説明

観覧車

【課題】軽量で容易かつ迅速に製造や施工が可能な中心軸構造体を備えた観覧車を提供する。
【解決手段】多数の乗篭を外周に沿って配設した回転輪Kの中心位置に水平状に固着されると共に、前後の固定支持部30,30に軸受31,31を介して両持梁状に配設された中心軸構造体1を備え、中心軸構造体1が、両端の短軸10,10を有し、かつ、両短軸10,10を直接又は間接的に連結する管状部材11を有し、該管状部材11は薄肉状かつ大径である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観覧車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の乗篭(ゴンドラやキャビン等)を外周に沿って配設した回転輪を固定支持脚(部)に枢支するための中心軸構造は、大型観覧車の場合には、長さが数メートルの1本の(中実軸又は中空軸から成る)鍛造製中心軸を使用している(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
従来から大重量でかつ強風時に強い風圧を受ける大型回転輪を枢支するために、溶接やボルト連結等を中心軸に適用することは、強度上,耐久性上から不安視されていた。従って、溶接やボルト連結(リベット結合)等を全く用いないで1本ものの(ムクの)鍛造品から成る軸部材が従来から、当然の如く、使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005ー211461号公報
【特許文献2】実用新案登録第2516333号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、外径が300ミリメートルを超え、かつ、長さが数メートルもの1本ものの鍛造品を製造できる工場(鍛造設備)は数が限られ、納期が著しく長くなり、現実には納入至難となっている。
しかも、重量が過大となるという問題、及び、製造コストが著しく高くなるという問題、また、その後の機械加工部分が多くなるという問題や、製造工場から遊園地等の現場までの運搬が交通制限を受ける等して困難であるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、短い納期にて比較的多くの工場(鍛造設備)でも容易に製造ができる軽量(かつ強度上従来と同等レベルの)中心軸構造を有する観覧車を提供することを目的とする。さらに、製造コストを低減可能で、機械加工部分が少なくなり、運搬も容易な中心軸構造を有する観覧車を提供することを、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、多数の乗篭を外周に沿って配設した回転輪の中心位置に水平状に固着されると共に、前後の固定支持部に軸受を介して両持梁状に配設された中心軸構造体を備え、該中心軸構造体が、両端の短軸を有し、かつ、該両短軸を直接又は間接的に連結する管状部材を有し、該管状部材は薄肉状かつ大径である。
また、上記短軸が鍛造製である。
また、上記管状部材は、長手方向に複数の筒体をボルト・ナット結合にて連結一体化しているものである。
また、上記短軸と上記管状部材とは、上記短軸の内端に外嵌固着されたボス部材を介して相互に連結されているものである。
また、上記短軸が中実である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の観覧車によれば、中心軸構造体を軽量化できる。中心軸構造体の製造を容易にできる。中心軸構造体の運搬及び施工を容易かつ迅速にでき、かつ、コストダウンを図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の観覧車の実施の一形態を示す簡略側面図である。
【図2】要部断面側面図である。
【図3】管状部材を説明する要部拡大断面図である。
【図4】作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1は本発明の観覧車の実施の一形態を示す簡略側面図であり、図2はその要部断面側面図である。
【0010】
図1に於て、本発明の観覧車は、乗客(観覧者)が乗降可能な乗篭G(ゴンドラやキャビンともいう)を多数有し、その乗篭Gを外周に沿って配設した大型の円形の回転輪Kを備えている。回転輪Kは、回転輪Kの中心位置にて水平状に固着された中心軸構造体1を備えている。本発明に於て、乗篭Gが「多数」とは、20個以上のものを言うと定義し、また、回転輪Kが「大型」とは、直径が40メートル以上のものを言うと定義する。回転輪Kは、乗篭Gを回転輪Kの円周方向に回転移動させて乗客に高所からの景色等の眺望を提供可能に設けられている。また、回転輪Kは、2つの円形状の枠体k,kを同心状に配設し軸心L方向に連結したものであって、2つの枠体k,kの間に空間を有する略円盤形状の枠構造体である。
