説明

計器付短管および水処理システム

【課題】 下水処理システム等に用いられる従来の計器付短管には、処理水中の物理量を検知する水質計器と、その測定誤差の原因となる汚染物の除去を目的とした、洗浄ノズルから高圧水を噴射する装置が備えられていた。噴射される高圧水は、水質計器に付着した汚泥の大雑把な除去には有効なものの、微細な汚染物や強固に付着した汚染膜の除去は困難であった。
【解決手段】 本発明の計器付短管には、水質計器と、この水質計器に高圧水を噴射する洗浄ノズルと、微細な汚染物や強固に付着した汚染膜の除去を行うための超音波振動を発生させる超音波発生装置が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量計や濃度計等の水質計器とその水質計器を洗浄する洗浄装置とを短管に設けた計器付短管およびそれを用いた水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理等の水処理システムおいては、各プロセスで処理水中の汚泥濃度等を適正に制御したうえで水処理をする必要がある。そのため、処理水中の物理量を検知する種々の水質計器を備えた計器付短管が、処理水を流す配管に取付けられている。汚泥等に起因する汚染物質が計器付短管の水質計器に付着すると、処理水中の物理量を高精度に検知することができなくなる。この対策に水質計器を洗浄するための洗浄装置が、計器付短管に設けられている。
【0003】
従来の計器付短管に設けられた洗浄装置は、水処理システムの配管に流れる処理水を取込み、取込んだ処理水をポンプで高圧水にしてから洗浄ノズルで水質計器に向けて噴射するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−218424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の計器付短管に設けられた洗浄装置は、洗浄ノズルから水質計器に向けて高圧水を噴射するため、水質計器に付着した汚泥の大雑把な除去には有効であるものの、微細な汚染物や強固に付着した汚染膜の除去は困難であった。そのため、高精度で処理水中の物理量を検知することが容易でなかった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決し、水質計器に強固に付着した微細な汚染物や汚染膜の除去ができる洗浄装置を備えた計器付短管を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の計器付短管は、処理水を流す配管に取付けられ、前記処理水を短管に流し、この流された処理水中の物理量を検知する水質計器と、この水質計器を洗浄する手段が前記短管に備えられた計器付短管であって、前記水質計器を洗浄する手段が、高圧水を噴射する洗浄ノズルと超音波振動を発生する超音波発生装置とである点を特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成された計器付短管は、水質計器を収めた短管に超音波振動を照射する超音波発生装置と高圧水を噴射する洗浄ノズルとを取付けたので、水質計器に高圧水の噴射と、超音波を照射することにより、水質計器に対する洗浄効果を向上させることができるようになる。その結果、上記計器付短管を水処理システムに取付けることによって、処理水中の物理量を高精度で検知できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1の計器付短管を配管に取付けた断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1の断面図である。
【図3】本発明の実施の形態2の計器付短管を配管に取付けた断面図である。
【図4】本発明の実施の形態3の高圧水噴射ならびに超音波照射のタイミングチャ−トである。
【図5】実施の形態4の超音波の周波数変化を示すタイミングチャ−トである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態1について詳細に説明する。図1はこの発明の実施の形態1の計器付短管を配管に取付けた断面図、図2は超音波発生装置を短管に取付けた断面図である。なお、図中の同一符号は、同一または相当部分を示している。
【0011】
