記録装置
【課題】ロール紙のサイズに応じたロール紙収納カセットが必要なく、また、ロール紙、ロール紙軸およびロール紙収納カセットの誤装填を防止する、ロール紙収納カセットおよび記録装置を提供する。
【解決手段】本発明のロール紙軸の芯部に巻かれたロール紙を収容するロール紙収納カセットは、互いに開閉可能な1対のケース103、104と、ロール紙のサイズに応じてケース両端部の内側に着脱できるアタッチメント401、402とが設けられている。また、アタッチメント401、402の取り外し状態では、特定の種類のロール紙軸の進入を妨げ、他の特定の種類のロール紙軸の進入を許容し、アタッチメントを取り付けると、特定の種類のロール紙軸の進入を妨げる位置から移動させられる規制部材を有する。
【解決手段】本発明のロール紙軸の芯部に巻かれたロール紙を収容するロール紙収納カセットは、互いに開閉可能な1対のケース103、104と、ロール紙のサイズに応じてケース両端部の内側に着脱できるアタッチメント401、402とが設けられている。また、アタッチメント401、402の取り外し状態では、特定の種類のロール紙軸の進入を妨げ、他の特定の種類のロール紙軸の進入を許容し、アタッチメントを取り付けると、特定の種類のロール紙軸の進入を妨げる位置から移動させられる規制部材を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置に関し、特にロール紙を収容するロール紙収納カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体としてロール紙を使用する昇華型記録装置が業務用として広く普及しており、家庭用としても普及してきている。
【0003】
ロール紙を利用する利点は、用紙を連続して供給できるため、連続記録を行なう場合に短冊状用紙の給紙に比べて短い時間で給紙動作を完了することができる。このため、短冊状の用紙よりもロール紙の方が大量に連続記録を行なう場合には短時間で全ての記録を完了できる。また、他の利点としては、記録物に余白部分が残らない、つまり、ふちなし記録が容易に可能ということがある。さらに、新しいロール紙を使うときに、ロール紙が収納されたロール紙収納ケースごと交換するのではなく、ユーザーがロール紙を用意し、ロール紙にロール紙軸を通してロール収納カセットに入れ、プリンタ本体に装填することで、記録費用を低コスト化できる。
【0004】
従来技術のロール紙収納カセットは、ロール紙が収容されるカセット本体部と、ロール紙の回転を促進する回転ローラを有するカセット蓋と、一方がカセット本体部に、他方が連結部を介してカセット蓋に接続されているアームとを有する(例えば特許文献1)。
【0005】
このロール紙収納カセットは、前述の連結部を中心に回転することで、カセット蓋によってカセット本体部が閉じられる。ロール紙収納カセットにロール紙を収容した状態で、記録装置本体に設置、または記録装置本体からの取り出しがされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−306511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ロール紙を使い切る前に前述したロール紙収納カセットからロール紙を取り出そうとすると、ロール紙が解けて広がってしまう場合がある。再度このロール紙を使う場合は、ユーザーがロール紙を巻き締めてからロール紙収納カセットに収容する必要がある。また、ロール紙は記録面を内側にして巻かれているため、ユーザーが記録面に触ることはないが、ロール紙が解けて広がった時にはユーザーが記録面を触ってしまう可能性がある。このような場合、記録面のユーザーが触った部分は、昇華したインクがつきにくくなり、記録品質が悪くなる可能性がある。
【0008】
さらに、記録装置は、利便性から複数サイズのロール紙が使用可能であり、ロール紙を使い切る前の途中交換も可能にしておく必要がある。しかしながら、ロール紙を交換するために、ロール紙を使用し切る前にロール紙収納ケースから取り出そうとすると、上述した問題が生じる。したがって、一度ロール紙をロール紙収納カセットに入れたら、使い切るまでロール紙収納カセットを開かないことが望ましい。つまり、ロール紙の種類に応じたロール紙収納カセットを用意しておいた方がロール紙を汚すことなく保管することができ、カセット種別の誤検知を防ぐこともでき、さらに、ロール紙の交換もカセットを入れ替えるだけの作業で行なうことができる。
【0009】
しかしながら、記録装置が複数のロール紙のサイズに対応する場合には2つの課題がある。
【0010】
第1の課題は、ロール紙のサイズごとに専用のロール紙収納カセットをつくった場合、ユーザーは必ずロール紙のサイズに応じた複数のロール紙収納カセットを用意する必要があり、記録するためのコストが高くなってしまう。
【0011】
第2の課題は、記録費用の低コスト化のため、ユーザーがロール紙にロール紙軸を挿入してロール紙収納カセットに装填する場合に、ロール紙、ロール紙軸およびロール紙収納カセットの組み合わせが一致していない状態で使用してしまう場合がある。ロール紙、ロール紙軸およびロール紙収納カセットの組み合わせが一致していない状態で使用すると、記録範囲やロール紙の送り量の不一致が起こり、はみ出しや余白ができてしまい記録品質が低下してしまう。
【0012】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ロール紙のサイズに応じたロール紙収納カセットが必要なく、ロール紙、ロール紙軸およびロール紙収納カセットの誤装填を防止する、ロール紙収納カセットおよび記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のロール紙軸の芯部に巻かれたロール紙を収容するロール紙収納カセットは、互いに開閉可能な1対のケースと、ロール紙のサイズに応じてケース両端部の内側に着脱できるアタッチメントとを有する。また、アタッチメントの取り外し状態では、特定の種類のロール紙軸の進入を妨げ、かつ、他の特定の種類のロール紙軸の進入を許容し、アタッチメントの取り付けによって、特定の種類のロール紙軸の進入を妨げる位置から移動させられる規制部材を有している。
【発明の効果】
【0014】
1つのロール紙収納カセットを複数のサイズのロール紙に使用することができ、ロール紙、ロール紙軸およびロール紙収納カセットの誤装填を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施形態の外観概略図である。
【図2】本発明に係る記録装置の要部の概略構成図である。
【図3】ロール紙軸を装着したロール紙と、開いた状態のロール紙収納カセットの概略斜視図を示している。
【図4】片寄ガイドの加圧方法について説明する図である。
【図5】上ケースを閉じた状態のロール紙収納カセットの端面の概略図である。
【図6】ロール紙軸を装着したポストカードサイズのロール紙と、開いた状態のアタッチメントを装着したロール紙収納カセットの概略斜視図である。
【図7】図2に示すロール紙とロール紙軸を説明するための図である。
【図8】図6に示すポストカードサイズのロール紙とロール紙軸を説明するための図である。
【図9】ロール紙収納カセットの下ケースの上面図である。
【図10】アタッチメントの概略斜視図である。
【図11】アタッチメントが取り付けられたときのロール紙収納ケースの概略構成図である。
【図12】図9に示す下ケースのS−S断面の概略図である。
【図13】カードサイズのロール紙を使用するときのロール紙収納カセットの概略構成図である。
【図14】カードサイズのロール紙とロール紙軸を説明するため図である。
【図15】アタッチメントを取り付けたときのロール紙収納カセットの下ケースの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0017】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る記録装置の一実施形態の外観概略図である。
【0018】
本発明の記録装置は、記録装置本体3と、記録装置本体に収容されるインクリボンカセット2とロール紙収納カセット1とで構成されており、インクリボンカセット2とロール紙収納カセット1は、記録装置本体3から着脱可能である。記録を行なう際には、インクリボンカセット2と、後述するロール紙R1を収納および保持するためのロール紙収納カセット1とを記録装置本体3に装填する。その後、記録装置本体3のタッチパネルなどの操作部301で記録したい画像を選択し、ロール紙R1(図2等参照)への記録を行う。
【0019】
図2は、本発明に係る記録装置の要部の概略構成図である。記録装置本体3にロール紙収納カセット1とインクリボンカセット2とがセットされた状態を示している。
【0020】
ロール紙収納カセット1内に、記録媒体であるロール紙R1がロール紙軸102にロール状に巻き回されている。ロール紙収納カセット1には、ロール紙収納カセット1内からロール紙R1を排出できるように、カセット出口104dが設けられている。不図示のモータにより駆動され、ロール紙収納カセット1内のロール紙R1をカセット出口104dに搬送する、給紙ローラ311が記録装置本体3に設けられている。
【0021】
ロール紙収納カセット1の、ロール紙R1の搬送経路の下流には、表面に突起を有するグリップローラ313と、ロール紙R1の搬送経路を挟んでグリップローラ313と対向する位置にある従動ローラであるピンチローラ314とのローラ対Xが設けられている。ピンチローラ314をグリップローラ313の方向に強く付勢することでグリップローラ313の表面の突起(図示せず)がロール紙R1の背面に押し付けられ、ローラ表面とロール紙R1とのすべりが防止される。そのため、ロール紙R1は、所望の距離を精度よく搬送される。
【0022】
ローラ対Xの下流側には、記録部が設けられている。記録部には、サーマルヘッド315と、ロール紙R1の搬送経路を挟んでサーマルヘッド315と対向する位置にあるプラテンローラ316とが設けられている。サーマルヘッド315は、不図示の回動中心を備える取り付けフレーム及び不図示の弾性部材と略一体的に構成されており、不図示のカムギア等の制御によって取り付けフレームと一体的にプラテンローラ316に向かって移動可能である。
【0023】
インクリボンカセット2には、インクリボン203を収納しておく供給側ボビン201と、使用したインクリボン203を巻き取っていく巻取り側ボビン202とが設けられている。インクリボンカセット2が記録装置本体3に装着されると、供給側ボビン201と巻取り側ボビン202はそれぞれ記録装置本体3に設けられた軸に支持される。そして、巻取り側ボビン202はグリップローラ313を駆動する動力と同じ動力源により回転駆動される。供給側ボビン201は自由に回転可能になっている。インクリボン203は供給側ボビン201に巻かれ、先端は、巻取り側ボビン202につながっているため、巻取り側ボビン202が回転することでインクリボン203が供給側ボビン201から巻き取られる。
【0024】
サーマルヘッド315は複数の発熱素子を有する加熱部を備えており、記録情報に応じて発熱素子を選択的に加熱し、インクリボン203上に一様に塗布されたインクをロール紙R1に熱転写する。具体的には、サーマルヘッド315をプラテンローラ316に向かって押圧し、供給側ボビン201から供給されるインクリボン203とロール紙R1とを適当な圧力及び適当な温度で圧着させることで、ロール紙R1へのインクの熱転写を可能としている。
【0025】
図示していないが、記録部の、ロール紙R1の搬送経路の下流側には、ロール紙R1の記録部分を切断するカッターや、ロール紙R1から切り離された記録物を不図示の収容部に搬送する不図示の搬送ローラなどが設けられている。
【0026】
ここで、記録動作について説明する。給紙時にロール紙R1を下流側にあらかじめ記録に必要な長さを引き出しておき、画像データの準備ができると、サーマルヘッド315をプラテンローラ316方向へ加圧してグリップローラ313でロール紙R1を上流側へ搬送しながら記録が行なわれる。記録時にはサーマルヘッド315とプラテンローラ316によってロール紙R1とインクリボン203が圧接され、サーマルヘッド315に設けられた発熱素子によって熱が加えられることによってインクリボン203のインクがロール紙R1に転写されていく。ロール紙R1の搬送方向(上流側)と同方向にインクリボン203も搬送されており、使用後のインクリボンは巻取り側ボビン202へ巻き取られていく。
