説明

視機能訓練プログラムおよび装置

【課題】本発明は、小児でも操作が容易でかつ視機能向上に効果が期待できる訓練プログラムおよび装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の視機能訓練プログラム10は、視機能の訓練をおこなうための訓練手段12、訓練の開始前に、複数の訓練手段12の中から訓練すべき所定数の訓練手段12を選択した訓練メニューを作成する訓練メニュー作成手段14、訓練手段12の実行を管理する訓練メニュー管理手段16、としてコンピュータを機能させるプログラムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は視機能の訓練に用いるプログラムおよび装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の研究で読みを苦手とする小児の多くが眼球運動能力に問題を抱えている可能性がわかってきた。しかし、視機能の訓練を受けられる施設は限られているのが現状であり、訓練を受けることができない小児が多数いる。
【0003】
特許文献1のように視機能訓練装置が開示されている。しかし、特許文献1の装置は専用の装置が必要となっており、簡易に訓練できるとは言い難い。
【0004】
【特許文献1】特開2004−201763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、小児でも操作が容易でかつ視機能向上に効果が期待できる訓練プログラムおよび装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の視機能訓練プログラムは、複数の訓練レベルを有する訓練手段をコンピュータに実行させて視機能の訓練をおこなうために、該コンピュータを、視機能の訓練をおこなうための前記訓練手段、訓練の開始前に、複数の前記訓練手段の中から訓練すべき所定数の訓練手段を選択した訓練メニューを作成する訓練メニュー作成手段、前記訓練手段の実行を管理する訓練メニュー管理手段、として機能させる視機能訓練プログラムであって、前記訓練メニュー管理手段が、前記訓練メニュー作成手段から前記訓練メニューを受信して、実行すべき訓練手段に訓練の開始と訓練レベルを指示する手段と、訓練終了後に実行された前記訓練手段から訓練終了時の訓練レベルを受信する手段と、訓練開始時と終了時の前記訓練レベルを含む訓練結果ファイルを作成する手段と、を含み、前記訓練メニュー作成手段が、前記訓練結果ファイルの訓練レベルを参照し、該訓練レベルに基づいて所定数の訓練手段を選択する手段と、選択した前記訓練手段と、該訓練手段の訓練開始時の訓練レベルとを含む訓練メニューを作成する手段と、を含み、前記訓練手段が、前記訓練メニュー管理手段から指示された後、訓練内容をコンピュータのモニタに表示する手段と、訓練終了時に訓練結果に対応した訓練レベルを作成する手段と、を含む。
【0007】
本発明の視機能訓練装置は、視機能の訓練をおこなうために複数の訓練レベルを有する訓練手段と、訓練の開始前に、複数の前記訓練手段の中から訓練すべき所定数の訓練手段を選択した訓練メニューを作成する訓練メニュー作成手段と、前記訓練手段の実行を管理する訓練メニュー管理手段と、前記訓練手段を表示させるモニタと、前記訓練をおこなうための操作をするための入力手段と、を含む視機能訓練装置であって、前記訓練メニュー管理手段が、前記訓練メニューを受信して、実行すべき訓練手段に訓練開始と訓練開始時の訓練レベルを指示する手段と、訓練終了後に実行された前記訓練手段から訓練終了時の訓練レベルを受信する手段と、訓練開始時と終了時の前記訓練レベルを含む訓練結果ファイルを作成する手段と、を含み、前記訓練メニュー作成手段が、前記訓練結果ファイルの訓練レベルを参照し、該訓練レベルに基づいて所定数の訓練手段を選択する手段と、選択した前記訓練手段と、該訓練手段の訓練開始時の訓練レベルとを含む訓練メニューを作成する手段と、を含み、前記訓練手段が、前記訓練メニュー管理手段から指示された後、訓練内容をコンピュータのモニタに表示する手段と、訓練終了時に訓練結果に対応した訓練レベルを作成する手段と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、周知のコンピュータを用いて簡単に視機能訓練をおこなうことができる。訓練レベルに合わせて自動的に訓練を選択するため、各家庭で簡単に実施することができる。訓練には複雑な操作が無いため小児でも簡単に訓練をおこなうことができる。