説明

観賞用透明ブロック

【課題】装飾用置物としては勿論、小間物入れ等として身近に使用することができる観賞用透明ブロックの提供を図る。
【解決手段】装飾材料3A,3Bを透明なパラフィンワックス4内に封じ込んだ透明容器2の蓋体5の外側に、透明な化粧ケース6を構成している。これにより、観賞用透明ブロック1本来の装飾性,意匠性を発揮できることは勿論、装身具等の小間物入れとして日常的に身近に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な固化材料で装飾材料を内部に封じ込んで、装飾用置物として用いることができる観賞用透明ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、先きに特許文献1に示されているように、透明容器内に、装飾材料を透明な固化材料で封じ込んだ観賞用透明ブロックを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−5094号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
装飾材料を透明な固化材料の中に浮遊状態に封じ込んであるため、独特な立体感を現出して観る者を魅了できるのであるが、単に置物としてではなく、小間物入れのような日常的に身近に使用できる商品としての価値が求められている。
【0005】
そこで、本発明は装飾用置物としては勿論、小間物入れ等として身近に使用することができる観賞用透明ブロックを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観賞用透明ブロックにあっては、一側に開放部を有し、該開放部の周縁近傍の内周面に径方向内側に向けて張り出すフランジ部を形成した透明容器と、この開放部から透明容器内に装飾材料と共に充填されて、該装飾材料の中に封じ込んだ透明な固化材料と、前記開放部に装着されて、その周端面と前記フランジ部面とに押圧密接して、該開放部を閉塞した透明な蓋体と、前記フランジ部で形成される内側開口部の周縁に内接嵌合して配置され、前記蓋体に密接する透明な内蓋と、を備えている。そして、前記蓋体の外側には、該蓋体を底板として透明な化粧ケースを構成したことを主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装飾材料を透明な固化材料の中に封じ込んで、独特な立体感を現出させた観賞用透明ブロック本来の装飾性,意匠性を発揮できることは勿論、装身具等を収納する化粧ケースとして日常的に身近に使用することができて、使用者のニーズに十分に応えることができる。
【0008】
また、透明容器の内側のフランジ部で形成される内側開口部には、その周縁に内接嵌合すると共に蓋体裏面に密接する透明な内蓋を備えている。
【0009】
このため、溶融した固化材料の透明容器内への注入,充填後に蓋体を固着した際に、内蓋によって固化材料がフランジ部と蓋体とが密接した部分に溢流,侵入するのを極僅かに抑制することができる。
【0010】
また、当該部分に固化材料が僅かに溢流,侵入した場合でも、フランジ部面もしくは蓋体側に極薄いフィルム状に付着するので、半乾きの状態のときにこれを容易に剥ぎ取ることができる。
【0011】
この結果、見栄えを向上できて品質感を高めることができる。しかも、蓋体を固着する前に、充填した固化材料が流動性を有している状態のときに、内蓋で固化材料面を軽く押圧して均すことによって、固化材料の注入時に発生した気泡を除去して品質感を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る観賞用透明ブロックの第1実施形態を示す断面説明図。
【図2】図1に示した第1実施形態の略示的斜視図。
【図3】図1のA−A線に沿う断面説明図。
【図4】本発明の第2実施形態を示す略示的斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0014】
図1〜図3に示す第1実施形態の観賞用透明ブロック1は、透明容器2と、透明容器2内に装飾材料3A,3Bと共に充填されて、これら装飾材料3A,3Bを中に封じ込んだ透明な固化材料4と、固化材料4を密封する透明な蓋体5と、該蓋体5の外側に構成した透明な化粧ケース6と、を備えている。
【0015】
固化材料4としてパラフィンワックスを用いることができるが、他の透明な固化材料を用いることも勿論可能である。パラフィンは、非揮発性の精製した飽和炭化水素の混合物であり、各種のものを用いることができる。
【0016】
