説明

触媒及びその金属触媒の分布決定方法

【課題】使用条件を考慮して金属触媒の分布を最適化することができるので、使用条件の異なるものにおいても触媒性能を常に向上させることができる触媒及びその金属触媒の分布決定方法を提供する。
【解決手段】金属触媒が略均一に分布された仮想担体を想定し、該仮想担体を複数のセルに分割する分割工程S1と、所定条件で仮想担体に対し所定のガスを流通させたシミュレーションを行い、セル毎の金属触媒量に対するガスの反応量を求めるシミュレーション工程S2と、その求められた金属触媒量に対するガスの反応量が低いセルの金属触媒量を減らすとともに、当該金属触媒量に対するガスの反応量が高いセルの金属触媒量を増やした仮想担体を想定する演算工程S3とを有し、シミュレーション工程S2と演算工程S3とを所定回数繰り返し行ってセル毎の金属触媒量を求めることにより金属触媒の分布が決定されるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質構造体から成る担体に金属触媒を担持させた触媒及びその金属触媒の分布決定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、エンジンの排気ガスを浄化するための触媒は、ハニカム状に形成されたセラミックスや金属等の多孔質構造体を担体とし、これに白金やロジウムなどの貴金属触媒を担持させたものが多く用いられており、通常、当該貴金属触媒は担体に対して略均等に分布して担持されている。然るに、浄化性能を向上させるべく、担体における排気ガスの流入部側の1/4以下の部位に担持される貴金属触媒を他の部位より多く分布させて担持させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の触媒においては、担体における排気ガスの流入部側の1/4以下の部位に担持される貴金属触媒を他の部位より多く分布させて担持させているので、使用条件によっては浄化性能を向上させることができると思われるものの、あらゆる使用条件を想定した場合においては、必ずしも最適化されていないという問題があった。即ち、触媒は、その担体の形状、適用される金属触媒やガスの種類、ガスの流通形態などの種々の使用条件を考慮して金属触媒の分布を最適化することにより、その性能(浄化性能や改質性能)が最大とされるものであるが、上記従来の触媒においては、金属触媒の分布が使用条件を考慮せず一律とされているため、触媒性能が不十分となる虞があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、使用条件を考慮して金属触媒の分布を最適化することができるので、使用条件の異なるものにおいても触媒性能を常に向上させることができる触媒及びその金属触媒の分布決定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、多孔質構造体から成る担体に金属触媒を担持させた触媒において、前記金属触媒が略均一に分布された仮想担体を想定し、該仮想担体を複数のセルに分割する分割工程と、所定条件で前記仮想担体に対し所定のガスを流通させたシミュレーションを行い、前記セル毎の前記金属触媒量に対する前記ガスの反応量を求めるシミュレーション工程と、該シミュレーション工程により求められた前記金属触媒量に対する前記ガスの反応量が低いセルの金属触媒量を減らすとともに、当該金属触媒量に対する前記ガスの反応量が高いセルの金属触媒量を増やした仮想担体を想定する演算工程とを有し、当該演算工程で想定した仮想担体を用いて前記シミュレーション工程によるシミュレーションが行われるとともに、前記シミュレーション工程と演算工程とを所定回数繰り返し行って前記セル毎の金属触媒量を求めることにより前記金属触媒の分布が決定されることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の触媒において、前記担体は、湿式抄紙法にて調製され、抄紙成分として金属触媒を含むペーパー状のものから成ることを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の触媒において、前記担体は、湿式抄紙法にて調製され、ペーパー状とした後、金属触媒を含む溶液を塗布又は印刷することで形成されることを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、多孔質構造体から成る担体に金属触媒を担持させた触媒における当該金属触媒の分布決定方法において、前記金属触媒が略均一に分布された仮想担体を想定し、該仮想担体を複数のセルに分割する分割工程と、所定条件で前記仮想担体に対し所定のガスを流通させたシミュレーションを行い、前記セル毎の前記金属触媒量に対する前記ガスの反応量を求めるシミュレーション工程と、該シミュレーション工程により求められた前記金属触媒量に対する前記ガスの反応量が低いセルの金属触媒量を減らすとともに、当該金属触媒量に対する前記ガスの反応量が高いセルの金属触媒量を増やした仮想担体を想定する演算工程とを有し、当該演算工程で想定した仮想担体を用いて前記シミュレーション工程によるシミュレーションが行われるとともに、前記シミュレーション工程と演算工程とを所定回数繰り返し行って前記セル毎の金属触媒量を求めることにより前記金属触媒の分布が決定されることを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の触媒における金属触媒の分布決定方法において、前記担体は、湿式抄紙法にて調製された抄紙成分として金属成触媒を含むペーパー状のものから成ることを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の触媒における金属触媒の分布決定方法において、前記担体は、湿式抄紙法にて調製され、ペーパー状とした後、金属触媒を含む溶液を塗布又は印刷することで形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び請求項4の発明によれば、シミュレーション工程と演算工程とを所定回数繰り返し行ってセル毎の金属触媒量を求めることにより金属触媒の分布が決定されるので、使用条件を考慮して金属触媒の分布を最適化することができるので、使用条件の異なるものにおいても触媒性能を常に向上させることができる
【0012】
請求項2、3及び請求項5、6の発明によれば、担体は、湿式抄紙法にて調製されたペーパー状のものから成るので、ハニカム形状に成形する前に金属触媒を担持させることが可能であり、最適化された金属触媒の分布をより精度よく実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る触媒は、自動車や二輪車等におけるエンジンからの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化用触媒に適用されたものであり、多孔質構造体から成る担体に貴金属などの金属触媒を担持させて成るものである。本実施形態に用いられる担体は、ペーパー状(シート状)の多孔質構造体から成るとともに排気ガスを浄化し得る金属触媒(貴金属等)を担持したものであり、ペーパー状に成形された耐熱性繊維の空孔(空隙)内に触媒としての金属触媒粉末を分散担持させて構成されている。
【0014】
耐熱性繊維は、例えばシリカ及びアルミナを主成分とした非晶質セラミックスから成り、湿式抄紙法でペーパー状に成形されて触媒構造体の担体を成すものである。尚、耐熱性繊維は、化学的、物理的に安定で、抄造した際に繊維同士が強く絡み合って高強度な構造体を得ることができれば、他の材質から構成してもよく、アラミド繊維等の有機繊維を使用することもできる。その他、耐熱性が高く、化学的にも安定なガラス繊維や炭素繊維を湿式抄紙法でペーパー状に成形することにより構造体を得るようにしてもよい。
【0015】
金属触媒は、例えば金属酸化物を担体とした触媒粉末とされた後、湿式抄紙法にて多孔質構造の空孔(空隙)内に分散されて付着されるものであり、例えば、白金、ロジウム、パラジウム等の希少貴金属を使用することができる。こうした貴金属を用いれば、例えば排気ガス中に含まれるNOが還元され、Nとなって浄化(無害化)されることとなる。
【0016】
また、金属触媒の多孔質構造の空孔(空隙)内への付着は主に無機バインダにて行われる。一般に無機バインダは、耐熱性繊維と金属触媒との結合材であり、ガラス類の如き加熱融着により結合させるものと、コロイド状無機酸化物(特に、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、コロイダルジルコニアは、分散性に優れ、高強度を得ることができるので、これらのうちいずれかを用いるのが好ましい。)やシリカゲル等の如き脱水反応によって化学結合及び焼結によってその強度をもたらすものの2種類に大別される。
【0017】
ここで、本実施形態においては、セルオートマトンと称される最適化方法にて金属触媒(貴金属触媒)の分布が決定されたものである。かかるセルオートマトンとは、単純な部位(要素:これを「セル」と称する)の集合によって構成されるシステムにおいて、セル間の局所的な相互作用が挙動の複雑なパターンを自然に形成する、いわゆる自己組織化を表現することができる数学モデルである。また、セルオートマトンは、均一な格子状のセルによって構成され、各セルは状態をとることができるものとされ、その状態は、それを取り巻いている若干の近傍セルの状態のみに依存する局所的な規則に従って不連続の時間ステップで更新される。
【0018】
