説明

角膜切開装置及び角膜切開装置の本体部に装着されて使用されるカッターヘッドユニット

【課題】 ブレードを交換しやすく汚染や破損させにくい角膜切開装置及び角膜切開装置の本体部に装着されて使用されるカッターヘッドユニットを提供すること。
【解決手段】 角膜切開用のブレードを持つブレードユニットと、該ブレードユニットを着脱可能で振動可能に保持するカッターヘッドユニットと、を有し、角膜を層状に切開する角膜切開装置において、前記カッターヘッドユニットは、前記ブレードユニットを直接着脱可能なように外部に対して開放された第1開放部分を持つ,該ブレードユニットを振動可能に保持する空洞部と、前記第1開放部分に設けられた,該第1開放部分での前記ブレードユニットの移動を制限する第1位置と該第1開放部分での該ブレードユニットの移動を許容する第2位置とに移動可能な第1ストッパと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角膜を層状に切開する角膜切開装置と、角膜切開装置の本体部に装着されて使用されるカッターヘッドユニットと、に関する。
【背景技術】
【0002】
エキシマレーザビーム等により角膜の一部を切除(ablation)する角膜手術の術式としては、角膜上皮(epithelium)から角膜実質(corneal stroma)の途中までの厚さ150μmほどの部分を層状に切開することによりフラップを作成するLASIK手術(laser assisted in-situ keratomileusis)、角膜上皮のみを層状に切開することによりフラップを作成するEpi-LASIK手術(Epithelial LASIK)、等が知られている。そして、角膜を層状に切開する装置としては、ケラトーム(keratome)と称される角膜切開装置が使用されている。
【0003】
角膜切開装置は、サクションリング(装置固定具)が角膜輪部(corneal limbus)から結膜(conjunctiva)までの部分に吸着固定された後、ブレードが刃幅方向に高速振動されながら切開方向に移動されることにより、角膜を層状に切開する。そして、ブレードは感染症の防止等のために使い捨てであることが好ましい(滅菌処理して再使用される場合もある)ため、ブレードを交換しやすくする技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特表2002−528226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレードやブレードを保持するカッターヘッド(ブレードホルダ)は小さいため、ブレードをカッターヘッドに取り付けたり取り外したりするには手間がかかる。そして、取り付け時に術者や補助者が誤ってブレードを落としたりカッターヘッドにぶつけたりして汚染や破損してしまった場合には、滅菌処理し直したり交換し直したりしなければならない。ブレードの交換をしやすくするために提案された特許文献1の技術は、ブレードを保管するブレードケースから取り出されたブレードをブレードインジェクタ(ブレード挿入具)にセットしてカッターヘッドに取り付けるものであり、取り付け作業(ブレードをブレード振動機構の一部に係合させるまで)の途中にブレードを落としてしまう惧れが依然としてある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、ブレードを交換しやすく汚染や破損させにくい角膜切開装置及び角膜切開装置の本体部に装着されて使用されるカッターヘッドユニットを提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 角膜切開用のブレードを持つブレードユニットと、該ブレードユニットを着脱可能で振動可能に保持するカッターヘッドユニットと、を有し、角膜を層状に切開する角膜切開装置において、前記カッターヘッドユニットは、前記ブレードユニットを直接着脱可能なように外部に対して開放された第1開放部分を持つ,該ブレードユニットを振動可能に保持する空洞部と、前記第1開放部分に設けられた,該第1開放部分での前記ブレードユニットの移動を制限する第1位置と該第1開放部分での該ブレードユニットの移動を許容する第2位置とに移動可能な第1ストッパと、を有する、ことを特徴とする。
(2) (1)の角膜切開装置において、前記第1ストッパは、所定方向への圧力がかけられていないときは前記第1位置に位置し、該圧力がかけられているときは前記第2位置に位置する、ことを特徴とする。
