説明

複数種の熱源装置で構成される熱源システム及びその制御方法

【課題】複数種の熱源装置を用いて、効率よく且つ省エネルギーで熱源を得ることができる熱源システム。
【解決手段】空調機等の二次側からの冷温水を通す往きヘッダ1から導出された往き配管2を設け、この往き配管2に、第1の熱源装置Aとして、冷熱と温熱が同時に製造できる機器である排熱回収機3と、第2の熱源装置Bである冷却塔フリークーリングシステム4とを相互に直列に接続し、また、冷却塔フリークーリングシステム4につづき往き配管2に、第3の熱源装置Cである冷凍機5を複数台、相互に並列に設けている。これらの複数台の冷凍機5に対して前記排熱回収機3及び冷却塔フリークーリングシステム4は直列に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空調システムにおける冷温熱源部が、省エネルギーを得る目的として、複数種の熱源装置で構成された熱源システムおよびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱源システムにおいて、十分な省エネルギー効果を得るためには、機器単体のみの運転効率を向上させるだけでは得られる効果に限界があり、熱源全体で省エネルギーとなるように設計する必要がある。
【0003】
冷熱を製造する熱源装置を分類すると、A.冷熱と温熱を同時に製造できる熱源装置(例えば、排熱回収機、非特許文献1)、B.圧縮機を運転せずに外気のエネルギーを使用し冷熱を製造する冷却塔フリークーリングシステム(特許文献1)、C.燃料や電力を使用して冷熱のみを製造する熱源装置(例えば、ターボ冷凍機、ヒートポンプ、吸収式冷凍機)などがある。
【0004】
一般に冷温熱負荷は、外気状態や建物内部発熱量などの変動により、時々刻々と変化する。従って、熱源システムは変化する冷温熱負荷に追従して運転する必要があるため、一つの熱源システムに、A.B.C.といった複数の熱源装置が混在している場合は、それぞれをどのように接続し、また運転制御すればよいかを設計する必要がある。
【0005】
これらの熱源装置A.B.C.は、省エネルギー効果に差異があり、省エネルギー効果の高い順に、A.>B.>C.となる。
A.の装置は、冷水負荷と温水負荷がバランスした運転となるため、任意の冷水負荷と任意の温水負荷を同時に供給することができない。また、B.の装置は、外気の状況により冷却能力と出力できる温度範囲が変化するため、年間通じて要求される送水温度を確保できない。C.は熱源装置本体の容量制御によって任意の冷温熱負荷に対応できるが、安定供給や省エネルギーの観点から最低負荷率が存在する。
【0006】
一つの熱源システムに、A.B.C.といった複数種の熱源装置が混在している場合は、互いに制約を受け、また省エネルギー効果に違いがあるので、どのように運転制御すれば最も省エネルギー効果が得られるかが確立されていなかった。
【0007】
【非特許文献1】神戸製鋼の「超高効率高温ピートポンプチラー ハイエフミニ2 HRシリーズ」(ウエッブからのダウンロードしたもの)
【特許文献1】特許第4338018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現状は、A.B.C.の複数種の熱源装置で構成される熱源システムに対し、効率よく且つ省エネルギーで冷温熱を得るための構成方法、及び制御方法が確立されていない。
【0009】
この発明は、A.B.C.の複数種の熱源装置で構成される熱源システムに対し、効率よく且つ省エネルギーで冷温熱を得るための構成方法、及び制御方法を構築することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、冷熱と温熱が同時に製造できる機器である第1の熱源装置Aと、圧縮機を運転せずに外気のエネルギーを使用し冷熱を製造する冷却塔フリークーリングシステム(以下、単に冷却塔フリークーリングシステムという)から成る第2の熱源装置Bと、1台又は複数台の冷凍機から成る第3の熱源装置Cとから構成した熱源システムにおいて、第3の熱源装置Cに対して前記第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bは直列に配設され、前記第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bとは直列又は並列に接続され、前記第3の熱源装置Cが複数台の場合は、複数台の冷凍機は並列に配設されている、複数種の熱源装置で構成される熱源システムとした。