説明

記録媒体巻き取り装置

【課題】プリント部から搬出された巻きぐせをもった記録媒体を安定的に巻き取り部に送り込むことができる記録媒体巻き取り装置を提供する。
【解決手段】ロールから引き出した記録媒体Mをプリント台上面に供給してプリントするプリント部に隣接して設けられ、前記プリント部から排出される前記記録媒体をロール状に巻き取る記録媒体巻き取り装置。前記プリント部から搬出されてきた前記記録媒体の巻きぐせ方向に傾斜した搬送面17aが形成され、前記搬送面17aに対向して前記記録媒体を乾燥させる乾燥手段D1が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールから引き出した記録媒体をプリント台上面に供給してプリントするプリント部に隣接して設けられ、前記プリント部から排出される前記記録媒体をロール状に巻き取る記録媒体巻き取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような記録媒体巻き取り機構を備えたインクジェット方式画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。ここでは、インクジェット方式のプリント部で記録媒体にプリントを行う際に記録媒体をプラテンに押し付ける吸引ファンが設けられているとともに、プリント部から排出された記録媒体はそのまま下方に投げ出され、オペレータによってその先端を巻き取りローラ(巻き取り部)に固定されて巻き取られていく記録媒体はその吸引ファンが形成する風によって乾燥させられるように構成されている。このように、プリント部から排出された記録媒体がそのまま下方に自由に垂れ下がり、記録媒体の先端が巻き取りローラに達する長さまで延びた段階でその先端を巻き取りローラに固定するような構成つまり、プリント部の記録媒体排出路と巻き取り部としての巻き取りローラの間の搬送経路が全くのフリー空間である構成では、巻き取りローラに固定されるまでの間で記録媒体の先端が完全に自由であるがために、特に巻きぐせが強い場合巻きぐせによって先端が巻き込んでしまってプリント面を汚してしまう恐れが生じる。また、巻き取りローラに固定されるまでの間で記録媒体の先端領域が何らかの障害物と干渉してプリント面を汚してしまう恐れも生じうる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−108325号公報(段落番号0020〜0023、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、プリント部から搬出された巻きぐせをもった記録媒体を安定的に巻き取り部に送り込むことができる記録媒体巻き取り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、ロールから引き出した記録媒体をプリント台上面に供給してプリントするプリント部に隣接して設けられ、前記プリント部から排出される前記記録媒体をロール状に巻き取る、本発明による記録媒体巻き取り装置では、前記プリント部から搬出されてきた前記記録媒体の巻きぐせ方向に傾斜した搬送面を有しており、前記搬送面に対向して前記記録媒体を乾燥させる乾燥手段が配置されている。
【0006】
この構成では、プリント部から巻きぐせをもった記録媒体を受け取る搬送路を作り出している搬送面が記録媒体の巻きぐせ方向に傾斜した傾斜面としているために、プリント部から搬出されてきた記録媒体の巻きぐせと搬送面の傾斜がうまく適合し、記録媒体はスムーズに搬送面上を搬送されていくことになる。このような記録媒体の巻きぐせに適合させた傾斜搬送面の存在は、記録媒体の先端の搬送時に特に有効であり、記録媒体の先端の巻きぐせを緩和して、可能な限り搬送面からの記録媒体の膨らみ(持ち上がり)を抑制することができる。このことは、記録媒体先端部の損傷や先端部の引っかかりによる搬送トラブルを防止だけではなく、一般的な乾燥手段ではその熱源や温風源からの距離によってその温度分布が大きく変動することを考慮するならば、搬送面の上方に配置されている乾燥手段と記録媒体との距離を実質的に一定にすることから、部分的に浮き上がった記録媒体部分に過剰な熱が与えられるという不都合も回避するという利点も得られる。
【0007】
