複数回投与凝縮エアロゾル装置および凝縮エアロゾルの形成方法
空気流中に物質を同伴する装置および方法が開示される。凝縮エアロゾル供給装置および高純度、高収率を有する薬剤などの物質を連続的に複数回投与する方法は、肺送達に適する粒子サイズ分布によって特徴付けされ、さらに、使用者への1回の投与量で投与できることが開示される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、物質を空気流に同伴させる装置、このような装置を使用する物品および方法に関し、より詳細には、高純度、高収率を有する薬剤の凝縮エアロゾルの複数回投与量を実行する物品および方法に関し、一回吸入の間において使用者に投与できる、吸入供給に適した粒子サイズ分布によって特徴付けられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]病気および疾患の治療のために生理活性化合物を患者に投与する効果的な方法として、肺送達が知られている。肺送達用に開発された装置は、患者が吸入する生理活性化合物のエアロゾルを生成するものであり、この場合、化合物は、患者の呼吸器官内の症状を治療し、および/または患者の全身循環系に注入するために用いられる。生理活性化合物のエアロゾルを生成する装置には、ネブライザ、加圧式定量投与吸入器およびドライパウダー吸入器が含まれる。ネブライザは、液体薬剤溶液の噴霧を基本とし、一方、加圧式定量投与吸入器およびドライパウダー吸入器は、空気流および/または噴射剤中のドライパウダーの懸濁および分散を基本にしている。
【0003】
[0003]生理活性化合物の吸入用エアロゾルは、物質を気化させることによっても形成され、空気流内に活性化合物を含む凝縮エアロゾルを生成できる。凝縮エアロゾルは、気化から形成された気相物質が凝縮または反応することにより空気またはガス中に微粒子(本明細書では粒子とも称される)を形成すると、形成される。気化方法を利用して凝縮エアロゾルを生成する装置および方法の例は、米国特許第6,682,716号、第6,737,042号、第6,716,415号、第6,716,416号、6,740,307号、6,740,308号、6,737,043号、第6,740,309号、第6,716,417号に開示されており、上記特許のそれぞれは参照として本明細書に組み入れられる。
【0004】
[0004]吸入装置が生理活性化合物の複数回投与量を投与でき、活性化合物を含む各投与量が一回吸入の間に患者に投与されることが望ましい。1回分の投与量とは、吸入装置の1回の起動中に放出される物質の量を指す。1回分の投与量は、例えば、生理活性化合物の治療効果のある量を含むことができる。さらに、治療計画では、患者に投与される複数回投与量のそれぞれが、生理活性化合物の制御された量を含むこと、および投与された活性化合物が高純度を呈し、例えば賦活剤などの副産物とは無関係であることを要求できる。また、患者の呼吸器官治療、特に患者の肺への投与量の最適投与は、空気動力学的中央粒子径が約4μm未満のエアロゾルによって容易に実行できる。さらに、実用面を考慮すると、装置に含まれる各投与の相当量がエアロゾルを形成し、装置から噴射され、患者によって吸入されることが望ましい。
【0005】
[0005]凝縮エアロゾルが空気流内に形成されると、エアロゾルの特定部分は、空気流、装置の吸入口または他の組織を形成する空気路の側壁等の物理的形体物を下流に置くことができ、それによって装置により噴射され、投与に利用される活性化合物の量を低減できる。複数回投与装置においては、共通の空気路に多数の投与量を収容することは、低コストで小型の製品を製造するのに有利になる。しかし、複数回投与装置においては、多数の投与量を空気流路内の表面に配置する場合、上流の投与量を気化することによって形成される特定の量のエアロゾル粒子が、気化されていない化合物を含む下流の表面上に堆積することがある。気化していない投与量上に堆積すると、装置から噴射した活性化合物の量を低減できるだけでなく、堆積によって、後続の投与量を形成する活性化合物の量を変化させることができる。したがって、特に、装置が多数の複数回投与量を含んでいる場合、後続の投与量は可変で制御されない量の活性化合物を含むことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]多くの治療計画に対して、正確で、均一な、再現可能な量の生理活性化合物を含む投与量を投与できることは、治療計画の治療効力に影響を与えることができ、場合によっては、このような特性能力によって新しい治療を可能にすることができる。したがって、正確な、再生可能な、および/または制御された量の生理活性物質を繰り返し投与できる吸入装置と、凝縮エアロゾルを生成する方法とが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]特定の実施形態には、入口および出口を具備する空気路と、空気路内に配置された少なくとも1つの支持体と、少なくとも1つの支持体上に配置された物質と、少なくとも1つの支持体から物質を解放するよう構成された機構とを備える、空気流に物質を同伴させる装置であって、入口から出口に通過する空気流を少なくとも1つの支持体の方向に誘導することにより、物質が支持体から解放されると、物質が空気流に同伴されるようにしている、装置を含む。
【0008】
[0008]特定の実施形態には、物質を含む凝縮エアロゾルを形成するために、金属箔の上に配置された物質を気化させるための金属箔を備えた電気抵抗加熱要素を含む。
【0009】
[0009]特定の実施形態は、分注ユニットと分離可能なカートリッジとを備えた患者に凝縮エアロゾルを投与する装置を含む。特定の実施形態においては、分注ユニットは、分離可能なカートリッジ用の受口と、物質の気化を制御するコントローラと、電源とを備える第1ハウジングを備える。特定の実施形態においては、分離可能なカートリッジは、第2ハウジングと、入口および出口を有するハウジング内に含まれる空気路と、出口に結合されたマウスピースと、出口に結合された空気バイパス孔と、空気路内に配置された少なくとも1つの電気抵抗加熱要素と、少なくとも1つの加熱要素の上に配置された物質と、電源から少なくとも1つの加熱要素にエネルギーを伝達するように構成された作動機構とを備え、空気路の入口から出口への空気流によって物質が気化され、空気流内で凝縮して凝縮エアロゾルを形成する。
【0010】
[0010]特定の実施形態においては、気化物質またはエアロゾル粒子を空気流に同伴する方法と、凝縮エアロゾルを生成する方法と、本明細書で開示された装置を用いて物質を患者に投与する方法とが含まれている。本明細書における目的のため、「同伴する」または「同伴している」とは、気化物質またはエアロゾル粒子を空気流内に誘導する、送り込む、吸い込むまたは引き寄せる、注入する、輸送する、運ぶまたは懸濁することを意味する。
【0011】
[0011]他の実施形態は、当業者にとっては、本明細書で開示される本発明を考察および実現することによって明らかとなる。説明の明細および実施例は、単に例示と見なされるものとする。
【0012】
[0012]なお、これまでの概要説明および以下の詳細な説明の両方は、単に例示および説明であって、特許請求の範囲に記載されているとおり、特定の実施形態に限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[0034]特に指定しない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられる量および条件などを表す全ての数字は、全ての例において、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。
【0014】
[0035]本出願においては、特に記載しない限り、単数形を用いる場合は複数形を包含する。本出願では、特に記載しない限り、「または」を用いる場合は「および/または」を意味している。さらに、用語「含んでいる」、ならびに他の形体、例えば「含む」や「含まれた」などの使用は限定ではない。
【0015】
[0036]凝縮エアロゾルは、気体物質が凝縮または反応して空気または気体中で粒子を形成する場合に、形成される。気体物質は、固体または液体物質が熱的に昇華または気化されると、生成される。気化とは、物質が固体または液体状態から気体状態へと変化する相転移を指す。昇華とは、物質が固体状態から気体状態に直接移る相転移を指す。
【0016】
[0037]空気流に入ると、気体物質は冷却され、少なくとも一部は空気流の温度によって凝縮して、エアロゾル粒子を形成する。空気流に十分に同伴されなかった凝縮エアロゾル粒子は、空気流から逸脱して、下流面で堆積する可能性がより高くなる。
【0017】
[0038]粒子が空気流に不十分に同伴され、その結果、下流面上に粒子が堆積する様子が図1Aに示されている。図1Aは、入口11と出口12とを有する空気路10を示している。複数の支持体13が空気路10の片側に位置している。複数の支持体13は、支持体14と下流支持体17とを含む。物質は、例えば支持体14上に配置でき、および空気流15は、支持体14を含む複数の支持体13が空気流15内に配置されるように空気路10内に確立できる。支持体14上に配置された物質が、例えば、気化によって支持体14から解放されると、物質は空気流15内に凝縮エアロゾル粒子16を形成することができる。図示するように、エアロゾル粒子が空気流15に十分に同伴されないと、このように形成された凝縮エアロゾル粒子16が、下流の支持体17上に堆積する。
【0018】
[0039]微粒子、より詳細にはエアロゾルを形成する気相物質を空気流に同伴させる装置の概略図が図1Bに示されている。図1Bは、構造体22によって分離された第1空気路20と第2空気路21とを示している。構造体22は、第1空気路20と第2空気路21とを流体接続する複数の孔を備える。上流の支持体24と下流の支持体27とを含む複数の支持体28が、第1空気路20内の構造体22の表面に配置されている。図1Aにおけるように、物質は、例えば、上流の支持体24上に配置することができる。第1空気流25が第1空気路20内で確立され、第2空気流26が第2空気路21内で確立され、それによって第2空気流26が、上向きの矢印23によって示されるように、第2空気路21から第1空気路20に複数の孔を通って通過する。複数の孔を通過すると、第2空気流26によって、上流の支持体24を含む複数の支持体28の方向および空気流25の方向に向く空気の流れができる。空気流25の方向に向けられた空気の流れ23は、上流の支持体24から気化した物質を押し上げるように作用して、その物質を含む凝縮エアロゾル粒子19を形成し、その凝縮粒子を第1空気流25に同伴させる。第1空気流25に凝縮粒子19を同伴させることにより、凝縮粒子19が上流面27で堆積する可能性を低減する。図1Bに示されるように、第1空気流25の中心近くで凝縮粒子を同伴させることによって、より多くの凝縮粒子をエアロゾルとして装置の出口29から放出でき、例えば、吸入による患者への投与などに利用できる。
【0019】
[0040]凝縮エアロゾルを形成するために、物質、より詳細には、気相物質を空気流に同伴させる装置の別の実施形態が図2Aに概略的に示されている。図2Aは、複数の孔を通り、構造体の表面を横切るように空気流を誘導する別の方式を示している。図2Aは、第1空気路30と、第2空気路31と、第1空気路30と第2空気路31とを分離する構造体32とを有する装置を示している。構造体32は、例えば、太線および細線によって示されているように、2つの部分を備えるものとして示されているが、構造体32は1つの部品または複数の部品を備えることもできる。構造体32は、第1空気路30と第2空気路31とを流体接続する複数の孔39を含む。第1空気路30と第2空気路31とはさらに、ハウジング34によって形成されている。ハウジング34は、空気流36を第2空気路31に流入させる吸気口35と、空気流36を装置から流出させる排気口37とを含む。図2Aに示されるとおり、第1空気路30と第2空気路31とはさらに、孔および/またはスロットを通して流体接続されており、これらの孔および/またはスロットの寸法は、複数の孔39を通過する空気流の部分と比較して、空気流36よりも大きい、小さい、または等しい部分38が第1空気路30内に入ることを可能にする寸法とされている。各空気路への空気流の相対量を変更して、所望の目的に合わせることができる。図1Bついて説明したのと同じ方法で、小さな矢印33で示されている複数の孔39を通る空気流が、気化物質と、構造体32上に配置された複数の支持体40から解放された気化物質の凝縮によって形成される凝縮粒子41とを空気流36に同伴させる。凝縮粒子41を空気流36に同伴することによって、凝縮粒子41が下流面に堆積するのを低減する。
【0020】
[0041]物質または凝縮粒子を空気流に同伴させる装置の別の実施形態が図2Bに示されている。図2Bは、図2Aの装置と同様の装置を示しており、空気流36の一部である第2空気流42が第3空気路43に入る。その後、第2の空気流42は複数の孔39を通過して、複数の支持体40と第1空気路30の方向に向けられた空気流を形成する。支持体上に堆積した物質を気化させることで形成される凝縮粒子41が、空気流38、42を含む空気流36に同伴される。
【0021】
[0042]別の実施形態においては、図2Cに示されるとおり、第1空気流36の一部が多孔質要素44を通して導かれる。多孔質要素44を通過すると、空気流のこの部分は支持体40の間を通り、その空気流を第1空気路30の方向に導く。多孔質要素44は、任意の材料で製造されてもよく、多孔質要素44を形成する複数の孔を通って装置に入る空気の適切な部分を配分できる任意の孔サイズを有してもよい。例えば、特定の実施形態においては、多孔質要素44は、開放気泡発泡体、メッシュ、繊維材料、ガラスフリット、セラミックフィルタ、微孔質要素などであってもよい。
【0022】
[0043]物質が空気流にどのように効率的に同伴されるかは、少なくともその一部は、複数の開口を通る空気流の速度R2に対する支持体の表面を横切る空気流の速度R1の割合に依存する。物質を空気流に効率よく同伴させるための適切な割合R1:R2は、空気流の速度や、空気流の中心からの支持体の距離など多数の要因に依存する。特定の実施形態においては、R1:R2は80:20〜20:80の範囲であり、別の実施形態においては、60:40〜40:60の範囲である。R1:R2の割合は、第1および第2空気流が通過する孔の相対面積によって決定できる。例えば、図2Aを参照すると、60:40の割合は、空気流38が通過する孔/スロットの相対面積が60で、複数の孔39の相対面積が40であることを意味している。
【0023】
[0044]空気流に物質を同伴させる装置の別の実施形態が図2Dに示されている。図2Dは、装置に入る空気流36を示している。空気流36の一部が複数の孔39を通過し、複数の支持体40を横切って通過する。空気流36の第2部分が、複数の孔の付近からそれる(図2Dで38として示されている)。複数の孔39を通過する空気流の部分と第2空気流部分38とが第1空気路30で再結合し、マウスピース45を通過して装置を出る。
【0024】
[0045]図1Bおよび図2A〜図2Dに示される実施形態においては、支持体の下から空気を導入することによって、気化物質またはエアロゾル凝縮粒子の再堆積が最小限となる。
【0025】
[0046]装置を通る空気流に対する支持体の異なった配置が図2Eおよび図2Fに示されている。図2Eにおいては、空気流36は第1空気路30に入る。空気流36は、複数の支持体40の上方の経路を取り、再結合して、マウスピース45を通過して装置を出る。図2Fにおいては、第1空気路30に入る空気流36は、複数の支持体40の上方を通って、マウスピース45を通過して装置を出る。
【0026】
[0047]図1Bおよび図2A〜図2Fに示された例示的な装置の基礎をなす概念は、凝縮エアロゾルを患者に投与する装置に適用できる。患者は哺乳動物およびヒトを含む。図3には、凝縮エアロゾルの複数回投与量を患者に投与するためのカートリッジが示されており、このカートリッジは、複数の孔を通過する空気流を利用して支持体から解放された物質を空気流に容易に同伴させる。このようなカートリッジの分解組立図が、図3で部品50として示されている。また、組立後のカートリッジの断面図が図5に示されている。
【0027】
[0048]図3は、肺に投与する物質の複数回投与量を生成することができるカートリッジの等角組立図を示している。図3に示されたカートリッジ50は、結合してハウジングを形成する、第1シェル52と第2シェル54とを備える。組み立てられると、第1シェル52と第2シェル54のうちの一端が、患者の口に挿入するためのマウスピース56を形成する。空気バイパス孔58が第2シェル54のマウスピース56に隣接して位置し、吸入によって生成された空気流の速度が、カートリッジを入る吸気バルブ62によって制御された空気流の速度を上回ると、空気をマウスピース56に入れることができる。吸気バルブ62は、使用者ごとの空気流の変化を最小限にするのに役立つ。ハウジング内の空気流の速度は粒子サイズに影響を与え、したがって、空気流の変動を制御することによって生成された粒子サイズ全体を精度よく制御できる。空気バイパス孔58は融通性を有していてもよく、ハウジングを通り支持体の表面を横切って移動する空気流の量を乱さずに、快適な速度で使用者が呼吸可能となるようにすることができる。例えば、使用者は、通常、30L/分〜100L/分の範囲の流量で吸入する。ただし、装置は6L/分の流量は(装置に入る時間毎の空気量を指し、支持体の表面を横切って導かれ、装置から放出される流量である)を有することができ、使用者からの余分な空気流がバイパス孔58に入る。第2シェル54は(一部隠された)空気取入口60をさらに備える。空気取入口60は、第2シェル54の受口64に嵌合する吸気バルブ62を含んでいる。上述のように、吸気バルブ62は、カートリッジの空気流量を制御し、使用者による一回吸入の間に装置に入る空気量を制御可能なバルブであればどのようなバルブであってもよい。適切なバルブの例として、フラッパ弁(圧力差に応じて湾曲するフレキシブル弁)、傘型弁、リード弁、または圧力差に応じて湾曲するフラップ弁などが挙げられる。吸気バルブ62の目的は、吸入中およびその間の全空気流量に関係なく、カートリッジに入る空気量を制御することである。全空気流量には、空気取入口60と吸気バルブ62を通る空気流量と、空気バイパス孔58を通る空気流量とが含まれている。
【0028】
[0049]図4は、簡単なフラップ弁を使用して、カートリッジを通る空気流量を、20L/分〜90L/分の範囲にある全体の吸入に対して約6L/分に制御できることを示している。図4に示される結果を得るために、カートリッジはフラップ弁に結合され、様々な全空気流量に対するカートリッジを通過する空気流量が測定された。したがって、吸気バルブ62を用いることによって、カートリッジを通過する空気流量は、吸入によって生成される空気流量には比較的に無関係になる。本明細書で開示しているように、流れを制御することにより、装置から放出される凝縮エアロゾルの粒子サイズおよび粒子サイズ分布を制御できる。しかし、粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、多数の別の要因、例えば、物質、物質の気化温度、空気流の温度、空気路の横断空気などの要因によって影響を受ける可能性がある。したがって、空気流量は、所望の平均粒子サイズおよび粒子サイズ分布を形成するために調節される幾つかのパラメータのうちの1つである。特定の実施形態においては、空気制御バルブ62は、カートリッジを通る空気流を4L/分と8L/分との間に制御するように設計できる。特定の実施形態においては、空気流制御バルブは、空気路内に位置する変換器によって供給される信号がバルブの位置を制御するように電子的に、または、例えば、空気路と装置の外側との圧力差によってなど受動的に、起動される。さらに、空気路の断面積を調節して、所望の平均粒子サイズおよび粒子サイズ分布を形成することができる。特定の実施形態においては、空気路の断面積は0.5cm2〜3cm2の範囲にある。
【0029】
[0050]図3に示されるとおり、第2シェル54は、呼吸作動機構67をさらに含んでいる。呼吸作動機構67は、遠隔配置のコントローラ(図示せず)に電気的に接続されており、特定の予め決められた空気流れ速度が検知されると、コントローラに信号を送り、コントローラはデータを解釈して、凝縮エアロゾルの生成を活性化することができる。呼吸作動機構67は、例えば、空気流に応じて温度を感知するサーミスタであってもよい。第1シェル52および第2シェル54は、電気コネクタ70を保持するための受口68も含んでいる。さらに、カウンタ66があってもよく、カウンタ66は、作動していない支持体(それに含まれている物質を気化するようにまだ加熱されていない支持体)の数を識別する。
【0030】
[0051]カートリッジ50が組み立てられると、構造体72は第1空気路と第2空気路とを分離する。第1空気路74および第2空気路76は、図5で示された組立後のカートリッジの断面図で示されているように、構造体72と、第1および第2シェル52、54の対向する内壁とによってそれぞれ形成される。図3に示されているとおり、構造体72は、コネクタ70と複数の電気抵抗加熱要素78との間の電気接続を可能にするプリント回路板である。加熱要素78はスペーサ80に取り付けられ、構造体72上に配置された相互接続ランド部82に半田付けされている。スペーサ80は、例えば、プリント回路板材料など熱絶縁性の材料であってもよい。
【0031】
[0052]図3に示されているとおり、構造体72は、構造体72の表面の大部分にわたり延びる複数の孔84を含んでいる。各孔84は構造体72の厚みを貫通して延びている。構造体72はまた、コネクタ70が取り付けられている構造体72の端部近くに一連のスロット86を含んでいる。複数の孔84および一連のスロット86の数および寸法が、患者がマウスピース56から吸い込むときに、複数の孔84と一連のスロット86とを通って流れる空気の相対的割合を決定する。図5に示されているとおり、患者がカートリッジ50のマウスピース56を吸入すると、空気流88が生成され、これによって空気が空気取入口60に入り、装置に入る空気の流れが吸気バルブ62によって制御されて、第2空気路76に入る。空気流の第1部分は、第2空気路76から一連のスロット86を通って第1空気路74に入り、患者によって吸入される。同時に、空気流の第2部分は、複数の孔84を通過して、第1空気路74に入り、患者に吸入される。複数の孔84と一連のスロット86を通過する空気流は結合して、マウスピース56を通過して装置から出る。
【0032】
[0053]複数の支持体78に対する複数の孔84と一連のスロット86の位置を示した上面図が図6Aおよび図6Bに示されている。図6Aは、コネクタ70と一連のスロット86と複数の孔84とを備える構造体72を示している。一連のスロット86は、矩形状のスロットとして示されている。ただし、一連のスロット86は、吸入投与するために適正な特性を示す凝縮エアロゾルを形成するために、気化物質を空気流に取り込めさせるよう、必要に応じて、如何なる数の開口、形状および/または寸法を有してもよい。複数の孔84は、一定のアレイの丸い開口を備えて示されている。しかし、複数の孔84は、吸入投与するために適切な性質を示す凝縮エアロゾルを形成するために、気化物質および凝縮エアロゾル粒子を空気流に同伴させるのに適するように、任意の数の開口、形状および/または寸法を有してもよい。例えば、孔88の各列は狭いスロットに置き替えてもよい。複数の孔84はまた、構造体72の表面全体にわたり異なった配置で置かれてもよい。
【0033】
[0054]図6Bに示されるとおり、特定の実施形態においては、孔84は、隣接する加熱要素78の間の空隙90の下に配置できる。孔84から空隙90を通って流れる空気は、支持体78から解放された物質を空気流内に誘導できる。特定の実施形態においては、複数の孔84のうち少なくともいくつかが、支持体78の少なくともいくつかの下に位置することができる。
【0034】
