記録システム
【課題】事故データの収集精度が向上する記録システムを提供する。
【解決手段】本発明の記録システムは、車両に搭載されると共に、少なくとも車両周辺の画像情報を記録するレコーダー装置700を複数含む記録システムであって、自車両の衝突可能性を算出する衝突可能性算出手段(ECU100)と、前記衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定する判定手段(ECU100)と、自車両から基準距離内に存在する他車両に搭載されるレコーダー装置700のID情報を取得するID情報取得手段(ECU100など)と、前記判定手段(ECU100)による判定結果に基づいて、前記ID情報取得手段(ECU100など)によって取得されたIDのレコーダー装置700に対して、記録保存要求を送信する通信部500と、を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明の記録システムは、車両に搭載されると共に、少なくとも車両周辺の画像情報を記録するレコーダー装置700を複数含む記録システムであって、自車両の衝突可能性を算出する衝突可能性算出手段(ECU100)と、前記衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定する判定手段(ECU100)と、自車両から基準距離内に存在する他車両に搭載されるレコーダー装置700のID情報を取得するID情報取得手段(ECU100など)と、前記判定手段(ECU100)による判定結果に基づいて、前記ID情報取得手段(ECU100など)によって取得されたIDのレコーダー装置700に対して、記録保存要求を送信する通信部500と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されると共に、少なくとも車両周辺の画像情報を記録することにより事故の様子を記録するドライブレコーダーなどの記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載したカメラなどの撮像装置により車両周辺の映像を撮影し、衝突や急ブレーキなど車両に衝撃が加わった際に周辺映像や車両速度を記録する車載用映像等記録装置、いわゆるドライブレコーダーが提案されている。ドライブレコーダーを車両に備えることにより、事故が発生した場合には記録した情報を解析することにより、事故原因を検証することが可能となっている。また、運転手の安全運転意識の向上が図れるとともに、日頃の運転状況を記録した映像を安全運転指導など役立てることができる。
上記のようなドライブレコーダーの一例として、特許文献1(特開2009−205227号公報)には、車両に装着されるドライブレコーダーであって、他の車両の事故発生通知メッセージを受信する通信手段と、自己の車両の外部を撮影し、撮影データとして出力する撮影手段と、メモリと、前記通信手段が前記事故発生通知メッセージを受信したとき、前記事故発生通知メッセージの受信時点を含む所定期間内に前記撮影手段から出力された撮影データを前記メモリに保存するための制御を行う制御手段とを具備することを特徴とするドライブレコーダーが開示されている。
【特許文献1】特開2006−199110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のドライブレコーダーにおいては、他の車両が事故を起こしてから発する事故発生通知メッセージを受信してから、この事故発生通知メッセージの受信時点を含む所定期間内に撮影手段から出力された撮影データをメモリに保存する制御を行うようになっているため、例えばドライブレコーダーが搭載されている車両が事故に巻き込まれてしまい、事故の衝突によってメッセージ受信用の通信部などが破損されると、データ保存のためのトリガーである事故発生通知メッセージを受信できなくなり、撮影データをメモリに保存することができなくなってしまう可能性があり問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載されると共に、少なくとも車両周辺の画像情報を記録するレコーダー装置を複数含み、前記周辺車両の位置情報を取得する記録システムであって、自車両から基準距離内に存在する他車両に搭載されるレコーダー装置のID情報を取得するID情報取得手段と、前記画像情報と前記ID情報から定まる周辺車両の前記位置情報に基づいて、自車両の衝突可能性を算出する衝突可能性算出手段と、前記衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に対して、記録保存要求を送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0005】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の記録システムにおいて、前記送信手段が、車車間通信によって、記録保存要求を前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に直接送信することを特徴とする。
【0006】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の記録システムにおいて、前記送信手段が、サーバー装置を介して、記録保存要求を前記ID情報取得手段によって取得されたI
Dのレコーダー装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る記録システムによれば、衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定し、この判定結果に基づいてレコーダー装置に対して記録保存要求を送信するので、通信手段などのハードウエアが事故の衝突によって破損される前に、データ保存のためのトリガーである記録保存要求を受信することが可能となり、従来より事故データの収集精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車載システムの概略を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車載システムのブロック構成の概略を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車車間通信ユニット510が送受信するパケットデータの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける処理のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおけるID情報取得処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける衝突可能性算出処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける保存要求パケットチェック処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図8】道路上の交通状況の一例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る記録システムにおけるデータ送受の一例及びデータ処理の一例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る記録システムにおける車両―センターサーバー間の送受信に用いられるパケットデータの一例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る記録システムにおける車両側搭載システムのフローチャートを示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る記録システムにおけるセンターサーバー側のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車載システムの概略を示す図であり、図2は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車載システムのブロック構成の概略を示す図である。図1及び図2において、10は車両、100はECU、120は計時部、200は走行情報取得部、210は車速センサ、220はステアリングセンサ、230はアクセル開度センサ、240はブレーキペダルセンサ、400は車両周辺情報取得部、420はステレオカメラユニット、430は集音ユニット、500は通信部、510は車車間通信ユニット、511は車両ID記憶部、512は通信管理バッファ、700はレコーダー装置、710は記憶部、720はレコーダー装置ID記憶部、800はナビゲーションシステム部、810はナビゲーションシステム、811は高精度GPS位置情報取得部、820はデータベースをそれぞれ示している。
【0010】
図1及び図2に示す車載システムは、1台の車両に搭載されるものを示しているが、本実施形態に係る車載システムは、複数台の車両に搭載された個々のものが協働することによって、その機能を発揮することができるようになるものである。したがって、以下の説