【0027】
本実施形態の記録装置は昇華型であるため、写真などのカラー印刷の場合は、イエロー、マゼンタ、シアンと色を重ねる必要がある。このため、1色目のイエローの記録が終わると再度、ロール紙R1を記録開始位置まで搬送し、イエローと同様にマゼンタの記録を行う。同様の動作を色の数だけ行い、全部の色の記録が完了する。そして、ロール紙R1を搬送し、カッターでロール紙R1から記録部分をカットし、搬送ローラで収容部に排紙する。続けて次の画像を記録する場合は、ロール紙R1を記録開始位置まで搬送し、再び記録動作に入る。次の画像を記録しない場合は給紙ローラ311を給紙時とは逆回転させ、ロール紙R1の先端をロール紙収納カセット1の内部へ引き込んで、待機状態になる。
【0028】
図3は、ロール紙軸102を装着したロール紙R1と、ロール紙収納カセット1を開いた状態の概略斜視図を示している。この図を用いてロール紙収納カセット1の構成をさらに詳しく説明する。
【0029】
ロール紙収納カセット1の構成は主にロール紙R1と、ロール紙収納ケース10と、ロール紙軸102との3つで構成される。ロール紙R1を交換する方法の一例としては、ユーザーがロール紙R1のみを用意し、ロール紙軸102を挿入し、ロール紙収納カセット1に収容する。この方法では、ロール紙R1を使い切った後は廃棄や紙回収およびリサイクルをするものがないので、低コストおよび省資源の利点がある。その他の方法としては、使い勝手を優先する場合は、ロール紙R1をあらかじめロール紙軸102に巻きつけた状態にしておいたり、ロール紙収納カセット1にロール紙R1がセットされた状態にしておいたりするなど、目的に応じて様々な形態をとることができる。
【0030】
ロール紙収納カセット1は上ケース103と下ケース104からなる開閉可能な1対のケースを有し、下ケース104に対して上ケース103が開閉するようになっている。両方のケース103、104の内周面には搬送抵抗を減らすためリブ103a、104aと従動コロ105が複数設けられている。下ケース104の両端部の内面には、端面の周上のある位置から、端面の中心を通り、ある位置と点対称となるような端面の周上の位置の近傍まで、後述するロール紙軸の突起部をガイドする凹状の溝104eが設けられている。また、凹状の溝104eの内部には、凹状の溝に沿って端面を貫通しているロール紙軸の被支持部用の溝104bが設けられている。凹状の溝104eの幅は、被支持部用溝104bの幅よりも大きい。
【0031】
上ケース103にはロール紙軸102を付勢するための加圧バネ106と付勢方向にスライド可能な加圧ガイド107が取り付けられている。この加圧バネ106と加圧ガイド107は上ケース103の両端に設けられており、ロール紙軸102の被支持部102b(図7参照)を均一に付勢することができるようになっている。また、記録装置本体3に設けられた給紙ローラ311とロール紙R1とを接触させるための開口である給紙ローラ用開口部104iが設けられている。
【0032】
下ケース104の端面の内壁104cは、ロール紙R1が幅方向に移動するのを規制する壁になっており、ロール紙R1の蛇行や幅方向の位置ずれを軽減する役割をしている。下ケース104の片方の端面にはロール紙R1の端部付近を付勢するための片寄せガイド108が設けられており、片寄せガイド108はロール紙R1の幅方向(下ケース104の長手方向)にスライド可能になっている。片寄せガイド108の支持方法については図4を用いて後述する。片寄せガイド108がロール紙R1の端面近傍を押すことでロール紙R1の幅方向ガタつきや斜行の防止に役立っている。
【0033】
また、下ケース104には、ロール紙R1の先端をピックアップするためのピックアップガイド101が設けられており、ピックアップガイド101は図示していないバネによってロール紙方向に常に付勢されている。巻かれているロール紙R1の表面にピックアップガイド101の先端が沿うことで、給紙時にロール紙R1の先端を確実にピックアップできるようになっている。
【0034】
図4を参照して、ロール紙R1の端部近傍を付勢している片寄ガイド108の加圧方法について説明する。図4(a)はロール紙収納ケース1を記録装置本体3に装填している途中の状態の概略斜視図であり、図4(b)は、付勢部材と取り付け部の構成を示す展開図であり、図4(c)は、片寄せ部材108を下ケース104の内側から見た概略断面図である。なお、構造を分かりやすくするために、上ケース103、ロール紙R1、およびロール紙軸102は省略している。また、下ケース104は、矢印Aの方向に装填される。
【0035】
給紙ローラ311は記録装置本体3内部のフレーム310に軸受309を介して回転可能に支持されており、給紙ローラ311と同軸上にスライド可能な付勢部材312が設けられている。付勢部材312は片寄せガイド108に接するスライダ308と圧縮バネ307で構成されており、軸受309から突出する突起309aによりスライド可能に支持されている。スライダ308の先端の規制はEリング306で行なわれる。下ケース104の端面はこの付勢部材312が侵入可能になっており、下ケース104を記録装置本体3に挿入していくと、下ケース104に取り付けた片寄せガイド108が付勢部材312により押されるようになっている。
【0036】
片寄せガイド108は、下ケース104に設けられたT字型の突起104gにスライド可能に支持されている。このため下ケース104を記録装置本体3に挿入完了後、片寄せガイド108が下ケース104の長手方向内側にスライドし、ロール紙R1の端部を付勢することができ、ロール紙R1の幅方向のガタつきや斜行を防止することができる。
【0037】
図5を参照して、加圧ガイド107の動きと被支持部102bの加圧方向について説明する。
【0038】
図5は、上ケース103を閉じた状態のロール紙収納カセット1の端面の概略図であり、(a)はロール紙R1が未使用の状態、(b)はロール紙R1を使いきった状態を示している。また、ロール紙収納ケース1が記録装置本体3に装填されていると仮定し、給紙ローラ311も図示している。また、加圧バネ106の様子がわかるように図示している。
【0039】
ロール紙R1にロール紙軸102を挿入して下ケース104に収容し、上ケース103を閉じると、圧縮された加圧バネ106の弾性力によって加圧ガイド107が付勢され、被支持部102bが給紙ローラ311の方向へ押される。その結果、巻かれているロール紙R1の表面が給紙ローラ311に押し付けられる。そして、ロール紙R1の表面を給紙ローラ311に押し付けた状態で、ロール紙R1の先端がカセット出口104dに搬送されるように給紙ローラ311を回転させると、ロール紙R1が回転し、ロール紙R1の先端がロール紙収納カセット1の外へ送り出される。
【0040】
未使用状態のロール紙R1が装填されている場合には、被支持部102bは給紙ローラ311とは離れた位置にあり、加圧バネ106が最も圧縮されている状態である。ロール紙R1への記録が行われていき、ロール紙R1の残りが減るにつれて、ロール紙R1の巻き径は小さくなっていき、ロール紙R1を使い切った場合には被支持部102bは最も給紙ローラ311に近い位置になる。このとき、加圧バネ106は伸びた状態になっている。巻かれているロール紙R1の表面を給紙ローラ311に押し付ける加圧力は、強く一定であることが望ましい。しかしながら、上記のように加圧バネ106はロール紙R1の巻き径の変動に追従して伸びていくため、加圧力を確保しつつ、できる限り巻き径を大きく、巻き数を多くしてバネ定数を小さくしておくことが望ましい。
【0041】
ここで図3と図6を参照して、2種類のロール紙を適用可能にするためのロール紙軸とロール紙収納カセットの構成を説明する。図3は、幅の広いLサイズのロール紙R1を示しており、図6は、幅の狭いポストカードサイズのロール紙R2を示している。ここで挙げたロール紙R1、R2のサイズは一例であり、2種類の様々なサイズのロール紙に適応することができる。
【0042】
図3に示しているLサイズのロール紙R1に対応するロール紙収納カセット1と、図6に示しているポストカードサイズのロール紙R2に対応するロール紙収納カセット1は共通部品である。異なる点は、ロール紙R1とロール紙R2とにそれぞれ挿入するロール紙軸102、404が異なることと、ポストカードサイズのロール紙R2を用いる場合には、図6に示すアタッチメント401、402がロール紙収納カセット1に装着される点である。
【0043】
まず、ロール紙とロール紙軸の寸法関係を説明する。
【0044】
図7と図8を参照して、図3と図6に示したロール紙R1、R2とロール紙軸102、404の径と長さの関係を説明する。
【0045】
図7は、図2に示すLサイズのロール紙R1とロール紙軸102を説明するための図であり、(a)は、ロール紙R1の寸法を示す図、(b)は、ロール紙軸102の寸法を示す図である。
【0046】
ロール紙R1の寸法は、ロール紙R1の幅がLr1、ロール紙R1の内径がDr1である。
【0047】
ロール紙軸102は、実際にロール紙R1の内周部と接する芯部102cと、芯部102cの端面から突出する端部102aと、端部102aから突出し、下ケース104に支持される被支持部102bとを有している。また、芯部102c、端部102a、被支持部102bの順に径が大きい。ロール紙軸102の端部同士102aの間の長さがLc1、ロール紙軸102の芯部102cの径がDc1、ロール紙軸102の端部102aの径がDs1である。また、被支持部102bの径がDp1である。
【0048】
ロール紙R1にロール紙軸102が挿入可能でなければならないので、Dr1>Dc1
という関係になっている。
【0049】
図8は、図6に示すポストカードサイズのロール紙R2とロール紙軸404を説明するための図であり、(a)は、ロール紙R2の寸法を示す図であり、(b)は、ロール紙軸404の寸法を示す図である。
【0050】
ロール紙R2の寸法は、ロール紙R2の幅がLr2、ロール紙R2の内径がDr2である。また、ロール紙R2の幅Lr2は、Lr2<Lr1となっている。
【0051】
ロール紙軸404は、実際にロール紙R2の内周部と接する芯部404cと、芯部404cの端面から突出する端部404aと、端部404aから突出し、下ケース104に支持される被支持部404bとを有している。また、芯部404c、端部404a、被支持部404bの順番に径が大きい。ロール紙軸404の端部同士404aの間の長さがLc2、ロール紙軸404の芯部404cの径がDc2、ロール紙軸404の端部404aの径がDs2である。また、被支持部404bの径がDp2である。
【0052】
ロール紙R2にロール紙軸404が挿入可能でなければならないので、Dr2>Dc2という関係になっている。
【0053】
本実施形態の特徴は、Lサイズのロール紙R1の内径と、ポストカードサイズのロール紙R2の内径との関係が、Dr1>Dr2である。そして、Lサイズのロール紙軸102の径とポストカードサイズのロール紙R2の内径の径との関係が、Dc1>Dr2であり、ポストカードサイズのロール紙R2にLサイズのロール紙軸102が挿入できないようになっている。また、Lサイズのロール紙軸102の端部102a同士の間の長さとポストカードサイズのロール紙軸404の端部404a同士の間の長さの関係が、Lc1<Lc2となっていることである。
【0054】
次に、図9を参照して、アタッチメント401、402を用いたときのロール紙収納カセット1について説明する。
【0055】
図9はロール紙収納カセット1の下ケース104の上面図であり、(a)はアタッチメント401、402を取り付けていない状態、(b)はアタッチメント401、402を取り付けた状態である。
【0056】
アタッチメント401、402を取り付けていない状態(図9(a)参照)のロール紙収納幅をWr1、下ケース104にアタッチメント401、402を取り付けた状態(図9(b)参照)のロール紙収納幅をWr2とすると、Wr1>Wr2となる。また、Wr1>Lr1、Wr2>Lr2となっているため、アタッチメント401、402を取り付けていない場合(図9(a)参照)、Lサイズのロール紙R1が収納可能である。アタッチメント401、402を取り付けた場合(図9(b)参照)、ポストカードサイズのロール紙R2が収納可能である。
【0057】
つまり、アタッチメント401、402を取り付けた下ケース104のロール紙収納幅は、アタッチメント401、402の幅分だけ狭くなっている。この状態でLサイズのロール紙R1を入れようとしても、ロール紙収納幅Wr2とLサイズのロール紙R1の幅Lr1の関係は、Wr2<Lr1と設定しているため、Lサイズのロール紙R1をロール紙収納カセット1に配置することができない。
【0058】
図10は、アタッチメント401の概略斜視図であり、(a)がロール紙R2と接する側の面、(b)が裏面(ロール紙収納カセット1の端面と接する側の面)、(c)がアタッチメント401に取り付けられる片寄せガイド403を示している。これらの図を用いてアタッチメント401について説明する。
【0059】
アタッチメント401には弾性変形可能な腕401aが設けられており、アタッチメント401が下ケース104に装着される時には、この腕401aが撓み、腕401aの爪401cが下ケース104の係止部(不図示)に係止される。取り外し時には、再度この腕401aを撓ませて、爪401cを下ケース104の係止部から退避させて下ケース104からアタッチメント401を取り外す。
【0060】
下ケース104に取り付ける2つのアタッチメント401、402のうち、一方のアタッチメント401には切欠き部401bが設けられており、この切欠き部401bには、片寄せガイド403が取り付けられる。他方のアタッチメント402には切欠き部はなく片寄せされたロール紙R2が沿うための基準面を形成する。片寄せガイド403は、図10(b)で示すアタッチメント401の裏面から取り付けられ、アタッチメント401のガイド軸401dに片寄せガイド403の孔403aが嵌合しスライド可能に支持される。片寄せガイド403がアタッチメント401に取り付けられると、アタッチメント401の引っ掛け部401eにより片寄せガイド403の動きが規制され、外れるのを防止している。片寄せガイド403を取り付けたアタッチメント401を下ケース104に取り付け後、ポストカードサイズのロール紙R2を挿入したロール紙軸404を下ケース104に収容し、上ケース103を閉じ、ロール紙収納ケース1を記録装置本体に装填する。図4を用いて上述した付勢部材312によって片寄せガイド108が付勢されてポストカードサイズ用の片寄せガイド403を押圧し、この片寄せガイド403がポストカードサイズのロール紙R2の端面を押し、ロール紙R2を片寄せする。
【0061】
なお、アタッチメント401、402ともにロール紙軸404の端部404aが挿入可能な溝401jが設けられている。
【0062】
また、ロール紙のサイズを識別するための検知用突起401gが設けられている。ロール紙のサイズによって、下ケース104に取り付けられるアタッチメント401の種類が異なる。そのため、アタッチメント401の種別を判断することで、ロール紙のサイズが検知可能になっている。検知方法については後述する。
【0063】
さらに、ロール紙誤装填防止機構の一部を構成する突起401fも設けられている。ロール紙誤装填防止機構については後述する。
【0064】
図11は、アタッチメント401が取り付けられたときのロール紙収納ケース1の概略構成図である。図11(a)は、アタッチメント401が取り付けられている側のロール紙収納ケース1の端部を外部からみたときの概略概略図であり、図11(b)は、図11(a)のYY’の断面の概略図である。
【0065】
下ケース104の端面には、その中心を貫通している孔104jを有する窪んだ凹部104kを有する判別部104hが設けられており、この孔104j内に、アタッチメント401の突起部401gの先端が位置している。上ケース103と下ケース104が閉じた状態でも孔104dから検知用突起401gが見えるようになっている。
【0066】
4つの突起を有するアタッチメント識別用センサ5が記録装置本体3に設けられている。この突起が押されることによって信号が発生し、アタッチメントの種別の判断を行なっている。図示しないが、アタッチメントなしの状態でロール紙収納カセット1を記録装置本体3に装填した場合は、判別部104hの凹部104kの面がセンサ5の一番下の突起のみを押し、アタッチメントなし、つまり、ロール紙のサイズがLサイズであると検知する。アタッチメント401を装着した状態でロール紙収納カセット1を記録装置本体3に装填した場合は、判別部104hの凹部104kの面とアタッチメント401の突起401gによってセンサ5の上から2番目の突起と一番下の突起が押される。このことにより、ロール紙のサイズがポストカードサイズであることを検知する。アタッチメントごとに突起401gの位置を変えたり、突起401gの数を増やしたりすることで、アタッチメントごとに突起401gが押すアタッチメント識別用センサ5の突起の位置が変わるので、複数種類のアタッチメントを認識することができる。
【0067】
次に、図12を用いてロール紙誤装填防止機構について説明する。
【0068】
下ケース104にアタッチメント401、402を取り付けていない場合(図9(a)参照)は、Wr1>Lr2である。そのため、Lサイズのロール紙R1だけでなく、Lサイズよりも幅の小さいポストカードサイズのロール紙R2やカードサイズのロール紙R3を収納可能となってしまう。そこで、本実施形態のロール紙収納カセットでは、アタッチメント401、402を取り付けていない場合に、ポストカードサイズとカードサイズのロール紙R2、R3を収納不可能とし、Lサイズのロール紙R1のみが収納可能となるようにする。そのため、以下のようなロール紙誤装填防止機構が設けられている。
【0069】
図12は、図9に示す下ケース104のS−S断面の概略図であり、(a)はアタッチメント401がない場合、(b)はアタッチメント401が取り付けられている場合である。
【0070】
下ケース104の端部に設けられたトーションバネ111、規制部材となる規制レバー110、被支持部用溝104b、凹状の溝104eおよびアタッチメント401の突起401fでロール紙誤装填防止機構が構成されている。上述したように、凹状の溝104eの幅は、被支持部用溝104bの幅よりも大きい。
【0071】
被支持部用溝104bの幅をM1、凹状の溝104eの幅をM2とすると、M2>Ds2=Ds1>M1、M1>Dp1=Dp2となっている。ここで、Lc2>Wr1>Lc1となるようにする。
【0072】
アタッチメントなしの状態において、トーションバネ111によって付勢されることで規制レバー110が回動して、凹状の溝104e内に規制レバー110が位置することができる(この位置を規制位置とする)。ただし、規制レバー110は、被支持部用溝104bに位置することはない。
【0073】
図12(a)に示すように、アタッチメント401なしの状態では、規制レバー110はトーションバネ111によって図中時計回りに付勢され、凹状の溝104eに突出した状態、つまり規制レバー110が規制位置に位置する。Lサイズのロール紙R1用のロール紙軸102の場合、Wr1>Lc1より、Dp1の径を有する被支持部102bのみが凹状の溝104eと被支持部用溝104bを通過する。そのため、規制レバー110が凹状の溝104eに突出してもロール紙軸102を所定の位置に配置できる。
【0074】
一方、ポストカードサイズのロール紙R2用のロール紙軸404の場合、Lc2>Wr1であることから、ロール紙軸404のDs2の径を有する端部404aは凹状の溝104eを通る必要がある。そのため、ロール紙軸404を所定の位置に向かって押し込もうとしてもロール紙軸404の端部404aが規制レバー110により進入を妨げられ、押し込むことができなくなる。
【0075】
図12(b)に示すように、下ケース104にアタッチメント401(図12(b)には突起401fのみを図示)を装着すると、アタッチメント401に設けられた突起401fが開口104fを通って押し込まれる。そして、規制レバー110と当接し、規制レバー110を押し込む。押し込まれた規制レバー110は反時計回りに回動し、凹上の溝104eから退避した状態になる(この位置を非規制位置とする)。したがって、ポストカードサイズ用のロール紙軸404の端部404aが凹状の溝104eを移動でき、ポストカードサイズ用のロール紙軸404を所定の位置に配置することができる。
【0076】
このように、アタッチメント401、402の取り外し状態では、規制部材110は、特定の種類のロール紙軸(ポストカードサイズのロール紙R2用のロール紙軸404)の進入を妨げる。それと同時に、他の特定の種類のロール紙軸(Lサイズのロール紙R1用のロール紙軸102)の進入を許容することができる。そして、アタッチメント401、402の取り付けによって、ポストカードサイズのロール紙軸404の進入を妨げる位置から妨げない位置に移動させられる。
【0077】
また、Wr2<Lr1から、アタッチメント401、402を装着したロール紙収納カセット1にはLサイズのロール紙R1を入れることができない。さらに、Wr1<Lc2とから、ポストカードサイズ用のロール紙軸404はアタッチメント401、402のついていないロール紙収納カセット1には入れることができない。
【0078】
また、ロール紙収納カセット1をプリンタ本体3に装填した時のカセット種別検知スイッチ5が検出したロール紙のサイズと実際にロール紙収納カセット1に入っているロール紙のサイズが一致した状態で記録を行なうことができる。そのため、ロール紙の搬送量の制御や記録サイズの設定が正しく行え、紙詰まり、記録画像のはみ出し、または余白の発生を防ぐことができる。
【0079】
Dc1>Dr2となるため、Lサイズ用のロール紙軸102をポストカードサイズのロール紙R2に挿入することはできない。
【0080】
共通のロール紙収納カセット1で複数サイズのロール紙を使用するのではなく、それぞれのロール紙のサイズに応じたロール紙収納カセットを用意することができるならば、アタッチメント401、402を下ケース104と一体化してもよい。この場合は、M1の幅を有する被支持部用溝104bとM2の幅を有する凹状の溝104eのみでロール紙の誤装填を防止できるので、規制レバー110を用いるロール紙誤装填防止機構を備える必要がなく、より単純にロール紙の誤装填を防止できる。
【0081】
[実施形態2]
図13を用いて、本発明に係る記録装置の他の実施形態のロール紙収納カセットについて説明する。上述の実施形態では、ロール紙のサイズが2種類であったが、本実施形態では、上述の2種類のロール紙R1、R2のほかに、カードサイズのロール紙R3を加えた3種類のロール紙に対応する場合について説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0082】
図13は、カードサイズのロール紙R3を使用するときのロール紙収納カセット1の概略構成図である。
【0083】
カードサイズのロール紙R3を使用する場合はポストカードサイズのロール紙R2を使用するときと同様、ロール紙収納カセット1にカードサイズのロール紙R3用のアタッチメント601、602を装着する。
【0084】
なお、アタッチメント601、602の基本的な構成は、ポストカードサイズのロール紙R2用のアタッチメント401、402と同様であるが、ロール紙軸604(図14参照)を固定するための溝601j、602jの形状が異なっている。本実施形態の溝601j、602jは、段部が設けられていることにより、2段階の幅を有し、その幅は、下ケース104の端部側では小さく、ロール紙R3と接する側では大きくなっている。
【0085】
一方のアタッチメント601にはポストカードサイズのロール紙R2用のアタッチメント401と同様に、カードサイズのロール紙R3の外周を片寄せするための片寄せガイド603が取り付けられている。
【0086】
図14は、カードサイズのロール紙R3とロール紙軸604を説明するため図であり、(a)は、ロール紙R3の寸法を示す図、(b)は、ロール紙軸604の寸法を示す図である。