(3) (2)の角膜切開装置において、前記第1ストッパは、前記ブレードユニットを前記第1開放部分から挿入するための挿入具の一部が当接されることにより前記圧力がかけられて前記第2位置に位置する、ことを特徴とする。
(4) (1)の角膜切開装置において、前記カッターヘッドユニットは、前記ブレードユニットを前記第1開放部分から挿入するための挿入具を位置合わせするための位置合わせ部を有する、ことを特徴とする。
(5) (1)の角膜切開装置において、前記空洞部は、前記第1開放部分の反対側にも外部に対して開放された第2開放部分を持ち、該第2開放部分には、該第2開放部分での前記ブレードユニットの移動を制限する第2ストッパが設けられている、ことを特徴とする。
(6) (5)の角膜切開装置において、前記第1開放部分及び前記第2開放部分の少なくとも一方から前記空洞部に挿入可能な断面形状を持つ,前記ブレードユニットを移動させるための押出しロッドを有する、ことを特徴とする。
(7) (1)の角膜切開装置において、回転シャフトと、前記ブレードユニットに設けられた溝に係合する,該回転シャフト内に嵌入可能な偏心ピンと、を含む、該ブレードユニットの振動手段を有する、ことを特徴とする。
(8) 角膜切開用のブレードを持つブレードユニットを有し、該ブレードユニットを着脱可能で振動可能に保持し、角膜を層状に切開する角膜切開装置の本体部に装着されて使用されるカッターヘッドユニットにおいて、前記ブレードユニットを直接着脱可能なように外部に対して開放された第1開放部分を持つ,該ブレードユニットを振動可能に保持する空洞部と、前記第1開放部分に設けられた,該第1開放部分での前記ブレードユニットの移動を制限する第1位置と該第1開放部分での該ブレードユニットの移動を許容する第2位置とに移動可能なストッパと、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ブレードを交換しやすく汚染や破損させにくくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態である角膜切開装置の概略構成図である。
【0009】
角膜切開装置の本体部1の前側(図1中の左側)には、角膜切開用ブレードユニット20が着脱可能で振動可能に保持するブレードホルダユニットであるカッターヘッドユニット2と、装置を患者眼(被手術眼)に固定するためのサクションリングユニット3と、が設けられている。サクションリングユニット3は、患者眼の角膜輪部から結膜までの部分に吸着固定される。
【0010】
なお、本実施形態においては、ブレードユニット20は交換されるものとしているが、本体部1に対して着脱可能なカッターヘッドユニット2も交換されるものとしてもよい。
【0011】
ブレードユニット20は、図2に示すように、角膜切開用ブレード21と、ブレード21に取り付け固定された振動伝達部材22と、から成る。ブレード21は、金属製ブレード、鉱物製ブレード、樹脂製ブレード、セラミックス製ブレード、等の刃先の鋭利なものである。また、振動伝達部材22は、樹脂等の加工が容易な材料によるものである。
【0012】
本体部1内には、カッターヘッドユニット2をサクションリングユニット3上で切開方向に直進移動させるための送り(translation)用モータ11が固定されている。モータ11の回転シャフト11aには、カッターヘッドユニット2を移動させる距離分のネジ部を持つ送りネジ13の後側端が固定されている。また、送りネジ13の前側端は、本体部1に嵌め合わされている。さらに、送りネジ13に螺合する接続部材14には、本体部1とカッターヘッドユニット2とを連結する連結部材15の後側端が固定されている。このような構成により、モータ11の正逆回転により送りネジ13及び接続部材14を介して連結部材15が回転シャフト11a及び送りネジ13の軸方向に前後移動し、連結部材15の前側端に連結されたカッターヘッドユニット2も同じ方向に前後移動する。
【0013】
連結部材15内には、ブレードユニット20(ブレード21)をその刃幅方向に高速振動させるための振動(oscillation)用モータ12が固定されている。また、モータ12の回転シャフト12aには、回転シャフト16の後側端が固定され、連結部材15に回転可能に保持されている。さらに、回転シャフト16の前側端には、回転中心から偏った位置に偏心ピン17aがバネ17bを介して植設されている。
【0014】
