説明

記録装置

【課題】巻き取り軸管に対する記録媒体の先端の取り付けの作業性を向上させることができる記録装置を提供すること。
【解決手段】巻き取り軸管71に帯状部材72の一端72Aを取り付け、帯状部材72の他端72Bに、ロールシートRの先端をクランプ可能なクランプ部材73を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状の記録媒体上に画像を記録する記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータやワークステーションの出力装置として、所定の搬送方向に搬送される記録紙などの記録媒体に、インクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
この種のインクジェット記録装置として、シリアルスキャンタイプは、インクを吐出可能な記録ヘッドを搭載して主走査方向に往復移動するキャリッジと、その主走査方向と交差する副走査方向(搬送方向)に記録媒体を搬送する搬送装置と、を備えている。記録ヘッドの吐出口面には、インクを吐出可能な複数の吐出口が形成されている。記録媒体に画像を記録する際には、搬送装置による記録媒体の搬送を一時的に停止させる。そして、その停止中に、記録ヘッドと共にキャリッジを主走査方向に往復動させながら、画像信号に基づいて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出することにより、記録ヘッドの吐出口と対向する記録媒体上の記録領域に1バンド分の画像を記録する。その後、記録媒体を1バンド分の幅だけ搬送してから、その搬送を再び停止させる。そして、その停止中に、記録ヘッドと共にキャリッジを主走査方向に往復動させながら、画像信号に基づいて記録ヘッドの吐出口からインクを吐出することにより、記録ヘッドの吐出口と対向する記録媒体上の記録領域に次の1バンド分の画像を記録する。このような動作を繰り返すことにより、記録媒体上に順次画像を記録する。
【0004】
特許文献1には、図9のような巻き取り装置94を備えた記録装置90が記載されている。巻き取り装置94は、ロール紙管91に巻かれた記録媒体92(以下、ロール紙という)を引き出し、画像が記録された後のロール紙92を巻き取り軸管93に巻き取るように、その巻き取り軸管93を回転させる構成となっている。巻き取り軸管93には、図中の点線のように、ロール紙92の先端92aが取り付くための所定長さの帯状部材95(巻き取りリードともいう)が設けられている。記録装置90の排紙口近傍には、帯状部材95の先端95aを仮止めするためのクランプ部材96が設けられ、クランプ部材96の近傍には、ロール紙管91および巻き取り軸管93と平行な基準線97が設けられている。
【0005】
ロール紙92を巻き取る際には、まず、帯状部材95の先端95aをクランプ部材96に仮止めする。そして、ロール紙92の先端92aを記録装置90の排紙口まで搬送し、そのロール紙92の先端92aを基準線97に一致させた状態で帯状部材95の先端部95aに取り付けることにより、ロール紙92と巻き取り装置94との接続を完了する。その後、画像の記録動作と関連して巻き取り軸管93を回転させることにより、画像が記録されたロール紙92を巻き取り軸管93に巻き取る。巻き取り装置94として、ロール紙92の先端92aを巻き取り軸管93に直接取り付ける構成のものも知られている。しかし、このような構成においては、記録装置90の排紙口から巻き取り軸管93の位置までロール紙92の先端92aを無駄に搬送しなくてはならなくなる。このようなロール紙92の無駄を最小限に抑えるために、巻き取り軸管93に帯状部材95が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−128405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の記録装置90においては、帯状部材95の先端部95aにロール紙92の先端92aを取り付けるために粘着テープ等を用いる必要があるため、その取り付けの操作性が悪かった。また、ロール紙92の先端92aは、ユーザーがカッター等を用いて切断する場合もあるため、必ずしもロール紙管91および巻き取り軸管93と平行であるとは限らない。そのため、ロール紙92の先端92aを基準線97に一致させた状態で帯状部材95の先端部95aに取り付けたときに、ロール紙92の先端92aと、ロール紙管91および巻き取り軸管93と、の平行度が確保できなくなる場合がある。