[0055]図2〜図6に示されたカートリッジは、生理活性物質を患者に投与するための凝縮エアロゾル供給装置において使用できる。本開示による、例示的な凝縮エアロゾル供給装置100の立体図が図7に示されている。装置の上面およびカートリッジを通り外した等角図が図8に示され、凝縮エアロゾル供給装置100の分解組立等角図が図9に示されている。図9を参照すると、凝縮エアロゾル供給装置100は、カートリッジ50と分注ユニット102とを含んでいる。図9に示されるように、カートリッジ50は分離可能なユニットであってもよい。特定の実施形態においては、カートリッジ50は、分注ユニット102の一体構成部品であってもよい。分注ユニット102は、分注ユニット102のハウジングを形成するよう組み立てられる第1シェル104と第2シェル106とを含んでいる。図9に示されるように、分注ユニット102は、バッテリー電源108と、マイクロプロセッサコントローラ112を組み込んでいるプリント回路板110と、表示器114と、分注ユニットをカートリッジと接続し、またコントローラ112と3つの単4電池を備えた電源108とをカートリッジ50に接続するコネクタ116と、をさらに含んでいる。
【0035】
[0056]凝縮エアロゾルを患者に供給するために、患者は凝縮エアロゾル供給装置100のマウスピース56を患者の口内に置く。その後、患者はマウスピース56を吸入して、本明細書で記載したように空気流を生成する。ある一定の最小空気流または空気流内の変化速度が検知されると、装置が作動する。空気流センサからの信号がコントローラに送られると、バッテリー電源が少なくとも1つの支持体に接続されるようになる。本明細書に記載されるとおり、支持体は、例えば電気抵抗加熱要素であってもよい。電気抵抗加熱要素によって生成された熱は、その上に置かれた物質を熱で気化する。気化物質は、空気流内で凝縮して凝縮粒子、したがって凝縮エアロゾルを形成する。本明細書に記載されているとおり、加熱要素の下を通って流れる空気流によって、加熱要素から気化した物質または凝縮エアロゾル粒子が、カートリッジを通過する前に他の支持体に堆積するのではなく、空気流に同伴されるようになる。カートリッジを通過したエアロゾルは、続いて、患者に吸入される。一回の呼吸で、凝縮エアロゾル供給装置が作動し、凝縮エアロゾルを形成し、凝縮エアロゾルを吸入することができる。吸入された凝縮エアロゾルは、その後、患者の空気路に入り、そこでは、活性物質を含む凝縮エアロゾルが患者の空気路内、特に肺胞内に堆積する。
【0036】
[0057]凝縮エアロゾルを生成する装置は、少なくとも1つの支持体を含み、特定の実施形態、例えば図2〜図5および図8においては、複数の支持体を含むことができる。支持体は、空気流内に解放された物質が堆積する表面および/または構造を提供できる。特定の実施形態においては、支持体は、例えば構造体の表面上の空気路の側面に位置するか、または空気路の中心に向かって、中心近く、または中心に位置する。支持体の形状および寸法、並びに支持体を形成する材料または複数材料を選択することにより、エネルギーが加えられると支持体に堆積した物質を容易に解放して、解放中における物質の劣化を最小限にし、その上に堆積した物質を急速加熱させ、および/または物質を解放するのに使用されるエネルギー量を最小限にすることができる。
【0037】
[0058]支持体を形成する適切な材料の選択は、少なくともその一部としては、支持体から物質を解放するのに使用されるエネルギー源によって決定される。例えば、物質を解放するのに使用されるエネルギー源は、機械的、音響的、マイクロ波等の放射線、周波数または光学的および/または熱的であってもよい。加えられたエネルギーが物質によって直接吸収されると、支持体は非熱伝導性になる。例えば、支持体上に配置され物質を除去および/または気化するのに光源を用いることができる。あるいは、特定の実施形態においては、熱エネルギーを支持体上に配置した物質に伝達して物質を支持体から解放する、熱伝導性の支持体を加熱することがより効率的または実用的になる。このような実施形態においては、支持体は、金属、金属合金、2つ以上の層および/または組成物を有する金属複合材、黒鉛などの熱伝導性材料であってもよい。例えば、特定の実施形態においては、金属は、ステンレス鋼、銅、ニッケル、アルミニウム、金または銀であってもよく、1つまたは複数の上記材料または他の金属と共にメッキされてもよい。いくつかの実施形態においては、金属の上に金属層をメッキする厚みは、0.001μm〜3μmの間の範囲内にできる。いくつかの実施形態においては、支持体は半導体材料である。
【0038】
[0059]例えば、凝縮エアロゾル供給装置がバッテリー電源を有する携帯用途に設計されている特定の実施形態においては、効率的にエネルギーを使用することが望まれる。支持体から物質を解放するのに使用されるエネルギーの最小化は、少なくともその一部としては、支持体の形状および寸法、支持体を形成する材料および空気路内への支持体の配置による。特定の実施形態においては、支持体は、金属箔などの電気抵抗材料を含むことができる。特定の実施形態においては、金属箔は、ステンレス鋼の金属箔であってもよく、例えば、電気的接続の形成、および/または金属箔の部分の抵抗などの電気特性の変更を容易にする金層などの1つまたは複数の材料でできた層を含むことができる。金属箔の適切な寸法は、所望の抵抗、支持体上に置かれた物質の量、支持体上に置かれた物質を気化するのに必要なエネルギー量および/または機械的な安定性を考慮することに、少なくとも部分的に依存している。
【0039】
[0060]支持体によって生成された熱エネルギーを支持体上に置かれた物質に最大限伝達するためには、熱伝導性の支持体が熱的に絶縁されていることが望ましい。支持体とコネクタとの間の接触面積を最小限にすることによって、支持体を熱分離させるのを助ける。例えば図3に示されるとおり、スペーサによって構造体の表面の上方にある空気流内の支持体を懸架することによって、熱分離を達成でき、それによって金属箔の両端部を電源に電気的に接続できる。図3、図8および図10に示されているとおり、特定の実施形態においては、金属箔はアーチ状である。加熱中、薄い金属箔は変形する傾向がある。この現象が図11に概略的に示され、図11では、金属箔は2つの導電体の間に懸架されて示されている。図11(a)は、2つの導電体にまたがるフラットな金属箔を示している。図11(b)に概略的に示されているように、フラットな金属箔は加熱中に湾曲する。いくつかの金属箔支持体を備えた複数回投与凝縮エアロゾル供給装置において、このような金属箔の機械的変形によって空気流と相互作用して、凝縮エアロゾル粒子の下流面への堆積を増加させる。各支持体または加熱要素の加熱で解放され、受容体に移送される物質の量を正確に再現しやすくするために、装置の空気流特性は装置の作動毎に一定であることが望ましい。より厚い金属箔を用いることによって金属箔の歪みが最小限になるが、金属箔を最小限の電力消費で効率よく加熱するには、薄い金属箔を使用する必要がある。金属箔の機械的安定性が金属箔をわずかにアーチ状に製造することで向上することが見出された。アーチ状の金属箔の例が図11(c)に示されている。加熱中、図11(c)に示されたアーチ状の金属箔は、図11(d)に示されているとおり、わずかに上向きの移動を示し、続いて加熱することによって、先の加熱とほぼ同じアーチ状に戻る。アーチは、多数の方法で形成できる。例えば、これに限定されないが、金属箔または複数の金属箔をアーチ状のマンドレルの上方に置き、その両端部をプラットフォームに接合することによる組立などである。金属箔を極端に薄くして、永久ひずみは生じないが、わずかに圧縮してアーチ状を維持することができる。アーチ状の金属箔が取り付けられるプラットフォームは、例えば、図3で示されているとおりに、スペーサ80などのスペーサであってもよく、または、スペーサが採用されない実施形態においては第1および第2の空気路を分離する構造体72であってもよい。本発明のいくつかの実施形態においては、アーチの高さは0.5mm〜2mmの範囲である。
【0040】
[0061]特に、携帯型のバッテリー駆動の凝縮エアロゾル供給装置に関しては、物質を気化するのに用いられる電力を最小限にすることが有益である。金属箔のいくつかの特性を選択して、金属箔から物質を効率よく熱気化させることができる。上記の特性には、これに限定されないが、金属箔の厚み、金属箔のインピーダンス、および金属箔の熱質量に対する表面積の割合が含まれる。特定の実施形態においては、金属箔の厚みは、0.01インチ未満であり、特定の実施形態においては、0.001インチ未満であり、特定の実施形態においては0.0005インチ未満である。電気回路の電力消費を最小にするため、およびそれによって加熱要素に供給する電力を最大にするために、金属箔のインピーダンスが電源のインピーダンスと厳密に一致していることが望ましい。例えば、特定の実施形態においては、抵抗加熱要素のインピーダンスと電源のインピーダンスとの差は、電源のインピーダンスの50%未満であり、特定の実施形態においては、電源のインピーダンスの10%未満であり、特定の実施形態においては、電源のインピーダンスの2%未満である。抵抗加熱要素によって生成される熱エネルギーを抵抗加熱要素上に置かれた物質に効率よく伝導しやすくするために、抵抗加熱要素の熱質量に対する抵抗加熱要素の表面積の割合を最大にすることが有益である。したがって、特定の実施形態においては、抵抗加熱要素の熱質量に対する加熱要素の表面積の割合は10cm2/J/℃よりも大きく、特定の実施形態においては、100cm2/J/℃よりも大きく、特定の実施形態においては500cm2/J/℃よりも大きい。
【0041】
[0062]抵抗加熱要素の熱質量に対する加熱要素の表面積の割合が低いことによって、基板に熱を伝達しやすくなり、物質の熱気化を急速にする。物質を急速に熱気化することによって、気化中の物質の熱分解を最小にし、それによって形成される凝縮エアロゾルの純度を最大にすることができる。例えば、特定の実施形態においては、支持体、特に金属箔は、500ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度まで、特定の実施形態においては250ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度まで、特定の実施形態においては100ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度まで加熱することができる。
【0042】
[0063]物質を表面上に薄膜として堆積することによって、抵抗加熱要素によって生成された熱エネルギーを抵抗加熱要素上に配置された物質にさらに効率よく伝達しやすくすることができる。例えば、特定の実施形態においては、物質の層の厚みは0.01μm〜50μmの範囲であり、特定の実施形態においては、0.01μm〜20μmの範囲であり、特定の実施形態においては、0.01μm〜10μmの範囲である。
【0043】
[0064]例えば、薄い金属箔を含む電気抵抗加熱要素を用いて、電気抵抗加熱要素のインピーダンスを電源のインピーダンスと厳密に一致させ、抵抗加熱要素の熱質量に対する抵抗加熱要素の表面積の割合を最大にし、および加熱要素上に配置された物質の薄膜を用いることによって、物質を熱気化させるエネルギー量を最小にすることができる。少なくとも上記パラメータを適切に設計および選択することによって、特定の実施形態においては、支持体から物質が気化するエネルギー量は250ジュール未満であり、特定の実施形態においては50ジュール未満であり、特定の実施形態においては10ジュール未満である。さらに具体的な実施形態においては、支持体から物質が1mg気化することに対するエネルギー量が250ジュール未満であり、特定の実施形態においては50ジュール未満であり、特定の実施形態においては10ジュール未満である。
【0044】
[0065]凝縮エアロゾル供給装置および/またはカートリッジを形成する支持体の数は特に限定されておらず、例えば、特定の実施形態においては、カートリッジまたは薬剤供給装置は、1〜200の支持体を含み、特定の実施形態においては1〜50支持体、特定の実施形態においては1〜25支持体、特定の実施形態においては1〜10支持体を含む。
【0045】
[0066]カートリッジは凝縮エアロゾル供給装置から分離することができる。このような実施形態においては、患者は供給装置を使って、例えば、2つ以上の生理活性物質、または1つのカートリッジを別のカートリッジと交換することによって同じ生理活性物質を2回以上の投与量で投与することができる。また、特定のカートリッジにおける投与量が全部使い果たされると、使用者は新しいカートリッジを得て、供給装置に挿入することができる。
【0046】
[0067]本開示の特定の実施形態では単一の支持体を備えるが、複数の支持体を備える実施形態が、例えば、生理活性化合物または薬剤をある期間にわたり複数回投与で供給する好都合な方法を提供する際に、特に有用であることが予測される。用語の生理活性化合物および薬剤は、本明細書では区別せずに使用されている。本明細書で使用されているとおり、薬剤とは、公定薬局方または処方集で認められた物質、および/または診断、治療、緩和、病気の治療または予防で使用されるよう意図された物質を指す。病気とは、あらゆる病気、疾患、異常、兆候または徴候を指す。このような実施形態においては、少なくとも1つの支持体上に配置した物質は、治療効果のある薬品の量を含んでいる。例えば、治療効果のある薬品の量または投与量は、単一の支持体、多数の支持体のそれぞれ、または2つ以上の支持体上に置くことができる。凝縮エアロゾル供給装置の特定の実施形態においては、同量の生理活性化合物が各支持体上に置かれる。特定の実施形態においては、種々の量の生理活性化合物が複数の支持体のそれぞれの上に置かれるか、またはある量の活性化合物がいくつかの支持体上に置かれ、異なる量の活性化合物をいくつかの別の支持体上に置いてもよい。異なった支持体上に種々の量の薬剤を有することは、治療計画を達成するのに有用であり、この場合には、ある期間、種々の量の薬品を投与することが有益である。
【0047】
[0068]特定の実施形態においては、いくつかの支持体上に置かれた活性化合物が不正使用物質である場合、作用薬を含む第2化合物を1つまたは複数の他の支持体上に置くこともできる。「不正使用物質」とは、例えば、処方または意図された服用量を超えて投与するまたは投与経路を意図された経路から変更することによって、不適切に使用される物質のことを指す。例えば、オピオイド鎮痛薬は、オピオイド鎮痛薬を、痛みの治療のための治療に用いるのではなく、陶酔効果を引き出すために用いることによって悪用される可能性がある。不正使用物質には、例えば、米国司法省麻薬取締局(United States Drug Enforcement Agency (DEA))など薬物乱用を阻止することに重点を置いた管理機関によって規制された物質が含まれている。特定の実施形態においては、不正使用物質とは、DEAによるスケジュールII、III、IVまたはVに挙げられた物質である。第2の化合物は、別の化学物質の生理活性および/または薬理効果を低減または無効にするよう作用する化合物である。不正使用物質と、その不正使用物質の効果を同じ装置内で無効にすることができる第2化合物との両方を有すると、乱用者の能力を混乱させて、不正使用物質を加熱要素から選択的に除去することになる。装置を適切に使用することで、不正使用物質を規定の投与量で効果を有するだけにすることができる。
【0048】
[0069]放出される物質は、支持体の少なくとも一表面上に置かれてもよい。例えば、物質は、第1空気路の中心に対面する面上に、および/または速度が最も速い空気流の一部の方向に向けて置かれてもよい。物質は、任意の適切な方法によって支持体の表面に付着させることができ、物質の物理的性質と、付着される層の最終的な厚さとに、少なくとも部分的に依存する。特定の実施形態においては、支持体に物質を付着する方法として、これに限定されないが、ブラッシング、浸漬被膜、吹付けコーティング、スクリーン印刷、ローラーコーティング、インクジェット印刷、気相堆積、スピンコーティングなどを含む。特定の実施形態においては、物質は、少なくとも1つの溶媒を含む、支持体に塗布される溶液として調製されてもよい。特定の実施形態においては、溶媒は、アセトンまたはイソプロパノールなど揮発性溶媒を含んでもよい。特定の実施形態においては、物質は融解物として支持体に塗布されてもよい。特定の実施形態においては、物質は剥離剤を有する膜に塗布して、支持体に移すこともできる。常温では液体である物質については、増粘剤をその物質に混合して、本明細書で記載した方法を含む任意の適切な方法によっても支持体に付着させることができる物質を含んだ粘着性の混合物を生成できる。特定の実施形態においては、物質の層を1回の塗布中に形成するか、または繰り返し塗布している間に形成して、層の最終的な厚みを増やすことができる。別の実施形態においては、物質は支持体の2つ以上の表面に付着させることができる。
【0049】
[0070]特定の実施形態においては、2つ以上の活性化合物は複数の支持体のうちの1つの上、または複数の支持体上に置くこともできる。例えば、第1活性化合物を特定の複数の支持体上に置き、第2活性化合物を別の複数の支持体上に置いてもよく、特定の実施形態においては、第1活性化合物と第2活性化合物とを含んだ混合物を1つまたは複数の支持体上に置くこともできる。
【0050】
[0071]1回の投与量は、単一の支持体から解放される活性化合物の量、または2つ以上の支持体から解放される活性化合物の量に対応する。本明細書で用いられる投与量または適用量とは、凝縮エアロゾル供給装置の1回の起動中に放出される物質の量を指す。投与量は、生理活性化合物の治療量を含み、それによってその投与量が、患者の異常および/または病気を効果的に処置することを意味する。生理活性化合物の治療効果のある量は化合物ごとに、患者ごとに変化し、患者の状態などの要因に依存する。
【0051】
[0072]特定の実施形態においては、少なくとも1つの支持体上に置かれた物質は、少なくとも1つの生理活性化合物または薬剤の治療上の有効量を含むことができる。治療上の有効量とは、処置を必要としている患者または使用者に投与されるとき、治療に効果を発揮するのに十分な量のことを指す。あらゆる病気、異常もしくは障害の治療または処置とは、病気、異常または障害を阻止し、または回復し、病気、異常または障害疾患を受ける危険性を低減し、病気、異常もしくは障害、または病気、異常もしくは障害の臨床症状のうちの少なくとも1つの発症を低減し、または、病気、異常もしくは障害、または病気、異常もしくは障害の臨床症状のうちの少なくとも1つの発症の危険性を低減することを指す。治療または処置とは、識別可能な徴候の安定性など物理的に、あるいは物理パラメータの安定性など生理学的に、またはその両方で、病気、異常または障害を阻止すること、および患者には識別可能でない可能性がある少なくとも1つの物理パラメータを阻止することも指す。さらに、治療または処置とは、たとえ患者が病気、異常または障害の徴候をまだ認識していないかまたは表に出していないとしても、病気、異常または障害にさらされるかまたはこれらにかかりやすくなる可能性のある患者に対して、病気、異常もしくは障害またはそれらの少なくとも1つの徴候の発症を遅らせることを指す。特定の実施形態においては、支持体上に置かれる物質の量は100マイクログラム未満であり、特定の実施形態においては250マイクログラム未満であり、特定の実施形態においては500マイクログラム未満であり、特定の実施形態においては1,000マイクログラム未満である。
【0052】
[0073]医薬化合物を患者に供給する場合、表面から気化する物質の量が重要である。化合物の供給に均一性も重大である。特定の実施形態においては、各支持体上に配置された物質の量の少なくとも80%が、装置の出口を通過して患者に供給され、別の実施形態においては、少なくとも90%がその出口を通過し、さらに別の実施形態においては、少なくとも98%がその出口を通過する。
【0053】
[0074]特定の実施形態においては、物質は医薬化合物を含むことができる。特定の実施形態においては、物質は治療剤または非治療剤を含むこともできる。非治療化合物とは気分転換、試験的、または前臨床医学目的に使用される化合物を指す。使用できる薬剤の種類には、これらに限定されないが、麻酔薬、鎮痙薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、解毒薬、鎮吐薬、抗ヒスタミン薬、抗感染薬、抗新生物薬、抗パーキンソン症薬、抗リウマチ薬、抗精神病薬、不安緩和剤、食欲刺激薬および抑制薬、血液調整剤、心臓血管剤、中枢神経刺激薬、アルツハイーマー病管理薬剤、嚢胞性繊維症の管理および診断用の薬剤、栄養補助食品、勃起不全症用の薬剤、胃腸薬、ホルモン、アルコール中毒の治療薬、麻薬常用癖の治療薬、免疫抑制薬、マスト細胞安定剤、偏頭痛製剤、乗物酔い薬、多発性硬化症、禁弛緩薬、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド、他の鎮痛薬および刺激薬、眼病用製剤、骨粗鬆症製剤、プロスタグランジン薬、呼吸器系薬、鎮静剤および催眠剤、皮膚および粘膜薬、禁煙補助薬、トゥーレット病薬、尿管薬、およびめまい薬が挙げられる。
【0054】
[0075]医薬化合物の例には、プロピオン酸フルチカゾン、クロニジン、トリアゾラム、アルブテロール、シクレソニド、フェンタニール、テルブタリン、フルマゼニル、トリアムシノロンアセトニド、フルニソリド、ロピニロール、アルプラゾラム、ブプレノルフィン、ヒオスシアミン、アトロピン、プラミペキソール、ブメタニド、フルニトラゼパム、オキシモルホン、コルヒシン、アポモルフィンHCl、グラニセトロン、ペルゴリド、ニコチン、ロペラミド、アザタジン、ナラトリプタン、クレマスチン、ベンズトロピン、イブチリド、ブトルファノール、フルフェナジン、エストラジノル−17−へプタン酸、ゾルミトリプタン、メタプロテレノール、スコポラミン、ジアゼパム、トルトロダイン、エスタゾラム、ハロペリドール、カルビノキサミン、エストロジオール、ヒドロモルフォン、ブロマゼパム、パーフェナジン、ミダゾラム、メタドン、フロバトリプタン、エレトリプタン、テストステロン、メラトニン、ガランサミン、シプロヘプタジン、ブロフェニラミン、およびクロルフェニラミンが挙げられる。特定の実施形態においては、医薬化合物は、アルプラゾラム、ブプレノルフィン、クロニンジン、フェンタニール、ミダゾラム、プタミペキソール、ロピニロール、およびトリゾラムから選択される。特定の実施形態においては、医薬化合物は、疼痛治療用の化合物から選択される。特定の実施形態においては、疼痛治療用の化合物はフェンタニールである。
【0055】
[0076]特定の実施形態においては、薬剤はさらに、放出エアロゾル形成、肺内送達、治療効果、治療薬効、安定性等を向上、変更および/または制御する物質を含むことができる。例えば、治療効果を向上するために、薬剤を1つまたは複数の活性剤と一緒に投与して、肺胞を通る第1薬剤の吸収および/または拡散を向上するか、または全身循環系内の薬剤の劣化を抑制することができる。特定の実施形態においては、薬剤を、薬剤の治療効果を向上する薬理効果を有する活性剤と一緒に投与することができる。特定の実施形態においては、薬剤は1つまたは複数の病気、異常、または障害の治療に使用できる化合物を含むことができる。特定の実施形態においては、薬剤は1つの病気、異常、または障害を治療する化合物、または複数の病気、異常、または障害を治療する化合物を2つ以上含むことができる。
【0056】
[0077]特定の実施形態においては、物質は1つまたは複数の医薬的に許容されるキャリア、添加物、および/または賦形剤を含むことができる。医薬的に許容されるとは、動物およびより詳細にはヒトに使用するために、米連邦、あるいは州政府、あるいは米薬局法または他の広く認定された薬局法にリストアップされた管理機関によって、許可されたあるいは許可可能であることを指す。
【0057】
[0078]一般的に、開示の実施形態において有用な物質は、約150kジュール/モル未満の気化熱を呈し得る。
