説明

解体用回転装置及び解体方法

【課題】被解体物の内装部材を剥離及び排出する工程を効率的に行い、被解体物の解体作業を効率的に行うことができる解体用回転装置及び車両解体方法を提供する。
【解決手段】筐体3と、内装部材111が内面に装着されている被解体物Sを支持するための、前記筐体3に対して回転可能に配置される枠体5と、前記被解体物Sを前記枠体5に対して固定するための固定手段7と、前記枠体5を回転させる回転手段9と、前記枠体5に固定される前記被解体物Sの内装部材111が装着されている内面が、作業面となるように前記回転手段9を制御する制御手段11と、を備えることを特徴とする解体用回転装置及びそれを用いる解体方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を解体するために用いる解体用回転装置及び解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、客車、電車、ディーゼル動車等の旅客車やバスといった長尺の車両を廃棄する際、資源再利用の観点から同種類の材料毎に分別収集することが行われている。例えば、旅客車を廃棄する際には、車輪が回転可能に支持されている車台と、車台に固定され利用者を収容する車体と、を分離する。車体は、底面と、車体の長手方向に対向配置される前壁面及び後壁面と、車体の長手方向に沿って延在する2つの側面と、天井と、から構成されている。上記の2つの側面、及び天井の内面は、塗装やクロス等の内装部材で装飾がなされている。
【0003】
このような被解体物である車両を解体する作業には、側面及び天井から、内装パネルやコーティング材等の内装部材を除去する除去工程が含まれる。従来より、被解体物の内装部材を除去する除去工程では、建物の床材を剥離するための振動破砕機やフロアペッカー等を利用し(特許文献1参照。)、側面及び天井の内装部材を剥離し、被解体物の外部へ剥離されたくずを排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭63−8333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、車両の天井や側面から内装部材を剥離する剥離工程は、足場を組むなどして手作業で行われ、一車両の内装部材を除去するために数日を要している。従って、現状の剥離方法では、剥離工程に要する作業時間を短縮させることは困難であり、被解体物の一連の解体工程における作業効率を上げることが困難である。
【0006】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、被解体物の内装部材を剥離及び排出する除去工程を効率的に行い、被解体物の解体作業を効率的に行うことができる解体用回転装置及び解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の解体用回転装置は、筐体3と、内装部材111が内面に装着されている被解体物Sを支持するための、前記筐体3に対して回転可能に配置される枠体5と、前記被解体物Sを前記枠体5に対して固定するための固定手段7と、前記枠体5を回転させる回転手段9と、前記枠体5に固定される前記被解体物Sの内装部材111が装着されている内面が、作業面となるように前記回転手段9を制御する制御手段11と、を備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の解体用回転装置は、車台から分離され窓枠に窓ガラスが装着され内装部材が被覆されている断面視四角形状の車体を解体するための解体用回転装置であって、筐体3と、前記車体Sを支持するための、前記筐体3に対して回転可能に配置される枠体5と、前記車体Sを前記枠体5に対して固定するための固定手段7と、前記枠体5を回転させることで前記車体をその長手方向軸心回りに回転させる回転手段9と、前記枠体5に固定される前記車体Sの内装部材111が作業面となるように前記回転手段9を制御する制御手段11と、を備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明の解体用回転装置によれば、前記固定手段7は、互いに直交する2方向から前記被解体物Sを前記枠体5に対して押圧する押圧部材を有する。
【0010】
さらに、本発明の解体用回転装置によれば、前記枠体5は、前記被解体物Sを取り囲むことができる寸法を有し円環状である基部17と、前記基部17に内接する四角形状の支持部15と、を有し、前記固定手段7は、前記支持部15を構成する4つの辺部材それぞれに設けられている。
【0011】