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の構成の熱源システムにおいて、2次側からの冷水負荷又は温水負荷の条件により第1の熱源装置Aで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、賄える場合は第1の熱源装置Aのみで運転し、賄えない場合は第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、賄える場合は第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bで運転するとともに第1の熱源装置Aは最大出力で運転し、残りの負荷を第2の熱源装置Bの運転で賄い、賄えない場合は第1の熱源装置A、第2の熱源装置B及び第3の熱源装置Cで運転するが、この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら二次側負荷に対して第1の熱源装置Aは最大出力で運転し、第2の熱源装置Bと第3の熱源装置Cは、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながらエネルギー効率のバランスをとって運転する、複数種の熱源装置で構成された熱源システムの制御方法とした。
【0012】
また、請求項3の発明は、冷熱と温熱が同時に製造できる機器である第1の熱源装置Aと、1台又は複数台の冷凍機から成る第3の熱源装置Cとから構成した熱源システムにおいて、第3の熱源装置Cが複数台の場合は当該複数台の冷凍機は並列に配設されている、複数種の熱源装置で構成される熱源システムとした。
【0013】
また、請求項4の発明は、請求項3の構成の熱源システムにおいて、2次側からの冷水負荷又は温水負荷の条件により第1の熱源装置Aで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、賄える場合は第1の熱源装置Aのみで運転し、賄えない場合は、第1の熱源装置A及び第3の熱源装置Cで運転することとし、この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら2次側負荷に対して第1の熱源装置Aは最大出力で運転し、残りの負荷を第3の熱源装置Cの運転で賄う、複数種の熱源装置で構成された熱源システムの制御方法とした。
【0014】
また、請求項5の発明は、冷却塔フリークーリングシステムから成る第2の熱源装置Bと、1台又は複数台の冷凍機から成る第3の熱源装置Cとから構成した熱源システムにおいて、第3の熱源装置Cが複数台の場合は当該複数台の冷凍機は並列に配設されている、複数種の熱源装置で構成される熱源システムとした。
【0015】
また、請求項6の発明は、請求項5の構成の熱源システムにおいて、2次側からの冷水負荷又は温水負荷の条件により第2の熱源装置Bで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、賄える場合は第2の熱源装置Bのみで運転し、賄えない場合は、第2の熱源装置B及び第3の熱源装置Cで運転することとし、この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら2次側負荷に対して第2の熱源装置Bと第3の熱源装置Cでエネルギー効率のバランスを取りながら運転する、複数種の熱源装置で構成された熱源システムの制御方法とした。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、冷熱と温熱を同時に製造できる熱源装置Aを第一優先とし、その後、外気のエネルギーを使用し冷水を製造する冷却塔フリークーリングシステムから成る第2の熱源装置Bを併用し、これらで2次側負荷を賄えない場合に、燃料や電力を使用して冷水のみを製造する冷凍機等の第3の熱源装置Cを使用することができる。これにより、排熱回収や冷却塔フリークーリングといった複数種の省エネルギー技術を同時に使用することができ、熱源全体の省エネルギーを図ることができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、冷熱と温熱を同時に製造できる熱源装置Aを第一優先とし、その後、外気のエネルギーを使用し冷水を製造する冷却塔フリークーリングシステムから成る第2の熱源装置Bを併用し、これらで2次側負荷を賄えない場合に、はじめて、燃料や電力を使用して冷水のみを製造する冷凍機等の第3の熱源装置Cを使用するように制御するため、熱源装置Cが製造する熱量を最小限にすることができ、熱源全体で省エネルギーを図ることができる。
【0018】
また、請求項3および請求項4の発明によれば、第1の熱源装置Aと第3の熱源装置Cによって構成された熱源システムにおいて省エネルギーを図ることができる。
【0019】