【0058】
[0079]一回の投与量を生成する化合物の量は、装置および装置内の他の支持体上のエアロゾル粒子の堆積によって影響されるだけでなく、支持体から解放される間の活性剤の劣化によって低減する。熱的劣化の範囲および動力学は、少なくともその一部は、特定の化合物に依存することが認知されているが、熱的劣化は、物質を、活性物質を気化および/または昇華するのに十分な温度に急速に加熱することによって最小にできる。特定の実施形態においては、支持体または加熱要素は500ミリ秒以内に少なくとも250℃の温度に加熱でき、特定の実施形態においては250ミリ秒以内に少なくとも250℃の温度に、特定の実施形態においては100ミリ秒以内に少なくとも250℃の温度に加熱できる。
【0059】
[0080]特定の実施形態においては、物質の層を急速に気化させることにより、物質の最小熱分解を発生して、高純度の物質を呈する凝縮エアロゾルを形成することができる。例えば、特定の実施形態においては、熱気化の間に物質の10%未満が分解され、少なくとも90%純度の凝縮エアロゾルが得られ、特定の実施形態においては、熱気化の間に物質の5%未満が分解され、少なくとも95%純度の凝縮エアロゾルが得られ、さらに、別に実施形態においては、熱気化の間に物質の2%未満が分解され、少なくとも98%純度の凝縮エアロゾルが得られる。
【0060】
[0081]化合物の投与については、エアロゾルを構成する化合物の粒子サイズは、肺内送達に適する範囲以内にできる。理論的には限定されることなく、1μm〜3μmの範囲および0.01μm〜0.10μmの範囲の空気動力学的中央粒子径(「MMAD」)を有するエアロゾルが、医薬化合物の肺体送達に最適であることが認識されている。1μm〜3μmの範囲のMMADにより特徴付けられるエアロゾルは、重力沈降によって肺胞壁に堆積し、全身循環系内に吸収される。一方、0.01μm〜0.10μmの範囲のMMADにより特徴付けられるエアロゾルは、拡散によって肺胞壁に堆積する。0.15μm〜1μmの範囲のMMADにより特徴付けられるエアロゾルは、一般に放出される。したがって、特定の実施形態においては、エアロゾルを形成する装置および方法を使用して生成されたエアロゾルは0.01μm〜5μmの範囲のMMADを有し、特定の実施形態においては0.05μm〜3μmの範囲のMMAD、特定の実施形態においては1μm〜3μmの範囲のMMAD、さらに特定の実施形態においては0.01μm〜1.1μmの範囲のMMADを有することができる。特定の実施形態においては、医薬化合物の肺内送達に適するエアロゾルはさらに、対数正規分布の粒子サイズの幾何標準偏差によって特徴付けできる。特定の実施形態においては、エアロゾルを生成する装置および方法を使用して生成されたエアロゾルは、3未満の対数正規分布の粒子サイズの幾何標準偏差を有し、特定の実施形態においては2.5未満、さらに特定の実施形態においては2未満の幾何標準偏差を有する。
【0061】
[0082]特定の実施形態においては、カートリッジはマウスピース内に置かれる部分を含み、この部分により装置を出る空気流を制御できる。図5のカートリッジ断面の部分断面図は図12に示されている。図12はカートリッジ50の前部分を示し、さらに、マウスピース56内に配置された空気経路部分200を含む。空気取入口60および空気吸気バルブ62から入る空気流88は、内部空気路を通過して凝縮エアロゾル粒子を同伴し、空気経路部分200により形成される開口部を通過し、装置から放出される。バイパス空気流202がバイパス開口から入り、空気経路部分200の外側近くからそらされる。空気経路部分200の前部204はマウスピース56の先端206近くに突き出る。空気経路部分200の使用は、装置を通過するスムースな空気流を維持し、および凝縮エアロゾル粒子サイズの制御に有効である。
【0062】
[0083]凝縮エアロゾル供給装置の一実施形態は、本明細書で説明される携帯型電気式複数回投与薬剤供給システムであって、図7〜9に示されている。電気式複数回投与薬剤供給装置は、治療用凝縮エアロゾルを生成して、患者の気道内、特に肺経路に送り出すように設計されている。本明細書で説明されるとおり、凝縮エアロゾル供給装置は2つのサブシステム、すなわちカートリッジおよび分注ユニットと称されるサブシステムを含む。カートリッジおよび分注ユニットの両方はいくつかの電子機能を組み込んでおり、この機能により、エアロゾル供給装置の携帯性、安全性、融通性、および便利性を実現している。本明細書で開示されるとおり、カートリッジは個々の投与量の治療薬剤と、患者の吸入により生成される空気流を検出する電子回路とを含む。分注ユニットは、バッテリー電源と薬剤気化プロセスを制御するマイクロコントローラとを含み、さらに多数の通信機能を含むことができる。このような通信機能には、これらに限定されないが、カートリッジ識別、投与量識別、誤用防止機能、使用監視、および投与制御を含む。
【0063】
[0084]図13には、電気式複数回投与薬剤供給装置100の例示的な実施形態についての電子回路の機能ブロック図が示されている。図13は、EEPROM132、呼吸センサ134、および25の薬剤でコーティングされた金属箔136を含むカートリッジ130を示す。EEPROM132は、例えば、カートリッジの識別シリアル番号、製造日、および/または追加の識別および管理情報を含むことができ、カートリッジ内に残っている投与量の数を監視する。EEPROM132は分注ユニット150内に収納されたマイクロコントローラ152に電気的に接続されている。マイクロコントローラ152はEEPROM132を読み書きして、そこに格納されたデータを更新および記録できる。EEPROM132はデータを維持するのに電力を必要としない。呼吸作動センサ134は空気流を検出する回路を含み、マイクロコントローラ152に電気的に接続されている。回路は、例えばサーミスタなどのような2つの温度検出デバイスを備え、このデバイスの一方が加熱される。加熱されたセンサ134を横切る空気流れは電圧変化に変換され、この電圧がマイクロコントローラ152により監視される。空理流138のある特定の最小速度が検出されると、マイクロコントローラ152が電源154を抵抗金属箔136の少なくとも1つに接続して、金属箔上の薬剤を気化させる。薬剤でコーティングされた複数の金属箔136は、マイクロコントローラ152によって制御されるスイッチマトリクス156に電気的に接続される。本明細書に開示されるとおり、薬剤でコーティングされた複数の金属箔136は、金属箔に電流を流すことによって選択的に加熱し、薬剤コーティングを気化させて空気流138内に凝縮エアロゾルを形成できる。
【0064】
[0085]図13に示されるとおり、分注ユニット150はマイクロコントローラ152、電源154、スイッチマトリクス156、ハードウェア安全保護機構158、ユーザ作動スイッチ160、および液晶表示ユーザインタフェース162を含む。マイクロコントローラ152は埋込みソフトウェアを組み込んでおり、凝縮エアロゾル供給装置の作動を制御する。作動していないとき、マイクロコントローラ152はスリープモードに維持され、電力消費を節減する。ユーザ作動スイッチ160が一時的に押されると、マイクロコントローラ152は作動を開始する。特定の実施形態においては、マイクロコントローラ152もまた、カートリッジを供給装置に挿入することによって起動することができる。次に、マイクロコントローラ152はカートリッジ130の存在をチェックし、カートリッジが存在すると、マイクロコントローラ152はEEPROM132を読み込み、カートリッジ130のシリアル番号がコントローラに記憶されているシリアル番号に一致するかどうかを判定し、カートリッジ130内に残っている薬剤でコーティングされた金属箔136上に含まれている未使用の投与量の数を計算する。カートリッジと分注ユニット150のシリアル番号の一致の目的は、個々のカートリッジ130および分注ユニット150を個々の患者の個人専用にすることである。個人化は、埋込まれたソフトウェアを利用して医療提供者によってプログラムされ、患者治療計画を容易にして個人化することができ、また特定のカートリッジが異なるシリアル番号を有する分注ユニット内で用いられるのを防止することによって誤用の可能性を低減できる。パラメータを確認すると、マイクロコントローラ152は、例えば、カートリッジ130内に残っている投与量の数で表示162を更新し、呼吸センサ134からの起動信号を待機する。カートリッジのマウスピースを吸入することによって、患者がカートリッジ130内に十分か空気流れを確立すると、マイクロコントローラ152は、スイッチマトリクス156を通して電源154を1つまたは複数の薬剤でコーティングされた金属箔136に接続し、薬剤を解放して患者によって吸入されるカートリッジ130の空気流138内に薬剤を含む凝縮エアロゾルを形成する。マイクロコントローラ152は、スイッチマトリクス156に電気的に接続されており、1つまたは複数の薬剤でコーティングされた金属箔136を所定の時間に電源154に接続することができる。特定の実施形態においては、マイクロコントローラ152は、1つまたは複数の薬剤でコーティングされた金属箔136を連続的、ランダム、または所定の順で電源154に接続することができる。患者に投与量を供給する作動の後に、マイクロコントローラ152はロックアウト期間に入り、ロクアウト期間が終了するまで、後続の投与量を放出できないようにすることができる。ユーザ起動スイッチ160を押し、カートリッジを装置に挿入および/または取り外すことによって手動で起動されるまで、マイクロコントローラ152はスリープモードに入り、電力消費を節減することができる。
【0065】
[0086]表示162は電子表示であって、装置の現在の状態、すなわち装置がスリープモードまたは起動モードにあるかどうか、およびカートリッジ内に残っている未使用の投与量の数をユーザに知らせることができる。ユーザ起動スイッチ160はモメンタリ押しボタンスイッチであって、押されると、システムをスリープモードから起動する。電源154は3つのアルカリ一次電池を含み、この電池を使用してシステムに電力を供給し、金属箔136上に置かれた薬剤を気化するのに必要な電力を提供する。スイッチマトリクス156は、電源154からの電力を薬剤でコーティングされた該当する金属箔136に結合するマイクロコントローラで制御されるMOSFETスイッチのアレイであってもよい。ハードウェア安全ロックアウト158は重複する、ソフトウェアから独立のシステムであって、一度に2つ以上の投与量が供給されるのを防止でき、および/または、ロックアウト期間の終了前に第2の投与量が供給されるのを防止できる。ハードウェア安全ロックアウト158は、ソフトウェアの不具合が発生した際の重複する安全機構を提供する。
【0066】
[0087]特定の実施形態においては、装置は10リットル/分〜100リットル/分の範囲の全空気流が出口を通過するように構成される。別の実施形態においては、出口を通過する全空気流は20リットル/分〜90リットル/分の範囲である。
【0067】
[0088]本装置の特定の実施形態においては、入口を通過する空気流の流量は100L/分未満である。別の実施形態においては、入口を通過する空気流の流量は50L/分未満である。さらに別の実施形態においては、入口を通過する空気流の流量は25L/分未満であり、さらに別の実施形態においては、入口を通過する空気流の流量は10L/分未満である。
【0068】
[0089]なお、本明細書で開示される様々な実施形態から明らかであるが、多くのパラメータを選択および/または調整することにより、凝縮エアロゾル供給装置、詳細には、生理活性物質の複数回投与を、一回吸入の間に供給される各投与量で患者に供給できる電気式凝縮エアロゾルを実現できる。パラメータの少なくともいくつかは相互に影響し、複数のパラメータは最適化手順を設定することによって、特定の生理活性物質の1回の投与量を含む凝縮エアロゾルを生成できることは認識されている。本明細書で説明されるとおり、このようなパラメータには、これらに限定されないが、特定の物質の特性、例えば気化熱、1回の投与量を含む物質の量、支持体上に堆積する層の厚み、加熱要素の厚み、加熱要素の表面積と抵抗加熱要素の熱質量と比率、および空気流を含む。
【実施例】
【0069】
[0090]本発明の開示の実施形態はさらに、本発明の開示の詳細な特定の実施形態において記載される以下の例を参照して定義できる。当業者には明らかであるが、材料および方法の両方の多くの修正形態が、本発明の開示範囲から逸脱することなく実現可能である。
【0070】
[実施例1]
(電気式複数回投与凝縮エアロゾル供給装置)
[0091]図2〜5に示されるとおり、電気式複数回投与凝縮エアロゾル供給装置を作製した。カートリッジのハウジングを形成する2つの半分部分は、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレンまたはポリカードネートのいずれかから成形した。第1および第2空気路を分離する構造体は0.032インチ厚のFR4プリント回路基板材料から作製した。組立の際、回路基板およびカートリッジの壁面は、1.5cm2の断面積を有する3.5インチ長さの第1空気路と、1.5cm2の断面積を有する3.0インチ長さの第2空気路とを形成するようにした。カートリッジを通過する全抵抗は、20L/分の全空気流流量において0.07平方根(cm−H2O)/L/分および90L/分において0.09平方根(cm−H2O)/L/分であった。空気流バルブは、20L/分〜90L/分の全空気流流量に対して4L/分〜8L/分の空気量に制御するように設計した(図4参照)。第1および第2空気路を分離するのに用いた回路基板は、様々な配置および寸法の孔を設けて作製した。特定の例示的実施形態においては、金属箔の下の複数の孔は隣接する金極箔間の間隙の下に設けた100個の丸孔のアレイを備えるようにした。空気制御バルブから入る空気流の60%が、一連のスロットを通り、第1空気路内の加熱要素を横切って通過する。空気流の40%が回路基板の複数の孔を通過し、加熱要素および第1空気路の中心の方向に誘導された。
【0071】
[0092]装置には25の支持体を組み込んだ。支持体は、0.2cm2の表面積を有する0.0005インチ厚のステンレス鋼の箔で作製し、加熱中の変形を最小にするために、アーチ状形状で取り付けた。イソプロピルアルコール、アセトン、またはアセトニトルのいずれかを含む溶液からスプレーコーティングすることによって、50μgのフェンタニールが各箔の表面上に堆積した。50μgのフェンタニールの層は3μmの厚みであった。その上にフェンタニールの層を堆積した金属箔の抵抗は0.4Dであった。金属箔の表面積と加熱金属箔の熱質量との比は、47cm2/J/Cであった。実施した実験に応じて、AAA電池またはHewlett Packerdの6002A DC電源を使用し、1.7ジュールのエネルギーを加熱要素に供給して、50μgのフェンタニールを気化した。
【0072】
[実施例2]
(エアロゾル粒子サイズの測定)
[0093]エアロゾルの粒子サイズは吸入により投与される薬剤の治療効果に影響を与える。例えば、肺送達には、0.01μm〜3μmの範囲の粒子サイズを有するエアロゾルが最適であると考えられている。吸入の間におけるエアロゾルの動力学に加えて、凝縮エアロゾル供給装置が均一な、再現性のある粒子サイズ分布を生成することが重要である。エアロゾル粒子サイズは、エアロゾルの空気動力学的中央粒子径(MMAD)によって特徴付けできる。MMADはエアロゾルを形成する粒子サイズ分布の中央値を指す。
【0073】
[0094]図14は、例1に記載された凝縮エアロゾル供給装置を使用して形成される凝縮エアロゾルのエアロゾル粒子サイズ分布を示す。25の箔のカートリッジの各箔は3μm厚の層で50μgのフェンタニールを含んでいた。一枚の箔は、6L/分の空気流内で350ミリ秒以内に400℃のピーク温度に加熱した。装置から放出されるエアロゾルの粒子サイズ分布は、8段のCascade Impactor Series 20−800 Mark II(Anderson, Copley Scientific, Nottingham UK)を使用してAnderson Impact法によって測定した。図14には、前部箔(1−5)、中間部箔(10−15)、および後部箔(20−25)(マウスピースに最も近い)のそれぞれに対して2回繰返した粒子サイズ分布が示されている。各箔からのエアロゾルの粒子サイズ分布は均一であり、1.8μmのMMADおよび1.7μmの幾何標準偏差(GSD)を有する約5.8μm〜約0μmの粒子サイズを示す。
【0074】
[実施例3]
(空気流の粒子サイズに与える効果)
[0095]例1に記載された凝縮エアロゾル供給装置内の空気流を調整し、Anderson Impact法を用いて、5回の放出投与における粒子サイズを測定した。空気流の容量は4L/分から8L/分に増加して、空気流速度を1m/秒から2m/秒に増加させた。テスト1、2、および4では、バイパス空気経路部分をカートリッジのマウスピース部分に挿入し(正確に機能するように、Anderson Impactorに最大28.3L/分の全空気流を供給するため)、これにより、バイパス空気と凝縮エアロゾルを含む空気流がインパクタに入る直前に混合するようにした。ただし、テスト3では、バイパス空気を誘導して、加熱要素上を通過した直後に、流出する空気流に混合した。表1はこれらの結果を示す。
[0096]
【表1】
【0075】
[実施例4]
【0076】
(複数回投与装置におけるフェンタニールの安定性)
[0097]複数回投与凝縮エアロゾル供給装置におけるフェンタニールの安定性は、新しく製造したカートリッジ(斜線)、7日間室温で保管した未使用のカートリッジ(網目)、および10回投与量を放出するのに使用した後に7日間室温で保管したカートリッジ(濃色)について、放出された投与量内のフェンタニールの量および純度を測定することによって決定した。図15はこれらの結果を示す。
【0077】
[実施例5]
(加熱要素の温度プロファイル)
[0098]3つのAAA電池によって、1.7ジュールのエネルギーを0.0005インチ厚のステンレス鋼の箔に供給し、箔の上に50μgのフェンタニールを堆積した。空気流の速度は、4L/mの空気流流量に対応する1m/秒であった。図16に示されるとおり、箔の温度は50ミリ秒以内に約200℃の温度に、284ミリ秒以内に400℃の最高温度に上昇し、最高温度に達した後、1.5秒以内に室温に戻った。
【0078】
[実施例6]
(温度均一性の測定)
[0099]50μgのフェンタニールの薄層を有する箔の温度均一性は加熱の間に測定した。図17Aおよび17Bはこれらの結果を示す。
【0079】
[実施例8]
(第2空気流のエアロゾル粒子堆積に与える効果)
[00100]図18および19は、下流表面上へのエアロゾル粒子の堆積に与えるカートリッジ内の空気流の効果を示す。図18に示すこれらの結果は、例1に記載されるカートリッジを使用して得た(ただし、第1および第2空気路を分離する回路基板は存在せず、空気流れは空気流バルブの代わりに流量計によって制御した)。加熱要素はその端部のみを支持し、第1と第2空気路との間の流れは制御せず、第1および第2空気路に入る空気量は各空気路の入口で流量計によって制御した。図18の1m/sおよび2m/sの例に関しては、第1および第2空気路は1つのテープによって分離し、全空気流が加熱要素の上面を通過するときのエアロゾル粒子堆積をテストした。90/10 1m/sの例では、これと異なり、テープを取外し、流量計は、入口空気流の90%が第1空気路を通って入り、10%が第2空気路を通って入るように設定した。これにより、2空気路を通って入る空気は、加熱要素間の間隙を通って流れ、空気経路出口に達するようになる。最後に、1m/s、16〜25下にテープに場合には、1つのテープを加熱要素16〜25の下に配置し、再度、流量計を、入口空気流の90%が第1空気路を通って入り、10%が第2空気路を通って入るように設定した。テープの目的は、加熱要素1〜15を通過して流れる空気量を増加することである。各実験においては、加熱要素3、9、16、および22は、そこからフェンタノールが気化する50μgのフェンタニールの3μm厚の層を含んでおり、下流加熱要素を上流加熱要素の前に加熱することにより、堆積したいずれのエアロゾル粒子も再気化されないようにしている。図18に示すとおり、これらの状態のそれぞれについて、最大約50μgのフェンタニールが各下流加熱要素上に堆積した。
【0080】
[00101]図19は、図18での結果について上に記載したものと同一空気路を用いて実施した3つのテスト結果を示す。ただし、これらのテストにおいては、第1および第2空気路は、1つの薄い発泡体を加熱要素のすぐ下に置くことによって分離し、流量計は、入口空気流の50%が第1空気路を通って入り、50%が第2空気路を通って入るように設定した。発泡体は第1および第2空気路の間に圧力降下を発生し、最終的に、第2空気路からの流れを、各加熱要素を通過して、第1空気路の中心に流入するように分散する。これらの実験においては、50μgのフェンタニールが、下流加熱要素25から上流加熱要素1に向かって、25個の加熱要素のそれぞれから気化し(フェンタニールが4個の加熱要素だけから気化する、図18の実験と異なる)、実際には、下流加熱要素上にはフェンタニールが堆積しなかった。」
【0081】
[実施例9]
(放出投与量の純度および収率)
[00102]例1において記載した放出投与量の純度および収率は、各支持体の表面積が0.25cm2であることを除いて、図20Aおよび20Bで示されている。図20Aは、加熱要素のピーク温度が少なくとも375℃である場合、装置から放出される2.4μm厚の、投与量60μgのフェンタニールの純度が、98%より高いことを示している。図20Bに示すとおり、少なくとも375℃の温度に加熱されたとき、加熱要素上に堆積した2.4μm厚の、投与量60μgのフェンタニールの少なくとも96%が装置から放出された。図20Aおよび20Bについては、フェンタニールを含む凝縮エアロゾルは、2.0μmのMMADおよび1.8μmのGSDによって特徴付けされる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1A】下流表面への物質の堆積を示した概略図である。
【図1B】特定の実施形態による、複数の孔を通る空気流を利用して物質を空気流内に同伴し、それによって下流表面上への物質の堆積を最小限にすることを示した概略図である。
【図2A】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2B】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2C】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2D】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2E】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2F】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図3】電気複数回投与凝縮アエロゾル送出装置用の分離可能カートリッジの等角図である。
【図4】カートリッジに対する種々の全体空気流量における空気路の空気流量を示している。
【図5】特定の実施形態による、空気流の経路を示す電気複数回投与凝縮アエロゾル送出装置用の分離カートリッジの概略断面図である。
【図6A】特定の実施形態による、第1空気路と第2の気路とを分離する構造の図を示している。
【図6B】特定の実施形態による、第1空気路と第2空気路とを分離する構造の図を示している。
【図7】電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置の等角図である。
【図8】電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置の一部の等角断面図である。
【図9】電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置の分注ユニットの等角図である。