【0087】
ロール紙R3の寸法は、ロール紙R3の幅がLr3、ロール紙R3の内径がDr3である。ここで、Lr3<Lr2である。
【0088】
ロール紙R3用のロール紙軸604は、芯部604cと、端部604aと、端部604aの間に、芯部604cの径と端部604aの径の間の径を有する段部604dと、端部604aから突出する被支持部604bとを有する。
【0089】
芯部604c、段部604d、端部604a、被支持部604bの順番に径が大きい。
【0090】
ロール紙軸604は、ロール紙軸604の段部同士604dの間の長さがLc3である。ロール紙軸604の芯部604cの径がDc3、ロール紙軸604の段部604dの径をDs3、ポストカードサイズのロール紙軸404と同形状の部分(Ds2、Lc2、Dp2は図8参照))は説明を省略する。
【0091】
Dr1>Dc1>Dr2>Dc2>Dr3>Dc3となるようにすることで、カードサイズのロール紙R3に、ポストカードサイズ用のロール紙軸404やLサイズ用のロール紙軸102を挿入できないため、ロール紙軸の誤挿入を防止することができる。
【0092】
仮に、ユーザーがロール紙にロール紙軸を差し込む形態ではなく、ロール紙とロール紙軸とが一体の状態にあるものを使用する形態にするのであれば、ロール紙軸に誤挿入防止のための構造を設ける必要がなく、単純な構成にできる。
【0093】
カードサイズのロール紙軸604がアタッチメント601、602を未装着のロール紙収納カセット1に装着できないようにする構成は、上述の実施形態と同様である。アタッチメント601、602を未装着の場合、下ケース104に設けられた規制レバー110が凹状の溝104eに位置しているため、ロール紙軸604の端部604aの移動が、規制レバー110によって妨げられる。
【0094】
アタッチメント601の裏面(ロール紙収納カセット1の端部と接する側の面)にはポストカード用アタッチメント401と同様に、規制レバーを回動させるための突起とカセット種別検知用の突起が設けられている。そのため、上述の実施形態と同様にアタッチメント601、602を装着することで、規制レバー110は凹状の溝104eから退避することができる。
【0095】
図15は、アタッチメント601、602を取り付けたときのロール紙収納カセット1の下ケース104の上面図である。
【0096】
アタッチメント601、602を取り付けた状態のロール紙収納幅はWr3である。また、アタッチメント601、602同士の溝601j、602jの径が変わる位置同士の間の長さをWr4とすると、Lr3<Wr3<Lc3<Wr4とする。Lr1>Lr2>Wr3>Lr3となっているため、アタッチメント601、602を取り付けた下ケース104には、Wr3よりも幅の大きいLサイズとポストカードサイズのロール紙R1、R2は収納できず、カードサイズのロール紙R3のみが収納可能である。ちなみに、溝601j、602jの太い部分(ロール紙R3と接する側)の幅は、段部604dの径Ds3よりも大きい。また、溝601j、602jの細い部分(下ケース104の端部側)の幅は、端部604aの径Ds2よりも大きく、段部604dの径Ds3よりも小さい。このようにすることで、ロール紙R3を挿入したロール紙軸604を、下ケース104に配置できる。
【0097】
また、Lr3<Wr2であるので、アタッチメント401、402を取り付けた下ケース104の場合(図9(b)参照)、カードサイズのロール紙R3は収納可能となってしまう。そこで、本実施形態のロール紙収納カセットでは、Wr4>Lc3>Wr2>Wr3とし、さらに、Ds3を、アタッチメント401の溝401jの幅(径)よりも大きくしている。従って、カードサイズのロール紙R3が差し込まれたロール紙軸604を、アタッチメント401、402が取り付けられた下ケース104に装着しようとすると、ロール紙軸の段部604dが、アタッチメント401の溝401jと干渉し、軸を装着できなくなる。
【0098】
以上のことより、Lサイズ、ポストカードサイズ、およびカードサイズのロール紙R1、R2、R3を用いる場合においても、ロール紙と、アタッチメントと、ロール紙軸の組み合わせを一致させることが容易にできる。また、ロール紙収納カセット1に装填されたロール紙を正しく検出できるので、ロール紙搬送の制御や記録サイズの設定が正しくでき、紙ジャムや画像のはみ出し、余白の発生を防ぐことができる。
【0099】
上述の説明では、3種類のサイズのロール紙を記録装置に適用する方法を説明したが、4種類以上のサイズのロール紙を適用する場合は、ロール紙軸に段部を複数設けるようにすればよい。それに合わせて、アタッチメントの溝の形状も変化させればよい。
【符号の説明】
【0100】
1 ロール紙収納カセット
103上ケース
104下ケース
401、402アタッチメント
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置に関し、特にロール紙を収容するロール紙収納カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体としてロール紙を使用する昇華型記録装置が業務用として広く普及しており、家庭用としても普及してきている。
【0003】
ロール紙を利用する利点は、用紙を連続して供給できるため、連続記録を行なう場合に短冊状用紙の給紙に比べて短い時間で給紙動作を完了することができる。このため、短冊状の用紙よりもロール紙の方が大量に連続記録を行なう場合には短時間で全ての記録を完了できる。また、他の利点としては、記録物に余白部分が残らない、つまり、ふちなし記録が容易に可能ということがある。さらに、新しいロール紙を使うときに、ロール紙が収納されたロール紙収納ケースごと交換するのではなく、ユーザーがロール紙を用意し、ロール紙にロール紙軸を通してロール収納カセットに入れ、プリンタ本体に装填することで、記録費用を低コスト化できる。
【0004】
従来技術のロール紙収納カセットは、ロール紙が収容されるカセット本体部と、ロール紙の回転を促進する回転ローラを有するカセット蓋と、一方がカセット本体部に、他方が連結部を介してカセット蓋に接続されているアームとを有する(例えば特許文献1)。
【0005】
このロール紙収納カセットは、前述の連結部を中心に回転することで、カセット蓋によってカセット本体部が閉じられる。ロール紙収納カセットにロール紙を収容した状態で、記録装置本体に設置、または記録装置本体からの取り出しがされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−306511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ロール紙を使い切る前に前述したロール紙収納カセットからロール紙を取り出そうとすると、ロール紙が解けて広がってしまう場合がある。再度このロール紙を使う場合は、ユーザーがロール紙を巻き締めてからロール紙収納カセットに収容する必要がある。また、ロール紙は記録面を内側にして巻かれているため、ユーザーが記録面に触ることはないが、ロール紙が解けて広がった時にはユーザーが記録面を触ってしまう可能性がある。このような場合、記録面のユーザーが触った部分は、昇華したインクがつきにくくなり、記録品質が悪くなる可能性がある。
【0008】
さらに、記録装置は、利便性から複数サイズのロール紙が使用可能であり、ロール紙を使い切る前の途中交換も可能にしておく必要がある。しかしながら、ロール紙を交換するために、ロール紙を使用し切る前にロール紙収納ケースから取り出そうとすると、上述した問題が生じる。したがって、一度ロール紙をロール紙収納カセットに入れたら、使い切るまでロール紙収納カセットを開かないことが望ましい。つまり、ロール紙の種類に応じたロール紙収納カセットを用意しておいた方がロール紙を汚すことなく保管することができ、カセット種別の誤検知を防ぐこともでき、さらに、ロール紙の交換もカセットを入れ替えるだけの作業で行なうことができる。
【0009】
しかしながら、記録装置が複数のロール紙のサイズに対応する場合には2つの課題がある。
【0010】
第1の課題は、ロール紙のサイズごとに専用のロール紙収納カセットをつくった場合、ユーザーは必ずロール紙のサイズに応じた複数のロール紙収納カセットを用意する必要があり、記録するためのコストが高くなってしまう。
【0011】
第2の課題は、記録費用の低コスト化のため、ユーザーがロール紙にロール紙軸を挿入してロール紙収納カセットに装填する場合に、ロール紙、ロール紙軸およびロール紙収納カセットの組み合わせが一致していない状態で使用してしまう場合がある。ロール紙、ロール紙軸およびロール紙収納カセットの組み合わせが一致していない状態で使用すると、記録範囲やロール紙の送り量の不一致が起こり、はみ出しや余白ができてしまい記録品質が低下してしまう。
【0012】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ロール紙のサイズに応じたロール紙収納カセットが必要なく、ロール紙、ロール紙軸およびロール紙収納カセットの誤装填を防止する、ロール紙収納カセットおよび記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のロール紙軸の芯部に巻かれたロール紙を収容するロール紙収納カセットは、互いに開閉可能な1対のケースと、ロール紙のサイズに応じてケース両端部の内側に着脱できるアタッチメントとを有する。また、アタッチメントの取り外し状態では、特定の種類のロール紙軸の進入を妨げ、かつ、他の特定の種類のロール紙軸の進入を許容し、アタッチメントの取り付けによって、特定の種類のロール紙軸の進入を妨げる位置から移動させられる規制部材を有している。
【発明の効果】
【0014】
1つのロール紙収納カセットを複数のサイズのロール紙に使用することができ、ロール紙、ロール紙軸およびロール紙収納カセットの誤装填を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る記録装置の一実施形態の外観概略図である。
【図2】本発明に係る記録装置の要部の概略構成図である。
【図3】ロール紙軸を装着したロール紙と、開いた状態のロール紙収納カセットの概略斜視図を示している。
【図4】片寄ガイドの加圧方法について説明する図である。
【図5】上ケースを閉じた状態のロール紙収納カセットの端面の概略図である。
【図6】ロール紙軸を装着したポストカードサイズのロール紙と、開いた状態のアタッチメントを装着したロール紙収納カセットの概略斜視図である。
【図7】図2に示すロール紙とロール紙軸を説明するための図である。
【図8】図6に示すポストカードサイズのロール紙とロール紙軸を説明するための図である。
【図9】ロール紙収納カセットの下ケースの上面図である。
【図10】アタッチメントの概略斜視図である。
【図11】アタッチメントが取り付けられたときのロール紙収納ケースの概略構成図である。
【図12】図9に示す下ケースのS−S断面の概略図である。
【図13】カードサイズのロール紙を使用するときのロール紙収納カセットの概略構成図である。
【図14】カードサイズのロール紙とロール紙軸を説明するため図である。
【図15】アタッチメントを取り付けたときのロール紙収納カセットの下ケースの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。なお、同一の機能を有する構成には添付図面中、同一の番号を付与し、その説明を省略することがある。
【0017】
[実施形態1]
図1は、本発明に係る記録装置の一実施形態の外観概略図である。
【0018】
本発明の記録装置は、記録装置本体3と、記録装置本体に収容されるインクリボンカセット2とロール紙収納カセット1とで構成されており、インクリボンカセット2とロール紙収納カセット1は、記録装置本体3から着脱可能である。記録を行なう際には、インクリボンカセット2と、後述するロール紙R1を収納および保持するためのロール紙収納カセット1とを記録装置本体3に装填する。その後、記録装置本体3のタッチパネルなどの操作部301で記録したい画像を選択し、ロール紙R1(図2等参照)への記録を行う。
【0019】
