説明

設備位置情報管理システム、及び携帯情報端末による設備画像登録方法

【課題】設備位置情報システムに携帯情報端末を利用して画像を登録する際に、設備IDの入力ミスによる登録失敗や別の設備へ登録してしまうミスを減らすことができるシステムを提供する。
【解決手段】GPS受信機と設備管理システムに接続可能な通信機能とを持つ携帯情報端末を使用する。撮影者は、GPS情報を付加した設備写真を設備位置情報管理システムに送信する。設備位置情報管理システムは送られてきた写真に付加されたGPS情報をもとに最寄りの設備一覧を撮影者の携帯端末に送信する。撮影者は、携帯端末上に表示された設備一覧から撮影した写真がどの設備のものかを選択して設備管理システムに画像を登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末を利用して携帯情報端末で撮影した画像を容易に設備位置情報管理システムへ登録する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電柱や電力線、通信ケーブルなどの画像を設備位置情報管理システムに取り込む方法として、デジタルカメラで撮影した写真を記憶媒体に保存しておき、事務所に戻った後にシステムへ登録していた。しかしこの方法では、写真の撮影に不備があった場合や取りこぼしがあった場合などに再度現地で写真を撮影しなければならないため効率が悪かった。
【0003】
そのようなことを解決する技術として特許文献1がある。この文献では、携帯情報端末で撮影した写真を、設備の個体識別番号とともに設備情報管理システムへメール送信することで、その場にいながらシステムへ登録する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-134119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1の技術では、携帯情報端末で撮影した写真を設備の個体識別番号とともに送信するため、正確に設備IDを入力しなければならない。そのため、入力ミスした個体識別番号による登録失敗や別の設備へ登録してしまうミスがあった。このように、携帯情報端末を利用して撮影した画像をメール送信によってシステムへ登録する際の煩雑な設備IDの入力が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、GPS受信機と設備管理システムに接続可能な通信機能とを持つ携帯情報端末を使用する。撮影者は、GPS情報を付加した設備写真を設備位置情報管理システムに送信する。設備位置情報管理システムは送られてきた写真に付加されたGPS情報をもとに最寄りの設備一覧を撮影者の携帯端末に送信する。撮影者は、携帯端末上に表示された設備一覧から撮影した写真がどの設備のものかを選択して設備管理システムに画像を登録する。これにより、より精度の高い抽出結果を得ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、設備位置情報システムに携帯情報端末を利用して画像を登録する際に、設備IDの入力ミスによる登録失敗や別の設備へ登録してしまうミスを減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ハードウェア構成図
【図2】撮影画像登録フロー
【図3】画像登録画面
【図4】設備一覧表示画面
【図5】設備一覧情報検索処理フロー
【図6】データ構成図(設備位置情報データベース)
【図7】データ構成図(設備属性情報データベース)
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明を適用した設備位置情報管理システムの構成の一例を説明する概略図である。図1において、設備位置情報管理システムは、地理情報システム10とインターネットを介して通信可能な携帯情報端末20を有している。
【0010】
地理情報システムは、設備の位置情報として緯度経度情報を記録する設備位置情報データベース104と設備のID番号や種類、形状などの情報を記録する設備属性情報データベース105と、GPS情報から緯度経度情報を取得するGPS情報解析部101と、方角情報を解析する方角情報解析部103と、インターネットを介して画像情報や設備情報等を送受信する送受信部102を有している。
【0011】
携帯情報端末は、設備の画像を撮影するカメラ機能203、GPS情報を取得するGPS機能201、撮影した画像や後述する設備画像登録アプリケーションの画面を表示するディスプレイ204、ディスプレイ上に表示された設備画像登録アプリケーションの画面上のボタン等を操作するキーパッド205、画像情報や設備情報等を送受信する送受信部202を備え、それらを連係させる設備画像登録アプリケーション206を搭載している。
