説明

視力トレーニング器

【課題】 視力を効果的に回復させる視力トレーニング器を提供する。
【解決手段】 視力トレーニング器本体1にランドルト環(視標)4を表示した透明なレンズプレート2を備え、仕切り18でレンズプレート2を左右個別に見れるように分け、透明なレンズプレート2に表示されたランドルト環(視標)4にて、眼球の開散運動と、輻輳運動を交互に反復運動訓練をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は視力トレーニング器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な視力トレーニング器が考案されている。この例として特許文献1や特許文献2に開示されているものがある。
【特許文献1】 特開2007−014417号公報
【特許文献2】 特開2006−055271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
視力を効果的に回復させる視力トレーニング器を提供する。
【課題を解決する為の手段】
【0004】
視力トレーニング器本体1にランドルト環(視標)4を表示した透明なレンズプレート2を備え、仕切り18でレンズプレート2を左右個別に見れるように分け、透明なレンズプレート2に表示されたランドルト環(視標)4にて、眼球の開散運動と、輻輳運動を交互に反復運動訓練をする。
【発明の効果】
【0005】
人間が物を見る際には眼位が移動する。近くを見る際には眼が内向きになり、遠くを見る際には眼が外向きへとなる。この眼位の位置は通常は正位という正面を向いているが、人によって少なからず内向き傾向になる眼と外向き傾向になる眼の二つの癖がある。
【0006】
これら二つの癖は輻輳(ふくそう)と開散(かいさん)という運動機能が関係しており、輻輳は遠くから近くを見る(寄り眼)運動、開散は近くから遠くを見る(反り眼)運動である。
【0007】
この眼位の癖は視力に大きく関係してくる。[図9]〜[図10]のように物体から反射された光は角膜12から進入し、水晶体13で屈折反転し、網膜15に逆さに投射され、視神経にて大脳に伝達され、大脳で映像を反転修正し、その映像を元に毛様体筋14にて、1〜2秒後に水晶体13は自動的に網膜15へピントが合う厚さへと調節され、物をはっきりと見ることができる。
【0008】
この毛様体筋14は緊張すると水晶体13は膨れ上がり、近くに焦点を合わせ、弛緩すると薄く伸び、遠くに焦点を合わせる性質がある。近視の原因は毛様体筋14が緊張したまま凝り固まった状態であり、遠視の原因は毛様体筋14の筋肉の衰えが原因と考えられる。
【0009】
毛様体筋14の緊張、弛緩運動は、[図9]〜[図11]のように左目で見る視野Xと右目で見る視野Yの重複視野Zと単独視野Wにより影響される。視野Xから入る映像と視野Yから入る映像は視神経を通り、脳内で合成され一つの映像として認識される。
【0010】
この際、重複された映像である重複視野Zは、単独視野Wに比べ、2倍の解像度になり、また単独視野Wは重複視野Zと比べ、視野範囲は広がり、この解像度と視野範囲は反比例する構造になる。
【0011】
図9は遠くを見た視野の状態を示した図である。左目の視野X16と右目の視野Y17の重複視野Z18で構成される。重複視野Z18の範囲が狭くなり、また外側を見る視野、単独視野W22が広がる為、毛様体筋14の弛緩が促される。
【0012】
図10は近くを見た視野の状態を示した図である。左目の視野X’19と右目の視野Y’20の重複視野Z’21で構成される。重複視野Z’21は範囲が大きくなり、また外側を見る視野、単独視野W’23は狭まる為、毛様体筋14の緊張が促される。
【0013】
図11は遠くを見た視野の状態と近くを見た視野の状態の差を示した図である。遠くを見た際の重複視野Z18と近くを見た際の重複視野Z’21の重複視野の差24、遠くを見た際の単独視野W22と近くを見た際の単独視野W’23の単独視野の差25が反比例する構図になり、重複視野Zと単独視野Wが毛様体筋14の緊張、弛緩運動と関係あると考えることができる。
【0014】
したがって[0004]の反り眼(開散運動)と寄り眼(輻輳運動)の反復運動を一定時間繰り返すことにより内直筋、上直筋、下直筋と外直筋、下斜筋、上斜筋が鍛えられ、正位の状態に近づく事により効果的な視力回復が期待できる。
【0015】
近視者の場合は内直筋が強いので[図3]の平行法で見た状態と、[図5]の平行法と交差法の中間で見た状態の反復運動が良い。外直筋を鍛える訓練により、毛様体筋14の緊張はほぐれやすくなり、近視の改善が期待できる。
【0016】
遠視者の場合は内直筋が弱いので[図4]の交差法で見た状態と、[図5]の平行法と交差法の中間で見た状態の反復運動が良い。内直筋を鍛える訓練により、毛様体筋14は緊張しやすくなり、遠視の改善が期待できる。
【発明を実地する為の最良の形態】

