説明

記録装置、排紙受け装置および液体噴射装置

【課題】組み立ておよび収納が容易な排紙受け部201を提供する。
【解決手段】インクジェット式記録装置100に装着して、排出された記録済み被記録媒体を受け止める排紙受け部201であって、排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在して、記録済み被記録媒体の幅方向について記録済み被記録媒体の通過経路を挟んで配置され、記録部に対する相対位置が固定された1対のアーム部材220と、排出経路面の一方の側において支持部材により一端を支持され、排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在して、記録済み被記録媒体の排出方向に沿って下流側において下方に弛む長さを有する柔軟な帯状部材250と、記録部140に対する相対位置が固定され、帯状部材250の他端を支持して、且つ、帯状部材250の一端がアーム部材220による支持から開放された場合に帯状部材250を巻き取る巻取り部230とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、排紙受け装置および液体噴射装置に関する。より詳細には、設営および収納が容易な紙受け部として使用できる排紙受け装置と、それを備えた記録装置および液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微細なノズルを備えた記録ヘッドからインク等の液体を吐出して被記録媒体に付着させるインクジェット式記録装置がある。この種の装置は、記録ヘッドを所定の主走査方向に往復させる一方、主走査方向に対して交差する搬送方向に被記録媒体を移動させる搬送部を備え、主走査および搬送を組み合わせることにより被記録媒体上の任意の領域に液体を付着させて画像を形成する。
【0003】
このような構造を有する記録装置において、主走査方向の往復移動範囲は装置の仕様により決定され、1mを越える主走査幅を有してポスター等の大型の画像を記録できるものもある。一方、搬送方向については被記録媒体の長さは制限されない。そこで、長尺の被記録媒体を巻き重ねたロールを装填して、横断幕、懸垂幕等に長い画像を形成する記録装置もある。
【0004】
記録装置において画像を記録された被記録媒体は記録装置の外部に排出される。排出された被記録媒体は成果物として回収されるので、記録装置の排出側には、形成された画像を損傷あるいは汚損することなく保持する排紙受け部が設けられる。
【0005】
下記の特許文献1には、排紙を受ける状態と排紙経路から退避させる状態とを切り替えレバーにより切り替えることができる排紙スタック部を備える大型プリンタが記載される。排紙スタック部は、柔軟なスタック布と、その端部を支持する複数のレバーを含み、レバーを変位させることによりスタック布を展開または収納する。これにより、印刷物の種類等に応じて、排紙スタック部を適切に形態に変化させることができる。
【0006】
また、下記の特許文献2には、いずれもが角度を変えられる複数のレバーによりシート状部材を支持することにより、更に柔軟な使用ができる排紙受け装置が記載される。また更に、下記の特許文献3には、脱着自在なアーム部により布材を支持する構造とすることにより、記録装置自体よりも大きなロール紙排紙スタッカを形成できることが記載される。
【特許文献1】特開2000−071535号公報
【特許文献2】特開2001−130814号公報
【特許文献3】特開2006−315867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような種々の構造を有する排紙受け部は、いずれも使用しない状態でもスペースをとる。また、畳んだ状態でも排紙に接する面が露出するので、埃等が付着した場合は、再使用した場合に受けた被記録媒体を汚損する場合がある。