明においては、図1及び図2に示す車両10に搭載さている車載システムが、道路を走行する個々の車両に搭載されているような交通環境が想定されている。なお、本実施形態の記録システムは、原動機としてエンジンを搭載し、このエンジンの駆動力により走行を行う自動車、或いは、原動機としてモーターを搭載し、モーターの駆動力のみによる走行を行う電気自動車、或いは原動機として上記双方を搭載し、モーター及び/又はエンジンによる駆動に基づいて走行するハイブリッド車などの車両に搭載することが可能である。
【0011】
本実施形態に係る車載システムにおいて、ECU100はエレクトロニックコントロールユニットの略であり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。ECU100は、図示されているECU100と接続される各構成と協働・動作する。また、ECU100は、本発明の記録システムにおける種々の制御処理は、ECU100内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。なお、特許請求の範囲に記載された「算出手段」、「判定手段」などは、このECU100の動作を上位概念的に表現したものである。なお、本実施形態においては、上記の各手段はECU100とECU100上で実行されるプログラムによって実現されるものとしているが、これらの各手段はこれに限定されるものではなく、論理回路などのハードウエアのみで実現されるようなものであってもよい。
【0012】
ECU100さらには、計時部120を備えており、この計時部120によって、タイマーであり、時刻計測に利用される。この計時部120によって、計測された時刻データは、車両周辺情報取得部400で取得される画像データ及び音声データと共に、レコーダー装置700における記憶部710に記憶される。
【0013】
走行情報取得部200は、車両10の実走行に関連する情報、或いは運転捜査情報などを取得する構成であり、例えば、車速センサ210、ステアリングセンサ220、アクセル開度センサ230、ブレーキペダルセンサ240などを含むものである。
【0014】
走行情報取得部200における車速センサ210は、車両10の速度(自車両速度)のセンシング(計測)を行うようになっている。なお、車両の走行状況を取得するものとして、その他のセンサ類を設けるようにしてもよい。
【0015】
また、走行情報取得部200において、ステアリングセンサ220は、車両10のステアリングの操舵角度を検出するものであり、アクセル開度センサ230は運転者によるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するものであり、また、ブレーキペダルセンサ240は運転者によるブレーキペダルの踏み込み量を検出するものである。
【0016】
なお、走行情報取得部200で取得された全てのデータは、レコーダー装置700における記憶部710に記憶されるように構成することが好ましいが、記憶部710の記憶容量の関係などからそれ困難である場合には、少なくとも、車速センサ210から得られる車両の速度データは記憶部710に記憶させるように構成する。
【0017】
車両周辺情報取得部400は、車両10周辺の車外の情報などを取得する構成であり、本実施形態では、車両10前方側を撮像することが可能なステレオカメラユニット420、及び車両周辺の音を拾うことができる集音ユニット430が設けられている。なお、本実施形態においては、ステレオカメラユニット420は車両10前方のみを撮影するように設けられているが、カメラユニットをより多く搭載して、前方に加え車両10後方を撮影するように構成したり、或いは、車両10の四方に設け、車両10の水平方向の視界全体を網羅するように撮影するように構成したりしてもよい。ステレオカメラユニット420は、ステレオの動画像を撮影が可能なものであり、さらにステレオカメラユニット42
0で取得された撮影データに基づいて、ECU100が画像解析を行うことにより、撮影された物体とステレオカメラユニット420との間の距離とが算出できるようになっている。また、ステレオカメラユニット420で取得されたステレオの動画像データ及び集音ユニット430で集音された音声データは、この計時部120によって、計測された時刻データと共に、レコーダー装置700における記憶部710に記憶される。
【0018】
通信部500における車車間通信ユニット510は、無線パケット通信により比較的近傍に存在する車両間で通信を行うためのユニットである。車車間通信ユニット510には、通信を行う際に送信元を特定するために用いられる車両IDが記憶される車両ID記憶部511と、近傍に存在し、通信コネクションが確立されている車両から送信されたパケットデータを一時的にプールしておく通信管理バッファ512とが設けられている。車両ID記憶部511における車両IDには、それぞれの車両固有のものが記憶されている。
【0019】
図3は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車車間通信ユニット510が送受信するパケットデータの一例を示す図である。図3(A)は定期的な通信に用いられるパケットであり、図3(B)は記録システムが記録保存要求を送信する際に用いられるパケットである。
【0020】
定期通信用パケットには、例えば、「パケットナンバー」、「送信元車両ID情報」、「位置情報」、「速度情報」、「ベクトル情報」、「レコーダー装置ID情報」などの項目のデータが含まれる。
【0021】
定期通信用パケット中の「パケットナンバー」はパケットの連続性などを特定するために用いられるパケット特定用のデータであり、「送信元車両ID情報」は送信元の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「位置情報」は高精度GPS位置情報取得部811によって取得される車両位置に係る座標データであり、「速度情報」は車速センサ210によって取得される車両の走行スピードに関するデータであり、「ベクトル情報」はステアリングセンサ220やナビゲーションシステム部800で求められる車両の進行方向に関するデータであり、「レコーダー装置ID情報」は車両に搭載されているレコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720に記憶されているIDデータである。
【0022】
また、記録保存要求用パケットには、例えば、「パケットナンバー」、「送信元車両ID情報」、「送信先車両ID」、「保存要求レコーダー装置ID情報」などの項目のデータが含まれる。記録保存要求用パケット中の「パケットナンバー」はパケットの連続性などを特定するために用いられるパケット特定用のデータであり、「送信元車両ID情報」は送信元の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「送信先車両ID情報」は送信先の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「保存要求レコーダー装置ID情報」は、保存要求先のレコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720に記憶されているIDデータである。
【0023】
レコーダー装置700は、ECU100における計時部120によって取得される時刻データと、走行情報取得部200から得られる車両の走行状況、運転状況に関連するデータと、車両周辺情報取得部400のステレオカメラユニット420によって取得されるステレオ画像データと、集音ユニット430によって取得される音声データとを、時系列にレコーディングするための装置である。
【0024】
レコーダー装置700における記憶部710は、例えば、EEPROMやFlashMemoryなどの書き換え可能な不揮発性メモリから構成されるものであり、上記のよう
な各データを保存するものである。ただ、この記憶部710の容量は有限であるために、最新のデータを取得したら、最も古いデータについては破棄するようにして利用される。したがって、事故が発生した場合或いは、事故の発生が予想される場合には、記録保存要求命令を、レコーダー装置700に対して発して、所定期間のデータについては破棄を行わず保存するように制御させる。レコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720は、それぞれのレコーダー装置700の特定用のIDである。レコーダー装置700に蓄積される情報は、例えばパーソナルコンピュータなどでシミュレーション解析することによって、事故の状況、事故原因などを特定することが可能になり、事故検証のための有力な情報源となり得るものである。
【0025】
ナビゲーションシステム部800は、ナビゲーションシステム810やこのナビゲーションシステム810が参照する地図情報などのナビゲーションシステム用データベース820とからなっている。ナビゲーションシステム810は、GPS衛星からのGPS信号を受信して自らの位置座標データを計算する高精度GPS位置情報取得部811を用いることによって、車両の現在位置情報を取得することができる。本発明の記録システムにおいては、位置情報を取得するために、高精度なGPS測位を用いることが好ましい。また、本発明の記録システムにおいては、ナビゲーションシステム用データベース820には、道路情報、施設情報などが記憶されているが、道路情報には道路種別情報(一般道、高速道など)を設けておくことが好ましい。また、ナビゲーションシステム用データベース820の地図データには、スピードを出せるような郊外であるのか、或いはスピードが制限される都心であるかの別を示す領域分けデータが予め含まれていることが好ましい。このような道路種別情報や、領域分けデータに基づいて、後述する「基準距離」を適宜変更することで、記録保存要求を送信する相手先である他車両が含まれる範囲を、適宜変更することが可能となる。
