説明

複数の加熱ゾーンを有するエアロゾル発生器とその使用方法

【課題】薬剤を高い流量で、かつ薬物送達に適している粒径を発生できるエアロゾル発生器を提供する。
【解決手段】温度および流量が制御された毛管エアロゾル発生器は、圧力低下を引き起こす領域により任意選択で分離された2つの加熱ゾーンZ1、Z2を含む。電力を計量して下流の第2のゾーンZ2に供給し、それによって目標抵抗および目標温度を実現し、一方、電力を計量して上流の第1のゾーンZ1に供給し、それによって、目標とする第2のゾーンZ2からの質量流量を実現する。目標温度は、所望の質量流量で発生器内を流れる液体からエアロゾルが発生するように、第2のゾーンZ2で実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にエアロゾル発生器(generator)に関し、より詳細には、圧縮ガス噴射剤なしでエアロゾルを発生することができるエアロゾル発生器と、そのようなエアロゾル発生器を作製し使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルは、広く様々な応用分野で有用である。例えば、患者の肺に吸入される液体および/または固体の細粒、例えば粉末や薬剤のエアロゾル噴霧器(spray)で呼吸器疾患を治療し、またはエアロゾル噴霧器を用いて薬物を送達することはしばしば望ましい。エアロゾルは、部屋に所望の香りを与え、殺虫剤を散布し、塗料および潤滑剤を送出するなどのためにも使用される。
【0003】
エアロゾルを発生する様々な技法が知られている。例えば米国特許第4,811,731号および第4,627,432号は共に、患者に薬剤を投与するための装置を開示しており、これらはカプセルにピンで穴を開けて粉末形態の薬剤を放出させるものである。次いで使用者は、その装置の開口を介して放出された薬剤を吸入する。このような装置は粉末形態の薬剤を送達するのに使用することができるが、液体形態の薬剤送達には適していない。またこの装置は当然ながら、喘息に苦しむ人など、薬剤を適正に吸入するために装置を介して十分な空気の流れを発生することが難しいと考えられる人に、薬剤を送達するのにはあまり適していない。またこの装置は、薬剤送達以外の応用分野で物質を送達するのにも適していない。
【0004】
エアロゾルを発生するための別の周知の技法は、リザーバから液体を引き出してその液体を小さいノズル開口に通すことにより微細な噴霧を形成する手動ポンプを使用することを含む。そのようなエアロゾル発生器の欠点は、少なくとも薬剤送達の応用分野では、ポンプ動作に吸入を合わせることが難しいことである。しかしより重要なのは、そのようなエアロゾル発生器は大きいサイズの粒子を生成しがちであり、大きい粒子は肺の中に深く浸透しにくいので、そのような生成器を吸入器として使用するのには支障があることである。
【0005】
液体または粉末粒子を含むエアロゾルを発生するためのより一般的な技法の1つは、しばしばクロロフルオロカーボン(CFC)またはメチルクロロホルムを含有する圧縮噴射剤を使用して通常ベンチュリの原理によって物質を同伴させることを含む。例えば、薬剤を同伴させるための圧縮ガスなどの圧縮噴射剤を含有する吸入器は、充填されている圧縮噴射剤を少量放出させるために、ボタンを押し下げることによって操作されることがしばしばである。噴射剤が薬剤のリザーバを流れるとき、噴射剤は薬剤を同伴し、そのため使用者は噴射剤および薬剤を吸入することができるようになる。
【0006】
しかし噴射剤をベースにした配置構成では、使用者がボタンなどアクチュエータを押下げるタイミングを吸入に合わせる必要があるとき、薬剤を患者の肺に適正に送達させることができない可能性がある。さらに、噴射剤をベースにした配置構成によって発生したエアロゾルは、効率的にかつ一貫して確実に肺に深く浸透させるには大きすぎる粒子を含む可能性がある。噴射剤をベースにしたエアロゾル発生器には、制汗および脱臭スプレーやスプレー式塗料などの幅広い応用分野があるが、このタイプのエアロゾル発生器に使用される最も一般的な噴射剤の1つであるCFCおよびメチルクロロホルムは環境に悪影響を及ぼすことがよく知られているので、それらの用途はしばしば限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,811,731号
【特許文献2】米国特許第4,627,432号
【特許文献3】米国特許第5,743,251号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
薬物送達の応用分野では、肺に深く浸透させるため、一般に平均質量中央粒径が2ミクロン未満のエアロゾルを供給することが望ましい。最も知られているエアロゾル発生器は、平均質量中央粒径が2ミクロン未満のエアロゾルを発生することができない。また、ある特定の薬物送達の応用分野では、薬剤を高い流量で、例えば秒当たり約1ミリグラムで送達することも望ましい。薬物送達に適している最も知られているエアロゾル発生器は、0.2〜2.0ミクロンサイズの範囲でそのような高い流量で送達することができない。
【0009】
参照によるその全体を本明細書に組み込む米国特許第5,743,251号は、エアロゾル発生器を、エアロゾル発生器に使用されるある特定の動作原理および材料と併せて開示し、さらにエアロゾルを発生する方法およびエアロゾルも開示する。第5,743,251号特許により開示されたエアロゾル発生器は、吸入器装置として使用されるような先のエアロゾル発生器よりも大幅に改善されている。携帯可能で使用が簡単なエアロゾル発生器を製造することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の概要)
