説明

観覧車およびプログラム

【課題】標的をゲーム画像として表示する際に、ゴンドラの搭乗者に対して、実際に標的が地上に設置されているかのように視認させる。
【解決手段】観覧車1は、複数のゴンドラ2と、各ゴンドラ2に設けられた複数のゲーム装置3とを備えている。各ゲーム装置3は、ゲーム空間を映し出すゲーム画像を用いてゲームを実行する。ゲーム空間は、奥行き方向が実空間の高さ方向に対応する座標系となる3次元空間である。各ゲーム装置3において、第2の制御部35は、操作手段34への操作に応じてゲーム空間内で落下物を標的に向けて落下させる。ゲーム画像は、標的が実際に地上に設置されているかのようにゴンドラ2の位置に応じてゲーム空間内の視点の座標が変化したときの画像である。第1の制御部33は、ゴンドラ2の動きに合わせてゲーム画像を、ゴンドラ2に設けられた表示部32に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のゴンドラを備える観覧車およびこの観覧車に用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、さまざまな種類の観覧車が遊園地などに提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ところが、上記のような観覧車は、乗降場に近い位置では、ゴンドラの地上からの高さが低く、ゴンドラからの風景が特別珍しいというわけではないため、搭乗者は、ゴンドラが乗降場近くから高所へ移動するまで退屈していた。また、ゴンドラが高所から乗降場近くに戻ってきた場合も、ゴンドラの地上からの高さが再び低くなるため、搭乗者はゴンドラから降りるのを待つだけの退屈な時間を過ごしていた。
【0004】
上記問題を解決するための手法として、従来、的当てゲームを付加した観覧車が知られている(例えば特許文献2参照)。特許文献2の観覧車は、ゴンドラから地上の標的に向けてボールを実際に落下させることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−167215号公報
【特許文献2】特開2009−39214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2の観覧車では、実際のボール(落下物)が標的以外の位置に落下する場合があり、この場合、ボールの回収作業に時間を要するという問題があった。また、観覧車の設置エリア外にボールが落下することもあった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みて為され、本発明の目的は、標的および落下物をゲーム画像として表示する際に、ゴンドラの搭乗者に対して、実際に標的が地上に設置され、その標的に落下物が落下するかのように視認させることができる観覧車およびこの観覧車に用いられるプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る観覧車の発明は、複数のゴンドラを備える観覧車であって、各ゴンドラに設けられゲーム空間を映し出すゲーム画像を用いてゲームを実行する複数のゲーム装置を備え、前記ゲーム空間は、奥行き方向が実空間の高さ方向に対応する座標系となる3次元空間であり、前記ゲーム空間には、前記ゲーム空間内において位置座標が予め固定されている標的と、前記ゲーム空間内において前記奥行き方向に移動することによって前記標的に向かって落下する落下物とが存在し、前記ゲーム画像は、前記ゲーム空間内の仮想的な視点から前記奥行き方向を視線としたときに得られる画像であり、各ゲーム装置は、前記ゴンドラに設けられた表示部と、前記表示部への表示を制御する第1の制御部と、前記ゲーム空間内で前記落下物を前記標的に向けて落下させる際に操作される操作手段と、前記操作手段への操作に応じて前記ゲーム空間内で前記落下物を前記標的に向けて落下させる第2の制御部とを有し、前記第1の制御部は、前記実空間の前記ゴンドラの動きに合わせて前記ゲーム空間内の前記視点の座標が時間とともに変化する前記ゲーム画像を前記表示部に表示させ、前記第2の制御部は、前記実空間の前記ゴンドラの高さに合わせて前記ゲーム空間内の前記落下物の位置座標および大きさを時間とともに変化させることによって前記落下物を前記標的に向けて落下させることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る観覧車の発明は、請求項1の発明において、各ゴンドラは、当該ゴンドラが予め決められた位置に到達すると当該ゴンドラに設けられた前記ゲーム装置にトリガ信号を出力するトリガ手段を有し、各ゲーム装置は、前記トリガ手段から前記トリガ信号を取得する信号取得部を有し、前記第1の制御部は、前記信号取得部で前記トリガ信号が取得されると、前記ゲーム画像を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る観覧車の発明は、請求項2の発明において、前記第1の制御部は、前記信号取得部による複数の前記トリガ信号の取得タイミングから前記ゴンドラの移動速度を算出し、前記ゴンドラの移動速度に合わせて前記ゲーム画像の表示速度を調整することを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る観覧車の発明は、請求項1の発明において、各ゲーム装置に対してトリガ信号を個別に送信する通信部を各ゲーム装置とは別に備え、各ゲーム装置は、前記通信部から前記トリガ信号を取得する信号取得部を有し、前記第1の制御部は、前記信号取得部で前記トリガ信号が取得されると、前記ゲーム画像を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る観覧車の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の発明において、前記ゲーム空間は、前記ゲーム空間内において前記落下物を挟持する挟持部を有し、前記操作手段は、前記ゲーム空間内で前記落下物を落下させる前に前記挟持部を移動させる際に操作される第1の操作部と、前記ゲーム空間内において前記落下物を落下させる落下タイミングを決定する際に操作される第2の操作部とを有し、前記第2の制御部は、前記第1の操作部への操作に応じて前記ゲーム空間内において前