説明

視力回復訓練装置

【課題】本発明は、視力回復訓練装置に関するもので、視力回復訓練において効果の個体差を抑制し、最大の効果を得ることを目的とするものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、画像の表示手段2と、この表示手段2に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段3、4とを備え、前記第1、第2の光学手段3、4は、訓練者側に設けた接眼レンズ3b、4bと、表示側に設けた対物レンズ3c、4cと、前記訓練者と前記接眼レンズ3b、4bの間に訓練眼への光の入射角を調整する光軸調整手段17、18を有し、前記対物レンズには、この対物レンズ3c、4cを前記接眼レンズ3b、4bと前記表示手段2との間を可動させる可動手段を連結し、前記光軸調整手段17、18には、この光軸調整手段17、18を駆動させる駆動手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視力回復訓練装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの視力回復訓練装置の構成は、以下のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、本体ケースの一端側に接眼用の覗き孔を設けるとともに、この本体ケースの内部には、可動自在となった表示部を設けている。そして、この表示部と訓練者の間には光学系がそれぞれ設けられ、前記表示部が訓練者に向かって前後に移動する。これにより、左眼と右眼の輻輳角を調整できるようになっている(例えば下記特許文献1)。
【特許文献1】特開2007−097673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例における課題は、訓練者に応じて個別に輻輳角を最適に調整できないため視力回復訓練の効果に個体差が生じるということであった。すなわち、この従来例においては、左眼と右眼の輻輳角は接眼用の覗き孔と表示部の位置関係など装置の設計時にあらかじめ設定された条件によって決定され、装置が完成した後には輻輳角を訓練者ごとに調整できなかったので、例えば訓練者に斜視などの個体差がある場合、輻輳角をその訓練者に最適な状態にして訓練を行うことができず、結果として訓練の効果に大きな差が生じてしまうのであった。
【0005】
そこで本発明は、視力回復訓練において効果の個体差を抑制し、最大の効果を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そしてこの目的を達成するために本発明は、画像の表示手段と、この表示手段に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段とを備え、前記第1、第2の光学手段は、訓練者側に設けた接眼レンズと、表示側に設けた対物レンズと、前記訓練者と前記接眼レンズの間に訓練眼への光の入射角を調整する光軸調整手段を有し、前記対物レンズには、この対物レンズを前記接眼レンズと前記表示手段との間を可動させる可動手段を連結し、前記光軸調整手段には、この光軸調整手段を駆動させる駆動手段を備え、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明は、画像の表示手段と、この表示手段に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段とを備え、前記第1、第2の光学手段は、訓練者側に設けた接眼レンズと、表示側に設けた対物レンズと、前記訓練者と前記接眼レンズの間に訓練眼への光の入射角を調整する光軸調整手段を有し、前記対物レンズには、この対物レンズを前記接眼レンズと前記表示手段との間を可動させる可動手段を連結し、前記光軸調整手段には、この光軸調整手段を駆動させる駆動手段を備えているものであるので、視力回復訓練において効果の個体差を抑制し、最大の効果を得ることができる。
【0008】
すなわち、本発明においては、表示手段を固定配置し、この表示手段と接眼レンズの間で対物レンズを可動させ、さらに、訓練者と接眼レンズの間に訓練眼への光の入射角を調整する光軸調整手段によって訓練眼に入射する光の角度を適宜調整して、たとえば、斜視など訓練者の個体差に応じて最適の状態に輻輳角を調整でき、これにより訓練者に効果的に表示手段に表示された表示が接近、または遠ざかるように移動する距離感を視覚認識させることができる。
【0009】