図1に示すように、配管1の途中に計器付短管2がフランジ3で接続され、その中を処理水が紙面の右から左方向に向かって流れている。計器付短管2の構成部材である短管2aの壁面の下流側の上面には、第1水質計器4Aが取付けられている。その第1水質計器4Aの上流側には、超音波発生装置5Aとジェット装置6Aが取付けられている。さらに第1水質計器4Aと対面側の短管2aの壁面(下面)には、超音波発生装置5Bが取付けられ、その上流側にジェット装置6Bが取付けられている。配管1および短管2aの底(壁面の下面)には、汚泥7が多く溜まっている。また、配管1および第1水質計器4Aを取付けた短管2aの上部にも汚泥7やそれに含まれる図示しない物質が膜状に付着している。ここで用いる第1水質計器4Aは、例えば光学式汚泥濃度計、超音波式汚泥濃度計、流量計、温度計、酸素濃度計等であるが、必ずしもこれらに限られるものではなく処理水中の物理量を検知するものであればよい。
【0012】
各ジェット装置6A、6Bは共に高圧の洗浄水を供給するためのパイプ6aと、洗浄水を仕切る仕切弁6bと洗浄水を噴射する洗浄ノズル6cから構成されている。仕切弁6bを開くことで、洗浄水は洗浄ノズル6cから破線矢印の方向に、すなわち処理水の流れる方向と同じ方向(上流側から下流側の方向)に高圧で噴射される。なお、上記高圧の洗浄水としては、処理水をポンプ等で高圧にしたものであっても良いし、その他の場所から供給される洗浄液体であっても良い。
【0013】
図2に短管2aに取付けた超音波発生装置5の断面図を示す。超音波発生装置5は短管2aを貫通するように取付けられ、外側に超音波発振器5aを設け、圧電素子等からなる図示しない超音波振動子に給電し、発生した超音波振動を伝播部5bに与えることで、短管2aの壁面とほぼ垂直方向(破線矢印の示す方向)に超音波振動を処理水に照射している。ここで用いる超音波発生装置5A、5Bの照射可能な周波数は、1〜1000kHzの範囲であって、適宜所定の周波数に調整できるようになっている。尚、照射可能な周波数を必ずしも1〜1000kHzにする必要はなく、1kHz以下〜1000kHz以上にしてもよい。
【0014】
次に実施の形態1の計器付短管2の動作について説明する。ジェット装置6A、6Bはそれぞれの仕切弁6bを開くことで、それぞれの洗浄ノズル6cから、高圧の洗浄水を第1水質計器4A、超音波発生装置5Aならびに超音波発生装置5Bに向けて噴射する。洗浄水の噴射される方向は、処理水の流れる方向と同じにしているため、第1水質計器4Aに届いた洗浄水のもつ流速の減衰は比較的小さい。高圧で噴射された洗浄水は、処理水と混じりながら第1水質計器4Aならびに超音波発生装置5A、5Bに付着する汚泥等を概ね除去する。しかしながら、強固に付着した汚泥等に起因する微細な汚染物や汚染膜の除去は困難である。
【0015】
第1水質計器4Aのすぐ横の上流側に置かれた超音波発生装置5Aからは、1〜100kHzの超音波が洗浄水ないし洗浄水と混じった処理水中に向けて照射される。この照射される超音波振動は、ジェット装置6Aから噴射される洗浄水ないし処理水中にキャビティ−を発生させ(洗浄水と処理水のそれぞれの流速は異なるため、界面のようなものが生まれている)、その下流の第1水質計器4Aの直上において、キャビティ−消失に伴うキャビテ−ションによる高い粒子除去能力や汚染膜に対する剥離能力が高まる。これにより、第1水質計器4Aに付着する微細な汚染物や汚染膜の除去効果が高まる。
【0016】
第1水質計器4Aと対面位置に配置された超音波発生装置5Bからは、50〜1000kHzの超音波が第1水質計器4Aに向けて照射され、より小さな微粒子の除去能力が高くなる。また、超音波発生装置5Aより高い周波数の超音波が、超音波発生装置5Bから第1水質計器4Aに向けて照射されているため、第1水質計器4A周辺でのキャビティ−の消失が進みやすく、その相乗効果によって、極めて高い汚染物や汚染膜の除去効果が得られる。なお、第1水質計器4Aから除去された汚染物や汚染膜は洗浄水ないし処理水によって、下流側の配管1に流され計器付短管2内に残ることはない。従って、上記のような計器付短管を採用した水処理システムは、高精度に処理水のもつ物理量を検知でき、検知した物理量から処理水の水処理に必要な制御を最適に実施できるようになる。
【0017】
上記実施の形態1においては、超音波発生装置5A、5Bから高圧で噴射される洗浄水ないし、その洗浄水と混じった処理水に向けて超音波が照射される場合について説明したが、必ずしも洗浄水が含まれる必要性はなく、流速を有した処理水に向けて超音波が照射される場合についても汚染物や汚染膜の除去効果が得られる。
【0018】
ところで、ある種の第1水質計器4A(例えば、超音波式汚泥濃度計等の測定に超音波振動の影響を受けやすい計測装置等)において、洗浄中の計測値の精度が悪くなることがある。これを避けるため、本発明の実施の形態1の計器付短管2では、図示しないタイマ−等を用いて洗浄中の計測値を洗浄前の計測値にホ−ルドし、洗浄が完了した後にホ−ルドを解除し、第1水質計器4Aで計測される計測値を水処理システムに提供するようにしている。これにより、水処理システムの水処理制御に誤制御を誘発することなく、第1水質計器4Aの洗浄を行うことができるようになる。
【0019】
実施の形態2.