【0011】
中心軸構造体1は、回転輪Kの前後位置の固定支持部30,30にベアリング等の軸受31,31を介して両持梁状に配設されかつ、回転可能に支持されている。固定支持部30,30は、地面や建築物等から上方突出状に設けられた複数の支持脚部材Sの上端部位が該当している。回転輪Kの中心位置近傍(軸心L近傍)に設けられている。中心軸構造体1は、回転輪Kを両持梁状に支持しているとも言える。
尚、前後方向とは、軸心L方向から見た前と後の方向である。
【0012】
図2に於て、中心軸構造体1は、両端の短軸10,10と、短軸10が取着するボス部材12と、ボス部材12,12を連結する管状部材11と、を備えている。言い換えると、両短軸10,10は(ボス部材12を介して)間接的に大径の管状部材11にて、連結されている。
【0013】
短軸10は、鍛造成形品であって、ボス部材12に、内方側から挿通され、回転輪Kに対して短軸10の一部が前後方向へ外方突出状となるように配設されている。つまり、両短軸10,10の一部は、一方(前方)側の枠体k及び他方(後方)側の枠体kから軸心Lに同心状に各々外方側へ突出している。
【0014】
また、短軸10は、軸心L方向(中心)に貫通した軸心孔10aを有する中空軸である。軸心孔10aは、管状部材11の内部11Aと連通している。
さらに、短軸10は、回転輪Kの前後内方側から外方側へ抜け落ちるのを規制すると共にボス部材12に固着するためのボルト部材が挿通可能な孔部を有する外鍔部10bと、回転輪Kに固着されたボス部材12の挿通孔12aに嵌入される挿入部10cと、ボス部材12を介して回転輪Kの外方側に突出すると共に軸受31が外嵌される支持部10dと、を有している。
【0015】
短軸10の外端の端面は、上述した乗篭Gや回転輪K等に音声スピーカや空調機用等の電力を供給するための中継箇所となるスリップリング20を取着している。
軸心孔10aは、スリップリング20の乗籠G等に供給する側(供給側)の電気配線21が挿通され、電気配線21を回転輪K側へ導入している。
外鍔部10bは、ボス部材12に当接して軸心L方向の位置決めをおこなうと共に、ボルト部材にてボス部材12に固着されている。
挿入部10cは、回転輪Kに固着されたボス部材12の挿通孔12aに嵌入している。
支持部10dは、ベアリング等の軸受31が回転自在に外嵌されている。
言い換えると、短軸10の内端の挿入部10cにはボス部材12が外嵌固着されて、外端の支持部10dには、軸受31が回転自在に外嵌されている。また、軸受31は軸受台を介して固定支持部30に取着されている。つまり、短軸10は、固定支持部30に軸受31を介して回転自在に支持されている。
【0016】
また、短軸10は、中心軸構造体1の全長よりも十分に短く形成されている。即ち、本発明に於て、短軸10の「短」とは、中心軸構造体1の全長寸法Tの25%以下の長さ寸法tに形成されている(設定されている)ことと定義する。また、支持部10dの支持部直径寸法dは、挿入部10cの直径寸法よりも小さく形成されている。また、支持部直径寸法dは、管状部材11の外径寸法Dの50%以下の寸法に形成されている(設定されている)。また、回転輪Kの荷重を十分に受けることが可能な強度を有している。
【0017】
ボス部材12は、回転輪Kに一体状に固着されている。言い換えると、回転輪Kの正面側の枠体k及び背面側の枠体kに各々固着されている。回転輪Kの軸心Lと同軸心状に配設される円筒状のボス部12Aと、ボス部12Aからラジアル外方向に突設する連結部12Bと、を有している。
ボス部12Aは、回転輪Kに固着された状態で軸心Lと同心状になる挿通孔12aを有している。挿通孔12aは短軸10が挿入されている。
連結部12Bは、回転輪K(枠体k)に固着可能に形成されている。また、管状部材11が固着可能に形成されている。管状部材11をボルト止め可能なネジ孔、又はボルト・ナット結合可能な貫孔、を有している。
【0018】
管状部材11は、軸心Lに同心状に配設されている。回転輪Kの前後内方側に配設されている。言い換えると、一方(正面)側の枠体kと他方(背面)側の枠体kとの間に配設されている。さらに、言い換えると、正面側の枠体kに固着されているボス部材12と背面側の枠体kに固着されたボス部材12との間に配設され、両端を両側のボス部材12,12に固着している。つまり、管状部材11と短軸10とは、短軸10の内端(挿入部10c)に外嵌固着されたボス部材12を介して相互に連結されている。