更に、部品点数が多く、組み立て工数も多いので、記録装置に対する脱着が容易ではない等といった問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決することを目的に、本発明の第1の形態として、巻き重ねた長尺の被記録媒体を引き出す給送部と、給送部から供給された被記録媒体に向かって吐出したインクを付着させて当該被記録媒体に画像を形成する記録部と、記録部において画像を形成された後に排出された記録済み被記録媒体を受け止める排紙受け部とを備え、排紙受け部は、記録済み被記録媒体を含む排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、記録済み被記録媒体の幅方向について記録済み被記録媒体の通過経路を挟んで配置され、記録部に対する相対位置が固定された1対の支持部材と、支持部材により一端を支持され、排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、記録済み被記録媒体の排出方向に沿って下流側、且つ下方に弛む長さを有する柔軟な帯状部材と、記録部に対する相対位置が固定され、帯状部材の他端を支持し、且つ、帯状部材の一端が支持部材による支持から開放された場合に帯状部材を巻き取る巻取り部とを含む記録装置が提供される。これにより、使用する場合は巻取り部から引き出した帯状部材を支持部材の先端に保持させることにより排紙受け部が容易に形成される。また、使用しない場合は帯状部材を巻取り機に巻き取らせることにより、容易に収納できる。
【0009】
また、上記記録装置において、巻取り部は、帯状部材を巻き取る方向に付勢された巻取りロールと、帯状部材を引き出した状態を保持する保持機構とを有してもよい。これにより、簡単な操作で帯状部材を収納できる。また、使用する場合は、単純に引き出すことにより所与の長さで帯状部材を固定できる。
【0010】
更に、上記記録装置において、巻取り部は、巻き取った帯状部材と共に取り外すことができてもよい。これにより、使用しない場合には記録装置周りに広いスペースをつくることができる。また、帯状部材を巻き取った巻取り部を他の記録装置に装着して使い回すこともできる。
【0011】
また更に、上記記録装置において、支持部材は、記録装置に対して伸縮自在に装着されてもよい。これにより、使用しない場合には支持部材が邪魔になることがない。また、使用する場合は、排紙受け部を迅速に設営できる。
【0012】
また更に、上記記録装置において、巻取り部の下部に帯状部材の一端を仮保持する仮保持部を有してもよい。これにより、巻取り部から帯状部材を引き出す場合も、帯状部材を巻取り部に巻き取らせる場合も、帯状部材の取り扱いが操作が容易になる。
【0013】
また、本発明の第2の形態として、巻き重ねた長尺の被搬送媒体を引き出す給送部を備えた被搬送媒体搬送装置に装着して、被搬送媒体搬送装置より排出された被搬送媒体を受け止める排紙受け装置であって、被搬送媒体を含む排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、被搬送媒体の幅方向について被搬送媒体の通過経路を挟んで配置され、被搬送媒体搬送装置に対する相対位置が固定された1対の支持部材と、支持部材により一端を支持され、排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、被搬送媒体の排出方向に沿って下流側、且つ下方に弛む長さを有する柔軟な帯状部材と、被搬送媒体搬送装置に対する相対位置が固定され、帯状部材の他端を支持し、且つ、帯状部材の一端が支持部材による支持から開放された場合に帯状部材を巻き取る巻取り部とを備える排紙受け装置が提供される。これにより、紙受け部材を部品として供給することにより、既存の記録装置においても上記の効果を享受できる。
【0014】
更に、本発明の第3の形態として、巻き重ねた長尺の被噴射媒体を引き出す給送部と、給送部から供給された被噴射媒体に向かって噴射した液体を付着させる液体噴射部と、液体噴射部において液体を噴射された後に排出された被噴射媒体を受け止める排紙受け部とを備え、排紙受け部は、被噴射媒体を含む排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、被噴射媒体の幅方向について被噴射媒体の通過経路を挟んで配置され、液体噴射部に対する相対位置が固定された1対の支持部材と、支持部材により一端を支持され、排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、被噴射媒体の排出方向に沿って下流側、且つ下方に弛む長さを有する柔軟な帯状部材と、液体噴射部に対する相対位置が固定され、帯状部材の他端を支持し、且つ、帯状部材の一端が支持部材による支持から開放された場合に帯状部材を巻き取る巻取り部とを含む液体噴射装置が提供される。これにより、液体噴射装置においても上記の効果を享受できる。