また、訓練手段によっておこなわれる訓練内容が、読みに必要とされる視機能、特に追従性眼球運動、衝動性眼球運動、周辺視の特性に合わせたものになっており、読みの苦手な小児にとって必要な訓練ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る視機能訓練プログラムおよび装置について図面を使用して説明する。本発明の視機能訓練プログラムは、モニタおよびマウスやキーボードなどの入力手段を有する周知のコンピュータで実行されるものである。説明において、符号12a,12b,12c,12d,12e,12fをまとめて符号12とする場合がある。
【0010】
図1に示すように、本発明の視機能訓練プログラム10は、視機能の訓練をおこなうための訓練手段12、訓練の開始前に、複数の訓練手段12の中から訓練すべき所定数の訓練手段12を選択した訓練メニューを作成する訓練メニュー作成手段14、訓練手段12の実行を管理する訓練メニュー管理手段16、としてコンピュータを機能させるプログラムである。
【0011】
本発明は複数の訓練者が使用できるように、ログイン手段18によって各訓練者を管理できるようにする。ログイン手段18は、新規訓練者の登録、既存登録者の削除、訓練者がログインしたときに訓練者名を訓練メニュー作成手段14に送信する。ログインには訓練者名以外にパスワードを求めるようにしても良い。訓練者名とパスワードとは特別のファイルにして記憶しておき、ログイン時にアクセスするようにする。
【0012】
訓練手段12は、訓練メニュー管理手段16から指示された後に訓練内容をコンピュータのモニタに表示する手段と、訓練終了時に訓練結果に対応した訓練レベルを求める手段とを含む。
【0013】
訓練手段12は、図1に示すように6つあるが、数は任意である。各訓練手段12は、訓練内容がモニタに表示され、訓練者は表示された訓練内容によって訓練をおこなうこととなる。また、訓練手段12がおこなう訓練は難易度に応じて複数のレベルが設定されており、各レベルの内容を定義するレベル設定ファイル20を設けておく。このレベル設定ファイル20は、各訓練手段12ごとに設ける。また、各レベルの内容は複数のパラメータで構成され、このパラメータが実際の訓練の難易度となる。訓練手段12は、自己の訓練手段名および訓練の開始レベルに基づいてレベル設定ファイル20にアクセスし、得られたパラメータに合わせて訓練を実行することとなる。
【0014】
訓練メニュー作成手段14は、訓練結果ファイル22の訓練レベルを参照し、訓練レベルに基づいて所定数の訓練手段名を選択する選択手段と、選択した訓練手段名と訓練手段の訓練開始時の訓練レベルとを含む訓練メニューを作成する手段とを含む。本説明においては6つの訓練手段12から3つを選択するが、他の数であっても良い。
【0015】
上記訓練結果ファイル22の参照は、ログイン手段18から送信された訓練者名に基づいて訓練結果ファイル22を参照する。
【0016】
上記の訓練メニュー作成手段14における選択手段を詳述すると、訓練結果ファイル22を参照し、各訓練手段12の前回の訓練開始時と終了時における訓練レベルを比較する比較手段と、比較の結果、訓練レベルが上昇した訓練手段12を選択する第1選択手段と、選択した訓練手段12の数が所定数に満たないときに所定数になるまで、比較によって訓練レベルが同じである訓練手段12をランダムに選択する第2選択手段とを含む。
【0017】
訓練結果ファイル22は、訓練者名と訓練手段名で識別できるように設ける。訓練結果ファイル22は、少なくとも訓練日時、訓練開始レベル、訓練終了レベルを一連のものとしたファイルである。比較手段は、訓練者名に基づいて訓練結果ファイル22を参照し、前回訓練をおこなった最も新しい訓練日時を有する訓練結果ファイル22の訓練開始時と終了時の訓練レベルを比較する。比較手段は、前回に訓練をおこなわなかった手段12の訓練結果ファイル22は上記の比較をせず、レベルが同じであると定義する。
【0018】
比較の結果は、前回に訓練をおこなったものはレベルが上昇、下降、同じのいずれかである。また、前回に訓練をおこなわなかったものはレベルが同じとなる。第1選択手段は、レベルが上昇した訓練手段名を選択する。第1選択手段が選択した訓練手段名の数が所定数にならない場合に所定数になるまで、第2選択手段がレベルの同じであった訓練手段名をランダムに選択する。すなわち、第1選択手段と第2選択手段が選択する訓練手段名の合計が所定数となるようにする。なお、初めておこなう訓練は、訓練の前回の訓練結果が無いので、レベルが同じであったとし、前回訓練をおこなっていない訓練と同じにする。
