説明

設備機器の情報提供システム

【課題】現地に派遣された保守員に対して、保守点検すべき設備機器に関する情報を正確に提供する。
【解決手段】情報提供システム10は、建物12に取り付けられた二次元コード24と、二次元コード24を撮影する撮影部26を含む携帯端末14と、携帯端末14に通信回線20を介して接続され、設備機器16を遠隔から監視する監視センタ18とを有する。監視センタ18は、建物12と設備機器16に関する情報を記憶する記憶部34と、二次元コード24と記憶部34に記憶された情報とに基づいて特定設備機器40に関する情報を選定する選定部36と、選定部36により選定された情報を携帯端末14に提供する提供部38とを含むように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に配置された設備機器に関する情報を提供する設備機器の情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物に配置されたエレベータなどの設備機器に異常が発生した場合、その異常情報を受け付けた監視センタからその建物に保守員を派遣するシステムが知られている。このようなシステムを運用する会社は、保守員による設備機器の定期点検をサービスとして提供する例がある。
【0003】
このような保守員を派遣するシステムにおいては、保守員は、設備機器の異常に対応する場合、その設備機器に関する情報、例えば設置位置、型番、仕様書、故障履歴、故障情報、手順書及び手順項目の情報に基づいて保守作業を実施する。また、このシステムで設備機器の定期点検を行なう場合においても、保守員は、上述のような設備機器に関する情報に基づいて保守作業を実施する。
【0004】
下記特許文献1には、保守点検対象機器に取り付けられた二次元コードと、このコードを読み取る情報発信機と、この情報発信機により読み取られた二次元コードに基づいて保守点検箇所を特定して保守点検用の情報を情報発信機に送信する送信手段とを有する保守点検管理システムが記載されている。このシステムによれば、保守員が、保守点検箇所に対応した保守点検用の情報を必要に応じて取得することができ、その情報に従って保守点検作業を実施することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−153581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のようなシステムにおいては、情報発信機によって保守点検の対象となる設備機器のコードを読み取ることで、その設備機器に関する情報が容易に取得される。
【0007】
しかしながら、現地に派遣された保守員が、そもそも、保守点検の対象となる設備機器の設置位置がわからない場合、その設備機器に関する情報を取得することができない。このため、保守点検作業前に、設備機器を探す手間がかかってしまう。もしくは、設備機器を探す手間を省くため、保守員が、情報発信機のほかに、設備機器の設置位置に関する情報、例えば図面を予め所持しなければならない。
【0008】
また、保守員が、読み取るべきコードを間違えた場合、例えば保守点検の対象となる設備機器に隣接する同じ型番の設備機器に取り付けられた二次元コードを読み取った場合、その隣接する設備機器に関する情報が取得されてしまう。そうすると、保守員は、この取得された情報が保守点検すべき設備機器に関する情報でないとは気付かずに、この情報に基づいて保守作業を実施してしまう可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、現地に派遣された保守員に対して、保守点検すべき設備機器に関する情報を正確に提供することができる設備機器の情報提供システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の設備機器の情報提供システムは、建物に配置された設備機器と、建物に取り付けられた二次元コードと、保守員が保持し、二次元コードを撮影する撮影部を含む携帯端末と、携帯端末に通信回線を介して接続され、設備機器を遠隔から監視する監視センタと、を有し、監視センタは、建物と設備機器に関する情報を記憶する記憶部と、撮影部によって撮影された二次元コードと記憶部に記憶された情報とに基づいて保守点検すべき設備機器である特定設備機器に関する情報を選定する選定部と、選定部により選定された情報を携帯端末に提供する提供部と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、記憶部は、複数の設備機器が収容された区画に関する情報を記憶し、二次元コードは、前記区画の入口付近に取り付けられた区画二次元コードを含み、選定部は、区画二次元コードの区画に特定設備機器がある場合、その特定設備機器に関する情報と、その区画に関する情報として区画のレイアウト情報とを選定し、提供部は、選定部により選定されたそれらの情報を提供することができる。