【0015】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションも発明となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施の形態に係るインクジェット式記録装置100の斜視図である。同図に示すように、このインクジェット式記録装置100は、長手方向が水平に配置された記録部140と、記録部140の長手方向端部に装着された筐体110と、記録部140の上側に装着された装填部130と、記録部140および筐体110を下方から支持する脚部170とを備える。
【0018】
装填部130には、巻き重ねた被記録媒体191を含むロール組立体190(図2参照)が装填されるが、この図ではロール組立体190はロールカバー132に覆われる。記録部140では、トップカバー142およびフロントカバー144によりその内部機構が覆われる。記録部140の内部には後述する記録ヘッド143が配置され、装填部130から記録部140に給送された被記録媒体191に対してインクが吐出される。装填部130から給送されて記録部140において画像を形成された被記録媒体191は、記録部140の下部に位置する排出部160に排出される。
【0019】
脚部170は、記録部140および筐体110を下方から支持する一対の支柱部172と、支柱部の下端に装着されて前後に延在して、前後方向の安定を図る足部174と、支柱部172を相互に連結する横木部178とを含む。また、足部174の下面には、インクジェット式記録装置100の移動を容易にするキャスタ176と、稼働時のインクジェット式記録装置100を安定させるジャッキ177とが装着される。これにより、装填部130にロール組立体190を装填する作業を楽にすると共に、排出部160を通過した被記録媒体191の排出スペースが得られる。
【0020】
筐体110は、記録部140から退避した記録ヘッド143が待機するホームポジションのスペースを形成すると共に、その下部に、カートリッジホルダ120を有する。カートリッジホルダ120には、記録ヘッド143に供給するインクを収容したインクカートリッジ147が装着される。また、筐体110の上面には、操作パネル180が配置される。操作パネル180は、ユーザが操作するボタン、スイッチ類の他、インクジェット式記録装置100の動作状態を示す表示部等も含む。
【0021】
図2は、インクジェット式記録装置における被記録媒体191の給送経路200を示す模式的な断面図である。同図に示すように、給送経路200は、装填部130内のロール組立体190から、記録部140内を経て排出部160に至る経路を含む。
【0022】
装填部130においては、ロールカバー132の内部にロール組立体190が装填される。ロール組立体190は、芯となる紙管192の外面に長尺の連続した被記録媒体191を巻き重ねて形成される。これにより、大判の被記録媒体191を取り扱い易くしている。更に、紙管192の内側には金属製のスピンドル部材194が挿通され、スピンドル部材194の両端が装填部130のスピンドル支持部134に支持される。なお、被記録媒体191としては、紙の他、樹脂フィルム、テキスタイル製品等が用いられる場合もある。
【0023】
記録部140には、被記録媒体191を給送する給送部111、被記録媒体191にインクを吐出する記録ヘッド143、記録ヘッド143を搭載したキャリッジ141、被記録媒体191を支持するプラテンプレート152等が配置される。給送部111は、図示していない給送モータにより回転駆動される給送駆動ローラ112と、給送駆動ローラ112に当接して連れ回される給送従動ローラ114とを含む。被記録媒体191は、給送駆動ローラ112および給送従動ローラ114の間に挟まれ、給送従動ローラ114により給送駆動ローラ112に押し付けられることにより、給送駆動ローラ112の回転に従ってロール組立体190から引き出される。
【0024】
ロール組立体190から引き出されて給送部111を通過した被記録媒体191は、記録ヘッド143に対向する位置を通過する。このとき、被記録媒体191は、記録ヘッド143のノズル面に対向して配置されるプラテンプレート152により支持される。これにより、プラテンプレート152上の被記録媒体191は、記録ヘッド143に対して一定の間隔をおいて位置決めされる。
【0025】
なお、プラテンプレート152の後方(図上右側)、つまり、被記録媒体を支持する面と反対側には、図示していないファンユニットが配置され、図中に矢印Aにより示すように、プラテンプレート152から吸引した空気を排出ダクト159から外部へ排出する。これにより、プラテンプレート152の表面に負圧が形成されて、被記録媒体191が吸いつけられる。