また、請求項5および請求項6の発明によれば、第2の熱源装置Bと第3の熱源装置Cによって構成された熱源システムにおいて省エネルギーを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明は、冷熱と温熱が同時に製造できる機器である第1の熱源装置Aと、冷却塔フリークーリングシステムから成る第2の熱源装置Bと、1台又は複数台の冷凍機から成る第3の熱源装置Cとから構成した熱源システムにおいて、第3の熱源装置Cに対して前記第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bは直列に配設され、第3の熱源装置Cが複数台の場合は、複数台の冷凍機は並列に配設されている熱源システムにおいて、2次側からの冷水負荷又は温水負荷の条件により第1の熱源装置Aで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、賄える場合は第1の熱源装置Aのみで運転し、賄えない場合は第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、賄える場合は第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bで運転するとともに第1の熱源装置Aは最大出力で運転し、残りの負荷を第2の熱源装置Bの運転で賄い、賄えない場合は第1の熱源装置A、第2の熱源装置B及び第3の熱源装置Cで運転するが、この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら二次側負荷に対して第1の熱源装置Aは最大出力で運転し、第2の熱源装置Bと第3の熱源装置Cは、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながらエネルギー効率のバランスをとって運転する、複数種の熱源装置で構成された熱源システムの制御方法とした。
【0021】
これにより、排熱回収や冷却塔フリークーリングといった複数種の省エネルギー技術を同時に使用し、かつ、相互に干渉せずに熱源全体で省エネルギーを図ることができる。
【実施例1】
【0022】
以下、この発明の実施例1を図に基づいて説明する。図1は熱源システムの概略構成図である。
【0023】
空調機等の二次側からの冷温水を通す還り配管1に接続された還りヘッダ2を設け、この還りヘッダ2に、第1の熱源装置Aとして、冷熱と温熱が同時に製造できる機器である排熱回収機3と、第2の熱源装置Bである冷却塔フリークーリングシステム4とを相互に直列に接続し、また、冷却塔フリークーリングシステム4につづき還りヘッダ2に、第3の熱源装置Cである冷凍機5を複数台、相互に並列に設けている。これらの複数台の冷凍機5に対して前記排熱回収機3及び冷却塔フリークーリングシステム4は直列に接続されている。
【0024】
また、複数の冷凍機5の取出口5aは前記還りヘッダ2に接続されているが、出口5bは往き配管6に通じる往きヘッダ7に接続されている。これらの還りヘッダ2と往きヘッダ7との間に、バイパス管8が設けられ、当該バイパス管8の一端は往きヘッダ7に、他端は還りヘッダ2の、前記冷凍機5の内の最初の冷凍機5の取出口5aと前記冷却塔フリークーリングシステム4の出口4bとの間に接続されている。
【0025】
次にこの熱源システムにおいての制御方法を図2に基づいて説明する。
【0026】
この熱源システムにおいては、ステップS1、二次側の冷水側温水側の負荷条件により、第1の熱源装置Aの最大出力を計算し、また、第2の熱源装置Bの最大出力を計算する。ステップS2では、第1の熱源装置Aで二次側負荷を賄えるかどうかを判断する。賄える場合はステップS3で第1の熱源装置Aの出力を制御しながら第1の熱源装置Aのみで運転する。
【0027】
この第1の熱源装置Aの出力制御において、温水基準で運転している場合は、温水の出力を下げると冷水の出力がさがる。また、冷水基準で運転している場合、冷水の出口温度を一定にするように機器は制御する。冷水基準、温水基準においても、冷水生産熱量及び温水生産熱量の最大出力は計算できる。
【0028】
また、ステップS2で賄えない場合、ステップS4で、第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bとで前記二次側負荷を賄えるかどうかを判断する。賄える場合は、ステップS5で、第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bで運転するが、その際、第1の熱源装置Aの最大出力で運転し、残りの負荷を第2の熱源装置Bで賄うように運転する。
【0029】
この場合、Bの熱源装置の出力制御において、熱交換器と冷却塔間の冷却水側は送水温度から熱交換器アプローチ温度を減じた温度が出ると共に生産熱量がでる出力に制御する。また、還りヘッダと熱交換器の間の冷水側は冷水出口温度が送水温度となるように流量制御する。
【0030】
また、ステップS4で賄えない場合、ステップS6で第1の熱源装置A、第2の熱源装置B及び第3の熱源装置Cで運転する。この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら二次側負荷に対して第1の熱源装置Aは最大出力で運転し第2の熱源装置Bと第3の熱源装置Cは、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながらエネルギー効率のバランスをとって運転する。
