説明

観察システム、その観察装置

【課題】アプリケーションソフトウェアの起動と共に観察が可能状態となる。
【解決手段】PC119のアプリケーションソフトウェアが終了状態のときには、CPU201の制御によりスイッチ部211がOFFになっており、モータ/ランプ用電源210は各モータ110,107や光源111に供給されない状態となっている。この状態でも、ロジック用電源209はCPU201、各I/F204に供給されている。よって、アプリケーションソフトウェア起動によりスイッチ部211がONするが、各電動部の初期化処理は必要なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動駆動部を有する光学顕微鏡、実体顕微鏡、ビデオマイクロスコープなどの観察装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学顕微鏡、実体顕微鏡、ビデオマイクロスコープなどの観察装置は、医学、生物学を始めとして、工業分野においてもICウェハや磁気ヘッドの検査、金属組織などの品質管理、新素材などの研究開発の種々の分野や用途において広く使用されている。
【0003】
近年では、これら観察装置で複数の観察者が同時に試料を観察する、またはレポートなどの業務資料などに試料の拡大像を載せるなど、その用途も拡大している。観察装置にCCDカメラを接続して、その撮像画像をPC上のアプリケーションソフトウェア上で表示し、それに伴い、対物レンズを設置しているレボルバや、ピント合わせのためのZステージなどの電動化された駆動部を、PC上のアプリケーションソフトウェアから遠隔操作させることで、操作性を向上させた観察装置システムが主流となりつつある。
【0004】
上記のような電動駆動部の位置管理方法は、駆動系の中に少なくとも1つ以上センサを設け、その中の1つのセンサ位置を基準位置とし、基準位置からの相対駆動量で、各電動駆動部の位置を管理することが一般的に行われている。しかし、このようなシステムでは、観察装置の電源を投入直後は電動駆動部の現在位置が不明であり、一度基準位置まで駆動させ基準位置を認識させる必要がある。そのため観察者は観察装置の電源を投入してから実際に試料を観察するまでの時間が掛かるという問題があった。
【0005】
そのため、アブソリュートエンコーダなどで電源投入後にも電動駆動部の位置を管理できる方法も考えうるが、この場合では構成が複雑になりまたコストが上がるという問題点がある。
【0006】
上記の課題を解決すべく、例えば特許文献1に示すように、アプリケーションソフトウェアを終了し、観察装置の電源をOFFにする前に、電動部を基準位置に戻すことで次回立ち上げ時に初期化動作を不要にする、または初期化動作時間を極端に短くすることができる観察装置が提案されている。
【特許文献1】特開平11−202212 号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1の方法では、観察装置の電源をONにしアプリケーションソフトを立ち上げてから、観察可能になるまでの時間が掛かるという課題は解決できるが、電源がPCと観察装置の2系統あるため、電源を入れるときは顕微鏡側をまず投入し、その後PCの電源を投入する必要があり、観察者にとって非常に面倒であった。
【0008】
更に、観察装置の電源をONにし忘れた状態で、アプリケーションソフトウェアを起動すると、観察装置との通信ができないため、観察装置に電源投入してから再度アプリケーションソフトウェアの起動をする必要があり、これも観察者にとって非常に面倒であった。
【0009】
本発明の課題は、アプリケーションソフトの立ち上げから観察開始までの時間が迅速で、アプリケーションソフトの起動と共に観察が可能になる観察装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の観察システムは、観察装置と操作装置とから成り、該観察装置、操作装置の各々が電源部を有する観察システムであって、前記操作装置は、前記観察装置を遠隔操作するための操作部を備え、前記観察装置は、少なくとも1つの電動駆動部と、前記電動駆動部を制御するための制御部と、自己の前記電源部から前記電動駆動部へ電力を供給する第1の電源ラインと、前記第1の電源ライン上に設けられ、前記電動駆動部への電力供給をオン・オフするスイッチ部と、自己の前記電源部から前記制御部へ電力を供給する第2の電源ラインとを備え、前記制御部は、起動時に前記スイッチ部をオン制御して前記電動駆動部へ電力供給してから前記電動駆動部の初期化処理を実行した後、前記スイッチ部をオフ制御して前記電動駆動部への電力供給を停止させ、その後、前記操作部の状態に応じて前記スイッチ部のオン/オフ切換えを制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の観察装置によれば、アプリケーションソフトウェアの立ち上げから観察開始までの時間が迅速で、アプリケーションソフトウェアの起動と共に観察が可能状態となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1(実施例1)について説明する。
図1に本手法が適用される観察装置1の一例(ここでは顕微鏡を例にする)の概略構成図を示す。
【0013】
尚、観察装置1は、図示の各構成のうち、PC(パソコン)119以外の全ての構成から成るものと見做してよい。そして、図示の観察装置1とPC(パソコン)119とから成るシステムを、観察システムと呼ぶものとする。
【0014】
図示の観察装置1とPC119とは、それぞれ個別に電源を有しており、例えば各々のACプラグをACコンセントに差し込むことで、商用電源から電力供給される。図示の例では観察装置1側に関しては当該観察装置1内の制御部2がACプラグを備えており、そこから観察装置1内の各構成(制御部2自体と、光源111やZステージモータ110等の各種モータのように電力供給が必要となる構成部品)に、電力供給される構成となっている。
【0015】
図1に示す観察装置1において、顕微鏡フレーム100には、試料102を搭載可能なX−Yステージ103に対向させた位置にレボルバ104が取り付けられている。このレボルバ104は、最大6つまで対物レンズ105の設置が可能である。またレボルバ104は、対物レンズ105を取り付けるマウンタ106と、対物レンズ105を電動で光軸に挿入させるためにマウンタ106を回転させるレボルバモータ107と、レボルバセンサ群108から構成されている。
【0016】
レボルバセンサ群108は、図示しないが、レボルバ104の初期化のために必要な初期化センサと、対物レンズ105が光軸に挿入されたことを検知する移動完了センサから構成されている。
【0017】
X−Yステージ103は、試料102を搭載するもので、X-Y方向に移動可能になっており、Z方向に移動可能なZステージ109の上に取り付けられている。
Zステージ109は、観察者が駆動指示をすることで、Zステージモータ110により電動で駆動し、試料102と対物レンズ105との相対距離を変化させる焦準手段として試料102を対物レンズ105のピント位置に移動させる。またZステージ109には原点位置を検出するためのZステージセンサ120が備えられている。
【0018】
顕微鏡フレーム100には、更に、試料102を照明するための光源111を備えたランプハウス112が取り付けられており、光源111からの光は集光レンズ113を通り、ハーフミラー114へと導かれる。ハーフミラー114により90度反射された光は、対物レンズ105を通り、試料102へ照射される。試料102で反射された光は、ハーフミラー114を透過し、鏡筒114内部の結像レンズ116により、接眼レンズ117とCCDカメラ118に試料102の像を結像させる。