記挟持部の位置座標を変化させることによって前記挟持部を移動し、前記第2の操作部が操作されると前記実空間の前記ゴンドラの高さに合わせて前記ゲーム空間内において前記落下物の位置座標および大きさを時間とともに変化させることによって前記落下物を落下させることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る観覧車の発明は、請求項1〜4のいずれか1項の発明において、前記操作手段は、ボールを有し、各ゲーム装置は、前記ボールが投入される投入口が形成された筐体を有し、前記第2の制御部は、前記投入口に前記ボールが投入されると、前記ゲーム空間内において前記落下物を落下させることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る観覧車の発明は、請求項1〜6のいずれか1項の発明において、各ゴンドラに設けられ前記ゴンドラの下方を撮像する複数の撮像部と、前記標的の画像を識別コードに対応付けて記憶する記憶部とを備え、前記第1の制御部は、地上に設置された前記識別コードが前記撮像部の撮像画像に含まれると、前記記憶部において前記識別コードに対応付けられた前記標的の画像を前記撮像画像に重ね合わせ、重ね合わせた画像を前記ゲーム画像として前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係るプログラムの発明は、請求項1〜7のいずれか1項の観覧車に用いられ、前記第1の制御部および前記第2の制御部はコンピュータであり、前記コンピュータに、前記実空間の前記ゴンドラの動きに合わせて前記ゲーム空間内の前記視点の座標が時間とともに変化する前記ゲーム画像を前記表示部に表示させる機能と、前記実空間の前記ゴンドラの高さに合わせて前記ゲーム空間内の前記落下物の位置座標および大きさを時間とともに変化させることによって前記落下物を前記標的に向けて落下させる機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1,8の発明によれば、第1の制御部が、実空間のゴンドラの動きに合わせてゲーム空間内の視点の座標が時間とともに変化するゲーム画像を表示部に表示させ、第2の制御部が、実空間のゴンドラの高さに合わせてゲーム空間内の落下物の位置座標および大きさを時間とともに変化させて落下物を標的に向けて落下させることによって、標的が実際に地上に設置されているかのようにゲーム画像をゴンドラの動きに合わせて表示部に表示することができる。これにより、請求項1,8の発明は、ゴンドラの搭乗者に対して、表示部に表示されている標的を実際に地上に設置され、その標的に落下物が実際に落下するかのように視認させることができるとともに、実際に地上に設置された標的に落下物が落下する場合に比べて、天候などに影響されないゲームを容易に提供することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、各ゴンドラのゲーム装置が同じ位置に到達したときにトリガ信号を取得することができるので、各ゴンドラに対して同じ位置でゲーム画像の表示を容易に開始することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、複数のトリガ信号の取得タイミングから算出したゴンドラの移動速度に合わせてゲーム画像の表示速度を調整することによって、ゴンドラの実際の動きに合ったゲーム画像の表示を実現することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、各ゴンドラのゲーム装置は通信部からのトリガ信号によって他のゴンドラには関係なく個別にゲームを開始させることができる。また、請求項4の発明によれば、各ゴンドラにおけるゲーム画像の表示を一括管理することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、搭乗者が第1の操作部および第2の操作部を用いてゲーム画像上における落下物の落下前の位置や落下タイミングを決めることができるので、搭乗者に対して家庭テレビゲームなど他のゲームと同じような操作感覚でゲームをさせることができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、搭乗者に対して、ボールを投入するという行為をさせることによって、実際にボールをゴンドラから落下させる場合と同じ感覚でゲームをさせることができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、拡張現実技術を用いることで、表示部に表示されるゲーム画像の背景に実空間の撮像画像を用いることができるので、ゲーム画像をより現実に近い画像にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1に係る観覧車のゲーム装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同上に係る観覧車であって、(a)が全体図、(b)が部分拡大図である。
【図3】同上に係る観覧車のゴンドラ内の外観図である。
【図4】同上に係る観覧車のゲームを説明するための図である。
【図5】実施形態2に係る観覧車のゲームを説明するための図である。
【図6】実施形態4に係る観覧車のゲーム装置および地上側機器の構成を示すブロック図である。
【図7】実施形態5に係る観覧車のゲーム装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施形態6に係る観覧車のゴンドラ内の外観図である。
【図9】同上に係る観覧車のゴンドラ内であって、(a)が上方からの外観図、(b)が側面図である。
【図10】同上に係る観覧車のゲームを説明するための図である。
【図11】実施形態7に係る観覧車であって、(a)が全体図、(b)が部分拡大図、(c)がゴンドラの側面図、(d)がゴンドラの背面図である。
【図12】変形例に係る観覧車の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態1)
実施形態1に係る観覧車1は、図2(a)に示すように、観覧車1の設置面Gから一対の支持脚体11が前後に間隔をあけて立設され、一対の支持脚体11の上端間に水平に架設された回転軸12に回転輪13が回転自在に枢支されている。回転輪13は、駆動装置(図示せず)によって旋回駆動される。回転輪13は、ほぼ円盤形状に形成された骨組み体であり、その外周端部には複数のゴンドラ2,2・・・が円周方向の所定間隔ごとに吊り下げられて配設されている。ゴンドラ2の左右中央部の上部には、ゴンドラ2が回転輪13に揺動自在に吊持されるための連結軸(図示せず)が配設されている。連結軸は、回転軸12と同方向(図2(a)の奥行き方向)の軸である。回転輪13の外周端部に吊持された各ゴンドラ2は、回転輪13の周囲のどの位置に移動しても常に鉛直姿勢を保持することができる。各ゴンドラ2の回転軌跡は、ほぼ円周軌跡状である。各ゴンドラ2の回転軌跡の下端部位には、搭乗者がゴンドラ2に乗降するための乗降場14が設けられている。
【0025】
各ゴンドラ2には、図1に示すようなゲーム装置3が設けられている。各ゲーム装置3は、ゲーム空間を映し出すゲーム画像4(図4参照)を用いてゲームを実行する。ゲームが実行されるのは、ゴンドラ2が第1のエリアA1(図2(a)参照)上に位置するときと、ゴンドラ2が第2のエリアA2(図2(a)参照)上に位置するときである。第1のエリアA1および第2のエリアA2には、図2(b)に示すように、設置面G上にダミー標的15が設置されている。
【0026】
ゲーム空間は、仮想的に作られた空間であり、奥行き方向が実空間の高さ方向に対応する座標系となる3次元空間である。上記ゲーム空間には、図4に示すように、ゲーム空間内において位置座標が予め固定されている標的(ターゲット)41と、ゲーム空間内において奥行き方向に移動することによって標的41に向かって落下するボール(落下物)42と、ゲーム空間内においてボール42を挟持する挟持部43とが存在する。
【0027】
ゲーム画像4は、図4に示すように、ゲーム空間内の仮想的な視点から奥行き方向を視線としたときに得られる画像であり、標的41が実際に地上に設置されているかのようにゴンドラ2の位置に応じてゲーム空間内の視点の座標が変化したときの画像である。つまり、ゲーム画像4は、ゲーム空間の一部を切り取って表示するための画像である。ゲーム画像4では、ゴンドラ2の位置(地上からの高さ)が低いほど標的41が大きくなるように、ゴンドラ2の位置に合わせて標的41の大きさが変動する。ゲーム画像4としては、ゴンドラ2の上昇に合わせて標的41が小さくなっていく第1のゲーム画像と、ゴンドラ2の下降に合わせて標的41が大きくなっていく第2のゲーム画像とがある。
【0028】
標的41には、中心領域411と、複数の環状領域412〜414とに区分けされている。中心領域411は、ボール42が命中すると、搭乗者が得点「100点」を獲得することができる領域である。環状領域412〜414は、それぞれ搭乗者が得点「50点」、「30点」、「10点」を獲得することができる領域である。
【0029】
各ゲーム装置3は、図1に示すように、記憶部31と、表示部(モニタ)32と、第1の制御部33と、操作手段34と、第2の制御部35と、信号取得部36と、得点加算部37と、音出力部38aと、表示ランプ機器38bとを備えている。記憶部31には、ゲーム画像4が記憶されている。表示部32は、ゴンドラ2の床面21(図3参照)に設けられている。第1の制御部33と第2の制御部35と得点加算部37とは、例えばコンピュータの中央処理装置(CPU)などで構成されている。
【0030】
観覧車1の各ゴンドラ2は、鉛直下からの角度が所定の角度になったときに、同一のゴンドラ2に設けられているゲーム装置3にオン信号(トリガ信号)を出力する位置センサ(トリガ手段)23を備えている。位置センサ23としては、例えば近接センサなどが用いられる。位置センサ23が近接センサである場合、位置センサ23の被検出部(第1のトリガ信号用の被検出部、第2のトリガ信号用の被検出部)が、ゴンドラ2を吊持するための連結軸(図示せず)に設置され、位置センサ23の検出部がゴンドラ2の本体側に固定して設置されている。したがって、ゴンドラ2が移動すると、検出部に対する被検出部の相対位置が変化し、被検出部が検出部に近接すると、位置センサ23は、トリガ信号をゲーム装置3に出力する。
【0031】
位置センサ23は、ゴンドラ2が第1のエリア(第1の所定位置)A1に到達した時点でオン信号(第1のトリガ信号)をゲーム装置3の信号取得部36に出力する。つまり、鉛直下からの角度が、ゴンドラ2が第1のエリアA1に到達した時点の角度になったときに、第1のトリガ信号は、位置センサ23から信号取得部36に出力される。位置センサ23は、ゴンドラ2が第2のエリア(第2の所定位置)A2に到達した時点でオン信号(第2のトリガ信号)を信号取得部36に出力する。つまり、鉛直下からの角度が、ゴンドラ2が第2のエリアA2に到達した時点の角度になったときに、第2のトリガ信号は、位置センサ23から信号取得部36に出力される。
【0032】
図1に示す信号取得部36は、ゴンドラ2が第1のエリアA1に到達すると、位置センサ23から第1のトリガ信号を取得する。ゴンドラ2が第2のエリアA2に到達すると、信号取得部36は、位置センサ23から第2のトリガ信号を取得する。
【0033】
第1の制御部33は、表示部32への表示を制御する。具体的には、第1の制御部33は、信号取得部36で位置センサ23からの第1のトリガ信号が取得されると、第1のゲーム画像をゲーム画像4として表示部32に表示させる。信号取得部36で位置センサ23からの第2のトリガ信号が取得されると、第1の制御部33は、第2のゲーム画像をゲーム画像4として表示部32に表示させる。表示部32は、ゲーム画像4を表示する。第1のゲーム画像および第2のゲーム画像は、それぞれ、ゴンドラ2の動きに合わせてゲーム空間内の視点の座標が時間とともに変化する画像である。
【0034】
操作手段34は、ゲーム空間内でボール42を標的41(図4参照)に向けて落下させる際に搭乗者によって操作される。具体的には、操作手段34は、図3に示すように、ゲーム空間内で挟持部43(図4参照)を移動させる際に操作される操作レバー(ジョイスティック)341と、ゲーム空間内においてボール42(図4参照)を落下させる落下タイミングを決定する際に操作される発射ボタン342とを備えている。操作レバー341は本発明の第1の操作部に相当し、発射ボタン342は本発明の第2の操作部に相当する。