傾斜した搬送面上での記録媒体のさらに安定的な搬送(搬送面に対して記録媒体ができるだけ沿いながら搬送されるいくこと)を実現するため、本発明による好適な実施形態の1つでは、この傾斜した搬送面上に位置する記録媒体を吸引するために搬送面に負圧形成手段が設けられている。具体的な負圧形成手段の1つとしては、搬送面を形成するガイドプレートに多数孔を開けておき、そのガイドプレートの裏側に閉鎖ボックスを構成し、この閉鎖ボックス内の圧力を負圧にする吸引ファンを取り付けるとよい。
【0008】
本発明によるその他の特徴及び利点は、以下図面を用いた実施形態の説明により明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明による記録媒体巻き取り装置の一つの実施形態を組み込んだ画像形成システムの全体構成図が図1に、記録媒体巻き取り装置領域の斜視図が図2示されている。この画像形成システムは、1mを超える幅を有するシート状の記録媒体Mに昇華性の染料を含むインクで画像形成を施すプリント部Pと、プリント部Pから横方向、実質的に水平方向に搬出される記録媒体Mを乾燥させながらロール状に巻き取る記録媒体巻き取り装置1と、記録媒体巻き取り装置1によって中間巻き取りされた記録媒体Mを加熱することによって染料を定着する加熱定着部Fとから構成されている。記録媒体Mの一般的な仕上がりサイズでは幅が1m程度で長さは数mを超えるケースもある。
【0010】
この画像形成システムで用いられている記録媒体Mは、所定の剛性を備えたシート状の基材と、基材の上面に接着剤層等を介して密着貼付されたインク受容層とからなる。基材は、PET等の合成樹脂材料などで形成されたベースシートと、ベースシートの上面に一体的に設けられた耐候性の高い保護層とからなる。保護層は例えばフッ素樹脂などで形成されている。尚、保護層はプリント部Pでの画像形成で使用する水性のインクとの親和性が低いが、インク受容層は、この水性のインクとの親和性が十分に高い。記録媒体Mは、プリント部Pで昇華性の染料を含む水性のインクによってインク受容層上に画像をプリントし、プリント後に加熱定着部Fで加熱処理することで昇華性の染料を記録媒体Mの内部に昇華させて定着することを前提に設計されている。
【0011】
プリント部Pでは、昇華性の染料を含む水性のインクが、記録媒体Mのインク受容層の表面付近に常温で載置される。プリント部Pから搬出され、記録媒体巻き取り装置1によって乾燥されながら中間巻き取りされた記録媒体Mを再び巻き戻しながら、加熱定着部Fで適切な加熱条件(約180℃)で加熱すると、受容層の表面付近に位置するインクから昇華性の染料が昇華して、受容層の内部に移動し、さらに、保護層を通過し、ベースシートと保護層の界面、乃至は、ベースシートの表面近くの内部まで到達して、ここに定着される。定着が完了すると、任意の時点で基材からインク受容層をシート状のまま容易に引き剥がすことができる。インク受容層を引き剥がした状態では、記録媒体Mの基材内に定着された染料は、表面からは耐候性の保護層によって、裏面からはベースシートによって保護され、同時に、少なくとも基材の上面側からは透明性の高い保護層を介して良く透視できる形になる。
【0012】
プリント部Pは、ロール状に巻き取られた長尺の記録媒体Mを回転自在に支持する貯留部2を備えており、図では詳しく示されていない数組の搬送ローラ対からなる搬送機構3によって貯留部2から引き出されて、副走査方向に搬送される記録媒体Mに対して、前記副走査方向と直交する主走査方向に往復移動可能なインクジェット式のプリントヘッド4によって画像が形成される。また、プリントヘッド4には記録媒体Mを主走査方向に沿って切断するカッターCが設けられている。
【0013】
図1から明らかなように、プリント部Pの貯留部2に載置されるロール状記録媒体Mは、プリント面が上側となるように巻き取られており、そのプリント面が上を向くように搬送機構3によって水平方向にプリント搬送されるため、記録媒体Mは下向きの巻きぐせをもってプリント部Pから搬出される。
【0014】
プリント部Pに隣接している記録媒体巻き取り装置1は、プリント部Pからほぼ水平な横方向で搬出されてきた記録媒体Mを受け取り、乾燥させながら横方向にやや下向き傾斜でしばらく搬送し、次いで記録媒体Mを下向きに方向転換させて下向き姿勢でやや巻きぐせの内側に偏った方向で巻き取り部R1に送り込む搬送路を形成している。この搬送路は、図3から明らかなように、プリント部Pと接続している接続搬送路P1と、入口側搬送路P2と、ループ搬送路P3と、送り込み搬送路P4から構成されている。
【0015】
接続搬送路P1は、プリント部Pの搬送路と接続可能な終端部を設けた接続ガイドプレート16の上面に作り出される搬送面16aによって規定され、記録媒体Mはこの搬送面16aに沿って搬送される。搬送面16aの搬送方向下流(後端)側領域に下向きの屈曲部が設けられている。なお、この接続ガイドプレート16はプリント部P側に設けてもよい。