【0031】
また、この熱源システムでは通常時は、負荷の流量が変化するため、往きヘッダ7の冷温水を、前記バイパス8を通して、還りヘッダ2に少量流して流量をある程度均一化している。
【0032】
そして、前記ステップS3又はステップS5では、還りヘッダ2の端部の第2の熱源装置Bである冷却塔フリークーリングシステム4の出口4bからの冷温水を、バイパス8を通して、往きヘッダ7に流し、複数の冷凍機5からなる第3の熱源装置Cを通さない。これにより、余分な抵抗がかからず、スムーズに冷温水が往き配管6に流れる。
【0033】
なお、上記実施例1の構成では、還りヘッダ2に、第1の熱源装置Aの次に第2の熱源装置Bを直列に接続しているが、第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bへの各流量を前記ステップ1での計算により流量バランスを算出して制御すれば、これらの第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bとの順序はこれに限らず、第2の熱源装置B、第1の熱源装置Aの順でもよく、さらにこれらが並列に接続されていてもよい。並列にすることで冷却塔フリークーリングシステム4に入る冷水配管4aの温度が高くなる。
【0034】
これにより、冷却塔へ送られる冷却水配管4cの温度を高くすることができる。冷却塔へ送られる冷却水配管4cの温度を高くすることで、冷却塔で冷やすことのできる熱量を増加させることができ、さらに外気エネルギーを使用することができる。
【実施例2】
【0035】
図3は、この発明の熱源システムの実施例2の概略構成図である。
【0036】
空調機等の二次側からの冷温水を通す還り配管1に接続された還りヘッダ2を設け、この還りヘッダ2に、第1の熱源装置Aとして、冷熱と温熱が同時に製造できる機器である排熱回収機3を接続し、また、これにつづき還りヘッダ2に第3の熱源装置Cである複数台の冷凍機5を相互に並列に接続している。
【0037】
また、複数の冷凍機5の取出口5aは前記還りヘッダ2に接続されているが、出口5bは往き配管6に通じる往きヘッダ7に接続されている。これらの還りヘッダ2と往きヘッダ7との間に、バイパス管8が設けられ、当該バイパス管8の一端は往きヘッダ7に、他端は還りヘッダ2の、前記排熱回収機3の出口3bと前記冷凍機5の内の最初の冷凍機5の取出口5aとの間に接続されている。
【0038】
次にこの熱源システムにおいての制御方法を図4に基づいて説明する。
【0039】
この熱源システムにおいては、ステップS11、二次側の冷水側温水側の負荷条件により、第1の熱源装置Aの最大出力を計算する。ステップS12では、第1の熱源装置Aで、二次側負荷を賄えるかどうかを判断する。賄える場合はステップS13で第1の熱源装置Aの出力を制御しながら第1の熱源装置Aのみで運転する。
【0040】
また、ステップS12で賄えない場合、ステップS14で第1の熱源装置A及び第3の熱源装置Cで運転する。この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら二次側負荷に対して第1の熱源装置Aは最大出力で運転し、残りの負荷を第3の熱源装置Cで賄うように運転する。
【実施例3】
【0041】
図5は、この発明の熱源システムの実施例3の概略構成図である。
【0042】
空調機等の二次側からの冷温水を通す還り配管1に接続された還りヘッダ2を設け、この還りヘッダ2に、第2の熱源装置Bとして、冷却塔フリークーリングシステム4を接続し、また、これにつづき還りヘッダ2に、第3の熱源装置Cである複数台の冷凍機5を相互に並列に接続している。
【0043】
また、複数の冷凍機5の取出口5aは前記還りヘッダ2に接続されているが、出口5bは往き配管6に通じる往きヘッダ7に接続されている。これらの還りヘッダ2と往きヘッダ7との間に、バイパス管8が設けられ、当該バイパス管8の一端は往きヘッダ7に、他端は還りヘッダ2の、前記冷却塔フリークーリングシステム4の出口4bと前記冷凍機5の内の最初の冷凍機5の取出口5aとの間に接続されている。
【0044】
次にこの熱源システムにおいての制御方法を図6に基づいて説明する。
【0045】
この熱源システムにおいては、ステップS21、二次側の冷水側温水側の負荷条件により、第2の熱源装置Bの最大出力を計算する。ステップS22では、第2の熱源装置Bで、二次側負荷を賄えるかどうかを判断する。賄える場合はステップS23で第2の熱源装置Bの出力を制御しながら第2の熱源装置Bのみで運転する。
【0046】