【0019】
管状部材11は、内部11Aが短軸10の軸心孔10aと連通している。両端にボス部材12と面接触するフランジ部11Bを有している。また、外径寸法Dに対して10分の1以下の寸法の薄い肉厚となる円周壁11Dを有している。
内部11Aには、軸心孔10aを挿通した電気配線21が導入されている。
フランジ部11Bには、ボス部材12と結合するためのボルト部材が挿通する貫孔が形成されている。つまり、管状部材11はボス部材12に固着されている。言い換えると、両側の短軸10,10を、両側のボス部材12,12を介して連結している。
円周壁11Dには、内部11Aから外周側に連通する貫通孔11dを貫設している。なお、本発明に於て、管状部材11が「大径」とは、管状部材11の外径寸法Dが,短軸10の支持部直径寸法dの2倍以上であることと、定義する。
【0020】
また、管状部材11は、2箇所の結合部11Cにて、長手方向(軸心L方向)に3つの筒体11a,11a,11aをボルト・ナット結合にて連結一体化したものである。筒体11aの長手方向の長さは、管状部材11の全長の半分(2分の1)以下の長さ寸法に形成(設定)されている。つまり、短円筒形状に形成されている。
【0021】
図3に、結合部11Cの結合前の状態を説明する要部拡大断面図を示す。
結合部11Cは、一方の筒体11aの、他方の筒体11aと連結される端面側に、断面視L字状の受けフランジ部40を設けている。そして、他方の筒体11aの、一方の筒体11aと連結される端面側に、受けフランジ部40に係止され一方の筒体11aに対して他方の筒体11aを同心状に配設させる係合フランジ部41を設けている。受けフランジ部40及び係合フランジ部41は、係合状態で結合させる筒体11a,11aを同心状とさせると共に結合ボルト部材42が挿通可能な連結用貫孔を各々有している。
つまり、連結部11Cは、一方の筒体11aの受けフランジ部40に他方の筒体11aの係合フランジ部41を嵌め合わせて、筒体11a同士を相互に同心状に配設し、受けフランジ部40及び係合フランジ部41の同心状となった連結用貫孔に挿通した結合ボルト部材42に、結合ナット部材43を螺着することで、連結(結合)している。
【0022】
上述した本発明の観覧車の使用方法(作用)について説明する。
中心軸構造体1を製造する際に、(中心軸構造体1を1本の鍛造製の軸で製作した場合に比べ)中央部を管状部材11とし、両端部のみを鍛造製の短軸10,10としているので、容易に鍛造成形される。また、機械工作加工が必要な軸心孔10aや挿入部10c及び支持部10d等は容易に加工される。管状部材11は、連結一体化される前の短い複数の筒体11a,11a,11aで製作される。連結一体化した管状部材11に比べ半分以下の重量及び大きさ(長さ)であるため容易に製作される。中心軸構造体1は容易に製作される。
【0023】
中心軸構造体1を運搬する際に、短軸10は、(中心軸構造体1を1本の鍛造製の軸で製作した場合に比べ)十分に短くて軽量なので、交通規制や車両規制等の影響を受けずスムーズに運搬される。筒体11aは、連結一体化され管状部材11と成る前に比べ小型・軽量なので、交通規制や車両規制等の影響を受けずスムーズに運搬される。中心軸構造体1は分割状となってスムーズに運搬される。
【0024】
組立や施工の際に、ボス部材12は、挿通孔12aを回転輪Kの軸心Lに同心状に固着される。ボス部材12の挿通孔12aには、短軸10が挿入(嵌入又は圧入)される。
短軸10は、ボス部材12のボス部12Aに外鍔部10bを当接する。外鍔部10bは突出長さ(出代)を規制して位置決めする。両短軸10は、回転輪Kの前後方向に軸心Lに同心状に突設する。突出した短軸10の支持部10dに、自動調心コロ軸受け等の軸受31を外嵌する。軸受台を介して固定支持部30に支持される。固定支持部30は、短軸10を回転自在に支持する。つまり、回転輪Kは回転自在に支持される。
3つの筒体11a,11a,11aは、受けフランジ部40と係合フランジ部41とによって、同心状に配設され、ボルト・ナット結合にて結合部11Cで連結一体化し、1本の管状部材11と成る。
管状部材11は、軸心Lに同心状に配設され、フランジ部11Bをボルト部材を用いてボス部材12の連結部12Bに固着する。管状部材11は、両短軸10,10をボス部材12を介して間接的に連結する。
【0025】
即ち、中心軸構造体1は迅速かつ容易に回転輪Kに組立できる。前後の固定支持部30,30に軸受31を介して両持梁状に回転輪Kを回転自在に支持する。
【0026】