【図10】特定の実施形態による、アーチ状の金属箔の図を示す概略図である。
【図11】抵抗加熱の前およびその間にフラットな金属箔とアーチ状の金属箔の変形の例を示している。
【図12】特定の実施形態による、空気経路を含む分離可能カートリッジの部分断面図である。
【図13】電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置用の電気機能の一実施形態のブロック図である。
【図14】特定の実施形態による、電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置から放出された物質を含む凝縮エアロゾルの粒子サイズ分布を示している。
【図15】特定の実施形態による、新規の、未使用の、および部分的に使用された電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置から放出されたフェンタニールの投与量の量および純度の再現性を示している。
【図16】特定の実施形態による、空気流内の金属箔の温度分布を示している。
【図17A】特定の実施形態による、フェンタニールを物質として含む空気流内の金属箔の温度均一性を示している。
【図17B】特定の実施形態による、フェンタニールを物質として含んだ空気流内の金属箔の温度均一性を示している。
【図18】加熱要素の下から上方に向かう空気流がほとんどないかまたは全くない状態における、様々な空気流量についての、加熱要素からの気化物質から下流の加熱要素上に堆積した物質の量を示している。
【図19】全空気流の一部が加熱要素の下から上方に向かう状態における、気化投与量から下流の加熱要素上に堆積した物質の量であって、空気流分布が第1空気路と第2空気路との間の発泡体の層によって制御された場合を示している。
【図20A】特定の実施形態による、金属箔の温度と、電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置から放出された投与量の純度および量との間の関係を示している。
【図20B】特定の実施形態による、金属箔の温度と、電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置から放出された投与量の純度および量との間の関係を示している。
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、物質を空気流に同伴させる装置、このような装置を使用する物品および方法に関し、より詳細には、高純度、高収率を有する薬剤の凝縮エアロゾルの複数回投与量を実行する物品および方法に関し、一回吸入の間において使用者に投与できる、吸入供給に適した粒子サイズ分布によって特徴付けられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]病気および疾患の治療のために生理活性化合物を患者に投与する効果的な方法として、肺送達が知られている。肺送達用に開発された装置は、患者が吸入する生理活性化合物のエアロゾルを生成するものであり、この場合、化合物は、患者の呼吸器官内の症状を治療し、および/または患者の全身循環系に注入するために用いられる。生理活性化合物のエアロゾルを生成する装置には、ネブライザ、加圧式定量投与吸入器およびドライパウダー吸入器が含まれる。ネブライザは、液体薬剤溶液の噴霧を基本とし、一方、加圧式定量投与吸入器およびドライパウダー吸入器は、空気流および/または噴射剤中のドライパウダーの懸濁および分散を基本にしている。
【0003】
[0003]生理活性化合物の吸入用エアロゾルは、物質を気化させることによっても形成され、空気流内に活性化合物を含む凝縮エアロゾルを生成できる。凝縮エアロゾルは、気化から形成された気相物質が凝縮または反応することにより空気またはガス中に微粒子(本明細書では粒子とも称される)を形成すると、形成される。気化方法を利用して凝縮エアロゾルを生成する装置および方法の例は、米国特許第6,682,716号、第6,737,042号、第6,716,415号、第6,716,416号、6,740,307号、6,740,308号、6,737,043号、第6,740,309号、第6,716,417号に開示されており、上記特許のそれぞれは参照として本明細書に組み入れられる。
【0004】
[0004]吸入装置が生理活性化合物の複数回投与量を投与でき、活性化合物を含む各投与量が一回吸入の間に患者に投与されることが望ましい。1回分の投与量とは、吸入装置の1回の起動中に放出される物質の量を指す。1回分の投与量は、例えば、生理活性化合物の治療効果のある量を含むことができる。さらに、治療計画では、患者に投与される複数回投与量のそれぞれが、生理活性化合物の制御された量を含むこと、および投与された活性化合物が高純度を呈し、例えば賦活剤などの副産物とは無関係であることを要求できる。また、患者の呼吸器官治療、特に患者の肺への投与量の最適投与は、空気動力学的中央粒子径が約4μm未満のエアロゾルによって容易に実行できる。さらに、実用面を考慮すると、装置に含まれる各投与の相当量がエアロゾルを形成し、装置から噴射され、患者によって吸入されることが望ましい。
【0005】
[0005]凝縮エアロゾルが空気流内に形成されると、エアロゾルの特定部分は、空気流、装置の吸入口または他の組織を形成する空気路の側壁等の物理的形体物を下流に置くことができ、それによって装置により噴射され、投与に利用される活性化合物の量を低減できる。複数回投与装置においては、共通の空気路に多数の投与量を収容することは、低コストで小型の製品を製造するのに有利になる。しかし、複数回投与装置においては、多数の投与量を空気流路内の表面に配置する場合、上流の投与量を気化することによって形成される特定の量のエアロゾル粒子が、気化されていない化合物を含む下流の表面上に堆積することがある。気化していない投与量上に堆積すると、装置から噴射した活性化合物の量を低減できるだけでなく、堆積によって、後続の投与量を形成する活性化合物の量を変化させることができる。したがって、特に、装置が多数の複数回投与量を含んでいる場合、後続の投与量は可変で制御されない量の活性化合物を含むことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]多くの治療計画に対して、正確で、均一な、再現可能な量の生理活性化合物を含む投与量を投与できることは、治療計画の治療効力に影響を与えることができ、場合によっては、このような特性能力によって新しい治療を可能にすることができる。したがって、正確な、再生可能な、および/または制御された量の生理活性物質を繰り返し投与できる吸入装置と、凝縮エアロゾルを生成する方法とが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]特定の実施形態には、入口および出口を具備する空気路と、空気路内に配置された少なくとも1つの支持体と、少なくとも1つの支持体上に配置された物質と、少なくとも1つの支持体から物質を解放するよう構成された機構とを備える、空気流に物質を同伴させる装置であって、入口から出口に通過する空気流を少なくとも1つの支持体の方向に誘導することにより、物質が支持体から解放されると、物質が空気流に同伴されるようにしている、装置を含む。
【0008】
[0008]特定の実施形態には、物質を含む凝縮エアロゾルを形成するために、金属箔の上に配置された物質を気化させるための金属箔を備えた電気抵抗加熱要素を含む。
【0009】
[0009]特定の実施形態は、分注ユニットと分離可能なカートリッジとを備えた患者に凝縮エアロゾルを投与する装置を含む。特定の実施形態においては、分注ユニットは、分離可能なカートリッジ用の受口と、物質の気化を制御するコントローラと、電源とを備える第1ハウジングを備える。特定の実施形態においては、分離可能なカートリッジは、第2ハウジングと、入口および出口を有するハウジング内に含まれる空気路と、出口に結合されたマウスピースと、出口に結合された空気バイパス孔と、空気路内に配置された少なくとも1つの電気抵抗加熱要素と、少なくとも1つの加熱要素の上に配置された物質と、電源から少なくとも1つの加熱要素にエネルギーを伝達するように構成された作動機構とを備え、空気路の入口から出口への空気流によって物質が気化され、空気流内で凝縮して凝縮エアロゾルを形成する。
【0010】
[0010]特定の実施形態においては、気化物質またはエアロゾル粒子を空気流に同伴する方法と、凝縮エアロゾルを生成する方法と、本明細書で開示された装置を用いて物質を患者に投与する方法とが含まれている。本明細書における目的のため、「同伴する」または「同伴している」とは、気化物質またはエアロゾル粒子を空気流内に誘導する、送り込む、吸い込むまたは引き寄せる、注入する、輸送する、運ぶまたは懸濁することを意味する。
【0011】
[0011]他の実施形態は、当業者にとっては、本明細書で開示される本発明を考察および実現することによって明らかとなる。説明の明細および実施例は、単に例示と見なされるものとする。
【0012】
[0012]なお、これまでの概要説明および以下の詳細な説明の両方は、単に例示および説明であって、特許請求の範囲に記載されているとおり、特定の実施形態に限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[0034]特に指定しない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられる量および条件などを表す全ての数字は、全ての例において、用語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。
【0014】
[0035]本出願においては、特に記載しない限り、単数形を用いる場合は複数形を包含する。本出願では、特に記載しない限り、「または」を用いる場合は「および/または」を意味している。さらに、用語「含んでいる」、ならびに他の形体、例えば「含む」や「含まれた」などの使用は限定ではない。
【0015】
[0036]凝縮エアロゾルは、気体物質が凝縮または反応して空気または気体中で粒子を形成する場合に、形成される。気体物質は、固体または液体物質が熱的に昇華または気化されると、生成される。気化とは、物質が固体または液体状態から気体状態へと変化する相転移を指す。昇華とは、物質が固体状態から気体状態に直接移る相転移を指す。
【0016】
[0037]空気流に入ると、気体物質は冷却され、少なくとも一部は空気流の温度によって凝縮して、エアロゾル粒子を形成する。空気流に十分に同伴されなかった凝縮エアロゾル粒子は、空気流から逸脱して、下流面で堆積する可能性がより高くなる。
【0017】
[0038]粒子が空気流に不十分に同伴され、その結果、下流面上に粒子が堆積する様子が図1Aに示されている。図1Aは、入口11と出口12とを有する空気路10を示している。複数の支持体13が空気路10の片側に位置している。複数の支持体13は、支持体14と下流支持体17とを含む。物質は、例えば支持体14上に配置でき、および空気流15は、支持体14を含む複数の支持体13が空気流15内に配置されるように空気路10内に確立できる。支持体14上に配置された物質が、例えば、気化によって支持体14から解放されると、物質は空気流15内に凝縮エアロゾル粒子16を形成することができる。図示するように、エアロゾル粒子が空気流15に十分に同伴されないと、このように形成された凝縮エアロゾル粒子16が、下流の支持体17上に堆積する。
【0018】
[0039]微粒子、より詳細にはエアロゾルを形成する気相物質を空気流に同伴させる装置の概略図が図1Bに示されている。図1Bは、構造体22によって分離された第1空気路20と第2空気路21とを示している。構造体22は、第1空気路20と第2空気路21とを流体接続する複数の孔を備える。上流の支持体24と下流の支持体27とを含む複数の支持体28が、第1空気路20内の構造体22の表面に配置されている。図1Aにおけるように、物質は、例えば、上流の支持体24上に配置することができる。第1空気流25が第1空気路20内で確立され、第2空気流26が第2空気路21内で確立され、それによって第2空気流26が、上向きの矢印23によって示されるように、第2空気路21から第1空気路20に複数の孔を通って通過する。複数の孔を通過すると、第2空気流26によって、上流の支持体24を含む複数の支持体28の方向および空気流25の方向に向く空気の流れができる。空気流25の方向に向けられた空気の流れ23は、上流の支持体24から気化した物質を押し上げるように作用して、その物質を含む凝縮エアロゾル粒子19を形成し、その凝縮粒子を第1空気流25に同伴させる。第1空気流25に凝縮粒子19を同伴させることにより、凝縮粒子19が上流面27で堆積する可能性を低減する。図1Bに示されるように、第1空気流25の中心近くで凝縮粒子を同伴させることによって、より多くの凝縮粒子をエアロゾルとして装置の出口29から放出でき、例えば、吸入による患者への投与などに利用できる。
【0019】
[0040]凝縮エアロゾルを形成するために、物質、より詳細には、気相物質を空気流に同伴させる装置の別の実施形態が図2Aに概略的に示されている。図2Aは、複数の孔を通り、構造体の表面を横切るように空気流を誘導する別の方式を示している。図2Aは、第1空気路30と、第2空気路31と、第1空気路30と第2空気路31とを分離する構造体32とを有する装置を示している。構造体32は、例えば、太線および細線によって示されているように、2つの部分を備えるものとして示されているが、構造体32は1つの部品または複数の部品を備えることもできる。構造体32は、第1空気路30と第2空気路31とを流体接続する複数の孔39を含む。第1空気路30と第2空気路31とはさらに、ハウジング34によって形成されている。ハウジング34は、空気流36を第2空気路31に流入させる吸気口35と、空気流36を装置から流出させる排気口37とを含む。図2Aに示されるとおり、第1空気路30と第2空気路31とはさらに、孔および/またはスロットを通して流体接続されており、これらの孔および/またはスロットの寸法は、複数の孔39を通過する空気流の部分と比較して、空気流36よりも大きい、小さい、または等しい部分38が第1空気路30内に入ることを可能にする寸法とされている。各空気路への空気流の相対量を変更して、所望の目的に合わせることができる。図1Bついて説明したのと同じ方法で、小さな矢印33で示されている複数の孔39を通る空気流が、気化物質と、構造体32上に配置された複数の支持体40から解放された気化物質の凝縮によって形成される凝縮粒子41とを空気流36に同伴させる。凝縮粒子41を空気流36に同伴することによって、凝縮粒子41が下流面に堆積するのを低減する。
【0020】
[0041]物質または凝縮粒子を空気流に同伴させる装置の別の実施形態が図2Bに示されている。図2Bは、図2Aの装置と同様の装置を示しており、空気流36の一部である第2空気流42が第3空気路43に入る。その後、第2の空気流42は複数の孔39を通過して、複数の支持体40と第1空気路30の方向に向けられた空気流を形成する。支持体上に堆積した物質を気化させることで形成される凝縮粒子41が、空気流38、42を含む空気流36に同伴される。
【0021】
[0042]別の実施形態においては、図2Cに示されるとおり、第1空気流36の一部が多孔質要素44を通して導かれる。多孔質要素44を通過すると、空気流のこの部分は支持体40の間を通り、その空気流を第1空気路30の方向に導く。多孔質要素44は、任意の材料で製造されてもよく、多孔質要素44を形成する複数の孔を通って装置に入る空気の適切な部分を配分できる任意の孔サイズを有してもよい。例えば、特定の実施形態においては、多孔質要素44は、開放気泡発泡体、メッシュ、繊維材料、ガラスフリット、セラミックフィルタ、微孔質要素などであってもよい。
【0022】
[0043]物質が空気流にどのように効率的に同伴されるかは、少なくともその一部は、複数の開口を通る空気流の速度R2に対する支持体の表面を横切る空気流の速度R1の割合に依存する。物質を空気流に効率よく同伴させるための適切な割合R1:R2は、空気流の速度や、空気流の中心からの支持体の距離など多数の要因に依存する。特定の実施形態においては、R1:R2は80:20〜20:80の範囲であり、別の実施形態においては、60:40〜40:60の範囲である。R1:R2の割合は、第1および第2空気流が通過する孔の相対面積によって決定できる。例えば、図2Aを参照すると、60:40の割合は、空気流38が通過する孔/スロットの相対面積が60で、複数の孔39の相対面積が40であることを意味している。
【0023】
[0044]空気流に物質を同伴させる装置の別の実施形態が図2Dに示されている。図2Dは、装置に入る空気流36を示している。空気流36の一部が複数の孔39を通過し、複数の支持体40を横切って通過する。空気流36の第2部分が、複数の孔の付近からそれる(図2Dで38として示されている)。複数の孔39を通過する空気流の部分と第2空気流部分38とが第1空気路30で再結合し、マウスピース45を通過して装置を出る。
【0024】
[0045]図1Bおよび図2A〜図2Dに示される実施形態においては、支持体の下から空気を導入することによって、気化物質またはエアロゾル凝縮粒子の再堆積が最小限となる。
【0025】
[0046]装置を通る空気流に対する支持体の異なった配置が図2Eおよび図2Fに示されている。図2Eにおいては、空気流36は第1空気路30に入る。空気流36は、複数の支持体40の上方の経路を取り、再結合して、マウスピース45を通過して装置を出る。図2Fにおいては、第1空気路30に入る空気流36は、複数の支持体40の上方を通って、マウスピース45を通過して装置を出る。
【0026】
[0047]図1Bおよび図2A〜図2Fに示された例示的な装置の基礎をなす概念は、凝縮エアロゾルを患者に投与する装置に適用できる。患者は哺乳動物およびヒトを含む。図3には、凝縮エアロゾルの複数回投与量を患者に投与するためのカートリッジが示されており、このカートリッジは、複数の孔を通過する空気流を利用して支持体から解放された物質を空気流に容易に同伴させる。このようなカートリッジの分解組立図が、図3で部品50として示されている。また、組立後のカートリッジの断面図が図5に示されている。
【0027】
[0048]図3は、肺に投与する物質の複数回投与量を生成することができるカートリッジの等角組立図を示している。図3に示されたカートリッジ50は、結合してハウジングを形成する、第1シェル52と第2シェル54とを備える。組み立てられると、第1シェル52と第2シェル54のうちの一端が、患者の口に挿入するためのマウスピース56を形成する。空気バイパス孔58が第2シェル54のマウスピース56に隣接して位置し、吸入によって生成された空気流の速度が、カートリッジを入る吸気バルブ62によって制御された空気流の速度を上回ると、空気をマウスピース56に入れることができる。吸気バルブ62は、使用者ごとの空気流の変化を最小限にするのに役立つ。ハウジング内の空気流の速度は粒子サイズに影響を与え、したがって、空気流の変動を制御することによって生成された粒子サイズ全体を精度よく制御できる。空気バイパス孔58は融通性を有していてもよく、ハウジングを通り支持体の表面を横切って移動する空気流の量を乱さずに、快適な速度で使用者が呼吸可能となるようにすることができる。例えば、使用者は、通常、30L/分〜100L/分の範囲の流量で吸入する。ただし、装置は6L/分の流量は(装置に入る時間毎の空気量を指し、支持体の表面を横切って導かれ、装置から放出される流量である)を有することができ、使用者からの余分な空気流がバイパス孔58に入る。第2シェル54は(一部隠された)空気取入口60をさらに備える。空気取入口60は、第2シェル54の受口64に嵌合する吸気バルブ62を含んでいる。上述のように、吸気バルブ62は、カートリッジの空気流量を制御し、使用者による一回吸入の間に装置に入る空気量を制御可能なバルブであればどのようなバルブであってもよい。適切なバルブの例として、フラッパ弁(圧力差に応じて湾曲するフレキシブル弁)、傘型弁、リード弁、または圧力差に応じて湾曲するフラップ弁などが挙げられる。吸気バルブ62の目的は、吸入中およびその間の全空気流量に関係なく、カートリッジに入る空気量を制御することである。全空気流量には、空気取入口60と吸気バルブ62を通る空気流量と、空気バイパス孔58を通る空気流量とが含まれている。
【0028】
[0049]図4は、簡単なフラップ弁を使用して、カートリッジを通る空気流量を、20L/分〜90L/分の範囲にある全体の吸入に対して約6L/分に制御できることを示している。図4に示される結果を得るために、カートリッジはフラップ弁に結合され、様々な全空気流量に対するカートリッジを通過する空気流量が測定された。したがって、吸気バルブ62を用いることによって、カートリッジを通過する空気流量は、吸入によって生成される空気流量には比較的に無関係になる。本明細書で開示しているように、流れを制御することにより、装置から放出される凝縮エアロゾルの粒子サイズおよび粒子サイズ分布を制御できる。しかし、粒子サイズおよび粒子サイズ分布は、多数の別の要因、例えば、物質、物質の気化温度、空気流の温度、空気路の横断空気などの要因によって影響を受ける可能性がある。したがって、空気流量は、所望の平均粒子サイズおよび粒子サイズ分布を形成するために調節される幾つかのパラメータのうちの1つである。特定の実施形態においては、空気制御バルブ62は、カートリッジを通る空気流を4L/分と8L/分との間に制御するように設計できる。特定の実施形態においては、空気流制御バルブは、空気路内に位置する変換器によって供給される信号がバルブの位置を制御するように電子的に、または、例えば、空気路と装置の外側との圧力差によってなど受動的に、起動される。さらに、空気路の断面積を調節して、所望の平均粒子サイズおよび粒子サイズ分布を形成することができる。特定の実施形態においては、空気路の断面積は0.5cm2〜3cm2の範囲にある。
【0029】
[0050]図3に示されるとおり、第2シェル54は、呼吸作動機構67をさらに含んでいる。呼吸作動機構67は、遠隔配置のコントローラ(図示せず)に電気的に接続されており、特定の予め決められた空気流れ速度が検知されると、コントローラに信号を送り、コントローラはデータを解釈して、凝縮エアロゾルの生成を活性化することができる。呼吸作動機構67は、例えば、空気流に応じて温度を感知するサーミスタであってもよい。第1シェル52および第2シェル54は、電気コネクタ70を保持するための受口68も含んでいる。さらに、カウンタ66があってもよく、カウンタ66は、作動していない支持体(それに含まれている物質を気化するようにまだ加熱されていない支持体)の数を識別する。
【0030】
[0051]カートリッジ50が組み立てられると、構造体72は第1空気路と第2空気路とを分離する。第1空気路74および第2空気路76は、図5で示された組立後のカートリッジの断面図で示されているように、構造体72と、第1および第2シェル52、54の対向する内壁とによってそれぞれ形成される。図3に示されているとおり、構造体72は、コネクタ70と複数の電気抵抗加熱要素78との間の電気接続を可能にするプリント回路板である。加熱要素78はスペーサ80に取り付けられ、構造体72上に配置された相互接続ランド部82に半田付けされている。スペーサ80は、例えば、プリント回路板材料など熱絶縁性の材料であってもよい。
【0031】
[0052]図3に示されているとおり、構造体72は、構造体72の表面の大部分にわたり延びる複数の孔84を含んでいる。各孔84は構造体72の厚みを貫通して延びている。構造体72はまた、コネクタ70が取り付けられている構造体72の端部近くに一連のスロット86を含んでいる。複数の孔84および一連のスロット86の数および寸法が、患者がマウスピース56から吸い込むときに、複数の孔84と一連のスロット86とを通って流れる空気の相対的割合を決定する。図5に示されているとおり、患者がカートリッジ50のマウスピース56を吸入すると、空気流88が生成され、これによって空気が空気取入口60に入り、装置に入る空気の流れが吸気バルブ62によって制御されて、第2空気路76に入る。空気流の第1部分は、第2空気路76から一連のスロット86を通って第1空気路74に入り、患者によって吸入される。同時に、空気流の第2部分は、複数の孔84を通過して、第1空気路74に入り、患者に吸入される。複数の孔84と一連のスロット86を通過する空気流は結合して、マウスピース56を通過して装置から出る。