つまり、本発明においては、訓練者に応じて個別に輻輳角を最適に調整することができるので、視力回復訓練において効果の個体差を抑制し、最大の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を用いて詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1において、1は本体ケースで、この本体ケース1の内部には、図2に示すごとく、液晶を利用した表示手段2が配置されている。この表示手段2は、この図2に示すごとく、本体ケース1の内部の奥側に配置されたものである。
【0012】
また、この図2に示すように、本体ケース1の手前側には第1、第2の光学手段3、4が水平方向に並べて配置されている。これら第1、第2の光学手段3、4は、いずれも鏡筒3a、4a内に、接眼レンズ3b、4bと、対物レンズ3c、4cを所定間隔離した状態で配置した構成となっている。
【0013】
そして、この接眼レンズ3b、4bより手前側にはミラーなどの反射体により構成されている光軸調整手段17、18が、接眼レンズ3b、4bに対して、それぞれ所定の角度で配置された構成となっている。この光軸調整手段17、18については後で詳細に説明する。
【0014】
また、これら第1、第2の光学手段3、4の接眼レンズ3b、4bは、この図2からも明らかなように、本体ケース1外に配置され、対物レンズ3c、4cは、本体ケース1内に配置された構成となっている。
【0015】
つまり、訓練者は、本体ケース1外に突出した鏡筒3a、4aの手前側の開口3d、4dに目を押し当て、その状態で、光軸調整手段17、18、接眼レンズ3b、4bおよび対物レンズ3c、4cを介して、表示手段2の表示を見ることになる。
【0016】
このとき、本体ケース1内に配置された対物レンズ3c、4cには、ロッド5を介して、リニアアクチュエータ6が連結されており、このリニアアクチュエータ6をモータ7で駆動することにより、対物レンズ3c、4cは、接眼レンズ3b、4bと表示手段2の間の鏡筒3a、4a内を可動することになる。
【0017】
図3は、電気的なブロック図を示し、制御回路8には、AC/DC電源ユニット9を介して、電源が供給される。
【0018】
AC/DC電源ユニット9と交流電源10との接続は、電源スイッチ11を介して行われる。
【0019】
さて、電源が供給された制御回路8は、スタートスイッチ12で制御をスタートさせ、駆動回路13を介して、表示手段2を駆動する。このとき、対物レンズ3c、4cも、表示手段2に表示された画像に連動して摺動される。
【0020】
具体的には、表示手段2に表示される画像も、対物レンズ3c、4cも近くにある物体が遠くに移動する様に動作され、この点は次に詳細に説明する。
【0021】
図4および図5は、表示手段2に表示される画像が、視覚的に訓練者の近傍にある状態を示している。
【0022】
図4に示すように対物レンズ3c、4cはそれぞれホルダ3e、4eに収納されており、このホルダ3e、4eは鉛直下方に向けて円柱状の棒状突起3f、4fが設けられている。
【0023】
そして、第1、第2の光学手段3、4には案内溝3g、4gが設けられ、棒状突起3f、4fが摺動可能に保持されている。
【0024】
この案内溝3g、4gは棒状突起3f、4fの円柱部側面が摺動する平行な側壁部分を有する長孔もしくは凹部で、表示手段2の表示部における焦点位置と接眼レンズ3b、4bの中心を結ぶ光軸の角度θをなす直線に対して平行に形成される。
【0025】
また、第1、第2の光学手段3、4には案内溝3g、4gと平行にホルダ保持部3h、4hが設けられており、ホルダ3e、4eの保持部3h、4h側の外壁はこの保持部3h、4hに沿う形状となっている。そして、この案内溝3g、4gと、ホルダ保持部3h、4hに沿って、ホルダ3e、4eが移動し、これとともに対物レンズ3c、4cも案内溝3g、4gに沿って移動する構成としている。
【0026】
訓練者14は、図4に示すごとく、左右の開口3d、4dに右目15、左目16を押し当て、この状態でスタートスイッチ12を押す。図示していないが、左右の鏡筒3a、4aの接眼レンズ3b、4bの開口3d、4d側には、シャッターが設けられており、このシャッターを開閉することにより、右目15、左目16の単独の訓練と、両方同時の訓練が行える状態となっているが、以下の説明は、右目15、左目16の両方を同時に訓練している状態を説明することとする(従って、以下の説明では、シャッターは両目とも開放状態となっており、よって、図示していない)。
【0027】
さて、図5は、右目15、左目16の訓練において、表示手段2に表示される画像が、近傍にある状態を示すものである。この図5において、円2aは、訓練者14から見える最外周を示している(つまり、両目で、双眼鏡で景色を見ている状態に似た状態となる)。
【0028】