それらの平行度がずれた場合には、巻き取り軸管93がロール紙92を巻き取る際に、ロール紙92が斜めに送られてしまい、ジャムの発生および記録画像の品質の劣化を招くおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、巻き取り軸管に対する記録媒体の先端の取り付けの作業性を向上させることができる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の記録装置は、ロール状の記録媒体を回転可能に保持する保持手段と、前記保持手段から引き出された記録媒体上に画像を記録する記録手段と、前記記録手段により画像が記録された前記記録媒体を巻き取るため巻き取り手段と、を備える記録装置であって、前記巻き取り手段は、回転可能な巻き取り軸管と、一端が前記巻き取り軸管に取り付けられた帯状部材と、前記帯状部材の他端に取り付けられて前記記録媒体の先端をクランプ可能なクランプ手段と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、帯状部材に取り付けたクランプ部材によって、記録媒体の先端を帯状部材に取り付けることができるため、記録媒体と帯状部材との取り付けの作業性を飛躍的に向上させることができる。また、帯状部材が巻き取り軸管に巻き取られたときに、クランプ手段と巻き取り軸管が略円筒状となるように組み合わさることにより、それらに記録媒体が巻き取られたときにも略円筒形状を維持して、巻き取り後の記録媒体を良好な状態に保管することができる。さらに、クランプ手段を位置決めする位置決め手段、および記録媒体の位置調整用の指標を備えることにより、記録媒体の先端形状に左右されることなく記録媒体と巻き取り手段との平行度を維持することができる。これにより、ジャムの発生防止および記録画像の品質の安定化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の記録装置を側面から視た内部の概略構成図である。
【図2】図1の記録装置の概略斜視図である。
【図3】図2におけるクランプ部材の斜視図である。
【図4】(a),(b)は、クランプ部材の異なる状態における側面図である。
【図5】クランプ部材が巻き付けられた巻き取り軸管の側面図である。
【図6】(a),(b),(c)は、それぞれ、図2中の矢印VI方向から視た排紙ガイドの斜視図である。
【図7】図1の記録装置の制御系のブロック構成図である。
【図8】図1の記録装置の記録処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】従来の記録装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する主旨のものではない。また、以下においては、インクジェット方式の記録装置としてのプリンタを例に挙げて説明するが、本発明の記録装置は、複写機能やスキャン機能などをもつ複合機、いわゆるマルチファンクションプリンタとしても適用可能である。インクジェット方式は、インクを吐出するために、電気熱変換素子(ヒータ)、ピエゾ素子、静電素子、あるいはMEMS素子などのさまざまな方式を用いることができる。また、本発明の記録装置における記録方式は、インクジェット方式に限らず、電子写真方式および熱転写方式などさまざまな方式も適用可能である。
【0013】
図1は、本実施形態のプリンタ(記録装置)100の主要部の構成を示す断面図、図2は、プリンタ100の主要部の構成を示す斜視図である。プリンタ100の主要部は、プリンタ本体1、シート(記録媒体)の供給装置としてのシート供給部2、シートの処理部としての記録部3、カッター4、スタンド5、排出ガイド6、巻き取り装置7等より構成されている。
【0014】
プリンタ本体1はプリンタ100を構成する各部を保持し、スタンド5によって、操作部11を設置床面からユーザーが操作しやすい高さに支持している。スタンド5の脚部51には、設置面上での移動を容易にするためにキャスタ52が備えられている。シート供給部2は、記録媒体としてのロールシートRを供給するものであり、ロールシートRを中心軸線Rcの両端部付近で回転可能に支持するロールホルダ21、およびロールシートRを記録部3の方向に案内する供給経路22等より構成されている。
【0015】
記録部3は、記録位置に供給されたロールシートR上に画像を記録する。記録部3は、ロールシートRが記録部3に挿入されているか否かを検知するロールシート検知センサー35、ロールシートRを矢印Yの副走査方向に搬送するための搬送ローラ32、および記録動作時にロールシートRをガイドするプラテン33を備える。さらに記録部3は、ロールシートRを挟んでプラテン33と反対側に位置する記録ヘッド31、および記録ヘッド31を着脱自在に搭載するキャリッジ34を備える。キャリッジ34は、ロールシートRの搬送方向(矢印X方向)と交差(本例の場合は、直交)する矢印Xの主走査方向に往復移動する。ロールシートRの記録領域と対向する記録ヘッド31の吐出口面には、インクを吐出可能な複数の吐出口が主走査方向と交差(本例の場合は、直交)する方向に配列されている。インクを吐出するために、電気熱変換素子(ヒータ)やピエゾ素子などを用いることができる。記録ヘッド31を搭載したキャリッジ34の往復移動に同期して、記録データに基づいて吐出口からインクを吐出する動作と、ロールシートRを所定量搬送する動作と、を交互に繰り返すことにより、ロールシートR上の記録領域に順次画像を記録する。
【0016】