カッターヘッドユニット2は、ナット25により連結部材15に取り付け固定される。そして、この取り付け固定により、取り付け固定前にカッターヘッドユニット2に装着されたブレードユニット20に偏心ピン17aが係合される。または、取り付け固定後にカッターヘッドユニット2にブレードユニット20が装着されて偏心ピン17aが係合される。偏心ピン17aは、バネ17bにより回転シャフト16内に引っ込む(嵌入する)ようになっているため、カッターヘッドユニット2の取り付け固定またはブレードユニット20の装着の際に偏心ピン17aの前側端が振動伝達部材22の縦溝22aに入り込んで係合される。このような構成により、モータ12の回転により回転シャフト16が回転し、回転シャフト16に植設された偏心ピン17aが周動し、偏心ピン17aに係合されたブレードユニット20が軸方向に直交する方向に振動する。
【0015】
なお、ブレードユニット20は、ブレード21が水平面に対して所定の角度(例えば25度)を持つようにカッターヘッドユニット2に保持される。
【0016】
カッターヘッドユニット2の前側下部には、アプラネータ(圧平部)27が設けられている。アプラネータ27は、カッターヘッドユニット2の前移動によりブレード21に先立って患者眼の角膜を平坦に押圧する。
【0017】
図3(a)はブレードユニット20が装着されていない状態でのカッターヘッドユニット2の斜視図であり、図3(b)は図3(a)の矢印A方向から見た側面図であり、図3(c)は図3(b)の矢印B方向から見た透視図である。なお、本実施形態の装置では、カッターヘッドユニット2に対するブレードユニット20の着脱を、ブレード21の刃先が見やすいように装置(カッターヘッドユニット2)を上下に反転させて行うため、以降の図はすべて上下に反転させた状態で示している。もちろん、カッターヘッドユニット2に対するブレードユニット20の着脱は、装置(カッターヘッドユニット2)を上下に反転させて行わなくてもよい。
【0018】
カッターヘッドユニット2には、ブレードユニット20の断面形状と略同じ断面形状のキャビティ(空洞部)31が形成されており、図3(a)の矢印A方向からブレードユニット20が挿入可能になっている。そして、キャビティ31にブレードユニット20が挿入されるとブレード21の刃先がスロット(開口部)32から突出するようになっている。キャビティ31の挿入側の開放部分には、ブレードユニット20の脱落防止(移動制限)用の可動ストッパ33が設けられている。また、反対側の開放部分にも、ブレードユニット20の脱落防止(移動制限)用の固定ストッパ34が設けられている。さらに、カッターヘッドユニット2の後側底部には切り欠き状の嵌合部35が設けられており、後述するブレードケース50の嵌合部55が嵌め合わされるようになっている(詳細は後述する)。
【0019】
図4(a)はキャビティ31にブレードユニット20が挿入されている途中の状態での図3(c)と同じ方向から見た透視図であり、図4(b)はブレードユニット20が挿入された状態での図4(a)と同じ方向から見た透視図であり、図4(c)はブレードユニット20が挿入された状態での図3(b)と同じ方向から見た側面図である。
【0020】
ストッパ33は、カッターヘッドユニット2に固定されたピン33aと、ピン33aに矢印S1,S2方向に移動可能に取り付けられた移動部材33bと、から成る。移動部材33bは、ピンaとカッターヘッドユニット2の側面とに移動可能な状態で挟持されている。図3(b),(c)に示すように、ブレードユニット20が挿入されていない状態では、移動部材33bは、一部がキャビティ31内に突出するようになっている。そして、この突出部分が外側から押し下げられる(矢印S1方向への圧力がかけられる)と、移動部材33bはピン33aを中心に矢印S1方向に揺動し(傾き)、キャビティ31内に突出しなくなる。この状態になれば、図4(a)に示すように、ブレードユニット20をキャビティ31に挿入できる。また、ブレードユニット20がキャビティ31に挿入された後は、移動部材33bが外側から押し上げられる(矢印S2方向への圧力がかけられる)と、移動部材33bはピン33aを中心に矢印S2方向に揺動し(傾き)、再びキャビティ31内に突出するようになる。この状態になれば、図4(b),(c)に示すように、ブレードユニット20のキャビティ31からの脱落を抑制できる。さらに、カッターヘッドユニット2を上下に反転させた状態から元の状態に戻すことにより移動部材33bが自重により落ち、キャビティ31内にさらに突出するようになる。
【0021】
図4(a),(b)に示すように、移動部材33bの嵌合部35側の面が非直角に(傾斜して)形成されており、その反対側の面がほぼ直角に形成されているため、カッターヘッドユニット2が傾くなどして移動部材33bがブレードユニット20により内側から押されても、キャビティ31内に突出した移動部材33bがカッターヘッドユニット2の外側に傾くことがない。
