異方性を有し、面内方向の屈折率異方性は検知されなかった。
【0041】実施例2N,N−ジメチル−N−オクタデシル−3−アミノプロピルトリメトキシシリルクロリド(DMOAP、ダウコーニング製[XZ−2−2300])を塗布した2枚のガラス基板に、実施例1と同一の液晶を挟み、ホメオトロピック配向させた。これに高圧水銀灯で紫外線を50mJ/cm2 照射した。
【0042】このセルは8μmのセルギャップで、厚さ方向にのみ約0.2μmの複屈折を持っていた。
【0043】実施例3実施例1の液晶性モノマーに光開始剤としてベンジルジメチルケタール(商品名イルガチュア651、チバガイギー製)を0.1%及び溶媒を混合し、スピンコート法で膜厚が8.7μmの均一膜をガラス基板上に形成した。窒素雰囲気下でこの膜を約150℃に保ち9Kガウスの磁場中、磁力線に対し55°に膜の角度を制御した。この状態で約100mJ/cm3 の紫外線を照射した。
【0044】このようにして得られた複屈折板は波長546nmにおけるΔn・dを測定したところ、0.59μmであった。また、nx =1.508,ny =1.440,nz =1.472となっていた。
【0045】実施例4N,N−ジメチル−N−オクタデシル−3−アミノプロピルトリメトキシシリルクロリド(DMOAP)をガラス基板に塗布し、垂直配向性の基板を作成した。また、ポリイミド配向膜のS−100(日産化学製)を塗布、焼成した後ラビングして、平行配向性の基板を作成した。この2種の基板でギャップが8μmの液晶セルを実施例2と同様に作り、実施例1の液晶性モノマーを真空注入した。透明温度以上に加熱してから徐冷して、所望の配向状態に固定した。約150℃の温度にセルを保ちながら約100mJ/cm2 の紫外線を照射してその配向状態を固定した。
【0046】この複屈折板の複屈折は、波長546nmにおいて、Δn・dとしては0.58μmであった。また、nx =1.518,ny =1.442,nz =1.466となっていた。
【0047】実施例5実施例1の液晶性モノマーと磁力による配向方法を用い、スピンコート法で膜厚が4.3μmの均一膜厚の膜をガラス基板上に形成した。配向時には、磁力線に対して約55°に膜の角度を制御し、この状態で約100mJ/cm2 の紫外線を照射した。続いて、さらにスピンコート法で膜厚が4.3μmの均一膜厚の膜をこの基板上に形成した。この場合は、先に制御した方向を逆方向に、磁力線に対して約55°に膜の角度となるように制御し、この状態で約100mJ/cm2 の紫外線を照射した。このようにして得られた複屈折板は波長546nmにおけるΔn・dを測定したところ、0.29μmであった。また、nx =1.508,ny =1.440,nz =1.472となっていた。
【0048】実施例6、7、8実施例3、4、5の複屈折板を用いて図2に示したようなSTN型液晶素子を作成した。すなわち、ガラス板から成る透明基板1A、1B上に面抵抗15Ω程度のITOのストライプパターンからなる透明電極2A、2Bを形成し、この上にポリイミドLQ1800(商品名、日立化成工業製)を0.06μmの厚さになるように塗布、焼成して膜形成した。
【0049】この膜をラビング布を用いてラビングした。このような基板を2枚用意し、1枚にはスペーサーを散布し、他の1枚にはセルの周辺に注入孔を残してシール材(商品名ストラクトボンド、三井東圧化学製)を印刷して形成した。
【0050】両基板と熱圧着してセル形成した後、240°ツイストされたネマチック液晶4(ZLI−2293(商品名、メルク製))を封入して液晶パネルを作成した。
【0051】その片側に実施例3の複屈折板5を配置して、更に両側に偏光板6A、6Bを配置した。
【0052】得られたSTN型液晶表示素子に電圧を印加し、その透過率変化を調べた結果、良好なしきい値電圧特性が得られ、1/200デューティ、1/15バイアスで駆動を行っても、複屈折板による干渉色補償効果が均一で、視角が広く、見栄えの良いものであった。
【発明の効果】本発明によれば、複屈折板による干渉色補償効果が画面内で均一で、色むら等のない見栄えの良い液晶表示素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る方法を示す概念的断面図
【図2】本発明の液晶表示素子の構成の一例を示す概念的断面図
【符号の説明】
1A、1B:透明基板
2A、2B:透明電極
3:シール材
4:ネマチック液晶
5:複屈折板
6A、6B:偏光板
11:基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】基板上に硬化時に液晶性を示す化合物を含む組成物からなる層を形成した後、磁場または電場によって所定の方向に配向させつつ硬化を行い、その配向状態を固定して形成してなる複屈折板。
【請求項2】表面を配向処理した一対の基板間に硬化時に液晶性を示す化合物を含む組成物からなる層を挟持して、該液晶性を示す化合物を配向させて硬化を行い、その配向状態を固定して形成してなる複屈折板。
【請求項3】一対の電極付基板間に液晶層を挟持してなり、かつ液晶層によって生ずる干渉色補償のための複屈折板を該液晶層の少なくとも一方の側に備えてなる液晶表示素子において、前記複屈折板として、請求項1または請求項2の複屈折板を用いることを特徴とする液晶表示素子。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate