覚醒維持装置
【課題】眠気を催す対象者に適切な覚醒刺激を付加することで対象者を覚醒状態に効果的に維持することが可能な覚醒維持装置を提供する。
【解決手段】対象者である運転者Dが眠気を催すと、エアバッグ3が膨張して運転者Dの脊柱起立筋に圧覚刺激の覚醒刺激を付加し、生理計測装置8が脊柱起立筋の活動状態を示すパラメータとしての筋電位を計測し、計測された筋電位に基づいて覚醒維持ECU11がエアバッグ3により脊柱起立筋に付加される圧覚覚醒刺激の強度を運転者Dの脳細胞の活動を活発化させる適切な強度に制御する。加えて、振動体7が脊柱起立筋に振動刺激を付加する。その結果、眠気を催した運転者Dが効果的に覚醒状態に維持される。
【解決手段】対象者である運転者Dが眠気を催すと、エアバッグ3が膨張して運転者Dの脊柱起立筋に圧覚刺激の覚醒刺激を付加し、生理計測装置8が脊柱起立筋の活動状態を示すパラメータとしての筋電位を計測し、計測された筋電位に基づいて覚醒維持ECU11がエアバッグ3により脊柱起立筋に付加される圧覚覚醒刺激の強度を運転者Dの脳細胞の活動を活発化させる適切な強度に制御する。加えて、振動体7が脊柱起立筋に振動刺激を付加する。その結果、眠気を催した運転者Dが効果的に覚醒状態に維持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眠気を催す対象者に覚醒刺激を与えることで対象者を覚醒状態に維持する覚醒維持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、眠気を催した人に覚醒刺激を与える装置が一般に知られている(例えば特許文献1、2参照)。ここで、特許文献1には、運転席のシートバックを傾動させ、運転者に圧覚を刺激するズレ力を発生させて運転者を覚醒状態に復帰させる装置が記載されている。また、特許文献2には、運転者の意識低下の度合い応じた覚醒刺激として、眠気度の深さに応じた音量の警報音を与える装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−344613号公報
【特許文献2】特開平8−147584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された装置は、運転席のシートバックを傾動させて運転者の圧覚を刺激するものであるため、運転者に適切な強度の覚醒刺激を与えることが難しい。一方、特許文献2に記載された装置は、警報音を覚醒刺激としているため、運転者の覚醒状態を効果的に維持するには難点がある。
【0005】
そこで、本発明は、眠気を催す対象者に適切な覚醒刺激を付加することで対象者を覚醒状態に効果的に維持することが可能な覚醒維持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る覚醒維持装置は、眠気を催す対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加して対象者を覚醒状態に維持する覚醒維持装置であって、対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加する覚醒刺激付加手段と、覚醒刺激付加手段により覚醒刺激が付加された対象者の骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得するパラメータ取得手段と、パラメータ取得手段により取得されたパラメータに基づき、刺激付加手段により対象者の骨格筋に付加される覚醒刺激の強度を所定の強度に制御する刺激強度制御手段とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る覚醒維持装置では、対象者が眠気を催すと、覚醒刺激付加手段が対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加し、パラメータ取得手段が対象者の骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得し、取得されたパラメータに基づいて刺激強度制御手段が対象者の骨格筋に付加される覚醒刺激の強度を所定の強度に制御する。そして、この覚醒刺激の強度が対象者の脳細胞の活動を活発化させる適切な強度に制御されることで、対象者が効果的に覚醒状態に維持される。
【0008】
ここで、本発明に係る覚醒維持装置は、刺激強度制御手段により所定の強度に制御された覚醒刺激に加えて対象者の骨格筋に振動刺激を付加する振動刺激付加手段を備えた構成とすることができる。この場合、対象者の骨格筋には所定の強度に制御された覚醒刺激に加えて振動刺激が付加されるため、対象者の覚醒刺激に対する慣れによる神経活動量の低下が抑制され、覚醒刺激の効果の持続時間が長くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る覚醒維持装置では、対象者が眠気を催すと、覚醒刺激付加手段が対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加し、パラメータ取得手段が対象者の骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得し、取得されたパラメータに基づいて刺激強度制御手段が対象者の骨格筋に付加される覚醒刺激の強度を所定の強度に制御する。従って、本発明によれば、覚醒刺激の強度を対象者の脳細胞の活動を活発化させる適切な強度に制御することで、対象者を効果的に覚醒状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る覚醒維持装置の構成をその対象者となる車両の運転者と共に模式的に示す運転席近傍の側面図である。
【図2】同覚醒維持装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】骨格筋の筋電位と太さとの相関関係を示す模式図である。
【図4】図2に示した覚醒維持ECUが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】骨格筋の筋力と神経電気パルス密度との相関関係を示すグラフである。
【図6】筋紡錘が圧覚刺激のみを受けた場合と、圧覚刺激に加えて振動刺激を受けた場合とを比較して説明した神経電気パルス密度の時間変化を示すグラフである。
【図7】覚醒刺激付加手段の変形例を示す図1に対応した側面図である。
【図8】振動刺激付加手段の変形例を示す図1に対応した側面図である。
【図9】パラメータ取得手段の変形例を示す図1に対応した側面図である。
【図10】覚醒刺激付加手段の他の変形例を示す図1に対応した側面図である。
【図11】図10に示した覚醒刺激付加手段の変形例を示す図10に対応した側面図である。
【図12】図10に示したパラメータ取得手段の変形例を示す図10に対応した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る覚醒維持装置の実施形態を説明する。一実施形態に係る覚醒維持装置は、例えば図1に示す運転席シート1に着座した車両の運転者Dを対象者として、眠気を催す運転者Dの骨格筋に覚醒刺激を付加して運転者Dを覚醒状態に維持する装置である。この覚醒維持装置は、以下に説明する運転者固定手段、覚醒刺激付加手段、振動刺激付加手段、パラメータ取得手段および刺激強度制御手段を備えており、具体的には図1および図2に示すような構成を備えている。
【0012】
運転者固定手段は、運転席シート1に着座した運転者Dの上半身をシートバック1Aに押し付けて固定するものであり、運転席シート1に付設されたシートベルト装置2のショルダベルト2Aと、このショルダベルト2Aを巻き上げる巻上げモータ2Bとを備えている。この巻上げモータ1は、所要時に巻き上げ駆動されてショルダベルト2Aを緊締させることで、運転者Dの上半身を運転席シート1のシートバック1Aに押し付ける。
【0013】
覚醒刺激付加手段は、運転者Dの腰部の骨格筋である脊柱起立筋に圧覚刺激の覚醒刺激(以後、圧覚覚醒刺激ということがある。)を付加する手段である。この覚醒刺激付加手段は、運転者Dの腰部を圧迫するようにシートバック1Aの下部に埋設されたエアバッグ3と、このエアバッグ3とコンプレッサ4との間の空気流路5を開閉する電磁弁6とを備えている。なお、この覚醒刺激付加手段は、エアバッグ3をウォータバッグに、コンプレッサ4をウォータポンプに、空気流路5を液体流路にそれぞれ変更して構成することも可能である。
【0014】
振動刺激付加手段は、運転者Dの腰部の脊柱起立筋に振動刺激を付加する手段であり、例えばエアバッグ2の前部に固定された振動体7を備えている。この振動体7は、通電により例えば60〜100Hzの振動数で加振制御されるように構成されている。
【0015】
パラメータ取得手段は、覚醒刺激付加手段により覚醒刺激が付加された運転者Dの骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得すると共に、運転者Dの骨格筋の最大筋力を示すパラメータを取得する。このパラメータ取得手段は、運転者Dの骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得するための生理計測装置8と、運転者Dの骨格筋の最大筋力を示すパラメータを取得するための骨格筋率計測装置9と備えている。
【0016】
生理計測装置8は、運転者Dの骨格筋の活動状態を示すパラメータとして、骨格筋の筋電位を計測する。この生理計測装置8は、運転者Dの体表に吸着される生理計測電極8Aを有し、この生理計測電極8Aを介して運転者Dの骨格筋の筋電位を計測する。なお、生理計測装置8は、単なる筋電位計であってもよいし、医療用テレメータや携帯型多用途生体アンプで構成されていてもよい。
【0017】
ここで、人の骨格筋のうち、腰椎部の脊柱起立筋には赤筋が多く存在し、赤筋には筋紡錘が多く含まれている。この筋紡錘は、刺激を受けると神経電気パルスを脊椎から脳に向けて発射する張力受容器であり、筋紡錘が多く含まれた脊柱起立筋に覚醒刺激を付加すれば、脳細胞を効率的に活性化させて運転者Dを効果的に覚醒状態に維持可能である。
【0018】
そこで、一実施形態においては、前述した覚醒刺激付加手段を構成するエアバッグ3が運転者Dの腰部を圧迫して脊柱起立筋に圧覚刺激の覚醒刺激を付加することを前提として、生理計測装置8の生理計測電極8Aは、運転者Dの脊柱起立筋の筋電位を計測するように、運転者Dの腰部の体表に吸着される。
【0019】
骨格筋率計測装置9は、運転者Dの骨格筋の最大筋力を示すパラメータとして、運転者Dの骨格筋率を計測する。この骨格筋率計測装置9は、運転者Dの両手で握られるようにステアリングホイール10の左右部分に埋め込まれて配設された一対の計測電極9Aを有する。
【0020】
このような骨格筋率計測装置9は、一対の計測電極9Aを介して運転者Dの身体に微弱電流を流した際の電気抵抗値を計測し、計測した電気抵抗値を運転者固有の基礎データと組み合わせて所定のアルゴリズムにより解析することにより、運転者Dの骨格筋率を計測する。なお、骨格筋率計測装置9には、運転者固有の基礎データとして、身長、体重、年齢、性別などのデータが予め登録されている。
【0021】
刺激強度制御手段は、パラメータ取得手段により取得されたパラメータに基づき、覚醒刺激付加手段を構成するエアバッグ3により運転者Dの脊柱起立筋に付加される圧覚覚醒刺激の強度を所定の強度、すなわち、運転者Dを覚醒状態に効果的に維持することのできる所定の強度に制御する手段であり、具体的には、覚醒維持ECU(Electronic Control Unit)11により構成される。
【0022】
覚醒維持ECU11は、入出力インターフェースI/O、A/Dコンバータ、プログラムおよびデータを記憶したROM(Read Only Memory)、入力データ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等をハードウェアとして備えたマイクロコンピュータで構成されており、そのハードウェアおよびソフトウェアを利用して刺激強度設定手段が構成されている。
【0023】
覚醒維持ECU11には、運転者Dの脊柱起立筋の活動状態に対応した筋力を推定するために、生理計測装置8が計測した運転者Dの脊柱起立筋の筋電位の計測データが入力される。この筋電位の計測データが入力された覚醒維持ECU11は、骨格筋の筋電位と太さとの相関関係に基づいて運転者Dの脊柱起立筋の太さを推定し、推定した脊柱起立筋の太さと筋力との相関関係に基づいて脊柱起立筋の筋力をリアルタイムで推定する。
【0024】
ここで、骨格筋の筋電位と太さとの相関関係は、図3の(a)に示すように筋電位の低い状態では骨格筋Mが細くなり、図3の(b)に示すように筋電位の高い状態では骨格筋Mが太くなるという相関関係であり、筋肉に電気刺激を与えると筋収縮が発生して筋肉が太くなるという原理(Glerup,H.,Eriksen,E.R.;Chapter 102 Muscles and Falls.Vitamin D second edition.Elsevier Academic Press.Burlington,MA,USA:1805-1820,2005の文献参照)に基づくものである。
【0025】
一方、脊柱起立筋の太さからその筋力を推定する原理は、筋肉の太さから筋力を推定できるという原理(中澤弘,日常生活活動と筋力,理学療法科学,18(1),7-13,2003の文献参照)に基づくものである。
【0026】
また、覚醒維持ECU11には、運転者Dの脊柱起立筋の最大筋力を推定するために、骨格筋率計測装置9が計測した運転者Dの骨格筋率の計測データが入力される。この骨格筋率の計測データが入力された覚醒維持ECU11は、運転者Dの骨格筋率から脊柱起立筋の最大太さを推定し、推定した脊柱起立筋の最大太さから脊柱起立筋の最大筋力を前述した原理に基づいて推定する。
【0027】
ここで、覚醒維持ECU11が運転者Dの覚醒度の低下(眠気度の上昇)状態を判定できるようにするため、運転者Dの顔面の画像するカメラユニット12が例えばステアリングホイール10の前方のコラムカバー13の上面に設置されている。そして、このカメラユニット12が撮影した運転者Dの顔面の画像データが覚醒維持ECU11に入力される。
【0028】
カメラユニット12から運転者Dの顔面の画像データが入力された覚醒維持ECU11は、例えば所定のエッジ処理により運転者Dの両眼の瞼の形状を検出し、検出した瞼の形状から所定のマッチング処理により運転者Dの両眼の閉眼率を取得する。そして、覚醒維持ECU11は、取得した閉眼率が運転者Dの覚醒度の低下(眠気度の上昇)を示す所定の閾値より大きくなると、運転者Dが眠気を催して覚醒度が低下したものと判定する。
【0029】
そして、このような覚醒維持ECU11は、運転者固定手段を構成する巻上げモータ2B、覚醒刺激付加手段を構成する電磁弁6およびコンプレッサ4、振動刺激付加手段を構成する振動体7の作動をそれぞれコントローラ14を介して制御するように構成されている。すなわち、覚醒維持ECU11は、コントローラ14に所定の制御信号を出力することで、所要時に巻上げモータ1を巻き上げ駆動し、所要時に電磁弁6を開閉動作させ、所要時にコンプレッサ4の作動をオン・オフさせ、所要時に振動体7を加振操作して振動させるように構成されている。
【0030】
次に、覚醒維持ECU11が実行する処理の手順の一例を図4に示すフローチャートに沿って順次説明する。この覚醒維持ECU11は、図示しない車両のイグニションスイッチのオンによりエンジンが始動された後において、眠気を催す運転者Dの脊柱起立筋に圧覚刺激の覚醒刺激を付加し、その際、圧覚覚醒刺激の強度を所定の強度に制御して運転者Dを覚醒状態に効果的に維持するための一連の処理を実行する。
【0031】
まず、ステップS1において、覚醒維持ECU11は、骨格筋率計測装置9に計測開始信号を出力して運転者Dの骨格筋率を計測させる。次のステップS2では、カメラユニット12から入力される運転者Dの顔面の画像データに基づき、所定のエッジ処理により運転者Dの両眼の瞼の形状を検出し、検出した瞼の形状から所定のマッチング処理により運転者Dの両眼の閉眼率を眠気情報として取得する。
【0032】
続くステップS3では、運転者Dの覚醒度が低下したか否かを判定する。すなわち、眠気情報とし取得した運転者Dの閉眼率が覚醒状態の低下を示す閾値より大きいか否かを判定する。
【0033】
ステップS3の判定結果がNOであって閉眼率が閾値より小さい場合には、運転者Dが覚醒状態にあるものとみなしてステップS2の処理に戻るが、判定結果がYESであって閉眼率が閾値より大きい場合には、運転者Dが眠気を催して覚醒度が低下したものとみなし、その対応処理のために次のステップS4に進む。
【0034】
ステップS4において覚醒維持ECU11は、コントローラ14を介して巻上げモータ2Bに所定の駆動信号を出力することで、巻上げモータ2Bによりシートベルト装置2のショルダベルト2Aを所定量だけ巻き上げて運転者Dの上半身をシートバック1Aに固定する。
【0035】
続くステップS5では、コントローラ14に所定の制御信号を出力することで、電磁弁6を開動作させると共にコンプレッサ4を起動させる。これにより、コンプレッサ4から空気流路5を介してエアバッグ3に圧縮空気が供給され、エアバッグ3が膨張してゆく。その結果、運転者Dの腰部(脊柱起立筋)にはエアバッグ3の膨張量に応じた圧覚刺激が覚醒刺激として付加される。
【0036】
次のステップS6では、骨格筋率計測装置9から運転者Dの骨格筋率の計測データを取得し、この骨格筋率の計測データから運転者Dの脊柱起立筋の最大太さを推定する。そして、覚醒維持ECU11は、推定した脊柱起立筋の最大太さ前述した原理に基づいて脊柱起立筋の最大筋力Tmaxを推定する。
【0037】
続くステップS7では、生理計測装置8から運転者Dの脊柱起立筋の筋電位の計測データを取得し、この脊柱起立筋の筋電位と太さとの相関関係に基づいて脊柱起立筋の太さを推定する。そして、覚醒維持ECU11は、推定した脊柱起立筋の太さから前述した原理に基づいて脊柱起立筋の筋力Tをリアルタイムで推定する。
【0038】
次のステップS8において覚醒維持ECU11は、ステップS7で推定した脊柱起立筋の筋力TがステップS6で推定した脊柱起立筋の最大筋力TmaxのX%に到達したか否かを判定する。ここで、X%は、圧覚覚醒刺激を受けた脊柱起立筋に含まれる筋紡錘が発射する神経電気パルスの密度が最大となる値であり、例えば、骨格筋の筋力と神経電気パルス密度との相関関係を示すグラフとして一般に知られている図5のグラフにおいて、神経電気パルス密度が最大となる30%前後の値である。
【0039】
ステップS8の判定結果がNOであればステップS7の処理に戻るが、脊柱起立筋の筋力Tが最大筋力TmaxのX%に到達して判定結果がYESとなると、続くステップS9において覚醒維持ECU11は、コントローラ14に所定の制御信号を出力することで、電磁弁6を閉動作させると共にコンプレッサ4の運転を停止させる。
【0040】
これにより、空気流路5が遮断されてエアバッグ3が所定の膨張量に保持され、エアバッグ3による運転者Dの脊柱起立筋への圧覚覚醒刺激の強度が一定に保持される。その結果、運転者Dの脊柱起立筋の筋力は、最大筋力TmaxのX%(例えば30%前後)に保持されることとなり、脊柱起立筋に含まれる筋紡錘が脊椎から脳に向けて発射する神経電気パルスの密度が最大密度に保持される。このため、脳細胞が効率的に活性化されて運転者Dは効果的に覚醒状態に維持される。
【0041】
ここで、筋紡錘が発射する神経電気パルスの密度は、筋紡錘が圧覚刺激のみを受けた場合には、図6の点線グラフに示すような時間変化を呈し、筋紡錘が圧覚刺激に加えて振動刺激を受けた場合には、図6の実線グラフに示すような時間変化を呈することが実験的に確認されている。
【0042】
すなわち、筋紡錘が圧覚刺激に加えて振動刺激を受けた場合には、圧覚刺激のみを受けた場合に較べて神経電気パルス密度の高い状態が持続し、刺激効果持続時間が長くなることが確認されている。ちなみに、20秒程度の振動刺激の付加により、30秒程度の刺激効果持続時間が得られることも実験的に確認されている。
【0043】
そこで、覚醒維持ECU11は、ステップS9に続くステップS10において、コントローラ14に所定の制御信号を出力して振動体7を加振し、例えば60〜100Hzの振動数で振動体7を20秒間振動させる。
【0044】
これにより、運転者Dの脊柱起立筋には、エアバッグ2による圧覚刺激に加えて振動体7による振動刺激が付加されることとなり、圧覚刺激に対する慣れによる筋紡錘からの神経電気パルス密度の減衰、すなわち、運転者Dの神経活動量の低下が抑制される。その結果、神経電気パルス密度の高い状態の刺激効果持続時間として、例えば30秒程度の刺激効果持続時間が得られることなる。
【0045】
ステップS10の処理により振動体7が20秒間振動すると、その後30秒程度の間は圧覚刺激の付加がなくても刺激効果が持続するため、続くステップS11において覚醒維持ECU9は、コントローラ14に所定の制御信号を出力して電磁弁6を開動作させることにより、エアバッグ3内の空気を空気流路5に逃がしてエアバッグ3を収縮させ、その後、刺激効果持続中の30秒間待機する(S12)。
【0046】
刺激効果持続中の30秒間の待機の後、覚醒維持ECU9は、運転者Dの覚醒度が上昇したか否かを判定するため、ステップS13において、ステップS2と同様の画像処理により運転者Dの両眼の閉眼率を眠気情報として取得する。続くステップS14において、運転者Dの覚醒度が上昇したか否かを判定する。すなわち、眠気情報として取得した閉眼率が覚醒状態の低下を示す閾値より小さくなったか否かを判定する。
【0047】
ステップS14の判定結果がYESであって閉眼率が閾値より小さくなった場合には、運転者Dが覚醒状態に復帰したものとみなしてリターンに進むが、判定結果がNOであって閉眼率が閾値より大きい場合には、運転者Dの覚醒度が依然として低下したままであるものとみなし、その対応処理のためにステップS5の処理に戻る。
【0048】
以上説明したように、一実施形態の覚醒維持装置では、運転者Dが眠気を催すと、図4に示したフローチャートのステップS5の処理により、エアバッグ3が膨張操作されて運転者Dの腰部(脊柱起立筋)に圧覚刺激の覚醒刺激が付加される。そして、この圧覚覚醒刺激の強度は、ステップS8、S9の処理により、圧覚覚醒刺激を受けた脊柱起立筋の筋紡錘が最大密度の神経電気パルスを発射する適切な強度に制御される。このため、脳細胞が効率的に活性化されて運転者Dは効果的に覚醒状態に維持される。
【0049】
しかも、ステップS10の処理により、運転者Dの脊柱起立筋には、エアバッグ2による圧覚刺激に加えて振動体7の加振による振動刺激が付加されるため、圧覚刺激に対する慣れによる筋紡錘からの神経電気パルス密度の減衰が抑制される。その結果、運転者Dに対する覚醒維持の効果の持続時間として、例えば30秒程度の刺激効果持続時間が得られる。
【0050】
従って、一実施形態の覚醒維持装置によれば、眠気を催した運転者Dを効果的に覚醒状態に維持することができると共に、その覚醒維持の持続時間として、振動体7が加振される20秒と、その後の30秒の合計50秒程度の刺激効果持続時間を得ることができる。
【0051】
本発明に係る覚醒維持装置は、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、図4に示したフローチャートのステップS2で取得する眠気情報は、運転者Dの生理指標である心拍数とし、ステップS2で行う覚醒度低下の判定は、心拍数が覚醒状態の低下を示す閾値より少ないか否かを判定するようにしてもよい。この場合、運転者Dの心拍数は、図2に示した生理計測装置8を利用して計測するようにしてもよい。
【0052】
また、図1に示したコンプレッサ4、空気流路5、電磁弁6およびエアバッグ3で構成される覚醒刺激付加手段は、図7に示す油圧シリンダ装置20を備えた構成に変更してもよい。この油圧シリンダ装置20は、運転席シート1のシートバック1Aの下部に埋設されることで運転者Dの腰部を圧迫する。この場合、油圧シリンダ装置20は、運転者Dの脊柱起立筋に圧覚刺激を付加した後に振動刺激を付加するように、図示しない油圧制御回路により制御するのが好ましい。なお、この油圧シリンダ装置20は、エアシリンダ装置に変更可能である。
【0053】
さらに、図1に示した振動体7を備える振動刺激付加手段は、図8に示す偏芯モータ30を備える構成に変更してもよい。この偏芯モータ30は、運転席シート1のシートバック1Aの下部に埋設されることで運転者Dの腰部に振動刺激を与える。この場合、偏芯モータ30は、運転者Dの脊柱起立筋に付加する振動刺激の周波数を変更可能に制御されるのが好ましい。
【0054】
また、図1に示した生理計測装置8を備えるパラメータ取得手段は、図9に示すようにシートベルト装置2の巻上げモータ2Bに同軸に接続されたトルクセンサ40を備える構成に変更してもよい。このトルクセンサ40は、図1に示したエアバッグ3の膨張により運転者Dの上半身がシートバック1Aの前方に押圧されてショルダベルト2Aが緊張し、その張力が巻上げモータ2Bに作用すると、巻上げモータ2Bのトルクをショルダベルト2Aの張力として計測する。この変形例では、トルクセンサ40が計測したショルダベルト2Aの張力に基づいて覚醒維持ECU11が運転者Dの脊柱起立筋の筋力を推定する。
【0055】
ここで、運転者Dの脚部のヒラメ筋には、脊柱起立筋と同様に筋紡錘が多く含まれており、このヒラメ筋を伸ばすと、その圧覚刺激により筋紡錘が神経電気パルスを発射して脳細胞が効率的に活性化される。そこで、図1に示した運転者Dの腰部の脊柱起立筋に圧覚覚醒刺激を付加するエアバッグ3を備えた覚醒刺激付加手段は、図10、図11に示す変形例のように、運転者Dの脚部のヒラメ筋に圧覚覚醒刺激を付加するように構成することができる。
【0056】
図10に示す変形例の覚醒刺激付加手段は、前端部が上下に揺動可能に支持されたフットレスト50と、フットレスト50上に足裏が支持された運転者Dの足首を固定するベルト51と、フットレスト50の後端部に揺動トルクを伝達してフットレスト50の前端部を上下に揺動させるモータ52とを備えている。この変形例では、モータ52によりフットレスト50の前端部を上方に揺動させることで、運転者Dの脚部のヒラメ筋が伸ばされてヒラメ筋に圧覚覚醒刺激が付加される。なお、この変形例では、生理計測装置8の生理計測電極8Aは、運転者Dのヒラメ筋の筋電位を計測するように、運転者Dの脚部のふくらはぎ部分に吸着される。
【0057】
図11に示す変形例の覚醒刺激付加手段は、図10に示したモータ52に替えて、フットレスト50の前端部を上下に揺動させる油圧シリンダ装置53を設けたものであり、その他は図10に示した変形例と同様に構成されている。この変形例では、油圧シリンダ装置53によりフットレスト50の前端部を上方に揺動させることで、運転者Dの脚部のヒラメ筋が伸ばされてヒラメ筋に圧覚覚醒刺激が付加される。
【0058】
ここで、図10に示した生理計測装置8を備えるパラメータ取得手段は、図12に示す変形例のように、運転者Dのふくらはぎ部分に巻装される太さ検出バンド60を備える構成に変更してもよい。この太さ検出バンド60は、運転者Dのふくらはぎ部分の太さに応じて伸縮することで、ヒラメ筋の太さの変化を計測する。この変形例では、太さ検出バンド60が計測したヒラメ筋の太さに基づいて覚醒維持ECU11が運転者Dのヒラメ筋の筋力を推定する。
【0059】
なお、図示は省略するが、図1に示した骨格筋率計測装置9は、運転者Dの腹部から背中にわたる断面画像を撮影可能な腹部エコー装置に変更することができる。この場合、覚醒維持ECU11は、腹部エコー装置が撮影した断面画像に基づいて運転者Dの脊柱起立筋の太さを推定する。
【符号の説明】
【0060】
1…運転席シート、1A…シートバック、2…シートベルト装置、2A…ショルダベルト、2B…巻上げモータ、3…エアバッグ、4…コンプレッサ、5…空気流路、6…電磁弁、7…振動体、8…生理計測装置、8A…生理計測電極、9…骨格筋率計測装置、9A…計測電極、10…ステアリングホイール、11…覚醒維持ECU、12…カメラユニット、13…コラムカバー、14…コントローラ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、眠気を催す対象者に覚醒刺激を与えることで対象者を覚醒状態に維持する覚醒維持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、眠気を催した人に覚醒刺激を与える装置が一般に知られている(例えば特許文献1、2参照)。ここで、特許文献1には、運転席のシートバックを傾動させ、運転者に圧覚を刺激するズレ力を発生させて運転者を覚醒状態に復帰させる装置が記載されている。また、特許文献2には、運転者の意識低下の度合い応じた覚醒刺激として、眠気度の深さに応じた音量の警報音を与える装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−344613号公報
【特許文献2】特開平8−147584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された装置は、運転席のシートバックを傾動させて運転者の圧覚を刺激するものであるため、運転者に適切な強度の覚醒刺激を与えることが難しい。一方、特許文献2に記載された装置は、警報音を覚醒刺激としているため、運転者の覚醒状態を効果的に維持するには難点がある。
【0005】
そこで、本発明は、眠気を催す対象者に適切な覚醒刺激を付加することで対象者を覚醒状態に効果的に維持することが可能な覚醒維持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る覚醒維持装置は、眠気を催す対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加して対象者を覚醒状態に維持する覚醒維持装置であって、対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加する覚醒刺激付加手段と、覚醒刺激付加手段により覚醒刺激が付加された対象者の骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得するパラメータ取得手段と、パラメータ取得手段により取得されたパラメータに基づき、刺激付加手段により対象者の骨格筋に付加される覚醒刺激の強度を所定の強度に制御する刺激強度制御手段とを備えて構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る覚醒維持装置では、対象者が眠気を催すと、覚醒刺激付加手段が対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加し、パラメータ取得手段が対象者の骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得し、取得されたパラメータに基づいて刺激強度制御手段が対象者の骨格筋に付加される覚醒刺激の強度を所定の強度に制御する。そして、この覚醒刺激の強度が対象者の脳細胞の活動を活発化させる適切な強度に制御されることで、対象者が効果的に覚醒状態に維持される。
【0008】
ここで、本発明に係る覚醒維持装置は、刺激強度制御手段により所定の強度に制御された覚醒刺激に加えて対象者の骨格筋に振動刺激を付加する振動刺激付加手段を備えた構成とすることができる。この場合、対象者の骨格筋には所定の強度に制御された覚醒刺激に加えて振動刺激が付加されるため、対象者の覚醒刺激に対する慣れによる神経活動量の低下が抑制され、覚醒刺激の効果の持続時間が長くなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る覚醒維持装置では、対象者が眠気を催すと、覚醒刺激付加手段が対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加し、パラメータ取得手段が対象者の骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得し、取得されたパラメータに基づいて刺激強度制御手段が対象者の骨格筋に付加される覚醒刺激の強度を所定の強度に制御する。従って、本発明によれば、覚醒刺激の強度を対象者の脳細胞の活動を活発化させる適切な強度に制御することで、対象者を効果的に覚醒状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る覚醒維持装置の構成をその対象者となる車両の運転者と共に模式的に示す運転席近傍の側面図である。
【図2】同覚醒維持装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】骨格筋の筋電位と太さとの相関関係を示す模式図である。
【図4】図2に示した覚醒維持ECUが実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】骨格筋の筋力と神経電気パルス密度との相関関係を示すグラフである。
【図6】筋紡錘が圧覚刺激のみを受けた場合と、圧覚刺激に加えて振動刺激を受けた場合とを比較して説明した神経電気パルス密度の時間変化を示すグラフである。
【図7】覚醒刺激付加手段の変形例を示す図1に対応した側面図である。
【図8】振動刺激付加手段の変形例を示す図1に対応した側面図である。
【図9】パラメータ取得手段の変形例を示す図1に対応した側面図である。
【図10】覚醒刺激付加手段の他の変形例を示す図1に対応した側面図である。
【図11】図10に示した覚醒刺激付加手段の変形例を示す図10に対応した側面図である。
【図12】図10に示したパラメータ取得手段の変形例を示す図10に対応した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る覚醒維持装置の実施形態を説明する。一実施形態に係る覚醒維持装置は、例えば図1に示す運転席シート1に着座した車両の運転者Dを対象者として、眠気を催す運転者Dの骨格筋に覚醒刺激を付加して運転者Dを覚醒状態に維持する装置である。この覚醒維持装置は、以下に説明する運転者固定手段、覚醒刺激付加手段、振動刺激付加手段、パラメータ取得手段および刺激強度制御手段を備えており、具体的には図1および図2に示すような構成を備えている。
【0012】
運転者固定手段は、運転席シート1に着座した運転者Dの上半身をシートバック1Aに押し付けて固定するものであり、運転席シート1に付設されたシートベルト装置2のショルダベルト2Aと、このショルダベルト2Aを巻き上げる巻上げモータ2Bとを備えている。この巻上げモータ1は、所要時に巻き上げ駆動されてショルダベルト2Aを緊締させることで、運転者Dの上半身を運転席シート1のシートバック1Aに押し付ける。
【0013】
覚醒刺激付加手段は、運転者Dの腰部の骨格筋である脊柱起立筋に圧覚刺激の覚醒刺激(以後、圧覚覚醒刺激ということがある。)を付加する手段である。この覚醒刺激付加手段は、運転者Dの腰部を圧迫するようにシートバック1Aの下部に埋設されたエアバッグ3と、このエアバッグ3とコンプレッサ4との間の空気流路5を開閉する電磁弁6とを備えている。なお、この覚醒刺激付加手段は、エアバッグ3をウォータバッグに、コンプレッサ4をウォータポンプに、空気流路5を液体流路にそれぞれ変更して構成することも可能である。
【0014】
振動刺激付加手段は、運転者Dの腰部の脊柱起立筋に振動刺激を付加する手段であり、例えばエアバッグ2の前部に固定された振動体7を備えている。この振動体7は、通電により例えば60〜100Hzの振動数で加振制御されるように構成されている。
【0015】
パラメータ取得手段は、覚醒刺激付加手段により覚醒刺激が付加された運転者Dの骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得すると共に、運転者Dの骨格筋の最大筋力を示すパラメータを取得する。このパラメータ取得手段は、運転者Dの骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得するための生理計測装置8と、運転者Dの骨格筋の最大筋力を示すパラメータを取得するための骨格筋率計測装置9と備えている。
【0016】
生理計測装置8は、運転者Dの骨格筋の活動状態を示すパラメータとして、骨格筋の筋電位を計測する。この生理計測装置8は、運転者Dの体表に吸着される生理計測電極8Aを有し、この生理計測電極8Aを介して運転者Dの骨格筋の筋電位を計測する。なお、生理計測装置8は、単なる筋電位計であってもよいし、医療用テレメータや携帯型多用途生体アンプで構成されていてもよい。
【0017】
ここで、人の骨格筋のうち、腰椎部の脊柱起立筋には赤筋が多く存在し、赤筋には筋紡錘が多く含まれている。この筋紡錘は、刺激を受けると神経電気パルスを脊椎から脳に向けて発射する張力受容器であり、筋紡錘が多く含まれた脊柱起立筋に覚醒刺激を付加すれば、脳細胞を効率的に活性化させて運転者Dを効果的に覚醒状態に維持可能である。
【0018】
そこで、一実施形態においては、前述した覚醒刺激付加手段を構成するエアバッグ3が運転者Dの腰部を圧迫して脊柱起立筋に圧覚刺激の覚醒刺激を付加することを前提として、生理計測装置8の生理計測電極8Aは、運転者Dの脊柱起立筋の筋電位を計測するように、運転者Dの腰部の体表に吸着される。
【0019】
骨格筋率計測装置9は、運転者Dの骨格筋の最大筋力を示すパラメータとして、運転者Dの骨格筋率を計測する。この骨格筋率計測装置9は、運転者Dの両手で握られるようにステアリングホイール10の左右部分に埋め込まれて配設された一対の計測電極9Aを有する。
【0020】
このような骨格筋率計測装置9は、一対の計測電極9Aを介して運転者Dの身体に微弱電流を流した際の電気抵抗値を計測し、計測した電気抵抗値を運転者固有の基礎データと組み合わせて所定のアルゴリズムにより解析することにより、運転者Dの骨格筋率を計測する。なお、骨格筋率計測装置9には、運転者固有の基礎データとして、身長、体重、年齢、性別などのデータが予め登録されている。
【0021】
刺激強度制御手段は、パラメータ取得手段により取得されたパラメータに基づき、覚醒刺激付加手段を構成するエアバッグ3により運転者Dの脊柱起立筋に付加される圧覚覚醒刺激の強度を所定の強度、すなわち、運転者Dを覚醒状態に効果的に維持することのできる所定の強度に制御する手段であり、具体的には、覚醒維持ECU(Electronic Control Unit)11により構成される。
【0022】
覚醒維持ECU11は、入出力インターフェースI/O、A/Dコンバータ、プログラムおよびデータを記憶したROM(Read Only Memory)、入力データ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等をハードウェアとして備えたマイクロコンピュータで構成されており、そのハードウェアおよびソフトウェアを利用して刺激強度設定手段が構成されている。
【0023】
覚醒維持ECU11には、運転者Dの脊柱起立筋の活動状態に対応した筋力を推定するために、生理計測装置8が計測した運転者Dの脊柱起立筋の筋電位の計測データが入力される。この筋電位の計測データが入力された覚醒維持ECU11は、骨格筋の筋電位と太さとの相関関係に基づいて運転者Dの脊柱起立筋の太さを推定し、推定した脊柱起立筋の太さと筋力との相関関係に基づいて脊柱起立筋の筋力をリアルタイムで推定する。
【0024】
ここで、骨格筋の筋電位と太さとの相関関係は、図3の(a)に示すように筋電位の低い状態では骨格筋Mが細くなり、図3の(b)に示すように筋電位の高い状態では骨格筋Mが太くなるという相関関係であり、筋肉に電気刺激を与えると筋収縮が発生して筋肉が太くなるという原理(Glerup,H.,Eriksen,E.R.;Chapter 102 Muscles and Falls.Vitamin D second edition.Elsevier Academic Press.Burlington,MA,USA:1805-1820,2005の文献参照)に基づくものである。
【0025】
一方、脊柱起立筋の太さからその筋力を推定する原理は、筋肉の太さから筋力を推定できるという原理(中澤弘,日常生活活動と筋力,理学療法科学,18(1),7-13,2003の文献参照)に基づくものである。
【0026】
また、覚醒維持ECU11には、運転者Dの脊柱起立筋の最大筋力を推定するために、骨格筋率計測装置9が計測した運転者Dの骨格筋率の計測データが入力される。この骨格筋率の計測データが入力された覚醒維持ECU11は、運転者Dの骨格筋率から脊柱起立筋の最大太さを推定し、推定した脊柱起立筋の最大太さから脊柱起立筋の最大筋力を前述した原理に基づいて推定する。
【0027】
ここで、覚醒維持ECU11が運転者Dの覚醒度の低下(眠気度の上昇)状態を判定できるようにするため、運転者Dの顔面の画像するカメラユニット12が例えばステアリングホイール10の前方のコラムカバー13の上面に設置されている。そして、このカメラユニット12が撮影した運転者Dの顔面の画像データが覚醒維持ECU11に入力される。
【0028】
カメラユニット12から運転者Dの顔面の画像データが入力された覚醒維持ECU11は、例えば所定のエッジ処理により運転者Dの両眼の瞼の形状を検出し、検出した瞼の形状から所定のマッチング処理により運転者Dの両眼の閉眼率を取得する。そして、覚醒維持ECU11は、取得した閉眼率が運転者Dの覚醒度の低下(眠気度の上昇)を示す所定の閾値より大きくなると、運転者Dが眠気を催して覚醒度が低下したものと判定する。
【0029】
そして、このような覚醒維持ECU11は、運転者固定手段を構成する巻上げモータ2B、覚醒刺激付加手段を構成する電磁弁6およびコンプレッサ4、振動刺激付加手段を構成する振動体7の作動をそれぞれコントローラ14を介して制御するように構成されている。すなわち、覚醒維持ECU11は、コントローラ14に所定の制御信号を出力することで、所要時に巻上げモータ1を巻き上げ駆動し、所要時に電磁弁6を開閉動作させ、所要時にコンプレッサ4の作動をオン・オフさせ、所要時に振動体7を加振操作して振動させるように構成されている。
【0030】
次に、覚醒維持ECU11が実行する処理の手順の一例を図4に示すフローチャートに沿って順次説明する。この覚醒維持ECU11は、図示しない車両のイグニションスイッチのオンによりエンジンが始動された後において、眠気を催す運転者Dの脊柱起立筋に圧覚刺激の覚醒刺激を付加し、その際、圧覚覚醒刺激の強度を所定の強度に制御して運転者Dを覚醒状態に効果的に維持するための一連の処理を実行する。
【0031】
まず、ステップS1において、覚醒維持ECU11は、骨格筋率計測装置9に計測開始信号を出力して運転者Dの骨格筋率を計測させる。次のステップS2では、カメラユニット12から入力される運転者Dの顔面の画像データに基づき、所定のエッジ処理により運転者Dの両眼の瞼の形状を検出し、検出した瞼の形状から所定のマッチング処理により運転者Dの両眼の閉眼率を眠気情報として取得する。
【0032】
続くステップS3では、運転者Dの覚醒度が低下したか否かを判定する。すなわち、眠気情報とし取得した運転者Dの閉眼率が覚醒状態の低下を示す閾値より大きいか否かを判定する。
【0033】
ステップS3の判定結果がNOであって閉眼率が閾値より小さい場合には、運転者Dが覚醒状態にあるものとみなしてステップS2の処理に戻るが、判定結果がYESであって閉眼率が閾値より大きい場合には、運転者Dが眠気を催して覚醒度が低下したものとみなし、その対応処理のために次のステップS4に進む。
【0034】
ステップS4において覚醒維持ECU11は、コントローラ14を介して巻上げモータ2Bに所定の駆動信号を出力することで、巻上げモータ2Bによりシートベルト装置2のショルダベルト2Aを所定量だけ巻き上げて運転者Dの上半身をシートバック1Aに固定する。
【0035】
続くステップS5では、コントローラ14に所定の制御信号を出力することで、電磁弁6を開動作させると共にコンプレッサ4を起動させる。これにより、コンプレッサ4から空気流路5を介してエアバッグ3に圧縮空気が供給され、エアバッグ3が膨張してゆく。その結果、運転者Dの腰部(脊柱起立筋)にはエアバッグ3の膨張量に応じた圧覚刺激が覚醒刺激として付加される。
【0036】
次のステップS6では、骨格筋率計測装置9から運転者Dの骨格筋率の計測データを取得し、この骨格筋率の計測データから運転者Dの脊柱起立筋の最大太さを推定する。そして、覚醒維持ECU11は、推定した脊柱起立筋の最大太さ前述した原理に基づいて脊柱起立筋の最大筋力Tmaxを推定する。
【0037】
続くステップS7では、生理計測装置8から運転者Dの脊柱起立筋の筋電位の計測データを取得し、この脊柱起立筋の筋電位と太さとの相関関係に基づいて脊柱起立筋の太さを推定する。そして、覚醒維持ECU11は、推定した脊柱起立筋の太さから前述した原理に基づいて脊柱起立筋の筋力Tをリアルタイムで推定する。
【0038】
次のステップS8において覚醒維持ECU11は、ステップS7で推定した脊柱起立筋の筋力TがステップS6で推定した脊柱起立筋の最大筋力TmaxのX%に到達したか否かを判定する。ここで、X%は、圧覚覚醒刺激を受けた脊柱起立筋に含まれる筋紡錘が発射する神経電気パルスの密度が最大となる値であり、例えば、骨格筋の筋力と神経電気パルス密度との相関関係を示すグラフとして一般に知られている図5のグラフにおいて、神経電気パルス密度が最大となる30%前後の値である。
【0039】
ステップS8の判定結果がNOであればステップS7の処理に戻るが、脊柱起立筋の筋力Tが最大筋力TmaxのX%に到達して判定結果がYESとなると、続くステップS9において覚醒維持ECU11は、コントローラ14に所定の制御信号を出力することで、電磁弁6を閉動作させると共にコンプレッサ4の運転を停止させる。
【0040】
これにより、空気流路5が遮断されてエアバッグ3が所定の膨張量に保持され、エアバッグ3による運転者Dの脊柱起立筋への圧覚覚醒刺激の強度が一定に保持される。その結果、運転者Dの脊柱起立筋の筋力は、最大筋力TmaxのX%(例えば30%前後)に保持されることとなり、脊柱起立筋に含まれる筋紡錘が脊椎から脳に向けて発射する神経電気パルスの密度が最大密度に保持される。このため、脳細胞が効率的に活性化されて運転者Dは効果的に覚醒状態に維持される。
【0041】
ここで、筋紡錘が発射する神経電気パルスの密度は、筋紡錘が圧覚刺激のみを受けた場合には、図6の点線グラフに示すような時間変化を呈し、筋紡錘が圧覚刺激に加えて振動刺激を受けた場合には、図6の実線グラフに示すような時間変化を呈することが実験的に確認されている。
【0042】
すなわち、筋紡錘が圧覚刺激に加えて振動刺激を受けた場合には、圧覚刺激のみを受けた場合に較べて神経電気パルス密度の高い状態が持続し、刺激効果持続時間が長くなることが確認されている。ちなみに、20秒程度の振動刺激の付加により、30秒程度の刺激効果持続時間が得られることも実験的に確認されている。
【0043】
そこで、覚醒維持ECU11は、ステップS9に続くステップS10において、コントローラ14に所定の制御信号を出力して振動体7を加振し、例えば60〜100Hzの振動数で振動体7を20秒間振動させる。
【0044】
これにより、運転者Dの脊柱起立筋には、エアバッグ2による圧覚刺激に加えて振動体7による振動刺激が付加されることとなり、圧覚刺激に対する慣れによる筋紡錘からの神経電気パルス密度の減衰、すなわち、運転者Dの神経活動量の低下が抑制される。その結果、神経電気パルス密度の高い状態の刺激効果持続時間として、例えば30秒程度の刺激効果持続時間が得られることなる。
【0045】
ステップS10の処理により振動体7が20秒間振動すると、その後30秒程度の間は圧覚刺激の付加がなくても刺激効果が持続するため、続くステップS11において覚醒維持ECU9は、コントローラ14に所定の制御信号を出力して電磁弁6を開動作させることにより、エアバッグ3内の空気を空気流路5に逃がしてエアバッグ3を収縮させ、その後、刺激効果持続中の30秒間待機する(S12)。
【0046】
刺激効果持続中の30秒間の待機の後、覚醒維持ECU9は、運転者Dの覚醒度が上昇したか否かを判定するため、ステップS13において、ステップS2と同様の画像処理により運転者Dの両眼の閉眼率を眠気情報として取得する。続くステップS14において、運転者Dの覚醒度が上昇したか否かを判定する。すなわち、眠気情報として取得した閉眼率が覚醒状態の低下を示す閾値より小さくなったか否かを判定する。
【0047】
ステップS14の判定結果がYESであって閉眼率が閾値より小さくなった場合には、運転者Dが覚醒状態に復帰したものとみなしてリターンに進むが、判定結果がNOであって閉眼率が閾値より大きい場合には、運転者Dの覚醒度が依然として低下したままであるものとみなし、その対応処理のためにステップS5の処理に戻る。
【0048】
以上説明したように、一実施形態の覚醒維持装置では、運転者Dが眠気を催すと、図4に示したフローチャートのステップS5の処理により、エアバッグ3が膨張操作されて運転者Dの腰部(脊柱起立筋)に圧覚刺激の覚醒刺激が付加される。そして、この圧覚覚醒刺激の強度は、ステップS8、S9の処理により、圧覚覚醒刺激を受けた脊柱起立筋の筋紡錘が最大密度の神経電気パルスを発射する適切な強度に制御される。このため、脳細胞が効率的に活性化されて運転者Dは効果的に覚醒状態に維持される。
【0049】
しかも、ステップS10の処理により、運転者Dの脊柱起立筋には、エアバッグ2による圧覚刺激に加えて振動体7の加振による振動刺激が付加されるため、圧覚刺激に対する慣れによる筋紡錘からの神経電気パルス密度の減衰が抑制される。その結果、運転者Dに対する覚醒維持の効果の持続時間として、例えば30秒程度の刺激効果持続時間が得られる。
【0050】
従って、一実施形態の覚醒維持装置によれば、眠気を催した運転者Dを効果的に覚醒状態に維持することができると共に、その覚醒維持の持続時間として、振動体7が加振される20秒と、その後の30秒の合計50秒程度の刺激効果持続時間を得ることができる。
【0051】
本発明に係る覚醒維持装置は、前述した一実施形態に限定されるものではない。例えば、図4に示したフローチャートのステップS2で取得する眠気情報は、運転者Dの生理指標である心拍数とし、ステップS2で行う覚醒度低下の判定は、心拍数が覚醒状態の低下を示す閾値より少ないか否かを判定するようにしてもよい。この場合、運転者Dの心拍数は、図2に示した生理計測装置8を利用して計測するようにしてもよい。
【0052】
また、図1に示したコンプレッサ4、空気流路5、電磁弁6およびエアバッグ3で構成される覚醒刺激付加手段は、図7に示す油圧シリンダ装置20を備えた構成に変更してもよい。この油圧シリンダ装置20は、運転席シート1のシートバック1Aの下部に埋設されることで運転者Dの腰部を圧迫する。この場合、油圧シリンダ装置20は、運転者Dの脊柱起立筋に圧覚刺激を付加した後に振動刺激を付加するように、図示しない油圧制御回路により制御するのが好ましい。なお、この油圧シリンダ装置20は、エアシリンダ装置に変更可能である。
【0053】
さらに、図1に示した振動体7を備える振動刺激付加手段は、図8に示す偏芯モータ30を備える構成に変更してもよい。この偏芯モータ30は、運転席シート1のシートバック1Aの下部に埋設されることで運転者Dの腰部に振動刺激を与える。この場合、偏芯モータ30は、運転者Dの脊柱起立筋に付加する振動刺激の周波数を変更可能に制御されるのが好ましい。
【0054】
また、図1に示した生理計測装置8を備えるパラメータ取得手段は、図9に示すようにシートベルト装置2の巻上げモータ2Bに同軸に接続されたトルクセンサ40を備える構成に変更してもよい。このトルクセンサ40は、図1に示したエアバッグ3の膨張により運転者Dの上半身がシートバック1Aの前方に押圧されてショルダベルト2Aが緊張し、その張力が巻上げモータ2Bに作用すると、巻上げモータ2Bのトルクをショルダベルト2Aの張力として計測する。この変形例では、トルクセンサ40が計測したショルダベルト2Aの張力に基づいて覚醒維持ECU11が運転者Dの脊柱起立筋の筋力を推定する。
【0055】
ここで、運転者Dの脚部のヒラメ筋には、脊柱起立筋と同様に筋紡錘が多く含まれており、このヒラメ筋を伸ばすと、その圧覚刺激により筋紡錘が神経電気パルスを発射して脳細胞が効率的に活性化される。そこで、図1に示した運転者Dの腰部の脊柱起立筋に圧覚覚醒刺激を付加するエアバッグ3を備えた覚醒刺激付加手段は、図10、図11に示す変形例のように、運転者Dの脚部のヒラメ筋に圧覚覚醒刺激を付加するように構成することができる。
【0056】
図10に示す変形例の覚醒刺激付加手段は、前端部が上下に揺動可能に支持されたフットレスト50と、フットレスト50上に足裏が支持された運転者Dの足首を固定するベルト51と、フットレスト50の後端部に揺動トルクを伝達してフットレスト50の前端部を上下に揺動させるモータ52とを備えている。この変形例では、モータ52によりフットレスト50の前端部を上方に揺動させることで、運転者Dの脚部のヒラメ筋が伸ばされてヒラメ筋に圧覚覚醒刺激が付加される。なお、この変形例では、生理計測装置8の生理計測電極8Aは、運転者Dのヒラメ筋の筋電位を計測するように、運転者Dの脚部のふくらはぎ部分に吸着される。
【0057】
図11に示す変形例の覚醒刺激付加手段は、図10に示したモータ52に替えて、フットレスト50の前端部を上下に揺動させる油圧シリンダ装置53を設けたものであり、その他は図10に示した変形例と同様に構成されている。この変形例では、油圧シリンダ装置53によりフットレスト50の前端部を上方に揺動させることで、運転者Dの脚部のヒラメ筋が伸ばされてヒラメ筋に圧覚覚醒刺激が付加される。
【0058】
ここで、図10に示した生理計測装置8を備えるパラメータ取得手段は、図12に示す変形例のように、運転者Dのふくらはぎ部分に巻装される太さ検出バンド60を備える構成に変更してもよい。この太さ検出バンド60は、運転者Dのふくらはぎ部分の太さに応じて伸縮することで、ヒラメ筋の太さの変化を計測する。この変形例では、太さ検出バンド60が計測したヒラメ筋の太さに基づいて覚醒維持ECU11が運転者Dのヒラメ筋の筋力を推定する。
【0059】
なお、図示は省略するが、図1に示した骨格筋率計測装置9は、運転者Dの腹部から背中にわたる断面画像を撮影可能な腹部エコー装置に変更することができる。この場合、覚醒維持ECU11は、腹部エコー装置が撮影した断面画像に基づいて運転者Dの脊柱起立筋の太さを推定する。
【符号の説明】
【0060】
1…運転席シート、1A…シートバック、2…シートベルト装置、2A…ショルダベルト、2B…巻上げモータ、3…エアバッグ、4…コンプレッサ、5…空気流路、6…電磁弁、7…振動体、8…生理計測装置、8A…生理計測電極、9…骨格筋率計測装置、9A…計測電極、10…ステアリングホイール、11…覚醒維持ECU、12…カメラユニット、13…コラムカバー、14…コントローラ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眠気を催す対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加して対象者を覚醒状態に維持する覚醒維持装置であって、
対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加する覚醒刺激付加手段と、覚醒刺激付加手段により覚醒刺激が付加された対象者の骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得するパラメータ取得手段と、パラメータ取得手段により取得されたパラメータに基づき、覚醒刺激付加手段により対象者の骨格筋に付加される覚醒刺激の強度を所定の強度に制御する刺激強度制御手段とを備えて構成されていることを特徴とする覚醒維持装置。
【請求項2】
前記刺激強度制御手段により所定の強度に制御された覚醒刺激に加えて前記対象者の骨格筋に振動刺激を付加する振動刺激付加手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の覚醒維持装置。
【請求項1】
眠気を催す対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加して対象者を覚醒状態に維持する覚醒維持装置であって、
対象者の骨格筋に覚醒刺激を付加する覚醒刺激付加手段と、覚醒刺激付加手段により覚醒刺激が付加された対象者の骨格筋の活動状態を示すパラメータを取得するパラメータ取得手段と、パラメータ取得手段により取得されたパラメータに基づき、覚醒刺激付加手段により対象者の骨格筋に付加される覚醒刺激の強度を所定の強度に制御する刺激強度制御手段とを備えて構成されていることを特徴とする覚醒維持装置。
【請求項2】
前記刺激強度制御手段により所定の強度に制御された覚醒刺激に加えて前記対象者の骨格筋に振動刺激を付加する振動刺激付加手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の覚醒維持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−172541(P2010−172541A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19638(P2009−19638)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504160781)国立大学法人金沢大学 (282)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504160781)国立大学法人金沢大学 (282)
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