図2は、本発明に係る記録装置の要部の概略構成図である。記録装置本体3にロール紙収納カセット1とインクリボンカセット2とがセットされた状態を示している。
【0020】
ロール紙収納カセット1内に、記録媒体であるロール紙R1がロール紙軸102にロール状に巻き回されている。ロール紙収納カセット1には、ロール紙収納カセット1内からロール紙R1を排出できるように、カセット出口104dが設けられている。不図示のモータにより駆動され、ロール紙収納カセット1内のロール紙R1をカセット出口104dに搬送する、給紙ローラ311が記録装置本体3に設けられている。
【0021】
ロール紙収納カセット1の、ロール紙R1の搬送経路の下流には、表面に突起を有するグリップローラ313と、ロール紙R1の搬送経路を挟んでグリップローラ313と対向する位置にある従動ローラであるピンチローラ314とのローラ対Xが設けられている。ピンチローラ314をグリップローラ313の方向に強く付勢することでグリップローラ313の表面の突起(図示せず)がロール紙R1の背面に押し付けられ、ローラ表面とロール紙R1とのすべりが防止される。そのため、ロール紙R1は、所望の距離を精度よく搬送される。
【0022】
ローラ対Xの下流側には、記録部が設けられている。記録部には、サーマルヘッド315と、ロール紙R1の搬送経路を挟んでサーマルヘッド315と対向する位置にあるプラテンローラ316とが設けられている。サーマルヘッド315は、不図示の回動中心を備える取り付けフレーム及び不図示の弾性部材と略一体的に構成されており、不図示のカムギア等の制御によって取り付けフレームと一体的にプラテンローラ316に向かって移動可能である。
【0023】
インクリボンカセット2には、インクリボン203を収納しておく供給側ボビン201と、使用したインクリボン203を巻き取っていく巻取り側ボビン202とが設けられている。インクリボンカセット2が記録装置本体3に装着されると、供給側ボビン201と巻取り側ボビン202はそれぞれ記録装置本体3に設けられた軸に支持される。そして、巻取り側ボビン202はグリップローラ313を駆動する動力と同じ動力源により回転駆動される。供給側ボビン201は自由に回転可能になっている。インクリボン203は供給側ボビン201に巻かれ、先端は、巻取り側ボビン202につながっているため、巻取り側ボビン202が回転することでインクリボン203が供給側ボビン201から巻き取られる。
【0024】
サーマルヘッド315は複数の発熱素子を有する加熱部を備えており、記録情報に応じて発熱素子を選択的に加熱し、インクリボン203上に一様に塗布されたインクをロール紙R1に熱転写する。具体的には、サーマルヘッド315をプラテンローラ316に向かって押圧し、供給側ボビン201から供給されるインクリボン203とロール紙R1とを適当な圧力及び適当な温度で圧着させることで、ロール紙R1へのインクの熱転写を可能としている。
【0025】
図示していないが、記録部の、ロール紙R1の搬送経路の下流側には、ロール紙R1の記録部分を切断するカッターや、ロール紙R1から切り離された記録物を不図示の収容部に搬送する不図示の搬送ローラなどが設けられている。
【0026】
ここで、記録動作について説明する。給紙時にロール紙R1を下流側にあらかじめ記録に必要な長さを引き出しておき、画像データの準備ができると、サーマルヘッド315をプラテンローラ316方向へ加圧してグリップローラ313でロール紙R1を上流側へ搬送しながら記録が行なわれる。記録時にはサーマルヘッド315とプラテンローラ316によってロール紙R1とインクリボン203が圧接され、サーマルヘッド315に設けられた発熱素子によって熱が加えられることによってインクリボン203のインクがロール紙R1に転写されていく。ロール紙R1の搬送方向(上流側)と同方向にインクリボン203も搬送されており、使用後のインクリボンは巻取り側ボビン202へ巻き取られていく。
【0027】
本実施形態の記録装置は昇華型であるため、写真などのカラー印刷の場合は、イエロー、マゼンタ、シアンと色を重ねる必要がある。このため、1色目のイエローの記録が終わると再度、ロール紙R1を記録開始位置まで搬送し、イエローと同様にマゼンタの記録を行う。同様の動作を色の数だけ行い、全部の色の記録が完了する。そして、ロール紙R1を搬送し、カッターでロール紙R1から記録部分をカットし、搬送ローラで収容部に排紙する。続けて次の画像を記録する場合は、ロール紙R1を記録開始位置まで搬送し、再び記録動作に入る。次の画像を記録しない場合は給紙ローラ311を給紙時とは逆回転させ、ロール紙R1の先端をロール紙収納カセット1の内部へ引き込んで、待機状態になる。
【0028】
図3は、ロール紙軸102を装着したロール紙R1と、ロール紙収納カセット1を開いた状態の概略斜視図を示している。この図を用いてロール紙収納カセット1の構成をさらに詳しく説明する。
【0029】
ロール紙収納カセット1の構成は主にロール紙R1と、ロール紙収納ケース10と、ロール紙軸102との3つで構成される。ロール紙R1を交換する方法の一例としては、ユーザーがロール紙R1のみを用意し、ロール紙軸102を挿入し、ロール紙収納カセット1に収容する。この方法では、ロール紙R1を使い切った後は廃棄や紙回収およびリサイクルをするものがないので、低コストおよび省資源の利点がある。その他の方法としては、使い勝手を優先する場合は、ロール紙R1をあらかじめロール紙軸102に巻きつけた状態にしておいたり、ロール紙収納カセット1にロール紙R1がセットされた状態にしておいたりするなど、目的に応じて様々な形態をとることができる。
【0030】
ロール紙収納カセット1は上ケース103と下ケース104からなる開閉可能な1対のケースを有し、下ケース104に対して上ケース103が開閉するようになっている。両方のケース103、104の内周面には搬送抵抗を減らすためリブ103a、104aと従動コロ105が複数設けられている。下ケース104の両端部の内面には、端面の周上のある位置から、端面の中心を通り、ある位置と点対称となるような端面の周上の位置の近傍まで、後述するロール紙軸の突起部をガイドする凹状の溝104eが設けられている。また、凹状の溝104eの内部には、凹状の溝に沿って端面を貫通しているロール紙軸の被支持部用の溝104bが設けられている。凹状の溝104eの幅は、被支持部用溝104bの幅よりも大きい。
【0031】
上ケース103にはロール紙軸102を付勢するための加圧バネ106と付勢方向にスライド可能な加圧ガイド107が取り付けられている。この加圧バネ106と加圧ガイド107は上ケース103の両端に設けられており、ロール紙軸102の被支持部102b(図7参照)を均一に付勢することができるようになっている。また、記録装置本体3に設けられた給紙ローラ311とロール紙R1とを接触させるための開口である給紙ローラ用開口部104iが設けられている。
【0032】
下ケース104の端面の内壁104cは、ロール紙R1が幅方向に移動するのを規制する壁になっており、ロール紙R1の蛇行や幅方向の位置ずれを軽減する役割をしている。下ケース104の片方の端面にはロール紙R1の端部付近を付勢するための片寄せガイド108が設けられており、片寄せガイド108はロール紙R1の幅方向(下ケース104の長手方向)にスライド可能になっている。片寄せガイド108の支持方法については図4を用いて後述する。片寄せガイド108がロール紙R1の端面近傍を押すことでロール紙R1の幅方向ガタつきや斜行の防止に役立っている。
【0033】
また、下ケース104には、ロール紙R1の先端をピックアップするためのピックアップガイド101が設けられており、ピックアップガイド101は図示していないバネによってロール紙方向に常に付勢されている。巻かれているロール紙R1の表面にピックアップガイド101の先端が沿うことで、給紙時にロール紙R1の先端を確実にピックアップできるようになっている。
【0034】
図4を参照して、ロール紙R1の端部近傍を付勢している片寄ガイド108の加圧方法について説明する。図4(a)はロール紙収納ケース1を記録装置本体3に装填している途中の状態の概略斜視図であり、図4(b)は、付勢部材と取り付け部の構成を示す展開図であり、図4(c)は、片寄せ部材108を下ケース104の内側から見た概略断面図である。なお、構造を分かりやすくするために、上ケース103、ロール紙R1、およびロール紙軸102は省略している。また、下ケース104は、矢印Aの方向に装填される。
【0035】
給紙ローラ311は記録装置本体3内部のフレーム310に軸受309を介して回転可能に支持されており、給紙ローラ311と同軸上にスライド可能な付勢部材312が設けられている。付勢部材312は片寄せガイド108に接するスライダ308と圧縮バネ307で構成されており、軸受309から突出する突起309aによりスライド可能に支持されている。スライダ308の先端の規制はEリング306で行なわれる。下ケース104の端面はこの付勢部材312が侵入可能になっており、下ケース104を記録装置本体3に挿入していくと、下ケース104に取り付けた片寄せガイド108が付勢部材312により押されるようになっている。
【0036】
片寄せガイド108は、下ケース104に設けられたT字型の突起104gにスライド可能に支持されている。このため下ケース104を記録装置本体3に挿入完了後、片寄せガイド108が下ケース104の長手方向内側にスライドし、ロール紙R1の端部を付勢することができ、ロール紙R1の幅方向のガタつきや斜行を防止することができる。
【0037】
図5を参照して、加圧ガイド107の動きと被支持部102bの加圧方向について説明する。
【0038】
図5は、上ケース103を閉じた状態のロール紙収納カセット1の端面の概略図であり、(a)はロール紙R1が未使用の状態、(b)はロール紙R1を使いきった状態を示している。また、ロール紙収納ケース1が記録装置本体3に装填されていると仮定し、給紙ローラ311も図示している。また、加圧バネ106の様子がわかるように図示している。
【0039】
ロール紙R1にロール紙軸102を挿入して下ケース104に収容し、上ケース103を閉じると、圧縮された加圧バネ106の弾性力によって加圧ガイド107が付勢され、被支持部102bが給紙ローラ311の方向へ押される。その結果、巻かれているロール紙R1の表面が給紙ローラ311に押し付けられる。そして、ロール紙R1の表面を給紙ローラ311に押し付けた状態で、ロール紙R1の先端がカセット出口104dに搬送されるように給紙ローラ311を回転させると、ロール紙R1が回転し、ロール紙R1の先端がロール紙収納カセット1の外へ送り出される。
【0040】
未使用状態のロール紙R1が装填されている場合には、被支持部102bは給紙ローラ311とは離れた位置にあり、加圧バネ106が最も圧縮されている状態である。ロール紙R1への記録が行われていき、ロール紙R1の残りが減るにつれて、ロール紙R1の巻き径は小さくなっていき、ロール紙R1を使い切った場合には被支持部102bは最も給紙ローラ311に近い位置になる。このとき、加圧バネ106は伸びた状態になっている。巻かれているロール紙R1の表面を給紙ローラ311に押し付ける加圧力は、強く一定であることが望ましい。しかしながら、上記のように加圧バネ106はロール紙R1の巻き径の変動に追従して伸びていくため、加圧力を確保しつつ、できる限り巻き径を大きく、巻き数を多くしてバネ定数を小さくしておくことが望ましい。
【0041】
ここで図3と図6を参照して、2種類のロール紙を適用可能にするためのロール紙軸とロール紙収納カセットの構成を説明する。図3は、幅の広いLサイズのロール紙R1を示しており、図6は、幅の狭いポストカードサイズのロール紙R2を示している。ここで挙げたロール紙R1、R2のサイズは一例であり、2種類の様々なサイズのロール紙に適応することができる。
【0042】
図3に示しているLサイズのロール紙R1に対応するロール紙収納カセット1と、図6に示しているポストカードサイズのロール紙R2に対応するロール紙収納カセット1は共通部品である。異なる点は、ロール紙R1とロール紙R2とにそれぞれ挿入するロール紙軸102、404が異なることと、ポストカードサイズのロール紙R2を用いる場合には、図6に示すアタッチメント401、402がロール紙収納カセット1に装着される点である。
