説明

計量容器

【課題】2成分混合物の第2の成分の体積を、第1成分の所与の体積および混合物の各成分の所与の比にもとづいて計量するための計量容器が記載される。
【解決手段】この容器は、透明な材料で構成されたハウジングを有し、ハウジングの外側には測定目盛りが付けられている。第1の目盛りは第1の成分の体積目盛りであり、第2の目盛りは比目盛りである。比目盛りには、成分の体積の比に対応して印が付されている。一方の目盛りは、ハウジングの外側に記されて固定され、他方の目盛りは、固定された目盛りに沿って移動可能である。カーソルが、片持ち梁式に可動式の目盛りに取り付けられている。カーソルは、板または棒の形態でハウジングの側面に沿って配置され、ハウジングの側面には第2の成分の計量用曲線が記されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体および粒状物質の体積測定または計量の分野に関し、特に計量容器に関する。
【背景技術】
【0002】
メス・シリンダ、容量フラスコ、目盛り付きビーカーなどの種々の容器が一般的に知られている。これらはすべて、ガラスやプラスチックといった透明な材料で作られている。容器の側面に、目盛りが付されており、その水平方向の印が、液体または乾燥した粒状物質の所与の体積に対応している。
【0003】
ロシア連邦規格1770−74に対応した油製品用測定シリンダが、原型として選択されている(さらなる情報については、www.sama.ruを参照)。この計量容器は、透明なガラスで作られ、円筒形の形状を有し、その表面には垂直方向の測定目盛りを形成する水平な印および数字が付され、液体のどの体積が所与の印に対応するのかを示している。この計量容器によって、必要な量の液体を計量することが可能である。
【0004】
しかしながら、液体を特定の割合にて混合する必要がある場合がある。そのような場合とは、例えば、内燃機関において使用される、ガソリンと潤滑油との可燃混合物を製造する場合である。このとき、さまざまなエンジンのためにさまざまな割合の混合物を製造する必要がある。そのような混合物の製造には、第1の成分を測り取り、第2の成分の量を正確に計算し、第2の成分を測り取る必要がある。このような方法において、通常の計量容器の使用は、2種類の成分の混合物を製造しにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、例えば液体などである2成分混合物を作る際に、2種類の成分の計量調合を簡単にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、透明な材料で作られ、側面に目盛りが付けられている容器によって解決される。本発明の新規な点は、第1の目盛りが第1の成分の体積を示す目盛りであり、第2の目盛りが比目盛りであって、2成分混合物の成分の比に対応する印を有していることである。上記目盛りのうちの一方である第1の目盛りは、容器そのものの本体に付けられて固定され、他方の第2の目盛りは移動可能であり、固定されている方の目盛りに沿って動かすことができる。移動可能である第2の目盛りには、板または棒の形態であるカーソルが、片持ち梁式に取り付けられており、第2の成分の計量用曲線が記された当該容器の外面に沿って方向付けられている。目盛りは両方とも対数である。
【0007】
容器の外壁であるハウジングは、側面が回転体の形態である円筒として形成されるのが好ましい。第1の成分の体積の目盛りは、ハウジングの表面に描かれて、ハウジングの垂直軸に直交する面上に沿って方向付けられることができる。このとき、比目盛りは、第1の成分の体積の目盛りに沿って動かすことができるようになっており、ハウジングに移動可能に取り付けられたリングに記すことができる。
【0008】
ハウジングの垂直軸に直交する面において、ハウジングの外面に基準目盛りを記すことが可能である。この場合、第1の成分の体積の目盛りは、比目盛りに沿って動かすことができるようになっており、ハウジングに対して移動可能に取り付けられたリングに記される。
【0009】
ハウジングに対して、内側の断面が変化し、下部が底部に近づくにつれて小さくなる形態を与えることが好ましい。
【0010】
第2の成分の計量用曲線は、第2の成分の体積に対応する表示を有することができる。
【0011】
グラスなどのハウジングの上部には、追加の目盛りを記すことができ、この目盛りは上記計量用曲線によって決定可能な第2の成分の体積に対応する表示を備える。
【0012】
本発明のさらに詳細な説明が、以下に提示され、以下の図面によって説明される実施例で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】水平方向に引かれた目盛りを備えている平行六面体の形態の容器の正面図である。
【図2】垂直方向に引かれた目盛りを備えている容器の正面図である。
【図3】円形の目盛りを備える容器の正面図である。
【図4】円筒形のグラスの形態である容器の全体図である。
【図5】第2の成分の量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の容器は、第1の成分の所与量および混合物の成分の所与比にもとづいて、2成分混合物の第2の成分の体積を決定するために使用することが可能である。
【0015】