さらに、本発明の解体用回転装置によれば、前記回転手段9からの回転力は、前記基部17の外周面に設けられたギヤ部17aに伝達される。
【0012】
さらに、本発明の解体用回転装置ユニットは、前述のいずれかの解体用回転装置1を複数備え、前記複数の解体用回転装置1は、全ての枠体5の回転軸線Xが一致するように配置され、前記制御手段11は、前記全ての枠体5が同期して回転するように前記回転手段9を制御することを特徴とする。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の被解体物Sを解体する解体方法は、被解体物Sを解体する解体方法であって、前記被解体物Sの内装部材111が装着されている内面が作業面となるように前記被解体物Sを回転し、前記被解体物Sの内装部材111を剥離することを特徴とする。
【0014】
さらに、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車台から分離され窓枠に窓ガラスが装着され内装部材111が被覆されている断面視四角形状の車体Sを解体する解体方法であって、前記車体Sの内装部材111が作業面となるように前記車体Sをその長手方向軸心回りに回転し、前記車体Sの内装部材111を剥離することを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の解体方法によれば、前記内装部材111を剥離した後、前記内装部材111が剥離された被解体物Sの内面が直下を向くように前記被解体物Sを回転させる。
【0016】
本発明の解体方法によれば、前記被解体物Sの一方の側面の内装部材115、他方の側面107の内装部材、及び天井109の内装部材の順に、剥離する。
【0017】
さらに、本発明の解体方法によれば、前記内装部材111を剥離するとともに、前記被解体物Sの窓枠113からガラス部材を取り除く。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る解体用回転装置及び解体方法によれば、内装部材を有する被解体物を回転させることで、内装部材を剥離及び排出するために好適な内装部材が装着されている内面を作業面とすることができ、内装部材の除去を容易かつ迅速に行える。結果として、解体工程の作業時間を短縮できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る解体用回転ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る解体用回転ユニットの正面図である。
【図3】図2のIII−III矢視図である。
【図4】側面の内装部材を剥離する剥離工程を示す図である。
【図5】窓枠を介して内装部材のくずを排出する排出工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態に係る被解体物回転装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0021】
図1は、解体用回転ユニット1の概略構成を示す斜視図であり、図2は、本発明の実施形態に係る解体用回転装置100の正面図であり、図3は、図2のIII−III矢視図であり、図4は、側面107の内装部材111を剥離する剥離工程を示し、図5は、窓枠113を介して内装部材111のくずWを排出する排出工程を示す図である。なお、図面の明瞭化のため、図1から筐体3に対して駆動歯車21を固定するための固定部材5等を割愛し、図3から車体(被解体物)Sを割愛している。
【0022】
図1及び図2に示すように、解体用回転ユニット1は、複数の解体用回転装置100を備え、複数の解体用回転装置100は、互いに回転軸線Xが一直線上になるように等間隔で配置されている。従って、本実施形態では、解体用回転装置100の回転軸線Xが、車体Sの長手方向軸心に一致することになる。さらに、各解体用回転装置100は、互いに同寸法、同形状であり、制御部11により同期して作動する構成である。ここでは、一の解体用回転装置100について説明する。
【0023】
回転装置100の筐体3は、後述する支持部15の底辺部15bに一対のローダ誘導路構成部材24、26の凹部24a、26aが、地面Tに設けられた軌道溝171と整合するように配置され、筐体3の一部は地中に埋設している。ローダ誘導路構成部材24、26及び軌道溝171の詳細は、後述する。なお、図1に示すように、筐体3は、解体用回転ユニット1の長手方向全域に亘って延び、全ての解体用回転装置100の筐体として機能する。
【0024】
