説明

覗き見防止体

【課題】 表示画面の視認性を確保しつつ、側方からの覗き見を防止することができるとともに、装飾性をも備えた覗き見防止体を提供する。
【解決手段】光透過帯11と遮光帯12とが交互に配されている防眩層10を備えた覗き見防止体本体1と、本体1の一面上の少なくとも一部に設けられた加飾層2を有し、加飾層2の光線透過率が、加飾層2の全面積の90%以上において65〜90%であることを特徴とする覗き見防止体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話、携帯情報端末等の表示画面に適用して、該表示画面に表示された内容の覗き見を防止する覗き見防止体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話、携帯情報端末等の表示画面に適用される覗き見防止体として、下記特許文献1では、複数の透明シリコーンゴムシートと着色シリコーンゴムシートとを互い違いに並べて一体化することにより防眩層を形成し、該防眩層の表面に透光層を設けるとともに、該防眩層の裏面に粘着層を設けたものが提案されている。
かかる構成の覗き見防止体によれば、使用者からの表示画面の視認性を損なうことなく、側方からの覗き見を防止することができる。
【特許文献1】特開2003−131202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような覗き見防止体は、例えば携帯電話の表示画面に接着して使用するが、単に側方からの覗き見を防止するだけであり、視覚的な変化に乏しく、携帯電話のアクセサリーとしては面白みに欠ける。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、表示画面の視認性を確保しつつ、側方からの覗き見を防止することができるとともに、装飾性をも備えた覗き見防止体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の覗き見防止体は、光透過帯と遮光帯とが交互に配されている防眩層を備えた覗き見防止体本体と、前記覗き見防止体本体の一面上の少なくとも一部に設けられた加飾層を有し、前記加飾層の光線透過率が、該加飾層の全面積の90%以上において65〜90%であることを特徴とする。
なお、本発明における「光線透過率」の値は、光源としてJIS Z 8720に規定されるD65を用い、光源から出射された検査光の強度を受光センサーで測定する装置において、前記検査光の光路上に被測定物が無い状態での受光センサーの出力値をA、検査光の光路上に被測定物をセットし、被測定物を透過した透過光が受光センサーで受光される状態での出力値をBとするとき、光線透過率=(B/A)×100(単位;%)で求められる値とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、表示画面の視認性を確保しつつ、側方からの覗き見を防止することができるとともに、装飾性をも備えた覗き見防止体が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
<第一の実施形態>
図1、2は本発明の覗き見防止体の第一の実施形態を示したもので、図1は斜視図、図2は図1中のII−II線に沿う断面図である。なお、図面は覗き見防止体の一部を拡大して模式的に示している。
本実施形態の覗き見防止体は、概略、覗き見防止体本体(以下、単に本体ということがある)1と、加飾層2とから構成されている。
本実施形態において、本体1は、光透過帯11と遮光帯12とが交互に配されている防眩層10と、該防眩層10の表面上の全面に設けられた第1の透明保護層13とからなっている。加飾層2は、本体1の一面上、すなわち第1の透明保護層13上の一部に設けられた接着層21と、該接着層21の上に積層された転写層22とからなっている。
また本実施形態では、本体1の他面上、すなわち防眩層10の裏面上に、粘着層14が設けられている。
覗き見防止体の全体の平面形状は、例えば矩形であるが、適用する表示画面の形状に応じて適宜変更できる。
【0008】
本体1の厚さ方向をZ方向、Z方向に垂直な面内における互いに垂直な2方向をそれぞれX方向、Y方向とすると、防眩層10を構成している光透過帯11および遮光帯12はいずれもX方向に延びる帯状であり、Y方向において複数の光透過帯11と複数の遮光帯12とが交互に配されている。複数の光透過帯11のY方向の幅は均一であり、かつX方向において一定である。また複数の遮光帯12のY方向の幅も均一であり、かつX方向において一定である。
【0009】
光透過帯11の材料としては、透明性が高い樹脂が用いられる。具体的には、光透過帯11のみに対して、図中Z方向に光を透過させたときの光線透過率が75%以上、好ましくは85%以上であるような、高い透明性を有する樹脂材料が好ましい。例えば、透明性が高い熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられ、具体例としては、セルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。中でもシリコーン樹脂が好ましく、特に耐熱性の点でシリコーンゴムが特に好ましい。