【0026】
次に以上のように構成される本実施形態に係る記録システムの処理・動作についてフローチャートを用いて説明する。図4は本発明の第1実施形態に係る記録システムによる処理のフローチャートを示す図である。図4に示すフローチャートは、各車両に搭載される記録システムの個々の処理であり、それぞれの車両においてこのフローチャートに係る処理がなされるようになっている。
【0027】
図4において、車両10のエンジンやモーター(いずれも不図示)が起動されると、ステップS100で処理が開始され、続いてステップS101に進み、ECU100によって収集された各データによって、図3(A)に示すパケット定期通信用のパケットデータを生成し、通信部500から、生成された定期パケットを送信する処理を実行する。
【0028】
次のステップS102では、ID情報取得処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンについて別の図面を参照して説明する。図5は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおけるID情報取得処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0029】
図5において、ステップS200で、ID情報取得処理のサブルーチンが開始されると、次にステップS201に進み、ナビゲーションシステム部800における高精度GPS位置情報取得部811から自車両の位置情報を取得する。続くステップS202では、車車間通信ユニット510の通信管理バッファ512中に、現在通信コネクションが確立されている車両のパケットデータが存在するか否かが判定される。通信管理バッファ512がヌル状態で、ステップS202における判定がNOである場合には、ステップS208に進み、取得ID情報はなしとして、ステップS209に進み、元のルーチンにリターンする。
【0030】
一方、通信管理バッファ512中に通信コネクションが確立されている車両のパケット
データが存在する場合には、判定がYESとなりステップS203に進み、通信管理バッファ512から車両1台分の最新パケットデータを取得する。ステップS204では、自車両の位置情報と、ステップS203で取得したパケットデータから得られる他の車両の位置情報とから、車両間の離間距離を算出する。
【0031】
ステップS205では、(基準距離)≧(離間距離)を満たすか否かが判定される。ここで、基準距離とは所定の距離である。車両Aと車両Bが基準距離以内である場合、車両Aが事故を起こしたような場合、車両Bのレコーダー装置700がこの事故を記録する可能性がある程度大きい、ように基準距離が設定されている。なお、この基準距離は車両が走行する道路種別情報(一般道、高速道など)或いは、スピードを出せるような郊外であるのか、或いはスピードが制限される都心であるかの別を示す領域分けデータによって、適宜変更するように設定可能である。基準距離を走行道路や走行環境に応じて、変更することにより、より適切な他車両に記録保存要求を送信することが可能となる。また、送信されたパケットの中から取得したID情報及び位置情報により周辺車両を取捨選択することができるので、後述する衝突可能性算出処理をこれらの情報で必要と考えられる周辺車両に対して行うことが出来るようになる。
【0032】
ステップS205における判定がYESである場合には、ステップS206に進み、当該車両のレコーダー装置700のID情報を取得する。一方、ステップS205における判定がNOである場合には、ステップS206をスキップする。
【0033】
ステップS207では、現在通信コネクションが確立されている全ての車両のIDについて処理したか否かが判定される。この判定がNOであるときにはステップS203に戻り、次の異なる車両IDについて処理し、判定がYESであるときには、ステップS209に進み、元のルーチンにリターンする。
【0034】
さて、図4のメインルーチンに戻り、ステップS103では、衝突可能性算出処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンについて別の図面を参照して説明する。図6は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける衝突可能性算出処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0035】
図6において、ステップS300で、衝突可能性算出処理のサブルーチンがスタートすると、続いて、ステップS301においては、走行情報取得部200における車速センサ210、ステアリングセンサ220、アクセル開度センサ230、及び、ブレーキペダルセンサ240から取得される各データから所定時間であるX秒後の自車両の位置が演算される。
【0036】
続く、ステップS302では、ステレオカメラユニット420、及び、車車間通信ユニット510から得られる他車両に係る情報からX秒後の他車両の位置を演算する。ここで、演算対象とする他車両は、ステレオカメラユニット420で認識される車両のうち、もっとも近接している車両に限定することによって、計算負荷を減らすことが可能である。
【0037】
次のステップS303では、(衝突可能性)=(自車両演算位置と他車両演算位置との間の距離の逆数)によって、「衝突可能性」なる指数を演算する。この衝突可能性なる指数は、値が大きくなればなるほど、衝突の可能性が大きくなるようになっている。ステップS304では、メインルーチンに戻る。
【0038】
さて、図4のメインルーチンに戻り、ステップS104では、保存要求パケットチェック処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンについて別の図面を参照して説明する。図7は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける保存要求パケットチェッ
ク処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0039】
図7において、ステップS400で、保存要求パケットチェック処理が開始されると、次のステップS401では、送信先IDとして自車両(のID)が指定されているパケット(図3(B)に示すもの)を受信したか否かが判定される。ステップS401における判定がYESであるときにはステップS402に進み、NOであるときにはステップS404に進みリターンする。
【0040】
ステップS402では、自車両が宛先であるパケット(図3(B)に示すもの)中に、自車両搭載のレコーダー装置700のIDに対する記録保存要求が存在するか否かが判定される。当該判定がYESであるときには、ステップS403に進み、レコーダー装置700で記録保存処理を行うようにし、NOであるときにはステップS404に進み、リターンする。
【0041】
さて、図4のメインルーチンに戻り、ステップS105では、衝突可能性が所定値以上であるか否かが判定される。ステップS105における判定がNOである場合には、ステップS107に進む。
【0042】
一方、ステップS105における判定がYESであるときには、自車両が他車両と衝突する可能性が大きいので、ステップS106に進み、ステップS102で取得されたIDの車両のレコーダー装置700に対して記録保存要求パケットを送信する。このときにECU100によって生成されるパケットは図3(B)に示すものであり、このパケットを通信部500から送信することにより基準距離内に存在する他車両のレコーダー装置700に対して記録保存要求を行う。
【0043】
ステップS107では、不図示のエンジンやモーターが停止されたか否かが判定される。この判定がNOであるときにはステップS101に戻る。一方判定が、YESであるときにはステップS108に進み処理を終了する。
【0044】
以上のような本実施形態に係る記録システムがどのように動作するかに係る具体例を説明する。図8に示すような交通状況において、車両1乃至車両5には本実施形態に係る記録システムが搭載されており、また、それぞれの車車間通信ユニット510によって、互いに車車間通信の通信コネクションが確立しているものとする。
【0045】
ここで、車両1と車両2との事故が予想されるような場合について説明する。このような場合、車両1に搭載された記録システムにおける衝突可能性が所定値以上となるので、車両1はその基準距離内に存在する車両2、車両3、車両4のレコーダー装置700に対して記録保存要求を送信することとなり、これらの車両のレコーダー装置700において所定時間以前からのデータが保存されるように処理される。
【0046】
また、車両2に搭載された記録システムにおいても衝突可能性が所定値以上となるので、車両2はその基準距離内に存在する車両1、車両3、車両5のレコーダー装置700に対して記録保存要求を送信することとなり、これらの車両のレコーダー装置700において所定時間以前からのデータが保存されるように処理される。