【0019】
観察者は、接眼レンズ117を通して、もしくはCCDカメラ118で得られた画像をPC119上で動作するアプリケーションソフトウェア上で表示させることで(当該アプリケーションソフトウェアによるGUIによって、PC119のディスプレイに表示させることで)、試料102の拡大像を観察することが可能となる。
【0020】
観察装置1は、更に、上記ステージ等の各種電動部位を制御する制御部2を有する。制御部2と上記顕微鏡フレーム100に備えられる各種構成部品との間には、上記各種電動部位に制御部2から電源供給する為の電源ラインや、制御部2から制御信号を送信したり制御部2が上記各種センサのデータを入力する為の信号線が存在する。また、制御部2はPC119に接続されている。PC119からは、制御部2を介して、観察装置1に所望の動作を指示(駆動指示等)することができる。
【0021】
PC119には、観察者に上記観察やその為の上記駆動指示等の操作を行わせるためのアプリケーションソフトウェアがインストールされている。
図2は、実施例1による観察装置1の電気的構成を示すブロック図であり、特に制御部2の構成を示すものである。
【0022】
制御部2は、CPU201、演算データ等の各種データが格納されるRAM202、制御プログラム、データなどが格納されているROM203、各種1/F(インタフェース)204と、これらCPU201、RAM202、ROM203と各種I/F部204とを接続しているバス205から構成される。更に、シリアルI/F206、AC/DCコンバータ207、スイッチ部211を有する。
【0023】
尚、図示の構成は一例であり、この例に限るものではなく、例えばAC/DCコンバータ207、スイッチ部211が制御部2の外にある構成であってもよい。また、制御部2の各構成のうちCPU201と各種I/F204のみを「制御部」と見做しても良く、この「制御部」によってモータ等の電動駆動部が制御される。
【0024】
各種I/F204は、図示の例では、レボルバI/F204(a)、ZステージI/F204(b)、光源I/F204(c)である。レボルバI/F204(a)は、レボルバセンサ群108からの信号を受信して状態を把握し、レボルバモータ107を駆動する為の構成部品である。ZステージI/F204(b)は、Zステージセンサ120からの信号を受信して状態を把握し、Zステージモータ110を駆動する為の構成部品である。また、光源I/F204(c)は、光源111を点灯、消灯、調光する為の構成部品である。
【0025】
レボルバI/F204(a)、ZステージI/F204(b)は、特に図示しないが、CPU201から駆動指示があるとモータを指定の駆動量分駆動させるドライバと、モータの現在位置を保持する現在位置カウンタと、センサの状態を保持するセンサレジスタ等から構成される。
【0026】
レボルバI/F204(a)、ZステージI/F204(b)はバス205でCPU201と接続されているため、CPU201はセンサの状態を読み出し、また現在位置カウンタを読み書きできる。
【0027】
上記PC119のアプリケーションソフトウェアからの指示命令は、シリアルI/F206を経由してCPU201へと送信され、CPU201は命令に従い処理実行した後、正常終了、エラー情報等をシリアルI/F206経由してPC119に返信する。
【0028】
ACケーブル208は商用電源、または工業用電源に接続され、これら電源から供給される交流電力は、制御部2内のAC/DCコンバータ207へ入力される。
AC/DCコンバータ207では、交流電流を直流電流に変換し、CPU201やROM203、RAM202、各種I/F部204などへロジック用電源209を供給し、各モータ107、110や光源111へモータ/ランプ用電源210を供給する。尚、当然、これら各種電源209、210を供給する為の電源ラインが設けられている。このAC/DCコンバータ207や後述するAC/DCコンバータ808、1201が、観察装置1の電源部に相当する。
【0029】
モータ/ランプ用電源210の電源ライン上には、リレーやホトカプラ等で構成されるスイッチ部211が設けられており、スイッチ部211のON/OFFラインはCPU201のI/Oポート212に接続されている。
【0030】
ここでCPU201のI/Oポート212をHにすると、スイッチ部211のリレーは開放され、モータ/ランプ用電源210は各モータ107、110や光源111に供給されない。つまり、CPU201がスイッチ部211をオフ制御することで、モータ107、110等の電動駆動部や光源111に電源が供給されなくなる。一方、CPU201のI/Oポート212をLにすると、スイッチ部211は接続され、モータ/ランプ用電源210は各モータ107、110や光源111に供給される。つまり、CPU201がスイッチ部211をオン制御することで、電動駆動部や光源に電源が供給されることになる。
【0031】
尚、光源は電動駆動部ではないが、電動駆動部と同じ電源が供給されることから、「電動駆動部」といった場合、光源も含まれるものとする。これは、光源に限らず、モータ/ランプ用電源210が供給される構成部品は、全て、「電動駆動部」に含まれると見做すものとする。
【0032】
また前記CPU201のI/Oポート212は、発光ダイオードから構成されるインジケータ213にも接続され、CPU201のI/Oポート212をHにするとインジケータ213が消灯し、CPU201のI/Oポート212をLにするとインジケータ213が点灯する。
【0033】
PC119にインストールされているアプリケーションソフトウェアによってPC119のディスプレイに表示されるGUIの一例を図3に示す。
図示の例のGUI3は、CCDカメラで取得した顕微鏡画像を表示するための画像表示部301と、対物レンズ104を指定の倍率に設定するためのレボルバ駆動指示ボタン302と、Zステージ109を駆動するためのピント調節部303と、アプリケーションソフトウェアを終了させるための終了ボタン304から構成される。
【0034】
ユーザ操作によりレボルバ駆動指示ボタン302が押された場合、レボルバ104の駆動指示がPC119からシリアルI/F206を経由して制御部2(CPU201)に送信され、また、ピント調節部303が操作された場合は、Zステージ109の駆動指示がシリアルI/F206を経由してPC119から制御部2(CPU201)に送信される。
【0035】
制御部2のCPU201は上記指示を受信すると、各I/F部204へ駆動指示を出し、駆動が完了すると、完了応答コマンドをシリアルI/F206経由してPC119へ返信する。
【0036】
以上のように構成された本実施例1の観察装置1の動作について説明する。
観察者は、観察装置1を使用する際に、まずACケーブル208をコンセントに入れ電源を投入する、その後、PC119の電源を立ち上げ、アプリケーションソフトウェアが起動し、試料102の観察を始める。
【0037】
(1)観察装置の初期化のフロー
観察装置1の電源投入時のCPU201の動作を、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0038】
尚、図4に示すフローチャート図面におけるYはYES、NはNOを意味する。これは、他のフローチャート図面においても同様である。
また、図4に示す処理は、CPU201がROM203に記憶されている所定のアプリケーションプログラムを読出し・実行することにより実現される。
【0039】