解体用回転装置100は、主として、門型形状の筐体3と、被解体物Sを支持し、筐体3に対して回転可能に装着される枠体5と、枠体5に設けられ、被解体物Sを枠体5に対して固定する固定手段、すなわち固定部材7と、枠体5を回転させる回転手段、すなわちモータ9と、モータ9や固定部材7を制御する制御手段である制御部11と、を備えている。以下に各構成要素について具体的に説明する。
【0025】
筐体3は、正面視で略矩形状であり、その内部の4つの隅部には、平歯車である駆動ギア21を回転可能に支持する固定部23が固定されている。また、筐体3の上部には、駆動手段であるモータ9が配置されている。モータ9の回転軸9aに装着された駆動プーリ10と、駆動ギア21の回転軸21aに同軸に固定される被駆動プーリ(不図示)とに弾性材からなる無端ベルト12が掛け回されている。従って、モータ9からの回転力は、無端ベルト12を介して駆動ギア21に伝達される。なお、回転力を伝達するための手段として、プーリと無端ベルトを使用する代わりに、複数のスプロケットとそれに掛け回されるチェーンを用いる構成や歯車を複数連結させる構成としてもよい。
【0026】
枠体5は、円環状の基部17と、基部17に内接する四角形状の支持部15と、を有する。基部17は、4つの駆動ギア21の回転軸21aからほぼ等距離の位置に、基部17の回転軸線Xが通るように配置される。基部17の外周面には、ギア部17aが設けられ、駆動ギア21のギア部21bが基部17のギア部17aに噛合することにより、駆動ギア21の回転力が基部17に伝達される。
【0027】
支持部15の各隅部は、基部17の内周面に連結され、さらに、支持部15を構成する各辺部15a〜15dは、リブ22により基部17に連結されている。また、本実施形態では、支持部15は、車体Sの長手方向に垂直な面に沿って車体Sの周囲を取り囲むことができるように寸法付けされている。従って、支持部15の外側に延在する基部17も、車体Sの長手方向に垂直な面に沿って車体Sの周囲を取り囲むことができるような寸法である。なお、枠体5及び支持部15は、それぞれ単一の部材から形成されているが、例えば、周方向に分割可能とすべく、枠体5や支持部15を複数の部材から形成し、装置の修理や整備等を容易にする構成としても良い。
【0028】
各辺部15a〜15dには、固定手段である押圧部材27a及び27b、29a及び29b、31a及び31b、並びに33a及び33bがそれぞれ設けられている。各押圧部材は、油圧シリンダと、油圧シリンダ内に一端部が保持される伸縮可能な油圧ピストンと、油圧ピストンの他端部に連結され、車両Sの外表面に当接する板状部材と、を有する。
【0029】
図1、2に示すように、一対のローダ誘導路構成部材24、26が、回転装置ユニット1を構成する各解体用回転装置100間に架け渡されるように延びている。板状のローダ誘導路構成部材24、26は、支持部15に固定され、ローダ誘導路構成部材24、26の一端部は、それぞれ、側辺部15c、15aに連結され、凹形状の凹部24a、26aを有する他端部が、それぞれ、底辺部15cに連結されている。また、図3に示すように、凹部24a、26aは、車体Sから除去された内装部材111等が貫通できるような細かい穴を有するメッシュ状の部材から構成されている。
【0030】
搬送車であるローダ誘導路構成部材24、26は、ホイールローダ25、27の車輪25a、27aの幅寸法より若干大きい幅で、長手方向に延びる凹部24a、26aを有している。凹部24aと凹部26aとの間の距離(図2の横方向長さ寸法)は、ホイールローダ25、27の左右の車輪間の距離に等しく寸法付けられている。従って、解体用回転ユニット1の一端側からホイールローダ25、27の車輪が凹部24a、26aに進入すると、操作者がホイールローダ25、27を操舵することなく、凹部24a、26aに沿って進み、解体用回転ユニット1の他端側に到達する。また、本実施形態では、地面T上にも、ローダ25、27を誘導するための軌道溝171が設けられ、この軌道溝171とローダ誘導路構成部材24、26とは、整合するような位置関係にある。
なお、本実施形態では、軌道溝171を地面Tに設ける構成としたが、本発明は、この構成に限定されることはない。
【0031】
また、図1、2に示すように、支持部15の底辺部15bに設けられている押圧部材31a、31bの板状部材35は、解体用回転装置100に導入される解体される車体Sを載せる載置台としても機能する平坦面を有する。この板状部材35は、底辺部15bに設けられた2つの油圧シリンダから突出する油圧ピストン32a、32bが上下方向に伸縮することにより上下移動し、車体Sの底面103に押圧力を付与若しくは解除する。
【0032】