本発明は、入口と出口を有する流路と、入口に隣接した流路の第1のゾーンに伝熱により連絡している第1のヒータと、出口に隣接した流路の第2のゾーンに伝熱により連絡している第2のヒータと、第1のゾーンと第2のゾーンの間にある流路の任意選択の流れ狭窄部とを含む毛管エアロゾル発生器を提供する。
【0011】
また本発明は、液体からエアロゾルを形成するプロセスであって、流路の第1のゾーンに伝熱により連絡しているよう位置決めされた第1のヒータと、流路の第2のゾーンに伝熱により連絡しているよう位置決めされた第2のヒータと、第1のゾーンと第2のゾーンの間にある流路の任意選択の流れ狭窄部とを含むエアロゾル発生器の流路の上流端に、加圧した液体を供給するステップと、第2のゾーン内を流れる流体の質量流量を示すパラメータを測定するステップと、第2のゾーンを通る流体の質量流量の測定値に基づいて第1のゾーンの温度を変化させるステップと、第2のゾーン内の液体を加熱して液体が気化するようにし、流路の下流端から出た後にエアロゾルが形成されるようにするステップと含むプロセスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明によるマルチゾーン加熱装置を組み込んだ吸入器を概略的に示す図である。
【図2】本発明による例示的な毛管エアロゾル発生器(CAG)システムを概略的に示す図である。
【図3】図2に示すCAGの一部の別の実施形態を概略的に示す図である。
【図4】図2に示すCAGの一部の別の実施形態を概略的に示す図である。
【図5】図2に示すCAGの一部の別の実施形態を概略的に示す図である。
【図6】本発明によるCAGの例示的な制御スキームを概略的に示す図である。
【図7】本発明によるCAGの別の例示的な制御スキームを概略的に示す図である。
【図8】電力をプロピレングリコールの供給圧力の関数として示すグラフである。
【図9】単一加熱ゾーン内でのプロピレングリコールに関するエアロゾル質量送出量を、プロピレングリコールの供給圧力の関数として示すグラフである。
【図10】電力を、下流ヒータ、上流ヒータ、および両方のヒータに関し、供給圧力の関数として示すグラフである。
【図11】2ゾーンヒータ内でのプロピレングリコールに関するエアロゾル質量送出量を、プロピレングリコールの供給圧力の関数として示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のさらに他の目的、特徴、および付随する利点は、それにより構成された実施形態の以下の詳細な説明を添付図面と併せて読むことによって、当業者に明らかにされよう。
【0014】
次に本願の発明を、単なる例として提示した装置および方法の好ましい実施形態に関し、添付図面を参照しながらより詳細に述べる。
【0015】
図面を参照する際、同様の参照符号は、何枚かの図面全体を通して同一または相当する要素を指す。
【0016】
本発明の一態様によれば、毛管エアロゾル発生器には2つの加熱ゾーンが組み込まれている。各ゾーンは、抵抗素子の両端に電圧をかけることによって加熱する。抵抗素子はPtヒータなどのフィルムヒータでよく、これは、内部を流体が流れる支持構造、例えばフィルムヒータを組み込んだ円筒形または長方形の流路などのフローチャンバに付加されたものである。流体は、好ましくは実質上一定の圧力で、発生器の上流にある流体源から発生器に供給することができる。あるいは流体は、シリンジ・ポンプにより一定の線形の変位速度で供給することができる。第2のゾーンの目的は、流体が管内に輸送されて管から出た後にエアロゾルが形成されるよう、その流体を気化することである。各加熱ゾーンの温度は、熱電対によって直接測定することができ、または加熱素子の抵抗などのパラメータの測定値に基づいて計算することができる。
【0017】
第2のゾーンの抵抗加熱素子は、適切な抵抗の温度係数(正または負)を有し、これは高い抵抗係数であることが好ましい。第2のゾーンは、この素子の両端の抵抗をモニタしながら電力を抵抗素子に加えることによって加熱する。加熱素子の抵抗はその温度に応じて変化するので、モニタした抵抗により加熱素子の温度を表すことができる。例えば、抵抗ヒータを白金で作製する場合、白金の抵抗の温度係数は0.00392(℃)−1である。抵抗値Rを定義する関係式R=R[1+α(T−T)]、ただしRが温度Tでの抵抗でありTがRを計算するための温度である関係式を使用し、白金ヒータの抵抗が0℃で5オームの場合、ヒータの抵抗は20℃における約0.55オームから200℃における約0.9オームまで直線的に変化する。したがって、目標抵抗に電力を制御することによって、ヒータを目標温度に精密に維持することができ、それによって、流体すなわち加熱される流体が熱分解する可能性を最小限に抑えることができる。
【0018】
第2のゾーンのヒータ素子の抵抗は、この第2のゾーンへの電力を測定するために制御スキームにフィードバックすることができ、したがって第2のゾーンへの電力を測定することによって、第2のゾーンのヒータ素子の目標抵抗値が実現され、したがって第2のゾーンのヒータ素子の平均温度を目標値に維持することができる。同時に、第2のヒータ素子に供給される電力が測定される。この電力使用データは、第2のゾーンに向かい第2のゾーン内を通る液体、したがって全体として発生器内を通る液体の、質量流量の測定値である。このように、第2のゾーンでの電力をモニタすることは、発生器内を流れる流体の質量流量計としての役割をする。
【0019】