観察装置1の電源を投入すると、CPU201はまずスイッチ部211を接続(オン)するため、I/Oポート212をLにする(Step1)。このときインジケータ213は点灯する。
【0040】
スイッチ部211がONになれば、各モータ107、110や光源111に電源が供給されるため、各I/F部204に対して、電動駆動部の初期化指示を出す。(Step2)。
【0041】
初期化指示を出した後、各I/F部204をチェックし、初期化が完了するまで待ち、初期化が完了すれば(Step3がY)、スイッチ部211を開放(オフ)するため、I/Oポート212をHにし(Step4)、このフローを抜ける。このときインジケータ213は消灯する。尚、上記初期化処理により、各I/F部204において、上記現在位置カウンタには電動駆動部(モータ等)の現在位置が保持され、上記センサレジスタにはセンサの状態が保持される。
【0042】
上述した処理完了したときには、電力の消費の小さいCPU201や各I/F部204等には電力供給されているが、電力の消費の大きい各モータ107、110や光源111などに電力を供給しない状態となっており、この様な状態を、以下、省電力モードというものとする。
【0043】
上記のフローにより、観察装置1は初期化を終了させ、上記省電力モードで、アプリケーションソフトウェアの起動を待つ。
上記の通り、省電力モード中では、CPU201、各I/F部204には電力供給されているので、初期化後の電動駆動部(モータ等)の位置情報の把握が可能となる。尚、センサがフォトセンサ等の電力供給を必要とするセンサである場合には、I/F部204に電力供給されることでI/F部204からセンサに電力供給される。
【0044】
(2)アプリケーションソフトウェア初期化のフロー
次にPC119の電源を投入し、アプリケーションソフトウェアが起動したときのアプリケーションソフトウェアの動作を、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0045】
尚、ここでは特に図示しないが、PC119は、パソコン等の汎用コンピュータの一般的な構成を備えるものであり、例えばCPU、メモリ、ハードディスク等の記憶装置、ディスプレイ、キーボード/マウス等の操作部、通信機能部等を備えるものであり、上記アプリケーションソフトウェアは、上記記憶装置等に記憶されており、これを上記CPUが読み出し・実行することにより、図5のフローチャートの動作が実現される。これは、後述する図6、図7のフローチャートの動作についても同様である。
【0046】
また、上記GUI3は上記ディスプレイ上に表示され、観察者は上記操作部を操作してコマンド等の入力・指示を行う。
尚、本例においては、図5や後述する図6、図7のフローチャートの処理に応じたCPU201の処理については、特にフローチャート図等は図示せずに説明を行うものとする。
【0047】
アプリケーションソフトウェアが起動すると、まず制御部2に対して、観察装置接続コマンドを送信する(Step11)。同コマンドを制御部2のCPU201が受信すると、スイッチ部211を接続(ON)するため、I/Oポート212をLにし(これに伴いインジケータ213が点灯する)、接続完了応答をPC119に送信する。
【0048】
PC119が接続完了応答を受信したことをアプリケーションソフトウェアが認識すると(Step12がY)、制御部2に対して、各電動駆動部の現在位置を取得するコマンドを送信する(Step13)。
【0049】
制御部2のCPU201は、同コマンドを受信すると、各I/F部204から電動駆動部の現在位置を取得し、PC119へ返信する。
PC119が現在位置を受信したことをアプリケーションソフトウェアが認識すると、GUI3の現在位置状態を更新し(Step14)、このフローを抜ける。これによって観察が可能な状態となる。
【0050】
一方、PC119が接続完了応答を受信しなかった場合(Step12がN)は、GUI3上に観察装置未接続メッセージを表示し(Step15)、このフローを抜ける。
上記のフローにより、アプリケーションソフトウェア起動時に観察装置1の初期化をせず観察が可能となる。この効果は、特に、最初に一度観察装置1を起動した後、後述するサスペンド状態(休止状態)からの復帰時や後述するアプリケーション終了後にアプリケーション再起動したときに、顕著なものとなる。
【0051】
すなわち、本例の観察装置1は、最初に起動した後は、基本的には電源を落とさずに使用するものとする。アプリケーションが後述するサスペンド状態又は終了しているときには、観察装置1は上記省電力モードの状態となっていることで、電力を殆ど消費しない状態で待機状態としており、アプリケーションが再度起動するときには観察装置1の初期化を行う必要がないので、アプリケーションソフトウェア起動時に直ちに観察が可能となる。
【0052】
また、上記Step12がNとなるのは、基本的に、観察者が観察装置1の電源をONにし忘れた状態でアプリケーションを起動したときであり、この場合には上記従来で説明したように、観察装置1に電源投入してから再度アプリケーションソフトウェアの起動をする必要があり、余計な手間が掛かることになる。しかし、本手法では、上述したことから、この様なことが起こり得るのは、最初に一度観察装置1を起動するときだけであり、その後はStep12がNとなることは無いので、従来の問題の1つを解決できる。
【0053】
また、アプリケーションソフトウェアがどの様な状態であっても、PC119自体の電源をOFFしていない限り、上記省エネモード中であってもCPU201はPC119との通信が可能であるので、省エネモード中にCPU201が、PC119と常時通信を行うことができる。勿論、常時ではなく、定期的にあるいは何等かのイベント発生時に通信を行うようにしてもよい。例えば、省エネモード中に観察装置1側に何等かの変化があった場合、CPU201等は動作可能状態であるのでこれを検出することは可能であり、上記の通り検出結果等をPC119に通知することも可能となる。
【0054】
(3)サスペンド状態(休止状態)への移行、及びサスペンド状態からの復帰のフロー
観察可能状態において一定時間何も操作がされないと、アプリケーションソフトウェアはサスペンド状態になる。アプリケーションソフトウェアのサスペンド状態への移行、サスペンド状態からの復帰動作を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0055】
一定時間GUI3上の操作がない場合(Step21がY)、アプリケーションソフトウェアは制御部2に対して、サスペンド指示コマンドを送信する(Step22)。制御部2内のCPU201は同コマンドを受信すると、スイッチ部211を開放(OFF)するために、I/Oポート212をHにする。このときインジケータ213は消灯する。そして、接続完了応答をPC119に送信する。アプリケーションソフトウェアはこの応答を受信するとサスペンド状態に移行する。
【0056】
その後、GUI3上の操作が無ければ(Step23がN)、スイッチ部211は開放のままとなり、観察装置1内の電力消費の大きいモータ107、110や光源111への電力供給は無い状態となる。
【0057】
GUI3上の何等かのボタンの操作があったときは(Step23がY)、アプリケーションソフトウェアはサスペンド状態から復帰して、制御部2に対して観察装置接続コマンドを送信する(Step24)。制御部2内のCPU201は同コマンドを受信すると、スイッチ部211を接続するため、I/Oポート212をLにする。このときインジケータ213は点灯する。そして、接続完了応答をPC119に送信する。