【0012】
また、選定部は、選定されたレイアウト情報に特定設備機器の位置をプロットすることができる。
【0013】
また、二次元コードは、設備機器に取り付けられた設備機器二次元コードを含み、選定部は、読み取られた設備機器二次元コードと記憶部に記憶された設備機器に関する情報に基づいて特定設備機器に関する情報を選定することができる。
【0014】
また、設備機器に関する情報は、故障情報と点検作業項目の情報の少なくとも一方を含み、選定部は、設備機器二次元コードに対応する設備機器にそれらの情報が関連付けられている場合、その設備機器が特定設備機器であるとし、その機器に関する情報を選定することができる。
【0015】
また、設備機器に関する情報は、点検作業手順書の情報を含み、提供部は、選定部により選定された特定設備機器に関する情報として点検作業手順書を提供することができる。
【0016】
また、携帯端末は、情報を入力可能な入力部を含み、携帯端末は、入力部により入力された点検作業に関する情報を監視センタに送信することができる。
【0017】
また、別の発明の設備機器の情報提供システムは、建物に配置された設備機器と、建物に取り付けられた二次元コードと、保守員が保持し、二次元コードを撮影する撮影部と情報を表示する表示部とを含む携帯端末と、携帯端末に通信回線を介して接続され、設備機器を遠隔から監視する監視センタと、を有し、監視センタは、建物と設備機器に関する情報を記憶する記憶部と、撮影部によって撮影された二次元コードと記憶部に記憶された情報とに基づいてその二次元コードに対応する設備機器に関する情報を選定する選定部と、選定部により選定された設備機器に関する情報を携帯端末に提供する提供部と、を含み、表示部は、提供部から提供された設備機器に関する情報を、撮影部により撮影される設備機器に関連付けて表示することができる。
【0018】
また、設備機器に関する情報は、故障情報と点検作業項目の情報の少なくとも一方を含み、選定部は、設備機器二次元コードに対応する設備機器にそれらの情報が関連付けられている場合、その設備機器が保守点検すべき設備機器である特定設備機器と特定して、その機器に関する情報を選定し、表示部は、表示中の設備機器に特定設備機器がある場合、その機器を他の設備機器に対して区別可能なように表示させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の設備機器の情報提供システムによれば、現地に派遣された保守員に対して、保守点検すべき設備機器に関する情報を正確に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係る設備機器の情報提供システムの構成を示す図である。
【図2】二次元コードに含まれる各種情報の一例を示す図である。
【図3】建物と区画と設備機器に関する情報の一例を示す図である。
【図4】機械室における設備機器のレイアウトを示す図である。
【図5】設備機器の情報提供システムの制御動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る設備機器の情報提供システムの実施形態について、図を用いて説明する。一例として、一つの建物を挙げ、この建物に設けられる設備機器の情報を提供する情報提供システムについて説明する。なお、本発明は、この態様に限らず、複数の建物にそれぞれ設けられる設備機器を対象にする情報提供システムにも適用することができる。
【0022】
図1は、本実施形態に係る設備機器の情報提供システム(以下、単に「システム」と記す)10の構成を示す図である。システム10は、建物12に派遣される保守員が所持する携帯端末14と、建物12に配置される設備機器16を遠隔から監視する監視センタ18とを有し、携帯端末14と監視センタ18とは、通信回線20を介して接続されている。
【0023】
設備機器16は、監視センタ18の監視対象となる設備の機器のことであり、空調設備、受変電設備、照明設備、給排水衛生設備、セキュリティ設備、昇降設備および防災設備などに用いられる機器である。また、設備機器16は、この機器本体に他に、機器本体を制御する制御機器および各種センサを含む。設備機器16には、必要に応じて、異常信号を出力する出力接点(図示せず)が設けられ、この出力接点と監視センタ18が、建物12を管理する管理装置(図示せず)と通信回線20を介して接続される。なお、出力接点と監視センタ18が、通信回線20とは異なる回線であってもよい。
【0024】
通信回線20は、有線方式あるいは無線方式で構成される。また、両者を混用することも可能である。通信回線20は、公衆の便に供される共用通信回線であっても、独自の専用の通信回線であってもよい。また、両者を混用することも可能である。