カッター4はロールシートRを切断するものであり、記録位置よりも搬送方向下流側に配置されている。巻き取り装置7はスタンド5に支持されており、排出ガイド6の下り斜面6Aに案内されてプリンタ本体1の外に搬送される記録済のロールシートRを、ロール状に巻き取って収容する。巻き取り装置7は、不図示の駆動源によって回転される巻き取り軸管71と、一端72Aが巻き取り軸管71に取り付けられ、他端72Bが後述するクランプ部材73に取り付けられた巻き取りシート材(帯状部材)72と、を備える。巻き取り軸管71は、ロールホルダ21に支持されたロールシートRの回転軸と平行になるよう配置されている。巻き取りシート材72は、巻き取り軸管71に容易に巻き付けられるように、剛性の低い材質によって薄く形成されている。本実施形態において、巻き取りシート材72は布製であるが、樹脂フィルムや伸縮自在のゴムシート部材を用いることもできる。巻き取りシート材72は、排紙ガイド6の下り斜面6AにおけるロールシートRの排出方向の中位間位置にまで届く長さに設定されている。
【0017】
ユーザーが、ロールホルダ21に保持されたロールシートRの先端を供給経路22の入口から挿入して、ロールシート検知センサー35がロールシートRの先端を検知したときに、搬送ローラ32が回転して、ロールシートRの先端を記録部3へ供給する。このように搬送されるロールシートRに対しては、記録ヘッド31を搭載したキャリッジ34の往復移動に同期して、記録データに基づいて吐出口からインクを吐出する動作と、ロールシートRを所定量搬送する動作と、の繰り返しにより画像が記録される。記録済のロールシートRは、巻き取り装置7により順次ロール状に巻き取られる。記録動作の終了後は、ロールシートRに記録された画像の後端部分がカッター4の位置まで搬送されてから、その後端部分が切断され、その後、記録済みのロールシートRは、その後端部分まで巻き取り装置7により巻き取られて収容される。
【0018】
図3は、クランプ部材73の斜視図であり、図4(a)、(b)はクランプ部材73の側面図である。
【0019】
クランプ部材73は、クランプベース74とクランプアーム75を主体として構成されており、全体として断面が半円状に形成されている。それらのクランプベース74とクランプアーム75は、プリンタ100において搬送可能なロールシートRの最大幅以上の幅を有する。クランプベース74には、巻き取りシート材72の他端72Bが取り付けられている。クランプ部材73はロールシートRの搬送方向と直交する方向に延在する。クランプベース74の両端において、プリンタ100にて搬送可能な最大幅のロールシートRに対応する位置から外れた領域(最大幅のロールシートRが通る領域の外)には、位置決め穴76,77が形成されている。図5のように、巻き取り軸管71に巻き取りシート材72を巻き付けたときに、位置決め穴76,77の中心を通る中心線78は、巻き取り軸管71の軸線と平行となる。クランプベース74に対しては、クランプアーム75が支軸80を中心として回動可能に支持されている。クランプアーム75にはクランプ部79が形成されており、圧縮ばね82により、クランプベース74とクランプ部79との間においてロールシートRの先端をクランプ可能となっている。
【0020】
クランプ部材73によってロールシートRの先端を挟持するときに、ユーザーは、圧縮ばね82を圧縮する方向にクランプアーム75のつまみ部81を押圧して、図4(b)のようにクランプ部79を開口させる。そして、そのクランプ部79とクランプベース74との間にロールシートRの先端を挿入する。その後、つまみ部81の押圧を解除することにより、圧縮ばねの復元力により、クランプ部79とクランプベース74との間にロールシートRの先端が挟持される。なお、クランプ部79とクランプベース74との対向部分をゴム等の高摩擦係数の弾性部材によって形成することにより、それらの間において、ロールシートRの先端を最適に挟持することができる。すなわち、それらの間においてロールシートRの先端がずれにくくなり、またロールシートRの表面に傷を付けることなく挟持することができる。
【0021】
図5は、巻き取り軸管71にクランプ部材73を巻き付けた状態の側面図である。巻き取り軸管71は、断面が半円状に形成されており、その外周面に、巻き取りシート材72がクランプ部材73に取り付けられる他端72Bまで巻き取られたときに、巻き取り軸管71とクランプ部材73が円筒状に組み合わされる。すなわち、図5のように、巻き取り軸管71における断面形状の弦に相当する部分(弦部分)に、クランプ部材73における断面形状の弦に相当する部分(弦部分)が入り込むことにより、それらが円筒状となる。巻き取りシート材72が巻き取り軸管71に巻き取られたときに、このように巻き取り軸管71とクランプ部材73が組み合わされるように、巻き取りシート材72の長さが設定されている。
【0022】