【0058】
PC119が同応答を受信したことをアプリケーションソフトウェアが認識すると(Step25がY)、操作されたGUI3上のボタンに相当する駆動コマンドを制御部2に送信し(Step26)、このフローを抜ける。
【0059】
上記フローにより、アプリケーションソフトウェアのサスペンド状態中には、観察装置1は、電力消費の小さいCPU201等は通電されているが電力の消費の大きいモータ107、110や光源111などに電力を供給しない状態(上記省エネモード)となる。よって、サスペンド状態中における観察装置1の省電力化を図ることができる。そして、省エネモード中、CPU201やI/F部204等は通電されているので、サスペンド状態からの復帰時には電動部位の現在位置の把握が可能となり、再度の初期化動作は不要となる。
【0060】
また、サスペンド状態中、アプリケーションは、取得済みの現在位置情報を保持しているので、上記復帰時の処理において、Step13,14の処理を再度行う必要はなく、上記の通りStep24のコマンド送信を行うだけで済む。
【0061】
但し、サスペンド状態中に、観察者等が手動で電動駆動部を動かすことも考えられる。この場合でも、CPU201やI/F部204等は通電されているので、制御部2側では電動部位の現在位置の検出が可能であるが、アプリケーション側が保持している現在位置情報を更新する必要があるので、この点を考慮するならば、上記復帰時の処理においてStep13,14の処理を再度行うようにしてもよい。あるいは、CPU201が、上記接続完了応答と共に電動部位の現在位置情報を通知するようにしてもよい。
【0062】
但し、サスペンド状態中でも、CPU201とPC119との通信は可能であるので、例えば以下に説明する処理を行うことで、上記の点を考慮する場合でもStep13,14の処理を再度行う必要が無いようにできる。
【0063】
すなわち、例えば、CPU201は、省エネモード中、定期的に各I/F部204から最新の現在位置情報を取得して、自己が保持している現在位置情報と比較することで不一致となった場合には、すなわち電動部位の位置が変わったことを検出したならば、上記最新の現在位置情報をPC119へ送信する。PC119はこの最新の現在位置情報を保持しておき、アプリケーションは、上記復帰時の処理の際にPC119から最新の現在位置情報を取得する。
【0064】
(4)アプリケーション終了時のフロー
観察者は、観察を終了する際には、GUI3上の終了ボタン304を押下し、アプリケーションソフトウェアを終了させる。終了ボタン304を押下したときのアプリケーションソフトウェアの動作を、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0065】
アプリケーションソフトウェアは、終了ボタン304が押下されると、制御部2に対してサスペンド指示コマンドを送信する(Step31)。
制御部2内のCPU201は同コマンドを受信すると、スイッチ部211を開放するため、I/Oポート212をHにする。このときインジケータ213は消灯する。そして、接続完了応答をPC119に送信する。
【0066】
PC119が同応答を受信したことをアプリケーションソフトウェアが認識すると(Step32がY)、アプリケーションソフトウェアを終了させ(Step33)、このフローを抜ける。
【0067】
上記のフローにより、アプリケーションソフトウェアが起動していないときには、観察装置1は、電力消費の小さいCPU201等は通電されているが電力の消費の大きいモータ107、110や光源111などに電力を供給しない状態(上記省エネモード)となる。よって、上述してあるように、観察者は再び観察するときにはアプリケーションソフトウェアのみを起動すればよく、また電動部位の初期化動作無しに即座に観察が可能となる。
【0068】
上述した実施例1の観察システムによれば、アプリケーションソフトウェアの立ち上げから使用開始までの時間が迅速でかつ無駄な電力の節約が可能となる。また、サスペンド中にも無駄な電力の節約が可能となる。
【0069】
更に、サスペンド中にも電力消費の少ないCPU201や各I/F部204は通電されているので、サスペンド状態からの復帰後、再度の電動部位の初期化動作は不要となる。また、現在位置取得コマンドの送信も不要となる。
【0070】
次に本発明の実施例2について説明する。実施例1と同じ部分は説明を省略する。
図8に実施例2による観察装置1の電気構成図を示す。
実施例2の観察装置1は、制御部801、Zステージ制御基板802、レボルバ制御基板803、光源制御基板804の各構成部品から構成され(これら全体が図1の制御部2に相当すると考えてもよいし、制御部801のみが制御部2に相当すると考えてもよい)、これらの各構成部品間は、CAN(Controller Area Network)やEthernet(登録商標)などのシリアルバスから成る通信ライン805で接続され、通信ライン805を介して各構成部品間の通信が行われる。また、電源は、AC/DCコンバータ808からメインCPU807や各制御基板802,803,804へ電源ライン806を介して供給される。
【0071】
制御部801は、メインCPU807と、AC/DCコンバータ808から構成され、AC/DCコンバータ808は商用電源である交流電流を直流電流に変換し、メインCPU807や各ノードCPU811や各I/F部812に供給されるロジック用電源809と、モータ等の電動駆動部や光源111へ供給されるモータ/ランプ用電源810を作り出し、電源ライン806によりこれら電源(電力)を各構成部品に供給する。すなわち、電源ライン806は、ロジック用電源809供給用とモータ/ランプ用電源810供給用の2本あり、それぞれの電源ラインによって、ロジック用電源809はメインCPU807、各ノードCPU811、各I/F部812に、モータ/ランプ用電源810はZステージモータ110、レボルバモータ107、光源111に供給される。
【0072】
メインCPU807は、不図示のROM、RAMを内蔵し、またPC119に接続され(図2と同様、シリアルI/Fを介して接続してもよい)、PC119からのコマンドを解釈し、電動駆動部/光源を制御する為の制御命令を通信ライン805上に送信する。尚、光源111は1つとは限らない。
【0073】
以下の説明では、PC119とメインCPU807との通信形態をコマンド、メインCPU807と各ノードCPU811との通信形態をメッセージとする。
上記各制御基板802〜804は、各々、ノードCPU811(811(a)、811(b)、811(c))を備えており、各ノードCPU811は通信ライン805を介してメインCPU807との通信を行う。
【0074】
図8に示すとおり、メインCPU807とノードCPU811とが接続している通信ライン805は、バス状に接続されており、バス上のメッセージは全CPUで受信することが出来るため、メッセージにはどのCPUが受信できるかを示すID番号があり、ID番号により、どのCPUが受信するか、もしくは全CPUが受信できるかを設定することが可能である。
【0075】
本実施例では、スイッチ開放メッセージ、スイッチ接続メッセージ、電動部初期化メッセージが、全ノード受信可能なメッセージである。
各電動駆動部/光源に対応して各制御ユニットが設けられている。制御ユニットは、図示のZステージ制御基板802、レボルバ制御基板803、光源制御基板804等である。
【0076】
Zステージ制御基板802、レボルバ制御基板803は、ノードCPU811(811(a)、811(b))、I/F部812(812(a)、812(b))、スイッチ部813(813(a)、813(b))から構成される。