上記実施の形態1の計器付短管では、短管の壁面とほぼ垂直方向に超音波発生装置5A、5Bの超音波が照射されるように取付けられ、第1水質計器を超音波振動と高圧で噴射される洗浄水ないしこれと混じる処理水で洗浄している。これに対し、本発明の実施の形態2の計器付短管では、短管の壁面と所定の角度をなした方向に超音波発生装置5A、5Bの超音波が照射されるようが取付けられ、第1水質計器と第2水質計器とを超音波振動と高圧で噴射される洗浄水ないしこれと混じる処理水で洗浄している。すなわち、上記実施の形態1と実施の形態2の計器付短管2の差異は、短管の壁面に対する超音波発生装置5A、5Bの取付け角度と、取付けた水質計器の数に差異があり、その他の構成は同じである。
【0020】
図3はこの発明の実施の形態2の計器付短管を配管に取付けた断面図である。なお、図3中において、図1または図2と同一部分ないし相当部分には、同一符号を付与している。以下、図面に基づいて本発明の実施の形態2について詳細に説明する。
【0021】
図3に示すように、短管2aの壁面の下流側の上面には第1水質計器4Aが、下面には第1水質計器4Aと対面対向する位置に第2水質計器4Bが取付けられている。なお、第2水質計器4Bには、汚泥7が多く溜まっている。また、第2水質計器4Bにも汚泥7に含まれ図示しない物質が膜状に付着している。第1水質計器4Aの上流側には、壁面と所定の角度をなした方向に超音波が照射されるように超音波発生装置5Aが取付けられるとともにジェット装置6Aも取付けられている。第2水質計器4Bの上流側には、壁面と所定の角度をなした方向に超音波が照射されるように超音波発生装置5Bが取付けられるとともにジェット装置6Bも取付けられている。ここで用いる第2水質計器4Bは、例えば光学式汚泥濃度計、超音波式汚泥濃度計、流量計、温度計、酸素濃度計等であるが、必ずしもこれらに限られるものではない。なお、上記壁面となす所定の角度の取り得る範囲は、0度以上90度以下である。
【0022】
次に実施の形態2の計器付短管2の動作について説明する。ジェット装置6A、6Bはそれぞれの仕切弁6bを開くことで、それぞれの洗浄ノズル6cから、高圧の洗浄水を第1水質計器4A、超音波発生装置5Aならびに超音波発生装置5Bに向けて噴射する。噴射された洗浄水は、第1水質計器4A、4Bならびに超音波発生装置5A、5Bに付着する汚泥等を概ね除去する。しかしながら、強固に付着した汚泥等に起因する微細な汚染物や汚染膜の除去は困難である。
【0023】
第1水質計器4Aの上流側に置かれた超音波発生装置5Aからは、下流側の第1水質計器4Aの直上近傍を超音波が伝播するように壁面と所定の角度をなして1〜100kHzの超音波が照射される。この照射される超音波振動は、第1水質計器4A直上を流れる洗浄水ないし処理水に多くのキャビティ−を発生させ、その多くのキャビティ−消失に伴うキャビテ−ションによる高い粒子除去能力や汚染膜に対する剥離能力が、特に第1水質計器4Aの直上において高まる。これにより、第1水質計器4Aに付着する微細な汚染物や汚染膜の除去効果が高まる。
【0024】
第1水質計器4Aと対面対向する位置に第2水質計器4Bが取付けられている。そのため、第1水質計器4Aと対面位置に超音波発生装置5Bを配置せず、ずらして配置している。第1水質計器4Aと斜め対面位置に配置された超音波発生装置5Bからは、50〜1000kHzの超音波が第1水質計器4Aに向け、壁面と所定の角度をなして、狙い撃ち的にほぼ第1水質計器4Aの直上に向け照射され、効率よくより小さな微粒子の除去能力が高くなる。また、超音波発生装置5Aと異なる周波数の超音波が、超音波発生装置5Bから第1水質計器4Aに直接照射されているため、第1水質計器4A周辺でのキャビティ−の消失が進みやすく、その相乗効果によって、極めて高い汚染物や汚染膜の除去効果が得られる。なお、超音波発生装置5Bの超音波振動を放出する伝播部5bの液面側の表面形状としては、狙い撃ちに有効な(超音波の指向性を高めるのに効果的な)凹面形状が好適である。