この図5で、円2a内には、基準表示2bと、この基準表示2bに対して大きさが可変される可変表示2cとが表示されている。この内、基準表示2bは、可変表示2cが手前にあるか遠方にあるかを、訓練者14に強く視覚認識させるために設けたものであり、この図5に示すごとく、遠近法を利用し、中心の四角の枠Aと、その四角の枠Aの四隅に結んだ斜め線Bとを備えている。また、図示していないが、基準表示2bには四角の枠A近傍から円2aに向かって訓練者14に明暗を視覚認識させるような白黒または色つきの濃淡をつけても良い。これにより遠近感をさらに訓練者14に視覚認識させることができる。
【0029】
ここで、可変表示2cが、近くにある状態では、図5のごとく、訓練者14には、この可変表示2cは大きく視覚認識されるものである。
【0030】
このように、可変表示2cが、近くにある状態と視覚認識させるために、図4に示すごとく、対物レンズ3c、4cを最も接眼レンズ3b、4b側へと移動させ、また図5に示すごとく、表示手段2においては、可変表示2cと表示した大きさで表示を行うこととする。
【0031】
このように設定した場合、まずは、図5に示す円2aは、図4に示すごとく、最も手前側に移動した対物レンズ3c、4cが凹レンズであることから、この対物レンズ3c、4cに入射したことで、外側に広がった傾斜(負の屈折)を持ち、この傾斜による光(屈折した光束)が、次に、接眼レンズ3b、4bを介して右目15、左目16に入射されることとなる。
【0032】
接眼レンズ3b、4bは、凸レンズであるので、対物レンズ3c、4cからの光を右目15、左目16に焦点を結ぶごとく絞り込んだ(正の屈折)光を作る。
【0033】
そして、この接眼レンズ3b、4bから、光軸調整手段17、18を介して右目15、左目16に入る光の角度が広ければ、可変表示2cは、近くにあると視覚認識し、逆に、この接眼レンズ3b、4bから、光軸調整手段17、18を介して右目15、左目16に入る光の角度が狭ければ、可変表示2cは、遠くにあると視覚認識する。
【0034】
つまり、接眼レンズ3b、4bの外周に対物レンズ3c、4cからの光が入射すれば、可変表示2cは、近くにあると視覚認識し、逆に、接眼レンズ3b、4bの内周に対物レンズ3c、4cからの光が入射すれば、可変表示2cは、遠くにあると視覚認識する。
【0035】
図5において、円2aの近傍にまで、大きく可変表示2cを表示させた状態が図4に示すように訓練者14に視覚認識させるものであって、このとき、開口3d、4dに右目15、左目16を押し当てた訓練者14には、虚像位置部分(図示せず)に、可変表示2cが存在しているものと視覚認識されている。
【0036】
一方、図6および図7は、表示手段2に表示される画像が、視覚的に訓練者の遠方にある状態を示している。
【0037】
このとき、対物レンズ3c、4cは、図7に示すごとく、鏡筒3a、4a内を、接眼レンズ3b、4bから、表示手段2側に最も離れた位置へと移動させられている。
【0038】
また、このとき、図6からも理解されるように、可変表示2cは、小さく表示され、この小さく表示された可変表示2cが、対物レンズ3c、4cで広げられた後に、接眼レンズ3b、4bに到達することになるのであるが、図7においては、接眼レンズ3b、4bの光として、接眼レンズ3b、4bに到達する部分は、この接眼レンズ3b、4bの外周よりは、はるか内方に入射することになる。
【0039】
そして、この位置から、接眼レンズ3b、4bにより、絞られて、光軸調整手段17、18を介して右目15、左目16に到達する光の角度は狭く、よって、訓練者14にとっては、図7の遠方に可変表示2cが移動したように視覚認識され、つまり、訓練者14には、図6の状態が視覚認識されるものである。
【0040】
この訓練は、図5に示す様に、可変表示2cが、近傍にある状態から、図6に示す遠方にある状態まで、この可変表示2cが、徐々に移動することを繰り返すことによって、訓練者14に近くから遠方まで、画像を見ようとする訓練を行い、これによって、視力回復訓練を行おうとしている。
【0041】
本実施形態における特徴点の1つとして、接眼レンズ3b、4bを固定し、対物レンズ3c、4cを移動させるとともに、表示手段2の基準表示2bと可変表示2cの大きさを適切に調整することで、可変表示2cが、手前から遠方へと移動するときに、訓練者14の右目15、左目16の焦点ズレを抑制できることが挙げられる。
【0042】
ここで、本発明の最大の特徴である訓練者14の右目15、左目16(訓練眼)への光の入射角を調整する光軸調整手段について詳細に説明する。
【0043】