【0047】
以上のように、本発明の実施形態に係る記録システムでは、衝突可能性が算出され、この衝突可能性が所定値以上であるかを判定し、この判定結果に基づいて、他の車両のレコーダー装置700に対して記録保存要求を送信するので、通信部500などのハードウエアが事故の衝突によって破損される前に、データ保存のためのトリガーである記録保存要求を受信することが可能となり、従来より事故データの収集精度が向上する。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の第2実施形態においては、通信部500として、車車間通信方式のものが用いられ、車両同士で通信を行うことを通じてレコーダー装置700に対して記録保存要求を行うように構成されていたが、本第2実施形態においては、通信部500として、センターサーバーとの通信を行う方式のものが用いられ、各車両はセンターサーバーにそれぞれの車両データを定期通信パケットにより送信し、センターサーバー側でこれを受信し、これに基づき衝突可能性を算出し、必要に応じて各車両(のレコーダー装置700)に対して記録保存要求を送信する構成となっている。以下、先の実施形態と相違する点を中心に図面を参照して説明する。
【0049】
図9は第2実施形態に係る記録システムにおけるデータの送受例・処理例を車両、センターサーバーにつき示したものである。ここで、図9に示す車両1乃至車両5は図8に示すものと同一のものであり、図8と同様の状況下で通信例を示している。センターサーバーとは、各車両からの定期通信パケットデータを受信して各車両の状況を把握すると共に、必要時応じて、各車両に対して記録保存要求などのパケット通信データを送信するように構成されるものである。
【0050】
図9に示すように、平時においては、(0)車両1乃至車両5は定期通信パケットをセンターサーバーに送信するようにしている。ここで、センターサーバーが各車両から上げられるパケットデータから、例えば、(1)車両1と車両2との衝突可能性が所定値以上となることが判明したような場合、(2)車両1と車両2から基準距離内の車両を特定して、(3)特定された車両に対して、記録保存要求パケットを送信する。
【0051】
図10は本発明の第2実施形態に係る記録システムにおける車両―センターサーバー間の送受信に用いられるパケットデータの一例を示す図である。図10(A)は定期的な通信に用いられるパケットであり、図10(B)は記録システムが記録保存要求を送信する際に用いられるパケットである。
【0052】
定期通信用パケットには、例えば、「パケットナンバー」、「送信元車両ID情報」、「位置情報」、「速度情報」、「ベクトル情報」、「撮影情報」、「レコーダー装置ID情報」などの項目のデータが含まれる。
【0053】
定期通信用パケット中の「パケットナンバー」はパケットの連続性などを特定するために用いられるパケット特定用のデータであり、「送信元車両ID情報」は送信元の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「位置情報」は高精度GPS位置情報取得部811によって取得される車両位置に係る座標データであり、「速度情報」は車速センサ210によって取得される車両の走行スピードに関するデータであり、「ベクトル情報」はステアリングセンサ220やナビゲーションシステム部800で求められる車両の進行方向に関するデータであり、「撮影情報」はステレオカメラユニット420によって取得されたステレオカメラ画像データであり、「レコーダー装置ID情報」は車両に搭載されているレコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720に記憶されているIDデータである。
【0054】
また、記録保存要求用パケットには、例えば、「パケットナンバー」、「送信先車両ID」、「保存要求レコーダー装置ID情報」などの項目のデータが含まれる。記録保存要求用パケット中の「パケットナンバー」はパケットの連続性などを特定するために用いられるパケット特定用のデータであり、「送信先車両ID情報」は送信先の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「保存要求レコーダー装置ID情報」は、保存要求先のレコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720に記憶されているIDデータである。
【0055】
次に、第2実施形態における記録システムにおける車両側の動作・処理と、センターサーバー側の動作・処理についてそれぞれ説明する。図11は本発明の第2実施形態に係る記録システムにおける車両側搭載システムのフローチャートを示す図である。
【0056】
図11において、車両10のエンジンやモーター(いずれも不図示)が起動されると、ステップS500で処理が開始され、続いてステップS501に進み、ECU100によって収集された各データによって、図3(A)に示すパケット定期通信用のパケットデータを生成し、通信部500から、生成された定期パケットを送信する処理を実行する。
【0057】
次のステップS502では、保存要求パケットチェック処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンについては図7で説明したものを用いることができるので詳細の説明については省略する。
【0058】
ステップS503では、不図示のエンジンやモーターが停止されたか否かが判定される。この判定がNOであるときにはステップS501に戻る。一方判定が、YESであるときにはステップS504に進み処理を終了する。
【0059】
次に、第2実施形態における記録システムにおけるセンターサーバー側の動作・処理についてそれぞれ説明する。図12は本発明の第2実施形態に係る記録システムにおけるセンターサーバー側のフローチャートを示す図である。
【0060】
図12において、ステップS600でセンターサーバー側の処理が開始されると、次にステップS601に進み、各車両の通信部500から送信されてくるパケットデータの受信処理が実行される。続いてステップS602では、衝突可能性算出処理のサブルーチンが実行される。この衝突可能性算出処理のサブルーチンについては、図6で説明したものとほぼ同様のものを用い、それぞれの車両についての衝突可能性の演算を行うことができる。
【0061】
ステップS603では、衝突可能性が所定値以上であるか否かが判定される。ステップS603における判定がNOである場合には、ステップS606に進む。
【0062】
一方、ステップS603における判定がYESであるときには、ある車両A(例えば車両1)が別の車両B(例えば車両2)と衝突する可能性が大きいので、ステップS604に進み、それぞれの車両の基準距離内に存在する車両ID(及びレコーダー装置ID)を抽出する処理を実行し、ステップS605では、抽出されたIDの車両に対して、保存要求パケット(図10(B)に示すもの)の送信処理を実行する。
【0063】
ステップS606では、全ての車両IDについて処理を行ったか否かが判定され、この判定がNOであるときにはステップS601に戻りループを行い、YESであるときには再びステップS600に戻り一連の処理を再実行する。
【0064】
上記のような、本発明の第2実施形態に係る発明においても、先の実施形態と同様の効果を享受することが可能である。
【0065】
以上、本発明に係る記録システムによれば、衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定し、この判定結果に基づいてレコーダー装置に対して記録保存要求を送信するので、通信手段などのハードウエアが事故の衝突によって破損される前に、データ保存のためのトリガーである記録保存要求を受信することが可能となり、従来より事故データの収集精度が向上する。
【符号の説明】
【0066】
10・・・車両、100・・・ECU、120・・・計時部、200・・・走行情報取得部、210・・・車速センサ、220・・・ステアリングセンサ、230・・・アクセル開度センサ、240・・・ブレーキペダルセンサ、400・・・車両周辺情報取得部、420・・・ステレオカメラユニット、430・・・集音ユニット、500・・・通信部、510・・・車車間通信ユニット、511・・・車両ID記憶部、512・・・通信管理バッファ、700・・・レコーダー装置、710・・・記憶部、720・・・レコーダー装置ID記憶部、800・・・ナビゲーションシステム部、810・・・ナビゲーションシステム、811・・・高精度GPS位置情報取得部、820・・・データベース
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されると共に、少なくとも車両周辺の画像情報を記録することにより事故の様子を記録するドライブレコーダーなどの記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載したカメラなどの撮像装置により車両周辺の映像を撮影し、衝突や急ブレーキなど車両に衝撃が加わった際に周辺映像や車両速度を記録する車載用映像等記録装置、いわゆるドライブレコーダーが提案されている。ドライブレコーダーを車両に備えることにより、事故が発生した場合には記録した情報を解析することにより、事故原因を検証することが可能となっている。また、運転手の安全運転意識の向上が図れるとともに、日頃の運転状況を記録した映像を安全運転指導など役立てることができる。