【0035】
図1に示す第2の制御部35は、搭乗者による操作レバー341への操作に応じてゲーム空間内において挟持部43の位置座標を変化させることによって挟持部43を移動する。発射ボタン342が操作されると、第2の制御部35は、実空間のゴンドラ2の高さに合わせてゲーム空間内においてボール42の位置座標および大きさを時間とともに変化させることによってボール42を落下させる。ボール42の落下方向は、ゲーム空間の奥行き方向である。
【0036】
得点加算部37は、ボール42の標的41への命中度に応じて得点を加算する。得点加算部37で加算された得点は、第1の制御部33によって表示部32に表示される。
【0037】
第1の制御部33、第2の制御部35および得点加算部37を構成するコンピュータは、上述の機能を実現させるためのプログラムにしたがって動作する。上述の機能には、少なくとも実空間のゴンドラ2の動きに合わせてゲーム空間内の視点の座標が時間とともに変化するゲーム画像4を表示部32に表示させる機能と、実空間のゴンドラ2の高さに合わせてゲーム空間内のボール42の位置座標および大きさを時間とともに変化させることによってボール42を標的41に向けて落下させる機能とが含まれている。上記プログラムは、例えば光学記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM)など、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されている。上記コンピュータは、上記プログラムを、上記記録媒体に記録したままの状態で用いてもよいし、上記記録媒体から記憶部31に記憶した状態で用いてもよい。また、上記コンピュータは、センターサーバなどの他の装置から上記プログラムを取得し、記憶部31に記憶して用いてもよい。
【0038】
音出力部38aは、アンプ381と、スピーカ382とを備えている。スピーカ382は、図3に示すように、操作手段34の下方に設けられている。音出力部38aは、報知内容の情報を含む音声信号をアンプ381で増幅し、増幅した音声信号を用いて報知内容をスピーカ382から音声または音で出力する。
【0039】
図1に示す表示ランプ機器38bは、ゴンドラ2に設けられ、報知内容に応じて点灯状態を変更することによって、報知内容を係員などに知らせることができる。
【0040】
ゴンドラ2内には、図3に示すように、一対の座席22,22が対面対向して配設されている。座席22,22間には表示部32が設置されている。表示部32上には、強化ガラスなどのような強度の高い透明部材が設けられることが好ましい。
【0041】
ゴンドラ2の床面21上にゲーム画像4が表示されるので、搭乗者は高所において自らの足下の真下を視認することができ、自らがあたかも空中に浮遊しているかのような錯覚を感じるとともに、ゴンドラ2の高さを実感することができる。これにより、搭乗者は、従来のゴンドラ2では体験できないような浮遊感やスリルを楽しむことができる。
【0042】
次に、本実施形態に係る観覧車1におけるゲームについて図4を用いて説明する。図4は、ゴンドラ2が下りの場合、つまり、ゴンドラ2が頂上を過ぎて乗降場14に到達する前の位置にいる場合のゲーム画像4を示している。ゲーム画像4は、実写に近いコンピュータグラフィックス画像(CG画像)である。
【0043】
まず、表示部32には、図4(a)に示すように、ボール42と、ボール42を挟持する挟持部43とが表示されている。挟持部43は、搭乗者による操作レバー341(図3参照)の操作によって、ゲーム画像4上において左右に移動することが可能である。ゴンドラ2が動くにつれて、表示部32には標的41が表示される。図4(a)では、ゴンドラ2が比較的高い位置にあるため、標的41の大きさは小さい。
【0044】
続いて、搭乗者は、標的41にボール42を命中させることができるように、操作レバー341を操作してゲーム画像4上の挟持部43の左右位置を調整し、最適と思うタイミングで発射ボタン342(図3参照)を押す。ゲーム画像4上では、図4(b)に示すように、挟持部43がボール42を放す。その後、図4(c)に示すように、ボール42は、ゲーム空間の奥行き方向に移動することによって、標的41に向かって落下する。搭乗者の操作がうまくいけば、図4(d)に示すように、ボール42は標的41の中心領域411に命中する。
【0045】
ゲームが終了した後、図4(e)(f)に示すように、ゲームの結果(得点)が表示される。例えばボール42が標的41の環状領域414に落下した場合、表示部32には、図4(e)に示すように「10点」が表示される。これに対して、ボール42が標的41の中心領域411に落下した場合、表示部32には、図4(f)に示すように「100点」が表示される。
【0046】
上記より、ゴンドラ2の位置に応じて、ゲーム画像4上の標的41は、位置や大きさが変化する。つまり、観覧車1の動きに合わせて、標的41は、搭乗者が実際に見える角度・大きさで表示部32に表示される。
【0047】
以上、本実施形態によれば、第1の制御部33が、実空間のゴンドラ2の動きに合わせてゲーム空間内の視点の座標が時間とともに変化するゲーム画像4を表示部32に表示させ、第2の制御部35が、実空間のゴンドラ2の高さに合わせてゲーム空間内のボール42の位置座標および大きさを時間とともに変化させてボール42を標的41に向けて落下させることによって、標的41が実際に地上に設置されているかのようにゲーム画像4をゴンドラ2の動きに合わせて表示部32に表示することができる。これにより、本実施形態の観覧車1は、ゴンドラ2の搭乗者に対して、表示部32に表示されている標的41を実際に地上に設置され、その標的41にボール42が実際に落下するかのように視認させることができるとともに、実際に地上に設置された標的41にボール42が落下する場合に比べて、天候などに影響されないゲームを容易に提供することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、各ゴンドラ2のゲーム装置3が同じ位置に到達したときにトリガ信号を取得することができるので、各ゴンドラ2に対して同じ位置でゲーム画像4の表示を容易に開始することができる。
【0049】