【0032】
[0053]複数の支持体78に対する複数の孔84と一連のスロット86の位置を示した上面図が図6Aおよび図6Bに示されている。図6Aは、コネクタ70と一連のスロット86と複数の孔84とを備える構造体72を示している。一連のスロット86は、矩形状のスロットとして示されている。ただし、一連のスロット86は、吸入投与するために適正な特性を示す凝縮エアロゾルを形成するために、気化物質を空気流に取り込めさせるよう、必要に応じて、如何なる数の開口、形状および/または寸法を有してもよい。複数の孔84は、一定のアレイの丸い開口を備えて示されている。しかし、複数の孔84は、吸入投与するために適切な性質を示す凝縮エアロゾルを形成するために、気化物質および凝縮エアロゾル粒子を空気流に同伴させるのに適するように、任意の数の開口、形状および/または寸法を有してもよい。例えば、孔88の各列は狭いスロットに置き替えてもよい。複数の孔84はまた、構造体72の表面全体にわたり異なった配置で置かれてもよい。
【0033】
[0054]図6Bに示されるとおり、特定の実施形態においては、孔84は、隣接する加熱要素78の間の空隙90の下に配置できる。孔84から空隙90を通って流れる空気は、支持体78から解放された物質を空気流内に誘導できる。特定の実施形態においては、複数の孔84のうち少なくともいくつかが、支持体78の少なくともいくつかの下に位置することができる。
【0034】
[0055]図2〜図6に示されたカートリッジは、生理活性物質を患者に投与するための凝縮エアロゾル供給装置において使用できる。本開示による、例示的な凝縮エアロゾル供給装置100の立体図が図7に示されている。装置の上面およびカートリッジを通り外した等角図が図8に示され、凝縮エアロゾル供給装置100の分解組立等角図が図9に示されている。図9を参照すると、凝縮エアロゾル供給装置100は、カートリッジ50と分注ユニット102とを含んでいる。図9に示されるように、カートリッジ50は分離可能なユニットであってもよい。特定の実施形態においては、カートリッジ50は、分注ユニット102の一体構成部品であってもよい。分注ユニット102は、分注ユニット102のハウジングを形成するよう組み立てられる第1シェル104と第2シェル106とを含んでいる。図9に示されるように、分注ユニット102は、バッテリー電源108と、マイクロプロセッサコントローラ112を組み込んでいるプリント回路板110と、表示器114と、分注ユニットをカートリッジと接続し、またコントローラ112と3つの単4電池を備えた電源108とをカートリッジ50に接続するコネクタ116と、をさらに含んでいる。
【0035】
[0056]凝縮エアロゾルを患者に供給するために、患者は凝縮エアロゾル供給装置100のマウスピース56を患者の口内に置く。その後、患者はマウスピース56を吸入して、本明細書で記載したように空気流を生成する。ある一定の最小空気流または空気流内の変化速度が検知されると、装置が作動する。空気流センサからの信号がコントローラに送られると、バッテリー電源が少なくとも1つの支持体に接続されるようになる。本明細書に記載されるとおり、支持体は、例えば電気抵抗加熱要素であってもよい。電気抵抗加熱要素によって生成された熱は、その上に置かれた物質を熱で気化する。気化物質は、空気流内で凝縮して凝縮粒子、したがって凝縮エアロゾルを形成する。本明細書に記載されているとおり、加熱要素の下を通って流れる空気流によって、加熱要素から気化した物質または凝縮エアロゾル粒子が、カートリッジを通過する前に他の支持体に堆積するのではなく、空気流に同伴されるようになる。カートリッジを通過したエアロゾルは、続いて、患者に吸入される。一回の呼吸で、凝縮エアロゾル供給装置が作動し、凝縮エアロゾルを形成し、凝縮エアロゾルを吸入することができる。吸入された凝縮エアロゾルは、その後、患者の空気路に入り、そこでは、活性物質を含む凝縮エアロゾルが患者の空気路内、特に肺胞内に堆積する。
【0036】
[0057]凝縮エアロゾルを生成する装置は、少なくとも1つの支持体を含み、特定の実施形態、例えば図2〜図5および図8においては、複数の支持体を含むことができる。支持体は、空気流内に解放された物質が堆積する表面および/または構造を提供できる。特定の実施形態においては、支持体は、例えば構造体の表面上の空気路の側面に位置するか、または空気路の中心に向かって、中心近く、または中心に位置する。支持体の形状および寸法、並びに支持体を形成する材料または複数材料を選択することにより、エネルギーが加えられると支持体に堆積した物質を容易に解放して、解放中における物質の劣化を最小限にし、その上に堆積した物質を急速加熱させ、および/または物質を解放するのに使用されるエネルギー量を最小限にすることができる。
【0037】
[0058]支持体を形成する適切な材料の選択は、少なくともその一部としては、支持体から物質を解放するのに使用されるエネルギー源によって決定される。例えば、物質を解放するのに使用されるエネルギー源は、機械的、音響的、マイクロ波等の放射線、周波数または光学的および/または熱的であってもよい。加えられたエネルギーが物質によって直接吸収されると、支持体は非熱伝導性になる。例えば、支持体上に配置され物質を除去および/または気化するのに光源を用いることができる。あるいは、特定の実施形態においては、熱エネルギーを支持体上に配置した物質に伝達して物質を支持体から解放する、熱伝導性の支持体を加熱することがより効率的または実用的になる。このような実施形態においては、支持体は、金属、金属合金、2つ以上の層および/または組成物を有する金属複合材、黒鉛などの熱伝導性材料であってもよい。例えば、特定の実施形態においては、金属は、ステンレス鋼、銅、ニッケル、アルミニウム、金または銀であってもよく、1つまたは複数の上記材料または他の金属と共にメッキされてもよい。いくつかの実施形態においては、金属の上に金属層をメッキする厚みは、0.001μm〜3μmの間の範囲内にできる。いくつかの実施形態においては、支持体は半導体材料である。
【0038】
[0059]例えば、凝縮エアロゾル供給装置がバッテリー電源を有する携帯用途に設計されている特定の実施形態においては、効率的にエネルギーを使用することが望まれる。支持体から物質を解放するのに使用されるエネルギーの最小化は、少なくともその一部としては、支持体の形状および寸法、支持体を形成する材料および空気路内への支持体の配置による。特定の実施形態においては、支持体は、金属箔などの電気抵抗材料を含むことができる。特定の実施形態においては、金属箔は、ステンレス鋼の金属箔であってもよく、例えば、電気的接続の形成、および/または金属箔の部分の抵抗などの電気特性の変更を容易にする金層などの1つまたは複数の材料でできた層を含むことができる。金属箔の適切な寸法は、所望の抵抗、支持体上に置かれた物質の量、支持体上に置かれた物質を気化するのに必要なエネルギー量および/または機械的な安定性を考慮することに、少なくとも部分的に依存している。
【0039】
[0060]支持体によって生成された熱エネルギーを支持体上に置かれた物質に最大限伝達するためには、熱伝導性の支持体が熱的に絶縁されていることが望ましい。支持体とコネクタとの間の接触面積を最小限にすることによって、支持体を熱分離させるのを助ける。例えば図3に示されるとおり、スペーサによって構造体の表面の上方にある空気流内の支持体を懸架することによって、熱分離を達成でき、それによって金属箔の両端部を電源に電気的に接続できる。図3、図8および図10に示されているとおり、特定の実施形態においては、金属箔はアーチ状である。加熱中、薄い金属箔は変形する傾向がある。この現象が図11に概略的に示され、図11では、金属箔は2つの導電体の間に懸架されて示されている。図11(a)は、2つの導電体にまたがるフラットな金属箔を示している。図11(b)に概略的に示されているように、フラットな金属箔は加熱中に湾曲する。いくつかの金属箔支持体を備えた複数回投与凝縮エアロゾル供給装置において、このような金属箔の機械的変形によって空気流と相互作用して、凝縮エアロゾル粒子の下流面への堆積を増加させる。各支持体または加熱要素の加熱で解放され、受容体に移送される物質の量を正確に再現しやすくするために、装置の空気流特性は装置の作動毎に一定であることが望ましい。より厚い金属箔を用いることによって金属箔の歪みが最小限になるが、金属箔を最小限の電力消費で効率よく加熱するには、薄い金属箔を使用する必要がある。金属箔の機械的安定性が金属箔をわずかにアーチ状に製造することで向上することが見出された。アーチ状の金属箔の例が図11(c)に示されている。加熱中、図11(c)に示されたアーチ状の金属箔は、図11(d)に示されているとおり、わずかに上向きの移動を示し、続いて加熱することによって、先の加熱とほぼ同じアーチ状に戻る。アーチは、多数の方法で形成できる。例えば、これに限定されないが、金属箔または複数の金属箔をアーチ状のマンドレルの上方に置き、その両端部をプラットフォームに接合することによる組立などである。金属箔を極端に薄くして、永久ひずみは生じないが、わずかに圧縮してアーチ状を維持することができる。アーチ状の金属箔が取り付けられるプラットフォームは、例えば、図3で示されているとおりに、スペーサ80などのスペーサであってもよく、または、スペーサが採用されない実施形態においては第1および第2の空気路を分離する構造体72であってもよい。本発明のいくつかの実施形態においては、アーチの高さは0.5mm〜2mmの範囲である。
【0040】
[0061]特に、携帯型のバッテリー駆動の凝縮エアロゾル供給装置に関しては、物質を気化するのに用いられる電力を最小限にすることが有益である。金属箔のいくつかの特性を選択して、金属箔から物質を効率よく熱気化させることができる。上記の特性には、これに限定されないが、金属箔の厚み、金属箔のインピーダンス、および金属箔の熱質量に対する表面積の割合が含まれる。特定の実施形態においては、金属箔の厚みは、0.01インチ未満であり、特定の実施形態においては、0.001インチ未満であり、特定の実施形態においては0.0005インチ未満である。電気回路の電力消費を最小にするため、およびそれによって加熱要素に供給する電力を最大にするために、金属箔のインピーダンスが電源のインピーダンスと厳密に一致していることが望ましい。例えば、特定の実施形態においては、抵抗加熱要素のインピーダンスと電源のインピーダンスとの差は、電源のインピーダンスの50%未満であり、特定の実施形態においては、電源のインピーダンスの10%未満であり、特定の実施形態においては、電源のインピーダンスの2%未満である。抵抗加熱要素によって生成される熱エネルギーを抵抗加熱要素上に置かれた物質に効率よく伝導しやすくするために、抵抗加熱要素の熱質量に対する抵抗加熱要素の表面積の割合を最大にすることが有益である。したがって、特定の実施形態においては、抵抗加熱要素の熱質量に対する加熱要素の表面積の割合は10cm2/J/℃よりも大きく、特定の実施形態においては、100cm2/J/℃よりも大きく、特定の実施形態においては500cm2/J/℃よりも大きい。
【0041】
[0062]抵抗加熱要素の熱質量に対する加熱要素の表面積の割合が低いことによって、基板に熱を伝達しやすくなり、物質の熱気化を急速にする。物質を急速に熱気化することによって、気化中の物質の熱分解を最小にし、それによって形成される凝縮エアロゾルの純度を最大にすることができる。例えば、特定の実施形態においては、支持体、特に金属箔は、500ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度まで、特定の実施形態においては250ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度まで、特定の実施形態においては100ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度まで加熱することができる。
【0042】
[0063]物質を表面上に薄膜として堆積することによって、抵抗加熱要素によって生成された熱エネルギーを抵抗加熱要素上に配置された物質にさらに効率よく伝達しやすくすることができる。例えば、特定の実施形態においては、物質の層の厚みは0.01μm〜50μmの範囲であり、特定の実施形態においては、0.01μm〜20μmの範囲であり、特定の実施形態においては、0.01μm〜10μmの範囲である。
【0043】
[0064]例えば、薄い金属箔を含む電気抵抗加熱要素を用いて、電気抵抗加熱要素のインピーダンスを電源のインピーダンスと厳密に一致させ、抵抗加熱要素の熱質量に対する抵抗加熱要素の表面積の割合を最大にし、および加熱要素上に配置された物質の薄膜を用いることによって、物質を熱気化させるエネルギー量を最小にすることができる。少なくとも上記パラメータを適切に設計および選択することによって、特定の実施形態においては、支持体から物質が気化するエネルギー量は250ジュール未満であり、特定の実施形態においては50ジュール未満であり、特定の実施形態においては10ジュール未満である。さらに具体的な実施形態においては、支持体から物質が1mg気化することに対するエネルギー量が250ジュール未満であり、特定の実施形態においては50ジュール未満であり、特定の実施形態においては10ジュール未満である。
【0044】
[0065]凝縮エアロゾル供給装置および/またはカートリッジを形成する支持体の数は特に限定されておらず、例えば、特定の実施形態においては、カートリッジまたは薬剤供給装置は、1〜200の支持体を含み、特定の実施形態においては1〜50支持体、特定の実施形態においては1〜25支持体、特定の実施形態においては1〜10支持体を含む。
【0045】
[0066]カートリッジは凝縮エアロゾル供給装置から分離することができる。このような実施形態においては、患者は供給装置を使って、例えば、2つ以上の生理活性物質、または1つのカートリッジを別のカートリッジと交換することによって同じ生理活性物質を2回以上の投与量で投与することができる。また、特定のカートリッジにおける投与量が全部使い果たされると、使用者は新しいカートリッジを得て、供給装置に挿入することができる。
【0046】
[0067]本開示の特定の実施形態では単一の支持体を備えるが、複数の支持体を備える実施形態が、例えば、生理活性化合物または薬剤をある期間にわたり複数回投与で供給する好都合な方法を提供する際に、特に有用であることが予測される。用語の生理活性化合物および薬剤は、本明細書では区別せずに使用されている。本明細書で使用されているとおり、薬剤とは、公定薬局方または処方集で認められた物質、および/または診断、治療、緩和、病気の治療または予防で使用されるよう意図された物質を指す。病気とは、あらゆる病気、疾患、異常、兆候または徴候を指す。このような実施形態においては、少なくとも1つの支持体上に配置した物質は、治療効果のある薬品の量を含んでいる。例えば、治療効果のある薬品の量または投与量は、単一の支持体、多数の支持体のそれぞれ、または2つ以上の支持体上に置くことができる。凝縮エアロゾル供給装置の特定の実施形態においては、同量の生理活性化合物が各支持体上に置かれる。特定の実施形態においては、種々の量の生理活性化合物が複数の支持体のそれぞれの上に置かれるか、またはある量の活性化合物がいくつかの支持体上に置かれ、異なる量の活性化合物をいくつかの別の支持体上に置いてもよい。異なった支持体上に種々の量の薬剤を有することは、治療計画を達成するのに有用であり、この場合には、ある期間、種々の量の薬品を投与することが有益である。
【0047】
[0068]特定の実施形態においては、いくつかの支持体上に置かれた活性化合物が不正使用物質である場合、作用薬を含む第2化合物を1つまたは複数の他の支持体上に置くこともできる。「不正使用物質」とは、例えば、処方または意図された服用量を超えて投与するまたは投与経路を意図された経路から変更することによって、不適切に使用される物質のことを指す。例えば、オピオイド鎮痛薬は、オピオイド鎮痛薬を、痛みの治療のための治療に用いるのではなく、陶酔効果を引き出すために用いることによって悪用される可能性がある。不正使用物質には、例えば、米国司法省麻薬取締局(United States Drug Enforcement Agency (DEA))など薬物乱用を阻止することに重点を置いた管理機関によって規制された物質が含まれている。特定の実施形態においては、不正使用物質とは、DEAによるスケジュールII、III、IVまたはVに挙げられた物質である。第2の化合物は、別の化学物質の生理活性および/または薬理効果を低減または無効にするよう作用する化合物である。不正使用物質と、その不正使用物質の効果を同じ装置内で無効にすることができる第2化合物との両方を有すると、乱用者の能力を混乱させて、不正使用物質を加熱要素から選択的に除去することになる。装置を適切に使用することで、不正使用物質を規定の投与量で効果を有するだけにすることができる。
【0048】
[0069]放出される物質は、支持体の少なくとも一表面上に置かれてもよい。例えば、物質は、第1空気路の中心に対面する面上に、および/または速度が最も速い空気流の一部の方向に向けて置かれてもよい。物質は、任意の適切な方法によって支持体の表面に付着させることができ、物質の物理的性質と、付着される層の最終的な厚さとに、少なくとも部分的に依存する。特定の実施形態においては、支持体に物質を付着する方法として、これに限定されないが、ブラッシング、浸漬被膜、吹付けコーティング、スクリーン印刷、ローラーコーティング、インクジェット印刷、気相堆積、スピンコーティングなどを含む。特定の実施形態においては、物質は、少なくとも1つの溶媒を含む、支持体に塗布される溶液として調製されてもよい。特定の実施形態においては、溶媒は、アセトンまたはイソプロパノールなど揮発性溶媒を含んでもよい。特定の実施形態においては、物質は融解物として支持体に塗布されてもよい。特定の実施形態においては、物質は剥離剤を有する膜に塗布して、支持体に移すこともできる。常温では液体である物質については、増粘剤をその物質に混合して、本明細書で記載した方法を含む任意の適切な方法によっても支持体に付着させることができる物質を含んだ粘着性の混合物を生成できる。特定の実施形態においては、物質の層を1回の塗布中に形成するか、または繰り返し塗布している間に形成して、層の最終的な厚みを増やすことができる。別の実施形態においては、物質は支持体の2つ以上の表面に付着させることができる。
【0049】
[0070]特定の実施形態においては、2つ以上の活性化合物は複数の支持体のうちの1つの上、または複数の支持体上に置くこともできる。例えば、第1活性化合物を特定の複数の支持体上に置き、第2活性化合物を別の複数の支持体上に置いてもよく、特定の実施形態においては、第1活性化合物と第2活性化合物とを含んだ混合物を1つまたは複数の支持体上に置くこともできる。
【0050】
[0071]1回の投与量は、単一の支持体から解放される活性化合物の量、または2つ以上の支持体から解放される活性化合物の量に対応する。本明細書で用いられる投与量または適用量とは、凝縮エアロゾル供給装置の1回の起動中に放出される物質の量を指す。投与量は、生理活性化合物の治療量を含み、それによってその投与量が、患者の異常および/または病気を効果的に処置することを意味する。生理活性化合物の治療効果のある量は化合物ごとに、患者ごとに変化し、患者の状態などの要因に依存する。
【0051】
[0072]特定の実施形態においては、少なくとも1つの支持体上に置かれた物質は、少なくとも1つの生理活性化合物または薬剤の治療上の有効量を含むことができる。治療上の有効量とは、処置を必要としている患者または使用者に投与されるとき、治療に効果を発揮するのに十分な量のことを指す。あらゆる病気、異常もしくは障害の治療または処置とは、病気、異常または障害を阻止し、または回復し、病気、異常または障害疾患を受ける危険性を低減し、病気、異常もしくは障害、または病気、異常もしくは障害の臨床症状のうちの少なくとも1つの発症を低減し、または、病気、異常もしくは障害、または病気、異常もしくは障害の臨床症状のうちの少なくとも1つの発症の危険性を低減することを指す。治療または処置とは、識別可能な徴候の安定性など物理的に、あるいは物理パラメータの安定性など生理学的に、またはその両方で、病気、異常または障害を阻止すること、および患者には識別可能でない可能性がある少なくとも1つの物理パラメータを阻止することも指す。さらに、治療または処置とは、たとえ患者が病気、異常または障害の徴候をまだ認識していないかまたは表に出していないとしても、病気、異常または障害にさらされるかまたはこれらにかかりやすくなる可能性のある患者に対して、病気、異常もしくは障害またはそれらの少なくとも1つの徴候の発症を遅らせることを指す。特定の実施形態においては、支持体上に置かれる物質の量は100マイクログラム未満であり、特定の実施形態においては250マイクログラム未満であり、特定の実施形態においては500マイクログラム未満であり、特定の実施形態においては1,000マイクログラム未満である。
【0052】
[0073]医薬化合物を患者に供給する場合、表面から気化する物質の量が重要である。化合物の供給に均一性も重大である。特定の実施形態においては、各支持体上に配置された物質の量の少なくとも80%が、装置の出口を通過して患者に供給され、別の実施形態においては、少なくとも90%がその出口を通過し、さらに別の実施形態においては、少なくとも98%がその出口を通過する。
【0053】
[0074]特定の実施形態においては、物質は医薬化合物を含むことができる。特定の実施形態においては、物質は治療剤または非治療剤を含むこともできる。非治療化合物とは気分転換、試験的、または前臨床医学目的に使用される化合物を指す。使用できる薬剤の種類には、これらに限定されないが、麻酔薬、鎮痙薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、解毒薬、鎮吐薬、抗ヒスタミン薬、抗感染薬、抗新生物薬、抗パーキンソン症薬、抗リウマチ薬、抗精神病薬、不安緩和剤、食欲刺激薬および抑制薬、血液調整剤、心臓血管剤、中枢神経刺激薬、アルツハイーマー病管理薬剤、嚢胞性繊維症の管理および診断用の薬剤、栄養補助食品、勃起不全症用の薬剤、胃腸薬、ホルモン、アルコール中毒の治療薬、麻薬常用癖の治療薬、免疫抑制薬、マスト細胞安定剤、偏頭痛製剤、乗物酔い薬、多発性硬化症、禁弛緩薬、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド、他の鎮痛薬および刺激薬、眼病用製剤、骨粗鬆症製剤、プロスタグランジン薬、呼吸器系薬、鎮静剤および催眠剤、皮膚および粘膜薬、禁煙補助薬、トゥーレット病薬、尿管薬、およびめまい薬が挙げられる。
【0054】
[0075]医薬化合物の例には、プロピオン酸フルチカゾン、クロニジン、トリアゾラム、アルブテロール、シクレソニド、フェンタニール、テルブタリン、フルマゼニル、トリアムシノロンアセトニド、フルニソリド、ロピニロール、アルプラゾラム、ブプレノルフィン、ヒオスシアミン、アトロピン、プラミペキソール、ブメタニド、フルニトラゼパム、オキシモルホン、コルヒシン、アポモルフィンHCl、グラニセトロン、ペルゴリド、ニコチン、ロペラミド、アザタジン、ナラトリプタン、クレマスチン、ベンズトロピン、イブチリド、ブトルファノール、フルフェナジン、エストラジノル−17−へプタン酸、ゾルミトリプタン、メタプロテレノール、スコポラミン、ジアゼパム、トルトロダイン、エスタゾラム、ハロペリドール、カルビノキサミン、エストロジオール、ヒドロモルフォン、ブロマゼパム、パーフェナジン、ミダゾラム、メタドン、フロバトリプタン、エレトリプタン、テストステロン、メラトニン、ガランサミン、シプロヘプタジン、ブロフェニラミン、およびクロルフェニラミンが挙げられる。特定の実施形態においては、医薬化合物は、アルプラゾラム、ブプレノルフィン、クロニンジン、フェンタニール、ミダゾラム、プタミペキソール、ロピニロール、およびトリゾラムから選択される。特定の実施形態においては、医薬化合物は、疼痛治療用の化合物から選択される。特定の実施形態においては、疼痛治療用の化合物はフェンタニールである。