【0025】
建物12は、例えばオフィスビル、病院、集合住宅、公共施設または工場である。建物12は、複数の設備機器16が収容された区画22を有する。本実施形態の区画22は、複数の設備機器16が配置された機械室である。なお、本発明はこの構成に限定されず、複数の設備機器16を収容するものであれば、区画22を、機械室に配置され、設備機器16の制御に必要な制御機器を複数収容する制御盤とすることもできる。
【0026】
また、建物12には、二次元コード24が取り付けられる。二次元コード24は、例えばQRコード(登録商標)であり、各種情報を含んでいる。
【0027】
この各種情報の一例について、図2を用いて説明する。二次元コード24は、建物番号Aと区画番号Bと設備機器番号Cの少なくとも1つを含む。建物番号Aは、各建物12にそれぞれ対応する番号である。区画番号Bは、各区画22にそれぞれ対応する番号である。設備機器番号Cは、各設備機器16に対応する番号である。これらの番号は、文字や記号から構成されてもよい。図2に示されるように、二次元コードに含まれる情報を少なくしシリアルナンバーにする理由は、そこから個人情報が漏洩しないようにするためである。
【0028】
二次元コード24は、取り付けられる対象物の属性を示す情報を含む。具体的には、二次元コード24が、建物12の入口付近に取り付けられている場合、そのコード24(以下、「建物二次元コード24a」と記す)は建物番号Aを含む。二次元コード24が、区画22の入口付近に取り付けられている場合、そのコード24(以下、「区画二次元コード24b」と記す)は建物番号Aと区画番号Bを含む。そして、二次元コード24が設備機器16に取り付けられている場合、そのコード24(以下、「設備機器二次元コード24c」と記す)は建物番号Aと区画番号Bと設備機器番号Cとを含む。
【0029】
携帯端末14は、音声情報、文字情報、画像データ情報、またはそれらを組み合わせた情報などを通信可能な通信機器であり、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン、パソコンなどである。また、携帯端末14は、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムを有し、現在の位置情報を取得することもできる。
【0030】
携帯端末14は、撮影部26と表示部28と入力部30とを有する。撮影部26は、静止画と動画を撮影することができるカメラであり、二次元コード24を撮影することができる。表示部28は、文字や画像データなどの情報を表示するディスプレイである。そして、入力部30は、保守員の操作により情報を入力可能な装置であり、テンキー、キーボード、マウスまたは表示部28に一体化されたタッチパネルである。
【0031】
監視センタ18は、監視部32と記憶部34と選定部36と提供部38とを有する。
【0032】
監視部32は、設備機器16の出力接点に接続され、設備機器16の異常を監視する。設備機器16の異常とは、設備機器16が正常ではない状態のことであり、これには設備機器16の故障が含まれる。監視部32は、ある設備機器16の故障が生じてその設備機器16の出力接点から信号を受信した場合、その設備機器16の設備機器番号Cに関連付けて故障情報を記憶部34に記憶させる。このとき、記憶部34においては、故障情報のある設備機器16が、点検作業すべき特定の設備機器(以下、単に「特定設備機器」と記す)40として重み付けされる。
【0033】
本実施形態においては、故障情報のある設備機器16を特定設備機器40とする場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されない。点検作業すべき設備機器16であれば、点検作業項目の情報のある設備機器16を特定設備機器40とすることもできる。この場合、保守員または監視センタ18の監視員により、予め、点検作業が必要な設備機器16またはその設備機器番号Cに関連付けて点検作業項目の情報を記憶部34に記憶させればよい。
【0034】
記憶部34は、建物12と設備機器16と区画22に関する情報をそれぞれ記憶する。具体的には、記憶部34は、建築番号Aと建物12に関する情報を、区画番号Bと区画22に関する情報と、設備機器番号Cと設備機器16に関する情報をそれぞれ対応付けたテーブルを記憶している。
【0035】
建物12と設備機器16と区画22に関する情報は、例えば図3に示されるような情報である。建物12に関する情報は、建物12の住所と、建物12の名称と、建物12の所有者の情報と、建物12の管理者の情報とを含む。区画22に関する情報は、区画12の位置と、区画12の名称と、区画12に収容された設備機器14の配置を示すレイアウト情報とを含む。レイアウト情報とは、例えは平面図である。そして、設備機器14に関する情報は、型番と、仕様と、過去の故障を示す故障履歴と、現在の故障を示す故障情報と、点検作業手順及び項目と、位置情報とを含む。