さらに、本実施形態によれば、各ゴンドラ2のゲーム装置3がゴンドラ2の上昇段階と下降段階の両方でトリガ信号を取得するので、ゴンドラ2が上昇していくときとゴンドラ2が下降していくときの両方で搭乗者にゲームを提供することができる。また、それぞれの段階に適したゲーム画像4を表示部32に表示することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、搭乗者が操作レバー341および発射ボタン342を用いてゲーム画像4上におけるボール42の落下前の位置や落下タイミングを決めることができるので、搭乗者に対して家庭テレビゲームなど他のゲームと同じような操作感覚でゲームをさせることができる。
【0051】
さらに、本実施形態によれば、表示部32が得点を表示することによって、搭乗者を一喜一憂させることができる。
【0052】
(実施形態2)
実施形態2に係る観覧車1は、得点加算部37(図1参照)で加算された得点に応じて景品を獲得することができる旨を報知する。なお、本実施形態の観覧車1は、上記以外において、実施形態1の観覧車1と同様である。
【0053】
本実施形態では、ゲーム画像4上において、ボール42が標的41の中心領域411に命中した場合、図5(b)に示すように、表示部32(図1参照)には、得点「100点」が表示されるとともに、搭乗者が景品を獲得することができる旨の「景品ゲット」が表示される。本実施形態の表示部32は、本発明の報知手段に相当する。なお、ボール42が標的41の環状領域412〜414に落下した場合は、図5(a)に示すように実施形態1と同様である。
【0054】
また、本実施形態の音出力部38a(図1参照)は、得点が100点であるため搭乗者が景品を獲得することができる旨を音声出力する。本実施形態の音出力部38aは、本発明の報知手段に相当する。
【0055】
さらに、本実施形態では、搭乗者が景品を獲得することができる旨を、ゴンドラ2に設けられた表示ランプ機器38b(図1参照)によって係員に知らせることができる。これにより、降車後に係員から搭乗者に景品が渡される。本実施形態の表示ランプ機器38bは、本発明の報知手段に相当する。
【0056】
以上、本実施形態によれば、搭乗者に対して景品を獲得することができる旨を表示部32と音出力部38aと表示ランプ機器38bとで知らせることができるので、搭乗者が観覧車1を降車する前または降車した後に搭乗者を喜ばせることができる。
【0057】
なお、本実施形態のように景品を獲得することができる旨を報知する報知手段は、以下の実施形態3〜7に係る観覧車1にも適用することもできる。
【0058】
(実施形態3)
実施形態3に係る観覧車1は、ゲーム画像4の表示速度(再生速度)を常に一定にするのではなく、観覧車1の回転速度に合わせて変更する点で、実施形態1に係る観覧車1と相違する。なお、本実施形態の観覧車1は、上記以外において、実施形態1の観覧車1と同様である。
【0059】
本実施形態の信号取得部36(図1参照)は、ゴンドラ2が第1のエリアA1(第2のエリアA2)に到達するごとに第1のトリガ信号(第2のトリガ信号)を取得する。
【0060】
本実施形態の第1の制御部33(図1参照)は、信号取得部36による複数の第1のトリガ信号(複数の第2のトリガ信号)の取得タイミングからゴンドラ2の移動速度を算出し、ゴンドラ2の移動速度に合わせてゲーム画像4の表示速度を調整する。
【0061】
以上、本実施形態によれば、複数のトリガ信号の取得タイミングから算出したゴンドラ2の移動速度に合わせてゲーム画像4の表示速度を調整することによって、ゴンドラ2の実際の動きに合ったゲーム画像4の表示を実現することができる。
【0062】
なお、本実施形態のようにトリガ信号の取得タイミングからゲーム画像4の表示速度を観覧車1の回転速度に合わせて変更する機能は、実施形態2,4〜7に係る観覧車1にも適用することもできる。
【0063】
(実施形態4)
実施形態4では、図6に示す地上側機器6からのトリガ信号によってゲーム画像4の表示を開始する観覧車1について説明する。本実施形態の観覧車1は、上記以外において、実施形態1の観覧車1と同様である。
【0064】
地上側機器6は、第1の通信部61と、第2の通信部62と、第1の通信制御部63と、第2の通信制御部64と、報知部65とを備えている。
【0065】
第1の通信部61は、複数のゲーム装置3に対して所定時間間隔で順にトリガ信号を送信する。第2の通信部62は、降車が近いことを示すゴール信号を各ゲーム装置3に送信し、得点情報を含む得点信号を各ゲーム装置3から受信する。第1の通信制御部63は、第1の通信部61に対してトリガ信号を各ゲーム装置3に送信させるように制御する。第2の通信制御部64は、第2の通信部62に対してゴール信号を各ゲーム装置3に送信させるように制御する。また、第2の通信制御部64は、各ゲーム装置3から得点信号を受信すると、景品を獲得することができる旨を報知部65に報知させる。報知部65では、乗降場14(図2参照)上において、表示ランプが点灯したり、スピーカからファンファーレが流れたりすることによって、得点に応じて搭乗者が景品を獲得することができることを周囲に知らせる。報知部65は、本発明の報知手段に相当する。
【0066】
本実施形態の各ゲーム装置3は、実施形態1の信号取得部36(図1参照)に代えて、通信部36aを信号取得部として備えている。通信部36aは、第1の通信部61からトリガ信号を受信する。また、通信部36aは、ゴンドラ2が乗降場14に近づいたときに第2の通信部62からゴール信号を受信する。さらに、通信部36aは、ゲーム終了後に得点加算部37で加算された得点情報を含む得点信号を第2の通信部62に送信する。
【0067】
本実施形態の第1の制御部33は、通信部36aでトリガ信号が受信されると、ゲーム画像4を表示部32に表示させる。
【0068】
以上、本実施形態によれば、各ゴンドラ2のゲーム装置3は第1の通信部61からのトリガ信号によって他のゴンドラ2には関係なく個別にゲームを開始させることができる。また、本実施形態によれば、各ゴンドラ2におけるゲーム画像4の表示を一括管理することができる。
【0069】
(実施形態5)
実施形態5に係る観覧車1は、図7に示すように、傾斜センサ51と、照度センサ52と、風力計53とを各ゲーム装置3内に備えている点で、実施形態1に係る観覧車1(図1参照)と相違する。なお、本実施形態の観覧車1は、上記以外において、実施形態1の観覧車1と同様である。