【0010】
遮光帯12の材料としては、光透過帯11の材料として上記に挙げた樹脂を基材とし、これに顔料や染料等の着色剤を添加してなる着色樹脂が好適に用いられる。遮光帯12の色調は、遮光帯12における好ましい遮光性が得られればよく、例えば黒、赤、黄、緑、青、水色等とすることができる。遮光帯12の色調は、着色剤の種類および添加量によって調整できる。具体的には、遮光帯12のみに対して、図中Y方向に光を透過させたときの光線透過率が40%以下、好ましくは10%以下となるような遮光性を有することが好ましい。また、遮光帯12の色調は、防眩層10(本体1)を見たときに認識される色調を構成するので装飾性も考慮して設計することが好ましい。
着色剤の具体例としては、カーボンブラック、ベンカラ、酸化鉄、酸化チタン、黄色酸化鉄、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー等の一般的な有機顔料あるいは無機顔料が挙げられる。着色剤は1種でもよく、2種以上を用いてもよい。また黒色顔料を用いない場合は、良好な遮光性を得るために白色顔料を併用することが好ましい。
防眩層10において、光透過帯11をなしている樹脂材料と、遮光帯12の基材としての樹脂材料とは同じであってもよく、異なっていてもよいが、光透過帯11と遮光帯12との接着性の点からは両者が同じであることが好ましい。
【0011】
防眩層10において、X方向に垂直な面(図2における紙面)内における視野角θは、光透過帯11のZ方向における厚さおよびY方向における幅によって決まる。また、Y方向における光透過帯11の幅と遮光帯12の幅の比は、Z方向に平行な光線の透過率に影響する。
具体的に、防眩層10における前記視野角θは30〜150°の範囲が好ましく、より好ましくは60〜120°である。
光透過帯11のZ方向における厚さTは、0.1〜2.5mm程度が好ましく、0.14〜0.4mm程度がより好ましい。
光透過帯11のY方向における幅W1は、50μm〜0.3mmの範囲内が好ましく、75μm〜0.2mmの範囲内がより好ましい。
遮光帯12のY方向における幅W2は、5μm〜50μmの範囲内が好ましく、15μm〜30μmの範囲内がより好ましい。
遮光帯12のZ方向における厚さTは、光透過帯11の厚さTと同じである。
【0012】
かかる構成の防眩層10は、以下のようにして製造することができる。まず、光透過帯11の構成材料からなり厚さが上記W1である第1のシートの複数枚と、遮光帯12の構成材料からなり厚さが上記W2である第2のシートの複数枚とを交互に積層し、加熱および加圧してこれら複数のシートが一体化してなるブロック体を形成する。次いで、該ブロック体をシート表面に垂直な切断面でスライスすることにより防眩層10が得られる。スライスする際の厚さ(スライス幅)は上記Tである。
【0013】
防眩層10の表面に設けられる第1の透明保護層13の材料としては、光透過帯11の材料として上記に挙げた樹脂を用いることができる。第1の透明保護層13の単体に対して、図中、Z方向に光を透過させたときの光線透過率が75%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましい。
第1の透明保護層13の材料は、特に、透明性と耐熱性の点からポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、シクロオレフィンポリマー)、セルロース系樹脂が好ましく、中でもポリカーボネート、およびポリエステル樹脂がより好ましい。
第1の透明保護層13のZ方向における厚さは、薄すぎると十分な保護機能が得られず、厚いほど光線透過率が低下するので、0.01〜0.5mm程度が好ましく、0.1〜0.2mm程度がより好ましい。
【0014】
防眩層10の表面に、第1の透明保護層13を設ける方法は特に限定されず、公知の手法を適宜用いることができる。
例えば、防眩層10の表面に接着剤を塗布し、第1の透明保護層13の材料からなるシートを貼り合わせた後、接着剤を硬化させる方法でもよい。これにより本体1が得られる。
このとき用いる接着剤は硬化後における光線透過率が高いものが好ましい。具体的には、硬化後の接着剤層の単体における光線透過率が65%以上であるものが好ましく、80%以上がより好ましい。
かかる接着剤としては、硬化後に透明性を有する、熱硬化型接着剤、多液反応型接着剤、紫外線硬化型接着剤等が挙げられ、具体的にはエポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、メラミン系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤等を好適に用いることができる。
【0015】
かかる構成の本体1のみにおける光線透過率、すなわち防眩層10と第1の透明保護層13との積層体の光線透過率は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。該光線透過率の上限は高い方が好ましいが、覗き見防止機能を達成するためには90%程度が限界である。