【0077】
ノードCPU811は、不図示のROM、RAMを内蔵しており、通信ライン805上のメッセージを解釈して、I/F部812に対してモータ駆動指示を行ったりセンサの情報を取得する。
【0078】
I/F部812は、ノードCPU811から駆動指示があるとモータを指定の駆動量分駆動させるドライバと、モータの現在位置を保持する現在位置カウンタと、センサの状態を保持するセンサレジスタ等から構成される。
【0079】
Zステージ制御基板802、レボルバ制御基板803内において、上記モータ/ランプ用電源810供給用の電源ライン上には、リレーやホトカプラ等で構成されるスイッチ部813(813(a)、813(b))が設けられており、各ノードCPU811が各スイッチ部813をON/OFF制御することにより、各モータ(110,107)への電力供給がON/OFFされる。スイッチ部813のON/OFFラインは、ノードCPU811のI/Oポート814に接続されている。
【0080】
ここでノードCPU811のI/Oポート814をHにすると、スイッチ部813は開放(オフ)され、モータ/ランプ用電源810はモータに供給されない。一方、ノードCPU811のI/Oポート814をLにすると、スイッチ部813は接続(オン)され、モータに電源が供給される。
【0081】
光源制御基板804は、ノードCPU811(811(c))と定電流回路815から構成されており、定電流回路815は上記モータ/ランプ用電源810供給用の電源ラインに接続され、光源111を駆動する駆動電流を生成する。また、定電流回路815は図示しないが電流制御部を備え、この電流制御部はアナログ電圧値に応じて駆動電流を大小させる。但し、本手法においては、定電流回路815による出力のオン/オフ制御を行うものであるので、定電流回路815もスイッチ部813と考えても良い。
【0082】
ノードCPU811はDAコンバータ816を備え、DAコンバータ816の出力は上記電流制御部に接続される。
メインCPU807からのメッセージをノードCPU811が受信し、DAコンバータ816の出力電圧の値を変え、駆動電流の値を変えることにより、光源の点灯・消灯、明るさを変えている。
【0083】
以上のように構成された本実施例の動作について説明する。
なお、アプリケーションソフトウェアの動作は実施例1と同じであり、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
【0084】
観察者は、観察装置1を使用する際に、まず観察装置1のコンセントを入れ、その後、PC119の電源を立ち上げ、アプリケーションソフトウェアが起動し、試料102の観察を始める。実施例1の場合と同様、実施例2においても、観察装置1のコンセントを入れたときには、初期動作を行う必要があるが、その後は、アプリケーションソフトウェアを終了しても(更にPC119の電源をOFFしても)観察装置1のコンセントは抜かずに、観察装置1が上記省エネモードにあることで、再びアプリケーションソフトウェアを起動した際には、観察装置1の初期動作を行う必要がないことから、直ちに観察を始めることができる。また、再びアプリケーションソフトウェアを起動した際に、観察装置1の電源が入っていないようなことはなく、この点でも従来の問題を解決できる。
【0085】
(5)観察装置の電源投入後のフロー
観察装置1のコンセントを入れたときのメインCPU807動作を、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0086】
観察装置1の電源を投入すると、メインCPU807は、Zステージ制御基板802、レボルバ制御基板803、そして光源制御基板804のスイッチ部813を接続(オン)させるため、通信ライン805上に上記スイッチ接続メッセージを送信する(Step41)。
【0087】
Zステージ制御基板802とレボルバ制御基板803のノードCPU811は、同メッセージを受信すると、スイッチ部813を接続(ON)し、スイッチ接続完了メッセージをメインCPU807に送信する。また光源制御基板804のノードCPU811は、DAコンバータ816出力を開始し、メインCPU807にスイッチ接続完了メッセージを送信する。上記の処理によって、Zステージモータ110、レボルバモータ107に電力供給され、また光源111が点灯する。
【0088】
メインCPU807は、全てのノードCPU811から上記スイッチ接続完了メッセージを受信すると(Step42がY)、上記電動部初期化メッセージを通信ライン805上に送信する(Step43)。
【0089】
各ノードCPU811は、同メッセージを受信すると、初期化動作を開始し、初期化が完了後、電動部初期化完了メッセージをメインCPU807へ送信する。
メインCPU807は、全ノードCPU811からの電動部初期化完了メッセージを受信すると(Step44がY)、上記スイッチ開放メッセージを通信ライン805上に送信する(Step45)。
【0090】
Zステージ制御基板802とレボルバ制御基板803のノードCPU811は、同メッセージを受信するとスイッチ部813を開放(オフ)し、スイッチ開放完了メッセージをメインCPU807へ送信する。また光源制御基板804のノードCPU811は、DAコンバータ816出力を止め、スイッチ開放完了メッセージをメインCPU807へ送信する。これらの処理によって、Zステージモータ110、レボルバモータ107に電力が供給されず、また光源111が消灯する。
【0091】
上記スイッチ開放完了メッセージを全て受信すると(Step46がY)、本フローは終了する。
上記のフローの処理により、観察装置1は初期化を終了させ、初期化完了位置にて、電力消費の小さいメインCPU807、各ノードCPU811、各I/F部812等には電力供給されているが電力の消費の大きいモータや光源等には電力供給しない状態(省エネモード)で、アプリケーションソフトウェアの起動を待つ。
【0092】
省エネモード中でもメインCPU807、各ノードCPU811、各I/F部812には電力供給されているため、電動部の現在位置の把握が可能となる。
尚、上記図9を参照して説明したメインCPU807、各ノードCPU811の処理は、これらメインCPU807、各ノードCPU811に内蔵の上記ROM等に予め記憶されている所定のアプリケーションプログラムを、これらメインCPU807、各ノードCPU811が実行することにより実現される。これは、図10、図11の処理に関しても同じである。
【0093】
(6)観察装置接続コマンド受信時のフロー
その後、観察者はPC119の電源を投入し、アプリケーションソフトウェアが起動すると、上記図5の処理が実行されることで、上記観察装置接続コマンドをメインCPU807へ送信する。あるいは、サスペンド状態からの復帰時にも、上記Step24により上記観察装置接続コマンドがメインCPU807に送信される。
【0094】
メインCPU807が上記観察装置接続コマンドを受信したときの処理を、図10のフローチャートを用いて説明する。
メインCPU807は、観察装置接続コマンドを受信すると、各ノードCPU811に対して、上記スイッチ接続メッセージを送信する(Step51)。
【0095】
Zステージ制御基板802とレボルバ制御基板803のノードCPU811は、同メッセージを受信すると、スイッチ部813を接続(ON)し、スイッチ接続完了メッセージをメインCPU807へ送信する。また光源制御基板804のノードCPU811は、DAコンバータ816出力を開始し、スイッチ接続完了メッセージをメインCPU807へ送信する。これらの処理によって、Zステージモータ110、レボルバモータ107に電力が供給され、また光源111が点灯する。