さらに、車体Sの左右側面105、107に沿って延在する支持部15の側辺部15a、15cは、配置される向きが異なるだけで、同じ構成の押圧手段が設けられている。従って、図1中、左側に位置する支持部15cの押圧部材29a、29bについて説明する。押圧部材29a、29bの上側板状部材37a、下側板状部材37bは、解体用回転装置100に導入される車体Sの左側面105を押圧する、平坦面を有する。
【0033】
本実施形態では、一方の板状部材37aの上下方向長さが、板状部材37bの上下方向長さより大きく寸法付けされているが、この寸法は、適宜変更できることは言うまでもない。側辺部15cに設けられた2つの油圧シリンダから突出する油圧ピストンが図2の左右方向に伸縮することにより板状部材37a、37bが左右方向に移動し、車体Sの左側面105に対して押圧力を付与若しくは解除する。
【0034】
上記の通り、側辺部15cの上側板状部材37aと下側板状部材37bに対して、側辺部15aの上側板状部材39a、下側板状部材39bとが左右対称に配置される。側辺部15aの上側板状部材39a、下側板状部材39bは、側辺部15cの上側板状部材37aと下側板状部材37bと協働することにより、支持部15の左右方向に関し車体Sを固定する。
【0035】
さらに、支持部15の上辺部15dには、その長手方向に離間して同一構成の2つの押圧部材33a、33bが配置されている。押圧部材33a、33bの板状部材41a、41bは、車体Sの天井109に押圧力を付与若しくは解除する構成である。なお、その他の構成は、前述した押圧部材29a、29bと同様であるので説明を割愛する。
【0036】
上述の上辺部15dの板状部材41a、41bと、底辺部15bの板状部材35とは、図2の上下方向に対向配置される。底辺部15bの板状部材35は、上辺部15dの板状部材41a、41bと協働することにより、支持部15に対して上下方向に関し車体Sを固定される。
【0037】
なお、上述した支持部15の側辺部15a、15c、上辺部15dに設けられた押圧部材の板状部材の短手方向(図2の紙面の表裏方向)寸法は同一である。なお、基部17及び支持部15の形状や、押圧部材の数や位置は、車体Sを枠体5に固定できる構成であれば適宜変更できる。
【0038】
また、支持部15の側辺部15a、15c、上辺部15d、底辺部15bのそれぞれに設けられている各押圧部材27a、27b、29a、29b、31a、31b、33a、33bは、それぞれ制御部11により同期して駆動することができる。従って、各押圧部材の伸縮量は、被解体物である車体Sの寸法に合わせて変更したり、各押圧部材を駆動するタイミングは、モータ9を駆動するタイミングと同期させることができる。
【0039】
なお、解体用回転装置100の構成要素ではないが、本実施形態では、車体Sから除去された内装部材111のくずW(図5参照)を次の工程に搬送するための手段としてベルトコンベア117を利用している。ベルトコンベア117は、回転ユニット1の長手方向に沿って延在する。
【0040】
次に、解体用回転装置ユニット1を用いて、解体作業を行う工程について説明する。まず、車体Sを解体用回転装置ユニット1に固定する固定工程が行われる。図1に示すように、車台から外された車体Sの前方部及び後方部が、それぞれホイールローダ25、27に保持され、初期状態で、地面Tの近傍で水平に位置付けられている、解体用回転装置ユニット1の板状部材35に載置される。
【0041】
その後、側辺部15a、15cの押圧部材27a、27b、29a、29bが車体Sの左右側面105、107に当接し、図2の左右方向への車体Sの移動が規制される。また、上辺部15dの押圧部材33a、33bが車体Sの天井109に当接し、図2の上下方向への車体Sの移動が規制され、車体Sは、枠体5に固定される。
【0042】
次に、車体Sの内面の内装部材111を除去する除去工程に移行する。除去工程は、回転工程、剥離工程、及び排出工程を有する。まず、車体Sの右側面107の内装部材111を剥離するために、右側面107が図2の底部103の位置に来るように、枠体5を回転させる。枠体5を図2における反時計回りに回転させると、車体Sの内部は、図4、図5に示すような状態となる。図4、5のように、地面Tの近傍で水平となり、剥離作業を容易に行える面(ここでは、右側面107)を作業面と称す。
【0043】
車体Sの右側面107の内装部材111を剥離する剥離工程では、図4に示すように、振動破砕装置51やフロアペッカー53といった剥離手段を用いて、右側面107の内面を被覆している内装部材111を剥離する。内装部材111を剥離した後、振動破砕装置51及びフロアペッカー53は、車体Sの外部へ移動される。
【0044】