また、電気配線21の配線作業の際に、スリップリング20を短軸10の外端面側に設けると、軸心孔10aは電気配線21を回転輪K側に導入(誘導)する。回転輪Kの内方で軸心孔10aと管状部材11の内部11Aが連通しているので、回転輪K側に導入された電気配線21は、管状部材11の内部11Aへ導かれる。そして、管状部材11の内部11Aへ導かれた電気配線21は、管状部材11の貫通孔11dを挿通し、管状部材11の外周面側に導かれる。つまり、短軸10の軸心孔10a及び管状部材11の内部11Aと貫通孔11dは、回転輪Kの外方側から内方側に電気配線21を引き込ませる。回転運動する回転輪Kの内部(内方)に電気配線21を導入させる。回転輪Kの外方の電力源からの電力(電気)を乗篭G等に供給可能にする。
【0027】
施工後に、回転輪Kからの荷重を短軸10の挿入部10cが受ける。短軸10の支持部10dは、短軸10の受けた荷重を、軸受31を介して固定支持部30に伝達する。固定支持部30は、回転輪Kからの荷重を支持する。また、荷重のかかる内端(挿入部10c)と支持する外端(支持部10d)の距離が短いので曲げモーメントの影響を軽減する。
【0028】
また、図1に示すように、回転輪Kの一方側の上方に図示矢印の方向から風Wが吹きつけた際に、回転輪Kは、風Wによって他方に傾倒されるような力を受ける。
すると、図4に示すベンディング・モーメント・ダイヤグラムのような力が中心軸構造体1にかかる。
この際、一方側の短軸10には、回転輪Kが他方へ傾倒しようとする力の一部である上方へ引き上げるような上向きの力(引張力)と回転輪Kの下向き荷重(自重)の差から成る上方への力P1 を受ける。また、他方側の短軸10は風W(図1参照)によって下方へ押し下げるような力(押し力)と回転輪Kの下向きの荷重(自重)とからなる下方へ大きい負荷力P2 を受ける。
つまり、風Wの向き(一方側から吹くか他方側から吹くか)によって、中心軸構造体1のどちらかの短軸10には、風W(図1参照)による押し力と回転輪Kの自重とから成る大きい負荷力P2 を受ける。この大きな負荷力P2 は、風Wの向きによって両短軸10,10のどちらか一方に発生する。そこで、大きな負荷力P2 が発生する虞れのある両側の区間E1 ,E1 を鍛造製の両短軸10,10で受けている。そして風Wの影響をあまり受けず負荷の少ない中央部の区間E2 を管状部材11で受けている。
【0029】
即ち、風W等によって、回転輪Kが傾くようになって、中心軸構造体1に不規則な負荷力がかかる際であっても、その負荷力P2 がかかる両側の区間E1 ,E1 は、繰り返し荷重等に強い鍛造製の軸形状である短軸10であるので、回転輪Kからの負荷力を確実に受ける。また、回転輪Kの前後内方側で、管状部材11が受ける負荷は、短軸10にかかる負荷に比べて小さいので、薄肉の管状部材11であっても十分に負荷を受ける。このように、力学上極めて合理的な構造になっているといえる。
また、管状部材11を大径に設けることで、円周壁11Dにラジアル方向に貫通孔11dを形成していても、応力集中による破壊(破損・亀裂)の虞れを低減している。
中心軸構造体1は、中央部を軽量で薄肉状の管状部材11としながらも、両端部を強靱な短軸10,10としているので、十分に回転輪Kからの負荷を受ける。
【0030】
なお、本発明は、設計変更可能であって、観覧車の形状は図1に示した形状に限らず、例えば、前後一方又は両方の固定支持部30を、商業施設やビル等の建築物に設けたものでも良い。また、支持脚部材Sが設置される面は、地面や建築物の屋上や土台等自由である。
また、短軸10の内端(の外鍔部10b)に管状部材11を直接連結しても良い。また、管状部材11は、上述したように3分割に限らず、2分割や4分割以上に設けても良い。また、短軸10の挿入部10c(内端側)の直径寸法と支持部10d(外端側)の支持部直径寸法dは同寸法に設定しても良い。また、短軸10としては、中実としても良い。
【0031】
以上のように、多数の乗篭Gを外周に沿って配設した回転輪Kの中心位置に水平状に固着されると共に、前後の固定支持部30,30に軸受31,31を介して両持梁状に配設された中心軸構造体1を備え、中心軸構造体1が、両端の短軸10,10を有し、かつ、両短軸10,10を直接又は間接的に連結する大径の管状部材11を有するので、中心軸構造体1を軽量に製作できる。また、加工の容易な短軸10や管状部材11に分割して製作でき、コストを低減できる。精度の高い加工が必要な軸部を短くした(短軸10にした)ことで、納期を短縮できると共に製作コストを低減できる。鍛造成形部を両短軸10,10のみとしているので容易に製造できる。中心軸構造体1を分割して運搬できる。即ち、交通規制等の影響を受けず迅速かつ容易に運搬できる。施工をスムーズにおこなうことができる。中心軸構造体1を回転輪Kに一体状に設けることができ、中心軸構造体1を回転輪Kと共に回転させてより確実に回転輪Kを支持できる。短軸10は短いので、中心に貫孔加工をすることが容易にできる。