【0070】
傾斜センサ51は、ゴンドラ2の傾きを検出する。つまり、傾斜センサ51は、風の影響や搭乗者の動きなどによって、ゴンドラ2が傾いたことを検出する。照度センサ52は、ゴンドラ2の周囲の照度を計測する。風力計53は、ゴンドラ2の周囲の風を検出する。
【0071】
本実施形態の第1の制御部33は、傾斜センサ51で検出されたゴンドラ2の傾きをゲーム画像4の表示部32への表示に反映させる。また、第1の制御部33は、照度センサ52で計測された照度をゲーム画像4の表示部32への表示に反映させる。例えば、照度が低くなるほど、第1の制御部33は、ゲーム画像4の輝度を全体的に下げるように制御する。上記とは別に、ゲーム画像4として、明るい映像と暗い映像とを記憶し、照度に応じて複数の映像から選択するようにしてもよい。さらに、第2の制御部35は、風力計53で検出された風に合わせてゲーム空間4におけるボール42の落下の軌跡を変更する。
【0072】
以上、本実施形態によれば、ゴンドラ2の傾きを検出することによって、ゴンドラ2の揺れ(傾き)に応じてゲーム画像4を揺れるように表示部32に表示することができるので、ゴンドラ2の実際の動きに合ったゲーム画像4の表示を実現することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、ゴンドラ2の周囲の照度に対応するゲーム画像4を表示部32に表示することができる。例えば朝・昼・夕方・夜に適したゲーム画像4を表示部32に表示することができる。
【0074】
さらに、本実施形態によれば、ゲーム装置3がゴンドラ2の周囲の風に合わせてボール42の落下の軌跡を変更することによって、実際にボールがゴンドラ2から落下する場合と同じような感覚を搭乗者に与えることができる。
【0075】
なお、本実施形態の変形例として、観覧車1は、照度センサ52および風力計53を各ゴンドラ2のゲーム装置3のそれぞれに備えている構成に限定されず、照度センサ52および風力計53を観覧車1全体で少なくとも1つずつ備えている構成であってもよい。このような構成の場合、照度センサ52および風力計53の計測結果は、通信などによって各ゴンドラ2のゲーム装置3に送信される。これにより、各ゲーム装置3は、照度センサ52および風力計53の計測結果を取得することができる。
【0076】
なお、観覧車1は、傾斜センサ51、照度センサ52および風力計53をすべて備えている必要はなく、一部のみを備えていてもよい。
【0077】
また、傾斜センサ51、照度センサ52および風力計53の少なくとも1つを実施形態2〜4,6,7に係る観覧車1に適用してもよい。
【0078】
(実施形態6)
実施形態6に係る観覧車1は、図8に示すように、操作手段34としてボール343を用いる点で、実施形態1に係る観覧車1と相違する。なお、本実施形態の観覧車1は、上記以外において、実施形態1の観覧車1と同様である。
【0079】
本実施形態のゲーム装置3は、図9に示すように、ゴンドラ2の座席22,22との間に設けられたゲーム用筐体7を備えている。ゲーム用筐体7は、内部に設けられたボックス71と、ボックス71に連通するチューブ72とを備えている。チューブ72には、ボール343が投入される投入口73が設けられている。投入口73は、ゲーム用筐体7の上面74から突出している。ゲーム用筐体7の上面74には、表示部32が露出するように設けられている。なお、図示していないが、ゲーム用筐体7の内部には、記憶部31と第1の制御部33と第2の制御部35と得点加算部37とが設けられている。ゲーム用筐体7は、本発明の筐体に相当する。
【0080】
本実施形態の第2の制御部35は、投入口73にボール343が投入されると、ゲーム空間内においてボール343を落下させる。なお、ボール343は、ゴンドラ2に乗るときに係員から搭乗者に渡される。
【0081】
次に、本実施形態に係る観覧車1におけるゲームについて図10を用いて説明する。図10は、ゴンドラ2が下りの場合、つまり、ゴンドラ2が頂上を過ぎて乗降場14に到達する前の位置にいる場合のゲーム画像4を示している。
【0082】
まず、図10(a)に示すように、表示部32は、ゲームが開始する旨を表わす「ゲームスタート」を表示する。その後、ゴンドラ2の動きに応じて、表示部32には、図10(b)に示すように、標的41が表示される。搭乗者は、標的41にボール42を命中させることができるように、最適と思うタイミングでボール343を投入口73から投入する。ゲーム画像4上では、図10(c)に示すように、ボール42は、ゲーム空間の奥行き方向に移動することによって、標的41に向かって落下する。その後、図10(d)に示すように、ボール42は標的41に命中する。このとき、表示部32には、得点が表示される。
【0083】
その後、図10(e)に示すように、搭乗者がボール343を投入口73からさらに投入すると、ゲーム画像4上では、図10(f)に示すように、ボール42は、ゲーム空間の奥行き方向に移動することによって、標的41に向かって落下する。その後、図10(g)に示すように、ボール42は標的41に命中する。このとき、表示部32には、得点が表示される。
【0084】
本実施形態においても、ゲーム画像4は実写に近いコンピュータグラフィックス画像であり、ゲーム画像4上の標的41は、ゴンドラ2の位置に応じて、位置や大きさが変化する。つまり、標的41は、観覧車1の動きに合わせて、搭乗者が実際に見える角度・大きさで表示部32に表示される。
【0085】
なお、ボックス71に入っているボール343は、図9(b)に示すように、ゲーム用筐体7およびゴンドラ2の床部に形成された貫通孔75を介して、乗降場14に設けられたボール回収板76に排出する。ボール回収板76は傾斜して設置されているので、落下したボール343は、回収場所(図示せず)に向かってボール回収板76上を転がっていく。これにより、ゲームに使用されたボール343を乗降場14で集めることができる。
【0086】
以上、本実施形態によれば、搭乗者に対して、ボール343を投入するという行為をさせることによって、実際にボールがゴンドラ2から落下する場合と同じ感覚でゲームをさせることができる。
【0087】
なお、本実施形態のように操作手段34としてボール343を用いる構成は、実施形態2〜5,7に係る観覧車1にも適用することができる。