なお、振動破砕装置51は、内装部材に振動を付与することにより、側面の内面から剥離するものである。また、フロアペッカー53は、振動可能な刃を備え、内装部材に接触させた刃を振動させることにより、内装部材を切り刻む装置である。なお、上記した剥離手段は、従来から知られている装置であるので、詳細な説明は割愛する。
【0045】
次に、右側面107に対向する左側面105の内装部材を剥離する剥離工程に移行する。まず、車体Sの右側面107の内面が作業面になっている状態にある枠体5を反時計回りに180°回転させ、左側面105の内面を作業面とする。前述した右側面107の剥離工程と同様に、剥離手段を用いて左側面105の内装部材を剥離する。
【0046】
左側面105の内装部材を剥離した後には、天井109の内装部材の剥離工程を行う。まず、枠体5を反時計回りに90°回転し、天井109の内面が作業面となるように車体Sを配置する。その後、右側面107及び左側面105と同様に、剥離手段を用いて天井109の内装部材を剥離する。
【0047】
そして、右側面107、左側面105、天井109から剥離された内装部材111のくずWを排出する排出工程に移行する(図5参照)。左側面105若しくは右側面107が、作業面となるように、天井109が作業面である枠体5を90°時計回り若しくは反時計回りに回転させる。すでに、窓ガラスが取り除かれているので、窓枠113を介して、内装部材111のくずWが、ベルトコンベア117上に落下し排出工程が終了し、内装部材111を除去する除去工程が完了する。
【0048】
くずWは、ベルトコンベア117により、くずの大きさや材質によって分別する分別工程等の他の処理工程へ搬送される。上記実施形態では、左側面105、右側面107、及び天井109の内面の順に、内装部材を剥離する工程としたが、本発明はこの工程に限定されない。例えば、底部103の内面である床面が内装部材で被覆されている場合には、床面、天井109の内面、左側面105(又は右側面107)、右側面107(又は左側面105)の順に内装部材除去工程を行う構成としても良い。
【0049】
なお、上記した処理工程では、車体Sは、回転装置ユニットに導入する前に、窓ガラスが取り除かれていた。しかしながら、除去工程において、内装部材111を剥離するのみでなく、窓ガラスを取り除く作業を含めることも可能である。このように、解体回転装置ユニット1に車体Sを固定させた後に、ガラス除去工程を行うと、ガラスが装着されている面を作業面になるように車体Sを位置付けできるので、作業効率を高めることができる。
【0050】
また、窓ガラスを除去する手段としては、先端にガラス粉砕用のハンマーが装着された羽根車を備え、羽根車を回転させ、ハンマーをガラスに衝突させガラスを粉砕する装置を用いることができる。また、ガラスを切断するためのガラスカッタを備えるガラス切断装置を用い、窓枠に沿ってガラスを切断し、ガラスを除去しても良い。除去されたガラスは、前述した内装部材の排出工程において、内装部材とともに、車体Sの外部へ排出される。
【0051】
なお、本実施形態では、回転装置ユニットが4つの解体用回転装置を備える構成としたが、被解体物の長手方向寸法に適合させて、解体用回転装置の数や、配置間隔等を適宜変更できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
S 被解体物(車体)
W くず
1 解体用回転ユニット
3 筐体
5 枠体
7 固定部材
9 モータ
10 駆動プーリ
11 制御部
12 無端ベルト
15 支持部
17 基部
21 駆動ギア
23 固定部
24、26 ローダ誘導路構成部材
24a、26a 凹部
27a、27b、29a、29b、
31a、31b、33a、33b 押圧部材
35 板状部材
51 振動破砕装置
53 フロアペッカー
100 解体用回転装置
103 底面
105 左側面
107 右側面
109 天井
111 内装部材
171 軌道溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体3と、
内装部材111が内面に装着されている被解体物Sを支持するための、前記筐体3に対して回転可能に配置される枠体5と、
前記被解体物Sを前記枠体5に対して固定するための固定手段7と、
前記枠体5を回転させる回転手段9と、
前記枠体5に固定される前記被解体物Sの内装部材111が装着されている内面が、作業面となるように前記回転手段9を制御する制御手段11と、を備えることを特徴とする解体用回転装置。
【請求項2】
前記固定手段7は、互いに直交する2方向から前記被解体物Sを前記枠体5に対して押圧する押圧部材11を有することを特徴とする請求項1に記載の解体用回転装置。
【請求項3】