図1に注目すると、容器は、ガラスまたはプラスチックといった透明な材料で作られたハウジング1を有している。ハウジングは、直立した平行六面体などの、任意の許容可能な形態を有することができる。好ましいハウジングの形態は、グラスの形態であり、その外面は、例えば円錐などの回転体の形状である。円筒形のグラス、または円筒形に近いグラスの形態が、最も好ましい。
【0016】
ハウジングの外面には、第1の成分の体積、例えばガソリンの体積の算定用の測定目盛り2が付されている。具体的には、この体積の目盛り(リットル、小数リットル)に対して、第2の成分の体積、たとえば潤滑油の体積が決定される。この目盛りは印または線の形態にすることができ、このような印または線の隣には、第1の成分の体積に対応する数値が描かれている。ハウジング1が平行六面体の形態である場合(図1)、第1の成分の体積目盛り2は、水平方向に向けることができ、例えばハウジングの上縁に沿わせることができる。他方の目盛り3は比目盛りであり、目盛り3上には、2成分混合物の各成分の体積に対応し、例えば1:20、1:30、…、1:100といった表示、すなわち第1の成分に対する第2の成分の割合が描かれている。目盛り3上の表示の数は、必要最小限に減らすことができる。これについて考えられる一実施形態としては、線または印の隣に、数値ではなく、2成分混合物の各成分の比についての凡例(使用符号の説明)指標が描かれる場合が挙げられる。目盛り3は、表示を有する円板であり、目盛り2に沿って移動可能で、ハウジングに取り付けられている。このため、ハウジングの外表面に案内用の突起を設けるとともに、対応する溝を可動式の目盛りに設けることができ、あるいは逆に、案内用の溝をハウジングに設け、突起を目盛りに設けることができる。
【0017】
同様に、目盛りを逆に配置することも可能であり、第1の成分の体積目盛りを可動式とし、比目盛りがハウジングの外面に記されることも可能である。
【0018】
第2の成分の量を表示するためのカーソル4は、片持ち梁式に可動式の目盛りに取り付けられ、この目盛りに対して直角に配置される。カーソル4は、透明な材料から作られ、長手方向に向かって長く延びた板であってよいし、また、ハウジングの外表面に沿って設けられた棒または筒であってもよい。カーソルは、目盛り上の目印であるマーカとして機能できる。
【0019】
ハウジングの外面には、第2の成分の計量用曲線5が記されている。曲線5は、弧状であって、極値および屈曲点を持たずに左から右へと単調に上昇している。曲線5は、計算または実験によって決定することができる。その形態は、ハウジングの形状およびサイズによって決まる。目盛りが水平配置である場合、カーソル4を垂直方向に向けることが好ましい。目盛りが上辺に沿って配置される場合には、カーソルは下向きに向けられ、目盛りが下辺に沿って配置される場合には、カーソルは上向きに向けられる。カーソルの長さは、曲線5の両端部に届く程度の長さである。
【0020】
目盛りを垂直方向に設けてもよい(図2)。この場合、目盛りのうちの一方、例えば目盛り6が、第1の成分の体積を示す目盛りであり、目盛り7が、比目盛りである。目盛りのうちの一方が、他方の目盛りに対して可動式に取り付けられており、一方が他方に沿って移動可能である。このような目盛りの向きの場合、第2の成分の計量用曲線8は、上述の計量用曲線と同様の構成を有し、カーソル9が、水平方向に設けられている。
【0021】
平坦な領域を有するハウジングの場合には、目盛りを同心の円形状に製作することが可能である(図3)。この場合、目盛りのうちの一方、例えば目盛り11は、第1の成分の体積を示す目盛りであり、他方の目盛り、すなわち目盛り10が、比目盛りである。目盛りのうちの一方、すなわち内側または外側の目盛りは、ハウジングに取り付けられた円板またはリングに記載され、軸を中心にして回転可能であり、他方の目盛りは、ハウジングに直接記載されている。目盛りは、完全な円である必要はなく、扇形であってよい。カーソル12は、可動式の目盛り上に放射状に配置されており、第2の成分の計量用曲線13の方に向けられている。
【0022】
上述の目盛りはすべて対数である。
【0023】
ハウジングについて最も好ましい形態は、円筒形のグラスであり(図4)、あるいは円筒形に近いグラスの形態である。目盛りは、ハウジングの下部、上部、中間または中央部分に配置することができる。
【0024】
目盛りがハウジングの上部に配置される場合、そのうちの1つ、例えば目盛り14が、第1の成分の体積を示す目盛りであり、上部に沿って記されている。比目盛りである第2の目盛り15は、リング上に記されて、ハウジングの上縁に取り付けられている。このリングは、目盛り14に沿って移動可能である。反対の配置も可能であり、比目盛りをハウジングの縁に沿ってハウジングに直接記すことができ、第1の成分の体積を示す目盛りを可動式のリング上に記すことができる。図4の例では、カーソルとなるバイザー16が可動式のリングに取り付けられて、下向きに方向付けられている。
【0025】