【実地例】
【0017】
最初に目標となる建物を決める。目標となる遠くにある建物を決めたら、覗き窓7より覗き、スライドレバー5にてレンズプレート2を動かし、焦点の合う距離まで移動する。この状態で遠くの目標となる建物を見た状態にすると、[図3]のようにランドルト環(視標)4が中心点部に集まり、平行法で見た状態、すなわち反り眼(開散運動)で見た状態になる。そしてランドルト環(視標)4b、4b’を見ると、ランドルト環(視標)4の内側を見た状態になり、交差法で見た状態、すなわち寄り眼(輻輳運動)で見た状態になる。
【0018】
平行法とは目を平行にして対象を見る(反り眼で見る)方法である
【0019】
交差法とは目を交差させて対象を見る(寄り眼で見る)方法である。
【0020】
この反り眼(開散運動)と寄り眼(輻輳運動)の反復運動を毎日3〜5分程度一定期間繰り返すことにより視力の改善が期待できる。
【0021】
[図6]の眼位測定プレートを使用することにより、物を見るときの眼位の癖を調べる事ができる。まず測定者は目標となる目印を決める。
【0022】
測定者は裸眼にて眼位測定プレートを装着した視力トレーニング器1にて目標となる目印を覗く。この際、眼位測定目盛り9と眼位測定バー10にて[図7]のように幅を測定する。
【0023】
次に測定者は覗き窓7にピンホールレンズ11を装着し、矯正状態で[0022]と同じ目標となる目印を覗き、眼位測定目盛り9と眼位測定バー10にて測定する。
【0024】
そして裸眼状態[0022]と、矯正状態[0023]の計測幅の違いにより、測定者が、対象となる目印を見る時に、どのような眼位で見ているのかを調べることができる。
【0025】
近視者の場合、遠くを見た際の裸眼状態[0022]の眼位は、矯正状態[0023]の眼位に比べ、内向き傾向になる。
【0026】
遠視者の場合、近くを見た際の裸眼状態[0022]の眼位は、矯正状態[0023]の眼位に比べ、外向き傾向になる。
【0027】
ピンホールレンズは黒いプレートに複数個の貫通した穴を設け、ピンホール効果により視力を矯正するものである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】 視力トレーニング器を表した平面断面図である。
【図2】 視力トレーニング器を表した正面断面図である。
【図3】 平行法で見た状態を示した図である。
【図4】 交差法で見た状態を示した図である。
【図5】 平行法と交差法の中間で見た状態を示した図である。
【図6】 眼位測定プレートの全体図である。
【図7】 眼位測定プレートを覗いて見た状態を示した図である。
【図8】 ピンホールレンズを表した正面図である。
【図9】 遠くを見た視野の状態を示した図である。
【図10】 近くを見た視野の状態を示した図である。
【図11】 遠くを見た視野の状態と近くを見た視野の状態の差を示した図である。
【符号の説明】
【0029】
1視力トレーニング器本体
2レンズプレート
3プレート固定用突起
4ランドルト環(視標)a〜d
5スライドレバー
6スライドレール
7覗き窓
8仕切り
9眼位測定目盛り
10眼位測定バー
11ピンホールレンズ
12角膜
13水晶体
14毛様体筋
15網膜
16視野X
17視野Y
18重複視野Z
19視野X’
20視野Y’
21重複視野Z’
22単独視野W
23単独視野W’
24重複視野の差
25単独視野の差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視力トレーニング器本体にランドルト環(視標)を表示した透明なレンズプレートを備え、仕切りでレンズプレートを左右個別に見れるように分け、透明なレンズプレートに表示されたランドルト環(視標)にて、眼球の開散運動と、輻輳運動を交互に反復運動訓練ができる事を特徴とする視力トレーニング器。
【請求項2】
眼位測定用の眼位測定目盛りと眼位測定バーで構成された眼位測定プレートを備えた事を特徴とする[請求項1]記載の視力トレーニング器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−224310(P2011−224310A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110631(P2010−110631)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(503394800)