本発明の別の態様によれば、気化した流体の目標とする全質量(例えば服用量)が送出されるよう、エアロゾル発生器を制御することが可能である。特に、本発明によるマルチゾーン加熱配置構成は、加熱配置構成の電力使用量に比例する加熱配置構成内の質量流量をもたらすことができる。さらに、そのような加熱配置構成では、全質量(例えば服用量)を、加熱配置構成によって使用される全エネルギーに比例させることができる。医療用吸入器での実際の服用量の制御は、所望の全エネルギーレベルが得られるよう電力供給期間を調節することによって実現することが可能な目標電力レベルに基づいて流体の流量を制御することにより行うことができる。あるいは、目標とする全エネルギーレベルは選択することができ、流体の流量は、現時点での目標エネルギーレベルが実現されるよう調整することができる。
【0020】
先に簡単に論じたように、定圧流体は、発生器の上流の第1のゾーンに供給されることが好ましい。第1の加熱ゾーンから第2の加熱ゾーンに送出される液体の速度は、圧力源の下流にある流体チャネル全体の圧力低下に依存する。本発明のさらに別の態様によれば、小口径の細管、多孔質の圧力低下素子、または流体の流れを絞るように機能するその他の素子が、第1のゾーンの出口と第2のゾーンの入口の間に位置決めされる。この素子の端から端までの圧力低下は、圧力源の下流にある流体チャネル全体の端から端までの大部分の圧力低下となるように設計され、液体の粘度の関数であり、または液体の粘度によって変化し、すなわち流体の温度によって変化する。第1のゾーンに加えられる電力は、この温度を制御するように、したがって第1のゾーン内の液体流量を制御するように、制御される。第1のゾーンに加えられる電力は、第2のゾーンのヒータ素子を目標温度に維持するのに必要な、下流の第2のゾーンでの目標電力使用量が実現するように制御される。このように第1のゾーンでの電力制御は、第1のゾーンと第2のゾーンの両方、したがって全体として発生器内を流れる流体の質量流れ制御器としての役割をする。
【0021】
実行されるフィードバック制御スキームは、第1のゾーンから出る液体の温度が、発生器を使用することが可能な予想最高周囲温度よりも高い目標温度であるときに、発生器内の目標流量が実現されるよう設計される。このように質量流量は、周囲温度とは無関係に、また液体に加えられる圧力とは無関係にその目標値になるよう制御することができるが、その理由は、第2のゾーンに入る液体の温度が周囲環境温度の広範囲にわたって実質上同じだからであり、また流体源が実質上一定の圧力で流体を供給するからである。したがって本発明による発生器は、液体の過熱(overheating)の可能性を減じることができ、周囲温度および液体に加えられる圧力にばらつきがある状態でエアロゾル送出速度を制御することができる。
【0022】
本発明の一目的は、管内を流動する液体を加熱し気化するのに使用される毛管の長さに沿って、加熱を制御することである。この加熱の手法を使用することによって実現可能な、非常に数多くの利点がある。流体の過熱は望ましくなく、液体の流れの中で気化または気泡が局所的に生じることによって管壁の一部が非常に熱くなった場合、液体物質は熱分解する可能性がある。そうではなく本発明は、簡単にモニタすることができ容易に制御スキームに反応することができる複数の加熱領域を提供する。さらに本発明による発生器は、最適な温度で管に送出されなかった物質を補うことができる。さらに、本発明による発生器は、流体が発生器に導入された後の管内の流量および液体密度の変化に反応することができ、またはそのような変化に順応することができ、いくつかの加熱セグメントは、他のセグメントとは無関係に、センサの出力に活発に応答することができる。
【0023】
第1の例示的な実施形態によれば、毛管エアロゾル発生器は、入口、出口、およびこの入口から出口まで管内を延びる管腔を有する毛管と、入口に隣接した管の第1のゾーンに伝熱により連絡している第1のヒータと、出口に隣接した管の第2のゾーンに伝熱により連絡している第2のヒータと、第1のゾーンと第2のゾーンの間にある管腔の流れ狭窄部とを含む。
【0024】
第2の例示的な実施形態によれば、液体からエアロゾルを形成するプロセスは、管と、管の第1の上流ゾーンに伝熱により連絡しているよう位置決めされた第1のヒータと、管の第2の下流ゾーンに伝熱により連絡しているよう位置決めされた第2のヒータと、第1のゾーンと第2のゾーンの間にある管の流れ狭窄部とを含むエアロゾル発生器を提供するステップと、管の上流端に、ある圧力で液体を供給するステップと、第2のゾーンで管内を流れる流体の質量流量を示す管の特定を測定するステップと、第2のゾーンを通る流体の質量流量の測定値に基づいて第1のゾーンの管の温度を変化させるステップと、管の下流端で管から液体が出るようにするステップとを含む。
【0025】
毛管エアロゾル発生器では、液体が毛管に導入される速度、および毛管のヒータへ電力を計量しながら供給する速度の制御を改善することが望ましい。これらのパラメータを正確に制御できないと、液体が過熱される可能性があり、液体が熱分解し、その後この熱分解の副産物によって毛管が詰まる可能性がある。
【0026】
本発明の一態様は、目標温度が実現されるよう液体気化ゾーン(下流の第2の加熱ゾーン)に供給されるエネルギーを制御することによって、一方、エアロゾル発生器から生じる目標液体流量が実現されるよう液体流量制御ゾーン(上流の第1のゾーン)に供給されたエネルギーまたはこのゾーンに計量しながら供給される電力を制御することによって、毛管内の液体が不適切に加熱される可能性を減じることである。本発明による毛管エアロゾル発生器は、加熱素子およびそれに付随する制御回路を含み、これらは加熱素子ならびに流量計および流れ制御器として機能する。
【0027】