【0025】
あわせて、第2水質計器4Bに対しても、第1水質計器4Bの直上を流れる洗浄水ないし処理水に多くのキャビティ−を発生させ、その多くのキャビティ−消失に伴うキャビテ−ションによる高い粒子除去能力や汚染膜に対する剥離能力が、第2水質計器4Bの直上において高まる。
【0026】
上記実施の形態2においては、超音波発生装置5A、5Bから高圧で噴射される洗浄水ないし、その洗浄水と混じった処理水中に向けて超音波が照射される場合について説明したが、必ずしも洗浄水が含まれる必要性はなく、流速を有した処理水に向けて超音波が照射される場合についても汚染物や汚染膜の除去効果が得られる。また、短管2aの壁面と所定の角度をなした方向に超音波発生装置5A、5Bの超音波が照射されるように取付けたため、例え処理水に流速がなかったり、さらに、上記実施の形態2の処理水の流れと逆方向の、言い換えると下流側から上流側に向かった流れがあったりしても、直接、第1水質計器4Aの直上の処理水にキャビティ−を発生させ、その周辺に限定してキャビティ−の消失を促進させることができるため、高い粒子除去能力や汚染膜に対する剥離能力を確保できるという、格別の効果を奏する。従って、上記のような計器付短管を採用した水処理システムは、高精度に処理水のもつ物理量を検知でき、検知した物理量から処理水の水処理に必要な制御を最適に実施できるようになる。
【0027】
実施の形態3.
実施の形態3は、上記実施の形態1または2の計器付短管を用いて、ジェット装置から噴射する高圧の洗浄水の供給と、超音波発生装置から照射する超音波を交互に実施する水処理システムに関する。
【0028】
図4はこの発明の実施の形態3のジェット装置の高圧水噴射ならびに超音波発生装置の超音波照射のタイミングチャ−トである。以下、図面に基づいて本発明の実施の形態3について詳細に説明する。
【0029】
図4(A)の横軸は時間軸であって、縦軸はジェット装置6A、6Bの仕切弁6bの開閉のタイミングを示す。図4(B)の横軸も図4(A)と同じ時間軸であって、超音波発生装置5A、5Bの電源投入のON、OFFのタイミングを示す。なお、これらのタイミングはジェット装置6ないし超音波発生装置5を制御する図示しない時限タイマによって実施される。
【0030】
第1水質計器4Aないし第2水質計器4Bの洗浄は、まず、ジェット装置6A、6Bの仕切弁6bを共に開にして、高圧の洗浄水を予め時限タイマ−に設定された所定の時間流し、その後、仕切弁6bを共に閉にする。次に、超音波発生装置5A、5Bの電源投入を共にONにして、超音波を予め時限タイマに設定された所定の時間通電し、その後、電源投入を共にOFFにする。必要に応じて、仕切弁6bの開閉、ならびに電源投入のON、OFFを繰り返すことで、第1水質計器4Aないし第2水質計器4Bの洗浄を完了する。
【0031】
上記のように、高圧の洗浄水と超音波を別々のタイミングで照射することで、多く堆積する汚泥物に対し高圧の洗浄水を、強固に付着する汚染膜に対し超音波を、と選択的に加えることができるようになり、その除去効率を選択的に改善できるようになる。また、第1水質計器4Aないし第2水質計器4Bが汚れを評価できる装置である場合、その汚れ状態の判断をした上で、ジェット装置ないし超音波発生装置を制御する図示しない時限タイマそのものの所定の時間を、汚れの状況にあわせて適宜再設定することも可能になるため、高い粒子除去能力や汚染膜に対する剥離能力をより確保しやすくなる、という格別の効果を奏する。従って、上記のような計器付短管2を採用した水処理システムは、高精度に処理水のもつ物理量を検知でき、検知した物理量から処理水の水処理に必要な制御を最適に実施できるようになる。
【0032】
実施の形態4.