排紙ガイド6の両側において、プリンタ100にて搬送可能な最大幅のロールシートRに対応する位置から外れた領域(最大幅のロールシートRが通る領域の外)には、クランプロック部材61,62が配置されている。クランプロック部材61,62の中心を通る中心線65(図2参照)は、ロールホルダ21に支持されたロールシートRの中心Rcと平行である。クランプロック部材61,62は、不図示の駆動系によって、排紙ガイド6の表面から任意のタイミングで上下方向に出没可能となっている。図6(a),(b),(c)は、排紙ガイド6を図2中の矢印VI方向から見た斜視図である。排紙ガイド6の下り斜面6Aには、基準線(指標)63が付されている。本例のプリンタ本体1は、ロールシートRを、その図2中右側の端部の位置を基準(通紙基準)として搬送する構成となっており、幅方向のサイズが異なるロールシートRを搬送した場合でも、ロールシートRの右側の端部は常に同じ位置を通過する。本例の基準線63は、搬送されるロールシートRの右側の端部と一致する位置に付されている。クランプロック部材61の近傍位置には、クランプ部材73が排紙ガイド6に装着されているか否かを検知するためのクランプ部材検知センサー64が配置されている。
【0023】
ロールシートRの先端を巻き取り装置7のクランプ部材73にクランプする場合、まず、ユーザーは、クランプ部材73を排紙ガイド6の上に位置させる。そして、図6(a)のように、クランプベース74のクランプ部材位置決め穴76、77に、排紙ガイド6から突出したクランプロック部材61、62を通して、クランプ部材73を排紙ガイド6に位置決めする。これにより、クランプ部材73の延在方向(ロールシートRの搬送方向に延在する)がロールシートRの中心軸線Rcおよび巻き取り軸管71の軸線と平行となる。次に、そのクランプ部材73とオーバーラップする位置まで搬送されたロールシートRの右側の端部を基準線63に一致させてから、図6(c)のように、クランプ部材73によってロールシートRの先端を挟持する。
【0024】
図7は、プリンタ100の制御系のブロック構成図である。図7において、CPU200は、プリンタ100の動作の制御処理やデータ処理等を実行する。ROM201は、それらの処理手順等のプログラムが格納され、またRAM202は、それらの処理を実行するためのワークエリアなどとして用いられる。記録ヘッド31からのインクの吐出は、CPU200が電気熱変換素子(ヒータ)やピエゾ素子などの駆動信号をヘッドドライバ31Aに供給することにより行われる。CPU200は、キャリッジ34を主走査方向に駆動するためのキャリッジモータ203をモータドライバ203Aを介して制御し、またロールシートRを副走査方向に搬送するための搬送モータ204をモータドライバ204Aを介して制御する。CPU200は、ホスト装置300から入力した画像データや制御信号に基づいて記録動作を制御することができる。
【0025】
図8は、プリンタ100におけるロールシートRの巻き取りを含む一連の記録処理を説明するためのフローチャートである。
【0026】
プリンタ100は、記録指令を受信することにより一連の記録処理を開始し、まずは、ロールシート検知センサー35がロールシートRの先端を検知しているか否かを判定する(ステップS1)。本例のロールシート検知センサー35は、ロールシートRの先端を検知したときにONとなる。ロールシートRの先端が搬送ローラ32の位置まで挿入されているときは、ロールシート検知センサー35がONとなる。ロールシート検知センサー35がONのときは、クランプ部材検知センサー64によって、クランプ部材73が排紙ガイド6のクランプロック部材61、62に位置決めされているか否かを検知する(ステップS2)。本例のクランプ部材検知センサー64は、クランプ部材73がクランプロック部材61、62に位置決めされることによりONとなる。クランプ部材検知センサー64がOFFのときは、ロールシートRの巻取りを必要としないと判断し、巻き取り装置7を機能させることなく記録動作を実行する(ステップS3)。その記録動作は、前述したように、記録ヘッド31を搭載したキャリッジ34の往復移動に同期して、記録データに基づいて吐出口からインクを吐出する動作と、ロールシートRを所定量搬送する動作と、の繰り返しにより画像を記録する。
【0027】
クランプ部材検知センサー64がONのときは、搬送モータ204を駆動して(ステップS4)、ロールシートRの先端をクランプ部材73とオーバーラップする位置まで搬送してから、搬送モータ204の駆動を停止する(ステップS5,S6)。その後、ユーザーは、前述したようにロールシートRの先端をクランプ部材73に挟持し、その挟持作業(クランプ作業)が終了した後にプリンタ100の操作部11に配置されたOKボタンを押す(ステップS7)。そのOKボタンが押されたときは、クランプロック部材61,62を下方に退避させて(ステップS7,S8)、クランプ部材73の位置決めを解除する。その後、記録動作を開始する(ステップS9)。この記録動作は、前述したように、記録ヘッド31を搭載したキャリッジ34の往復移動に同期して、記録データに基づいて吐出口からインクを吐出する動作と、ロールシートRを所定量搬送する動作と、の繰り返しにより画像を記録する。
【0028】