【0055】
[0076]特定の実施形態においては、薬剤はさらに、放出エアロゾル形成、肺内送達、治療効果、治療薬効、安定性等を向上、変更および/または制御する物質を含むことができる。例えば、治療効果を向上するために、薬剤を1つまたは複数の活性剤と一緒に投与して、肺胞を通る第1薬剤の吸収および/または拡散を向上するか、または全身循環系内の薬剤の劣化を抑制することができる。特定の実施形態においては、薬剤を、薬剤の治療効果を向上する薬理効果を有する活性剤と一緒に投与することができる。特定の実施形態においては、薬剤は1つまたは複数の病気、異常、または障害の治療に使用できる化合物を含むことができる。特定の実施形態においては、薬剤は1つの病気、異常、または障害を治療する化合物、または複数の病気、異常、または障害を治療する化合物を2つ以上含むことができる。
【0056】
[0077]特定の実施形態においては、物質は1つまたは複数の医薬的に許容されるキャリア、添加物、および/または賦形剤を含むことができる。医薬的に許容されるとは、動物およびより詳細にはヒトに使用するために、米連邦、あるいは州政府、あるいは米薬局法または他の広く認定された薬局法にリストアップされた管理機関によって、許可されたあるいは許可可能であることを指す。
【0057】
[0078]一般的に、開示の実施形態において有用な物質は、約150kジュール/モル未満の気化熱を呈し得る。
【0058】
[0079]一回の投与量を生成する化合物の量は、装置および装置内の他の支持体上のエアロゾル粒子の堆積によって影響されるだけでなく、支持体から解放される間の活性剤の劣化によって低減する。熱的劣化の範囲および動力学は、少なくともその一部は、特定の化合物に依存することが認知されているが、熱的劣化は、物質を、活性物質を気化および/または昇華するのに十分な温度に急速に加熱することによって最小にできる。特定の実施形態においては、支持体または加熱要素は500ミリ秒以内に少なくとも250℃の温度に加熱でき、特定の実施形態においては250ミリ秒以内に少なくとも250℃の温度に、特定の実施形態においては100ミリ秒以内に少なくとも250℃の温度に加熱できる。
【0059】
[0080]特定の実施形態においては、物質の層を急速に気化させることにより、物質の最小熱分解を発生して、高純度の物質を呈する凝縮エアロゾルを形成することができる。例えば、特定の実施形態においては、熱気化の間に物質の10%未満が分解され、少なくとも90%純度の凝縮エアロゾルが得られ、特定の実施形態においては、熱気化の間に物質の5%未満が分解され、少なくとも95%純度の凝縮エアロゾルが得られ、さらに、別に実施形態においては、熱気化の間に物質の2%未満が分解され、少なくとも98%純度の凝縮エアロゾルが得られる。
【0060】
[0081]化合物の投与については、エアロゾルを構成する化合物の粒子サイズは、肺内送達に適する範囲以内にできる。理論的には限定されることなく、1μm〜3μmの範囲および0.01μm〜0.10μmの範囲の空気動力学的中央粒子径(「MMAD」)を有するエアロゾルが、医薬化合物の肺体送達に最適であることが認識されている。1μm〜3μmの範囲のMMADにより特徴付けられるエアロゾルは、重力沈降によって肺胞壁に堆積し、全身循環系内に吸収される。一方、0.01μm〜0.10μmの範囲のMMADにより特徴付けられるエアロゾルは、拡散によって肺胞壁に堆積する。0.15μm〜1μmの範囲のMMADにより特徴付けられるエアロゾルは、一般に放出される。したがって、特定の実施形態においては、エアロゾルを形成する装置および方法を使用して生成されたエアロゾルは0.01μm〜5μmの範囲のMMADを有し、特定の実施形態においては0.05μm〜3μmの範囲のMMAD、特定の実施形態においては1μm〜3μmの範囲のMMAD、さらに特定の実施形態においては0.01μm〜1.1μmの範囲のMMADを有することができる。特定の実施形態においては、医薬化合物の肺内送達に適するエアロゾルはさらに、対数正規分布の粒子サイズの幾何標準偏差によって特徴付けできる。特定の実施形態においては、エアロゾルを生成する装置および方法を使用して生成されたエアロゾルは、3未満の対数正規分布の粒子サイズの幾何標準偏差を有し、特定の実施形態においては2.5未満、さらに特定の実施形態においては2未満の幾何標準偏差を有する。
【0061】
[0082]特定の実施形態においては、カートリッジはマウスピース内に置かれる部分を含み、この部分により装置を出る空気流を制御できる。図5のカートリッジ断面の部分断面図は図12に示されている。図12はカートリッジ50の前部分を示し、さらに、マウスピース56内に配置された空気経路部分200を含む。空気取入口60および空気吸気バルブ62から入る空気流88は、内部空気路を通過して凝縮エアロゾル粒子を同伴し、空気経路部分200により形成される開口部を通過し、装置から放出される。バイパス空気流202がバイパス開口から入り、空気経路部分200の外側近くからそらされる。空気経路部分200の前部204はマウスピース56の先端206近くに突き出る。空気経路部分200の使用は、装置を通過するスムースな空気流を維持し、および凝縮エアロゾル粒子サイズの制御に有効である。
【0062】
[0083]凝縮エアロゾル供給装置の一実施形態は、本明細書で説明される携帯型電気式複数回投与薬剤供給システムであって、図7〜9に示されている。電気式複数回投与薬剤供給装置は、治療用凝縮エアロゾルを生成して、患者の気道内、特に肺経路に送り出すように設計されている。本明細書で説明されるとおり、凝縮エアロゾル供給装置は2つのサブシステム、すなわちカートリッジおよび分注ユニットと称されるサブシステムを含む。カートリッジおよび分注ユニットの両方はいくつかの電子機能を組み込んでおり、この機能により、エアロゾル供給装置の携帯性、安全性、融通性、および便利性を実現している。本明細書で開示されるとおり、カートリッジは個々の投与量の治療薬剤と、患者の吸入により生成される空気流を検出する電子回路とを含む。分注ユニットは、バッテリー電源と薬剤気化プロセスを制御するマイクロコントローラとを含み、さらに多数の通信機能を含むことができる。このような通信機能には、これらに限定されないが、カートリッジ識別、投与量識別、誤用防止機能、使用監視、および投与制御を含む。
【0063】
[0084]図13には、電気式複数回投与薬剤供給装置100の例示的な実施形態についての電子回路の機能ブロック図が示されている。図13は、EEPROM132、呼吸センサ134、および25の薬剤でコーティングされた金属箔136を含むカートリッジ130を示す。EEPROM132は、例えば、カートリッジの識別シリアル番号、製造日、および/または追加の識別および管理情報を含むことができ、カートリッジ内に残っている投与量の数を監視する。EEPROM132は分注ユニット150内に収納されたマイクロコントローラ152に電気的に接続されている。マイクロコントローラ152はEEPROM132を読み書きして、そこに格納されたデータを更新および記録できる。EEPROM132はデータを維持するのに電力を必要としない。呼吸作動センサ134は空気流を検出する回路を含み、マイクロコントローラ152に電気的に接続されている。回路は、例えばサーミスタなどのような2つの温度検出デバイスを備え、このデバイスの一方が加熱される。加熱されたセンサ134を横切る空気流れは電圧変化に変換され、この電圧がマイクロコントローラ152により監視される。空理流138のある特定の最小速度が検出されると、マイクロコントローラ152が電源154を抵抗金属箔136の少なくとも1つに接続して、金属箔上の薬剤を気化させる。薬剤でコーティングされた複数の金属箔136は、マイクロコントローラ152によって制御されるスイッチマトリクス156に電気的に接続される。本明細書に開示されるとおり、薬剤でコーティングされた複数の金属箔136は、金属箔に電流を流すことによって選択的に加熱し、薬剤コーティングを気化させて空気流138内に凝縮エアロゾルを形成できる。
【0064】
[0085]図13に示されるとおり、分注ユニット150はマイクロコントローラ152、電源154、スイッチマトリクス156、ハードウェア安全保護機構158、ユーザ作動スイッチ160、および液晶表示ユーザインタフェース162を含む。マイクロコントローラ152は埋込みソフトウェアを組み込んでおり、凝縮エアロゾル供給装置の作動を制御する。作動していないとき、マイクロコントローラ152はスリープモードに維持され、電力消費を節減する。ユーザ作動スイッチ160が一時的に押されると、マイクロコントローラ152は作動を開始する。特定の実施形態においては、マイクロコントローラ152もまた、カートリッジを供給装置に挿入することによって起動することができる。次に、マイクロコントローラ152はカートリッジ130の存在をチェックし、カートリッジが存在すると、マイクロコントローラ152はEEPROM132を読み込み、カートリッジ130のシリアル番号がコントローラに記憶されているシリアル番号に一致するかどうかを判定し、カートリッジ130内に残っている薬剤でコーティングされた金属箔136上に含まれている未使用の投与量の数を計算する。カートリッジと分注ユニット150のシリアル番号の一致の目的は、個々のカートリッジ130および分注ユニット150を個々の患者の個人専用にすることである。個人化は、埋込まれたソフトウェアを利用して医療提供者によってプログラムされ、患者治療計画を容易にして個人化することができ、また特定のカートリッジが異なるシリアル番号を有する分注ユニット内で用いられるのを防止することによって誤用の可能性を低減できる。パラメータを確認すると、マイクロコントローラ152は、例えば、カートリッジ130内に残っている投与量の数で表示162を更新し、呼吸センサ134からの起動信号を待機する。カートリッジのマウスピースを吸入することによって、患者がカートリッジ130内に十分か空気流れを確立すると、マイクロコントローラ152は、スイッチマトリクス156を通して電源154を1つまたは複数の薬剤でコーティングされた金属箔136に接続し、薬剤を解放して患者によって吸入されるカートリッジ130の空気流138内に薬剤を含む凝縮エアロゾルを形成する。マイクロコントローラ152は、スイッチマトリクス156に電気的に接続されており、1つまたは複数の薬剤でコーティングされた金属箔136を所定の時間に電源154に接続することができる。特定の実施形態においては、マイクロコントローラ152は、1つまたは複数の薬剤でコーティングされた金属箔136を連続的、ランダム、または所定の順で電源154に接続することができる。患者に投与量を供給する作動の後に、マイクロコントローラ152はロックアウト期間に入り、ロクアウト期間が終了するまで、後続の投与量を放出できないようにすることができる。ユーザ起動スイッチ160を押し、カートリッジを装置に挿入および/または取り外すことによって手動で起動されるまで、マイクロコントローラ152はスリープモードに入り、電力消費を節減することができる。
【0065】
[0086]表示162は電子表示であって、装置の現在の状態、すなわち装置がスリープモードまたは起動モードにあるかどうか、およびカートリッジ内に残っている未使用の投与量の数をユーザに知らせることができる。ユーザ起動スイッチ160はモメンタリ押しボタンスイッチであって、押されると、システムをスリープモードから起動する。電源154は3つのアルカリ一次電池を含み、この電池を使用してシステムに電力を供給し、金属箔136上に置かれた薬剤を気化するのに必要な電力を提供する。スイッチマトリクス156は、電源154からの電力を薬剤でコーティングされた該当する金属箔136に結合するマイクロコントローラで制御されるMOSFETスイッチのアレイであってもよい。ハードウェア安全ロックアウト158は重複する、ソフトウェアから独立のシステムであって、一度に2つ以上の投与量が供給されるのを防止でき、および/または、ロックアウト期間の終了前に第2の投与量が供給されるのを防止できる。ハードウェア安全ロックアウト158は、ソフトウェアの不具合が発生した際の重複する安全機構を提供する。
【0066】
[0087]特定の実施形態においては、装置は10リットル/分〜100リットル/分の範囲の全空気流が出口を通過するように構成される。別の実施形態においては、出口を通過する全空気流は20リットル/分〜90リットル/分の範囲である。
【0067】
[0088]本装置の特定の実施形態においては、入口を通過する空気流の流量は100L/分未満である。別の実施形態においては、入口を通過する空気流の流量は50L/分未満である。さらに別の実施形態においては、入口を通過する空気流の流量は25L/分未満であり、さらに別の実施形態においては、入口を通過する空気流の流量は10L/分未満である。
【0068】
[0089]なお、本明細書で開示される様々な実施形態から明らかであるが、多くのパラメータを選択および/または調整することにより、凝縮エアロゾル供給装置、詳細には、生理活性物質の複数回投与を、一回吸入の間に供給される各投与量で患者に供給できる電気式凝縮エアロゾルを実現できる。パラメータの少なくともいくつかは相互に影響し、複数のパラメータは最適化手順を設定することによって、特定の生理活性物質の1回の投与量を含む凝縮エアロゾルを生成できることは認識されている。本明細書で説明されるとおり、このようなパラメータには、これらに限定されないが、特定の物質の特性、例えば気化熱、1回の投与量を含む物質の量、支持体上に堆積する層の厚み、加熱要素の厚み、加熱要素の表面積と抵抗加熱要素の熱質量と比率、および空気流を含む。
【実施例】
【0069】
[0090]本発明の開示の実施形態はさらに、本発明の開示の詳細な特定の実施形態において記載される以下の例を参照して定義できる。当業者には明らかであるが、材料および方法の両方の多くの修正形態が、本発明の開示範囲から逸脱することなく実現可能である。
【0070】
[実施例1]
(電気式複数回投与凝縮エアロゾル供給装置)
[0091]図2〜5に示されるとおり、電気式複数回投与凝縮エアロゾル供給装置を作製した。カートリッジのハウジングを形成する2つの半分部分は、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレンまたはポリカードネートのいずれかから成形した。第1および第2空気路を分離する構造体は0.032インチ厚のFR4プリント回路基板材料から作製した。組立の際、回路基板およびカートリッジの壁面は、1.5cm2の断面積を有する3.5インチ長さの第1空気路と、1.5cm2の断面積を有する3.0インチ長さの第2空気路とを形成するようにした。カートリッジを通過する全抵抗は、20L/分の全空気流流量において0.07平方根(cm−H2O)/L/分および90L/分において0.09平方根(cm−H2O)/L/分であった。空気流バルブは、20L/分〜90L/分の全空気流流量に対して4L/分〜8L/分の空気量に制御するように設計した(図4参照)。第1および第2空気路を分離するのに用いた回路基板は、様々な配置および寸法の孔を設けて作製した。特定の例示的実施形態においては、金属箔の下の複数の孔は隣接する金極箔間の間隙の下に設けた100個の丸孔のアレイを備えるようにした。空気制御バルブから入る空気流の60%が、一連のスロットを通り、第1空気路内の加熱要素を横切って通過する。空気流の40%が回路基板の複数の孔を通過し、加熱要素および第1空気路の中心の方向に誘導された。
【0071】
[0092]装置には25の支持体を組み込んだ。支持体は、0.2cm2の表面積を有する0.0005インチ厚のステンレス鋼の箔で作製し、加熱中の変形を最小にするために、アーチ状形状で取り付けた。イソプロピルアルコール、アセトン、またはアセトニトルのいずれかを含む溶液からスプレーコーティングすることによって、50μgのフェンタニールが各箔の表面上に堆積した。50μgのフェンタニールの層は3μmの厚みであった。その上にフェンタニールの層を堆積した金属箔の抵抗は0.4Dであった。金属箔の表面積と加熱金属箔の熱質量との比は、47cm2/J/Cであった。実施した実験に応じて、AAA電池またはHewlett Packerdの6002A DC電源を使用し、1.7ジュールのエネルギーを加熱要素に供給して、50μgのフェンタニールを気化した。
【0072】
[実施例2]
(エアロゾル粒子サイズの測定)
[0093]エアロゾルの粒子サイズは吸入により投与される薬剤の治療効果に影響を与える。例えば、肺送達には、0.01μm〜3μmの範囲の粒子サイズを有するエアロゾルが最適であると考えられている。吸入の間におけるエアロゾルの動力学に加えて、凝縮エアロゾル供給装置が均一な、再現性のある粒子サイズ分布を生成することが重要である。エアロゾル粒子サイズは、エアロゾルの空気動力学的中央粒子径(MMAD)によって特徴付けできる。MMADはエアロゾルを形成する粒子サイズ分布の中央値を指す。
【0073】
[0094]図14は、例1に記載された凝縮エアロゾル供給装置を使用して形成される凝縮エアロゾルのエアロゾル粒子サイズ分布を示す。25の箔のカートリッジの各箔は3μm厚の層で50μgのフェンタニールを含んでいた。一枚の箔は、6L/分の空気流内で350ミリ秒以内に400℃のピーク温度に加熱した。装置から放出されるエアロゾルの粒子サイズ分布は、8段のCascade Impactor Series 20−800 Mark II(Anderson, Copley Scientific, Nottingham UK)を使用してAnderson Impact法によって測定した。図14には、前部箔(1−5)、中間部箔(10−15)、および後部箔(20−25)(マウスピースに最も近い)のそれぞれに対して2回繰返した粒子サイズ分布が示されている。各箔からのエアロゾルの粒子サイズ分布は均一であり、1.8μmのMMADおよび1.7μmの幾何標準偏差(GSD)を有する約5.8μm〜約0μmの粒子サイズを示す。
【0074】
[実施例3]
(空気流の粒子サイズに与える効果)
[0095]例1に記載された凝縮エアロゾル供給装置内の空気流を調整し、Anderson Impact法を用いて、5回の放出投与における粒子サイズを測定した。空気流の容量は4L/分から8L/分に増加して、空気流速度を1m/秒から2m/秒に増加させた。テスト1、2、および4では、バイパス空気経路部分をカートリッジのマウスピース部分に挿入し(正確に機能するように、Anderson Impactorに最大28.3L/分の全空気流を供給するため)、これにより、バイパス空気と凝縮エアロゾルを含む空気流がインパクタに入る直前に混合するようにした。ただし、テスト3では、バイパス空気を誘導して、加熱要素上を通過した直後に、流出する空気流に混合した。表1はこれらの結果を示す。
[0096]
【表1】
【0075】
[実施例4]
【0076】
(複数回投与装置におけるフェンタニールの安定性)
[0097]複数回投与凝縮エアロゾル供給装置におけるフェンタニールの安定性は、新しく製造したカートリッジ(斜線)、7日間室温で保管した未使用のカートリッジ(網目)、および10回投与量を放出するのに使用した後に7日間室温で保管したカートリッジ(濃色)について、放出された投与量内のフェンタニールの量および純度を測定することによって決定した。図15はこれらの結果を示す。
【0077】
[実施例5]
(加熱要素の温度プロファイル)
[0098]3つのAAA電池によって、1.7ジュールのエネルギーを0.0005インチ厚のステンレス鋼の箔に供給し、箔の上に50μgのフェンタニールを堆積した。空気流の速度は、4L/mの空気流流量に対応する1m/秒であった。図16に示されるとおり、箔の温度は50ミリ秒以内に約200℃の温度に、284ミリ秒以内に400℃の最高温度に上昇し、最高温度に達した後、1.5秒以内に室温に戻った。
【0078】
[実施例6]
(温度均一性の測定)
[0099]50μgのフェンタニールの薄層を有する箔の温度均一性は加熱の間に測定した。図17Aおよび17Bはこれらの結果を示す。
【0079】
[実施例8]
(第2空気流のエアロゾル粒子堆積に与える効果)
[00100]図18および19は、下流表面上へのエアロゾル粒子の堆積に与えるカートリッジ内の空気流の効果を示す。図18に示すこれらの結果は、例1に記載されるカートリッジを使用して得た(ただし、第1および第2空気路を分離する回路基板は存在せず、空気流れは空気流バルブの代わりに流量計によって制御した)。加熱要素はその端部のみを支持し、第1と第2空気路との間の流れは制御せず、第1および第2空気路に入る空気量は各空気路の入口で流量計によって制御した。図18の1m/sおよび2m/sの例に関しては、第1および第2空気路は1つのテープによって分離し、全空気流が加熱要素の上面を通過するときのエアロゾル粒子堆積をテストした。90/10 1m/sの例では、これと異なり、テープを取外し、流量計は、入口空気流の90%が第1空気路を通って入り、10%が第2空気路を通って入るように設定した。これにより、2空気路を通って入る空気は、加熱要素間の間隙を通って流れ、空気経路出口に達するようになる。最後に、1m/s、16〜25下にテープに場合には、1つのテープを加熱要素16〜25の下に配置し、再度、流量計を、入口空気流の90%が第1空気路を通って入り、10%が第2空気路を通って入るように設定した。テープの目的は、加熱要素1〜15を通過して流れる空気量を増加することである。各実験においては、加熱要素3、9、16、および22は、そこからフェンタノールが気化する50μgのフェンタニールの3μm厚の層を含んでおり、下流加熱要素を上流加熱要素の前に加熱することにより、堆積したいずれのエアロゾル粒子も再気化されないようにしている。図18に示すとおり、これらの状態のそれぞれについて、最大約50μgのフェンタニールが各下流加熱要素上に堆積した。
【0080】
[00101]図19は、図18での結果について上に記載したものと同一空気路を用いて実施した3つのテスト結果を示す。ただし、これらのテストにおいては、第1および第2空気路は、1つの薄い発泡体を加熱要素のすぐ下に置くことによって分離し、流量計は、入口空気流の50%が第1空気路を通って入り、50%が第2空気路を通って入るように設定した。発泡体は第1および第2空気路の間に圧力降下を発生し、最終的に、第2空気路からの流れを、各加熱要素を通過して、第1空気路の中心に流入するように分散する。これらの実験においては、50μgのフェンタニールが、下流加熱要素25から上流加熱要素1に向かって、25個の加熱要素のそれぞれから気化し(フェンタニールが4個の加熱要素だけから気化する、図18の実験と異なる)、実際には、下流加熱要素上にはフェンタニールが堆積しなかった。」
【0081】
[実施例9]
(放出投与量の純度および収率)
[00102]例1において記載した放出投与量の純度および収率は、各支持体の表面積が0.25cm2であることを除いて、図20Aおよび20Bで示されている。図20Aは、加熱要素のピーク温度が少なくとも375℃である場合、装置から放出される2.4μm厚の、投与量60μgのフェンタニールの純度が、98%より高いことを示している。図20Bに示すとおり、少なくとも375℃の温度に加熱されたとき、加熱要素上に堆積した2.4μm厚の、投与量60μgのフェンタニールの少なくとも96%が装置から放出された。図20Aおよび20Bについては、フェンタニールを含む凝縮エアロゾルは、2.0μmのMMADおよび1.8μmのGSDによって特徴付けされる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1A】下流表面への物質の堆積を示した概略図である。