【0016】
粘着層14の材料としては、表示画面に対して再剥離可能に接着できる程度の粘着力を有するものであればよく、透明性が高いものが好ましい。また表示画面から剥離したときに糊残りが少ないものが好ましい。例えば、粘着層14は再剥離可能な粘着剤として市販されている材料からなる層や、エラストマー(低架橋密度品のゲル状物質を含む)からなり表面(表示画面との接着面)を鏡面加工した層であることが好ましい。前記再剥離可能な粘着剤の具体例としては、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤等が挙げられる。前記エラストマーの具体例としては、シリコーンゴム、シリコーンゲル、ウレタンゴム、ウレタンゲル等が挙げられる。これらの中でも、糊残りが少なく、透明性が高い点でシリコーンゴムが特に好ましい。
本実施形態のように、本体1の裏面に粘着層14を設ける場合、該粘着層14と本体1との積層物における光線透過率、すなわち加飾層2が設けられていない領域の光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。該光線透過率の上限は高い方が好ましいが、覗き見防止機能を達成するためには90%程度が限界である。
【0017】
加飾層2は、概略、第1の透明保護層13上に、平面形状が所望の絵柄の形状である接着層21を設け、該接着層21上に転写フィルムの転写層22を転写することにより形成される。
加飾層2における接着層21の材料は、透明性を有し、転写層22を本体1の表面に接着一体化する機能を有するものであればよい。また接着層21の平面形状は加飾層2の平面形状と同じであり装飾性が求められる。したがって、微細な形状を精度良く実現できる点で印刷法により接着層21を形成することが好ましい。特に、接着層21は転写層22を転写するために一定量の膜厚が必要であり、その膜厚を得るにはスクリーン印刷法を用いて形成することが好ましい。
接着層21の好適な材料として、スクリーン印刷法によりパターン状に塗布可能で、半硬化状態で粘着性(タック性)を有し、かつ硬化後に透明性を有する樹脂を基材とするインキを用いることができる。例えば、熱硬化型インキ、多液反応型インキ、蒸発乾燥型インキ、紫外線硬化型インキ等が挙げられ、インキの基材の具体的としてはエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、精密な線を印刷できる点でエポキシ樹脂が特に好ましい。
また接着層21の材料には、顔料または染料を含有させることができる。接着層21の色調は加飾層2の色調を構成するので、これにより装飾性を向上させることができる。ただし、接着層21への顔料または染料の添加量が多いほど加飾層2における光線透過率が低下するので、微量添加に留めることが好ましい。
また、接着層21は、硬化後の硬度が、JIS−K−5600に準処する試験方法による鉛筆引掻試験でH以上であることが好ましい。接着層21の硬度を上記の範囲とすることにより、接着層21上に転写層22を転写する際に、接着層21にダレが発生するのを防止できる。
【0018】
接着層21の厚さは、特に限定されないが、加飾層2における良好な光線透過率および良好な接着性を達成するうえで、5〜50μm程度が好ましく、10〜30μm程度がより好ましい。
【0019】
加飾層2における転写層22の構成材料は特に限定されず、各種の装飾用転写フィルムにおける転写層を用いることができる。
転写層22の構成材料の例としては、インキ層、金属薄膜層、樹脂薄膜にホログラムパターンが形成されたホログラム層等が挙げられる。
転写層22単体における光線透過率は、低いほど、該転写層22からなる絵柄の視認性は良くなるが、覗き見防止体を表示画面上に適用した場合の画面の視認性は低下する。また、転写層22における光線透過率は、全体で均一である必要はなく、転写層22の部分ごとに材料や色調が異なっていてもよい。
【0020】
具体的には、加飾層2の光線透過率、すなわち本実施形態では、本体1および粘着層14を含まない、接着層21と転写層22の積層物における光線透過率が、該加飾層2の全面積の90%以上において65〜90%の範囲内であることが好ましく、75〜85%であることがより好ましい。
加飾層2の光線透過率を上記の範囲内とすることにより、表示画面の良好な視認性と、加飾層2によって形成される絵柄の良好な視認性を同時に達成することができる。
また、加飾層2の全体において光線透過率が均一である必要はなく、該加飾層2の各部分によって光線透過率が互いに異なっていてもよい。例えば表示画面の周縁部など、表示画面の中でも比較的使用頻度が低い領域では、比較的低い光線透過率でも許容される。一方、表示画面の中央部など使用頻度が高い領域では、光線透過率が高い方が好ましい。
なお、加飾層2のみの光線透過率として、実質的には、覗き見防止体において、加飾層2が存在する領域の光線透過率をC%、加飾層2が存在しない領域の光線透過率をD%とするとき、加飾層のみの光線透過率=(C/D)×100(単位;%)で求められる値が用いられる。