【0096】
メインCPU807は、全ノードCPU811からスイッチ接続完了メッセージを受信すると(Step52がY)、PC119に対して、接続完了コマンドを送信し(Step53)、このフローを抜ける。
【0097】
尚、Step53において、各駆動部位の現在位置情報も一緒に送信するようにしてもよい。あるいは、図示していないが、Step13の現在位置取得コマンドを受信したら、各駆動部位の現在位置情報をPC119に送信するようにしてもよい。
【0098】
尚、各駆動部位の現在位置情報は、例えば各ノードCPU811が上記初期化完了時に各I/F部812から取得して、これを上記電動部初期化完了メッセージに含めてメインCPU807へ送信し、メインCPU807がこれら各現在位置情報を保持しておく。あるいは、メインCPU807が、上記現在位置取得コマンドを受信したら、各ノードCPU811に所定のコマンドを送ることで、各ノードCPU811に現在位置情報を返信させるようにしてもよい。
【0099】
上記のフローの処理によって、アプリケーションソフトウェアの起動時に、Zステージモータ110、レボルバモータ107に電力が供給され、光源111が点灯する。
また電動駆動部の初期化動作無しに観察が開始出来る。
【0100】
(7)サスペンド指示コマンド受信時のフロー
観察可能状態から一定時間何も操作がされない場合または終了時にアプリケーションソフトウェアは、図6又は図7の処理によりサスペンド指示コマンドをメインCPU807へ送信する。
【0101】
メインCPU807が同コマンドを受信したときの処理を、図11のフローチャートを用いて説明する。
メインCPU807は、上記サスペンド指示コマンドを受信すると、全ノードCPU811に対して、上記スイッチ開放メッセージを送信する(Step61)。
【0102】
Zステージ制御基板802とレボルバ制御基板803のノードCPU811は、同メッセージを受信するとスイッチ部813を開放(OFF)し、スイッチ開放完了メッセージをメインCPU807へ送信する。また光源制御基板804のノードCPU811は、DAコンバータ816出力を止め、スイッチ接続完了メッセージをメインCPU807へ送信する。これらの処理によって、Zステージモータ110、レボルバモータ107に電力が供給されず、また光源が消灯する。
【0103】
メインCPU807は、全ノードCPU811からスイッチ開放完了メッセージを受信すると(Step62がY)、PC119に対して、サスペンド完了コマンドを送信する(Step63)。
【0104】
その後、サスペンド状態中またはアプリケーションソフトウェア終了状態中、各ノードCPU811は、定期的に、I/F部812が保持するセンサ状態情報(位置情報等)を確認しており、例えば観察者が手動で何等かの電動部位を動かした場合等、何等かの原因で電動部位の位置が変わった場合には、センサ状態情報が変化することで、これを検出することができる。例えば、観察者によりレボルバが手動で回転されたときには、レボルバ位置センサの値(レボルバセンサ群108のセンサ状態情報)の変化を認識する。
【0105】
この一例を用いて説明するならば、レボルバ位置センサの値が変化したときには、ノードCPU811はメインCPU807に対して、現在位置情報(変化後の(最新の)位置情報)をメッセージとして送信する。勿論、他の電動部位に関しても同様である。
【0106】
メインCPU807は同メッセージを受信すると(Step64がY)、PC119に対して、レボルバ104の上記現在位置情報を送信し(Step65)、Step64に戻る。尚、PC119が電源OFF状態又はアプリケーションソフトウェアが終了状態である為に、一定時間内に現在位置コマンドに対するレスポンスが無い場合には、メインCPU807は現在位置情報を自己のメモリ内に保持しておき、上記Step53において現在位置情報も一緒に送信するようにしてもよい。
【0107】
上記のフローによって、アプリケーションがサスペンド状態、あるいはPC119が電源OFF状態又はアプリケーションソフトウェアが終了状態であっても、観察装置1は上記省エネモードであり、CPU、I/F部等は動作するので、上述した処理を行うことで、観察者が手動で電動駆動部を動かしたときにおいても、現在位置の変化を常に知ることが可能となる。
【0108】
上述したことから、実施例2においても、実施例1と同様の効果が得られる。すなわち、観察装置1が上記省エネモードにある状態でアプリケーションソフトウェアを起動した際には、観察装置1の初期動作を行う必要がないことから、直ちに観察を始めることができる。また、スイッチ部等がOFFになっているときに(省エネモード時に)手動で顕微鏡の電動駆動部が動かされたときの状態管理が可能となる。
【0109】
更に、実施例2においては、各制御基板毎に個別に制御を行うことも可能となる。例えば、省エネモードに移行する際に、ノードCPU811(a)に対してだけはスイッチ開放メッセージを送信しないことで(この場合には全ノード受信可能なメッセージとはしない)、Zステージモータ110のみは電力供給を続ける等の、個別の制御が可能となる。
【0110】
次に、実施例3について以下に説明する。尚、実施例1と同じ部分は同一符号を付して説明を省略する。
図12に実施例3による観察装置1の電気構成図を示す。
【0111】
図12の構成では、まず、ACケーブル208に接続されたAC/DCコンバータ1201にはリモートスイッチ1202があり、CPU201のポート212に接続されている。またAC/DCコンバータ1201の2次側出力は、モータ/ランプ用電源1203として、Zステージモータ110、レボルバモータ108、光源I/F204(c)に電源供給している。
【0112】
一方、CPU201等で使用するロジック用電源1204は、PC119から供給されている。すなわち、ロジック用電源1204は、当該電源供給用の電源ラインを介して、PC119から、CPU201、RAM202、ROM203、各I/F204(レボルバI/F204(a)、ZステージI/F204(b))に供給され、更に各I/F204を介して又は直接、センサ(Zステージセンサ120、レボルバセンサ群108等)に供給される。
【0113】
従って、本実施例3では、観察装置1側(制御部2)でロジック用電源1204を生成する必要なく、PC119を電源OFFしない限り、アプリケーションソフトウェアが終了又はサスペンド状態であっても、ロジック用電源1204は供給される。
【0114】
PC119には、CPU201のポート212の出力を変更させるためのコマンドがあり、CPU201のポートをLにするコマンドを送信し、CPU201がこのコマンドをシリアルI/F206を介して受信すると、CPU201はポート212をLにする。これによって、AC−DCコンバータ1201の2次側出力はONになり、モータ/ランプ用電源1203は、各モータ107,110や光源111に供給される。
【0115】
同様にPC119がポートをHにするコマンドを送信し、CPU201はこのコマンドを受信するとポート212をHにする。これによって、AC−DCコンバータ1201の2次側出力はOFFになり、モータ、ランプ用電源1203は、各モータ107,110や光源111に供給されなくなる。
【0116】
実施例3による観察装置1の電源投入時のCPU201の動作を、図13に示すフローチャートを用いて説明する。