上記のようなドライブレコーダーの一例として、特許文献1(特開2009−205227号公報)には、車両に装着されるドライブレコーダーであって、他の車両の事故発生通知メッセージを受信する通信手段と、自己の車両の外部を撮影し、撮影データとして出力する撮影手段と、メモリと、前記通信手段が前記事故発生通知メッセージを受信したとき、前記事故発生通知メッセージの受信時点を含む所定期間内に前記撮影手段から出力された撮影データを前記メモリに保存するための制御を行う制御手段とを具備することを特徴とするドライブレコーダーが開示されている。
【特許文献1】特開2006−199110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のドライブレコーダーにおいては、他の車両が事故を起こしてから発する事故発生通知メッセージを受信してから、この事故発生通知メッセージの受信時点を含む所定期間内に撮影手段から出力された撮影データをメモリに保存する制御を行うようになっているため、例えばドライブレコーダーが搭載されている車両が事故に巻き込まれてしまい、事故の衝突によってメッセージ受信用の通信部などが破損されると、データ保存のためのトリガーである事故発生通知メッセージを受信できなくなり、撮影データをメモリに保存することができなくなってしまう可能性があり問題であった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車両に搭載されると共に、少なくとも車両周辺の画像情報を記録するレコーダー装置を複数含み、前記周辺車両の位置情報を取得する記録システムであって、自車両から基準距離内に存在する他車両に搭載されるレコーダー装置のID情報を取得するID情報取得手段と、前記画像情報と前記ID情報から定まる周辺車両の前記位置情報に基づいて、自車両の衝突可能性を算出する衝突可能性算出手段と、前記衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に対して、記録保存要求を送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0005】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の記録システムにおいて、前記送信手段が、車車間通信によって、記録保存要求を前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に直接送信することを特徴とする。
【0006】
また、請求項3に係る発明は、請求項1に記載の記録システムにおいて、前記送信手段が、サーバー装置を介して、記録保存要求を前記ID情報取得手段によって取得されたI
Dのレコーダー装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る記録システムによれば、衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定し、この判定結果に基づいてレコーダー装置に対して記録保存要求を送信するので、通信手段などのハードウエアが事故の衝突によって破損される前に、データ保存のためのトリガーである記録保存要求を受信することが可能となり、従来より事故データの収集精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車載システムの概略を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車載システムのブロック構成の概略を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車車間通信ユニット510が送受信するパケットデータの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける処理のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおけるID情報取得処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける衝突可能性算出処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける保存要求パケットチェック処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【図8】道路上の交通状況の一例を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る記録システムにおけるデータ送受の一例及びデータ処理の一例を示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る記録システムにおける車両―センターサーバー間の送受信に用いられるパケットデータの一例を示す図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る記録システムにおける車両側搭載システムのフローチャートを示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る記録システムにおけるセンターサーバー側のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車載システムの概略を示す図であり、図2は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車載システムのブロック構成の概略を示す図である。図1及び図2において、10は車両、100はECU、120は計時部、200は走行情報取得部、210は車速センサ、220はステアリングセンサ、230はアクセル開度センサ、240はブレーキペダルセンサ、400は車両周辺情報取得部、420はステレオカメラユニット、430は集音ユニット、500は通信部、510は車車間通信ユニット、511は車両ID記憶部、512は通信管理バッファ、700はレコーダー装置、710は記憶部、720はレコーダー装置ID記憶部、800はナビゲーションシステム部、810はナビゲーションシステム、811は高精度GPS位置情報取得部、820はデータベースをそれぞれ示している。
【0010】
図1及び図2に示す車載システムは、1台の車両に搭載されるものを示しているが、本実施形態に係る車載システムは、複数台の車両に搭載された個々のものが協働することによって、その機能を発揮することができるようになるものである。したがって、以下の説
明においては、図1及び図2に示す車両10に搭載さている車載システムが、道路を走行する個々の車両に搭載されているような交通環境が想定されている。なお、本実施形態の記録システムは、原動機としてエンジンを搭載し、このエンジンの駆動力により走行を行う自動車、或いは、原動機としてモーターを搭載し、モーターの駆動力のみによる走行を行う電気自動車、或いは原動機として上記双方を搭載し、モーター及び/又はエンジンによる駆動に基づいて走行するハイブリッド車などの車両に搭載することが可能である。
【0011】
本実施形態に係る車載システムにおいて、ECU100はエレクトロニックコントロールユニットの略であり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。ECU100は、図示されているECU100と接続される各構成と協働・動作する。また、ECU100は、本発明の記録システムにおける種々の制御処理は、ECU100内のROMなどの記憶手段に記憶保持されるプログラムやデータに基づいて実行されるものである。なお、特許請求の範囲に記載された「算出手段」、「判定手段」などは、このECU100の動作を上位概念的に表現したものである。なお、本実施形態においては、上記の各手段はECU100とECU100上で実行されるプログラムによって実現されるものとしているが、これらの各手段はこれに限定されるものではなく、論理回路などのハードウエアのみで実現されるようなものであってもよい。
【0012】
ECU100さらには、計時部120を備えており、この計時部120によって、タイマーであり、時刻計測に利用される。この計時部120によって、計測された時刻データは、車両周辺情報取得部400で取得される画像データ及び音声データと共に、レコーダー装置700における記憶部710に記憶される。
【0013】
走行情報取得部200は、車両10の実走行に関連する情報、或いは運転捜査情報などを取得する構成であり、例えば、車速センサ210、ステアリングセンサ220、アクセル開度センサ230、ブレーキペダルセンサ240などを含むものである。
【0014】
走行情報取得部200における車速センサ210は、車両10の速度(自車両速度)のセンシング(計測)を行うようになっている。なお、車両の走行状況を取得するものとして、その他のセンサ類を設けるようにしてもよい。
【0015】