【0026】
記録ヘッド143はキャリッジ141に搭載され、キャリッジ141はガイドレール145から懸架される。ガイドレール145は、図2の紙面に垂直に、記録部140の略全幅にわたって延在して、キャリッジ141の往復移動を案内する。なお、記録ヘッド143が吐出するインクは、図示していないパイプを通じてインクカートリッジ147から供給される。従って、キャリッジ141にはインクカートリッジ147は搭載されず、キャリッジ141および記録ヘッド143の組立体が軽量になる。
【0027】
図3は、画像を記録された被記録媒体191を巻き取る巻取り装置300を装着された脚部170を示す斜視図である。前記のように、装填部130には長尺の被記録媒体191を巻いたロール組立体190が装填される。ロール組立体190から引き出された被記録媒体191を切断することなく画像を形成し続けた場合、排出部160に出力される被記録媒体191もまた長尺になる。従って、巻取り装置300により巻き取ることにより取り扱いが容易になる。
【0028】
同図に示すように、巻取り装置300は、支柱部172に対してブラケット332により固定された巻取り駆動部330と、横木部178に掛けたハンガ344に対してブラケット342を介して固定された巻取り従動部340とを含む。巻取り駆動部330および巻取り従動部340は、それぞれ巻取りフランジ320を備える。また、巻取り駆動部330および巻取り従動部340の間には、端部を巻取りフランジ320に支持された巻取り紙管310が掛けわたされる。
【0029】
ここで、巻取り駆動部330の巻取りフランジ320は、巻取り駆動部330により回転駆動される。一方、巻取り従動部340の巻取りフランジ320は、巻取り従動部340に回転自在に軸支されるが、自ら回転することはない。また、巻取り従動部340を支持するハンガ344は、横木部178に沿って水平に移動させることができる。ただし、ロックレバー346を操作することにより、横木部178上の特定の位置に固定することもできる。これにより、後述するように、巻取り紙管310の抜き取り、及び装着が容易となり、また、種々のを有する被記録媒体(巻取り紙菅)にも適用できる。
【0030】
上記のような巻取り装置300は、更に、脚部170上の排出部160から排出された被記録媒体191の先端が床に接近したことを検知するセンサ(不図示)も備える。これにより、排出部160から排出された被記録媒体191が一定以上の長さになると巻取り駆動部330を動作させて、巻取り紙管310に被記録媒体191を巻き取る。また、巻取り動作を終えた場合は、ロックレバー346を操作して横木部178に対する固定を解いた後、ハンガ344を移動させて巻取り紙管310から巻取りフランジ320を抜く。これにより、画像を形成された被記録媒体191を巻取り紙管310ごと取り外すことができる。
【0031】
なお、図3において、一対の支柱部172において互いに対向する面の上部に設けられたアームブラケット210は、アーム部材220を水平に進退自在に支持する。アーム部材220は、その先端にフック部222を有して、後述する排紙受け部201の一部をなす。また、支柱部172の上端に形成されたブラケット171は、インクジェット式記録装置100を固定する場合に利用される。
【0032】
上記のように、被記録媒体191を切断することなく連続して排出する場合は、巻取り装置300を好適に使用できる。しかしながら、インクジェット式記録装置100から排出された被記録媒体191を切断して単票として取り扱う場合は、画像を形成した後に切り取られた被記録媒体191を1枚ずつ受け止める排紙受け部201(図10を参照)を使用することが好ましい。以下、インクジェット式記録装置100において、上記のような巻取り装置300を排紙受け部201に換装する手順を説明する。
【0033】
図4は、換装手順の最初の段階として、巻取り装置300から巻取り紙管310を外した状態を示す斜視図である。同図に示すように、ロックレバー346を回転させて横木部178に対する固定を解除すると、ハンガ344を横木部178に沿って移動させることができる。これにより巻取り従動部340を移動させることにより一対の巻取りフランジ320の間隔を拡げて、巻取り紙管310(図中に点線で示す)を抜き取ることができる。また、この段階で巻取り従動部340が側方に退避しているので、巻取り駆動部330および巻取り従動部340の間には、巻取りフランジ320に触れることなく被記録媒体191を通過させ得る間隔が形成される。