図8は本発明の視力回復訓練装置の要部である光軸調整手段を示す斜視図である。17、18は光軸調整手段であって、反射体である左目用第1、第2ミラー17a、17bおよび右目用第1、第2ミラー18a、18bが略平行に対向して配置された構成となっている。
【0044】
そして、図8に示すように左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bの一方の端面は、それぞれサーボモータなどの位置決め制御が可能な回転駆動手段19、20の回転軸(図示せず)に固定され、左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bをそれぞれ独立した状態で回動可能としている。
【0045】
回転駆動手段19、20は制御回路8に連結され、この制御回路8からの制御信号によって回転駆動手段19、20の駆動量を制御し、左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bの角度をそれぞれ独立した状態で適宜調整できるようになっている。
【0046】
また、図2に示すように回転駆動手段19、20は、その回転軸が鉛直上方を向くように第1、第2の光学手段3、4に固定され、そして、左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bは、その一方の端面が回転駆動手段19、20の回転軸に固定され、位置決め制御が可能な状態で水平方向に回動可能となっている。
【0047】
次に、光軸調整手段17、18の動作について図4、図7を用いて説明する。上述したように図4は、表示手段2に表示される画像が、視覚的に訓練者の近傍にある状態を示しているものである。
【0048】
光軸調整手段である左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bは、図4に示すように第1、第2の光学手段3、4の水平方向外周側に向けて、回転駆動手段19、20によって回動され、適宜所望の角度に位置決め制御されている。
【0049】
そして、このように設定した場合、表示手段2の表示部からの光は対物レンズ3c、4cおよび接眼レンズ3b、4bを通過して、まず左目用第1ミラー17a、右目用第1ミラー18aによって反射され、続いて左目用第2ミラー17b、右目用第2ミラー18bによって反射される。
【0050】
この反射された光は、その光軸のなす角度Φ1で訓練者14の左目14、右目15に入射する。すなわち、輻輳角は、近点では図4に示すようにΦ1となるように設定されている。
【0051】
一方、図7は、表示手段2に表示される画像が、視覚的に訓練者の遠方にある状態を示している。
【0052】
光軸調整手段である左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bは、図7に示すように第1、第2の光学手段3、4の水平方向内周側に向けて、回転駆動手段19、20によって回動され、適宜所望の角度に位置決め制御されている。
【0053】
そして、このように設定した場合には左目用第2ミラー17b、右目用第2ミラー18bによって反射された光は、図7に示すように、その光軸のなす角度Φ2で訓練者14の左目14、右目15に入射する。すなわち、輻輳角は、遠点では図7に示すようにΦ2となるように設定されている。
【0054】
したがって輻輳角は、近点では図4に示すようにΦ1、遠点では図7に示すようにΦ2となり、輻輳角を適宜所望の角度に調整することができる。その結果、訓練者14に対して表示手段2に表示された表示が近くから遠ざかるように移動する距離感を視覚認識させることができる。
【0055】
そして、本発明の最大の特徴は、上述したように光軸調整手段17、18によって輻輳角を所望の角度に適切に調整することができることである。
【0056】
すなわち、たとえば斜視など訓練者に個体差がある場合、まず訓練者の個体ごとに斜視の度合いを測定し、そのデータを採取する。その後、その採取したデータに基づいてそれぞれ訓練者の個体差に応じて、近点での輻輳角Φ1、および遠点での輻輳角Φ2を訓練者ごとに最適となるように設定し、その情報を図8に示す制御回路8に入力する。そして、図3に示すように、制御回路8に入力された情報に基づいて制御回路8によって左目用第1、第2ミラー駆動手段19a、19b、および右目用第1、第2ミラー駆動手段20a、20bをそれぞれ独立して駆動する。この左目用第1、第2ミラー駆動手段19a、19b、および右目用第1、第2ミラー駆動手段20a、20bによって、視力回復訓練において輻輳角をΦ1からΦ2まで連続的に変化させるように左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bを位置決め制御して回動させることができるということである。
