説明

触媒構造体の製造方法

【課題】触媒構造体または触媒支持体を経済的に製造する方法を提供する。
【解決手段】触媒支持体として使用することができる微細孔構造体を製造する方法。この微細孔構造体は、高い多孔度及び高い熱安定性と共に、良好な力学的強度及び相対的に高い表面積を有する。この方法は、燃料電池、センサー、化学電池などで使用するための触媒構造体用の二酸化チタンの製造に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全内容は本願明細書に参照として組入れられている、米国特許出願第60/230,211号に優先して請求するものである。
【0002】
本発明は、触媒支持体として使用するための微細孔構造体を製造する方法に関する。特に本発明は、燃料電池、センサー、化学電池の触媒構造体として適している二酸化チタンの製造方法に関する。本発明は、本発明の方法により形成された触媒構造体にも関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
触媒支持体の製造に関して、様々な材料及び方法が公知である。高い多孔度及び良好な物理的強度が、このような製品の一般的要求条件である。この構造の高温安定性も、触媒が高温で作業する場合には必要である。
【0004】
米国特許第5,036,037号は、塩化物、フッ化物または硝酸塩の溶液からの水熱分解による金属酸化物触媒の製造方法を開示している。この方法は、平均寸法20〜30μmであり及び高い比表面積を有する粒子を製造する。この加工処理温度は、酸化物の生成物中のアニオン(塩素またはフッ素)の存在を避けるために、低くとも500℃であり、一般には700℃よりも高い。この生成物は、そのまま使用することができるか、もしくは必要とされる物理的または化学的特性をそれに付与するために更に処理することができる。この方法は、意図された製品にとっては適しているが、この方法は改善されることが望ましい。
【0005】
水溶液から二酸化チタンを製造する新規方法が、PCT公開である国際公開公報第01/00530号、国際公開公報第01/00531号及び国際公開公報第01/12555号に開示されており、それらの関連部分は、本願明細書に参照として組入れられている。
一般にこれらの出願は、中間体を生成するための蒸発によるチタン塩水溶液の加工処理を開示している。この蒸発は、溶液の沸点よりも高いが、酸化物相で顕著な結晶成長が生じる温度よりも低い温度で行われる。一部の態様において、蒸発は、この溶液の沸点よりも高いが、その中間体の結晶化温度よりも低い温度で行われる。
【0006】
チタン溶液の場合、この温度は一般に、120℃〜350℃、好ましくは200℃〜250℃の範囲である。この方法は好ましくは、噴霧により行われ、及び噴霧乾燥機において実現することができる。この噴霧乾燥法は、直径1〜100μm、及びシェル厚0.03〜5μmである薄膜形成された球体または球体の一部を形成する。
【0007】
これらの球体または球体の一部の焼成及び摩砕後に、蒸発条件、添加剤の選択、及び焼成条件に応じて、超微細なナノサイズのTiO2、あるいは顔料グレードのTiO2を得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしこのような方法で、金属塩溶液から金属酸化物の触媒構造体を経済的及び商業的に製造することができることを示すものはない。従って本発明は、触媒構造体または触媒支持体を経済的に製造する方法に関する。
【0009】
従って本発明は、高い多孔度、高い比表面積、高い力学的強度、及び優れた熱安定性を持つ触媒または触媒構造体を製造する方法を説明する。米国特許第5,036,037号に開示された方法とは対照的に、本発明の方法は、この方法の第一工程のための比較的低温の装置及び化学制御剤の添加を使用する。本方法は、噴霧、加圧、及び結晶化の組合せを使用し、これは製品の物理的特性の最適な制御を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明は、金属塩の水溶液と化学制御剤を混合し、中間体溶液を形成することを含む、触媒または触媒構造体の製造方法を提供する。この溶液は、いかなる沈殿も含まないことが好ましい。
【0011】
次にこの中間体溶液は蒸発され、中間生成物を形成する。この蒸発は、実質的に全蒸発が実現される条件下で行われる。特にこの蒸発は、供給溶液の沸点よりも高いが、顕著な結晶成長が生じる温度よりも低い温度で行われる。この蒸発は、溶液の沸点よりも高いが、中間体の結晶化温度よりも低い温度で行うこともできる。特に好ましい態様において、中間体は、薄膜として形成された非晶質固形物であり、好ましくは球体または球体の一部である。
【0012】
用語「実質的に全蒸発」または「実質的に完全な蒸発」は、固形中間体が15%未満の自由水、好ましくは10%未満の自由水、及びより好ましくは1%未満の自由水を含有することを意味する。用語「自由水」とは、化学的に結合しておらずかつ温度150℃以下の加熱により除去することができるような水であると理解されかつこれを意味している。実質的に全蒸発または実質的に完全な蒸発の後、この中間生成物は、目視できる水分の存在を有さないであろう。
【0013】
次にこの中間生成物は、結合剤と混合され、混合物を形成し、これは次に乾燥される。乾燥はいずれか適当な手段により行うことができるが、好ましくは風乾である。乾燥された混合物は次に、望ましい形状に加圧される。適当な望ましい形状は、寸法範囲が数mm〜20cmである円盤、中実柱体(full cylinder)または中空柱体を含むが、これらに限定されるものではない。
【0014】
次に造形された生成物は、温度100℃に加熱され、残存している水分または揮発性化合物が除去され、加熱処理(結晶化)工程時の亀裂を避けることができる。
【0015】
加熱処理された生成物は次に、500℃〜1300℃の温度範囲へ2〜24時間の期間の温度の上昇、その後の室温への冷却により、結晶化される。冷却された生成物はその後、水または希酸へのそれの含浸、沸点への加熱、及び5分〜2時間の期間の沸点での維持により洗浄され、結晶化工程後に依然存在し得る微量の水溶性相が除去される。
【0016】
本発明の方法の結果形成された製品は、30%〜70%の範囲の多孔度、及び構造を酸化雰囲気中8時間1100℃で維持した場合に5%未満の寸法変化が生じるような熱安定性特徴とする触媒構造体を含む。好ましい製品は、高い多孔度を示しつつ互いに強力に結合されている針状に造形された粒子からなる二酸化チタン触媒構造体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の説明
ここで図1を参照し、本発明の方法の全般的流れ図が示されている。図1に関して、金属の塩溶液から、これらの金属酸化物の触媒構造体を経済的に製造するために、その全体が本明細書に参照として組入れられている、米国特許出願第09/500,207号、第09/503,365号及び第09/503,636号に開示された加工処理工程の一部及び装置の一部と同じものを、有利に使用することができることがわかる。これに関して、これらの特許出願は、各々、PCT公開である国際公開公報第01/00531号、第01/12555号、及び第01/00530号に対応していることに注意すべきである。これらの刊行物の内容は先に説明されている。
【0018】
本発明の方法のひとつの態様に従い、金属塩溶液2は、混合機10の中で、1種又は複数種の化学制御剤4と混合される。これらの金属塩溶液は一般に、硫酸塩、塩化物、オキシ塩化物、硝酸塩、またはそれらの混合物である。これに関して、塩を形成している金属は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Al、Sn、Sb、Pb、Bi及びそれらの混合物からなる群より選択することができる。この金属塩溶液は、Y、Ca、Mg、及びそれらの混合物の可溶性塩を含んでもよい。例えば、塩から形成された金属がTiまたはZrである場合、この金属塩溶液は、Y、Ca、Mg及びそれらの混合物の可溶性塩を含むことが望ましい。この溶液は、いかなる沈殿も懸濁も含まないことが好ましい。
【0019】
本方法は、チタン及びジルコニウムの水溶液に特に適しており、より詳細に述べると、オキシ塩化チタン及びオキシ塩化ジルコニウムの溶液に適している。化学制御剤は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、スズ及び亜鉛の塩化物であることができるが、これらに限定されるものではない。前述の元素の炭酸塩、フッ化物、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩及び他の適当な塩も使用することができる。加えてリン酸及び前述の元素のリン酸塩を使用することもできる。
従って、化学制御剤は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、スズ及び亜鉛の塩化物、炭酸塩、フッ化物、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びリン酸塩などの塩、並びにリン酸からなる群より選択される。好ましい方法において、オキシ塩化チタン溶液が供給材料として使用され、及びリン酸ナトリウムが化学制御剤として使用される。
【0020】