上記の如きセルオートマトンの数学的手法を採用するに際し、本触媒においては、図1に示すように、分割工程S1、シミュレーション工程S2及び演算工程S3などを経て担体に対する金属触媒の分布が決定されるよう構成されている。尚、後述の如くシミュレーション工程S2及び演算工程S3は所定回数繰り返し行われ、最終的に金属触媒の分布が決定されることとなる。
【0019】
分割工程S1は、金属触媒が略均一に分布された仮想担体を想定し、図2に示すように、仮想担体を複数のセル(例えば、格子状の部位)に分割する工程である。これにより互いに金属触媒量が等しい複数のセルが設定されることとなる。尚、本実施形態においては、同図に示すように、担体の長手方向に3分割(α、β、γ)、径方向に5分割(A〜E)してセルを複数(α〜γ×A〜E=15)設定しているが、これと異なる数だけ分割し或いは長手方向のみ又は径方向のみ分割してセルを複数設定してもよい。
【0020】
シミュレーション工程S2は、所定条件で上記の如く想定した仮想担体に対し所定のガスを流通させたシミュレーションを行い、セル毎の金属触媒量に対するガスの浄化量(反応量)を求める工程である。このシミュレーションは、例えばパーソナルコンピュータ等のシミュレーションソフト上で行われるものであり、触媒の使用条件と略等しい条件で排気ガスを担体内に流通させたことを想定し、セル毎の金属触媒量に対するガスの浄化量(浄化量/金属触媒量)を求め得るよう構成されている。
【0021】
演算工程S3は、上記の如きシミュレーション工程S2により求められた金属触媒量に対する排気ガスの浄化量(ガスの反応量)が低いセルの金属触媒量を減らすとともに、当該金属触媒量に対する排気ガスの浄化量(ガスの反応量)が高いセルの金属触媒量を増やした仮想担体を想定する(即ち、仮想担体の金属触媒の分布を想定し直す)工程である。而して、排気ガスの浄化性能がより高いセルでは金属触媒が効率よく使用されていると判断し、より多く金属触媒を分布させる一方、排気ガスの浄化性能があまり高くないセルでは金属触媒が有効に使用されていないと判断し、金属触媒の量を低減させることができる。
【0022】
上記演算工程S3が終了すると、判定工程S4に進み、シミュレーション工程S2及び演算工程S3が所定回数繰り返し行われたか否かが判定される。この判定工程S4にて所定回数に達していないと判定されると、シミュレーション工程S2に戻り、直前の演算工程S3で想定した仮想担体を用いてシミュレーションが再び行われることとなる。このときのシミュレーションの所定条件は、最初のシミュレーション工程S2で設定された条件(使用条件に略合致した条件)とされる。
【0023】
一方、判定工程S4にて所定回数に達したと判定されると、直前の演算工程S3にて求められたセル毎の金属触媒量(即ち、担体に対する金属触媒の分布)が決定されることとなる。以上により、一連の金属触媒の分布決定方法が終了し、S5にて決定された金属触媒の分布に従い、担体に金属触媒を担持すれば、使用条件に基づき最適化された触媒を得ることができる。
【0024】
次に、本発明の実施例について説明する。
まず、所定組成のガス(O−体積分率:0.007200、C−体積分率:0.000500、NO−体積分率:0.001010、CO−体積分率:0.008000、N−体積分率:0.983290)を例えば図2に示す如き担体(例えば全体形状が直径30mm、長手寸法51mmとされ、金属触媒(貴金属)としてPt及びPhを10:1の割合で1.93(mg)だけ担持したもの)に対し流速1750(L/h)で流通させる。
【0025】
ここで、金属触媒(貴金属)を略均一に分布させた担体において、流入ガス温度と担体通過後のガス成分の関係を図3に示す。同図のグラフにおいて、実線が実際に実験して得られたCの残存量の推移、丸印がシミュレーションにて得られた残存量を示しているとともに、破線が実際に実験して得られたCOの残存量の推移、三角印がシミュレーションにて得られた残存量を示している。然るに、上記の如きシミュレーションで求められた値と実測値とは、ほぼ一致しており、上記したシミュレーション工程S2で求められるセル毎の金属触媒量に対するガスの浄化量(浄化量/金属触媒量)は、実際のものに極めて近似していることが実証された。
【0026】
次に、図2に示すように、担体を15個のセル(領域)に分割し(分割工程)、それぞれのセルに対して以下のローカルルールを適用し各セルの金属触媒量(貴金属量)を変化させる(シミュレーション工程及び演算工程)。但し、シミュレーションが行われる前工程である分割工程においては、金属触媒(貴金属)が略均一に分布された担体と仮定したものとされ、所定条件としての流入ガスの温度が450℃に設定される。
【0027】
(ローカルルール)
・浄化量/貴金属量が高いセル…貴金属量を初期量の1%だけ増加させる