【0019】
訓練がすすんで最高レベルとなった訓練手段名は、選択から排除する手段を設けてもよい。全ての訓練手段の訓練レベルが最高となったときに最終的な訓練の終了となる。
【0020】
レベルが上昇した訓練手段名を優先的に選択し、その次にレベルが同じであった訓練手段名を選択するのは、視機能が向上しやすい訓練を優先的におこない、効率的に視機能を伸ばすためである。訓練者ごとに訓練の選択が難しい課題となるが、本発明は視機能の向上を考えて自動的におこなえるようになっている。
【0021】
作成される訓練メニューの訓練開始時の訓練レベルは、選択された訓練手段名の最も新しい訓練終了時の訓練レベルとする。初めておこなう訓練は最低のレベルとなる。
【0022】
訓練メニュー管理手段16は、訓練メニュー作成手段14から訓練メニューを受信して、実行すべき訓練手段12に訓練開始と訓練開始時の訓練レベルを指示する指示手段と、訓練終了後に訓練手段12から訓練終了時の訓練レベルを得る手段と、訓練開始時と終了時の訓練レベルを含む訓練結果ファイル22を作成する手段とを含む。
【0023】
複数の訓練手段12の中から実行する訓練手段12の選択は、モニターに訓練メニューに含まれる訓練手段名を表示し、訓練者がマウスやキーボードなどで選択することによっておこなう。複数の訓練手段12が順次実行されるが、1回の訓練ごとに選択をおこなう。また、一度おこなった訓練は選択できないように構成する。なお、自動的に訓練手段12を選択する構成であっても良い。
【0024】
訓練結果ファイル22の作成は、既存の訓練結果ファイル22に新たな訓練結果を追加する形式で作成する。訓練状況を把握しやすくするためである。
【0025】
複数の訓練手段12を順番に実行するときに、実行される訓練手段12と訓練手段12との間に一定の休憩時間を入れる休憩画面表示手段24を含む。各訓練間に休憩を入れることによって、訓練による疲れを取って各訓練の能率を上げるためである。休憩時間としては例えば30秒とするが、この時間は他の時間であっても良い。
【0026】
休憩画面表示手段24は、コンピュータのモニタに所定時間の間、休憩中であることを表示する手段と、コンピュータに接続されたマウスやキーボードなどの入力手段からの入力を無効にする手段と、休憩時間の終了時にその旨をモニタに表示する手段と、休憩時間の終了後に1回目の入力手段からの任意の入力によって制御を訓練メニュー管理手段16に渡す手段とを含む。
【0027】
各訓練の終了時に訓練結果をモニタに表示する訓練結果表示手段26は、訓練メニュー管理手段16が訓練手段12からの訓練レベルを表示する手段である。各訓練の終了時に訓練結果が訓練手段12から訓練メニュー管理手段16に送られ、訓練結果表示手段26が、その訓練結果を参照してモニタに一定時間表示する。この一定時間の後、休憩時間表示手段24が動作する。
【0028】
総合結果表示手段28は、全ての訓練が終了して訓練結果ファイルの書き込みがあったときに書き込まれた訓練結果ファイル22を参照してその内容をモニタに表示する手段である。
【0029】
次に、訓練手段12がおこなう訓練の内容について説明する。全ての訓練手段12の訓練は、モニタに訓練を表示し、訓練者のマウスなどへの入力を訓練者の反応とする。1つの訓練に対する1つの反応を1つの単位とし、セッションと呼ぶ。1つの訓練手段12がおこなう1回の訓練は、所定の制限時間か所定のセッション数で終了するようにする。また、各セッションに対する制限時間を設ける場合がある。
【0030】
訓練に対する訓練者の反応によってレベルの上昇、下降、同一を判定する。例えば、所定回数連続で正しい反応があればレベルの上昇とし、反対に所定回数連続で間違った反応があればレベルの下降と判定する。レベル数は、例えば100段階とし、訓練ごとに適切な難易度となるようになっている。
【0031】
本発明では6つの訓練手段12を備える。各訓練手段12がおこなう訓練の内容は、追従性眼球運動、衝動性眼球運動、周辺視野、注視のいずれか少なくとも1つの訓練となる内容となっている。各訓練手段12は以下に示す動作をコンピュータに実行させる手段を含んだものである。以下、本発明で実行される各訓練手段12について説明する。
【0032】