観察装置1の電源を投入すると、CPU201は、まず、モータ/ランプ用電源1203を各モータ/光源に供給するため、ポート212をLにする(Step71)。このときインジケータ213は点灯する。ポート212がLになることでリモートスイッチ1202への入力がLになれば、モータ/ランプ用電源1203が各モータ/光源に供給されるため、続いて、各I/F204に対して、初期化指示を出す(Step72)。
【0117】
初期化指示を出した後、各I/F204をチェックし、初期化が完了するまで待ち、初期化が完了すれば(Step73がY)、CPU201はモータ/ランプ用電源1203を切断するため、ポート212をHにし(Step74)。このフローを抜ける。このときインジケータ213は消灯する。
【0118】
上記のフローにより、観察装置1は初期化を終了させ、初期化完了位置にて、電力の消費の大きい各モータ107、110や光源111などに電力を供給しない状態(省エネモード)で、アプリケーションソフトウェアの起動を待つ。
【0119】
また、省エネモード中は、CPU201、各I/F部204には電力供給されているので、初期化後のモータの位置情報の把握は可能となる。
アプリケーション起動時/終了時、サスペンドへの移行・復帰に係る動作については、実施例1におけるサスペンド指示コマンド、観察装置接続コマンドと同様の、PC119(アプリケーションソフトウェア)からのモータ/ランプ用電源ON/OFFコマンドがあるため、これら何れかのコマンドをCPU201が受信後、リモートスイッチ1202への入力をH/Lさせることで、アプリケーション起動時/終了時、サスペンド時への移行・復帰動作に対応したモータ/ランプ用電源1203の供給ON/OFF制御を実現できる。
【0120】
上記実施例3では、ロジック用電源をPC119から供給することで、スイッチ部211を必要としない構成で実施例1と同様の効果を実現可能となる。換言すれば、実施例1と同様の効果に加えて、スイッチ部211を必要としないことから構成が簡単になるという効果が得られる。また、AC/DCコンバータがロジック用電源を生成しなくて済むという効果が得られる。
【0121】
実施例3では、基本的には実施例1と同様の処理を行うが、スイッチ部211が無く、AC/DCコンバータ1201を制御する構成であることから、この点に係る処理が異なることになる。すなわち、図13の処理では、図4のStep1,4の処理の代わりに上記Step71,74の処理を行っており、他の処理においても、モータ/ランプ用電源1203の供給ON/OFF制御に関して、Step71又は74の処理が実行される点を除いては、上記実施例1の処理と同様であり、特に図示/説明はしない。
【0122】
尚、実施例1、2では電動駆動部はZステージ、レボルバ、光源としたが、これに限定されない。
実施例2では、各電動制御部の基板内に電源ラインとしたが、実施例1と同様、制御部の電源ラインでも良い。これにより、より簡易な構成が実現できる。
【0123】
また、実施例2では、スイッチ開放メッセージを受信すると、スイッチ部を開放するのみであったが、ノードCPUを省電力モードに設定しても構わない、そのとき、センサ信号をノードCPUの割り込みポートにアサインし、観察者が手動で動かしたときに割り込み信号が発生し、CPUが省電力モードから復帰することとしても構わない。このような制御を行うことでなお一層の省電力が実現可能である。
【0124】
また、実施例2では、実施例1と同様に、ノードCPUポートをインジケータに接続してもよい。
また、実施例2では、全電動駆動部にスイッチ部開放指示を出していたが、指定するユニットのみに指示を出すこととしてもよい。またノードCPUは、開放指示を無視するようなプログラムとしても良い。このような制御を行うことで電源を切りたいユニットの指定ができる。
【0125】
さらに、実施例1、2では、アプリケーションソフトウェアからのサスペンド指示により、スイッチ部を開放していたが、一定時間コマンドを受信しない場合に、CPUがスイッチ開放を自発的に行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】実施例1〜3の観察装置1の全体を示す図である。
【図2】実施例1の観察装置の電気的構成を示す図である。
【図3】グラフィックユーザーインターフェイス(GUI)の構成を示す図である。
【図4】観察装置1の電源を投入したときのCPUの動作を示すフローチャート図である。
【図5】アプリケーションソフトウェア起動時の動作を示すフローチャート図である。
【図6】アプリケーションソフトウェアサスペンド動作を示すフローチャート図である。
【図7】アプリケーションソフトウェア終了時の動作を示すフローチャート図である。
【図8】実施例2の電気的構成を示す図である。
【図9】実施例2における観察装置1の電源投入時のメインCPUの動作を示すフローチャート図である。
【図10】実施例2における観察装置接続コマンド受信時のメインCPUの動作を示すフローチャート図である。
【図11】実施例2におけるサスペンド指示コマンド受信時のメインCPUの動作を示すフローチャート図である。
【図12】実施例3の電気的構成を示す図である。
【図13】実施例3における観察装置電源投入時のCPUの動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0127】
1 観察装置
2 制御部
3 GUI
100 顕微鏡フレーム
102 試料
103 X−Yステージ
104 レボルバ
105 対物レンズ
106 マウンタ
107 レボルバモータ
108 レボルバセンサ群
109 Zステージ
110 Zステージモータ
111 光源
112 ランプハウス
113 集光レンズ
114 ハーフミラー
115 鏡筒
116 結像レンズ
117 接眼レンズ
118 CCDカメラ
119 PC(パソコン)
120 Zステージセンサ
201 CPU
202 RAM
203 ROM
204(a) レボルバI/F
204(b) ZステージI/F
204(c) 光源I/F
205 バス
206 シリアルI/F
207 AC/DCコンバータ
208 ACケーブル
209 ロジック用電源
210 モータ/ランプ用電源
211 スイッチ部
212 I/Oポート
213 インジケータ
301 画像表示部
302 レボルバ駆動指示ボタン
303 ピント調節部
304 終了ボタン
801 制御部
802 Zステージ制御基板
803 レボルバ制御基板
804 光源制御基板
805 通信ライン
806 電源ライン
807 メインCPU
808 AC/DCコンバータ
809 ロジック用電源
810 モータ/ランプ用電源
811(811(a)、811(b)、811(c)) ノードCPU
812(812(a)、812(b)) I/F部
813(813(a)、813(b)) スイッチ部
814 I/Oポート
815 定電流回路
816 DAコンバータ
1201 AC/DCコンバータ
1202 リモートスイッチ
1203 モータ/ランプ用電源
1204 ロジック用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察装置と操作装置とから成り、該観察装置、操作装置の各々が電源部を有する観察システムであって、
前記操作装置は、前記観察装置を遠隔操作するための操作部を備え、
前記観察装置は、
少なくとも1つの電動駆動部と、
前記電動駆動部を制御するための制御部と、
前記電源部から前記電動駆動部へ電力を供給する第1の電源ラインと、
前記第1の電源ライン上に設けられ、前記電動駆動部への電力供給をオン・オフするスイッチ部と、
前記電源部から前記制御部へ電力を供給する第2の電源ラインとを備え、