記録動作を開始してから、巻き取り装置7を駆動して、ロールシートRの巻き取り作業を開始する(ステップS10)。所定の記録動作が終了したときは、搬送モータ204を駆動して(ステップS11,12)、ロールシートR上の画像記録領域の後端部分がカッター4に位置するまで所定量搬送してから、搬送モータ204の駆動を停止する(ステップS13,14)。その後、カッター4を駆動してロールシートRを切断してから(ステップS15)、巻き取り装置7により、カッター4によって切断されたロールシートRの後端部までロールシートRを巻き取って、巻き取り動作を終了する(ステップS16)。
【0029】
本例の巻き取り装置7は、巻き取り軸管71に巻き取りシート材72の一端72Aを取り付け、その巻き取りシート材72の他端72Bにクランプ部材73を備えているため、そのクランプ部材73にロールシートRの先端を簡単にクランプすることができる。また、排紙ガイド6には、ロールシートRの通紙基準と一致する基準線63が形成されているため、ユーザーは、その基準線63にロールシートRの端部を合わせてから、ロールシートRの先端をクランプ部材73によってクランプすることができる。これにより、常に、ロールシートRと巻き取り装置7とを適正な平行度に維持するように、ロールシートRの先端をクランプ部材73にクランプすることができる。この結果、ロールシートRが斜めに送られて巻き取られることが無くなり、ジャムの発生防止および記録画像の品質の安定化を実現することができる。
【0030】
(他の実施形態)
本発明は、ロール状の記録媒体上に画像を記録する種々の記録装置に対して広くて適用することができ、その記録装置は、前述したようなシリアルスキャンタイプのみに限定されず、記録媒体を連続的に搬送しつつ画像を記録するフルラインタイプであってもよい。また、記録装置における記録方式はインクジェット方式に限定されず、電子写真方式および熱転写方式などであってもよい。また本発明は、記録装置から排出される記録媒体を収容するための収容装置に対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0031】
3 記録部
7 巻き取り装置
61,62 クランプロック部材(位置決め手段)
63 基準線(指標)
71 巻き取り軸管
72 巻き取りシート材(帯状部材)
100 プリンタ(記録装置)
R ロールシート(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の記録媒体を回転可能に保持する保持手段と、前記保持手段から引き出された記録媒体上に画像を記録する記録手段と、前記記録手段により画像が記録された前記記録媒体を巻き取るため巻き取り手段と、を備える記録装置であって、
前記巻き取り手段は、回転可能な巻き取り軸管と、一端が前記巻き取り軸管に取り付けられた帯状部材と、前記帯状部材の他端に取り付けられて前記記録媒体の先端をクランプ可能なクランプ手段と、を含むことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記巻き取り軸管に前記帯状部材が巻き付けられたときに、前記巻き取り軸管と前記クランプ手段とが円筒状に組み合わさることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録手段よりも前記記録媒体の搬送方向下流側の位置に、前記クランプ部材を位置決めする位置決め手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記クランプ手段は、前記記録媒体の搬送方向と直交する方向に延在し、
前記位置決め手段は、前記クランプ手段の延在方向が前記ロール状の記録媒体の中心軸線および前記巻き取り軸管の軸線と平行となるように、前記クランプ手段を位置決めする
ことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記位置決め手段の近傍位置に、前記ロール状の記録媒体の中心軸線および前記巻き取り軸管の軸線に対して直交する指標を設けたことを特徴とする請求項3または4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記位置決め手段による前記クランプ手段の位置決めを解除するための制御手段を備えることを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の記録装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記記録手段が画像の記録を開始するときに、前記位置決め手段による前記クランプ手段の位置決めを解除することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43748(P2013−43748A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182477(P2011−182477)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】