【0088】
(実施形態7)
実施形態7に係る観覧車1は、拡張現実(Augmented Reality:AR)技術を用いる点で、実施形態1に係る観覧車1と相違する。拡張現実技術とは、現実の環境から知覚に与えられる情報に、コンピュータが作り出した情報を重ね合わせることによって、補足的な情報を与える技術である。本実施形態の観覧車1は、上記以外において、実施形態1の観覧車1と同様である。
【0089】
本実施形態では、図11(b)に示すように、識別コードが付与されたマーカ16がダミー標的15の中心にある。マーカ16は、例えば薄板で形成され、図11(a)に示すように、第1のエリアA1と第2のエリアA2との両方に設けられている。識別コードは、正方形であり、マーカ16の上面に設けられている。上記識別コードは、中央部分にマーク(文字または絵柄)が形成され、マークの外側に黒枠が形成されている。上記マークは、点対称にはならないデザインである。これにより、マークの向き、つまり識別コードの向きを規定することができ、その結果、ゲーム画像4上における標的41の向きを規定することができる。
【0090】
本実施形態の各ゲーム装置3は、図11(c)に示すように、ゴンドラ2に設けられゴンドラ2の下方を撮像する撮像部39を備えている。
【0091】
本実施形態の記憶部31は、標的41の3次元画像を識別コードに対応付けて予め記憶している。
【0092】
本実施形態の第1の制御部33は、画像処理機能を有するコンピュータで構成されている。第1の制御部33は、マーカ16の識別コードが撮像部39の撮像画像に含まれると、上記撮像画像から識別コードを抽出し、抽出した識別コードに対応付けられた3次元画像(標的41の画像)を記憶部31から選択する。第1の制御部33は、撮像画像中における識別コードのマークの向きから、選択した3次元画像の向きを設定する。また、第1の制御部33は、撮像画像中の識別コードの大きさから、選択した3次元画像の大きさを設定する。つまり、ゲーム画像4における3次元画像の大きさが設定される。
【0093】
ところで、撮像画像には、撮像部39に近いほど識別コードが大きく表示される。反対に、撮像部39から遠いほど識別コードが小さく表示される。このため、第1の制御部33は、遠近法を用いて、撮像部39に対する識別コードの位置を検出することができ、識別コードの位置から、3次元画像の3次元位置を設定する。つまり、表示部32のゲーム画像4における3次元画像の3次元位置が設定される。
【0094】
第1の制御部33は、向き、大きさおよび3次元位置が設定された3次元画像を撮像画像に重ね合わせる。第1の制御部33は、撮像画像に3次元画像が重ね合わせた画像をゲーム画像4として表示部32に表示させる。
【0095】
本実施形態の第1の制御部33を構成するコンピュータは、プログラムにしたがって動作する。上述の機能を第1の制御部33に実現させるためのプログラムは、第1の制御部33に後述の第1〜5の機能を実現させるためのプログラムである。
【0096】
第1の機能は、撮像部39の撮像画像から識別コードを抽出する抽出機能である。第2の機能は、抽出された識別コードに対応付けられた3次元画像を選択する選択機能である。第3の機能は、抽出された識別コードの向きおよび大きさ、ならびに撮像部39に対する識別コードの位置から3次元画像の向き、大きさおよび3次元位置をコンピュータに設定させる設定機能である。第4の機能は、向き、大きさおよび3次元位置が設定された3次元画像を撮像画像に重ね合わせさせる画像合成機能である。第5の機能は、撮像画像に3次元画像が重ね合わせた画像を表示部32に表示させる表示制御機能である。
【0097】
上記プログラムは、例えば光学記録媒体(CD−ROM、DVD−ROM)など、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されている。上記コンピュータは、上記プログラムを、上記記録媒体に記録されたままの状態で用いてもよいし、上記記録媒体から記憶部31に記憶した状態で用いてもよい。また、上記コンピュータは、センターサーバなどの他の装置から上記プログラムを取得し、記憶部31に記憶して用いてもよい。
【0098】
以上、本実施形態によれば、拡張現実技術を用いることで、表示部32に表示されるゲーム画像4の背景に実空間の撮像画像を用いることができるので、ゲーム画像4をより現実に近い画像にすることができる。
【0099】
なお、本実施形態の変形例として、マーカ16は、薄板ではなく、ブロックや積み木などの立体物であってもよい。この場合においても、マーカ16には、薄板の場合と同様に、識別コードが設けられる。
【0100】
また、本実施形態の変形例として、マーカ16の識別コードとしてQRコード(登録商標)を用いてもよい。
【0101】
さらに、本実施形態の変形例として、識別コードそのものを、例えばダミー標的15など実際に存在する物としてもよい(いわゆるマーカレスタイプ)。例えば識別コードがダミー標的15である場合、第1の制御部33は、識別コードであるダミー標的15が撮像部39の撮像画像に含まれると、上記撮像画像からダミー標的15を抽出し、抽出したダミー標的15に対応付けられた3次元画像(標的41の画像)を記憶部31から選択する。第1の制御部33は、撮像画像中におけるダミー標的15の向きから、選択した3次元画像の向きを設定する。また、第1の制御部33は、撮像画像中のダミー標的15の大きさから、選択した3次元画像の大きさを設定する。
【0102】
なお、本実施形態のように拡張現実技術を用いることは、実施形態2〜6の観覧車1に適用することもできる。
【0103】
実施形態1〜7において、第1の制御部33、第2の制御部35および得点加算部37を構成するコンピュータは、プログラムにしたがって各機能を実行する。つまり、上記プログラムは、上記コンピュータの各機能を実現するためのプログラムである。
【0104】
実施形態1〜7では、円形の観覧車1について説明したが、実施形態1〜7の変形例として、円形以外の観覧車1であってもよい。観覧車1の形状については、要望などに応じて適宜設計することができる。例えば、図12に示すような楕円状の観覧車1であってもよい。図12に示す観覧車1は、ゴンドラ2に設けられた車輪(図示せず)がレール17を転動することによって、ゴンドラ2をレール17上に沿って走行させることができる。