【0057】
これにより訓練者ごとに効果的に表示手段2に表示された表示が接近、または遠ざかるように移動する距離感を視覚認識させることができる。
【0058】
つまり、本発明においては、訓練者に応じて個別に輻輳角を最適に調整することができるので、視力回復訓練において効果の個体差を抑制し、最大の効果を得ることができるのである。
【0059】
また、本発明においては、表示手段2を訓練者14の近くから遠方まで可動させるとともに水平方向内側、水平方向外側にも同時に可動させる必要がないので、装置の構成が簡略化されるとともに、小型化を図ることができるのである。さらに、電気部品などにより構成される表示手段2を固定できるので、機器の信頼性が向上するという効果を奏する。
【0060】
ここで、本実施の形態では、光軸調整手段17、18として左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bを用いて説明したが、これに限定されるものではない。反射体として略平行に対向した反射面を有するプリズムを用いて上述した左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bと同様に表示手段2から入射する光を反射させて、訓練眼に光を入射させるようにすれば本実施形態と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0061】
また、左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bは、図3に示すようにそれぞれ一対となるように4個の回転駆動手段19(19a、19b)、20(20a、20b)によって駆動されることとして説明したがこれに限定されるものではない。たとえば、回転駆動手段19(19a、19b)、20(20a、20b)に固定された端面と反対側の端面に左目用第1、第2ミラー17a、17b、および右目用第1、第2ミラー18a、18bがそれぞれ略平行となる状態となるリンク機構を設けて一方のミラーの角度に他方のミラーの角度が連動して回動する構成とすることによって左目用第1、第2ミラー17a、17bと右目用第1、第2ミラー18a、18bにそれぞれ1つずつ回転駆動手段を設けるだけでよく、構成を簡略化して、装置を小型化できる。
【0062】
また、ホルダ保持部3h、4hに沿ってホルダ3e、4eが移動する例を説明したが、これに限定されるものではない。案内溝3g、4gのみでホルダ3e、4eを保持して移動するように、棒状突起3f、4fを案内溝3g、4gの長手方向に伸びた略長方形の形状にしたり、棒状突起3f、4fと同様の円柱状の棒状突起をホルダ3e、4eの棒状突起3f、4fを設けている他端側にも設けるなどしたりしても良い。
【0063】
また、第1、第2の光学手段3、4に案内溝3g、4gに平行な案内溝をそれぞれさらに設け、これにホルダ3e、4eから円柱状の棒状突起をホルダ3e、4eが可動可能に挿入することによって、ホルダ3e、4eをガイドして移動させてもよい。
【0064】
また、前記対物レンズ3c、4cと前記ホルダ3e、4eは一体で形成してもよく、この場合には対物レンズ3c、4cとホルダ3e、4eの組み合わせによるズレをなくし、また個々の部材の加工ばらつきの蓄積を低減することができるので、第1、第2の光学手段3、4における対物レンズ3c、4cの位置精度を高めることができ、さらに、視力訓練回復装置の性能を高めることができるとともに、構成も簡素化できるという効果も奏する。
【0065】
また、本実施形態では、この訓練は、図5に示す様に、可変表示2cが、近傍にある状態から、図6に示す遠方にある状態まで、この可変表示2cが、徐々に移動することを繰り返すことによって、訓練者14に近くから遠方まで、画像を見ようとする訓練を行い、これによって、視力回復訓練を行おうとしているとして説明したがこれに限定されるものではない。
【0066】
図6に示す様に、可変表示2cが、遠方にある状態から、図5に示す近傍にある状態まで、この可変表示2cが、徐々に移動することを繰り返すことによって、訓練者14に遠方から近くまで、画像を見ようとする訓練を行い、これによって、視力回復訓練を行おうとしてもよい。この場合は遠視や老眼に対して視力回復訓練を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように本発明は、画像の表示手段と、この表示手段に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段とを備え、前記第1、第2の光学手段は、訓練者側に設けた接眼レンズと、表示側に設けた対物レンズと、前記訓練者と前記接眼レンズの間に訓練眼への光の入射角を調整する光軸調整手段を有し、前記対物レンズには、この対物レンズを前記接眼レンズと前記表示手段との間を可動させる可動手段を連結し、前記光軸調整手段には、この光軸調整手段を駆動させる駆動手段を備えているものであるので、視力回復訓練において効果の個体差を抑制し、最大の効果を得ることができる。