【0012】
<本発明の動作>
本発明は、下記の形態で動作する。
【0013】
図2は、設備の撮影者の処理の流れである。まず撮影者は、設備画像登録アプリケーションを起動する(S201)。これにより、計短情報端末は地理情報システムに接続され、画像登録画面(図3)が表示される。次に画像登録画面上の“撮影”ボタンを押下しカメラ機能が起動させる(S202)。次に撮影者は、対象となる設備の写真を撮影する(S203)。このとき、GPS機能を用いて撮影場所のGPS情報を写真に付加する。写真撮影後、撮影者は、撮影した設備の種類や表示件数を任意で選択し、“検索”ボタンを押下する(S205)。検索ボタンの押下により携帯情報端末から地理情報システムに検索要求が送信される。地理情報システムのGPS情報解析部は、受信した検索要求に含まれるGPS情報を抜き出す。検索部が、抜き出したGPS情報を基に設備位置情報データベースを検索することで、撮影者に近い設備(設備ID)を抽出する。その後GPS情報解析部が、各設備と撮影者の距離をGPS情報に基づき計算する。次に、リスト作成部が、抽出した設備IDと設備属性情報データベースとから、抽出した各設備の種類を特定し、さきほど抽出した撮影箇所からの距離と、設備IDとを合わせて携帯情報端末へ送信する設備一覧情報を作成する。地理情報システムはネットワークを介して携帯情報端末に抽出された設備一覧情報(設備ID、設備の種類、撮影箇所からの距離)を送信する。これにより携帯情報端末は、撮影場所から距離が近い設備の一覧情報が得ることができるので、その中から該当の設備を選択することで地理情報システムに画像を登録することができる(図4)。ここで、携帯情報端末への表示は、撮影箇所からの距離が近い順にソートし、携帯情報端末により指定された件数で表示する。なお、携帯情報端末に送信される設備の情報に含まれる、撮影箇所からの距離については、写真に付加されたGPSの情報と、設備位置情報データベースの情報との差分をとることで算出する。
【0014】
携帯情報端末に表示されている情報のなかに、撮影者が撮影した設備についての情報があれば、その該当箇所を選択肢ボタンを押下し、設備を決定する
(S209)。このようにして決定された情報は、ネットワークを介して地理情報システムに送信される。
【0015】
地理情報システムから送られてきた設備一覧情報に、該当の設備がなかった場合は、もしくは見つけにくい場合は、2ページ目のリストへ遷移するか、検索結果補正を行なうかを判断する(S210)。検索結果補正を行なわず、この検索結果の中で設備を探す場合は、“次へ”ボタンを押下し次のページに移行し、次に近い設備一覧情報を取得し、該当の設備が表示されるまで検索を行う(S211)。検索結果補正を行なう場合は、S204へ戻り、検索結果補正を行う。
【0016】
ここで、検索結果補正方法として次の2つの方法がある。まず1つ目は、電子コンパス機能を利用し撮影した方角を地理情報システムに送信する方法である。この方法により、撮影者の背後にある設備の検索結果は表示されなくなる。電子コンパス機能は、画像登録画面上の“方角登録”ボタン押下することで起動する。2つ目は、撮影者が撮影場所よりも対象設備に近づいてからGPS情報を地理情報システムに再送信する方法である。通常、設備の画像を撮影する際は、設備から数メートル離れて撮影するため、実際の設備の位置からずれた位置がGPS情報として付加されている。このため、設備に近づいてからGPS情報を再送信することで、撮影位置と実際の設備とのずれを補正することができる。GPS情報再取得機能は、画像登録画面上の“GPS再取得”ボタン押下により起動する。これら2つの検索結果補正を適宜使用し、撮影した設備画像を地理情報システムへ登録する。
【0017】
なお、上記説明では、初めてS204を通過した際は、検索ボタンのみが表示されており、検索結果補正を行なうためにS204に戻った際は、他のメニュー(方角登録、GPS再取得)も表示されている、という例を説明した。しかし、初めてS204を通過した際から全てのメニューを表示することも可能である。
【0018】