第1訓練手段12aは追従性眼球運動の訓練であり、連続的に移動するマーク(星など)の色が2回連続で所定の色(青など)に変化したらマウスをクリックするものである。1点を見つめる注視と動体を視線で追いかける追視訓練をすることによって、キャッチボールやボール遊びに必要な視機能の訓練をおこなう。2度連続で色が変わったときにクリックを要求することにより、視線をマークに固定し、効果的な訓練が期待できる。
【0033】
図2(a)、(b)に示すように、星形のマーク30a,30bの中心の色が変化するようになっている。図3(a)〜(e)に示すように、マーク30の動きは横、縦、正弦波、円、ランダムなど種々である。マーク30の色が変化したときにマウスをクリックをした場合に正解とする。動きの速度などが各レベルの難易度となっている。正解数、不正解数、反応時間を逐次記録し、この記録から訓練終了時に訓練レベルが作成され、訓練メニュー管理手段に渡される。
【0034】
第2訓練手段12bは衝動性眼球運動の訓練であり、読書時の眼球運動をシュミレートしてマークが移動し、マークの色が2回連続で変化したときにマウスをクリックするものである。視線のジャンプの正確さを訓練することによって板書・視写・読みに必要な視機能の訓練をおこなう。第1訓練手段と同様の効果的な訓練が期待できる。
【0035】
図4(a)〜(e)に示すように、マーク32の動きは不連続であり、縦、横、斜めなどに移動したり、モニタの端から端に移動する。マーク32の移動がランダムの場合もある。マーク32の色が変化したときにマウスをクリックをした場合に正解とする。動きの速度などが各レベルの難易度となっている。正解数、不正解数、反応時間を逐次記録し、この記録から訓練終了時に訓練レベルが作成され、訓練メニュー管理手段に渡される。
【0036】
第3訓練手段12cは衝動性眼球運動の訓練であり、図5に示すようにモニタに迷路が表示され、スタートの矢印が複数あるゴール(図中の○)の中でどのゴールにたどり着くかをマウスでクリックするものである。視線で正確に線をたどることによって、マスや計算時の桁を間違えないように学習する力を訓練することができる。迷路の様な図形は、スタートからゴールまで枝分かれせずにつながっている。このことにより、短期記憶やより知的な能力の影響を排除し、純粋に視機能の訓練をおこなうことができる。
【0037】
迷路の線は縦および横であるが、斜めなどの線が入っても良い。訓練レベルが高くなるにしたがって、線の本数などが多くなる。正しいゴールをクリックしたときに正解とする。正解数、不正解数、反応時間を逐次記録し、この記録から訓練終了時に訓練レベルが作成され、訓練メニュー管理手段に渡される。
【0038】
第4訓練手段12dは周辺視野の訓練であり、図6(a)に示す複数の模様を用いた複数のカードが、図6(b)のように表示され、そのカードが動き、違うカードをマウスでクリックするものである。視線の移動する先を決定する練習をすることによって、正確な読み書きや野球・バレーボールなどの球技に必要な視機能の訓練をすることができる。例えば50msでカードの画像が変化することにより、高速な衝動性眼球運動でもってしても違うカードを選択することは不可能であり、訓練者は視線を固定して周辺視野で複数のカードの異同を判断せざるを得なくなる。このことにより、他ではできない周辺視野の訓練が可能となる。
【0039】
モニタに並べられた複数のカードの内、ランダムに1枚が決定され、決定された1枚が他のカードとは異なるカードである。例えば、同一の模様のカードが裏返ったときに1枚だけ異なる模様となるようにする。訓練レベルが高くなるにしたがってカードが反転している時間を短くしたりする。異なるカードをマウスでクリックすると正解とする。正解数、不正解数、反応時間を逐次記録し、この記録から訓練終了時に訓練レベルが作成され、訓練メニュー管理手段に渡される。
【0040】
第5訓練手段12eは注視・追従性眼球運動の訓練であり、図7に示すようにモニタに1つだけ形や色などが異なる複数のマークが表示され、一定時間後に全て同じマークに変化し、その同じマークが移動する。その移動が終了後、異なったマークが最初にあった位置(モニタ上の区画)をマウスでクリックする。注視と追視の訓練であり、キャッチボールやボール遊びに必要な視機能の訓練をすることができる。ターゲットとなるマークの移動とともに、他の多くのマークが動くことにより訓練者の自動的な眼球運動を妨害する。このことにより、訓練者の眼球の自発的な運動能力を向上させることができる。
【0041】
モニタに複数のマークが表示されランダムに異なるマークが決定される。訓練レベルごとに、異なるマークの表示時間、マークの動作速度、モニタ上の区画数が異なるようにする。マークの移動後、異なるマークのあった区画をマウスでクリックすると正解とする。正解数、不正解数、反応時間を逐次記録し、この記録から訓練終了時に訓練レベルが作成され、訓練メニュー管理手段に渡される。