【0022】
なお、移動部材33bは、単に矢印S1,S2方向に揺動する(傾く)だけでもよい。また、揺動ではなく上下移動するものでもよい。また、ストッパ33の移動部材33bは、バネやゴム等の付勢部材により押し上げられて戻り、再びキャビティ31内に突出するようにしてもよい。また、カッターヘッドユニット2を上下に反転させた状態から元の状態に戻すことにより移動部材33bが押し上げられなくとも自重により落ち、再びキャビティ31内に突出するようにしてもよい。
【0023】
次に、本発明の実施形態であるブレードユニット20を保管するブレードケース50について説明する。図5(a)はブレードユニット20が格納された状態でのブレードケース50の斜視図であり、図5(b)は図5(a)中の矢印C方向から見た側面図である。本実施形態のブレードケース50は、ヒンジ部50aを中心に開閉可能な構成となっている(図5(a),(b)は閉じた状態)。このため、ブレードケース50にブレードユニット20を格納する際(組立て時や装着時)には、ブレードケース50のヒンジ部50aを中心に開き、ブレードユニット20を後述するキャビティ51に収めてからブレードケース50を閉じ合わせる。このような構成にすることにより、簡単にブレードユニット20をブレードケース50に格納できる。また、このようなブレードケース50は、内部に格納されたブレードユニット20が目視できる程度に透明な樹脂等で形成されていることが好ましい。
【0024】
ブレードケース50には、ブレードユニット20の断面形状と略同じ断面形状のキャビティ(空洞部)51が形成されており、ブレードユニット20が格納され、ブレードユニット20を矢印D方向に放出可能になっている。また、ブレードケース50には、後述する押出しロッド59が格納されるキャビティ(空洞部)52が形成されている。キャビティ51の放出側の開放部分には、ブレードユニット20の脱落防止(移動制限)用の固定小ストッパ53が設けられている。また、反対側の開放部分にも、ブレードユニット20の脱落防止(移動制限)用の固定ストッパ54が設けられている。小ストッパ53は、ブレードケース50を傾けたときにブレードユニット20が自重(数百mg)で脱落するのを抑える程度の大きさで形成されている。但し、ある程度の外力が加われば、ブレードユニット20は小ストッパ53を越えてキャビティ51から放出されるようになっている。この外力とは、後述する押出しロッド59によってかかる力である。
【0025】
ブレードケース50の放出側の上部には、カッターヘッドユニット2の嵌合部35に嵌め合わされる鉤爪状の嵌合部55が設けられている。ブレードケース50の放出側の下部には、カッターヘッドユニット2の移動部材33bを押し下げる押圧部56が設けられている。また、押圧部56の斜め上には、カッターヘッドユニット2のスロット32に係合するガイド部57が設けられている。さらに、ブレードケース50には、把手58が設けられている。
【0026】
図6(a)はブレードケース50に格納される押出しロッド59の斜視図であり、図6(b)は押出しロッド59をブレードケース50に格納した状態での図5(a)と同じ方向から見た斜視図である。押出しロッド59は把手59aを持ち、ブレードケース50のキャビティ51にストッパ54側の開放部分から挿入可能な断面形状をしている。また、カッターヘッドユニット2のキャビティ31にストッパ34側の開放部分から挿入可能な断面形状をしている。把手59aは、押出しロッド59がキャビティ52に格納されたときには、図6(b)に示すように、キャビティ51の放出側(小ストッパ53側)の開放部分のフタ(ストッパ)を兼ねる。さらに、ブレードケース50及び押出しロッド59には、押出しロッド59がキャビティ52に格納された際に容易に脱落しない構成が形成されている。例えば、押出しロッド59のロッド部分とキャビティ52とが嵌め合わされるようにしてもよい。
【0027】
次に、ブレードユニット20をブレードケース50からカッターヘッドユニット2に装着する動作を説明する。図7(a)はブレードケース50がカッターヘッドユニット2に取り付けられる(嵌め合わされる)前の状態を示す図であり、図7(b)は取り付けられた(嵌め合わされた)状態を示す図である。
【0028】
まず、ブレードケース50に格納された押出しロッド59を取り出す。次に、ブレードケース50の嵌合部55がある放出側をカッターヘッドユニット2に向け、図7(a)の矢印E方向に移動させて嵌合部55をカッターヘッドユニット2の嵌合部35に嵌め合わせる。これにより、ブレードケース50の押圧部56がカッターヘッドユニット2の移動部材33bを矢印S1方向に押し下げる。また、ブレードケース50のガイド部57がカッターヘッドユニット2のスロット32内に係合する。これらにより、ブレードケース50のキャビティ51がカッターヘッドユニット2のキャビティ31に合致するように位置合わせされる。