【0036】
選定部36は、保守員の携帯端末14によって取得された二次元コード24と記憶部34に記憶された情報とに基づいて、その保守員に対して必要な情報、すなわち特定設備機器40に関する情報を選定する。提供部38は、選定部36により選定された情報を携帯端末14に提供する。このシステムにおいては、どの二次元コード24からも特定設備機器40に関する情報を正確に提供することができる。
【0037】
以下、選定部36の機能について、二次元コード24が建築二次元コード24a、区画二次元コード24b、または設備機器二次元コード24cである場合にそれぞれ分けて説明する。
【0038】
まず、二次元コード24が建物二次元コード24aである場合について説明する。この場合、選定部36は、建物二次元コード24aの情報、すなわち建物番号Aに対応する建物12に関する情報を選定する。さらに、選定部36は、建物番号Aに属する設備機器番号Cに対応する特定設備機器40に関する情報であって、その機器40の位置情報を選定する。この位置情報は、例えば特定設備機器40が配置される区画22、すなわち機械室の位置情報であってもよい。この情報により、保守員が特定設備機器40、または特定設備機器40が収容される区画22に迷わず辿り着くことができる。
【0039】
次に、二次元コード24が区画二次元コード24bである場合について、図4を用いて説明する。図4は、区画22である機械室における設備機器16のレイアウトを示す図である。
【0040】
機械室22には、設備機器16であるモータと制御盤がそれぞれ複数台配置される。そして、機械室22の入口付近には、区画二次元コード24bが取り付けられ、各設備機器16には、設備機器二次元コード24cがそれぞれ取り付けられる。この図においては、紙面の右上隅に配置されるモータが故障しており、特定設備機器40に設定されている。なお、本実施形態においては、制御盤が設備機器16である場合について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、制御盤は複数の制御機器を収容しているので、これを区画22として設定することもできる。
【0041】
選定部36は、区画二次元コード24bの情報、すなわち区画番号Bに対応する区画22に関する情報を選定する。さらに、選定部36は、区画番号Bに属する設備機器番号Cに対応する特定設備機器40に関する情報であって、その機器40の位置情報を選定する。このとき、図4に示されるように、その区画22に特定設備機器40があるので、選定された位置情報と、区画22に関する情報に含まれるレイアウト情報とを結合させることができる。すなわち、レイアウト情報に特定設備機器40の位置をプロットすることができる。このように複数の位置情報を結合することにより、その情報に対する保守員の認知度が向上するので、例えば機械室22が広くかつそこに同型の設備機器16が複数設置されていたとしても、保守員は特定設備機器40に迷わず確実に辿り着くことができる。
【0042】
一方、図4とは異なるが、その区画22に特定設備機器40がない場合、選定部36は、特定設備機器40に関する情報として、例えば特定設備機器40が配置される別の区画22の位置情報を選定することができる。
【0043】
次に、二次元コード24が設備機器二次元コード24cである場合について、再び図4を用いて説明する。なお、その設備機器二次元コード24cが特定設備機器40に取り付けられたものと、それ以外の設備機器16に取り付けられたものとに分けて説明する。
【0044】
設備機器二次元コード24cが特定設備機器40に取り付けられたものである場合、選定部36は、設備機器二次元コード24cに含まれる設備機器番号Cに対応する特定設備機器40に関する情報を選定する。この情報には、故障情報、点検作業手順及び項目などの情報が含まれるので、保守員は、これらの情報に基づいて保守作業を実施することができる。
【0045】
一方、設備機器二次元コード24cが設備機器16に取り付けられたものである場合、選定部36は、設備機器二次元コード24cに含まれる設備機器番号Cに対応する設備機器16に関する情報を選定する。さらに、選定部36は、特定設備機器40の位置情報を選定する。このときの位置情報は、図4に示されるようなレイアウト情報とすることができる。すなわち、機械室22のレイアウト情報に特定設備機器40の位置をプロットした図面とすることもできる。これにより、保守員は、その設備機器16に関する情報を取得することができるとともに、その設備機器16が特定設備機器40ではないことを認識することもできるので、保守点検すべき設備機器16の誤認を防止することができる。
【0046】