また、ステップS22で賄えない場合、ステップS24で第2の熱源装置B及び第3の熱源装置Cで運転する。この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら二次側負荷に対して第2の熱源装置Bと第3の熱源装置Cのエネルギー効率のバランスを取りながら運転する。
【0047】
図7から図9は前記実施例1の変形構成の熱源システムの概略構成図である。
冷却塔フリークーリングシステム4と冷却機5の冷水ポンプは設計事項として、兼用する場合と分ける場合とがある。図7から図9は、兼用する場合についての実施例である。これらの構成では冷却塔フリークーリングシステム4は、第3の熱源装置Cの冷凍機5の冷却塔5cを利用したもので、当該冷却塔5cで外気の温度を利用して冷水をつくる。
【0048】
図7は、第3の熱源装置Cである冷凍機5を通さず2次側へは送れない(直送できない)場合の構成であり、図8及び図9は第3の熱源装置Cである冷凍機5を通さず2次側に送れる(直送できる)場合を示す。また、図7から図9は冷凍機5の取出口5aを冷却塔フリークーリングシステム4の取出口4aから分岐させている。従って、分岐後の管路には夫々バルブ4d及びバルブ5dを設けている。また、冷却塔フリークーリングシステム4の熱交換器4cと前記冷凍機5の冷却塔5cを循環する管路4eにもバルブ4fを設け、また、冷却塔5cと冷却機5とを結ぶ管路にもバルブ5eを設けている。これらのバルブによって経路を切り替えて運転する。
【0049】
また、図7から図9の構成において、前記バイパス8の還りヘッダ2への接続場所は排熱回収機3の出口3bから運転する冷凍機5の取出口5aより手前の間である。
【0050】
図7は、第2の冷却塔フリークーリングシステムBの冷水ポンプと第3の熱源装置Cの冷水ポンプを兼用した場合のシステムである。この場合は、還りヘッダ2に接続されるバイパス8の取り出し位置は、冷却塔フリークーリングシステム4の出口4bと次の冷凍機5´の取出口5a´との間にできないため、バイパス8を通して、往きヘッダ7に直送はできないものである。
【0051】
しかし、図8と図9はバイパス8の取出し箇所の位置を変更することで、バイパス8を通して、往きヘッダ7に直送を可能とした例である。バイパス8の取出し位置は、バルブ8a,8b等で配管経路を変化させ、兼用している冷凍機5を使用する場合と冷却塔フリークーリングシステム4で使用する場合とで経路を変化させる。
【0052】
図8において、図示の冷凍機5を使用する場合は、冷凍機5の取出口5aより手前にバイパス8の還りヘッダ2との接続位置がくるように、バイパス8の下側のバルブ8bを開、上側のバルブ8aを閉とする。冷却塔フリークーリングシステム4で使用する場合は、次の冷凍機5´の取出口5a´と冷却塔フリークーリングシステム4の出口4bとの間に、バイパス8の還りヘッダ2との接続位置がくるように、バイパス8の下側のバルブ8bを閉、上側のバルブ8aを開とする。なお、次の冷凍機5´の出口5b´は往きヘッダ7に接続されている。
【0053】
図9において、図示の冷凍機5を使用する場合は、当該冷凍機5の取出口5aより手前にバイパス8の還りヘッダ2との接続位置がくるように、下側のバルブ8bを閉、上側のバルブ8aを開とする。冷却塔フリークーリング4で使用する場合は、次の冷凍機5´の取出口5a´と冷却塔フリークーリングシステム4の出口4bとの間に、バイパス8の還りヘッダ2との接続位置がくるように、バイパス8の下側のバルブ8bを開、上側のバルブ8aを閉とする。
【0054】
この様にして、冷却塔フリークーリングシステム4の冷水ポンプと冷凍機5の冷却塔5cの冷水ポンプとを兼用する場合であっても、バルブによりバイパス8の取出し箇所の位置を変更することで、バイパス8を通して、往きヘッダ7に直送を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明の実施例1の熱源システムの概略構成図である。
【図2】この発明の実施例1の熱源システムの制御方法を示すフロー図である。
【図3】この発明の実施例2の熱源システムの概略構成図である。
【図4】この発明の実施例2の熱源システムの制御方法を示すフロー図である。
【図5】この発明の実施例3の熱源システムの概略構成図である。
【図6】この発明の実施例3の熱源システムの制御方法を示すフロー図である。
【図7】この発明の実施例1の変形構成の熱源システムの概略構成図である。
【図8】この発明の実施例1の変形構成の熱源システムの概略構成図である。
【図9】この発明の実施例1の変形構成の熱源システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0056】
1 還り配管 2 還りヘッダ
3 排熱回収機
3a 排熱回収機の取出口 3b 排熱回収機の出口
4 冷却塔フリークーリングシステム
4a 冷却塔フリークーリングシステムの取出口
4b 冷却塔フリークーリングシステムの出口
4c 冷却塔フリークーリングシステムの冷水入口側配管