好ましい実施形態によれば、本発明は、本質的に中空の管状構造を、その管状構造の長さに沿って加熱温度および加熱速度が異なるように一連の加熱ゾーンを使用して加熱するためのシステムを含む毛管エアロゾル発生器を提供する。このシステムは、その構造の長さに沿って一連の離散型加熱素子を含み、または抵抗器の長さに沿った複数の独立接点を使用して連続抵抗ヒータを分割したような、別の配置構成を含む。単独抵抗素子の抵抗アレイは、加熱セクション間に意味のある間隔を保持することができ、また、能動制御システムを受動的に感知しまたは能動制御システムの一部にすることができる電流、電圧、および/または温度感知装置を管の長さに沿って組み込むことができる。制御システムは、一連の電流、電圧、またはその両方で個々のヒータを作動させ、管に電力が与えられる。さらに制御システムは、1つまたは複数のセンサと相互に作用し、これらのセンサに反応することができる。あるいはヒータは、抵抗ヒータの代わりに誘導ヒータにすることができる。ヒータ材料は、管の壁面に一体化した部分にすることができ、またはこの構造に付加された独立の素子にすることができる。
【0028】
図1は、本発明によるマルチゾーンヒータ510を組み込んだ吸入器500を示す。吸入器500は、マウスピース522を有する第1のハウジング520と、電源および論理回路を含む第2のハウジング530であって1998年10月14日出願の同時係属出願第09/172,023号で論じられたものを含み、その開示を参照により本明細書に組み込む。エアロゾルは、マルチゾーンヒータ510を組み込んだ加熱管540により発生する。加圧源550からの液体は、弁560を通過して管540の第1の加熱ゾーンZ1に入り、その蒸気が管540の第2のゾーンZ2で発生する。蒸気は、ハウジング520内の空気と混合してエアロゾルを形成し、得られた混合物は、マウスピース522を介して吸入することができる。
【0029】
図2は、本発明による例示的な毛管エアロゾル発生器(CAG)システム600を概略的に示す。CAGシステム600は、加圧流体の供給源604と、CAG602と、弁606を含む。弁606は、加圧流体の供給源604からCAG602への加圧流体の流れを制御し、手動で、またはより好ましくは以下により詳細に述べるように制御器による制御下で制御することができる。CAG602の動作を制御するために制御器608も備え、この制御器608は、任意選択で弁606も制御する。あるいは弁606は、別個の制御器(図示せず)によって制御することができる。
【0030】
CAG602は、少なくとも2つの加熱ゾーン、すなわち上流の第1のゾーンZ1と下流の第2のゾーンZ2に分割される。これら2つのゾーンは、中間ゾーンZ3により任意選択で分離することができる。ゾーンZ1、Z2のそれぞれは、当業者に容易に理解されるように、加熱素子の両端に電圧をかけ、加熱素子に電流を流すことによって加熱する電気加熱素子を含む。制御器608は、図2に示すように、ゾーンZ1およびZ2の両方に電気連絡するようにかつこれらのゾーン全体にわたるように配置され、選択的にこれらのゾーン内のヒータの両端に電圧をかけてそこに電流を流す。制御器608には、制御器を作動させるための命令セットを記憶することができるメモリ610を設けることができる。制御器608は、ソフトウェア制御下で動作する汎用デジタルコンピュータ、すなわちソフトウェア命令セットが揮発性または不揮発性メモリ610に記憶されたコンピュータでよく、任意選択でまたは代替例として、制御器608は、制御器608に対する命令セットを共に具体化する別個のデジタルまたはアナログ構成要素を含む特別に構成されたエキスパートコントローラでよい。制御器608の特定の構造は、本明細書の記述を完全に読むことによって当業者に容易に理解され、したがって制御器608の特定の設計に関してさらに記述しない。
【0031】
図3は、本発明によるCAGの別の実施形態、すなわちCAG612を示す。CAG612は、第1の上流管614と、第2の下流管616を含む。第1の管614は、近位入口618と、流路620と、遠位出口622を含む。入口618は上述の供給源604と流体連絡し、流体、好ましくは液体を、流体流路624に沿って下流へと導き、出口622に到達させる。第2の管616は出口622の下流に位置決めされ、近位入口626と、流路628と、遠位出口630を含む。図3に示すように、第1の管614の流量断面は第2の管616の流量断面よりも大きく、入口626は出口622に位置決めされ、すなわち入口626と出口622との間には何の構造も存在しない。
【0032】
第1の管614および第2の管616は、その内部またはその表面に1個または複数のヒータ素子を含み、この素子には制御器608が電気接続している。ヒータは、管の流体内容物用電気ヒータとして機能するよう電気抵抗が十分な材料で管自体を形成するなどして、管と一体的に作製することができる。あるいは管614、616は、これらの管に取り付けられた1つまたは複数の内部または外部ヒータを含むことができ、このヒータは、電圧がかけられたときに加熱し、管およびその流体内容物を加熱するものである。メモリ610に包含される命令セット、またはその個別素子の論理に従う制御器608は、管614、616の一方または両方に関連付けられたヒータに選択的に電圧を印加する。電圧を印加するとヒータ素子によって温度が上昇し、それぞれの管の流体内容物が、対流および/または伝導によって加熱される。本明細書でより詳細に述べるように、管614、616の一方または両方とその流体内容物は、選択的に加熱することができる。それと同時に、管614を加熱するヒータ素子の抵抗などのパラメータを測定して管616の温度をモニタすることができ、管616を加熱するのに使用される電力を測定して、CAG内を流れる流体の質量流量を決定することができる。
【0033】