続いて、本実施形態における設備機器16の情報提供システムの制御動作の一例について、図5を用いて説明する。なお、この制御動作においては、設備機器16の故障が発生し、保守員が現地に派遣された時点をスタートとする。
【0047】
まず、ステップS101において、携帯端末14により建物二次元コード24aが撮影され、監視センタ18に送信される。そして、ステップS102において、選定部36により選定された情報の一つである機械室22の位置情報が提供される。この位置情報は、保守点検すべき特定設備機器40が配置される機械室22の情報である。
【0048】
次に、ステップS103において、機械室22の入口で区画二次元コード24bが撮影され、監視センタ18に送信される。そして、ステップS104において、選定部36により選定された情報の一つである特定設備機器40の位置情報が提供される。この位置情報は、特定設備機器40がプロットされた機械室22のレイアウト情報である。
【0049】
そして、ステップS105において、特定設備機器40の設備機器二次元コード24cが撮影され、監視センタ18に送信される。そして、ステップS106において、選定部36により選定された情報の一部である故障情報と点検作業手順及び項目の情報が提供される。
【0050】
その後、ステップS107において、提供された情報に基づいて保守点検作業が実施され、その作業が終了すると、ステップS108において、携帯端末14により作業終了の報告が行なわれ、この制御動作が終了する。
【0051】
このように、本実施形態のシステム10においては、どの二次元コードからも特定設備機器40に関する情報が正確に提供される。具体的には、特定設備機器40以外の二次元コードからは、特定設備機器40の位置情報が提供されるので、建物12に初めて派遣された保守員であっても、対象機器の誤認を防止することができるとともに、特定設備機器40に早期にかつ確実に辿り着くことができる。これにより、保守点検作業を早期に着手できる。一方、特定設備機器40の二次元コードからは、保守点検作業に関する情報が提供されるので、作業を確実に遂行することができる。
【0052】
この実施形態においては、二次元コード24が建物番号Aと区画番号Bと設備機器番号Cの少なくとも一つを含む場合について説明したが、この構成に限定されない。設備機器16の設置台数が少なく、かつ建物12が簡易な構造であれば、二次元コード24が、設備機器16にのみ取り付けられ、そこには設備機器番号Cのみを含んでもよい。
【0053】
次に、別の実施形態のシステム10について説明する。なお、上記実施形態と同じ構成要素については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0054】
この実施形態の携帯端末14の撮影部26は、撮影範囲に含まれる複数の二次元コード24を一度に認識する。監視センタ18の選定部36は、それらの二次元コード24の例えば設備機器番号Cに対応する設備機器16に関する情報を選定し、提供部38がそれらの情報を携帯端末14に提供する。
【0055】
そして、本実施形態においては、携帯端末14の表示部28が、提供部38から提供された設備機器16に関する情報を、撮影部26により撮影される設備機器16に関連付けて表示することを特徴とする。これにより、表示部28に表示されるリアルタイムの動画上に、設備機器16に関する情報を貼り付けることができる、これは、上述した実施形態における平面図上にプロットされた情報より、視認性の向上を図ることができる表示方法である。特に、特定設備機器40を、他の設備機器16に対して区別可能なように表示させることが好適である。区別可能な表示とは、色や文字を変化させて、特定設備機器40の視認性を向上させる表示である。
【0056】
なお、撮影部26により二次元コード24を撮影することができなくても、表示部28に表示される設備機器16に情報を関連付けて表示させることができる。例えば、携帯端末14はGPS機能を有している場合、この機能により携帯端末14の位置情報と撮影部26が撮影している方位情報がわかる。選定部36は、これらの情報と、記憶部34の情報、例えば機械室のレイアウト情報とに基づいて、撮影部26により撮影されている範囲の設備機器16に関する情報を選定する。そして、その選定された情報を、表示部28に表示される設備機器16に関連付けて表示させればよい。
【符号の説明】
【0057】
10 設備機器の情報提供システム、12 建物、14 携帯端末、16 設備機器、18 監視センタ、20 通信回線、22 機械室、24 二次元コード、26 撮影部、28 表示部、30 入力部、32 監視部、34 記憶部、36 選定部、38 提供部、40 特定設備機器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に配置された設備機器と、
建物に取り付けられた二次元コードと、