【0016】
接続搬送路P1の後端と接続する入口側搬送路P2は、下向き傾斜した入口ガイドプレート17の上面(搬送面)17aによって規定されている。この入口ガイドプレート17の下面側には複数の隔壁体51によって閉鎖された搬送方向に並んだ複数(図では2つ)の負圧用ボックス50が形成されている。それぞれ負圧用ボックス50の1つの隔壁体51には吸引ファン52が取り付けられており、この吸引ファン52の動作により、各負圧用ボックス50の内部に負圧を作り出すことが可能となる。入口ガイドプレート17には搬送面17aから負圧用ボックス50に貫通する多数の流通孔17bが形成されているため、吸引ファン52を動作させ入口ガイドプレート17の搬送面17aを通過する記録媒体Mを搬送面17aの方に吸引することで、記録媒体Mの安定した搬送を実現している。入口ガイドプレート17は、記録媒体Mの下向きの巻きぐせにもかかわらずできるだけ記録媒体Mをその搬送面17aに合わせるため下向きの傾斜角を持つように、設けられている。この下向きの傾斜によって、特に記録媒体Mの先端突入時においても、入口ガイドプレート17はスムーズに記録媒体Mを案内搬送することができる。
【0017】
この傾斜搬送面17aを有する入口ガイドプレート17の利点を図4を用いて詳しく説明する。巻きぐせをもって引き出されプリントされた記録媒体Mは、図4で模式的に示されているように、中間領域は自重のために搬送面にほぼ密着する姿勢となるが、その先端領域と後端領域は搬送面に対して山なりに浮き上がった搬送方向断面形状を示すような姿勢となる。このような先端姿勢のまま、記録媒体Mが水平な搬送面をもつ乾燥エリアに入り込んだ場合、その先端姿勢が維持されたままとなるのでこの先端領域及び後端領域が中間領域に較べて搬送面からかなり持ち上がってしまうことになり、乾燥手段D1を構成するヒータH1から熱エネルギを多く受け取り、記録媒体全体として受熱不均衡を生じて、乾燥ムラを引き起こす。乾燥エリアの搬送面に吸引ファンによる吸引機構を形成していても、先端領域より前方あるいは後端領域より後方に空気流入が生じるため、この先端領域及び後端領域での持ち上がり防止にはあまり有効に機能しないし、もし先端領域に対して強い吸引が実現した場合には、搬送のつっかかり等から搬送詰まり(ジャム)を起こすといった別な問題が生じてしまう。
これに対して、本発明に基づいて、入口ガイドプレート17が傾斜搬送面17aを有している場合、図4から理解できるように、湾曲した先端領域が自重で傾斜搬送面17aの方に接近し、傾斜搬送面17に対する持ち上がりは、水平な搬送面に較べ明らかに改善される。さらに、この傾斜搬送面17は数十cm程度の長さがあることから記録媒体Mの大きな巻きぐせの解消にも貢献する。
【0018】
ループ搬送路P3は、選択的に記録媒体Mを圧着・開放することができる1対の搬送ローラ5の制御により、作り出されるループ形態の搬送路であり、その形態は所定範囲で変化する。このループ搬送路P3で作り出されるループは、プリント部P及び乾燥のための入口側搬送路P2の搬送速度と、巻き取り部R1の搬送速度の差を吸収するものであり、後で説明する方法でループ形成(所定のループ量)を検出すると、搬送ローラ5で所定量(例えば5mm)搬送することで、上記搬送速度差を解消しながら巻き取り部R1に記録メディアMを搬送している。また、このループ搬送路P3はやや下向きに傾斜した搬送方向をほぼ下向きの搬送方向に方向転換する役割も果たしている。これは、やや下向きに延びてくる記録媒体を下向き方向に送り出すように搬送ローラ5を配置することにより実現している。つまりループ搬送路P3と搬送ローラ5の相互作用によりループ形成部と方向転換部が作り出される。このループ搬送路P3を所定範囲に収めるため、内側ループガイドプレート18とS字状に湾曲した外側ループガイドプレート19がハウジングに固定されている。実質的に、この内側ループガイドプレート18と外側ループガイドプレート19によって作り出されるループ形成空間内に形成される記録媒体Mのループ量は、投光式センサSによる検出信号を図示されていないコントローラで評価して制御される。例えば、ループ量が増大傾向にある場合(投光式センサSによる記録媒体Mの非存在検出から存在検出への移行)、搬送ローラ5による記録媒体Mの圧着を解除して一挙にループ量を低減させることができるし、ループ量が減少傾向にある場合(投光式センサSによる記録媒体Mの存在検出から非存在検出への移行)、記録媒体Mを圧着した状態で搬送ローラ5の回転を停止又は遅延することでループ量を増大させることができる。