【0042】
第6訓練手段12fは衝動性眼球運動の訓練であり、図8に示すようにスタート(色の異なる矢印)から複数の矢印を視線でたどって、複数あるゴール(図中の○)な中から正しいゴールをマウスでクリックするものである。視線で正確に矢印をたどっていくことによって、板書・視写など学習に必要な視機能の訓練をおこなう。連続した矢印をたどることにより日常生活に必要な縦横の眼球運動が訓練できる。
【0043】
モニタに表示される矢印やゴールの数、スタートの矢印からゴールまでの矢印の数(ターン数)は訓練レベルによって異なるようにする。正しいゴールをマウスでクリックすると正解とする。正解数、不正解数、反応時間を逐次記録し、この記録から訓練終了時に訓練レベルが作成され、訓練メニュー管理手段に渡される。
【0044】
以上のように、本発明は視機能を訓練するために種々の訓練手段が用意されている。訓練メニュー作成手段14によって訓練者にとって必要な訓練手段12が選択されることにより、能率良く訓練がおこなわれることとなる。
【0045】
次に、本発明の視機能訓練プログラム10を用いた訓練の流れは、図9に示すようになっている。図9の訓練の流れでは3つの訓練をおこなうようになっている。以下、訓練の流れを説明するが、上で説明した内容は省略する場合がある。(S1)視機能訓練プログラム10が起動するとログイン手段18が起動し、モニタに訓練者名などを入力するログイン画面を表示し、(S2)訓練者は訓練者名を入力する。
【0046】
(S3)訓練メニュー作成手段14は、訓練者名から訓練結果ファイルを参照し、訓練メニューを作成する。作成された訓練メニューは訓練メニュー管理手段16に送信され、訓練手段名がモニタに表示される。
【0047】
(S4)訓練者はモニタに表示された訓練手段名から1つの訓練手段名を選択する。訓練メニュー管理手段16は、選択された訓練手段12に実行を指示し、(S5)必要に応じて訓練手段12が訓練内容の説明をモニタに表示したり、音声で読み上げるようにする。
【0048】
(S6)訓練手段12によって訓練が実行される。(S7)訓練終了後、訓練メニュー管理手段16が訓練結果を受信し、訓練結果表示手段26が訓練結果を表示する。(S8)次の訓練まで所定時間の休憩をおこなうために休憩画面表示手段24が入力を無効にする。
【0049】
(S9)〜(S17)に示す2番目および3番目の訓練の流れは、訓練の選択(S9、S10)をのぞいて1番目の訓練の流れと同じである。
【0050】
(S18)訓練メニュー管理手段16が訓練結果ファイル22を作成し、総合結果表示手段28がモニタに訓練結果を表示する。
【0051】
以上の工程で視機能訓練プログラム10を使用した訓練が終了する。訓練は基本的に1日1回とするが、訓練内容によっては訓練の回数や訓練終了から次の訓練までの間隔を変更しても良い。
【0052】
以上の説明のように、本発明はコンピュータによっておこなうべき訓練が自動的に決定され、各訓練者にあった訓練がおこなわれる。自動的に訓練メニューが作成されるため、専門の知識を持っていなくても訓練を継続していくことができる。自動的に訓練がすすんでいくため、小児でも訓練をおこなうことができる。
【0053】
また、本発明は、モニターやマウスなどの入力手段を有するコンピュータに視機能訓練プログラム10をインストールすることにより、視機能訓練装置となる。視機能訓練プログラム10を動作させる専用の演算装置、モニター、マウスなどの入力手段を備える視機能訓練装置であっても良い。視機能訓練プログラム10の一部または全部が回路などのハードウェアになっても良い。
【0054】
その他、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の視機能訓練プログラムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1訓練手段が表示するマークの図である。
【図3】第1訓練手段におけるマークの移動を示す図である。
【図4】第2訓練手段におけるマークの移動を示す図である。
【図5】第3訓練手段における迷路を示す図である。
【図6】第4訓練手段を示す図であり、(a)は使用される複数の模様を示し、(b)は1つだけ異なるマークが表示された図である。
【図7】第5訓練手段にいて複数のマークの中に1つ異なるマークがあることを示す図である。