【0034】
図5は、脚部170に対する排紙受け部201の装着構造を示す部分斜視図である。なお、装着構造が明瞭になるように、この図では、脚部170の片側の支柱部172について拡大して示した。しかしながら、後述する巻取り部230および芯棒240は、一対の支柱部172の内側の全幅にわたって存在し、もう一方の支柱部172においても、対称的に同じ構造が形成される。
【0035】
同図に示すように、支柱部172の内側には、インクジェット式記録装置100の前後方向に延在する仮置き部材173が装着される。仮置き部材173の前側の端部は、支柱部172の前端近傍に位置する。一方、仮置き部材173の後側の端部は、支柱部172よりも後方まで延長される。また、仮置き部材173の下端には、反対側の支柱部172の方に向かって延びる水平面を形成する仮置き部179が、その全長にわたって形成される。
【0036】
更に、仮置き部材173の長手方向の中程には段差部175が形成される。これにより、対向する支柱部172に装着された仮置き部材173との間の間隔は、段差部175よりも前側では広く、段差部175よりも後側では狭くなる。
【0037】
上記のような仮置き部材173は、その後端において巻取り部230の一端を支持し、仮置き部179の上面において芯棒240の一端を支持する。また、巻取り部230は段差部175よりも後側において支持される一方、芯棒240は段差部175よりも前側において支持される。従って、芯棒240は、巻取り部230よりも段差部175に相当する分長く、仮置き部179上において、段差部175よりも後方には移動しない。
【0038】
更に、巻取り部230および芯棒240は、柔軟で長尺なひとつの帯状部材250(点線により示す)の各端部に装着される。巻取り部230が帯状部材250を巻き取った場合、芯棒240は巻取り部230に接近するが、やがて、段差部175に係止され、帯状部材250の巻取りも段差部175で止まる。
【0039】
以下、図6から図9は、脚部170を含むインクジェット式記録装置100から巻取り装置300を取り除いた状態で示す側面図により、排紙受け部201の以降の組み立て手順を、段階を追って示す。これらの図において、他の図と共通の構成要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0040】
まず、図6に示すように、アーム部材220は、当初はカートリッジホルダ120の下方に位置する。また、脚部170の横木部の後方には、巻取り部230に巻き取られた帯状部材250が装着される。帯状部材250は、布等の柔軟な材料により形成され、被記録媒体191と同等か、それよりも広い幅を有する。また、帯状部材250の先端は後述するように筒状になり、帯状部材250の幅よりも長い芯棒240が挿通される。
【0041】
なお、巻取り部230は、図上で反時計回りに付勢されて、帯状部材250を巻き付けている。また、巻取り部、芯棒240および帯状部材250は、一括して脚部170から取り外すことができる。一方、図示のように帯状部材250を巻取り部230に巻き取った状態では、被記録媒体191の排紙経路からはずれているので、脚部170に取り付けたままにしておくこともできる。
【0042】
次に、図7に示すように、アーム部材220をアームブラケット210に沿って摺動させて、フック部222を前方に引き出す。これにより、フック部222は、カートリッジホルダ120および筐体110の前方(図上左側)まで移動する。
【0043】
続いて、図8に示すように、芯棒240を引いて、巻取り部230から帯状部材250を前方に引き出す。巻取り部230は、帯状部材250が所定の長さまで引き出されるとその位置で制止され、その後に特定の操作を実行するまで帯状部材250を巻き取ることがない制止機構を備える。従って、引き出された帯状部材250は、芯棒240を引くことをやめてもその長さを維持する。
【0044】
続いて、図9に示すように、芯棒240を、フック部222に掛ける。これにより、帯状部材250の先端は、カートリッジホルダ120および筐体110の前方に固定される。また、芯棒240および巻取り部230の間で帯状部材250は下方に弛む。
【0045】
ここで、図2に示した被記録媒体191の給送経路200を参照すると判るように、記録部140において画像を形成された被記録媒体191は、記録部140の下方前部に形成された排出部160から排出される。これに対して、帯状部材250は、排出部160の前後に延在すると共に、下方に弛んだ状態で固定される。従って、排出部160から排出された被記録媒体191は、帯状部材250の内側に保持される。