【0068】
すなわち、本発明においては、表示手段を固定配置し、この表示手段と接眼レンズの間で対物レンズを可動させ、さらに、訓練者と接眼レンズの間に訓練眼への光の入射角を調整する光軸調整手段によって訓練眼に入射する光の角度を適宜調整して、たとえば、斜視など訓練者の個体差に応じて最適の状態に輻輳角を調整でき、これにより訓練者に効果的に表示手段に表示された表示が接近、または遠ざかるように移動する距離感を視覚認識させることができる。
【0069】
つまり、本発明においては、訓練者に応じて個別に輻輳角を最適に調整することができるので、視力回復訓練において効果の個体差を抑制し、最大の効果を得ることができるのである。
【0070】
このため、訓練者の個体差によらず視力訓練の最大の効果が期待できるので、家庭用などの視力回復訓練装置として広く普及することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図
【図2】その一部切り欠き斜視図
【図3】その電気的な回路ブロック図
【図4】その表示手段と光学手段を示す断面図
【図5】その表示手段の正面図
【図6】その表示手段の正面図
【図7】その表示手段と光学手段を示す断面図
【図8】その要部である光軸調整手段を示す斜視図
【符号の説明】
【0072】
1 本体ケース
2 表示手段
3 第1の光学手段
3a、4a 鏡筒
3b、4b 接眼レンズ
3c、4c 対物レンズ
3d、4d 開口
3e、4e ホルダ
3f、4f 棒状突起
3g、4g 案内溝
4 第2の光学手段
5 ロッド
6 リニアアクチュエータ
7 モータ
8 制御回路
9 AC/DC電源ユニット
10 交流電源
11 電源スイッチ
12 スタートスイッチ
13 駆動回路
14 訓練者
15 右目
16 左目
17、18 光軸調整手段
17a 左目用第1ミラー
17b 左目用第2ミラー
18a 右目用第1ミラー
18b 右目用第2ミラー
19、20 回転駆動手段
19a 左目用第1ミラー駆動手段
19b 左目用第2ミラー駆動手段
20a 右目用第1ミラー駆動手段
20b 右目用第2ミラー駆動手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の表示手段と、この表示手段に向けて水平方向に配置した第1、第2の光学手段とを備え、前記第1、第2の光学手段は、訓練者側に設けた接眼レンズと、表示側に設けた対物レンズと、前記訓練者と前記接眼レンズの間に訓練眼への光の入射角を調整する光軸調整手段を有し、前記対物レンズには、この対物レンズを前記接眼レンズと前記表示手段との間を可動させる可動手段を連結し、前記光軸調整手段には、この光軸調整手段を駆動させる駆動手段を備えている視力回復訓練装置。
【請求項2】
前記光軸調整手段は左右の訓練眼に対して独立して水平方向に回動可能な反射体である請求項1に記載の視力回復訓練装置。
【請求項3】
前記反射体は略平行に対向したミラーである請求項2に記載の視力回復訓練装置。
【請求項4】
前記反射体は略平行に対向した反射面を有するプリズムである請求項2に記載の視力回復訓練装置。
【請求項5】
前記接眼レンズを介して、前記訓練者に向かう画像情報の視度を前記対物レンズと前記接眼レンズの距離に応じて変化させた請求項1から4のいずれか1つに記載の視力回復訓練装置。
【請求項6】
前記対物レンズを、前記接眼レンズと前記表示手段間で可動させるとともに、前記表示手段は、表示する画像の大きさを可変する構成とした、請求項5に記載の視力回復訓練装置。
【請求項7】
前記表示手段は、基準表示と、この基準表示に対して大きさが可変される可変表示とを表示する構成とした請求項1から6のいずれか1つに記載の視力回復訓練装置。
【請求項8】
前記第1、第2の光学手段は、1つの前記表示手段に向けて配置した、請求項1から7のいずれか1つに記載の視力回復訓練装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−88539(P2010−88539A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259246(P2008−259246)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)