本実施形態で用いるパラフィンワックス4としては、組成物中の流動パラフィンを所定量含み、これらにデキストリン脂肪酸エステルや、安定性,透明性の観点から高級脂肪酸エステルであるミリスチン酸デキストリン、パルミチン酸デキストリン、ラウリン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、オレイン酸デキストリン、ベヘニン酸デキストリン等が含まれていてもよい。
【0017】
デキストリン脂肪酸エステルの配合量は、2重量%〜70重量%程度用いることが好ましい。
【0018】
透明容器2は、例えば、一側に開放部2aを有する直方体として形成してある。この開放部2aの周縁近傍の内周面、即ち、開放部2aの周端面から一段低い位置には、径方向内側に向けて張り出すフランジ部2bを形成してある。
【0019】
このフランジ部2bは、全周に亘って同一幅に形成してあり、4隅と各側辺の中央部には、蓋体5をねじ止め固定するためのねじ孔2cを形成してある。
【0020】
観賞用透明ブロック1は、透明容器2を、その開放部2aを閉塞した蓋体5を装着した側が上面となるように用いられる。
【0021】
蓋体5は、その下面周縁部に、該蓋体5を透明容器2の開放部2aの周端面とフランジ部2b面とに押圧密接可能とするための第1の段差部5aを形成してある。
【0022】
この蓋体5には、フランジ部2bのねじ孔2cに対応する位置にねじ孔5cを形成してあり、蓋体5をこれらねじ孔5c,2cを通して、例えば、樹脂ねじ7によりフランジ部2bにねじ止め固定するようにしている。
【0023】
また、蓋体5の上面周縁部には第2の段差部5bを形成してある。上述の化粧ケース6は、一側が開放した透明なケース体8を、その開放部をこの第2の段差部5bに挿・脱可能に圧入嵌合して構成している。
【0024】
更に、本実施形態では、上述の透明容器2のフランジ部2bで形成される内側開口部2aには、その周縁に内接嵌合され、蓋体5の裏面に密接する透明な内蓋9を配設してある。
【0025】
透明容器2、蓋体5、内蓋9、およびケース体8は、例えば、透明なアクリル製とすることができる。
【0026】
上述の装飾材料3A,3Bと、パラフィンワックス4は、例えば、次のようにして透明容器2内に充填して密封することができる。
【0027】
先ず、透明容器2内に、溶融したパラフィンワックス4を所定量注ぎ入れる。このとき、パラフィンワックス4を溶融させる段階から透明容器2内に注ぎ入れるまで、一切撹拌を行わず、注ぎ口を透明容器2に極力近づけて泡立てないように注ぐことで、気泡の発生を抑えることができる。なお、このようにパラフィンワックス4を注ぐ際に、ヘラなどを利用することにより、更に静かに注ぎ入れることが可能となる。
【0028】
本実施形態では透明な固化材料として、パラフィンワックス4を用いているが、この他、ハイドロカーボンとポリマーを混ぜたものや、透明な樹脂などの他の固化材料を用いることができる。
【0029】
次に、透明容器2を傾けて回し、パラフィンワックス4を透明容器2の内壁に沿って所定の厚さに付着させて冷ますことにより、中に封じ込める装飾材料3A,3Bの位置決めを行う透明層(図示省略)を形成する。
【0030】
そして、この透明層の上に花3Aやガラス玉3B等の装飾材料を載せた後、再び溶融したパラフィンワックス4を注いで冷ます。
【0031】
この作業を繰り返し行うことにより、所定の高さ位置に装飾材料3A,3Bを封じ込めることが可能となる。
【0032】
そして、最終的に溶融したパラフィンワックス4を、フランジ部2bと同レベルの規定液面高さまで満杯に注ぎ入れた後、内蓋9を内側開口部2aに内接嵌合して、注入したパラフィンワックス4面をこの内蓋9で軽く押圧して均す。これによって内蓋9の近傍に発生した気泡を外へ抜いて(除去)、気泡の抑制を徹底する。
【0033】
次いで、パラフィンワックス4が冷めた後、フランジ部2bに蓋体5を配置して、これを樹脂ねじ7で締結固定する。
【0034】
以上の構成からなる第1実施形態の観賞用透明ブロック1によれば、装飾材料3A,3Bを透明なパラフィンワックス4の中に封じ込んで、独特な立体感を現出させた観賞用透明ブロック本来の装飾性,意匠性を発揮させることができる。
【0035】
そして、透明容器2の開放部2aを閉塞した蓋体5の外側には、該蓋体5を底板として透明な化粧ケース6を構成しているので、例えば、図1に示すように化粧ケース6内にスタンド11を置いてこれにネックレス等の装身具12を掛けて収納して、小物入れとして日常的に身近に使用することができて、使用者のニーズに十分に応えることができる。
【0036】
しかも、化粧ケース6は透明なため、収納したネックレス等の装身具12も、展示用,観賞用に供することができて、装飾性を高めることができる。
【0037】