前記制御部は、起動時に前記スイッチ部をオン制御して前記電動駆動部へ電力供給してから前記電動駆動部の初期化処理を実行した後、前記スイッチ部をオフ制御して前記電動駆動部への電力供給を停止させ、その後、前記操作部の状態に応じて前記スイッチ部のオン/オフ切換えを制御することを特徴とする観察システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作部の起動に応じて前記スイッチ部をオンに切換える制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の観察システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作部の終了に応じて前記スイッチ部をオフに切換える制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の観察システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記操作部が休止状態に移行する場合に前記スイッチ部をオフに切換えるとともに、前記休止状態から復帰する場合に前記スイッチ部をオンに切換える制御を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の観察システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記スイッチ部がオフの状態で、前記電動駆動部に係る電動部位の位置情報の変化を監視し、変化があった場合には前記スイッチ部をオンに切換える制御を行った際に該変化後の位置情報を前記操作部に送信することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の観察システム。
【請求項6】
観察装置と操作装置とから成り、該観察装置、操作装置の各々が電源部を有する観察システムであって、
前記操作装置は、前記観察装置を遠隔操作するための操作部を備え、
前記観察装置は
少なくとも1つの電動駆動部と、
1つの前記電動駆動部毎に対応して設けられる制御ユニットであって、該電動駆動部へ電力を供給する第1の電源ラインと、該第1の電源ライン上に設けられ前記電動駆動部への電力供給をオン・オフするスイッチ部と、前記電動駆動部を制御すると共に前記スイッチ部をオン/オフ切換え制御するコントローラ部とから成る制御ユニットと、
前記操作装置との通信を行い、前記各コントローラ部との通信を行うメイン制御部と、
前記コントローラ部及び前記メイン制御部に電力を供給する第2の電源ラインとを備え、
前記メイン制御部は、起動時に、少なくとも1つ以上の前記コントローラ部に対してオン指示及び初期化指示を送信して、前記スイッチ部をオン制御させて前記電動駆動部へ電力供給させると共に前記電動駆動部の初期化処理を行わせた後、該コントローラ部に対してオフ指示を送信して前記スイッチ部をオフ制御させて前記電動駆動部への電力供給を停止させ、その後、前記操作部の状態に応じて少なくとも1つ以上の前記コントローラ部に対して前記オン指示/オフ指示を送信することで該コントローラ部に前記スイッチ部のオン/オフ切換え制御を行わせることを特徴とする観察システム。
【請求項7】
前記電動駆動部による駆動対象の駆動部位の位置を検出するセンサを更に備え、
前記コントローラ部は、前記スイッチがオフの状態で、該センサによって検出される位置情報を随時取得し、位置情報に変化があった場合には、前記メイン制御部へ通知することを特徴とする請求項6に記載の観察システム。
【請求項8】
観察装置と操作装置とから成り、該観察装置、操作装置の各々が電源部を有する観察システムであって、
前記操作装置は、前記観察装置を遠隔操作するための操作部を備え、
前記観察装置は
少なくとも1つの電動駆動部と、
前記電動駆動部を制御するための制御部と、
前記電源部から前記電動駆動部へ電力を供給する第1の電源ラインと、
前記操作装置から前記制御部へ電力を供給する第2の電源ラインとを備え、
前記制御部は、起動時に前記電源部をオン制御して前記電動駆動部へ電力供給させるとともに前記電動駆動部の初期化処理を実行した後、前記電源部をオフ制御して前記電動駆動部への電力供給を停止させ、その後、前記操作部の状態に応じて前記電源部をオン/オフ制御することを特徴とする観察システム。
【請求項9】
操作部を備える操作装置からの指示によって遠隔操作される観察装置であって、
少なくとも1つの電動駆動部と、
前記電動駆動部を制御するための制御部と、
外部から電力を給電する電源部と、
前記電源部から前記電動駆動部へ電力を供給する第1の電源ラインと、
前記第1の電源ライン上に設けられ、前記電動駆動部への電力供給をオン・オフするスイッチ部と、
前記電源部から前記制御部へ電力を供給する第2の電源ラインとを備え、
前記制御部は、起動時に前記スイッチ部をオン制御して前記電動駆動部へ電力供給してから前記電動駆動部の初期化処理を実行した後、前記スイッチ部をオフ制御して前記電動駆動部への電力供給を停止させ、その後、前記操作部の状態に応じて前記スイッチ部のオン/オフ切換えを制御することを特徴とする観察装置。
【請求項10】
操作部を備える操作装置からの指示によって遠隔操作される観察装置であって、
少なくとも1つの電動駆動部と、
外部から電力を給電する電源部と、
1つの前記電動駆動部毎に対応して設けられる制御ユニットであって、該電動駆動部へ電力を供給する第1の電源ラインと、該第1の電源ライン上に設けられ前記電動駆動部への電力供給をオン・オフするスイッチ部と、前記電動駆動部を制御すると共に前記スイッチ部をオン/オフ切換え制御するコントローラ部とから成る制御ユニットと、
前記操作装置との通信を行い、前記コントローラ部との通信を行うメイン制御部と、
前記コントローラ部及び前記メイン制御部に電力を供給する第2の電源ラインとを備え、
前記メイン制御部は、起動時に、少なくとも1つ以上の前記コントローラ部に対してオン指示及び初期化指示を送信して、前記スイッチ部をオン制御させて前記電動駆動部へ電力供給させると共に前記電動駆動部の初期化処理を行わせた後、該コントローラ部に対してオフ指示を送信して前記スイッチ部をオフ制御させて前記電動駆動部への電力供給を停止させ、その後、前記操作部からの指示に応じて少なくとも1つ以上の前記コントローラ部に対して前記オン指示/オフ指示を送信することで該コントローラ部に前記スイッチ部のオン/オフ切換え制御を行わせることを特徴とする観察装置。
【請求項11】
操作部を備える操作装置からの指示によって遠隔操作される観察装置であって、
少なくとも1つの電動駆動部と、
前記電動駆動部を制御するための制御部と、
外部から電力を給電する電源部と、
前記電源部から前記電動駆動部へ電力を供給する第1の電源ラインと、
前記操作装置から前記制御部へ電力を供給する第2の電源ラインとを備え、
前記制御部は、起動時に前記電源部をオン制御して前記電動駆動部へ電力供給させるとともに前記電動駆動部の初期化処理を実行した後、前記電源部をオフ制御して前記電動駆動部への電力供給を停止させ、その後、前記操作部の状態に応じて前記電源部をオン/オフ制御することを特徴とする観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−217120(P2009−217120A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−62401(P2008−62401)
【出願日】平成20年3月12日(2008.3.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】