実施の形態4は、上記実施の形態1または2の計器付短管を用いて、超音波発生装置5A、5Bから照射する超音波の周波数を変化して実施する水処理システムに関する。
【0033】
図5はこの発明の実施の形態4の超音波発生装置5が照射する超音波の周波数変化を示すタイミングチャ−トである。以下、図面に基づいて本発明の実施の形態4について詳細に説明する。
【0034】
図5の横軸は時間軸であって、縦軸は超音波発生装置5Aまたは5Bから照射される超音波の周波数軸である。なお、これらの周波数変化は超音波発生装置5に備えられる超音波発信装置11を制御する図示しない周波数制御装置によって実施される。なお、周波数変化は図5に示す鋸刃状の周期的な変化だけではなく、ランダムな変化であっても良い。また、超音波発生装置5Aまたは5Bで、異なる周波数変化であってもよい。
【0035】
時間推移に伴って超音波発生装置5Aから照射する超音波の周波数を変化させることで、洗浄水ないし処理水中に発生させるキャビティ−の大きさを種々変化させることができる。そのため、大きさの異なるキャビティ−消失に伴うキャビテ−ションによる粒子除去能力や汚染膜に対する剥離能力も大幅に変化させることができ、その結果、より広範囲な大きさを持つ汚染粒子や、厚みを持つ汚染膜に対しても高い除去効果を確保できるという、格別の効果も奏するようになる。また、超音波発生装置5Bから照射する超音波の周波数も変化させることで、超音波発生装置5Aと超音波発生装置5Bの共鳴現象が生まれ、ラジカル発生に伴うなどの相乗効果による洗浄能力の向上が生まれるという、格別の効果を奏するようになる。従って、上記のような計器付短管2を採用した水処理システムは、高精度に処理水のもつ物理量を検知でき、検知した物理量から処理水の水処理に必要な制御を最適に実施できるようになる。
【0036】
上記実施の形態1ないし4の計器付短管やそれらを用いた水処理システムは、主に下水処理等の汚泥濃度等を対象として説明したが、原子力発電プラントや火力発電プラント等で課題となる不純物起因で生成したスケ−ルの除去(洗浄)にも、上記の超音波照射と高圧の洗浄水を用いた洗浄が有効である。すなわち、本発明の計器付短管は優れた洗浄能力を有するため、これを備えたあらゆる水処理システムは、これに流れる処理水中の物理量を高精度で検知でき、優れた水処理を実施できるという、格別の効果を有する。
【符号の説明】
【0037】
1 配管、
2 計器付短管、 2a 短管、
4 水質計器、
5A 第1超音波発生装置、 5B 第2超音波発生装置、
6c 洗浄ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水を流す配管に取付けられ、前記処理水を短管に流し、この流された処理水中の物理量を検知する水質計器と、この水質計器を洗浄する手段が前記短管に備えられた計器付短管において、
前記水質計器を洗浄する手段が、高圧水を噴射する洗浄ノズルと超音波振動を発生する超音波発生装置とである計器付短管。
【請求項2】
請求項1に記載の計器付短管であって、
短管の壁面に対して所定の角度で処理水に超音波を照射する第1超音波発生装置が、短管の水質計器に向けて高圧水を噴射する洗浄ノズルの配置位置と前記水質計器の配置位置との間に配置されていることを特徴とする計器付短管。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の計器付短管であって、
短管の壁面に対して所定の角度で水質計器上の処理水に超音波を照射する第1の超音波発生装置が、短管の水質計器に向けて高圧水を噴射する洗浄ノズルの配置位置と前記水質計器の配置位置との間に配置され、
前記第1超音波発生装置と対向する短管の壁面に対して所定の角度で水質計器上の処理水に超音波を照射する第2超音波発生装置が配置されていることを特徴とする計器付短管。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れかに記載の計器付短管であって、
処理水に向けて、洗浄ノズルからの高圧水の噴射と超音波発生装置からの超音波の照射を交互に実施する時限タイマを備えたことを特徴とする計器付短管。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れかに記載の計器付短管であって、
処理水に向けて、超音波発生装置の超音波の波長を変化させながら照射する周波数制御装置を備えたことを特徴とする計器付短管。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5の何れかに記載の計器付短管を備えた水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−237298(P2011−237298A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109344(P2010−109344)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)