【図1B】特定の実施形態による、複数の孔を通る空気流を利用して物質を空気流内に同伴し、それによって下流表面上への物質の堆積を最小限にすることを示した概略図である。
【図2A】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2B】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2C】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2D】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2E】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図2F】特定の実施形態による、凝縮エアロゾル粒子を空気流内に同伴させる装置における、空気流の経路の例を示した概略図である。
【図3】電気複数回投与凝縮アエロゾル送出装置用の分離可能カートリッジの等角図である。
【図4】カートリッジに対する種々の全体空気流量における空気路の空気流量を示している。
【図5】特定の実施形態による、空気流の経路を示す電気複数回投与凝縮アエロゾル送出装置用の分離カートリッジの概略断面図である。
【図6A】特定の実施形態による、第1空気路と第2の気路とを分離する構造の図を示している。
【図6B】特定の実施形態による、第1空気路と第2空気路とを分離する構造の図を示している。
【図7】電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置の等角図である。
【図8】電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置の一部の等角断面図である。
【図9】電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置の分注ユニットの等角図である。
【図10】特定の実施形態による、アーチ状の金属箔の図を示す概略図である。
【図11】抵抗加熱の前およびその間にフラットな金属箔とアーチ状の金属箔の変形の例を示している。
【図12】特定の実施形態による、空気経路を含む分離可能カートリッジの部分断面図である。
【図13】電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置用の電気機能の一実施形態のブロック図である。
【図14】特定の実施形態による、電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置から放出された物質を含む凝縮エアロゾルの粒子サイズ分布を示している。
【図15】特定の実施形態による、新規の、未使用の、および部分的に使用された電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置から放出されたフェンタニールの投与量の量および純度の再現性を示している。
【図16】特定の実施形態による、空気流内の金属箔の温度分布を示している。
【図17A】特定の実施形態による、フェンタニールを物質として含む空気流内の金属箔の温度均一性を示している。
【図17B】特定の実施形態による、フェンタニールを物質として含んだ空気流内の金属箔の温度均一性を示している。
【図18】加熱要素の下から上方に向かう空気流がほとんどないかまたは全くない状態における、様々な空気流量についての、加熱要素からの気化物質から下流の加熱要素上に堆積した物質の量を示している。
【図19】全空気流の一部が加熱要素の下から上方に向かう状態における、気化投与量から下流の加熱要素上に堆積した物質の量であって、空気流分布が第1空気路と第2空気路との間の発泡体の層によって制御された場合を示している。
【図20A】特定の実施形態による、金属箔の温度と、電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置から放出された投与量の純度および量との間の関係を示している。
【図20B】特定の実施形態による、金属箔の温度と、電気複数回投与凝縮エアロゾル供給装置から放出された投与量の純度および量との間の関係を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流に物質を同伴させる装置であって、
入口と出口を備える空気路と、
前記空気路内に配置された少なくとも1つの支持体と、
前記少なくとも1つの支持体のそれぞれに配置された前記物質と、
前記少なくとも1つの支持体のそれぞれから前記物質を解放するように構成された機構と、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、前記少なくとも1つの支持体のそれぞれの方向に誘導することにより、前記物質が前記支持体から解放されると、その物質が空気流に同伴されるようにしている、装置。
【請求項2】
空気流内に凝縮エアロゾルを生成する装置であって、
入口と出口を備える空気路と、
前記空気路内に配置された少なくとも1つの支持体と、
前記少なくとも1つの支持体上に配置された前記物質と、
前記少なくとも1つの支持体のそれぞれから前記物質を気化するように構成された機構と、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、前記少なくとも1つの支持体のそれぞれの方向に誘導することにより、前記物質が気化されると、その物質が空気流に同伴される凝縮エアロゾルを形成するようにしている、装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持体が複数の支持体を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
空気流内に凝縮エアロゾルを生成する装置であって、
入口と出口を備える空気路と、
前記空気路内に配置された複数の支持体と、
前記複数の支持体の少なくとも1つの支持体上に配置された前記物質と、
前記物質が配置されている、前記複数の支持体の各支持体から前記物質を気化するように構成された機構と、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、前記物質が配置されている前記支持体の方向に誘導することにより、前記物質が気化されると、その物質が空気流に同伴される凝縮エアロゾルを形成するようにしている、装置。
【請求項5】
前記複数の支持体の各支持体か電気抵抗加熱要素を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記空気流の一部が複数の孔を通過して、前記物質が配置されている前記支持体の方向に誘導されている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
各支持体が金属箔を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
金属箔を備えた電気抵抗加熱要素であって、
前記金属箔上に配置された物質を気化して、前記物質を含む凝縮エアロゾルを生成する、電気抵抗加熱要素。
【請求項9】
前記金属箔がステンレス鋼である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項10】
前記金属箔の厚みが0.01インチ未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項11】
前記金属箔の厚みが0.001インチ未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項12】
前記金属箔の厚みが0.0005インチ未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項13】
前記金属箔の表面積が0.01cm2〜50cm2の範囲にある、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項14】
前記金属箔がその金属箔上にメッキされた金属層を備える、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項15】
前記金属層が金、銀、ニッケル、および銅から選択されている、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項16】
前記金属層が金である、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項17】
前記金属層の厚みが0.001μm〜3μmの範囲にある、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項18】
前記金属箔がアーチ形状である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項19】
前記アーチ形状の高さが0.5mm〜2mmである、請求項18に記載の加熱要素。
【請求項20】
前記加熱要素のインピーダンスが、この加熱要素を加熱する電源のインピーダンスに厳密の一致している、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項21】
前記抵抗加熱要素の前記インピーダンスと前記電源の前記インピーダンスとの差が、前記電源の前記インピーダンスの50%未満である、請求項20に記載の加熱要素。
【請求項22】
前記抵抗加熱要素の前記インピーダンスと前記電源の前記インピーダンスとの差が、前記電源の前記インピーダンスの10%未満である、請求項20に記載の加熱要素。
【請求項23】
前記抵抗加熱要素の前記インピーダンスと前記電源の前記インピーダンスとの差が、前記電源の前記インピーダンスの2%未満である、請求項20に記載の加熱要素。
【請求項24】
前記抵抗加熱要素の熱質量に対する前記加熱要素の表面積の割合が10cm2/J/℃よりも大きい、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項25】
前記抵抗加熱要素の熱質量に対する前記加熱要素の表面積の割合が100cm2/J/℃よりも大きい、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項26】
前記抵抗加熱要素の熱質量に対する前記加熱要素の表面積の割合が500cm2/J/℃よりも大きい、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項27】
前記加熱要素が500ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度に達することができる、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項28】
前記加熱要素が250ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度に達することができる、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項29】
前記加熱要素が100ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度に達することができる、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項30】
前記加熱要素上に配置された1mgの物質を気化するエネルギー量が250ジュール未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項31】
前記加熱要素上に配置された1mgの物質を気化するエネルギー量が50ジュール未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項32】
前記加熱要素上に配置された1mgの物質を気化するエネルギー量が10ジュール未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項33】
ある物質を含む凝縮エアロゾルを患者に供給する装置であって、
ハウジングと、
入口および出口を備える前記ハウジング内に含まれる空気路と、
前記出口に結合されたマウスピースと、
前記空気路内に配置された少なくとも1つの支持体と、
前記少なくとも1つの支持体上に配置された前記物質と、
前記物質を気化するように構成された機構と、
前記物質を気化するように構成された前記機構に電力を供給する電源と、
前記電源から前記物質を気化するように構成された前記機構にエネルギーを伝達するように構成された作動機構と、
を備え、
前記空気路の前記入口から前記出口への空気流によって前記物質を気化して、前記空気流内で凝縮して凝縮エアロゾルを形成する、装置。
【請求項34】
前記出口に結合された空気バイパス孔をさらに備える、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
ある物質を含む凝縮エアロゾルを患者に供給する装置であって、
分注ユニットを備え、この分注ユニットが、
分離可能なカートリッジ用の受口を有する第1ハウジングと
前記物質の気化を制御するコントローラと、
電源と、
を備え、
さらに、
分離可能なカートリッジを備え、このカートリッジが、
第2ハウジングと、
前記ハウジング内に収納され、入口および出口を有する空気路と、
前記出口に結合されたマウスピースと、
前記空気路内に配置された少なくとも1つの電気抵抗加熱要素と、
前記少なくとも1つの加熱要素上に配置された前記物質と、
前記電源から前記少なくとも1つの加熱要素にエネルギーを伝達するように構成された作動機構と、
を備え、
前記空気路の前記入口から前記出口への空気流によって前記物質を気化して、前記空気流内で凝縮して凝縮エアロゾルを形成する凝縮して凝縮エアロゾルを形成する、装置。
【請求項36】
前記第2ハウジングの前記出口に結合された空気バイパス孔をさらに備える、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
ある物質を含む凝縮エアロゾルを患者に供給する装置であって、
分注ユニットを備え、この分注ユニットが、
分離可能なカートリッジ用の受口を備える第1ハウジングと
前記物質の気化を制御するコントローラと、
電源と、
を備え、
さらに、
分離可能なカートリッジを備え、このカートリッジが、
第2ハウジングと、
前記ハウジング内に収納され、入口および出口を有する空気路と、
前記出口に結合されたマウスピースと、
前記空気路内に配置された複数の電気抵抗加熱要素と、
前記複数の電気抵抗加熱要素の少なくとも1つの加熱要素上に配置された前記物質と、
前記電源から、物質が配置される前記複数の電気抵抗加熱要素の前記電気抵抗加熱要素のそれぞれにエネルギーを伝達するように構成された作動機構と、
を備え、
前記空気路の前記入口から前記出口への空気流によって前記物質を気化して、前記空気流内で凝縮して凝縮エアロゾルを形成する凝縮して凝縮エアロゾルを形成する、装置。
【請求項38】
前記第2ハウジングの前記出口に結合された空気バイパス孔をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記物質が少なくとも1つの生理活性化合物を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記物質が、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤と、治療上で有効な量の少なくとも1つの生理活性化合物とを含む医薬組成物を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項41】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、治療上で有効な量の少なくとも1つの生理活性化合物を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項42】
前記化合物がアルプラゾラム、ブプレノルフィン、クロニジン、フェンタニール、ミダゾラム、プラミペキソール、ロピニロール、およびトリゾラムから選択される、請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記化合物が疼痛治療のための化合物である、請求項39に記載の装置。
【請求項44】
疼痛治療のための前記化合物がフェンタニールである、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
各電気抵抗加熱要素が金属箔である、請求項37に記載の装置。
【請求項46】
前記金属箔がアーチ形状である、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記複数の電気抵抗加熱要素が2〜200の電気抵抗加熱要素を備える、請求項43に記載の装置。
【請求項48】
前記物質が前記電気抵抗加熱要素の上に層として配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項49】
前記層の厚みが0.01μm〜20μmの範囲にある、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記層の厚みが0.01μm〜10μmの範囲にある、請求項48に記載の装置。
【請求項51】
前記物質が各電気抵抗加熱要素上に配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項52】
前記量の物質が各電気抵抗加熱要素上に配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項53】
異なる物質が前記電気抵抗加熱要素の少なくとも2つに配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項54】
異なる量の物質が前記電気抵抗加熱要素の少なくとも2つに配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項55】
前記物質が前記電気抵抗加熱要素の両側上に層としてコーティングされている、請求項37に記載の装置。
【請求項56】
前記物質が前記電気抵抗加熱要素の片側上に層としてコーティングされている、請求項37に記載の装置。
【請求項57】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、100μg未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項58】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、250μg未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項59】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、500μg未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項60】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、1000μg未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項61】
前記出口を通過する前記空気流が10リットル/分〜100リットル/分の範囲にある、請求項37に記載の装置。
【請求項62】
前記出口を通過する前記空気流が20リットル/分〜90リットル/分の範囲にある、請求項37に記載の装置。
【請求項63】
前記入口を通過する前記空気流流量が50リットル/分未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項64】
前記入口を通過する前記空気流流量が25リットル/分未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項65】
前記入口を通過する前記空気流流量が10リットル/分未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項66】
前記空気路が0.5cm2〜3cm2の範囲の断面積を有する、請求項37に記載の装置。
【請求項67】
前記電源が電力源である、請求項37に記載の装置。
【請求項68】
前記電源がバッテリーである、請求項37に記載の装置。
【請求項69】
呼吸作動機構をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項70】
起動機能をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項71】
ロックアウト機構をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項72】
前記空気路を通過する空気流流量を制御する流れ制御バルブをさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項73】
前記流れ制御バルブが4リットル/分〜8リットル/分の範囲内の空気流流量を制御する、請求項72に記載の装置。
【請求項74】
前記コントローラがメモリ内に、特定のカートリッジならびに患者と分注ユニットとの間の相互作用に関する情報を記録および格納している、請求項37に記載の装置。
【請求項75】
特定のカートリッジに関する前記情報が、前記カートリッジ内に残っている投与量の数、カートリッジの識別、および有効期限のうちの少なくとも1つから選択されている、請求項74に記載の装置。
【請求項76】
患者と分注ユニットとの間の前記相互作用に関する前記情報が、前記患者が前記装置を正常に起動した回数、使用の間隔、および前記患者が前記装置の起動を試みたが失敗した回数のうちの少なくとも1つから選択されている、請求項74に記載の装置。
【請求項77】
空気流に物質を同伴させる方法であって、
入口と出口を備える空気路内に空気流を提供するステップと、
前記空気路内に配置される複数の支持体を設けるステップであり、前記物質が前記複数の支持体のうちの少なくとも1つの支持体上に配置される、ステップと、
前記支持体から前記空気流内に前記物質を解放するステップと、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、その上に前記物質が配置される前記支持体の方向に誘導することにより、前記物質が前記支持体から解放されると、その物質が空気流に同伴されるようにする、方法。
【請求項78】
前記空気流の少なくとも一部が複数の孔を通過して、その上に前記物質が配置される前記支持体の方向に誘導される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
空気流内に凝縮エアロゾルを生成する方法であって、
入口と出口を備える空気路内に空気流を提供するステップと、
前記空気路内に配置される複数の支持体を設けるステップであり、前記物質が前記複数の支持体のうちの少なくとも1つの支持体上に配置される、ステップと、
前記支持体から前記空気流内に前記物質を気化するステップと、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、その上に前記物質が配置される前記支持体の方向に誘導することにより、前記物質が気化されると、その物質が凝縮エアロゾルを形成する、方法。
【請求項80】
患者に物質を投与する方法であって、
請求項37による装置を設けるステップと、
前記空気路内に空気流を提供するステップと、
前記物質を気化して、前記空気流内に前記物質を含む凝縮エアロゾルを生成するステップと、
前記物質を前記凝縮エアロゾルに接触させるステップと、
を備える方法。
【請求項81】