また、走行情報取得部200において、ステアリングセンサ220は、車両10のステアリングの操舵角度を検出するものであり、アクセル開度センサ230は運転者によるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するものであり、また、ブレーキペダルセンサ240は運転者によるブレーキペダルの踏み込み量を検出するものである。
【0016】
なお、走行情報取得部200で取得された全てのデータは、レコーダー装置700における記憶部710に記憶されるように構成することが好ましいが、記憶部710の記憶容量の関係などからそれ困難である場合には、少なくとも、車速センサ210から得られる車両の速度データは記憶部710に記憶させるように構成する。
【0017】
車両周辺情報取得部400は、車両10周辺の車外の情報などを取得する構成であり、本実施形態では、車両10前方側を撮像することが可能なステレオカメラユニット420、及び車両周辺の音を拾うことができる集音ユニット430が設けられている。なお、本実施形態においては、ステレオカメラユニット420は車両10前方のみを撮影するように設けられているが、カメラユニットをより多く搭載して、前方に加え車両10後方を撮影するように構成したり、或いは、車両10の四方に設け、車両10の水平方向の視界全体を網羅するように撮影するように構成したりしてもよい。ステレオカメラユニット420は、ステレオの動画像を撮影が可能なものであり、さらにステレオカメラユニット42
0で取得された撮影データに基づいて、ECU100が画像解析を行うことにより、撮影された物体とステレオカメラユニット420との間の距離とが算出できるようになっている。また、ステレオカメラユニット420で取得されたステレオの動画像データ及び集音ユニット430で集音された音声データは、この計時部120によって、計測された時刻データと共に、レコーダー装置700における記憶部710に記憶される。
【0018】
通信部500における車車間通信ユニット510は、無線パケット通信により比較的近傍に存在する車両間で通信を行うためのユニットである。車車間通信ユニット510には、通信を行う際に送信元を特定するために用いられる車両IDが記憶される車両ID記憶部511と、近傍に存在し、通信コネクションが確立されている車両から送信されたパケットデータを一時的にプールしておく通信管理バッファ512とが設けられている。車両ID記憶部511における車両IDには、それぞれの車両固有のものが記憶されている。
【0019】
図3は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける車車間通信ユニット510が送受信するパケットデータの一例を示す図である。図3(A)は定期的な通信に用いられるパケットであり、図3(B)は記録システムが記録保存要求を送信する際に用いられるパケットである。
【0020】
定期通信用パケットには、例えば、「パケットナンバー」、「送信元車両ID情報」、「位置情報」、「速度情報」、「ベクトル情報」、「レコーダー装置ID情報」などの項目のデータが含まれる。
【0021】
定期通信用パケット中の「パケットナンバー」はパケットの連続性などを特定するために用いられるパケット特定用のデータであり、「送信元車両ID情報」は送信元の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「位置情報」は高精度GPS位置情報取得部811によって取得される車両位置に係る座標データであり、「速度情報」は車速センサ210によって取得される車両の走行スピードに関するデータであり、「ベクトル情報」はステアリングセンサ220やナビゲーションシステム部800で求められる車両の進行方向に関するデータであり、「レコーダー装置ID情報」は車両に搭載されているレコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720に記憶されているIDデータである。
【0022】
また、記録保存要求用パケットには、例えば、「パケットナンバー」、「送信元車両ID情報」、「送信先車両ID」、「保存要求レコーダー装置ID情報」などの項目のデータが含まれる。記録保存要求用パケット中の「パケットナンバー」はパケットの連続性などを特定するために用いられるパケット特定用のデータであり、「送信元車両ID情報」は送信元の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「送信先車両ID情報」は送信先の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「保存要求レコーダー装置ID情報」は、保存要求先のレコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720に記憶されているIDデータである。
【0023】
レコーダー装置700は、ECU100における計時部120によって取得される時刻データと、走行情報取得部200から得られる車両の走行状況、運転状況に関連するデータと、車両周辺情報取得部400のステレオカメラユニット420によって取得されるステレオ画像データと、集音ユニット430によって取得される音声データとを、時系列にレコーディングするための装置である。
【0024】
レコーダー装置700における記憶部710は、例えば、EEPROMやFlashMemoryなどの書き換え可能な不揮発性メモリから構成されるものであり、上記のよう
な各データを保存するものである。ただ、この記憶部710の容量は有限であるために、最新のデータを取得したら、最も古いデータについては破棄するようにして利用される。したがって、事故が発生した場合或いは、事故の発生が予想される場合には、記録保存要求命令を、レコーダー装置700に対して発して、所定期間のデータについては破棄を行わず保存するように制御させる。レコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720は、それぞれのレコーダー装置700の特定用のIDである。レコーダー装置700に蓄積される情報は、例えばパーソナルコンピュータなどでシミュレーション解析することによって、事故の状況、事故原因などを特定することが可能になり、事故検証のための有力な情報源となり得るものである。
【0025】
ナビゲーションシステム部800は、ナビゲーションシステム810やこのナビゲーションシステム810が参照する地図情報などのナビゲーションシステム用データベース820とからなっている。ナビゲーションシステム810は、GPS衛星からのGPS信号を受信して自らの位置座標データを計算する高精度GPS位置情報取得部811を用いることによって、車両の現在位置情報を取得することができる。本発明の記録システムにおいては、位置情報を取得するために、高精度なGPS測位を用いることが好ましい。また、本発明の記録システムにおいては、ナビゲーションシステム用データベース820には、道路情報、施設情報などが記憶されているが、道路情報には道路種別情報(一般道、高速道など)を設けておくことが好ましい。また、ナビゲーションシステム用データベース820の地図データには、スピードを出せるような郊外であるのか、或いはスピードが制限される都心であるかの別を示す領域分けデータが予め含まれていることが好ましい。このような道路種別情報や、領域分けデータに基づいて、後述する「基準距離」を適宜変更することで、記録保存要求を送信する相手先である他車両が含まれる範囲を、適宜変更することが可能となる。
【0026】
次に以上のように構成される本実施形態に係る記録システムの処理・動作についてフローチャートを用いて説明する。図4は本発明の第1実施形態に係る記録システムによる処理のフローチャートを示す図である。図4に示すフローチャートは、各車両に搭載される記録システムの個々の処理であり、それぞれの車両においてこのフローチャートに係る処理がなされるようになっている。
【0027】
図4において、車両10のエンジンやモーター(いずれも不図示)が起動されると、ステップS100で処理が開始され、続いてステップS101に進み、ECU100によって収集された各データによって、図3(A)に示すパケット定期通信用のパケットデータを生成し、通信部500から、生成された定期パケットを送信する処理を実行する。
【0028】
次のステップS102では、ID情報取得処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンについて別の図面を参照して説明する。図5は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおけるID情報取得処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0029】
図5において、ステップS200で、ID情報取得処理のサブルーチンが開始されると、次にステップS201に進み、ナビゲーションシステム部800における高精度GPS位置情報取得部811から自車両の位置情報を取得する。続くステップS202では、車車間通信ユニット510の通信管理バッファ512中に、現在通信コネクションが確立されている車両のパケットデータが存在するか否かが判定される。通信管理バッファ512がヌル状態で、ステップS202における判定がNOである場合には、ステップS208に進み、取得ID情報はなしとして、ステップS209に進み、元のルーチンにリターンする。