【0043】
まず、ロール紙とロール紙軸の寸法関係を説明する。
【0044】
図7と図8を参照して、図3と図6に示したロール紙R1、R2とロール紙軸102、404の径と長さの関係を説明する。
【0045】
図7は、図2に示すLサイズのロール紙R1とロール紙軸102を説明するための図であり、(a)は、ロール紙R1の寸法を示す図、(b)は、ロール紙軸102の寸法を示す図である。
【0046】
ロール紙R1の寸法は、ロール紙R1の幅がLr1、ロール紙R1の内径がDr1である。
【0047】
ロール紙軸102は、実際にロール紙R1の内周部と接する芯部102cと、芯部102cの端面から突出する端部102aと、端部102aから突出し、下ケース104に支持される被支持部102bとを有している。また、芯部102c、端部102a、被支持部102bの順に径が大きい。ロール紙軸102の端部同士102aの間の長さがLc1、ロール紙軸102の芯部102cの径がDc1、ロール紙軸102の端部102aの径がDs1である。また、被支持部102bの径がDp1である。
【0048】
ロール紙R1にロール紙軸102が挿入可能でなければならないので、Dr1>Dc1
という関係になっている。
【0049】
図8は、図6に示すポストカードサイズのロール紙R2とロール紙軸404を説明するための図であり、(a)は、ロール紙R2の寸法を示す図であり、(b)は、ロール紙軸404の寸法を示す図である。
【0050】
ロール紙R2の寸法は、ロール紙R2の幅がLr2、ロール紙R2の内径がDr2である。また、ロール紙R2の幅Lr2は、Lr2<Lr1となっている。
【0051】
ロール紙軸404は、実際にロール紙R2の内周部と接する芯部404cと、芯部404cの端面から突出する端部404aと、端部404aから突出し、下ケース104に支持される被支持部404bとを有している。また、芯部404c、端部404a、被支持部404bの順番に径が大きい。ロール紙軸404の端部同士404aの間の長さがLc2、ロール紙軸404の芯部404cの径がDc2、ロール紙軸404の端部404aの径がDs2である。また、被支持部404bの径がDp2である。
【0052】
ロール紙R2にロール紙軸404が挿入可能でなければならないので、Dr2>Dc2という関係になっている。
【0053】
本実施形態の特徴は、Lサイズのロール紙R1の内径と、ポストカードサイズのロール紙R2の内径との関係が、Dr1>Dr2である。そして、Lサイズのロール紙軸102の径とポストカードサイズのロール紙R2の内径の径との関係が、Dc1>Dr2であり、ポストカードサイズのロール紙R2にLサイズのロール紙軸102が挿入できないようになっている。また、Lサイズのロール紙軸102の端部102a同士の間の長さとポストカードサイズのロール紙軸404の端部404a同士の間の長さの関係が、Lc1<Lc2となっていることである。
【0054】
次に、図9を参照して、アタッチメント401、402を用いたときのロール紙収納カセット1について説明する。
【0055】
図9はロール紙収納カセット1の下ケース104の上面図であり、(a)はアタッチメント401、402を取り付けていない状態、(b)はアタッチメント401、402を取り付けた状態である。
【0056】
アタッチメント401、402を取り付けていない状態(図9(a)参照)のロール紙収納幅をWr1、下ケース104にアタッチメント401、402を取り付けた状態(図9(b)参照)のロール紙収納幅をWr2とすると、Wr1>Wr2となる。また、Wr1>Lr1、Wr2>Lr2となっているため、アタッチメント401、402を取り付けていない場合(図9(a)参照)、Lサイズのロール紙R1が収納可能である。アタッチメント401、402を取り付けた場合(図9(b)参照)、ポストカードサイズのロール紙R2が収納可能である。
【0057】
つまり、アタッチメント401、402を取り付けた下ケース104のロール紙収納幅は、アタッチメント401、402の幅分だけ狭くなっている。この状態でLサイズのロール紙R1を入れようとしても、ロール紙収納幅Wr2とLサイズのロール紙R1の幅Lr1の関係は、Wr2<Lr1と設定しているため、Lサイズのロール紙R1をロール紙収納カセット1に配置することができない。
【0058】
図10は、アタッチメント401の概略斜視図であり、(a)がロール紙R2と接する側の面、(b)が裏面(ロール紙収納カセット1の端面と接する側の面)、(c)がアタッチメント401に取り付けられる片寄せガイド403を示している。これらの図を用いてアタッチメント401について説明する。
【0059】
アタッチメント401には弾性変形可能な腕401aが設けられており、アタッチメント401が下ケース104に装着される時には、この腕401aが撓み、腕401aの爪401cが下ケース104の係止部(不図示)に係止される。取り外し時には、再度この腕401aを撓ませて、爪401cを下ケース104の係止部から退避させて下ケース104からアタッチメント401を取り外す。
【0060】
下ケース104に取り付ける2つのアタッチメント401、402のうち、一方のアタッチメント401には切欠き部401bが設けられており、この切欠き部401bには、片寄せガイド403が取り付けられる。他方のアタッチメント402には切欠き部はなく片寄せされたロール紙R2が沿うための基準面を形成する。片寄せガイド403は、図10(b)で示すアタッチメント401の裏面から取り付けられ、アタッチメント401のガイド軸401dに片寄せガイド403の孔403aが嵌合しスライド可能に支持される。片寄せガイド403がアタッチメント401に取り付けられると、アタッチメント401の引っ掛け部401eにより片寄せガイド403の動きが規制され、外れるのを防止している。片寄せガイド403を取り付けたアタッチメント401を下ケース104に取り付け後、ポストカードサイズのロール紙R2を挿入したロール紙軸404を下ケース104に収容し、上ケース103を閉じ、ロール紙収納ケース1を記録装置本体に装填する。図4を用いて上述した付勢部材312によって片寄せガイド108が付勢されてポストカードサイズ用の片寄せガイド403を押圧し、この片寄せガイド403がポストカードサイズのロール紙R2の端面を押し、ロール紙R2を片寄せする。
【0061】
なお、アタッチメント401、402ともにロール紙軸404の端部404aが挿入可能な溝401jが設けられている。
【0062】
また、ロール紙のサイズを識別するための検知用突起401gが設けられている。ロール紙のサイズによって、下ケース104に取り付けられるアタッチメント401の種類が異なる。そのため、アタッチメント401の種別を判断することで、ロール紙のサイズが検知可能になっている。検知方法については後述する。
【0063】
さらに、ロール紙誤装填防止機構の一部を構成する突起401fも設けられている。ロール紙誤装填防止機構については後述する。
【0064】
図11は、アタッチメント401が取り付けられたときのロール紙収納ケース1の概略構成図である。図11(a)は、アタッチメント401が取り付けられている側のロール紙収納ケース1の端部を外部からみたときの概略概略図であり、図11(b)は、図11(a)のYY’の断面の概略図である。
【0065】
下ケース104の端面には、その中心を貫通している孔104jを有する窪んだ凹部104kを有する判別部104hが設けられており、この孔104j内に、アタッチメント401の突起部401gの先端が位置している。上ケース103と下ケース104が閉じた状態でも孔104dから検知用突起401gが見えるようになっている。
【0066】
4つの突起を有するアタッチメント識別用センサ5が記録装置本体3に設けられている。この突起が押されることによって信号が発生し、アタッチメントの種別の判断を行なっている。図示しないが、アタッチメントなしの状態でロール紙収納カセット1を記録装置本体3に装填した場合は、判別部104hの凹部104kの面がセンサ5の一番下の突起のみを押し、アタッチメントなし、つまり、ロール紙のサイズがLサイズであると検知する。アタッチメント401を装着した状態でロール紙収納カセット1を記録装置本体3に装填した場合は、判別部104hの凹部104kの面とアタッチメント401の突起401gによってセンサ5の上から2番目の突起と一番下の突起が押される。このことにより、ロール紙のサイズがポストカードサイズであることを検知する。アタッチメントごとに突起401gの位置を変えたり、突起401gの数を増やしたりすることで、アタッチメントごとに突起401gが押すアタッチメント識別用センサ5の突起の位置が変わるので、複数種類のアタッチメントを認識することができる。
【0067】
次に、図12を用いてロール紙誤装填防止機構について説明する。
【0068】
下ケース104にアタッチメント401、402を取り付けていない場合(図9(a)参照)は、Wr1>Lr2である。そのため、Lサイズのロール紙R1だけでなく、Lサイズよりも幅の小さいポストカードサイズのロール紙R2やカードサイズのロール紙R3を収納可能となってしまう。そこで、本実施形態のロール紙収納カセットでは、アタッチメント401、402を取り付けていない場合に、ポストカードサイズとカードサイズのロール紙R2、R3を収納不可能とし、Lサイズのロール紙R1のみが収納可能となるようにする。そのため、以下のようなロール紙誤装填防止機構が設けられている。
【0069】
図12は、図9に示す下ケース104のS−S断面の概略図であり、(a)はアタッチメント401がない場合、(b)はアタッチメント401が取り付けられている場合である。
【0070】
下ケース104の端部に設けられたトーションバネ111、規制部材となる規制レバー110、被支持部用溝104b、凹状の溝104eおよびアタッチメント401の突起401fでロール紙誤装填防止機構が構成されている。上述したように、凹状の溝104eの幅は、被支持部用溝104bの幅よりも大きい。
【0071】
被支持部用溝104bの幅をM1、凹状の溝104eの幅をM2とすると、M2>Ds2=Ds1>M1、M1>Dp1=Dp2となっている。ここで、Lc2>Wr1>Lc1となるようにする。
【0072】
アタッチメントなしの状態において、トーションバネ111によって付勢されることで規制レバー110が回動して、凹状の溝104e内に規制レバー110が位置することができる(この位置を規制位置とする)。ただし、規制レバー110は、被支持部用溝104bに位置することはない。
【0073】
図12(a)に示すように、アタッチメント401なしの状態では、規制レバー110はトーションバネ111によって図中時計回りに付勢され、凹状の溝104eに突出した状態、つまり規制レバー110が規制位置に位置する。Lサイズのロール紙R1用のロール紙軸102の場合、Wr1>Lc1より、Dp1の径を有する被支持部102bのみが凹状の溝104eと被支持部用溝104bを通過する。そのため、規制レバー110が凹状の溝104eに突出してもロール紙軸102を所定の位置に配置できる。
【0074】
一方、ポストカードサイズのロール紙R2用のロール紙軸404の場合、Lc2>Wr1であることから、ロール紙軸404のDs2の径を有する端部404aは凹状の溝104eを通る必要がある。そのため、ロール紙軸404を所定の位置に向かって押し込もうとしてもロール紙軸404の端部404aが規制レバー110により進入を妨げられ、押し込むことができなくなる。
【0075】
図12(b)に示すように、下ケース104にアタッチメント401(図12(b)には突起401fのみを図示)を装着すると、アタッチメント401に設けられた突起401fが開口104fを通って押し込まれる。そして、規制レバー110と当接し、規制レバー110を押し込む。押し込まれた規制レバー110は反時計回りに回動し、凹上の溝104eから退避した状態になる(この位置を非規制位置とする)。したがって、ポストカードサイズ用のロール紙軸404の端部404aが凹状の溝104eを移動でき、ポストカードサイズ用のロール紙軸404を所定の位置に配置することができる。
【0076】