吸入によって前記物質が前記凝縮エアロゾルに接触する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記空気流が、患者がマウスピースを吸入することによって生成される、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記凝縮エアロゾルが患者の気道に投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記凝縮エアロゾルが患者の肺に投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
各電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の少なくとも80%が、前記装置の前記出口を通過する、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
各電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の少なくとも90%が、前記装置の前記出口を通過する、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
各電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の少なくとも98%が、前記装置の前記出口を通過する、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
前記凝縮エアロゾルが少なくとも95%の純度を有する、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
前記凝縮エアロゾルが少なくとも98%の純度を有する、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
1回の吸入の間に生成される前記凝縮エアロゾルの量が、生理活性化合物の治療上有効な量を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項1】
空気流に物質を同伴させる装置であって、
入口と出口を備える空気路と、
前記空気路内に配置された少なくとも1つの支持体と、
前記少なくとも1つの支持体のそれぞれに配置された前記物質と、
前記少なくとも1つの支持体のそれぞれから前記物質を解放するように構成された機構と、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、前記少なくとも1つの支持体のそれぞれの方向に誘導することにより、前記物質が前記支持体から解放されると、その物質が空気流に同伴されるようにしている、装置。
【請求項2】
空気流内に凝縮エアロゾルを生成する装置であって、
入口と出口を備える空気路と、
前記空気路内に配置された少なくとも1つの支持体と、
前記少なくとも1つの支持体上に配置された前記物質と、
前記少なくとも1つの支持体のそれぞれから前記物質を気化するように構成された機構と、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、前記少なくとも1つの支持体のそれぞれの方向に誘導することにより、前記物質が気化されると、その物質が空気流に同伴される凝縮エアロゾルを形成するようにしている、装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの支持体が複数の支持体を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
空気流内に凝縮エアロゾルを生成する装置であって、
入口と出口を備える空気路と、
前記空気路内に配置された複数の支持体と、
前記複数の支持体の少なくとも1つの支持体上に配置された前記物質と、
前記物質が配置されている、前記複数の支持体の各支持体から前記物質を気化するように構成された機構と、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、前記物質が配置されている前記支持体の方向に誘導することにより、前記物質が気化されると、その物質が空気流に同伴される凝縮エアロゾルを形成するようにしている、装置。
【請求項5】
前記複数の支持体の各支持体か電気抵抗加熱要素を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記空気流の一部が複数の孔を通過して、前記物質が配置されている前記支持体の方向に誘導されている、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
各支持体が金属箔を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
金属箔を備えた電気抵抗加熱要素であって、
前記金属箔上に配置された物質を気化して、前記物質を含む凝縮エアロゾルを生成する、電気抵抗加熱要素。
【請求項9】
前記金属箔がステンレス鋼である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項10】
前記金属箔の厚みが0.01インチ未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項11】
前記金属箔の厚みが0.001インチ未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項12】
前記金属箔の厚みが0.0005インチ未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項13】
前記金属箔の表面積が0.01cm2〜50cm2の範囲にある、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項14】
前記金属箔がその金属箔上にメッキされた金属層を備える、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項15】
前記金属層が金、銀、ニッケル、および銅から選択されている、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項16】
前記金属層が金である、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項17】
前記金属層の厚みが0.001μm〜3μmの範囲にある、請求項14に記載の加熱要素。
【請求項18】
前記金属箔がアーチ形状である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項19】
前記アーチ形状の高さが0.5mm〜2mmである、請求項18に記載の加熱要素。
【請求項20】
前記加熱要素のインピーダンスが、この加熱要素を加熱する電源のインピーダンスに厳密の一致している、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項21】
前記抵抗加熱要素の前記インピーダンスと前記電源の前記インピーダンスとの差が、前記電源の前記インピーダンスの50%未満である、請求項20に記載の加熱要素。
【請求項22】
前記抵抗加熱要素の前記インピーダンスと前記電源の前記インピーダンスとの差が、前記電源の前記インピーダンスの10%未満である、請求項20に記載の加熱要素。
【請求項23】
前記抵抗加熱要素の前記インピーダンスと前記電源の前記インピーダンスとの差が、前記電源の前記インピーダンスの2%未満である、請求項20に記載の加熱要素。
【請求項24】
前記抵抗加熱要素の熱質量に対する前記加熱要素の表面積の割合が10cm2/J/℃よりも大きい、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項25】
前記抵抗加熱要素の熱質量に対する前記加熱要素の表面積の割合が100cm2/J/℃よりも大きい、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項26】
前記抵抗加熱要素の熱質量に対する前記加熱要素の表面積の割合が500cm2/J/℃よりも大きい、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項27】
前記加熱要素が500ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度に達することができる、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項28】
前記加熱要素が250ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度に達することができる、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項29】
前記加熱要素が100ミリ秒未満で少なくとも250℃の温度に達することができる、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項30】
前記加熱要素上に配置された1mgの物質を気化するエネルギー量が250ジュール未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項31】
前記加熱要素上に配置された1mgの物質を気化するエネルギー量が50ジュール未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項32】
前記加熱要素上に配置された1mgの物質を気化するエネルギー量が10ジュール未満である、請求項8に記載の加熱要素。
【請求項33】
ある物質を含む凝縮エアロゾルを患者に供給する装置であって、
ハウジングと、
入口および出口を備える前記ハウジング内に含まれる空気路と、
前記出口に結合されたマウスピースと、
前記空気路内に配置された少なくとも1つの支持体と、
前記少なくとも1つの支持体上に配置された前記物質と、
前記物質を気化するように構成された機構と、
前記物質を気化するように構成された前記機構に電力を供給する電源と、
前記電源から前記物質を気化するように構成された前記機構にエネルギーを伝達するように構成された作動機構と、
を備え、
前記空気路の前記入口から前記出口への空気流によって前記物質を気化して、前記空気流内で凝縮して凝縮エアロゾルを形成する、装置。
【請求項34】
前記出口に結合された空気バイパス孔をさらに備える、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
ある物質を含む凝縮エアロゾルを患者に供給する装置であって、
分注ユニットを備え、この分注ユニットが、
分離可能なカートリッジ用の受口を有する第1ハウジングと
前記物質の気化を制御するコントローラと、
電源と、
を備え、
さらに、
分離可能なカートリッジを備え、このカートリッジが、
第2ハウジングと、
前記ハウジング内に収納され、入口および出口を有する空気路と、
前記出口に結合されたマウスピースと、
前記空気路内に配置された少なくとも1つの電気抵抗加熱要素と、
前記少なくとも1つの加熱要素上に配置された前記物質と、
前記電源から前記少なくとも1つの加熱要素にエネルギーを伝達するように構成された作動機構と、
を備え、
前記空気路の前記入口から前記出口への空気流によって前記物質を気化して、前記空気流内で凝縮して凝縮エアロゾルを形成する凝縮して凝縮エアロゾルを形成する、装置。
【請求項36】
前記第2ハウジングの前記出口に結合された空気バイパス孔をさらに備える、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
ある物質を含む凝縮エアロゾルを患者に供給する装置であって、
分注ユニットを備え、この分注ユニットが、
分離可能なカートリッジ用の受口を備える第1ハウジングと
前記物質の気化を制御するコントローラと、
電源と、
を備え、
さらに、
分離可能なカートリッジを備え、このカートリッジが、
第2ハウジングと、
前記ハウジング内に収納され、入口および出口を有する空気路と、
前記出口に結合されたマウスピースと、
前記空気路内に配置された複数の電気抵抗加熱要素と、
前記複数の電気抵抗加熱要素の少なくとも1つの加熱要素上に配置された前記物質と、
前記電源から、物質が配置される前記複数の電気抵抗加熱要素の前記電気抵抗加熱要素のそれぞれにエネルギーを伝達するように構成された作動機構と、
を備え、
前記空気路の前記入口から前記出口への空気流によって前記物質を気化して、前記空気流内で凝縮して凝縮エアロゾルを形成する凝縮して凝縮エアロゾルを形成する、装置。
【請求項38】
前記第2ハウジングの前記出口に結合された空気バイパス孔をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記物質が少なくとも1つの生理活性化合物を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記物質が、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤と、治療上で有効な量の少なくとも1つの生理活性化合物とを含む医薬組成物を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項41】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、治療上で有効な量の少なくとも1つの生理活性化合物を含む、請求項37に記載の装置。
【請求項42】
前記化合物がアルプラゾラム、ブプレノルフィン、クロニジン、フェンタニール、ミダゾラム、プラミペキソール、ロピニロール、およびトリゾラムから選択される、請求項39に記載の装置。
【請求項43】
前記化合物が疼痛治療のための化合物である、請求項39に記載の装置。
【請求項44】
疼痛治療のための前記化合物がフェンタニールである、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
各電気抵抗加熱要素が金属箔である、請求項37に記載の装置。
【請求項46】
前記金属箔がアーチ形状である、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記複数の電気抵抗加熱要素が2〜200の電気抵抗加熱要素を備える、請求項43に記載の装置。
【請求項48】
前記物質が前記電気抵抗加熱要素の上に層として配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項49】
前記層の厚みが0.01μm〜20μmの範囲にある、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記層の厚みが0.01μm〜10μmの範囲にある、請求項48に記載の装置。
【請求項51】
前記物質が各電気抵抗加熱要素上に配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項52】
前記量の物質が各電気抵抗加熱要素上に配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項53】
異なる物質が前記電気抵抗加熱要素の少なくとも2つに配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項54】
異なる量の物質が前記電気抵抗加熱要素の少なくとも2つに配置されている、請求項37に記載の装置。
【請求項55】
前記物質が前記電気抵抗加熱要素の両側上に層としてコーティングされている、請求項37に記載の装置。
【請求項56】
前記物質が前記電気抵抗加熱要素の片側上に層としてコーティングされている、請求項37に記載の装置。
【請求項57】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、100μg未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項58】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、250μg未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項59】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、500μg未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項60】
前記少なくとも1つの電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の量が、1000μg未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項61】
前記出口を通過する前記空気流が10リットル/分〜100リットル/分の範囲にある、請求項37に記載の装置。
【請求項62】
前記出口を通過する前記空気流が20リットル/分〜90リットル/分の範囲にある、請求項37に記載の装置。
【請求項63】
前記入口を通過する前記空気流流量が50リットル/分未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項64】
前記入口を通過する前記空気流流量が25リットル/分未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項65】
前記入口を通過する前記空気流流量が10リットル/分未満である、請求項37に記載の装置。
【請求項66】
前記空気路が0.5cm2〜3cm2の範囲の断面積を有する、請求項37に記載の装置。
【請求項67】
前記電源が電力源である、請求項37に記載の装置。
【請求項68】
前記電源がバッテリーである、請求項37に記載の装置。
【請求項69】
呼吸作動機構をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項70】
起動機能をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項71】
ロックアウト機構をさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項72】
前記空気路を通過する空気流流量を制御する流れ制御バルブをさらに備える、請求項37に記載の装置。
【請求項73】
前記流れ制御バルブが4リットル/分〜8リットル/分の範囲内の空気流流量を制御する、請求項72に記載の装置。
【請求項74】
前記コントローラがメモリ内に、特定のカートリッジならびに患者と分注ユニットとの間の相互作用に関する情報を記録および格納している、請求項37に記載の装置。
【請求項75】
特定のカートリッジに関する前記情報が、前記カートリッジ内に残っている投与量の数、カートリッジの識別、および有効期限のうちの少なくとも1つから選択されている、請求項74に記載の装置。
【請求項76】
患者と分注ユニットとの間の前記相互作用に関する前記情報が、前記患者が前記装置を正常に起動した回数、使用の間隔、および前記患者が前記装置の起動を試みたが失敗した回数のうちの少なくとも1つから選択されている、請求項74に記載の装置。
【請求項77】
空気流に物質を同伴させる方法であって、
入口と出口を備える空気路内に空気流を提供するステップと、
前記空気路内に配置される複数の支持体を設けるステップであり、前記物質が前記複数の支持体のうちの少なくとも1つの支持体上に配置される、ステップと、
前記支持体から前記空気流内に前記物質を解放するステップと、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、その上に前記物質が配置される前記支持体の方向に誘導することにより、前記物質が前記支持体から解放されると、その物質が空気流に同伴されるようにする、方法。
【請求項78】
前記空気流の少なくとも一部が複数の孔を通過して、その上に前記物質が配置される前記支持体の方向に誘導される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
空気流内に凝縮エアロゾルを生成する方法であって、
入口と出口を備える空気路内に空気流を提供するステップと、
前記空気路内に配置される複数の支持体を設けるステップであり、前記物質が前記複数の支持体のうちの少なくとも1つの支持体上に配置される、ステップと、
前記支持体から前記空気流内に前記物質を気化するステップと、
を備え、
前記入口から前記出口に通過する空気流を、その上に前記物質が配置される前記支持体の方向に誘導することにより、前記物質が気化されると、その物質が凝縮エアロゾルを形成する、方法。
【請求項80】
患者に物質を投与する方法であって、
請求項37による装置を設けるステップと、
前記空気路内に空気流を提供するステップと、
前記物質を気化して、前記空気流内に前記物質を含む凝縮エアロゾルを生成するステップと、
前記物質を前記凝縮エアロゾルに接触させるステップと、
を備える方法。
【請求項81】
吸入によって前記物質が前記凝縮エアロゾルに接触する、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記空気流が、患者がマウスピースを吸入することによって生成される、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記凝縮エアロゾルが患者の気道に投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項84】
前記凝縮エアロゾルが患者の肺に投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項85】
各電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の少なくとも80%が、前記装置の前記出口を通過する、請求項80に記載の方法。
【請求項86】
各電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の少なくとも90%が、前記装置の前記出口を通過する、請求項80に記載の方法。
【請求項87】
各電気抵抗加熱要素上に配置された前記物質の少なくとも98%が、前記装置の前記出口を通過する、請求項80に記載の方法。
【請求項88】
前記凝縮エアロゾルが少なくとも95%の純度を有する、請求項80に記載の方法。
【請求項89】
前記凝縮エアロゾルが少なくとも98%の純度を有する、請求項80に記載の方法。
【請求項90】
1回の吸入の間に生成される前記凝縮エアロゾルの量が、生理活性化合物の治療上有効な量を含む、請求項80に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【公表番号】特表2008−501406(P2008−501406A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515024(P2007−515024)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/018015
【国際公開番号】WO2005/120614
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(503412296)アレックザ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (15)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/018015
【国際公開番号】WO2005/120614
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(503412296)アレックザ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (15)
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