【0046】
図10は、組み立てられた排紙受け部201を装着された脚部170を、図3に対照して示す斜視図である。同図に示すように、排紙受け部201は、巻取り紙管310を取り除かれたあとのスペースに形成される。従って、巻取り装置300の巻取り駆動部330および巻取り従動部340を残したまま、排紙受け部201に被記録媒体191を受けることができる。
【0047】
なお、インクジェット式記録装置100の記録部140または排出部160には、手動または自動で被記録媒体191を切断するカッタが設けられる。従って、記録部140において画像を記録された後の被記録媒体191を切断することにより、画像を形成された被記録媒体191を単票として排紙受け部201に受けることができる。
【0048】
また、排紙受け部201を使用しない場合は、上記の組み立て手順を逆に実行すればよい。即ち、芯棒240をフック部222から取り外した後、芯棒240を巻取り部230から引き出すことにより、巻取り部230の巻取り機構を有効にして、帯状部材250を巻取り部230に巻き取らせる。
【0049】
このとき、脚部170の内側、巻取り部230の下部に設けられた仮置き部179に芯棒240の左右端を置けば、仮置き部179に沿って芯棒240がガイドされ帯状部材250が巻取り部230に巻き取られる。これにより、芯棒240が完全に巻き取られるまで保持しなくてもよい。
【0050】
芯棒240は帯状部材250が完全に巻き取られた後も、段差部175により、巻取り部230の前方で、仮置き部179上に停止する。続いて、アーム部材220をアームブラケット210に沿って押し込み、短縮させる。このような簡単な操作により、排紙受け部201は収納される。
【0051】
続いて、巻取り紙管310を巻取りフランジ320に嵌め、巻取り従動部340を移動させた後、ロックレバー346を操作してハンガ344を固定する。これらの一連の操作により、連続した被記録媒体191を巻き取る巻取り装置300を使用できる状態にすることができる。
【0052】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施の形態に係るインクジェット式記録装置100の斜視図である。
【図2】インクジェット式記録装置100における給送経路200を示す図である。
【図3】巻取り装置300を装着された脚部170を示す斜視図である。
【図4】巻取り装置300から巻取り紙管310を外した状態を示す斜視図である。
【図5】脚部170に対する排紙受け部201の装着構造を示す斜視図である。
【図6】インクジェット式記録装置100において排紙受け部201の組み立て手順のひとつを示す図である。
【図7】インクジェット式記録装置100において排紙受け部201の次の組み立て手順を示す図である。
【図8】インクジェット式記録装置100において排紙受け部201のまた次の組み立て手順を示す図である。
【図9】インクジェット式記録装置100において排紙受け部201の更に次の組み立て手順を示す図である。
【図10】組み立てられた排紙受け部201を装着された脚部170を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
100 インクジェット式記録装置、110 筐体、111 給送部、112 給送駆動ローラ、114 給送従動ローラ、120 カートリッジホルダ、130 装填部、132 ロールカバー、134 スピンドル支持部、140 記録部、141 キャリッジ、142 トップカバー、143 記録ヘッド、144 フロントカバー、145 ガイドレール、147 インクカートリッジ、152 プラテンプレート、159 排出ダクト、160 排出部、170 脚部、171、332、342 ブラケット、172 支柱部、173 仮置き部材、174 足部、175 段差部、176 キャスタ、177 ジャッキ、178 横木部、179 仮置き部、190 ロール組立体、191 被記録媒体、192 紙管、194 スピンドル部材、200 給送経路、201 排紙受け部、210 アームブラケット、220 アーム部材、222 フック部、224 アーム部、230 巻取り部、240 芯棒、250 帯状部材、300 巻取り装置、310 巻取り紙管、320 巻取りフランジ、330 巻取り駆動部、340 巻取り従動部、344 ハンガ、346 ロックレバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻き重ねた長尺の被記録媒体を引き出す給送部と、