【0019】
送り込み搬送路P4は、実質的には搬送ローラ5による挟持搬送ポイントから巻き取り部R1において巻き取られていく記録媒体ロール外周への接線で表すことができる。この送り込み搬送路P4の領域では、最初に記録媒体Mの先端を巻き取り部R1に正しく投入するために、記録媒体Mの巻きぐせの内側となる位置に揺動式のガイドプレート14aが配置されており、さらに、巻きぐせの外側となる位置に巻き取られた記録媒体Mの外周面を押さえる押さえガイドプレート14bが配置されている。
【0020】
巻き取り部R1は、筒状の巻き芯Tと、巻き芯Tの両端の内面に嵌着される一対の回転ホルダ7を回転可能に支持する一対の支持ブラケット6とを備え、片方の回転ホルダ7の背面には、トルクレリーサと連結ギヤ等からなる伝動機構(不図示)を介してステッピングモータからなる駆動モータE1の出力軸が連結されている。
【0021】
前述した入口側搬送路P2の上方には、記録媒体M上のインクを乾燥させる乾燥手段D1が設けられている。さらに、巻き取り部R1の付近にも、記録媒体M上のインクを乾燥させる別な乾燥手段D2が設けられている。両方の乾燥手段D1とD2は、インク内の昇華性染料が昇華しない程度の温度条件(約50℃〜45℃)でインクを乾燥させることで、それぞれ、未乾燥のインクが搬送ローラ5の周面や後続の記録媒体M上の裏面に転写されるのを防止する役目を果たす。
乾燥手段D1、D2は、記録媒体Mの幅方向に沿って配置された中赤外線ランプヒータH1、H2と、中赤外線ランプヒータH1、H2によって最も高温に加熱される記録媒体Mの部位の表面温度をモニタするための温度センサG1、G2を備えており、中赤外線ランプヒータH1、H2は温度センサG1、G2からの測定信号に基づいて制御される。
【0022】
加熱定着部Fの内部には、外部から断熱層(不図示)によって熱的に遮断された加熱領域Qが設けられている。加熱定着部Fの内部には、前述した巻き取り部R1で巻き取られたプリント済みのロール状記録媒体Mを装填した供給ユニットSから提供される記録媒体Mを、加熱領域Q内で搬送する搬送機構20が設けられている。
【0023】
供給ユニットSは、巻き取り部R1によって巻き取られた記録媒体Mのロールをセットするためのロール保持部30と、ロールから引き出された記録媒体Mを上下から挟着する供給ローラ対35とを備えている。ロール保持部30は、筒状の巻き芯Tと、巻き芯Tの両端の内面に嵌着される一対の支持コーン32と、支持コーン32を回転可能に支持する一対の支持ブラケット31とを備え、片方の支持コーン32には、ロールの自由な回転を規制するフリクション機構33が設けられている。ロール保持部30の支持コーン32は駆動モータには連結されていない。フリクション機構33の空転トルク値は外部から手動で変更可能に設けられており、通常は、記録媒体Mに皺などの欠点が生じないように、記録媒体Mに加えられる引張り力が、加熱定着部F内の搬送機構20の有する搬送力の20%以下となるように設定されている。
【0024】
搬送機構20は数組の耐熱性の搬送ローラ対21によって構成されている。搬送機構20によって搬送される記録媒体Mは、平坦な支持パネル22の平滑な上面を滑りつつ移動する。加熱領域Q内には、加熱領域Q内の空気を所定の昇華温度(ここでは約180℃)に加熱するための第1加熱機構が設けられている。第1加熱機構は、記録媒体Mの搬送面の上方で加熱領域Qの中央よりも上流寄りに配置された複数の棒状発熱体からなる発熱部23、及び、加熱領域Q内の温度分布を均一化するために加熱領域Qの中央よりも下流寄りに配置された攪拌用ファン24を有する。加熱領域Q内には、第1加熱機構とは別に、記録媒体Mを、主にその裏面側(ベースシート側)から、原則的に接触を介して昇華性インクを定着する第2加熱機構が設けられている。第2加熱機構は、支持パネル22を下方から加熱する面状ヒータ(不図示)によって構成されており、支持パネル22の上面は前記面状ヒータによって約180℃に保持される。
【0025】
加熱領域Qの下流側に設けられた記録媒体Mの排出部は、急勾配の傾斜姿勢で下向きに延びた傾斜案内プレート25と、記録媒体Mの表裏両面に圧着して搬送する第1排出ローラ対26と、この第1排出ローラ対26から送り出される記録媒体Mの向きを水平に近い方向に修正する偏向板27と、この偏向板27から押し出される記録媒体Mを略水平な方向に引き出す第2排出ローラ対28とを備えている。傾斜案内プレート25の表面は、裏面に配置された面状ヒータによって100℃以下の温度に加熱されている。