前述の混合溶液に、高温表面との接触によるか、または熱ガス流れ中の噴霧により、実質的に全蒸発20を施し、中間生成物を形成する。実質的全蒸発は、溶液の沸点以上、及び顕著に結晶成長する温度以下で行われる。この中間生成物は、非晶質含水酸化物である。用語「実質的全蒸発」は、得られる中間生成物が15%未満の自由水、好ましくは10%未満の自由水、及びより好ましくは1%未満の自由水を含有することを意味する。用語「自由水」とは、化学的に結合しておらずかつ温度150℃以下での加熱により除去することができるような水であると理解されかつこれを意味している。実質的全蒸発の後、この中間生成物には、目視できる水分は存在しないであろう。水及び関連した酸の揮発性生成物は、揮発され、及びいずれか公知の方法により回収することができる。
【0021】
好ましくは、噴霧法による蒸発は、噴霧乾燥機において実現される。噴霧乾燥機の使用は、固形生成物の得られる物理的及び化学的特徴を、温度、流量、金属濃度、並びに化学制御剤の種類及び量を含む、操作パラメータの制御を通じて、かなり狭い範囲内で制御できるようにする。一般に噴霧チャンバー内の温度は、100℃〜400℃の範囲内であり、供給溶液の濃度は、金属の10〜200g/lの範囲内である。好ましくは、この温度範囲は150℃〜250℃であり、及び金属の濃度範囲は50〜150g/lである。
【0022】
噴霧乾燥機中での噴霧により得られる中間生成物は、薄膜形成された球体または球体の一部からなるであろう。この球体の寸法は、直径1μmから100μmまで広い範囲にわたり変動することができ、シェルの厚さは、30nm〜5000nm、好ましくは30nm〜1000nmの範囲である。この中間生成物は、非晶質と称される。
【0023】
噴霧法のこの中間生成物は更に、第二混合工程30において結合剤6と、及び任意に表面処理添加剤8と混合される。この結合剤は、表面析出及び表面改質のような、中間生成物の表面処理を提供するのに効果的な材料を含むことができる。
これは、所望の特性(すなわち、熱触媒特性、表面層の導電性または微小構造の形態)を増強するために使用することができる複雑な微小構造制御に関連することができる。これらの結合剤は、加圧加工処理時の減摩作用を有し、表面を良好に仕上げるために必要である。結合剤は、加熱処理工程時には、良好な完全燃焼(burnout)特性を有さなければならない。
【0024】
この結合剤は、有機または無機の結合剤であることができる。無機結合剤は、金属塩溶液、塩、コロイド状金属及びそれらの複合混合物を含むが、これらに限定されるものではない。有機結合剤は、天然または合成であることができる。天然の有機結合剤は、デンプン及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロースエステル類、及びダイズタンパク質を含むが、これらに限定されるものではない。合成有機結合剤は、スチレン、ブタジエン、アクリルエステル、酢酸ビニル及びアクリロニトリルのポリマーまたはコポリマーを含むが、これらに限定されるものではない。ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸アンモニウム、及びポリアクリル酸ナトリウムは、適当な有機結合剤の例である。
【0025】
任意の表面処理添加剤は一般に、化学制御剤に類似している。従って任意の表面処理添加剤は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、スズ及び亜鉛の塩化物を含むが、これらに限定されるものではない。前述の元素の炭酸塩、フッ化物、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩及び他の適当な塩も使用することができる。加えて、リン酸及び前述の元素のリン酸塩も使用することができる。従って化学制御剤は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、スズ及び亜鉛の塩化物、炭酸塩、フッ化物、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩などの塩及びリン酸塩並びにリン酸からなる群より選択される。
【0026】
その後、この生成物は、乾燥工程40において乾燥される。乾燥はいずれか適当な方法で行うことができる。乾燥される材料は、乾燥炉内の棚の上に配置されるか、もしくはベルト炉またはプッシャ炉を通じて連続移動で通過させることができる。乾燥は、回転釜においても行うことができる。加熱は、例えば電気抵抗加熱(electric heating resistance)により、熱風流れにより、または高温の燃焼ガス流れにより提供することができる。
【0027】
乾燥した材料は、加圧工程50において、所望の形状に加圧される。加えられる圧力は、広い範囲にわたり変動することができるが、好ましくは2000〜20,000psi(1.38x107〜1.38x108Pa)である。静水圧を用い、円盤または柱体を加圧することができる。特別な付属部品を使用し、様々な形状に加圧された材料を形成することができる。