この化粧ケース6を、蓋体5の外面周縁部の段差部5bに対して、透明なケース体8を挿・脱可能に圧入嵌合して構成することにより、スタンド11,装飾品12の収納,取り出しおよび交換等を容易に行えて、使用性を高めることができる。
【0038】
ここで、透明容器2の開放部2aを閉塞した蓋体5は、開放部2aの近傍の内周面に張り出したフランジ部2bに締結固定してあるため、充填したパラフィンワックス4が熱膨張した場合でも、フランジ部2b面と蓋体5面との密接部分での膨張分の吸収機能が得られて、透明容器2の変形防止を行える。
【0039】
そして、上述のフランジ部2bで形成される内側開口部2aには、その周縁に内接嵌合すると共に蓋体5の裏面に密接する透明な内蓋9を備えている。
【0040】
このため、製作の際に、溶融したパラフィンワックス4を透明容器2内へ注入,充填後に蓋体5を固着した際に、内蓋9によってパラフィンワックス4がフランジ部2bと蓋体5とが密接した部分に溢流,侵入するのを極僅かに抑制することができる。
【0041】
また、当該部分にパラフィンワックス4が僅かに溢流,侵入した場合でも、フランジ部2面もしくは蓋体5側に極薄いフィルム状に付着するので、半乾きの状態のときにこれを容易に剥ぎ取ることができる。
【0042】
この結果、見栄えを向上できて品質感を高めることができる。しかも、蓋体5を固着する前に、充填したパラフィンワックス4が流動性を有している状態のときに、内蓋9でパラフィンワックス4面を軽く押圧して均すことによって、パラフィンワックス4の注入時に発生した気泡を除去して品質感を高めることもできる。
【0043】
図4は本発明の第2実施形態を示すもので、本実施形態にあっては蓋体5の外側に一体成形した上側に開放部13aを有する透明なケース体13と、開放部13aに設けられた透明な開閉蓋14と、で化粧ケース6を構成している。
【0044】
開閉蓋14は、開放部13a縁および開閉蓋14の対向縁にそれぞれ一体成形したヒンジ部15を介して開閉可能に連結してある。
【0045】
本実施形態によれば、化粧ケース6を透明容器2の上側に小箱のように構成できるので、例えば、指輪等の装身具を収納するジュエリーボックスとして用いることができる。この場合、収納した装身具が透明なケース体13や開閉蓋14を透して見えるので、この場合も収納装身具を展示用,観賞用に供することができて、装飾性を高めることができる。
【0046】
なお、図示は省略したが、ケース体13の内部に透明な間仕切りを挿・脱可能に配置したり、透明な段付きの底板を挿・脱可能に配置して、装身具の収納性を高めるようにしてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
1…観賞用透明ブロック
2…透明容器
2a…開放部
2a…内側開口部
2b…フランジ部
3A,3B…装飾材料
5…蓋体
5a…第1の段差部
5b…第2の段差部
6…化粧ケース
8…透明なケース体
9…内蓋
13…透明なケース体
13a…開放部
14…開閉蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側に開放部を有し、該開放部の周縁近傍の内周面に径方向内側に向けて張り出すフランジ部を形成した透明容器と、
前記開放部から透明容器内に装飾材料と共に充填されて、該装飾材料を中に封じ込んだ透明な固化材料と、
前記開放部に装着されて、その周端面と前記フランジ部面とに押圧密接して、該開放部を閉塞した透明な蓋体と、
前記フランジ部で形成される内側開口部の周縁に内接嵌合して配置され、前記蓋体に密接する透明な内蓋と、を備え、
前記蓋体の外側には、該蓋体を底板として透明な化粧ケースを構成したことを特徴とする観賞用透明ブロック。
【請求項2】
前記化粧ケースは、前記蓋体の外側周縁部に段差部を形成し、一側が開放した透明なケース体を、その開放部を前記蓋体の段差部に挿,脱可能に嵌合して構成したことを特徴とする請求項1に記載の観賞用透明ブロック。
【請求項3】
前記化粧ケースは、前記蓋体の外側に一体成形されて上側に開放部を有する透明なケース体と、前記ケース体の開放部に設けられた透明な開閉蓋と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の観賞用透明ブロック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−240390(P2012−240390A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115417(P2011−115417)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(508073380)株式会社テンマック (3)