【0029】
次に、図7(b)に示するように、押出しロッド59をブレードケース50のキャビティ51にストッパ54側の開放部分から挿入してキャビティ51内に格納されたブレードユニット20を押し出し、カッターヘッドユニット2のキャビティ31に挿入する。カッターヘッドユニット2の移動部材33bは押し下げられているため、ブレードユニット20はキャビティ31内に挿入される。ブレードユニット20がキャビティ31内に完全に挿入されたら、カッターヘッドユニット2からブレードケース50を取り外す。これにより、押圧部56による移動部材33bの押し下げがなくなるため、移動部材33bを矢印S2方向に押し上げる。これにより、移動部材33bの一部がキャビティ31内に突出し、キャビティ31内に挿入されたブレードユニット20の脱落が抑制される。
【0030】
ブレードユニット20は、使用後は新しいものに交換される。図8はブレードユニット20をカッターヘッドユニット2からブレードケース50に戻す動作を示す図である。ブレードユニット20の排出は、前述のブレードユニット20の挿入と逆の手順で行う。カッターヘッドユニット2にブレードケース50が取り付けられると、移動部材33bは押し下げられるため、押出しロッド59をキャビティ31のストッパ34側の開放部分から挿入してキャビティ31内のブレードユニット20を押し出し、ブレードケース50のキャビティ51に戻す。
【0031】
このようにして、ブレードユニット20に直に触れることなく、ブレードケース50からカッターヘッドユニット2に直接装着することができる。また、カッターヘッドユニット2からブレードケース50に直接戻すことができる。このため、ブレードユニット20を交換しやすく汚染や破損させにくい。また、使用済みのブレードユニット20が戻されたブレードケース50は、その状態で廃棄されるため、衛生的且つ安全である。
【0032】
次に、カッターヘッドユニットのストッパの変容例について説明する。図9(a),(b)は変容例のカッターヘッドユニット2を図3(b)と同じ方向から見た側面図である。キャビティ31の挿入側の開放部分には、ブレードユニット20の脱落防止(移動制限)用の可動ストッパ70が設けられている。ストッパ70は、カッターヘッドユニット7に固定されたピン71と、ピン71に矢印S3,S4方向に移動(回転)可能に取り付けられた移動部材72と、から成る。
【0033】
図9(a)に示すように、ブレードユニット20が挿入されていない状態では、移動部材72は、その一部がキャビティ31に突出するようになっており、ブレードユニット20の脱落防止の機能を果たす。そして、この突出部分が押し下げられる(矢印S3方向への圧力がかけられる)と、移動部材72はピン71を中心に矢印S3方向に回転し(傾き)、図9(b)に示すように、キャビティ31内に突出しなくなる。これにより、ブレードユニット20をキャビティ31に挿入でき、また、ブレードユニット20をキャビティ31から排出できる。逆に、図9(b)の状態から移動部材72を押し上げ(矢印S4方向に圧力をかけ)て矢印S4方向に回転させる(傾ける)と、図9(a)の状態に戻る。
【0034】
ピン71は、略小判型であり、移動部材72には、ピン71が嵌まる凹部を持つ開口部72aが形成されている。従って、図9(a)の状態でカッターヘッドユニット7を上下に反転させた状態から元の状態に戻すことにより移動部材72が自重で落ち、キャビティ31内にさらに突出するようになる。そして、移動部材72の開口部72aの凹部にピン71が嵌まることにより、移動部材72が回転し難くなる。
【0035】
移動部材72を押し下げる(矢印S3方向に回転させる)場合は、指やピンセット等を用いる。なお、前述のブレードケース50をカッターヘッドユニット2に取り付け(嵌め合わせ)て押し下げる方法を用いてもよい。また、移動部材72を押し上げる(矢印S4方向に回転させる)場合も、指やピンセット等を用いる。なお、バネやゴム等の付勢部材により押し上げられるようにしてもよい。また、カッターヘッドユニット2を上下に反転させた状態から元の状態に戻すことにより移動部材72が押し上げられなくとも自重により押し上げられるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態である角膜切開装置の概略構成図である。