出口630は、気化した流体がそこを経てCAG612から出るポートであるので、CAG612から出る流体の流れが出口630で妨げられないように、出口630は遮られていないことが好ましい。さらに、断面積が縮小したゾーンを第1の管614の下流に設けることによって、圧力低下を引き起こす絞りが形成される。この任意選択の絞り、またはCAG612内の流体圧力を低下させるその他の狭窄部は、第1の管614の下流に位置付けられ、ゾーンZ3に実質上限定される(図2参照)。管614、616の流路内で流体圧力の低下を引き起こしまたはその原因となる構造をCAG612内に形成することによって、CAG内を流れる流体の質量流量を制御することが可能である。したがって管614、616は、その長さに沿って流体圧力の低下の源となるものを全く含まずまたは実質上含まないことが好ましく、したがってCAG内の流体の質量流量を、制御器608により所望のレベルに決定し維持することができる。
【0034】
図2および図3は、制御器608が第1の管614に電気接続して第1のゾーンZ1を画定し、第2の管616に電気接続して第2のゾーンZ2を画定することを示す。CAG612は、本明細書で述べるCAG602のその他の実施形態の場合と同様に、第2の管616の遠位端に取着されまたは形成された温度感知装置632を任意選択で含むことができる。温度センサ632は、第2の管616の遠位端の温度を表すデータを含んだ信号を供給することができるサーミスタまたはその他の温度感知装置でよい。温度センサ632は、以下により詳細に述べるように、第2の管616の遠位端の温度を示す信号を制御器に供給して第1の管614、第2の管616、またはその両方への電力供給を制御するためのフィードバック信号が供給されるよう、制御器608と電気的に連絡させることができる。
【0035】
次に図4を参照すると、CAG602のさらに別の実施形態、CAG640が示されている。CAG640は、CAG640が単一部片として形成されたモノリシックで一体の単一構造として形成されていること以外、多くの点でCAG612に類似している。第1の近位上流部分642は、上述のように、供給源604から加圧流体を受け取る。任意選択の流れ狭窄部644は、部分642から離れた下流に形成され、流体圧力を低下させる。第2の遠位部分646は、狭窄部644の下流に形成され、気化した流体がそこを経てCAG640から出ていく遠位出口ポート648を含む。したがってゾーンZ1は部分642を含み、ゾーンZ2は部分646を含み、ゾーンZ3は狭窄部644を含む。CAG612と同様に、部分642、646のそれぞれのヒータ素子は、CAGの壁面の一部にすることができ、またはCAGの壁面に取着することができ、またはこれらを組み合わせたものとすることができる。
【0036】
図5は、さらに別の実施形態、CAG660を概略的に示す。CAG640と同様に、CAG660は材料単一部片から形成され、上述のように制御器608に電気接続されてゾーンZ1、Z2、およびZ3を画定することが好ましい。CAG612、640とは異なり、CAG660は、ゾーンZ1およびZ2の内部流量断面積が一定であり、任意選択の狭窄部(constrictor)662をZ3に取り付けまたは他の方法で設けて、流体圧力が低下するようにする。狭窄部662は、CAG660内を流れる流体と反応しない材料で形成された多孔質の栓(plug)であり、その内部には、流体が栓およびCAG内を流れることができるように細孔を含むことが好ましい。狭窄部662は、当業者に十分理解される手法により、所定の流体圧力および粘度のゾーンZ1とZ2の間で流体圧力が低下するよう設計される。
【0037】
次にCAG612、640、または660に関する制御器608の機能について、図6を参照しながら記述する。この記述全体を通し、それぞれの変数は以下のように明示される。
【0038】
V(Z1).....ゾーンZ1両端の電圧
V(Z2).....ゾーンZ2両端の電圧
P(Z1).....ゾーンZ1で使用される電力
P(Z2).....ゾーンZ2で使用される電力
T(Z1).....ゾーンZ1でのCAGの平均温度
T(Z2).....ゾーンZ2でのCAGの平均温度
T(Z3).....ゾーンZ3でのCAGの平均温度
T(Z2’)....ゾーンZ2の遠位端でのCAGの温度
r(Z1).....ゾーンZ1におけるCAGの部分の電気抵抗
r(Z2).....ゾーンZ2におけるCAGの部分の電気抵抗
M............流体の質量流量
M(Z1).....ゾーンZ1内を流れる流体の質量流量
M(Z2).....ゾーンZ2内を流れる流体の質量流量
pr(Z1)...ゾーンZ1の両端間の流体圧力低下
pr(Z2)...ゾーンZ2の両端間の流体圧力低下
pr(Z3)...ゾーンZ3の両端間の流体圧力低下
η............流体粘度
前述の記述から、ゾーンZ1とゾーンZ2の間ではCAG内の流体に損失がないので、これらのゾーン内の質量流量は同一であり、すなわち
M(Z1)=M(Z2)=M
である。当業者に十分理解されるように、電気部品の電力(P)、その抵抗(r)、素子内を流れる電流(i)、および素子の両端間の電位または電圧(V)は、周知の関係式
V=ir
P=i
P=iV
P=V/r
により相互に関係付けられている。
【0039】
さらに、本発明のCAGの設計により、いくつかのその他の関係式を使用して、CAGおよびその内部を流れる流体の電気特性および物理特性を測定し制御することができる。ここで本発明者等は、ゾーンZ2におけるCAG部分を既知の温度(例えば、エアロゾル化される液体の沸点)に維持するためにその部分によって消費される電力が、CAG内の質量流量の関数
P(Z2)=F(M)