このように、アタッチメント401、402の取り外し状態では、規制部材110は、特定の種類のロール紙軸(ポストカードサイズのロール紙R2用のロール紙軸404)の進入を妨げる。それと同時に、他の特定の種類のロール紙軸(Lサイズのロール紙R1用のロール紙軸102)の進入を許容することができる。そして、アタッチメント401、402の取り付けによって、ポストカードサイズのロール紙軸404の進入を妨げる位置から妨げない位置に移動させられる。
【0077】
また、Wr2<Lr1から、アタッチメント401、402を装着したロール紙収納カセット1にはLサイズのロール紙R1を入れることができない。さらに、Wr1<Lc2とから、ポストカードサイズ用のロール紙軸404はアタッチメント401、402のついていないロール紙収納カセット1には入れることができない。
【0078】
また、ロール紙収納カセット1をプリンタ本体3に装填した時のカセット種別検知スイッチ5が検出したロール紙のサイズと実際にロール紙収納カセット1に入っているロール紙のサイズが一致した状態で記録を行なうことができる。そのため、ロール紙の搬送量の制御や記録サイズの設定が正しく行え、紙詰まり、記録画像のはみ出し、または余白の発生を防ぐことができる。
【0079】
Dc1>Dr2となるため、Lサイズ用のロール紙軸102をポストカードサイズのロール紙R2に挿入することはできない。
【0080】
共通のロール紙収納カセット1で複数サイズのロール紙を使用するのではなく、それぞれのロール紙のサイズに応じたロール紙収納カセットを用意することができるならば、アタッチメント401、402を下ケース104と一体化してもよい。この場合は、M1の幅を有する被支持部用溝104bとM2の幅を有する凹状の溝104eのみでロール紙の誤装填を防止できるので、規制レバー110を用いるロール紙誤装填防止機構を備える必要がなく、より単純にロール紙の誤装填を防止できる。
【0081】
[実施形態2]
図13を用いて、本発明に係る記録装置の他の実施形態のロール紙収納カセットについて説明する。上述の実施形態では、ロール紙のサイズが2種類であったが、本実施形態では、上述の2種類のロール紙R1、R2のほかに、カードサイズのロール紙R3を加えた3種類のロール紙に対応する場合について説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。
【0082】
図13は、カードサイズのロール紙R3を使用するときのロール紙収納カセット1の概略構成図である。
【0083】
カードサイズのロール紙R3を使用する場合はポストカードサイズのロール紙R2を使用するときと同様、ロール紙収納カセット1にカードサイズのロール紙R3用のアタッチメント601、602を装着する。
【0084】
なお、アタッチメント601、602の基本的な構成は、ポストカードサイズのロール紙R2用のアタッチメント401、402と同様であるが、ロール紙軸604(図14参照)を固定するための溝601j、602jの形状が異なっている。本実施形態の溝601j、602jは、段部が設けられていることにより、2段階の幅を有し、その幅は、下ケース104の端部側では小さく、ロール紙R3と接する側では大きくなっている。
【0085】
一方のアタッチメント601にはポストカードサイズのロール紙R2用のアタッチメント401と同様に、カードサイズのロール紙R3の外周を片寄せするための片寄せガイド603が取り付けられている。
【0086】
図14は、カードサイズのロール紙R3とロール紙軸604を説明するため図であり、(a)は、ロール紙R3の寸法を示す図、(b)は、ロール紙軸604の寸法を示す図である。
【0087】
ロール紙R3の寸法は、ロール紙R3の幅がLr3、ロール紙R3の内径がDr3である。ここで、Lr3<Lr2である。
【0088】
ロール紙R3用のロール紙軸604は、芯部604cと、端部604aと、端部604aの間に、芯部604cの径と端部604aの径の間の径を有する段部604dと、端部604aから突出する被支持部604bとを有する。
【0089】
芯部604c、段部604d、端部604a、被支持部604bの順番に径が大きい。
【0090】
ロール紙軸604は、ロール紙軸604の段部同士604dの間の長さがLc3である。ロール紙軸604の芯部604cの径がDc3、ロール紙軸604の段部604dの径をDs3、ポストカードサイズのロール紙軸404と同形状の部分(Ds2、Lc2、Dp2は図8参照))は説明を省略する。
【0091】
Dr1>Dc1>Dr2>Dc2>Dr3>Dc3となるようにすることで、カードサイズのロール紙R3に、ポストカードサイズ用のロール紙軸404やLサイズ用のロール紙軸102を挿入できないため、ロール紙軸の誤挿入を防止することができる。
【0092】
仮に、ユーザーがロール紙にロール紙軸を差し込む形態ではなく、ロール紙とロール紙軸とが一体の状態にあるものを使用する形態にするのであれば、ロール紙軸に誤挿入防止のための構造を設ける必要がなく、単純な構成にできる。
【0093】
カードサイズのロール紙軸604がアタッチメント601、602を未装着のロール紙収納カセット1に装着できないようにする構成は、上述の実施形態と同様である。アタッチメント601、602を未装着の場合、下ケース104に設けられた規制レバー110が凹状の溝104eに位置しているため、ロール紙軸604の端部604aの移動が、規制レバー110によって妨げられる。
【0094】
アタッチメント601の裏面(ロール紙収納カセット1の端部と接する側の面)にはポストカード用アタッチメント401と同様に、規制レバーを回動させるための突起とカセット種別検知用の突起が設けられている。そのため、上述の実施形態と同様にアタッチメント601、602を装着することで、規制レバー110は凹状の溝104eから退避することができる。
【0095】
図15は、アタッチメント601、602を取り付けたときのロール紙収納カセット1の下ケース104の上面図である。
【0096】
アタッチメント601、602を取り付けた状態のロール紙収納幅はWr3である。また、アタッチメント601、602同士の溝601j、602jの径が変わる位置同士の間の長さをWr4とすると、Lr3<Wr3<Lc3<Wr4とする。Lr1>Lr2>Wr3>Lr3となっているため、アタッチメント601、602を取り付けた下ケース104には、Wr3よりも幅の大きいLサイズとポストカードサイズのロール紙R1、R2は収納できず、カードサイズのロール紙R3のみが収納可能である。ちなみに、溝601j、602jの太い部分(ロール紙R3と接する側)の幅は、段部604dの径Ds3よりも大きい。また、溝601j、602jの細い部分(下ケース104の端部側)の幅は、端部604aの径Ds2よりも大きく、段部604dの径Ds3よりも小さい。このようにすることで、ロール紙R3を挿入したロール紙軸604を、下ケース104に配置できる。
【0097】
また、Lr3<Wr2であるので、アタッチメント401、402を取り付けた下ケース104の場合(図9(b)参照)、カードサイズのロール紙R3は収納可能となってしまう。そこで、本実施形態のロール紙収納カセットでは、Wr4>Lc3>Wr2>Wr3とし、さらに、Ds3を、アタッチメント401の溝401jの幅(径)よりも大きくしている。従って、カードサイズのロール紙R3が差し込まれたロール紙軸604を、アタッチメント401、402が取り付けられた下ケース104に装着しようとすると、ロール紙軸の段部604dが、アタッチメント401の溝401jと干渉し、軸を装着できなくなる。
【0098】
以上のことより、Lサイズ、ポストカードサイズ、およびカードサイズのロール紙R1、R2、R3を用いる場合においても、ロール紙と、アタッチメントと、ロール紙軸の組み合わせを一致させることが容易にできる。また、ロール紙収納カセット1に装填されたロール紙を正しく検出できるので、ロール紙搬送の制御や記録サイズの設定が正しくでき、紙ジャムや画像のはみ出し、余白の発生を防ぐことができる。
【0099】
上述の説明では、3種類のサイズのロール紙を記録装置に適用する方法を説明したが、4種類以上のサイズのロール紙を適用する場合は、ロール紙軸に段部を複数設けるようにすればよい。それに合わせて、アタッチメントの溝の形状も変化させればよい。
【符号の説明】
【0100】
1 ロール紙収納カセット
103上ケース
104下ケース
401、402アタッチメント
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙軸の芯部に巻かれたロール紙を収容するロール紙収納カセットであり、
互いに開閉可能な1対のケースと、前記ロール紙のサイズに応じて前記ケースの両端部の内側に着脱できるアタッチメントと、前記アタッチメントの取り外し状態では、特定の種類の前記ロール紙軸の進入を妨げるとともに、他の特定の種類の前記ロール紙軸の進入を許容し、前記アタッチメントの取り付けによって、前記特定の種類の前記ロール紙軸の進入を妨げる位置から移動させられる規制部材とを有している、ロール紙収納カセット。
【請求項2】
芯部と、前記芯部の端面から突出する前記芯部より小さい径の端部と、前記端部から突出し、前記端部より小さい径の被支持部とを有しているロール紙軸の前記芯部に巻かれた前記ロール紙を収容するロール紙収納カセットであり、
前記規制部材は、前記アタッチメントの取り外し状態では、前記他の特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットの内部に収容する際に、被支持部と接触せず、かつ対向する位置であって、前記特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットの内部に収容しようとすると、前記端部と当接して前記ロール紙収納カセットの内部への進入を規制する位置にある、請求項1に記載のロール紙収納カセット。
【請求項3】
前記アタッチメントには突起が設けられており、前記アタッチメントが取り付けられると、前記アタッチメントの前記突起が前記規制部材を移動させ、移動した前記規制部材は、前記特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットの内部に収容する際、前記端部に当接せず、進入を許容する、請求項2に記載のロール紙収納カセット。
【請求項4】
前記ケースの端部の内面には、前記端部の端面の周上のある位置から、前記端面の中心を通って延びている凹状の溝が設けられ、かつ、前記凹状の溝の内部に、前記凹状の溝に沿って前記端部を貫通している被支持部用溝が設けられており、
前記凹状の溝の幅>前記ロール紙軸の前記端部の径>被支持部用溝の幅>前記ロール紙軸の前記被支持部の径、の関係が成り立つ、請求項1から3のいずれか1項に記載のロール紙収納カセット。
【請求項5】
サイズの異なる2種類のロール紙のうち、大きいサイズの前記ロール紙の内径をDr1、小さいサイズの前記ロール紙の内径をDr2、大きいサイズ用の前記ロール紙軸の前記芯部の径をDc1、前記端部の径をDs1、前記被支持部の径をDp1、前記端部同士の間の長さをLc1、小さいサイズ用の前記ロール紙軸の前記芯部の径をDc2、前記端部の径をDs2、前記被支持部の径をDp2、前記端部同士の間の長さをLc2とすると、Dr1>Dc1>Dr2>Dc2、およびLc2>Lc1、Dp1=Dp2の関係が成り立つ、請求項2から4のいずれか1項に記載のロール紙収納カセット。
【請求項6】
前記ケースのロール紙収納幅をWr1、前記ケースの被支持部用溝の幅をM1、前記ケースの凹状の溝の幅をM2とすると、M2>Ds2=Ds1>M1とLc2>Wr1>Lc1の関係が成り立つ、請求項5に記載のロール紙収納カセット。
【請求項7】
前記2種類のロール紙よりも小さい、最も小さいロール紙のための前記ロール紙軸は、前記芯部と、前記端部との間に段部を有しており、
前記アタッチメントの前記溝の幅は前記ケースの端部側で小さく、前記ケースの前記ロール紙が収容される側で大きくなっており、