4d 冷却塔フリークーリングシステムの冷却塔冷却水入口側配管
5 冷凍機
5a 冷凍機の取出口 5b 冷凍機の出口
6 往き配管 7 往きヘッダ
8 バイパス管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷熱と温熱が同時に製造できる機器である第1の熱源装置Aと、圧縮機を運転せずに外気エネルギーによって直接冷熱を製造する冷却塔フリークーリングシステムから成る第2の熱源装置Bと、燃料や電力を使用して冷水のみを製造する冷凍機等の1台又は複数台の熱源装置から成る第3の熱源装置Cとから構成した熱源システムにおいて、
第3の熱源装置Cに対して前記第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bは直列に配設され、
前記第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bとは直列又は並列に接続され、
前記第3の熱源装置Cが複数台の場合は、複数台の冷凍機は並列に配設されていることを特徴とする、複数種の熱源装置で構成される熱源システム。
【請求項2】
請求項1の構成の熱源システムにおいて、
2次側からの冷水負荷又は温水負荷の条件により第1の熱源装置Aで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、賄える場合は第1の熱源装置Aのみで運転し、賄えない場合は第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、
賄える場合は第1の熱源装置Aと第2の熱源装置Bで運転するとともに第1の熱源装置Aは最大出力で運転し、残りの負荷を第2の熱源装置Bの運転で賄い、
賄えない場合は第1の熱源装置A、第2の熱源装置B及び第3の熱源装置Cで運転するが、この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら二次側負荷に対して第1の熱源装置Aは最大出力で運転し、
第2の熱源装置Bと第3の熱源装置Cは、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながらエネルギー効率のバランスをとって運転することを特徴とする、複数種の熱源装置で構成された熱源システムの制御方法。
【請求項3】
冷熱と温熱が同時に製造できる機器である第1の熱源装置Aと、1台又は複数台の冷凍機から成る第3の熱源装置Cとから構成した熱源システムにおいて、
第3の熱源装置Cが複数台の場合は当該複数台の冷凍機は並列に配設されていることを特徴とする、複数種の熱源装置で構成される熱源システム。
【請求項4】
請求項3の構成の熱源システムにおいて、
2次側からの冷水負荷又は温水負荷の条件により第1の熱源装置Aで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、賄える場合は第1の熱源装置Aのみで運転し、
賄えない場合は、第1の熱源装置A及び第3の熱源装置Cで運転することとし、この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら2次側負荷に対して第1の熱源装置Aは最大出力で運転し、残りの負荷を第3の熱源装置Cの運転で賄うことを特徴とする、複数種の熱源装置で構成された熱源システムの制御方法。
【請求項5】
冷却塔フリークーリングシステムから成る第2の熱源装置Bと、1台又は複数台の冷凍機から成る第3の熱源装置Cとから構成した熱源システムにおいて、
第3の熱源装置Cが複数台の場合は当該複数台の冷凍機は並列に配設されていることを特徴とする、複数種の熱源装置で構成される熱源システム。
【請求項6】
請求項5の構成の熱源システムにおいて、
2次側からの冷水負荷又は温水負荷の条件により第2の熱源装置Bで二次側負荷が賄えるかどうかを判断し、賄える場合は第2の熱源装置Bのみで運転し、賄えない場合は、第2の熱源装置B及び第3の熱源装置Cで運転することとし、この場合、第3の熱源装置Cの最低生産熱量を確保しながら2次側負荷に対して第2の熱源装置Bと第3の熱源装置Cの合計消費エネルギーが最小となるように運転することを特徴とする、複数種の熱源装置で構成された熱源システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−145245(P2012−145245A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2541(P2011−2541)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 刊行物名:「平成22年度大会(山口)学術講演論文集」 発行日: 平成22年8月12日 発行所: 社団法人空気調和・衛生工学会
【出願人】(000222956)東洋熱工業株式会社 (35)