容器の内部空間が一定の縦断面を有する場合、第2の成分の計量用曲線は、曲線の下方部分での傾きがわずかであり、水平軸に漸近的に近づくため、精度が低下して、小さな体積の測定を不利にしている(図5)。この欠点は、容器の下方の内部空間の形状を変更することによって克服することが可能である。曲線17の下部の傾きを増やすため、内部空間が下方に向かって先細りとなる。このとき、外側は円筒形のままでもよいし、底部に向かって同様に先細りであってもよい。下方に向かって先細りである容器の計量用曲線が、破線18で示されている。同様の結果が、容器の下部の形態を変化させるインサートを用いることによって、達成することができる。第2の成分の計量用曲線は、第2の成分の実際の体積に対応する表示を有してもよい。第2の成分の実際の体積は、第2の成分の体積の値が第2の成分の計量用曲線から投影される追加の目盛り19、20、21を使用して割り出すことができる。曲線17は目盛り19に対応し、曲線18は目盛り20に対応し、目盛り21は曲線17および18の双方に対応している。
【0026】
これらの目盛りを使用して、反対の測定を行なうことが可能である。すなわち既知である第2の成分の体積および成分の比に基づいて、第1の成分の体積を計算することが可能であり、さらには既知である第1および第2の成分の体積に基づいて、各成分の比を計算することが可能である。
【0027】
計量容器は、以下の方法で使用される。まず、2成分混合物の第1の成分の所望の体積が、第1の成分の目盛りに従って選択される。次に、成分の比を決定する第2の目盛りの印を、前記選択した値に対して合わせる。この目盛り合わせを行うために、どちらの目盛りが可動式であるかに応じて、可動式の目盛りが固定の目盛りに対して動かされる。さらに、カーソルと第2の成分の計量用曲線との交点まで容器を満たすことによって、第2の成分の量が計量される。第2の成分の計量用曲線が、第2の成分の実際の体積に対応する表示を有している場合には、必要であれば実際の体積がそれらの表示によって求められる。容器が追加の目盛り19を有している場合には、カーソルと第2の成分の計量用曲線との交点が、この軸へと投影され、第2の成分の実際の体積が求められる。
【0028】
すなわち、本発明では、所与の成分比における第1の成分の所与の体積に対して、2成分混合物の第2の成分の量を測定するために、比率合わせや計算に煩わされる必要がない。本発明は、液体および粒状物質の体積を測定するために有用である。
【0029】
もちろん、従来どおりのやり方で物質を測定することができるよう、容器のハウジングの外側に通常の垂直方向の目盛りを記してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量容器であって、
2成分混合物における第2の成分の量に対応する計量用曲線が記された側面を有する透明なハウジングと、
第1の成分の量を示す第1の対数目盛りと、2成分混合物における第1の成分と第2の成分との比に対応する印を有している第2の対数比目盛りからなり、一方の目盛りが当該容器の前記側面に固定式に付けられ、他方の目盛りが前記固定された目盛りに沿って移動可能である2つの対数目盛りと、
前記他方の目盛りに片持ち梁式に取り付けられて前記曲線が記載された側面に沿って方向付けられたカーソルとを有する計量容器。
【請求項2】
請求項1において、前記ハウジングがグラスの形態であって、
前記側面が回転体の形態であり、
前記第1の対数目盛りが、前記側面に描かれて前記ハウジングの垂直軸に直交する面上で方向付けられ、
前記比目盛りが、前記第1の目盛りに沿って移動可能であり、
前記比目盛りが、前記ハウジングに移動可能に取り付けられたリングに記された計量容器。
【請求項3】
請求項1において、前記ハウジングがグラスの形態であって、
前記側面が回転体の形態であり、
前記比目盛りが、前記側面に描かれて前記ハウジングの垂直軸に直交する面上で方向付けられ、
前記第1の目盛りが、前記比目盛りに沿って移動可能であり、
前記第1の目盛りが、前記ハウジングに移動可能に取り付けられたリングに記された計量容器。
【請求項4】
請求項2において、前記ハウジングが、下方に向かって先細りとなる内側断面を有する計量容器。
【請求項5】
請求項3において、前記ハウジングが、下方に向かって先細りとなる内側断面を有する計量容器。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項において、前記第2の成分の量に対応する計量用曲線が、前記第2の成分の体積に対応する印を有している計量容器。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか一項において、前記側面が、前記計量用曲線によって決定される第2の成分の体積に対応する印を表示する追加の目盛りを有している計量容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−17725(P2011−17725A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230399(P2010−230399)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【分割の表示】特願2007−523165(P2007−523165)の分割
【原出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(507026970)
【氏名又は名称原語表記】RUBALSKY,Dmitrievich,Sergey
【出願人】(507026969)
【氏名又は名称原語表記】ALESHKIN,Vadimovich,Dmitry