・浄化量/貴金属量が低いセル…全体の貴金属量が変化しないように貴金属量を減らす
【0028】
上記手順を繰り返し行ってセル毎の金属触媒量を求めることにより金属触媒の分布を決定した。然るに、繰り返し数(ステップ)を横軸とし、各ステップにおける浄化性能(但し、金属触媒が均一に担持された担体の性能を「1」とした値である)を縦軸とした場合の傾向につき、図4のグラフに示した。同グラフからも分かるように、シミュレーション工程と演算工程とを所定回数繰り返し行ってセル毎の金属触媒量を求めることにより、金属触媒の分布を最適化することができる。
【0029】
更に、繰り返し数(ステップ)が100のときの金属触媒の分布につき、以下の表1に示す。但し、表1において、ベース量(初期に均一に分布した場合の金属触媒量)を「1」として表したものである。この表1から分かるように、本実施例においては、金属触媒(貴金属)が排気ガス入口の中心近傍に集中して担持されており、排気ガス出口の外周部分の担持量が少なくなっている。これにより、金属触媒(貴金属)の分布の最適化を図ることができるので、効率的に排気ガスを浄化させることができる。
【0030】
【表1】

【0031】
更に、上記表1の如く最適化された分布を基に可能な限り近い分布にて金属触媒(貴金属)を担体に担持させた触媒を実際に作成し、これを実施例とするとともに、均一な分布にて金属触媒(貴金属)を担体に担持させた触媒を実際に作成して、これを比較例とし、当該実施例及び比較例に対する450℃、500℃及び550℃の温度条件下でのCOの浄化率を測定した。その実験結果を図5に示す。かかる結果によれば、図示した如何なる温度条件下においても、実施例の方が比較例よりも浄化率(浄化性能)が向上していることが分かる。
【0032】
次に、所定条件としての流入ガスの温度が400℃に設定された場合の金属触媒の分布の最適化の過程を示すグラフを図6に示すとともに、その最適化された金属触媒の分布を以下の表2(ベース量(初期に均一に分布した場合の金属触媒量)を「1」として表したもの)に示す。これにより、流入ガスの温度が400℃のときの金属触媒(貴金属)の分布の最適化を図ることができる。
【0033】
【表2】

【0034】
また、所定条件としての流入ガスの温度が500℃に設定された場合の金属触媒の分布の最適化の過程を示すグラフを図7に示すとともに、その最適化された金属触媒の分布を以下の表3(ベース量(初期に均一に分布した場合の金属触媒量)を「1」として表したもの)に示す。これにより、流入ガスの温度が500℃のときの金属触媒(貴金属)の分布の最適化を図ることができる。
【0035】
【表3】

【0036】
上記によれば、使用条件(流入ガス温度など)を考慮して金属触媒の分布を最適化することができるので、使用条件の異なるものにおいても触媒性能を常に向上させることができる。即ち、シミュレーション工程における所定条件を使用条件に一致したものとすることにより、その使用条件に合致した金属触媒の分布の最適化を図ることができるのである。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば排気ガスの浄化のための触媒に代え、メタノール(CHOH)が水蒸気(HO)と反応することにより生成される水素(H)を原料として電力を得るため、燃料電池用メタノール水蒸気改質反応に使用される触媒に適用してもよい。また、本実施形態における担体は、湿式抄紙法にて調製されたペーパー状のものから成るが、これに代えて従来より汎用的に用いられているハニカム状に形成されたセラミックスや金属等の多孔質構造体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
金属触媒が略均一に分布された仮想担体を想定し、該仮想担体を複数のセルに分割する分割工程と、所定条件で仮想担体に対し所定のガスを流通させたシミュレーションを行い、セル毎の前記金属触媒量に対するガスの反応量を求めるシミュレーション工程と、該シミュレーション工程により求められた金属触媒量に対するガスの反応量が低いセルの金属触媒量を減らすとともに、当該金属触媒量に対するガスの反応量が高いセルの金属触媒量を増やした仮想担体を想定する演算工程とを有し、当該演算工程で想定した仮想担体を用いてシミュレーション工程によるシミュレーションが行われるとともに、前記シミュレーション工程と演算工程とを所定回数繰り返し行って前記セル毎の金属触媒量を求めることにより金属触媒の分布が決定される触媒その金属触媒の分布決定方法であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付与されたもの等に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態に係る触媒における金属触媒の分布決定方法を示すフローチャート