【0030】
一方、通信管理バッファ512中に通信コネクションが確立されている車両のパケット
データが存在する場合には、判定がYESとなりステップS203に進み、通信管理バッファ512から車両1台分の最新パケットデータを取得する。ステップS204では、自車両の位置情報と、ステップS203で取得したパケットデータから得られる他の車両の位置情報とから、車両間の離間距離を算出する。
【0031】
ステップS205では、(基準距離)≧(離間距離)を満たすか否かが判定される。ここで、基準距離とは所定の距離である。車両Aと車両Bが基準距離以内である場合、車両Aが事故を起こしたような場合、車両Bのレコーダー装置700がこの事故を記録する可能性がある程度大きい、ように基準距離が設定されている。なお、この基準距離は車両が走行する道路種別情報(一般道、高速道など)或いは、スピードを出せるような郊外であるのか、或いはスピードが制限される都心であるかの別を示す領域分けデータによって、適宜変更するように設定可能である。基準距離を走行道路や走行環境に応じて、変更することにより、より適切な他車両に記録保存要求を送信することが可能となる。また、送信されたパケットの中から取得したID情報及び位置情報により周辺車両を取捨選択することができるので、後述する衝突可能性算出処理をこれらの情報で必要と考えられる周辺車両に対して行うことが出来るようになる。
【0032】
ステップS205における判定がYESである場合には、ステップS206に進み、当該車両のレコーダー装置700のID情報を取得する。一方、ステップS205における判定がNOである場合には、ステップS206をスキップする。
【0033】
ステップS207では、現在通信コネクションが確立されている全ての車両のIDについて処理したか否かが判定される。この判定がNOであるときにはステップS203に戻り、次の異なる車両IDについて処理し、判定がYESであるときには、ステップS209に進み、元のルーチンにリターンする。
【0034】
さて、図4のメインルーチンに戻り、ステップS103では、衝突可能性算出処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンについて別の図面を参照して説明する。図6は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける衝突可能性算出処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0035】
図6において、ステップS300で、衝突可能性算出処理のサブルーチンがスタートすると、続いて、ステップS301においては、走行情報取得部200における車速センサ210、ステアリングセンサ220、アクセル開度センサ230、及び、ブレーキペダルセンサ240から取得される各データから所定時間であるX秒後の自車両の位置が演算される。
【0036】
続く、ステップS302では、ステレオカメラユニット420、及び、車車間通信ユニット510から得られる他車両に係る情報からX秒後の他車両の位置を演算する。ここで、演算対象とする他車両は、ステレオカメラユニット420で認識される車両のうち、もっとも近接している車両に限定することによって、計算負荷を減らすことが可能である。
【0037】
次のステップS303では、(衝突可能性)=(自車両演算位置と他車両演算位置との間の距離の逆数)によって、「衝突可能性」なる指数を演算する。この衝突可能性なる指数は、値が大きくなればなるほど、衝突の可能性が大きくなるようになっている。ステップS304では、メインルーチンに戻る。
【0038】
さて、図4のメインルーチンに戻り、ステップS104では、保存要求パケットチェック処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンについて別の図面を参照して説明する。図7は本発明の第1実施形態に係る記録システムにおける保存要求パケットチェッ
ク処理のサブルーチンのフローチャートを示す図である。
【0039】
図7において、ステップS400で、保存要求パケットチェック処理が開始されると、次のステップS401では、送信先IDとして自車両(のID)が指定されているパケット(図3(B)に示すもの)を受信したか否かが判定される。ステップS401における判定がYESであるときにはステップS402に進み、NOであるときにはステップS404に進みリターンする。
【0040】
ステップS402では、自車両が宛先であるパケット(図3(B)に示すもの)中に、自車両搭載のレコーダー装置700のIDに対する記録保存要求が存在するか否かが判定される。当該判定がYESであるときには、ステップS403に進み、レコーダー装置700で記録保存処理を行うようにし、NOであるときにはステップS404に進み、リターンする。
【0041】
さて、図4のメインルーチンに戻り、ステップS105では、衝突可能性が所定値以上であるか否かが判定される。ステップS105における判定がNOである場合には、ステップS107に進む。
【0042】
一方、ステップS105における判定がYESであるときには、自車両が他車両と衝突する可能性が大きいので、ステップS106に進み、ステップS102で取得されたIDの車両のレコーダー装置700に対して記録保存要求パケットを送信する。このときにECU100によって生成されるパケットは図3(B)に示すものであり、このパケットを通信部500から送信することにより基準距離内に存在する他車両のレコーダー装置700に対して記録保存要求を行う。
【0043】
ステップS107では、不図示のエンジンやモーターが停止されたか否かが判定される。この判定がNOであるときにはステップS101に戻る。一方判定が、YESであるときにはステップS108に進み処理を終了する。
【0044】
以上のような本実施形態に係る記録システムがどのように動作するかに係る具体例を説明する。図8に示すような交通状況において、車両1乃至車両5には本実施形態に係る記録システムが搭載されており、また、それぞれの車車間通信ユニット510によって、互いに車車間通信の通信コネクションが確立しているものとする。
【0045】
ここで、車両1と車両2との事故が予想されるような場合について説明する。このような場合、車両1に搭載された記録システムにおける衝突可能性が所定値以上となるので、車両1はその基準距離内に存在する車両2、車両3、車両4のレコーダー装置700に対して記録保存要求を送信することとなり、これらの車両のレコーダー装置700において所定時間以前からのデータが保存されるように処理される。
【0046】
また、車両2に搭載された記録システムにおいても衝突可能性が所定値以上となるので、車両2はその基準距離内に存在する車両1、車両3、車両5のレコーダー装置700に対して記録保存要求を送信することとなり、これらの車両のレコーダー装置700において所定時間以前からのデータが保存されるように処理される。
【0047】
以上のように、本発明の実施形態に係る記録システムでは、衝突可能性が算出され、この衝突可能性が所定値以上であるかを判定し、この判定結果に基づいて、他の車両のレコーダー装置700に対して記録保存要求を送信するので、通信部500などのハードウエアが事故の衝突によって破損される前に、データ保存のためのトリガーである記録保存要求を受信することが可能となり、従来より事故データの収集精度が向上する。
【0048】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の第2実施形態においては、通信部500として、車車間通信方式のものが用いられ、車両同士で通信を行うことを通じてレコーダー装置700に対して記録保存要求を行うように構成されていたが、本第2実施形態においては、通信部500として、センターサーバーとの通信を行う方式のものが用いられ、各車両はセンターサーバーにそれぞれの車両データを定期通信パケットにより送信し、センターサーバー側でこれを受信し、これに基づき衝突可能性を算出し、必要に応じて各車両(のレコーダー装置700)に対して記録保存要求を送信する構成となっている。以下、先の実施形態と相違する点を中心に図面を参照して説明する。
【0049】
図9は第2実施形態に係る記録システムにおけるデータの送受例・処理例を車両、センターサーバーにつき示したものである。ここで、図9に示す車両1乃至車両5は図8に示すものと同一のものであり、図8と同様の状況下で通信例を示している。センターサーバーとは、各車両からの定期通信パケットデータを受信して各車両の状況を把握すると共に、必要時応じて、各車両に対して記録保存要求などのパケット通信データを送信するように構成されるものである。
【0050】
図9に示すように、平時においては、(0)車両1乃至車両5は定期通信パケットをセンターサーバーに送信するようにしている。ここで、センターサーバーが各車両から上げられるパケットデータから、例えば、(1)車両1と車両2との衝突可能性が所定値以上となることが判明したような場合、(2)車両1と車両2から基準距離内の車両を特定して、(3)特定された車両に対して、記録保存要求パケットを送信する。
【0051】
図10は本発明の第2実施形態に係る記録システムにおける車両―センターサーバー間の送受信に用いられるパケットデータの一例を示す図である。図10(A)は定期的な通信に用いられるパケットであり、図10(B)は記録システムが記録保存要求を送信する際に用いられるパケットである。