前記給送部から供給された被記録媒体に向かって吐出したインクを付着させて当該被記録媒体に画像を形成する記録部と、
前記記録部において画像を形成された後に排出された記録済み被記録媒体を受け止める排紙受け部と
を備え、
前記排紙受け部は、
前記記録済み被記録媒体を含む排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、前記記録済み被記録媒体の幅方向について前記記録済み被記録媒体の通過経路を挟んで配置され、前記記録部に対する相対位置が固定された1対の支持部材と、
前記支持部材により一端を支持され、前記排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、前記記録済み被記録媒体の排出方向に沿って下流側、且つ下方に弛む長さを有する柔軟な帯状部材と、
前記記録部に対する相対位置が固定され、前記帯状部材の他端を支持し、且つ、前記帯状部材の前記一端が前記支持部材による支持から開放された場合に前記帯状部材を巻き取る巻取り部と
を含む記録装置。
【請求項2】
前記巻取り部は、前記帯状部材を巻き取る方向に付勢された巻取りロールと、前記帯状部材を引き出した状態を保持する保持機構とを有する請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記巻取り部は、巻き取った前記帯状部材と共に取り外すことができる請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記記録装置に対して伸縮自在に装着される請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記巻取り部の下部に前記帯状部材の一端を仮保持する仮保持部を有する請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
巻き重ねた長尺の被搬送媒体を引き出す給送部を備えた被搬送媒体搬送装置に装着して、前記被搬送媒体搬送装置より排出された被搬送媒体を受け止める排紙受け装置であって、
前記被搬送媒体を含む排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、前記被搬送媒体の幅方向について前記被搬送媒体の通過経路を挟んで配置され、前記被搬送媒体搬送装置に対する相対位置が固定された1対の支持部材と、
前記支持部材により一端を支持され、前記排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、前記被搬送媒体の排出方向に沿って下流側、且つ下方に弛む長さを有する柔軟な帯状部材と、
前記被搬送媒体搬送装置に対する相対位置が固定され、前記帯状部材の他端を支持し、且つ、前記帯状部材の前記一端が前記支持部材による支持から開放された場合に前記帯状部材を巻き取る巻取り部と
を備える排紙受け装置。
【請求項7】
巻き重ねた長尺の被噴射媒体を引き出す給送部と、
前記給送部から供給された被噴射媒体に向かって噴射した液体を付着させる液体噴射部と、
前記液体噴射部において液体を噴射された後に排出された被噴射媒体を受け止める排紙受け部と
を備え、
前記排紙受け部は、
前記被噴射媒体を含む排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、前記被噴射媒体の幅方向について前記被噴射媒体の通過経路を挟んで配置され、前記液体噴射部に対する相対位置が固定された1対の支持部材と、
前記支持部材により一端を支持され、前記排出経路面に対して一方の側から他方の側まで延在し、前記被噴射媒体の排出方向に沿って下流側、且つ下方に弛む長さを有する柔軟な帯状部材と、
前記液体噴射部に対する相対位置が固定され、前記帯状部材の他端を支持し、且つ、前記帯状部材の前記一端が前記支持部材による支持から開放された場合に前記帯状部材を巻き取る巻取り部と
を含む液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−23167(P2009−23167A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187580(P2007−187580)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】