【0032】
また、短軸10は、鍛造製であって、その外端側に設けたスリップリング20の電気配線21を、回転輪K側へ導入する軸心孔10aを貫設した中空軸であるので、短軸10を軽量化できる。短軸10に電気配線21の配線経路を一体状に形成でき、回転輪K側へ電気配線21を導入する部材を設けず設備を簡素化できる。回転運動する回転輪Kの前後内方側に容易に電気配線21を導入できる。電気配線21を短軸10で保護できる。
また、短軸10は短いので軸心孔10aに電気配線21を容易に挿通させることができる。短い軸心孔10aによりスリップリングを短軸10外端側の端面に配設可能にする。回転輪K近傍に配線用の孔部を形成しないので、スリップリング20を回転輪Kに接近させる必要がなくなり、回転輪Kに固定支持部30を接近させることができる。回転輪Kからの力を受ける短軸10の挿入部10cと回転輪Kを支持する支持部10dを接近させ、短軸10の撓み等を軽減できると共に、曲げモーメントの影響を軽減できる。回転輪Kを確実に回転自在に保持できる。
【0033】
また、短軸10は、鍛造製であって、その外端側に設けたスリップリング20の電気配線21を、回転輪K側へ導入する軸心孔10aを貫設した中空軸であり、電気配線21は、管状部材11の内部11Aに挿通され、管状部材11には、その円周壁11Dに、電気配線21を、内部11Aから外周側に導く貫通孔11dを貫設したので、回転運動する回転輪Kの内部(内方)に電気配線21が導入できる。電気配線21用の通路やカバー体等を別途設ける必要がなく容易に施工できる。電気配線21を短軸10及び管状部材11で保護することができる。
【0034】
また、管状部材11は、長手方向に複数の筒体11a,11a,11aをボルト・ナット結合にて連結一体化しているので、交通規制や車両規制等の影響を受けずスムーズに運搬できる。容易かつ迅速に製作できる。低コストで製作できる。ボルト・ナット結合によって容易に連結一体化できる。また、様々な長さの筒体11aを組み合わせることで、様々な長さの中心軸構造体1を形成できる。
【0035】
また、短軸10と管状部材11とは、短軸10の内端に外嵌固着されたボス部材12を介して相互に連結されているので、回転輪Kの歪みや捩じれを矯正できる。回転輪Kの軸心L方向の強度を向上させることができる。管状部材11を大径にできる。
【符号の説明】
【0036】
1 中心軸構造体
10 短軸
11 管状部材
11a 筒体
12 ボス部材
30 固定支持部
31 軸受
G 乗籠
K 回転輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の乗篭(G)を外周に沿って配設した回転輪(K)の中心位置に水平状に固着されると共に、前後の固定支持部(30)(30)に軸受(31)(31)を介して両持梁状に配設された中心軸構造体(1)を備え、該中心軸構造体(1)が、両端の短軸(10)(10)を有し、かつ、該両短軸(10)(10)を直接又は間接的に連結する管状部材(11)を有し、該管状部材(11)は薄肉状かつ大径であることを特徴とする観覧車。
【請求項2】
上記短軸(10)が鍛造製である請求項1記載の観覧車。
【請求項3】
上記管状部材(11)は、長手方向に複数の筒体(11a)(11a)(11a)をボルト・ナット結合にて連結一体化している請求項1又は2記載の観覧車。
【請求項4】
上記短軸(10)と上記管状部材(11)とは、上記短軸(10)の内端に外嵌固着されたボス部材(12)を介して相互に連結されている請求項1,2又は3記載の観覧車。
【請求項5】
上記短軸(10)が中実である請求項1,2,3又は4記載の観覧車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−56174(P2013−56174A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−237902(P2012−237902)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【分割の表示】特願2008−107080(P2008−107080)の分割
【原出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(390002196)泉陽興業株式会社 (28)