【0052】
定期通信用パケットには、例えば、「パケットナンバー」、「送信元車両ID情報」、「位置情報」、「速度情報」、「ベクトル情報」、「撮影情報」、「レコーダー装置ID情報」などの項目のデータが含まれる。
【0053】
定期通信用パケット中の「パケットナンバー」はパケットの連続性などを特定するために用いられるパケット特定用のデータであり、「送信元車両ID情報」は送信元の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「位置情報」は高精度GPS位置情報取得部811によって取得される車両位置に係る座標データであり、「速度情報」は車速センサ210によって取得される車両の走行スピードに関するデータであり、「ベクトル情報」はステアリングセンサ220やナビゲーションシステム部800で求められる車両の進行方向に関するデータであり、「撮影情報」はステレオカメラユニット420によって取得されたステレオカメラ画像データであり、「レコーダー装置ID情報」は車両に搭載されているレコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720に記憶されているIDデータである。
【0054】
また、記録保存要求用パケットには、例えば、「パケットナンバー」、「送信先車両ID」、「保存要求レコーダー装置ID情報」などの項目のデータが含まれる。記録保存要求用パケット中の「パケットナンバー」はパケットの連続性などを特定するために用いられるパケット特定用のデータであり、「送信先車両ID情報」は送信先の車車間通信ユニット510における車両ID記憶部511に記憶されているIDデータであり、「保存要求レコーダー装置ID情報」は、保存要求先のレコーダー装置700のレコーダー装置ID記憶部720に記憶されているIDデータである。
【0055】
次に、第2実施形態における記録システムにおける車両側の動作・処理と、センターサーバー側の動作・処理についてそれぞれ説明する。図11は本発明の第2実施形態に係る記録システムにおける車両側搭載システムのフローチャートを示す図である。
【0056】
図11において、車両10のエンジンやモーター(いずれも不図示)が起動されると、ステップS500で処理が開始され、続いてステップS501に進み、ECU100によって収集された各データによって、図3(A)に示すパケット定期通信用のパケットデータを生成し、通信部500から、生成された定期パケットを送信する処理を実行する。
【0057】
次のステップS502では、保存要求パケットチェック処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンについては図7で説明したものを用いることができるので詳細の説明については省略する。
【0058】
ステップS503では、不図示のエンジンやモーターが停止されたか否かが判定される。この判定がNOであるときにはステップS501に戻る。一方判定が、YESであるときにはステップS504に進み処理を終了する。
【0059】
次に、第2実施形態における記録システムにおけるセンターサーバー側の動作・処理についてそれぞれ説明する。図12は本発明の第2実施形態に係る記録システムにおけるセンターサーバー側のフローチャートを示す図である。
【0060】
図12において、ステップS600でセンターサーバー側の処理が開始されると、次にステップS601に進み、各車両の通信部500から送信されてくるパケットデータの受信処理が実行される。続いてステップS602では、衝突可能性算出処理のサブルーチンが実行される。この衝突可能性算出処理のサブルーチンについては、図6で説明したものとほぼ同様のものを用い、それぞれの車両についての衝突可能性の演算を行うことができる。
【0061】
ステップS603では、衝突可能性が所定値以上であるか否かが判定される。ステップS603における判定がNOである場合には、ステップS606に進む。
【0062】
一方、ステップS603における判定がYESであるときには、ある車両A(例えば車両1)が別の車両B(例えば車両2)と衝突する可能性が大きいので、ステップS604に進み、それぞれの車両の基準距離内に存在する車両ID(及びレコーダー装置ID)を抽出する処理を実行し、ステップS605では、抽出されたIDの車両に対して、保存要求パケット(図10(B)に示すもの)の送信処理を実行する。
【0063】
ステップS606では、全ての車両IDについて処理を行ったか否かが判定され、この判定がNOであるときにはステップS601に戻りループを行い、YESであるときには再びステップS600に戻り一連の処理を再実行する。
【0064】
上記のような、本発明の第2実施形態に係る発明においても、先の実施形態と同様の効果を享受することが可能である。
【0065】
以上、本発明に係る記録システムによれば、衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定し、この判定結果に基づいてレコーダー装置に対して記録保存要求を送信するので、通信手段などのハードウエアが事故の衝突によって破損される前に、データ保存のためのトリガーである記録保存要求を受信することが可能となり、従来より事故データの収集精度が向上する。
【符号の説明】
【0066】
10・・・車両、100・・・ECU、120・・・計時部、200・・・走行情報取得部、210・・・車速センサ、220・・・ステアリングセンサ、230・・・アクセル開度センサ、240・・・ブレーキペダルセンサ、400・・・車両周辺情報取得部、420・・・ステレオカメラユニット、430・・・集音ユニット、500・・・通信部、510・・・車車間通信ユニット、511・・・車両ID記憶部、512・・・通信管理バッファ、700・・・レコーダー装置、710・・・記憶部、720・・・レコーダー装置ID記憶部、800・・・ナビゲーションシステム部、810・・・ナビゲーションシステム、811・・・高精度GPS位置情報取得部、820・・・データベース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されると共に、少なくとも車両周辺の画像情報を記録するレコーダー装置を複数含み、前記周辺車両の位置情報を取得する記録システムであって、
自車両から基準距離内に存在する他車両に搭載されるレコーダー装置のID情報を取得するID情報取得手段と、
前記画像情報と前記ID情報から定まる周辺車両の前記位置情報に基づいて、自車両の衝突可能性を算出する衝突可能性算出手段と、
前記衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に対して、記録保存要求を送信する送信手段と、を有することを特徴とする記録システム。
【請求項2】
前記送信手段が、車車間通信によって、記録保存要求を前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に直接送信することを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
【請求項3】
前記送信手段が、サーバー装置を介して、記録保存要求を前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
【請求項1】
車両に搭載されると共に、少なくとも車両周辺の画像情報を記録するレコーダー装置を複数含み、前記周辺車両の位置情報を取得する記録システムであって、
自車両から基準距離内に存在する他車両に搭載されるレコーダー装置のID情報を取得するID情報取得手段と、
前記画像情報と前記ID情報から定まる周辺車両の前記位置情報に基づいて、自車両の衝突可能性を算出する衝突可能性算出手段と、
前記衝突可能性算出手段によって算出された衝突可能性が所定値以上であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に対して、記録保存要求を送信する送信手段と、を有することを特徴とする記録システム。
【請求項2】
前記送信手段が、車車間通信によって、記録保存要求を前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に直接送信することを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
【請求項3】
前記送信手段が、サーバー装置を介して、記録保存要求を前記ID情報取得手段によって取得されたIDのレコーダー装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の記録システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−131728(P2011−131728A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292755(P2009−292755)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
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