【0028】
造形された生成物は次に、温度100℃まで加熱され、あらゆる残留している水分または揮発性化合物が除去され、加熱処理(結晶化)工程時の亀裂を防ぐことができる。加圧された生成物は次に、加熱処理工程60が施され、ここでは加圧された生成物は更に乾燥されかつ緩徐に加熱される。好ましい態様において、加熱処理は、結晶化及び結晶成長が生じる温度まで、少なくとも2時間かけて行われる。
【0029】
この結晶化温度は、触媒構造体として利用する材料の性質に加え、添加の性質によって変動する。転化の温度及び条件は、添加剤の性質及び量によって決まる。この温度は一般に、500℃〜1300℃の範囲で2〜24時間の期間であり、その後室温に冷却される。この温度は一般に、TiO2については800℃〜1200℃であり、及びZrO2については1000℃〜1300℃の範囲である。加熱処理サイクルの全体の時間は、2時間から24時間までを変動する。
【0030】
加熱処理に使用される装置は、良好な温度制御を伴うあらゆる種類の炉であることができる。小規模製造は、マッフル炉において行うことができる。大規模製造については、異なる温度のゾーンを備えた連続ベルト炉が好ましい。
【0031】
この加熱処理工程の後、生成物には、1回または複数回の洗浄工程70が施され、ここでは、噴霧乾燥工程前に混入された可溶性の微量の化学制御剤を取除くため、または蒸発後加熱処理工程前に混入された任意の表面処理添加剤を除去するために、希酸による洗浄及び/または水による洗浄を含むことができる。
この洗浄工程は、加熱処理工程時に反応してはいない微量のあらゆる水溶性相を除去するために、加熱処理生成物及び洗浄液が、沸点まで加熱され、及び5分〜2時間の期間沸点で維持される工程を含むことができる。
【0032】
生成物のマクロ構造は、更に、追加の表面処理または析出80により改質することができる。様々な金属酸化物を、化学的気相析出法によるかまたは金属酸化物前駆体の液相溶液から析出することができる。このコーティングされた材料は次に、熱処理され、表面コーティングが灰化(mineralize)される。このコーティング及び乾燥(curing)法は、望ましいコーティング厚が生じるまで、数回繰り返しても良い。
【0033】
いずれかの理論につながるものではないが、本方法の条件下での噴霧法は、必要とされる特性を持つ結晶構造に転化することができる非晶質固形物の薄膜からなる球体を生じると考えられる。特に、粉砕され及び圧縮された球状シェルは、結晶化後に非常に多孔質でありかつ力学的に頑丈でもある構造を生じる。
【0034】
本発明の方法は、30%〜70%の範囲の多孔度を有する触媒または結晶構造を製造する。加えて本発明の方法で形成された構造は、構造を酸化雰囲気中で8時間1100℃に維持した場合に5%未満の寸法変化が生じるような熱安定性を有することにより特徴付けられる。この比表面積は、広範に変動することができるが、一般には1〜10m2/gの範囲である。製造された触媒構造体の力学的粉砕強さは、少なくとも1MPa(10barまたはおよそ145psi)である。細孔構造を形成している個別の粒子の寸法は、μmの範囲であり、長さは0.1μm〜50μmである。これらの粒子は、あらゆる形状であることができるが、幅長比が1:1〜1:20である針状であることが多い。
【0035】
これらの構造の寸法は、前記技術により限定されるものではない。更にこの表面は、金属または金属酸化物を含むように改質されるか、もしくは他の金属酸化物溶液及び固形物溶体によりコーティングされ得る。本発明の方法は更に、反応性気体または溶液により容易に清掃(sweep)することができる多孔質のマクロ構造に融合された多層化された結晶物質の生成も可能にする。
【実施例】
【0036】
下記実施例は本発明を例証するものである。
実施例1
Ti 40 g/l、Cl 140g/l及び0.2%Na3PO4・12H2Oを含有する塩化チタン溶液を、噴霧乾燥機内へ射出し、実質的全蒸発を施した。この噴霧乾燥機は、反応チャンバー、それに続くバグフィルター及び塩酸吸収システムからなる。この溶液は、アトマイジングディスクを通じて、3L/分の速度で射出した。空気で580℃に希釈した天然ガスの燃焼から生じた気体も、このディスクの周囲から噴射した。この噴霧乾燥機の出口温度は250℃であり、総気体流量は約800scfmであった。反応器から出た気体は、バグフィルターに送られ、TiO2生成物が収集された。
【0037】
分子量11,000及び31,000のポリビニルアルコール10gを、水100mlに溶解した。
この混合液を更にエタノール200mlで希釈し、二酸化チタン噴霧乾燥機の生成物100gと一緒にした。得られたペーストを、90℃の乾燥炉で乾燥し、次に直径3.4cmの円盤に、500bar(5x107Pa)の圧力で加圧した。これらの円盤は更に、下記のサイクルに従い加熱処理した:
110℃で4時間
5℃/分の温度増分で次第に1150℃まで、
1150℃で4時間、
炉を消し、生成物を冷却した。
この円盤を、水中にこれらを含浸し沸点で1時間維持することにより洗浄した。
【0038】
得られた生成物は、その場で成長したルチル型結晶からなるモノリシック細孔構造を示した。この構造は明らかに、粉末化した結晶材料の焼結により得られるものとは異なっている。XRD分析は、支配的固相として純粋なルチル型のみであることを示し、並びに寸法及び密度の測定は空隙率が0.59であることを示した。
【0039】
図2は、3000倍に拡大したこの構造の走査型電子顕微鏡写真である。これは、断面1〜2μm及び長さ5〜10μmである、長く伸びたルチル型結晶の構造を示している。
【0040】
実施例2
Ti 40 g/l、Cl 140g/lを含有する塩化チタン溶液に、ケイ酸ナトリウムNa2SiO3・9H2O 0.67g/lを添加した。得られた溶液を、実施例1に示したものと同じ条件で、噴霧乾燥機内へ射出し、実質的全蒸発を施した。酸化チタン生成物は、バグハウスで回収した。
【0041】
更なる処理は、結晶化温度が1150℃の代わりに920℃であること以外は、実施例1の対応する処理と同じであった。
【0042】
得られた生成物は、その場で成長したルチル型結晶からなるモノリシック細孔構造を示した。XRD分析は、固相として純粋なルチル型のみを示した。図3は、3000倍に拡大したこの構造の走査型電子顕微鏡写真である。これは、長さ2〜10μm及び幅長比が1:10である、長く伸びたルチル型結晶の構造を示している。ケイ酸ナトリウムの添加は、リン酸ナトリウムの添加よりも、一般により長い結晶を生成した。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、本発明の方法の全般的流れ図である。
【図2】図2は、本発明の方法で得られた触媒構造体の一例の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本発明の方法で得られた触媒構造体の別の例の走査型電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細孔構造体の製造方法であって、
a. Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Al、Sn、Sb、Pb、Bi及びこれらの混合物からなる群より選択される金属塩の水溶液、並びに、リン酸並びにナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、スズ及び亜鉛の1以上の塩化物、炭酸塩、フッ化物、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩及びリン酸塩からなる群より選択される化学制御剤を混合し、中間体溶液を形成する工程;
b.該中間体溶液を蒸発し、中間生成物を形成する工程であって、ここで蒸発が、該溶液の沸点よりも高いが顕著な結晶成長が生じる温度よりも低い温度で、管理された温度プロセスで噴霧により行われる工程;
c.該中間生成物を結合剤と混合し、混合物を形成する工程;
d.該混合物を乾燥し、乾燥混合物を形成する工程;
e.該乾燥混合物を所望の形状に加圧する工程;
f.温度を500℃〜1300℃の範囲に、2〜24時間の期間上昇させ、その後室温に冷却することによって結晶化する工程;及び、
g.工程fの生成物を洗浄する工程
を連続して含み、
該中間生成物が、多数の中空球体及び球体の一部を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
球体の直径が、1μm〜100μmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
球体が、30nm〜5000nmのシェル厚さを有する、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−253993(P2008−253993A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193808(P2008−193808)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【分割の表示】特願2002−535805(P2002−535805)の分割
【原出願日】平成13年10月17日(2001.10.17)
【出願人】(501495330)アルテアナノ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】