【符号の説明】
【0105】
1 観覧車
16 マーカ
2 ゴンドラ
23 位置センサ(トリガ手段)
3 ゲーム装置
31 記憶部
32 表示部(報知手段)
33 第1の制御部
34 操作手段
341 操作レバー(第1の操作部)
342 発射ボタン(第2の操作部)
343 ボール
343 投入口
35 第2の制御部
36 信号取得部
36a 通信部(信号取得部)
37 得点加算部
38a 音出力部(報知手段)
38b 表示ランプ機器(報知手段)
39 撮像部
4 ゲーム画像
41 標的
42 ボール(落下物)
43 挟持部
51 傾斜センサ
52 照度センサ
53 風力計
6 地上側機器
61 第1の通信部
65 報知部(報知手段)
7 ゲーム用筐体(筐体)
73 投入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のゴンドラを備える観覧車であって、
各ゴンドラに設けられゲーム空間を映し出すゲーム画像を用いてゲームを実行する複数のゲーム装置を備え、
前記ゲーム空間は、奥行き方向が実空間の高さ方向に対応する座標系となる3次元空間であり、前記ゲーム空間には、前記ゲーム空間内において位置座標が予め固定されている標的と、前記ゲーム空間内において前記奥行き方向に移動することによって前記標的に向かって落下する落下物とが存在し、
前記ゲーム画像は、前記ゲーム空間内の仮想的な視点から前記奥行き方向を視線としたときに得られる画像であり、
各ゲーム装置は、
前記ゴンドラに設けられた表示部と、
前記表示部への表示を制御する第1の制御部と、
前記ゲーム空間内で前記落下物を前記標的に向けて落下させる際に操作される操作手段と、
前記操作手段への操作に応じて前記ゲーム空間内で前記落下物を前記標的に向けて落下させる第2の制御部とを有し、
前記第1の制御部は、前記実空間の前記ゴンドラの動きに合わせて前記ゲーム空間内の前記視点の座標が時間とともに変化する前記ゲーム画像を前記表示部に表示させ、
前記第2の制御部は、前記実空間の前記ゴンドラの高さに合わせて前記ゲーム空間内の前記落下物の位置座標および大きさを時間とともに変化させることによって前記落下物を前記標的に向けて落下させる
ことを特徴とする観覧車。
【請求項2】
各ゴンドラは、当該ゴンドラが予め決められた位置に到達すると当該ゴンドラに設けられた前記ゲーム装置にトリガ信号を出力するトリガ手段を有し、
各ゲーム装置は、前記トリガ手段から前記トリガ信号を取得する信号取得部を有し、
前記第1の制御部は、前記信号取得部で前記トリガ信号が取得されると、前記ゲーム画像を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の観覧車。
【請求項3】
前記第1の制御部は、前記信号取得部による複数の前記トリガ信号の取得タイミングから前記ゴンドラの移動速度を算出し、前記ゴンドラの移動速度に合わせて前記ゲーム画像の表示速度を調整することを特徴とする請求項2記載の観覧車。
【請求項4】
各ゲーム装置に対してトリガ信号を個別に送信する通信部を各ゲーム装置とは別に備え、
各ゲーム装置は、前記通信部から前記トリガ信号を取得する信号取得部を有し、
前記第1の制御部は、前記信号取得部で前記トリガ信号が取得されると、前記ゲーム画像を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1記載の観覧車。
【請求項5】
前記ゲーム空間は、前記ゲーム空間内において前記落下物を挟持する挟持部を有し、
前記操作手段は、前記ゲーム空間内で前記落下物を落下させる前に前記挟持部を移動させる際に操作される第1の操作部と、前記ゲーム空間内において前記落下物を落下させる落下タイミングを決定する際に操作される第2の操作部とを有し、
前記第2の制御部は、前記第1の操作部への操作に応じて前記ゲーム空間内において前記挟持部の位置座標を変化させることによって前記挟持部を移動し、前記第2の操作部が操作されると前記実空間の前記ゴンドラの高さに合わせて前記ゲーム空間内において前記落下物の位置座標および大きさを時間とともに変化させることによって前記落下物を落下させる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の観覧車。
【請求項6】
前記操作手段は、ボールを有し、
各ゲーム装置は、前記ボールが投入される投入口が形成された筐体を有し、
前記第2の制御部は、前記投入口に前記ボールが投入されると、前記ゲーム空間内において前記落下物を落下させる
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の観覧車。
【請求項7】
各ゴンドラに設けられ前記ゴンドラの下方を撮像する複数の撮像部と、
前記標的の画像を識別コードに対応付けて記憶する記憶部とを備え、
前記第1の制御部は、地上に設置された前記識別コードが前記撮像部の撮像画像に含まれると、前記記憶部において前記識別コードに対応付けられた前記標的の画像を前記撮像画像に重ね合わせ、重ね合わせた画像を前記ゲーム画像として前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の観覧車。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の観覧車に用いられ、前記第1の制御部および前記第2の制御部はコンピュータであり、前記コンピュータに、前記実空間の前記ゴンドラの動きに合わせて前記ゲーム空間内の前記視点の座標が時間とともに変化する前記ゲーム画像を前記表示部に表示させる機能と、前記実空間の前記ゴンドラの高さに合わせて前記ゲーム空間内の前記落下物の位置座標および大きさを時間とともに変化させることによって前記落下物を前記標的に向けて落下させる機能とを実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−90773(P2012−90773A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240722(P2010−240722)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(390002196)泉陽興業株式会社 (28)