前記枠体5は、前記被解体物Sを取り囲むことができる寸法を有し円環状である基部17と、前記基部17に内接する四角形状の支持部15と、を有し、前記固定手段7は、前記支持部15を構成する4つの辺部材それぞれに設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の解体用回転装置。
【請求項4】
前記回転手段9からの回転力は、前記基部17の外周面に設けられたギヤ部17aに伝達されることを特徴とする請求項3に記載の解体用回転装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の解体用回転装置1を複数備え、前記複数の解体用回転装置1は、全ての枠体5の回転軸線Xが一致するように配置され、前記制御手段11は、前記全ての枠体5が同期して回転するように前記回転手段9を制御することを特徴とする解体用回転装置ユニット。
【請求項6】
被解体物Sを解体する解体方法であって、
前記被解体物Sの内装部材111が装着されている内面が作業面となるように前記被解体物Sを回転し、
前記被解体物Sの内装部材111を剥離することを特徴とする解体方法。
【請求項7】
さらに、前記内装部材111を剥離した後、前記内装部材111が剥離された被解体物Sの内面が直下を向くように前記被解体物Sを回転させることを特徴とする請求項6に記載の解体方法。
【請求項8】
車台から分離され窓枠に窓ガラスが装着され内装部材が被覆されている断面視四角形状の車体を解体するための解体用回転装置であって、
筐体3と、
前記車体Sを支持するための、前記筐体3に対して回転可能に配置される枠体5と、
前記車体Sを前記枠体5に対して固定するための固定手段7と、
前記枠体5を回転させることで前記車体をその長手方向軸心回りに回転させる回転手段9と、
前記枠体5に固定される前記車体Sの内装部材111が作業面となるように前記回転手段9を制御する制御手段11と、を備えることを特徴とする解体用回転装置。
【請求項9】
前記固定手段7は、互いに直交する2方向から前記車体Sを前記枠体5に対して押圧する押圧部材を有することを特徴とする請求項9に記載の解体用回転装置。
【請求項10】
前記枠体5は、前記車体Sを取り囲むことができる寸法を有し円環状である基部17と、前記基部17に内接する四角形状の支持部15と、を有し、前記固定手段7は、前記支持部15を構成する4つの辺部材それぞれに設けられていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の解体用回転装置。
【請求項11】
前記回転手段9からの回転力は、前記基部17の外周面に設けられたギヤ部17aに伝達されることを特徴とする請求項10に記載の解体用回転装置。
【請求項12】
請求項8〜請求項11のいずれかに記載の解体用回転装置1を複数備え、前記複数の解体用回転装置1は、全ての枠体5の回転軸線Xが一致するように配置され、前記制御手段11は、前記全ての枠体5が同期して回転するように前記回転手段9を制御することを特徴とする解体用回転装置ユニット。
【請求項13】
車台から分離され窓枠に窓ガラスが装着され内装部材111が被覆されている断面視四角形状の車体Sを解体する解体方法であって、
前記車体Sの内装部材111が作業面となるように前記車体Sをその長手方向軸心回りに回転し、
前記車体Sの内装部材111を剥離することを特徴とする解体方法。
【請求項14】
さらに、前記内装部材111を剥離した後、前記内装部材111が剥離された車体Sの内面が直下を向くように前記車体Sを回転させることを特徴とする請求項14に記載の解体方法。
【請求項15】
前記車体Sの一方の側面の内装部材111、他方の側面107の内装部材111、及び天井109の内装部材111の順に、剥離することを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の解体方法。
【請求項16】
前記内装部材111を剥離するとともに、前記車体Sの窓枠113からガラス部材を取り除くことを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載の解体方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−62677(P2011−62677A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218130(P2009−218130)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(508127915)株式会社とわに (11)
【Fターム(参考)】