保守員が保持し、二次元コードを撮影する撮影部を含む携帯端末と、
携帯端末に通信回線を介して接続され、設備機器を遠隔から監視する監視センタと、
を有し、
監視センタは、
建物と設備機器に関する情報を記憶する記憶部と、
撮影部によって撮影された二次元コードと記憶部に記憶された情報とに基づいて保守点検すべき設備機器である特定設備機器に関する情報を選定する選定部と、
選定部により選定された情報を携帯端末に提供する提供部と、
を含む、
ことを特徴とする設備機器の情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の設備機器の情報提供システムにおいて、
記憶部は、複数の設備機器が収容された区画に関する情報を記憶し、
二次元コードは、前記区画の入口付近に取り付けられた区画二次元コードを含み、
選定部は、区画二次元コードの区画に特定設備機器がある場合、その特定設備機器に関する情報と、その区画に関する情報として区画のレイアウト情報とを選定し、
提供部は、選定部により選定されたそれらの情報を提供する、
ことを特徴とする設備機器の情報提供システム。
【請求項3】
請求項2に記載の設備機器の情報提供システムにおいて、
選定部は、選定されたレイアウト情報に特定設備機器の位置をプロットする、
ことを特徴とする設備機器の情報提供システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の設備機器の情報提供システムにおいて、
二次元コードは、設備機器に取り付けられた設備機器二次元コードを含み、
選定部は、読み取られた設備機器二次元コードと記憶部に記憶された設備機器に関する情報に基づいて特定設備機器に関する情報を選定する、
ことを特徴とする設備機器の情報提供システム。
【請求項5】
請求項4に記載の設備機器の情報提供システムにおいて、
設備機器に関する情報は、故障情報と点検作業項目の情報の少なくとも一方を含み、
選定部は、設備機器二次元コードに対応する設備機器にそれらの情報が関連付けられている場合、その設備機器が特定設備機器であるとし、その機器に関する情報を選定する、
ことを特徴とする設備機器の情報提供システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1つに記載の設備機器の情報提供システムにおいて、
設備機器に関する情報は、点検作業手順書の情報を含み、
提供部は、選定部により選定された特定設備機器に関する情報として点検作業手順書を提供する、
ことを特徴とする設備機器の情報提供システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の設備機器の情報提供システムにおいて、
携帯端末は、情報を入力可能な入力部を含み、
携帯端末は、入力部により入力された点検作業に関する情報を監視センタに送信する、
ことを特徴とする設備機器の情報提供システム。
【請求項8】
建物に配置された設備機器と、
設備機器に取り付けられた設備機器二次元コードと、
保守員が保持し、設備機器二次元コードを撮影する撮影部と情報を表示する表示部とを含む携帯端末と、
携帯端末に通信回線を介して接続され、設備機器を遠隔から監視する監視センタと、
を有し、
監視センタは、
建物と設備機器に関する情報を記憶する記憶部と、
撮影部によって撮影された設備機器二次元コードと記憶部に記憶された情報とに基づいてその二次元コードに対応する設備機器に関する情報を選定する選定部と、
選定部により選定された設備機器に関する情報を携帯端末に提供する提供部と、
を含み、
表示部は、提供部から提供された設備機器に関する情報を、撮影部により撮影される設備機器に関連付けて表示する、
ことを特徴とする設備機器の情報提供システム。
【請求項9】
請求項8に記載の設備機器の情報提供システムにおいて、
設備機器に関する情報は、故障情報と点検作業項目の情報の少なくとも一方を含み、
選定部は、設備機器二次元コードに対応する設備機器にそれらの情報が関連付けられている場合、その設備機器が保守点検すべき設備機器である特定設備機器と特定して、その機器に関する情報を選定し、
表示部は、表示中の設備機器に特定設備機器がある場合、その機器を他の設備機器に対して区別可能なように表示させる、
ことを特徴とする設備機器の情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−243091(P2011−243091A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116127(P2010−116127)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000236056)三菱電機ビルテクノサービス株式会社 (1,792)
【Fターム(参考)】