【0026】
加熱定着部Fの下流側にも、加熱定着部Fから排出される定着済みの記録媒体Mを巻き取る巻き取り部R2が配置されている。この巻き取り部R2は、前述した巻き取り部R1と同様に、筒状の巻き芯T′と、この巻き芯T′の両端の内面に嵌着される一対の回転ホルダ39と、この回転ホルダ39を回転可能に支持する一対の支持ブラケット38とを備え、片方の回転ホルダ39の背面には、トルクレリーサと連結ギヤ等からなる伝動機構(不図示)を介して駆動モータE2の出力軸が連結されている。トルクレリーサの空転トルク値も外部から手動で変更可能に設けられているが、通常は、記録媒体Mに皺などの欠点が生じないように、巻き取り部R2による記録媒体Mの引っ張り力が、加熱定着部F内の搬送機構20の有する搬送力の30%以下となるように設定されている。
【0027】
巻き取り装置の横方向の長さをコンパクトにするためには、前記傾斜搬送面を搬送された記録媒体を縦方向に方向転換する方向転換部を設け、前記方向転換部の下方に縦方向に搬送される記録媒体をロール状に巻き取る巻き取り部を配置するとよい。さらには、前記方向転換部が、記録媒体の横方向の搬送を縦方向の搬送より大きくすることにより膨らみループを形成するループ形成部として構成されるならば、プリント部からの搬出速度と巻き取り部の巻き取り速度に微妙な差が生じたり、プリント部のプリント方式によってはプリント部からの記録媒体の搬出運動が脈動であったりしても、それらをループ形成部が吸収することができる。また、この方向転換部がループ形成機能を有することで傾斜して延びている搬送面での乾燥から巻き取り部での巻き取りまでの記録媒体の搬送移行がよりスムーズなものとなる。
【0028】
上述した実施形態では、インクジェット方式のプリント部Pで画像を形成された記録媒体を取り扱ったが、記録媒体への画像形成の方法はインクジェット方式に限定されるわけではなく、種々の画像形成方法を用いてもよい。本発明の重要な点は、プリント部Pから搬出された記録媒体Mが巻きぐせをもっている場合、この記録媒体M、特にその先端部を安定的に巻き取り部に送り込むことであり、本発明による記録媒体巻き取り装置は、そのような条件を満たさなければならない、あらゆる画像形成装置に組み込んで適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による記録媒体巻き取り装置を組み込んだ画像形成システムの全体構成図
【図2】図1における記録媒体巻き取り装置の概略斜視図
【図3】図1における記録媒体巻き取り装置の搬送経路を示す断面模式図
【図4】記録媒体の先端部が傾斜した搬送面を搬送される際の姿勢を説明する模式図
【符号の説明】
【0030】
M 記録媒体
P プリント部
P1 接続搬送路
P2 入口側搬送路
P3 ループ搬送路
P4 送り込み搬送路
R1 巻き取り部
D1 乾燥手段
G1 センサ
F 加熱定着ユニット
1 記録媒体巻き取り装置
4 プリントヘッド(プリント部)
5 搬送ローラ
16 接続ガイドプレート
17 入口ガイドプレート(入口側搬送路)
17a 搬送面(入口側搬送路)
50 負圧用ボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールから引き出した記録媒体をプリント台上面に供給してプリントするプリント部に隣接して設けられ、前記プリント部から排出される前記記録媒体をロール状に巻き取る記録媒体巻き取り装置において、
前記プリント部から搬出されてきた前記記録媒体の巻きぐせ方向に傾斜した搬送面を有しており、前記搬送面に対向して前記記録媒体を乾燥させる乾燥手段が配置されていることを特徴とする記録媒体巻き取り装置。
【請求項2】
前記搬送面上に位置する記録媒体を吸引するために前記搬送面に負圧形成手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体巻き取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−239887(P2006−239887A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54849(P2005−54849)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】