説明

複層織物組織

【課題】クッション性、保温性に優れた複層織物組織を提供する。
【解決手段】経糸と緯糸で絡合された上側織物組織1と下側織物組織2と1以上の中間織物組織3と、上側及び下側織物組織に絡合され、上下の織物組織の間に存する中間織物組織3を支持する支持糸4からなる複層織物組織であって、支持糸4は上下の織物組織の経糸にそれぞれ直交して絡合され、中間織物組織3は、上記支持糸4で係止され上記上側織物組織1と上記下側織物組織2と上記中間織物組織3の間に空間αを形成する構造が形成され、かつ、上記支持糸4は織物組織の経糸方向に向かい、所定の間隔をおいて順次絡合されていることで、クッション性と保温性の確保を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスや座布団、クッション等の家具に好適な複層織物組織に関する。
【背景技術】
【0002】
織物組織の先行技術には、特開2006−241604号公報、特開2006−241603号公報、特開平5−287635号公報がある。これらの織物組織は上側織物組織と下側織物組織を接結することでクッション性、保温性等を確保するアイデアである。
しかし、これら2重織物組織では、上側織物組織と下側織物組織間の空間が大きいために上下からの圧力に対して容易に織物組織が潰れ、また空間の体積が大きいために暖かい空気も容易に漏出してしまって、保温性も確保できないという問題があった。
【特許文献1】特開2006−241604号公報
【特許文献2】特開2006−241603号公報
【特許文献3】特開平5−287635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の織物組織に比して、よりクッション性、保温性に優れた複層織物組織を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
経糸と緯糸で絡合された単層の織物組織である上側織物組織と下側織物組織と1以上の中間織物組織と、上記上側織物組織及び上記下側織物組織に絡合され、上側織物組織と下側織物組織との間に存する中間織物組織を支持する支持糸からなる複層織物組織であって、上記支持糸は上記上側織物組織及び上記下側織物組織の経糸にそれぞれ直交して絡合され、上記中間織物組織は、上記支持糸で係止され、上記上側織物組織及び上記下側織物組織から所定の距離をおいて支持され、上記上側織物組織と上記下側織物組織と上記中間織物組織の間に空間を形成する構造が形成され、かつ、上記支持糸が、上記上側織物組織及び上記下側織物組織の経糸間を緯糸方向に向かい、上記支持糸同士が密接に隣接して、かつ、直線的に経糸に絡合されており、上記支持糸は上記上側織物組織及び上記下側織物組織及び上記中間織物組織の経糸方向に向かい、所定の間隔をおいて順次絡合されていることを特徴とする複層織物組織とした。
【発明の効果】
【0005】
上述した複層織物組織は、前述の2重織物組織により生ずる空間に比して、支持糸が上側織物組織と下側織物組織にある経糸間を緯糸方向に密接に隣接して絡合されており、かつ経糸方向に一定間隔をおいて順次絡合されていること、及び複数の中間織物組織も支持糸を挿通され、上側織物組織と下側織物組織との間に係止されることから、多数の小体積の空間が生ずる構造になり、各空間がある程度密閉されたものになるため、すぐれた保温性を確保することができる。また、支持糸も、密接に隣接しているため強度も確保でき、よりすぐれたクッション性を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は本発明の複層織物組織の一実施例の構造を示した正面図であり、図2は同じく本発明の複層織物組織の一実施例の構造を示した側面図であり、図3は同じく本発明の複層織物組織の一実施例の構造を示した斜視図である。
図中の符号のうち、1は上側織物組織、2は下側織物組織、3は中間織物組織、4は上側織物組織と下側織物組織の経糸と直交して絡合された支持糸であり、αは上側織物組織と下側織物組織と中間織物組織の間に形成された空間である。
【0007】
このうち、各織物組織は、平織り、綾織り、しゅす織りのいずれによっても良い。
また、中間織物組織は、一つのみならず、複数あっても良い。
また、支持糸は、絹、ウール等の原料を問わないが、番手の大きい、太い糸が望ましい。
【0008】
本発明の複層織物組織の製造方法は、一般の織り機を用いて実現することができる。すなわち、経糸に緯糸を交差させて製造する織物組織であれば、本願複層織物組織を制作することができる。
図1は平織りにより制作された複層織物組織である。上側織物組織1、下側織物組織2、上側織物組織1と下側織物組織2の間にある二つの織物組織が中間織物組織3である。
【0009】
まず、平織りの四重織りを織り進める。四重織りを織り進めることで、上側織物組織1と下側織物組織2と中間織物組織3が順次形成されることになる。
任意の部分まで織り進めた後、緯糸方向に向かって上側織物組織1の端から経糸と経糸の間に支持糸4を引っ掛け、その後、さらに支持糸4を中間織物組織3に挿通する。
その後、支持糸4を下側織物組織2の経糸と経糸の間に引っ掛けて、さらに中間織物組織3に挿通した後に、上側織物組織1の経糸と経糸の間に引っ掛けることで各織物組織を支持糸で絡合する。
支持糸4は互いに密接に隣接し、かつ、緯糸方向に向かって直線的に、上側織物組織1及び絡下側織物組織2に絡合されていることが望ましい。
【0010】
中間織物組織3は、支持糸4が挿通されることにより上側織物組織1と下側織物組織2との間に係止され、上側織物組織1と下側織物組織2から所定の距離をおいて支持される。
当該距離は等間隔であることが望ましい。この構造により空間αが形成される。
上側織物組織1及び下側織物組織2、中間織物組織3のそれぞれ端の経糸から緯糸方向の反対側の経糸まで上記作業を繰り返す。
各織物組織の端まで支持糸と各織物組織の絡合がされると、平織りの4重織りを任意の部分まで織り進める。経糸方向に向かって、支持糸4同士の間隔は等間隔であることが望ましい。
【0011】
ここで、支持糸4を経糸方向に向け、平織りの四重織りの作業の際に、支持糸4を経糸に絡合させ、任意の部分まで織り進めた後に、上側織物組織1又は下側織物組織2の経糸と経糸の間に支持糸4を引っ掛ける作業を再開してもよい。
上記の作業を順次続けることで、本願発明に係る複層織物組織を製造することができる。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る複層織物組織の実施例を示す正面図である。
【図2】本発明に係る複層織物組織の実施例を示す側面図である。
【図3】本発明に係る複層織物組織の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0013】
1 上側織物組織
2 下側織物組織
3 中間織物組織
4 支持糸
α 空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸と緯糸で絡合された単層の織物組織である上側織物組織と下側織物組織と1以上の中間織物組織と、上記上側織物組織及び上記下側織物組織に絡合され、上側織物組織と下側織物組織との間に存する中間織物組織を支持する支持糸からなる複層織物組織であって、
上記支持糸は上記上側織物組織及び上記下側織物組織の経糸にそれぞれ直交して絡合され、
上記中間織物組織は上記支持糸で係止され、上記上側織物組織及び上記下側織物組織から所定の距離をおいて支持され、
上記上側織物組織と上記下側織物組織と上記中間織物組織の間に空間を形成する構造が形成され、
かつ、上記支持糸が、上記上側織物組織及び上記下側織物組織の経糸間を緯糸方向に向かい、上記支持糸同士が密接に隣接して、かつ、直線的に経糸に絡合されており、
上記支持糸は上記上側織物組織及び上記下側織物組織及び上記中間織物組織の経糸方向に向かい、所定の間隔をおいて順次絡合されていることを特徴とする複層織物組織


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−221617(P2009−221617A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65002(P2008−65002)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(508078514)
【Fターム(参考)】