説明

設定制御装置、および設定制御装置の動作方法

【課題】記憶素子への制御値の誤設定の可能性を低減させることが可能な技術を提供する。
【解決手段】設定制御装置1は、処理回路100において用いられる制御値の入力に応じて、当該制御値を一時記憶部11に記憶させる設定制御部12と、処理回路100に対して電気的に接続され、制御値を記憶可能な記憶素子としての特殊レジスタ20Bと、一時記憶部11から特殊レジスタ20Bへの制御値の読出動作を制御する読出制御部13とを備えている。そして、当該読出制御部13は、制御値の一時記憶部11への記憶完了後の所定タイミングで、読出動作を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶素子への記憶技術に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置または撮像装置等の所定装置では、動作または処理(動作等)に用いられる各制御値を、当該所定装置内の複数の記憶素子に記憶させ、記憶素子に記憶させた制御値を用いて動作等が実行されている。所定装置では、所定装置の動作または処理の進展に応じて、或いは、当該所定装置の操作者によって制御値の変更要請が生じた場合は、制御値の更新が行われることになる。
【0003】
このような制御値の更新による変更は、所定装置の動作等に影響を及ぼし、不具合を生じさせる場合がある。
【0004】
例えば、所定装置に含まれる表示装置では、モニタに映像信号に基づいた表示が行われるが、制御値の更新がモニタに表示される映像に影響を及ぼす場合がある。
【0005】
このため、例えば、特許文献1では、制御値(特許文献1中では、設定値)を一時記憶部に一旦保持させ、映像信号の垂直ブランキング期間において、一時記憶部から制御値を読み出し、記憶素子(特許文献1中では、レジスタ)に保持された制御値の更新を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−337989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1では、一時記憶部への制御値の設定完了前に制御値の更新が行われると、制御値が記憶素子に誤設定される可能性がある。
【0008】
このように、垂直ブランキング期間等の特定の期間内に制御値の更新を実現させる所定装置では、制御値の誤設定の可能性が発生しうる。
【0009】
そこで、本発明は、記憶素子への制御値の誤設定の可能性を低減させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る設定制御装置は、所定処理部において用いられる制御値の入力に応じて、当該制御値を第1記憶部に記憶させる記憶制御手段と、前記所定処理部に対して電気的に接続され、前記制御値を記憶可能な第2記憶部と、前記第1記憶部から前記第2記憶部への前記制御値の読出動作を制御する読出制御手段とを備え、前記読出制御手段は、前記制御値の前記第1記憶部への記憶完了後の所定タイミングで、前記読出動作を実行させる。
【0011】
また、本発明に係る設定制御装置の一態様では、前記記憶制御手段は、前記制御値の前記第1記憶部への記憶完了後に、前記第1記憶部への前記制御値の記憶が完了したことを示す記憶完了信号を生成する手段を有し、前記記憶制御手段は、前記記憶完了信号を前記読出制御手段に与え、前記読出制御手段は、前記記憶完了信号の入力を前記読出動作の実行開始条件として用いる。
【0012】
また、本発明に係る設定制御装置の一態様では、前記所定処理部における処理対象には、映像信号が含まれ、前記所定タイミングは、前記映像信号の垂直ブランキング期間に含まれるタイミングである。
【0013】
また、本発明に係る設定制御装置の一態様では、前記第1記憶部には、SRAMが採用され、前記記憶制御手段は、前記SRAMへの前記制御値の記憶を、入力された制御値ごとに個別に行う。
【0014】
また、本発明に係る設定制御装置の一態様では、設定制御装置は、前記所定処理部に対して電気的に接続された第3記憶部をさらに備え、前記所定処理部における処理対象には、映像信号が含まれ、前記記憶制御手段は、前記制御値のうち、前記映像信号に影響を与えない第1制御値を前記第3記憶部に記憶させ、前記映像信号に影響を与える第2制御値を前記第1記憶部に記憶させ、前記読出制御手段は、前記第2制御値に関する読出動作を実行させる。
【0015】
また、本発明に係る設定制御装置の動作方法は、a)所定処理部において用いられる制御値の入力に応じて、当該制御値を第1記憶部に記憶させる工程と、b)前記第1記憶部から前記制御値を読み出して、当該制御値を前記所定処理部に対して電気的に接続された第2記憶部に記憶させる工程とを備え、前記b)工程は、前記a)工程完了後の所定タイミングに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、記憶素子への制御値の誤設定の可能性を低減させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係る設定制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】初期設定段階における設定制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】更新設定段階における設定制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0019】
<1.実施形態>
[1−1.構成概要]
図1は、本実施形態に係る設定制御装置1の構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示される設定制御装置1は、所定の処理回路(以下では、単に「処理回路」とも称する)100における処理の実行に用いられる制御値を保持する記憶素子に対して、制御値の設定を行う。
