説明

観賞用水草の育成方法

【課題】 生産者にとってもユーザにとっても水草を育成しやすい観賞用水草の育成方法を提供する。
【解決手段】 ネット状素材の袋に培養土を詰めて構成される土台10に、生長点を含むように切断された有茎草13及び/又は根生草11、12を載せ、金属製又はプラスチック製の逆凵状の固定具14を土台に差し込んで有茎草及び/又は根生草を土台に固定し、土台をトレイ15上に載せ、散水にて水を与えて有茎草及び/又は根生草を土台の袋を通して根付かせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は観賞用水草の育成方法に関し、特に生産者にとってもユーザにとっても水草を育成しやすい育成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、生活に潤いをもたせるべく、水槽や鉢で水草を育成し、これを見て楽しむ人が増えてきた。この観賞用水草を育てる場合、水槽や鉢の底に砂を敷いて水草を植えつけ、水を入れて水草を育てることが行われていた(特許文献1)。
【0003】
上述の育成方法はユーザにとっては水草が育つ過程を見て楽しむことができるという点で優れているが、生産者にとっては水草の植えつけに時間と手間がかかり、採用しにくい方法であった。
【0004】
これに対し、ピートモスを塊状に成形して内部に錘を入れ、有茎草や根生草を所定の長さに切断して塊状ピートモスに載せ、糸を巻き付けて水草を固定し、水草を育成するという方法が提案されている(特許文献2)。この方法は量産性に優れており、生産者にとって好ましい方法であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−253064号公報
【特許文献2】特開2000−113567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2記載の育成方法は切断した有茎草や根生草を糸を巻きつけて固定する必要があり、ユーザにとっては煩わしい方法であった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、生産者にとってもユーザにとっても水草を育成しやすい観賞用水草の育成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係る観賞用水草の育成方法は、ネット状素材の袋に培養土を詰めて構成される土台に、生長点を含むように切断された有茎草及び/又は根生草を載せ、金属製又はプラスチック製の逆凵状の固定具を土台に差し込んで有茎草及び/又は根生草を土台に固定し、この土台をトレイ上に載せ、散水にて水を与えて有茎草及び/又は根生草を土台の袋を通して根付かせるようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つはネット状袋に培養土を詰めた土台に、生長点を含むように切断された水草を載せ、金属製又はプラスチック製の逆凵状の固定具を土台に差し込んで水草を土台に仮固定するようにした点にある。
【0010】
これにより、水草を土台に簡単に固定して根付かせることができ、水草の植えつけに時間と手間がかからず、量産性を要求される生産者にとって採用しやすく、又水草の植えつけに煩わしさがなく、ユーザにとって水草を育成しやすい。
【0011】
固定具はそのまま土台に差し込んでおいてもよく、水草が根付いた後に土台から抜いてもよい。また、上記では固定具を使用するようにしたが、土台の構造上、水草をネット状素材の袋を通して土台に差し込んで固定することもできる。
【0012】
本発明に係る観賞用水草の育成方法は、ネット状素材の袋に培養土を詰めて構成される土台に、生長点を含むように切断された有茎草及び/又は根生草を差し込んで固定し、土台をトレイ上に載せ、散水にて水を与えて有茎草及び/又は根生草を根付かせるようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、上述の育成方法に用いる土台も斬新である。すなわち、本発明によれば、水草を育成するのに用いる土台であって、ネット状素材で製作された袋の口から、培養土が詰められて上記口が閉じられており、生長点を含むように切断された有茎草及び/又は根生草が載せられて金属製又はプラスチック製の逆凵状の固定具によって仮固定され、あるいは生長点を含むように切断された有茎草及び/又は根生草が差し込まれて固定されるようになっていることを特徴とする水草育成用土台を提供することができる。
【0014】
袋はネット状素材で製作されていればよく、例えば麻袋を用いることができるが、他の素材、例えば綿糸、ナイロンなどの軟質の合成樹脂材料で製作されることができる。袋の形状は特に限定されず、俵状や球状を採用することができる。
【0015】
培養土には赤玉土、バーミキュライト、鹿沼土、パーライト、黒土、ピートモスなどを適宜組み合わせて用いることができる。例えば、園芸用の培養土を利用することができる。水草を育成上、培養土には肥料を混合しておくのがよい。肥料には化成肥料や有機肥料を適宜配合して用いることができる。
【0016】
水草には有茎草や根生草を用いることができる。有茎草には、Alternanthera 属、Bacopa属、Glossostigma属、Hydrocotyle 属、Hygrophila属、Ludwigia属、Micranthemum属、Microcarpaea属、Murdannia 属、Myriophyllum属、Persicaria属、Pogostemon属、Proserpinaca属、Rotala属、Staurogyne属、Hemianthus属、Limnophila属、Polygonum 属、Ammannia属、Nesaea属、Hottonia属、Lysimachia属、Potamogeton 属、Cardamine 属、Heteranthera属、Mayaca属、Elatine 属、Didiplis属、Lilaeopsis属、Ysimachia 属、Lindernia 属、Nomaphila 属、Utricularia 属などを挙げることができる。
【0017】
また、根生草には、Alisma属、Eleocharis属、Cryptcoryne 属、Echinodorus 属、Vallisneria 属、Sagittaria属、Cyperus 属、Aponogeton属、Anubias 属、Bucephalandra 属などを挙げることができる。その他、Marsilea属、Microsorium 属、Bolbitis属、Ceratopteris属などのシダ植物も水草として植えつけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る観賞用水草の育成方法の好ましい実施形態における水草の処理の仕方を示す図である。
【図2】上記実施形態において水草を土台に固定する状態を示す図である。
【図3】上記実施形態において育成中の状態を示す図である。
【図4】上記実施形態において育成した水草を観賞用鉢にセットした例を示す図である。
【図5】上記実施形態において育成した水草を観賞用鉢にセットした他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図5は本発明に係る観賞用水草の育成方法の好ましい実施形態を示す。観賞用水草を育成する場合、土台10を製作する。土台10は適当な大きさの麻袋を用い、袋の口から肥料入りの培養土を適切な量だけ詰め、紐やステップルなど、適切な固定具を用いて袋の口を閉じる。
【0020】
観賞用水草として根生草11、12や有茎草13を準備する。根生草11、12は図1の(a)に示すように、株11Aに生長点があって芽が生える性質を有するか、又は図1の(b)に示すように、ライナー12Bに生長点があって新しい株根12Aが生える性質を有する水草である。そこで、根生草11、12の場合、株11Aやライナー12Bの生長点が含まれるように切断する。有茎草13の場合、図1の(c)に示すように節13Aに生長点があるので、節13Aが含まれるように茎を切断する。
【0021】
こうして準備が済むと、図2に示されるように、切断した根生草11、12及び有茎草13を土台10に載せ、逆凵字状の金属製又はプラスチック製のクリップ14を土台10に差し込んで根生草11、12及び有茎草13を固定するか、又は根生草11、12及び有茎草13を麻袋を通して土台10に差し込んで固定する。どちらの固定方法を採用するかは水草の種類に応じて選択する。
【0022】
なお、必要に応じて紐で水草11〜13を土台10に括りつけるようにしてもよい。また、クリップ14はそのまま残しておいてもよく、水草11〜13がある程度根付いたときに抜くようにしてもよい。
【0023】
こうして水草11〜13を土台10に固定できると、ビニールハウスなど、湿度や温度を管理できる施設の中に設置したトレイ15の上に、水草11〜13を土台10ごと置き、24時間定期的にスプレー散水によって水分補給を行い、水上にて育成する。土台10には肥料が含まれているので、水草11〜13は成長が速い。夏期には20日〜25日で、冬期には1.5カ月〜2カ月程度で商品レベルまで水草11〜13が成長する。
【0024】
水草11〜13が成長すると、図4及び図5に示されるように、水草11〜13を土台10ごと鉢20や水槽に移して水を入れ、観賞することができる。
【符号の説明】
【0025】
10 土台
11、12 根生草
13 有茎草
14 クリップ(固定具)
15 トレイ
20 鉢