【0021】
転写層22は、好ましくは、ベースフィルム上に転写層22の構成材料からなる全ベタ状の転写元層が積層された転写フィルムを用い、例えばホットスタンプ法により接着層21上に転写することにより形成できる。
具体的には、所望の絵柄の形状に形成されたパターン状の接着層21が、完全に硬化する前の半硬化状態のときに、該接着層21に前記転写フィルムの全ベタ状の転写元層を接触させ、ベースフィルム側から熱ローラーを用いるなどして全面押圧することにより、加熱および加圧を行った後、ベースフィルムを剥離する。これにより接着層21上にのみ転写層22が転写される。
かかる方法は、第1の透明保護層13の全面に対して均一に加熱加圧を施すことができるため、第1の透明保護層13の反りを防止するうえで好ましい。
【0022】
覗き見防止体において加飾層2が設けられている領域における光線透過率、すなわち本実施形態では加飾層2と本体1と粘着層14の積層物における光線透過率は、本発明の効果の点で、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。該光線透過率の上限は、覗き見防止体としての機能を達成するには85%程度が好ましい。
また、覗き見防止体において加飾層2が設けられている領域におけるヘイズ値は50%以下であることが好ましく、40%以下がより好ましい。
【0023】
本実施形態の覗き見防止体は、例えば携帯電話等の表示画面上に貼り付けて用いられる。
本実施形態では、粘着層14の外面14aが粘着性を有する面となっており、この面を表示画面に密着させることにより、繰り返し着脱可能に貼着させることができる。
本実施形態の覗き見防止体は防眩層10を備えているので側方からの覗き見を防止することができる。
また、第1の透明保護層13上に、加飾層2からなる絵柄が形成されているので装飾性が付与され、アクセサリーとしての付加価値が向上する。しかも、加飾層2の光線透過率が上記特定の範囲であるので、表示画面の視認性を確保しつつ、加飾層2の絵柄も良好に視認することができる。
また、特に加飾層2が、接着層21上に転写層22が積層された構成であるため、樹脂薄膜にホログラムパターンが形成されたホログラム層を使用して、容易にホログラムパターンからなる加飾を施すことができる、という利点が得られる。
【0024】
<第二の実施形態>
図3は本発明の覗き見防止体の第二の実施形態を示した断面図である。本実施形態の覗き見防止体が上記第一の実施形態と異なる点は、本体1の一面上の一部に、直接、印刷層からなる加飾層(以下、印刷加飾層3という)を設けた点である。図3において、図2と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
印刷加飾層3を形成する印刷法は、特に限定されないが、網点印刷を用いることが好ましく、樹脂層へ網点印刷を行うにはオフセット印刷法が特に好ましい。
網点印刷を用いる場合、印刷加飾層3の好ましい光線透過率と絵柄の良好な視認性を両立させるために、網点面積率(絵柄を構成する面積全体のうち、インキが存在している面積の割合)が20〜60%の範囲内であることが好ましく、35〜50%の範囲内がより好ましい。
印刷加飾層3の材料としては、例えば、酸化重合型インキ、紫外線硬化型インキ、蒸発乾燥型インキ等の、一般的なオフセット印刷用インキを用いることができる。インキの基材(ビヒクル)の具体例としてはアクリレート系光重合性樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0025】
本実施形態において、印刷加飾層3のみの光線透過率が、該印刷加飾層3の全面積の90%以上において65〜90%の範囲内であることが好ましく、75〜85%であることがより好ましい。
印刷加飾層3の光線透過率を上記の範囲内とすることにより、表示画面の良好な視認性と、印刷加飾層3によって形成される絵柄の良好な視認性を同時に達成することができる。
また前記加飾層2と同様に、印刷加飾層3の全体において光線透過率が均一である必要はなく、印刷加飾層3の各部分によって光線透過率が互いに異なっていてもよい。すなわち、印刷加飾層3の各部分ごとにインキ組成や色調が異なっていてもよい。
なお、印刷加飾層3のみの光線透過率として、実質的には、覗き見防止体において、印刷加飾層3が存在する領域の光線透過率をC’%、印刷加飾層3が存在しない領域の光線透過率をD’%とするとき、印刷加飾層のみの光線透過率=(C’/D’)×100(単位;%)で求められる値が用いられる。
【0026】
本実施形態の覗き見防止体によれば、上記第一の実施形態と同様の作用効果が得られる。また、特に加飾層を印刷層(印刷加飾層3)で構成したことにより、多色印刷が可能である、という利点が得られる。
【0027】
<変形例>
上記第一の実施形態および第二の実施形態の変形例として、防眩層10の裏面と粘着層14との間に第2の透明保護層を設けてもよい。
第2の透明保護層の好ましい材料、好ましい光線透過率の範囲、形成方法等は、第1の透明保護層13と同様とすることができる。