前記最も小さいロール紙の幅をLr3、内径をDr3、前記段部同士の間の長さをLc3、前記芯部の径をDc3、前記段部の径をDs3、前記ロール紙収納幅をWr3、前記アタッチメントの前記溝の幅が変わる位置同士の間の長さをWr4とすると、Dc2>Dr3>Dc3、Wr4>Lc3>Wr3>Lr3が成り立つ、請求項6に記載のロール紙収納カセット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のロール紙収納カセットと、インクリボンが収容されているインクリボンカセットと、記録部を有する記録装置本体と、を有する、記録装置。
【請求項9】
記録装置本体には複数の突起を有するアタッチメント識別用センサが設けられており、一方の前記アタッチメントの、前記ケースの端部側には検知用突起が設けられており、前記ケースの一方の端部には、凹部と、前記凹部を貫通する孔を有する前記ロール紙の判別部が設けられている、請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
芯部と、前記芯部の端面から突出する前記芯部より小さい径の端部と、前記端部から突出し、前記端部より小さい径の被支持部とを有しているロール紙軸の前記芯部に巻かれた前記ロール紙を収容するロール紙収納カセットにおける、サイズの異なるロール紙の誤装填防止方法であり、
前記ロール紙収納カセットは、互いに開閉可能な1対のケースと、前記ロール紙のサイズに応じて前記ケースの両端部の内側に着脱できるアタッチメントと、規制部材とを有しており、
前記アタッチメントを取り付けていない状態では、
特定の種類の前記ロール紙軸を前記ロール紙収納カセットに収納しようとすると、前記規制部材を前記特定の種類のロール紙軸の端部と当接させて、前記ロール紙収納カセットの内部への前記特定の種類のロール紙軸の進入を規制しつつ、
他の特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットに収納する際には、前記規制部材を前記ロール紙軸に対し接触させずに対向させて、前記他の特定の種類のロール紙軸の進入を許容し、
前記アタッチメントを取り付けることで、前記規制部材を前記特定の種類のロール紙軸の端部と当接しない位置に移動させて、前記特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットの内部に進入を許容する、誤装填防止方法。
【請求項11】
突起が設けられたアタッチメントを、前記ロール紙のサイズに応じて前記ケースの両端部の内側に取り付け、前記突起により前記規制部材を前記特定の種類のロール紙軸の端部と当接しない位置に移動させ、前記特定の種類のロール紙軸の前記ロール紙収納カセットの内部への進入を許容する、請求項10に記載の誤装填防止方法。
【請求項12】
前記ケースの端部の内面には、前記端部の端面の周上のある位置から、前記端面の中心を通って延びている凹状の溝を設けて、かつ、前記凹状の溝の内部に、前記凹状の溝に沿って前記端部を貫通している被支持部用溝を設けて、
前記凹状の溝の幅>前記ロール紙軸の前記端部の径>前記被支持部用溝の幅>前記ロール紙軸の前記被支持部の径となるようにし、
前記特定の種類のロール紙軸の前記端部同士の間の長さ>前記ケースのロール紙収納幅>前記他の特定の種類のロール紙軸の前記端部同士の間の長さとなるようにし、
前記アタッチメントを前記ケースに取り付けていないときには、前記他の特定の種類のロール紙軸だけを前記ロール紙収納カセットに進入できるようにする、請求項11に記載の誤装填防止方法。
【請求項13】
前記特定の種類のロール紙軸は大きいサイズのロール紙のためのロール紙軸であり、前記他の特定の種類のロール紙軸は小さいサイズのロール紙のためのロール紙軸であり、
大きいサイズの前記ロール紙の内径をDr1、小さいサイズの前記ロール紙の内径をDr2、大きいサイズ用の前記ロール紙軸の前記芯部の径をDc1、小さいサイズ用の前記ロール紙軸の前記芯部の径をDc2とすると、Dr1>Dc1>Dr2>Dc2が成り立つようにして、大きいサイズのロール紙のための前記ロール紙軸を、前記小さいサイズのロール紙に挿入できないようにする、請求項10から12のいずれか1項に記載の誤装填防止方法。
【請求項1】
ロール紙軸の芯部に巻かれたロール紙を収容するロール紙収納カセットであり、
互いに開閉可能な1対のケースと、前記ロール紙のサイズに応じて前記ケースの両端部の内側に着脱できるアタッチメントと、前記アタッチメントの取り外し状態では、特定の種類の前記ロール紙軸の進入を妨げるとともに、他の特定の種類の前記ロール紙軸の進入を許容し、前記アタッチメントの取り付けによって、前記特定の種類の前記ロール紙軸の進入を妨げる位置から移動させられる規制部材とを有している、ロール紙収納カセット。
【請求項2】
芯部と、前記芯部の端面から突出する前記芯部より小さい径の端部と、前記端部から突出し、前記端部より小さい径の被支持部とを有しているロール紙軸の前記芯部に巻かれた前記ロール紙を収容するロール紙収納カセットであり、
前記規制部材は、前記アタッチメントの取り外し状態では、前記他の特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットの内部に収容する際に、被支持部と接触せず、かつ対向する位置であって、前記特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットの内部に収容しようとすると、前記端部と当接して前記ロール紙収納カセットの内部への進入を規制する位置にある、請求項1に記載のロール紙収納カセット。
【請求項3】
前記アタッチメントには突起が設けられており、前記アタッチメントが取り付けられると、前記アタッチメントの前記突起が前記規制部材を移動させ、移動した前記規制部材は、前記特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットの内部に収容する際、前記端部に当接せず、進入を許容する、請求項2に記載のロール紙収納カセット。
【請求項4】
前記ケースの端部の内面には、前記端部の端面の周上のある位置から、前記端面の中心を通って延びている凹状の溝が設けられ、かつ、前記凹状の溝の内部に、前記凹状の溝に沿って前記端部を貫通している被支持部用溝が設けられており、
前記凹状の溝の幅>前記ロール紙軸の前記端部の径>被支持部用溝の幅>前記ロール紙軸の前記被支持部の径、の関係が成り立つ、請求項1から3のいずれか1項に記載のロール紙収納カセット。
【請求項5】
サイズの異なる2種類のロール紙のうち、大きいサイズの前記ロール紙の内径をDr1、小さいサイズの前記ロール紙の内径をDr2、大きいサイズ用の前記ロール紙軸の前記芯部の径をDc1、前記端部の径をDs1、前記被支持部の径をDp1、前記端部同士の間の長さをLc1、小さいサイズ用の前記ロール紙軸の前記芯部の径をDc2、前記端部の径をDs2、前記被支持部の径をDp2、前記端部同士の間の長さをLc2とすると、Dr1>Dc1>Dr2>Dc2、およびLc2>Lc1、Dp1=Dp2の関係が成り立つ、請求項2から4のいずれか1項に記載のロール紙収納カセット。
【請求項6】
前記ケースのロール紙収納幅をWr1、前記ケースの被支持部用溝の幅をM1、前記ケースの凹状の溝の幅をM2とすると、M2>Ds2=Ds1>M1とLc2>Wr1>Lc1の関係が成り立つ、請求項5に記載のロール紙収納カセット。
【請求項7】
前記2種類のロール紙よりも小さい、最も小さいロール紙のための前記ロール紙軸は、前記芯部と、前記端部との間に段部を有しており、
前記アタッチメントの前記溝の幅は前記ケースの端部側で小さく、前記ケースの前記ロール紙が収容される側で大きくなっており、
前記最も小さいロール紙の幅をLr3、内径をDr3、前記段部同士の間の長さをLc3、前記芯部の径をDc3、前記段部の径をDs3、前記ロール紙収納幅をWr3、前記アタッチメントの前記溝の幅が変わる位置同士の間の長さをWr4とすると、Dc2>Dr3>Dc3、Wr4>Lc3>Wr3>Lr3が成り立つ、請求項6に記載のロール紙収納カセット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のロール紙収納カセットと、インクリボンが収容されているインクリボンカセットと、記録部を有する記録装置本体と、を有する、記録装置。
【請求項9】
記録装置本体には複数の突起を有するアタッチメント識別用センサが設けられており、一方の前記アタッチメントの、前記ケースの端部側には検知用突起が設けられており、前記ケースの一方の端部には、凹部と、前記凹部を貫通する孔を有する前記ロール紙の判別部が設けられている、請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
芯部と、前記芯部の端面から突出する前記芯部より小さい径の端部と、前記端部から突出し、前記端部より小さい径の被支持部とを有しているロール紙軸の前記芯部に巻かれた前記ロール紙を収容するロール紙収納カセットにおける、サイズの異なるロール紙の誤装填防止方法であり、
前記ロール紙収納カセットは、互いに開閉可能な1対のケースと、前記ロール紙のサイズに応じて前記ケースの両端部の内側に着脱できるアタッチメントと、規制部材とを有しており、
前記アタッチメントを取り付けていない状態では、
特定の種類の前記ロール紙軸を前記ロール紙収納カセットに収納しようとすると、前記規制部材を前記特定の種類のロール紙軸の端部と当接させて、前記ロール紙収納カセットの内部への前記特定の種類のロール紙軸の進入を規制しつつ、
他の特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットに収納する際には、前記規制部材を前記ロール紙軸に対し接触させずに対向させて、前記他の特定の種類のロール紙軸の進入を許容し、
前記アタッチメントを取り付けることで、前記規制部材を前記特定の種類のロール紙軸の端部と当接しない位置に移動させて、前記特定の種類のロール紙軸を前記ロール紙収納カセットの内部に進入を許容する、誤装填防止方法。
【請求項11】
突起が設けられたアタッチメントを、前記ロール紙のサイズに応じて前記ケースの両端部の内側に取り付け、前記突起により前記規制部材を前記特定の種類のロール紙軸の端部と当接しない位置に移動させ、前記特定の種類のロール紙軸の前記ロール紙収納カセットの内部への進入を許容する、請求項10に記載の誤装填防止方法。
【請求項12】
前記ケースの端部の内面には、前記端部の端面の周上のある位置から、前記端面の中心を通って延びている凹状の溝を設けて、かつ、前記凹状の溝の内部に、前記凹状の溝に沿って前記端部を貫通している被支持部用溝を設けて、
前記凹状の溝の幅>前記ロール紙軸の前記端部の径>前記被支持部用溝の幅>前記ロール紙軸の前記被支持部の径となるようにし、
前記特定の種類のロール紙軸の前記端部同士の間の長さ>前記ケースのロール紙収納幅>前記他の特定の種類のロール紙軸の前記端部同士の間の長さとなるようにし、
前記アタッチメントを前記ケースに取り付けていないときには、前記他の特定の種類のロール紙軸だけを前記ロール紙収納カセットに進入できるようにする、請求項11に記載の誤装填防止方法。
【請求項13】
前記特定の種類のロール紙軸は大きいサイズのロール紙のためのロール紙軸であり、前記他の特定の種類のロール紙軸は小さいサイズのロール紙のためのロール紙軸であり、
大きいサイズの前記ロール紙の内径をDr1、小さいサイズの前記ロール紙の内径をDr2、大きいサイズ用の前記ロール紙軸の前記芯部の径をDc1、小さいサイズ用の前記ロール紙軸の前記芯部の径をDc2とすると、Dr1>Dc1>Dr2>Dc2が成り立つようにして、大きいサイズのロール紙のための前記ロール紙軸を、前記小さいサイズのロール紙に挿入できないようにする、請求項10から12のいずれか1項に記載の誤装填防止方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−12211(P2012−12211A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152989(P2010−152989)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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