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネット状素材の袋に培養土を詰めて構成される土台に、生長点を含むように切断された有茎草及び/又は根生草を載せ、金属製又はプラスチック製の逆凵状の固定具を土台に差し込んで有茎草及び/又は根生草を土台に固定し、この土台をトレイ上に載せ、散水にて水を与えて有茎草及び/又は根生草を土台の袋を通して根付かせるようにしたことを特徴とする観賞用水草の育成方法。
【請求項2】
ネット状素材の袋に培養土を詰めて構成される土台に、生長点を含むように切断された有茎草及び/又は根生草を差し込んで固定し、土台をトレイ上に載せ、散水にて水を与えて有茎草及び/又は根生草を根付かせるようにしたことを特徴とする観賞用水草の育成方法。
【請求項3】
観賞用水草を育成するのに用いる土台であって、
ネット状素材で製作された袋の口から、培養土が詰められて上記口が閉じられており、 生長点を含むように切断された有茎草及び/又は根生草が載せられて金属製又はプラスチック製の逆凵状の固定具によって固定され、あるいは成長点を含むように切断された有茎草及び/又は根生草が差し込まれて固定されるようになっていることを特徴とする水草育成用土台。
【請求項4】
上記袋が麻袋である請求項3記載の水草育成用土台。
【請求項5】
上記培養土には肥料が混合されている請求項3記載の水草育成用土台。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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