かかる変形例によれば、防眩層10が第1の透明保護層13と第2の透明保護層の間に挟まれたサンドイッチ構造となるため、構造の対称性が増し、反りが生じ難くなるなど構造安定性が向上する。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1,2に示す構成の覗き見防止体を製造した。
まず、光透過帯11として透明シリコーンゴム(信越化学工業社製、商品名;KE153U)からなる厚さが200μmの第1のシートを用意した。
これとは別に、遮光帯12として透明シリコーンゴム(信越化学工業社製、商品名;KE153U)100質量部に対してカーボンブラックを15質量部添加した材料からなる厚さが20μmの第2のシートを用意した。
第1のシート複数枚と第2のシート複数枚とを交互に積層し、加熱加硫および加圧してこれら複数のシートが一体化してなるブロック体を形成した。
次いで、該ブロック体をシート表面に垂直な切断面で、厚さ360μmにスライスすることにより防眩層10を作製した。
【0029】
続いて、得られた防眩層10の一方の面上に熱硬化型接着剤(信越化学工業社製、商品名;KE1825)を塗布したポリカーボネートシート(第1の透明保護層13)を貼り合わせ熱硬化させた。また、防眩層10の他方の面上に、二液硬化型シリコーンゴム(信越化学工業社製、商品名;KE1935)を用いて、スクリーン印刷法により粘着層14を形成した。こうして得られた本体1における光線透過率は78%であった。
【0030】
次に、得られた本体1の一面(ポリカーボネートシートからなる第1の透明保護層13の表面)上に二液反応型エポキシ系インキ(セイコーアドバンス社製、商品名;エポキシインキ1000シリーズ)を用い、スクリーン印刷法により接着層21を所定の形状に形成した。
印刷直後の接着層21を100℃で2分間加熱して半硬化状態とした。
次いで、転写箔(クルツ社製、商品名;Light Line)を、半硬化状態の接着層21上に接触させ、ホットスタンプ法により加熱加圧(100℃、加熱ロール)して接着層21上に転写層22を転写することにより加飾層2を形成した。
こうして得られた覗き見防止体における視野角θは120°であった。
また加飾層2が設けられている領域における、覗き見防止体全体(本体1と加飾層2の積層物)の光線透過率は65%であり、ヘイズ値は10%であった。
【0031】
(実施例2)
図3に示す構成の覗き見防止体を製造した。
実施例1と同様にして本体1を作製した。
次いで、本体の一面上(ポリカーボネートシートからなる第1の透明保護層13の表面上)に紫外線硬化型オフセットインキFD O ニューシリーズ(商品名、東洋インキ社製)を用い、オフセット印刷法により印刷加飾層3を所定の形状に形成した後、紫外線を照射してインキを硬化させた。オフセット印刷時の条件は、175線インク部占有率(網点面積率)40%とした。紫外線照射時の条件は積算光量400mj/cmとした。
こうして得られた覗き見防止体における視野角θは120°であった。
また加飾層2が設けられている領域における、覗き見防止体全体(本体1と加飾層2の積層物)の光線透過率は70%であり、ヘイズ値は20%であった。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の覗き見防止体は、例えば携帯電話、携帯情報端末(例えばPDA;Personal Didital Assistant)等における、情報表示体表示画面に適用して、該表示画面に表示された内容の覗き見を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 覗き見防止体本体
2 加飾層
3 印刷加飾層(印刷層)
10 防眩層
11 光透過帯
12 遮光帯
21 接着層
22 転写層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過帯と遮光帯とが交互に配されている防眩層を備えた覗き見防止体本体と、前記覗き見防止体本体の一面上の少なくとも一部に設けられた加飾層を有し、
前記加飾層の光線透過率が、該加飾層の全面積の90%以上において65〜90%であることを特徴とする覗き見防止体。
【請求項2】
前記加飾層が、前記覗き見防止体本体の一面上の少なくとも一部に設けられた接着層と、該接着層の上に積層された転写層を有することを特徴とする請求項1記載の覗き見防止体。
【請求項3】
前記加飾層が、前記覗き見防止体本体の一面上の少なくとも一部に設けられた印刷層からなることを特徴とする請求項1記載の覗き見防止体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−10716(P2007−10716A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187892(P2005−187892)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【出願人】(592045821)株式会社サンクレスト (8)
【Fターム(参考)】