図5は、地理情報システムの設備一覧情報検索処理の流れである。画像登録画面上でGPS情報付き画像のファイル名が入力された後、撮影者が押下するボタンにより次の3つの処理に分岐する。“検索”ボタンが押下された場合、GPS情報付き画像からGPS解析部にて撮影場所の緯度経度情報を抜き出す。設備位置情報データベースより撮影場所から近い順に設備一覧情報を数件取得する。このとき取得する件数は、携帯情報端末で選択された表示件数分となる。“方角登録”ボタンが押下され方角の情報が入力された場合は、GPS情報付き画像からGPS解析部にて撮影場所の緯度経度情報を抜き出す処理までは、“検索”ボタンを押下された場合と一緒だが、入力のあった方角の−90度から+90度の方角にある設備を対象とした上で最寄りの設備一覧情報を設備属性情報データベースより表示件数分取得する。“GPS再取得”ボタンが押下されGPS情報が入力された場合は、入力されたGPS情報から緯度経度情報をGPS解析部により抜き出し、この緯度経度情報をもとに最寄りの設備一覧を表示件数分取得する。“検索”、“方角登録”、“GPS再取得”ボタンのいずれかが押下され、設備一覧情報を取得後、取得した設備一覧情報を反映した設備一覧表示画面を携帯情報端末に表示する。表示後、撮影者により設備一覧表示画面から該当設備を選択され、“登録”ボタンが押下された場合は、設備属性情報データベースに画像を登録し、処理を終了する。設備一覧情報画面から“次へ”ボタンが押下された場合は、次に近い設備一覧情報を表示件数分だけ設備属性情報データベースより取得し、携帯情報端末へ送信する。
【符号の説明】
【0019】
10:地理情報システム、20:携帯情報端末、101:GPS情報解析部、104:設備位置情報データベース、105:設備属性情報データベース、106:検索部、201GPS機能。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の情報を管理する設備情報管理方法であって、
前記設備の画像に当該画像を撮影した場所のGPS情報を付与するステップと、
前記画像からGPS情報を抽出するステップと、
前記抽出したGPS情報と、設備及びGPS情報の対応付けをした設備位置情報データベースと、から前記抽出したGPS情報が示す場所に近い前記設備を抽出するステップと、
当該抽出した設備の中から、前記撮影された設備を選択する情報を受信するステップと、
を備えることを特徴とした設備情報管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の設備情報管理方法において、
前記設備を抽出するステップでは、更に、前記撮影が行なわれた方向を示す情報に基づき、前記設備を抽出することを特徴とする設備情報管理方法。
【請求項3】
請求項2に記載の設備情報管理方法において、
前記設備を抽出するステップでは、更に、前記された設備の種類の情報に基づき、前記設備を抽出することを特徴とする設備情報管理方法。
【請求項4】
設備の情報を管理する設備情報管理装置であって、
前記設備と当該設備が設置されている位置に関するGPS情報とを対応付けて格納した設備位置情報データベースと、
前記設備の画像と当該画像を撮影した場所のGPS情報とを受信する受信部と、
前記画像からGPS情報を抽出するGPS情報解析部と、
前記抽出したGPS情報と、前記設備位置情報データベースと、から前記抽出したGPS情報が示す場所に近い前記設備を抽出する検索部と、
当該抽出した設備を、他装置に送信する送信部と、
を備えることを特徴とした設備情報管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の設備情報管理装置において、
前記受信部は、更に撮影が行なわれた方向を示す情報を受信し、
前記検索部は、更に前記方向を示す情報に基づき前記設備を抽出することを特徴とする設備情報管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の設備情報管理装置において、
前記受信部は、更に前記設備の種類を示す情報を受信し、
前記検索部は、更に前記設備の種類を示す情報に基づき前記設備を抽出することを特徴とする設備情報管理装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか一項に記載の設備情報管理装置と、携帯情報端末とを備えた設備情報管理システムであって、
前記他装置とは前記携帯情報端末であることを特徴とする設備情報管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の設備情報管理システムにおいて、
前記携帯情報端末は、カメラ機能とGPS機能を備えた携帯情報端末であり、前記カメラ機能により撮影した画像に、前記GPS機能により取得した撮影時点の位置情報を追加して前記設備情報管理装置に送信することを特徴とする設備情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89211(P2013−89211A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232470(P2011−232470)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)