であることを見出した。電力と質量流量との正確な関数関係は、当業者に容易に理解されるように、容易に経験的に決定することができる。この関数関係を決定したら、以下に述べるように、メモリ610中の命令セットを形成するのに使用し、または制御器608の論理を設計するのに使用する。
【0040】
ヒータ素子そのものと共に、CAGを形成する材料は、ゾーンZ1およびZ2の平均温度がCAGのその部分の抵抗の関数となるように選択され、すなわちこれらのゾーンにおいて、
T(Z1)=F(r(Z1))
および
T(Z2)=F(r(Z2))
となるように選択される。多くの材料、例えば銅やステンレス鋼、白金は、温度と抵抗の間でこの関係を示し、その関数は、広範囲にわたる温度で線形である。したがって、CAGを形成する材料または少なくともヒータ素子を形成する材料は、少なくともヒータ素子の抵抗を使用して管の温度を測定する場合、システム600が使用され流体がエアロゾル化される温度範囲で周知の温度−抵抗関数を有するように、好ましくは線形であるように選択することが好ましい。
【0041】
CAGは、制御器608が、ゾーンZ2におけるCAG部分によって消費される電力をその目標レベルP(目標)に維持しようとする場合、ゾーンZ1の温度が好ましくはシステム600を使用することが予想される最高周囲温度でありまたはわずかにその上のレベルになるよう設計することが好ましい。
【0042】
さらに、エアロゾル化される流体は、一定の圧力Pを加えることによってゾーンZ1に送出することが好ましい。ゾーンZ1とゾーンZ2の両端間の流体圧力低下はゼロに近いことが好ましく
pr(Z1)≒pr(Z2)≒0
であり、その場合
P≒pr(Z3)
である。さらに、ゾーンZ3の両端間の圧力低下は、CAG内を流れる流体の質量流量とゾーンZ3内の流体の粘度ηに関係するものであり、関係式
pr(Z3)=kM/η
に従い、ただしkはゾーン(Z3)内のチャネルの幾何形状により異なる定数であり、ηはこのゾーン内の流体の粘度であり、その粘度は流体の温度の関数で、すなわち
η=F(T(Z3))
である。したがって、
P≒kM/η
または
M≒Pη/k
である。このように、CAG内を通る流体の質量流量は、加えられる圧力と、ゾーンZ3内の流体の粘度によって決定される。この後者の量は、ゾーンZ3の温度によって制御される。このような理由から流れ狭窄部を設けることが好ましく、すなわち、ゾーンZ3の温度を調節することによって質量流量をより正確に制御することができるようにする。
【0043】
これらいくつかの機能的な相互関係を明らかにしてきたが、次に、制御器608の例示的な制御スキームについて、図6を参照しながら述べる。所定量のエアロゾル化した液体を発生するサイクルの開始時に弁606を開き、既知の、好ましくは一定の圧力で、液体をCAGに入れる。ステップ700では、制御器608によりZ1およびZ2の両端に電圧をかけ、その電圧を制御して、その内部の流体の温度を上昇させる。ステップ702では、制御器により抵抗r(Z2)を測定してT(Z2)を測定する。その代わりに、または重複して行う測定として、制御器はステップ704で、熱電対またはサーミスタによりゾーンZ2の出口のT(Z2’)を測定する。次いでステップ706で、制御器は、測定したT(Z2)の値を比較し、V(Z2)を調整し、したがってP(Z2)を調整して、測定された、目標とするr(Z2)、したがって目標とするT(Z2)を実現する。当業者に容易に理解されるように、実現された温度は所定範囲内でよく、依然としてこの条件を満たし、すなわちある所定の誤差が許容可能である。
【0044】
次いでステップ708で、制御器はP(Z2)を測定するが、これはT(Z2)を目標値に(または目標値にほぼ近く)維持するのに必要とされたものであり、その結果、CAG内を流れる流体の質量流量Mの測定値が得られる。ステップ710で制御器は、適正な温度が維持されるよう測定された電力P(Z2)が、必要な電力P(目標)よりも大きいかどうか、電力と質量流量との経験的な関係式から評価する。大きい場合、ゾーンZ1に印加された電圧を制御器で下げ、したがってゾーンZ1に供給された電力を下げる。これは、質量流量が所望の量よりも高いとCAG内を流れる流体によってゾーンZ2が冷却され、目標温度までゾーンZ2を加熱するのにさらに電力が必要になるからである。ゾーンZ1の両端に印加された電圧が低下すると、その内部の流体の温度が下がり、したがって粘度が上昇し、したがってゾーンZ2内の質量流量が低下する。これは、ゾーンZ1をCAGの流れ制御器にし、ゾーンZ2をCAGの流れモニタにするという効果がある。同様にステップ712では、目標温度T(Z2)を実現するためにゾーンZ2の両端間で測定された電力が、目標とする電力未満である場合、制御器はゾーンZ1の両端間の電圧(したがってゾーンZ1により使用される電力)を上げて、ゾーンZ1内を流れる流体の温度を上昇させ、それによって質量流量を増大させる。
【0045】
ステップ714で、制御器は、経時的な質量流量を合計しまたは積算して、そのサイクル中に送出された全質量(m)を決定する。ステップ716では、送出された全質量mを、mの所定の所望の値と比較する。実際に送出された全質量が、所望の送出量未満である場合、制御器はステップ700に戻る。送出された全質量が所望の全質量に等しいかそれよりも大きい場合、供給源604からの流体の流れを弁606で止め、ゾーンZ1およびZ2の両端間の電圧をゼロに設定する。
【0046】