【図2】角膜切開用ブレードユニットの概略構成図である。
【図3】カッターヘッドユニットの概略構成図である。
【図4】カッターヘッドユニットのストッパの概略構成及び動作を示す図である。
【図5】ブレードケースの概略構成図である。
【図6】ブレードケースの概略構成図である。
【図7】ブレードユニットをブレードケースからカッターヘッドユニットに装着する動作を示す図である。
【図8】ブレードユニットをカッターヘッドユニットからブレードケースに戻す動作を示す図である。
【図9】カッターヘッドユニットのストッパの変容例の概略構成及び動作を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 本体部
2 カッターヘッドユニット
3 サクションリングユニット
16 回転シャフト
17a 偏心ピン
20 ブレードユニット
21 ブレード
31 キャビティ
33 可動ストッパ
34 固定ストッパ
50 ブレードケース
51 キャビティ
52 キャビティ
54 固定ストッパ
59 押出しロッド
70 可動ストッパ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜切開用のブレードを持つブレードユニットと、該ブレードユニットを着脱可能で振動可能に保持するカッターヘッドユニットと、を有し、角膜を層状に切開する角膜切開装置において、
前記カッターヘッドユニットは、前記ブレードユニットを直接着脱可能なように外部に対して開放された第1開放部分を持つ,該ブレードユニットを振動可能に保持する空洞部と、前記第1開放部分に設けられた,該第1開放部分での前記ブレードユニットの移動を制限する第1位置と該第1開放部分での該ブレードユニットの移動を許容する第2位置とに移動可能な第1ストッパと、を有する、ことを特徴とする角膜切開装置。
【請求項2】
請求項1の角膜切開装置において、
前記第1ストッパは、所定方向への圧力がかけられていないときは前記第1位置に位置し、該圧力がかけられているときは前記第2位置に位置する、ことを特徴とする角膜切開装置。
【請求項3】
請求項2の角膜切開装置において、
前記第1ストッパは、前記ブレードユニットを前記第1開放部分から挿入するための挿入具の一部が当接されることにより前記圧力がかけられて前記第2位置に位置する、ことを特徴とする角膜切開装置。
【請求項4】
請求項1の角膜切開装置において、
前記カッターヘッドユニットは、前記ブレードユニットを前記第1開放部分から挿入するための挿入具を位置合わせするための位置合わせ部を有する、ことを特徴とする角膜切開装置。
【請求項5】
請求項1の角膜切開装置において、
前記空洞部は、前記第1開放部分の反対側にも外部に対して開放された第2開放部分を持ち、該第2開放部分には、該第2開放部分での前記ブレードユニットの移動を制限する第2ストッパが設けられている、ことを特徴とする角膜切開装置。
【請求項6】
請求項5の角膜切開装置において、
前記第1開放部分及び前記第2開放部分の少なくとも一方から前記空洞部に挿入可能な断面形状を持つ,前記ブレードユニットを移動させるための押出しロッドを有する、ことを特徴とする角膜切開装置。
【請求項7】
請求項1の角膜切開装置において、
回転シャフトと、前記ブレードユニットに設けられた溝に係合する,該回転シャフト内に嵌入可能な偏心ピンと、を含む、該ブレードユニットの振動手段を有する、ことを特徴とする角膜切開装置。
【請求項8】
角膜切開用のブレードを持つブレードユニットを有し、該ブレードユニットを着脱可能で振動可能に保持し、角膜を層状に切開する角膜切開装置の本体部に装着されて使用されるカッターヘッドユニットにおいて、
前記ブレードユニットを直接着脱可能なように外部に対して開放された第1開放部分を持つ,該ブレードユニットを振動可能に保持する空洞部と、
前記第1開放部分に設けられた,該第1開放部分での前記ブレードユニットの移動を制限する第1位置と該第1開放部分での該ブレードユニットの移動を許容する第2位置とに移動可能なストッパと、
を有する、ことを特徴とするカッターヘッドユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−202873(P2007−202873A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26409(P2006−26409)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000135184)株式会社ニデック (745)