【図2】同触媒における金属触媒の分布決定方法を説明するための説明図であって、(a)担体を示す斜視図、(b)その縦断面及びセルを説明するための図
【図3】同触媒における金属触媒の分布決定方法のシミュレーションと実測値との相関関係を示すグラフ
【図4】同触媒における金属触媒の分布決定方法において金属触媒の分布の最適化(ガス温度が450℃の場合)の過程を示すグラフ
【図5】同触媒における金属触媒の分布決定方法で最適化された実施例と金属触媒の分布が略均一である比較例との浄化率の比較を示すためのグラフ
【図6】同触媒における金属触媒の分布決定方法において金属触媒の分布の最適化(ガス温度が400℃の場合)の過程を示すグラフ
【図7】同触媒における金属触媒の分布決定方法において金属触媒の分布の最適化(ガス温度が500℃の場合)の過程を示すグラフ
【符号の説明】
【0040】
S1 分割工程
S2 シミュレーション工程
S3 演算工程
S4 判定工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質構造体から成る担体に金属触媒を担持させた触媒において、
前記金属触媒が略均一に分布された仮想担体を想定し、該仮想担体を複数のセルに分割する分割工程と、
所定条件で前記仮想担体に対し所定のガスを流通させたシミュレーションを行い、前記セル毎の前記金属触媒量に対する前記ガスの反応量を求めるシミュレーション工程と、
該シミュレーション工程により求められた前記金属触媒量に対する前記ガスの反応量が低いセルの金属触媒量を減らすとともに、当該金属触媒量に対する前記ガスの反応量が高いセルの金属触媒量を増やした仮想担体を想定する演算工程と、
を有し、当該演算工程で想定した仮想担体を用いて前記シミュレーション工程によるシミュレーションが行われるとともに、前記シミュレーション工程と演算工程とを所定回数繰り返し行って前記セル毎の金属触媒量を求めることにより前記金属触媒の分布が決定されることを特徴とする触媒。
【請求項2】
前記担体は、湿式抄紙法にて調製され、抄紙成分として金属触媒を含むペーパー状のものから成ることを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項3】
前記担体は、湿式抄紙法にて調製され、ペーパー状とした後、金属触媒を含む溶液を塗布又は印刷することで形成されることを特徴とする請求項1記載の触媒。
【請求項4】
多孔質構造体から成る担体に金属触媒を担持させた触媒における当該金属触媒の分布決定方法において、
前記金属触媒が略均一に分布された仮想担体を想定し、該仮想担体を複数のセルに分割する分割工程と、
所定条件で前記仮想担体に対し所定のガスを流通させたシミュレーションを行い、前記セル毎の前記金属触媒量に対する前記ガスの反応量を求めるシミュレーション工程と、
該シミュレーション工程により求められた前記金属触媒量に対する前記ガスの反応量が低いセルの金属触媒量を減らすとともに、当該金属触媒量に対する前記ガスの反応量が高いセルの金属触媒量を増やした仮想担体を想定する演算工程と、
を有し、当該演算工程で想定した仮想担体を用いて前記シミュレーション工程によるシミュレーションが行われるとともに、前記シミュレーション工程と演算工程とを所定回数繰り返し行って前記セル毎の金属触媒量を求めることにより前記金属触媒の分布が決定されることを特徴とする触媒における金属触媒の分布決定方法。
【請求項5】
前記担体は、湿式抄紙法にて調製された抄紙成分として金属成触媒を含むペーパー状のものから成ることを特徴とする請求項4記載の触媒における金属触媒の分布決定方法。
【請求項6】
前記担体は、湿式抄紙法にて調製され、ペーパー状とした後、金属触媒を含む溶液を塗布又は印刷することで形成されることを特徴とする請求項4記載の触媒における金属触媒の分布決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−248010(P2009−248010A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100068(P2008−100068)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成20年2月17日 社団法人化学工学会発行の「化学工学会第73年会研究発表講演要旨集」に発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人科学技術振興機構、「湿式抄紙製法による排ガス浄化装置」委託開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000128175)株式会社エフ・シー・シー (109)
【Fターム(参考)】