図7は、CAG内に故障状態が存在するかどうかの決定を補助する制御器608の制御スキームを概略的に示す。図7に示される制御スキームは、図6に示されかつ図6を参照しながら記述される制御スキームに組み込むことができ、あるいは図6の制御スキームの前または後に実行することができる。ステップ730ではゾーンZ2で消費される電力を測定するが、これはゾーンZ2内の質力流量の測定値である。次いでステップ732では、ゾーン2内のヒータ素子の抵抗を測定することによってゾーンZ2の温度を測定し、またはステップ734で実行するように熱電対で温度T(Z2’)を測定することによって測定する。
【0047】
ステップ736で、制御器は、ゾーンZ2で測定される電力消費量がP(目標)未満であるかどうかを決定し、制御器はゾーンZ1の両端間の電圧(したがってゾーンZ1により消費される電力)を上げて、質量流量Mを増大させる。しかし、この動作はP(Z2)をP(目標)に増大させることができない可能性がある。測定された温度に対して低い電力消費測定値は、CAGの流路が詰まっていることを示す可能性があり、目標T(Z2)を実現するのに必要な質量流量および電力P(Z2)を低下させる可能性がある。この場合、警告音を鳴らして装置を停止することができる。
【0048】
ステップ738で、制御器は、ゾーンZ2で測定された電力消費量がP(目標)より大きいかどうか決定し、制御器は、ゾーンZ1の両端間の電圧(したがってゾーンZ1により消費される電力)を下げて、質量流量Mを低下させる。しかし、この動作はP(Z2)をP(目標)に低下させることができない可能性がある。測定された温度に対して高い電力消費測定値は、CAGの流路がオーバーフロー状態であることを示す可能性があり、目標T(Z2)を実現するのに必要な質量流量および電力P(Z2)を上昇させる可能性がある。この場合、警告音を鳴らして装置を停止することができる。
【0049】
本発明によれば、下流のヒータを所望の目標抵抗に維持する際、制御アルゴリズムを使用することができる。定常状態の動作が実現したら(例えば100ミリ秒未満で)、アルゴリズムは、任意のタイムスキャンに基づいて(例えば32ミリ秒平均)下流ヒータのエネルギー消費量(電力)を計算することができる。上流ヒータにパルスを与える頻度は、所望の目標電力で下流ヒータが作動しているかどうかに応じて上下に調整することができる。下流ヒータの電力が目標レベルより低い場合、上流ヒータのパルス間の時間を短くすることができ、それによって上流ヒータゾーンの温度を上昇させる。
【0050】
エネルギー消費量と質量送出量を供給圧力の関数として比較する実験を図8および9に示すが、図8は、上流ヒータを止め、実行時間が10秒であり、下流抵抗目標が0.36オームである場合の電力をプロピレングリコールの供給圧力の関数として示す。図9は、図8で使用したものと同じ条件下でのエアロゾル質量送出量を示す。このため図8および9は、供給圧力の増大に対する典型的な1つの加熱ゾーンの応答を示す。図示されるように、電力使用量およびエアロゾル質量は、圧力が増大すると共に線形に増大する。
【0051】
2ゾーンの実験では、下流ヒータの目標電力レベルが2.6ワットであり、上流ヒータを止め、供給圧力が20psiであった。上流ヒータに関する初期設定は、この上流ヒータに電力を8ミリ秒ごとに1回供給することであった。さらに、圧力を6psiから30psiまで変えて、エネルギー使用量および質量送出量を測定した。図10は、電力曲線を、下流ヒータ、上流ヒータ、およびその両方のヒータの目標抵抗に関する圧力の関数として示したものであり、下流ヒータの目標抵抗を0.36オームに設定し、下流ヒータの目標電力を2.6ワットに設定し、流体はプロピレングリコールであった。
【0052】
図11は、2ゾーンヒータ内でのプロピレングリコール(PG)に関するエアロゾル質量送出量を示し、この場合、実行時間は10秒であり、下流ヒータの目標抵抗は0.36オームであり、上流ヒータの作動頻度は8ミリ秒ごとに1回であり、下流ヒータの目標電力は2.6ワットであった。比較のため、1ゾーン加熱に関する結果を図11に加えた。図示されるように、2ゾーン加熱配置構成に関するエアロゾル質量送出量は、供給圧力範囲6〜20psiにわたって比較的一定のままである。20psiを超えると、エアロゾル質量送出量は1ゾーンの場合のデータをたどるが、これは、目標電力レベルが20psiの場合に合わせて設定され、この目標を超える圧力増大が相殺されるよう上流ヒータでPGを冷却することができないからである。したがって、圧力のばらつきおよび/または温度のばらつきを補償するには、PGの粘度が低下しその流量が増大するように、PGを加熱することができる。さらにこれらの実験は、下流ヒータの電力消費量を、上流ヒータの電力を制御するフィードバック信号として使用できることを示している。図11に示す例では、下流ヒータに関して32ミリ秒電力平均を使用し、加熱配置構成は、所望の目標が達成されるよう迅速に応答した。
【0053】
本発明について、その好ましい実施形態を参照しながら詳細に述べてきたが、当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更を加えることができ、均等物を使用することができることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口と出口とを持つ流路と、
前記流路の第1のゾーンと伝熱により連絡している第1のヒータと、
前記第1のヒータの下流にあり、前記流路の第2のゾーンに伝熱により連絡している第2のヒータと、
を有することを特徴とするエアロゾル発生器。
【請求項2】
前記第1のゾーンと前記第2のゾーンとの間の前記流路中に流れ狭窄部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項3】