【図8】第6訓練手段において複数の矢印とゴールが表示された図である。
【図9】本発明の視機能訓練プルグラムを使用した訓練の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
10:視機能訓練プログラム
12:訓練手段
14:訓練メニュー作成手段
16:訓練メニュー管理手段
18:ログイン手段
20:レベル設定ファイル
22:訓練結果ファイル
24:休憩画面表示手段
26:訓練結果表示手段
28:総合結果表示手段
30、32:マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視機能の訓練をおこなうために、該コンピュータを、
視機能の訓練をおこなうための複数の訓練手段、
訓練の開始前に、訓練メニューを作成する訓練メニュー作成手段、
前記訓練手段の実行を管理する訓練メニュー管理手段、
として機能させる視機能訓練プログラムであって、
前記訓練メニュー管理手段が、
前記訓練メニュー作成手段から前記訓練メニューを受信して、実行すべき訓練手段に訓練の開始と訓練レベルを指示する手段と、
訓練終了後に前記訓練手段から訓練終了時の訓練レベルを受信する手段と、
訓練開始時と終了時の前記訓練レベルを含む訓練結果ファイルを作成する手段と、
を含み、
前記訓練メニュー作成手段が、
前記訓練結果ファイルの訓練レベルを参照し、該訓練レベルに基づいて所定数の訓練手段を選択する手段と、
選択した前記訓練手段と、該訓練手段の訓練開始時の訓練レベルとを含む訓練メニューを作成する手段と、
を含み、
前記訓練手段が、
前記訓練メニュー管理手段から指示された後、訓練内容をコンピュータのモニタに表示する手段と、
訓練終了時に訓練結果に対応した訓練レベルを作成する手段と、
を含む
視機能訓練プログラム。
【請求項2】
前記訓練メニュー作成手段における前記選択する手段が、
前記訓練結果ファイルを参照し、前回の訓練開始時と終了時における訓練レベルを比較する手段と、
比較の結果、前記訓練レベルが上昇した訓練手段を選択する手段と、
選択した前記訓練手段の数が前記所定数に満たないときに該所定数になるまで、前記比較によって訓練レベルが同じである訓練手段をランダムに選択する手段と、
を含む請求項1の視機能訓練プログラム。
【請求項3】
複数の前記訓練手段を順番に実行するときに、実行される訓練手段間に一定の休憩時間を入れる手段を含む請求項1または2の視機能訓練プログラム。
【請求項4】
前記訓練手段がおこなう訓練が、追従性眼球運動、衝動性眼球運動、周辺視の訓練を含み、各訓練手段によって実行される訓練の内容が異なる請求項1乃至3の視機能訓練プログラム。
【請求項5】
視機能の訓練をおこなうために複数の訓練レベルを有する訓練手段と、
訓練の開始前に、複数の前記訓練手段の中から訓練すべき所定数の訓練手段を選択した訓練メニューを作成する訓練メニュー作成手段と、
前記訓練手段の実行を管理する訓練メニュー管理手段と、
前記訓練手段を表示させるモニタと、
前記訓練をおこなうための操作をするための入力手段と、
を含む視機能訓練装置であって、
前記訓練メニュー管理手段が、
前記訓練メニューを受信して、実行すべき訓練手段に訓練開始と訓練開始時の訓練レベルを指示する手段と、
訓練終了後に実行された前記訓練手段から訓練終了時の訓練レベルを受信する手段と、
訓練開始時と終了時の前記訓練レベルを含む訓練結果ファイルを作成する手段と、
を含み、
前記訓練メニュー作成手段が、
前記訓練結果ファイルの訓練レベルを参照し、該訓練レベルに基づいて所定数の訓練手段を選択する手段と、
選択した前記訓練手段と、該訓練手段の訓練開始時の訓練レベルとを含む訓練メニューを作成する手段と、
を含み、
前記訓練手段が、
前記訓練メニュー管理手段から指示された後、訓練内容をコンピュータのモニタに表示する手段と、
訓練終了時に訓練結果に対応した訓練レベルを作成する手段と、
を含む
視機能訓練装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−130080(P2007−130080A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323921(P2005−323921)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(505415008)
【出願人】(505415673)
【出願人】(505415020)