前記第1のヒータと前記第2のヒータとに電気的に連絡している制御器をさらに有し、前記制御器は、前記第1のヒータと前記第2のヒータとに電圧を選択的に供給することを特徴とする請求項1に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項4】
前記制御器が、前記第1のゾーンおよび/または前記第2のゾーン内の前記ヒータの抵抗を選択的に測定することを特徴とする請求項3に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項5】
前記制御器が、前記第1のゾーンと前記第2のゾーンとの前記電圧を選択的に測定することを特徴とする請求項3に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項6】
前記制御器が、いつ抵抗を測定するかと、いつ電圧を測定するかと、いつ前記第1のゾーン、前記第2のゾーン、またはこれら両方に電圧を印加するかと、を前記制御器に命令する命令セットを含むメモリを有することを特徴とする請求項3に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項7】
前記流路が、
前記入口を含み、前記第1のヒータが伝熱により連絡している第1の管と、
前記出口を含み、前記第2のヒータが伝熱により連絡している第2の管と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項8】
前記第1の管内の前記流路が第1の内径をもち、前記第2の管内の前記流路が第2の内径をもち、前記第1の内径が前記第2の内径よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項9】
前記第2の管が前記第1の管に部分的に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項10】
前記流路がモノリシックな単一部片要素であり、前記流れ狭窄部が前記流路に一体的に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項11】
前記流れ狭窄部が、前記流路内に位置決めされた多孔質の栓を有することを特徴とする請求項2に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項12】
前記第2のゾーン内の流路に伝熱により連絡している温度センサをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の毛管エアロゾル発生器。
【請求項13】
エアロゾルを発生するのに有用なシステムであって、
請求項1に記載の毛管エアロゾル発生器と、
加圧流体の供給源と、
前記加圧流体の供給源と前記毛管エアロゾル発生器との間の弁と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項14】
前記弁が自動制御式の弁であり、前記第1のヒータと、前記第2のヒータと、前記弁とに電気的に連絡している制御器をさらに含み、
前記制御器が、前記第1のヒータと前記第2のヒータとに電圧を選択的に供給し、前記制御器は、前記弁を選択的に開閉するよう動作することを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
液体からエアロゾルを形成する方法であって、
流路の第1のゾーンに伝熱により連絡しているよう位置決めされた第1のヒータと、前記第1のゾーンの下流にあり前記流路の第2のゾーンに伝熱により連絡しているよう位置決めされた第2のヒータと、を含むエアロゾル発生器の流路の上流端に加圧された液体を供給するステップと、
前記第2のゾーンの前記流路内を流れる流体の質量流量を示すパラメータを測定するステップと、
前記第2のゾーンを通る前記流体の質量流量の測定値に基づいて、前記第1のゾーンの温度を変化させるステップと、
前記液体が気化してエアロゾルの形をとって前記流路の下流端から噴霧されるように前記第2のゾーン内の前記液体を加熱するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記液体が、前記第1のゾーンと前記第2のゾーンとの間の前記流路内の流れ狭窄部を通過することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のゾーンの温度を測定するステップと、
前記第2のゾーンで測定された温度に基づいて、前記第2のヒータの電圧を調整するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のゾーンの温度を変化させるステップが、
前記第2のヒータの温度を所定温度に維持するために消費された電力(P(Z2))を目標電力レベル(P(目標))と比較するステップと、
(P(Z2))>(P(目標))の場合に前記第1のヒータに供給される電力を低下させるステップと、
(P(Z2))<(P(目標))の場合に前記第1のヒータに供給される電力を増大させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−172392(P2009−172392A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−69033(P2009−69033)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【分割の表示】特願2002−552609(P2002−552609)の分割
【原出願日】平成13年12月3日(2001.12.3)
【出願人】(505416441)フィリップ モーリス ユーエスエー インコーポレイテッド (2)