【0021】
具体的には、図1に示されるように、設定制御装置1は、CPU5とCPUインターフェース(IF)回路10とを有している。
【0022】
CPU5は、CPUIF回路10に対して制御情報を出力し、CPUIF回路10内の記憶素子に保持される制御値(「設定値」とも称する)の設定および更新を指示する。制御情報には、CPUIF回路10に対して所定動作の実行を指示する指令信号CMSと、制御値を書き込むべき記憶素子のアドレスを示すアドレス信号ADRと、記憶素子に書き込まれる制御値を示すデータ信号WDTとがある。
【0023】
CPUIF回路10は、CPU5からの指令に応じて、制御値の設定動作を行う。具体的には、CPUIF回路10は、記憶素子20と、一時記憶部11と、設定制御部12と、読出制御部13と、第1セレクタ14と、第2セレクタ15とを備えている。
【0024】
記憶素子20は、例えば、レジスタで構成され、制御値を保持する機能を有している。レジスタは、処理回路100に電気的に接続され、レジスタに保持された制御値は、画像表示装置または撮像装置に設けられた処理回路100における処理の実行に用いられる。
【0025】
このようなレジスタは、制御値ごとに設けられ、保持する制御値の種類(性質)に応じて通常レジスタ20Aと特殊レジスタ20Bとに大別される。具体的には、画像表示装置における表示画像または撮像装置によって取得される画像信号に影響を与えない制御値は、通常レジスタ20Aに保持される。一方、画像表示装置における表示画像または撮像装置によって取得される画像信号に影響を与える制御値は、特殊レジスタ20Bに保持される。図1中では、通常レジスタ20Aは、点線PL1に囲まれた第1レジスタ群を構成し、特殊レジスタ20Bは、点線PL2に囲まれた第2レジスタ群を構成している。
【0026】
一時記憶部11は、特殊レジスタ20Bに保持させる制御値、すなわち表示画像または画像信号に影響を与える制御値を、特殊レジスタ20Bに設定する前に一時的に保持する機能を有している。一時記憶部11としては、例えばSRAM(Static Random Access Memory)が採用される。
【0027】
特殊レジスタ20Bおよび一時記憶部11では、制御値の種類ごとに格納先(保存先)が定められていて、特殊レジスタ20Bと一時記憶部11との間では、制御値の種類に応じて格納先が互いに対応している。すなわち、或る制御値は、一時記憶部11の所定アドレスに格納された後、当該所定アドレスに対応する特殊レジスタ20Bに格納されることになる。例えば、一時記憶部11のアドレスAD(0)に格納された制御値は、特殊レジスタ20B(0)に設定されることになり、アドレスAD(N)に格納された制御値は、特殊レジスタ20B(N)に設定されることになる。
【0028】
また、一時記憶部11および特殊レジスタ20Bは、制御値の設定に際して、2段階で制御値の記憶を行うことから、総称してダブルバッファレジスタとも称される。
【0029】
設定制御部12は、CPU5から入力された制御情報に基づいて一時記憶部11または記憶素子20に制御値の設定を行う記憶制御手段として機能する。また、設定制御部12は、各記憶素子20に設定されている現在の制御値を取得して、現在の制御値を示すデータ信号RDTをCPU5に出力する。
【0030】
読出制御部13は、第1セレクタ14および第2セレクタ15の切り換え制御を行い、一時記憶部11に記憶された制御値を読み出して、特殊レジスタ20Bの制御値を更新する読出動作(「制御値読出動作」または「制御値更新動作」とも称する)を制御する。なお、第1セレクタ14および第2セレクタ15は、読出制御部13によって伝送路の選択を行うが、通常は、設定制御部12からの信号に対する伝送路が確保されている。
【0031】
なお、処理回路100は、撮像装置、画像処理装置および画像表示装置等において映像信号に関連する所定処理を実行する処理回路であり、処理回路100の例としては、例えば、画像処理回路、表示制御回路等が挙げられる。すなわち、撮像装置、画像処理装置および画像表示装置等の所定装置は、所定処理の実行に用いる制御値の記憶素子への設定を行う装置との観点からは、設定制御装置と表現される。
【0032】
[1−2.動作]
次に、設定制御装置1の動作について説明する。設定制御装置1の動作は、レジスタに制御値を初期設定する段階(「初期設定段階」とも称する)と、初期設定後にレジスタの制御値を更新する段階(「更新設定段階」とも称する)とに分けられ、以下では、段階ごとに場合分けして説明する。
【0033】
まず、初期設定段階における設定制御装置1の動作について詳述する。図2は、初期設定段階における設定制御装置1の動作を示すタイミングチャートである。図2では、処理回路100の動作状態を示す信号KSと、処理回路100における垂直同期信号VSと、処理回路100における水平同期信号HSと、処理回路100における垂直ブランキング期間を示す信号VBSと、垂直ブランキング期間の開始に応じた信号(「V開始信号」とも称する)BTSとが示されている。また、図2では、上記各信号KS,VS,HS,VBS,BTSの時間進展に対応させて、CPU5からのアクセス状態PACと、通常レジスタ20Aへのデータ(ここでは制御値)の書込動作状態GAWと、一時記憶部11へのデータの書込動作状態SWと、一時記憶部11からのデータの読出動作状態SRと、特殊レジスタ20Bへのデータの書込動作状態GBWとが示されている。
【0034】
初期設定段階は、所定装置への電源投入等に応じて開始され、図2では、矢印YE1で示される期間が初期設定段階となる。
【0035】
初期設定段階では、CPU5からCPUIF回路10に対して初期設定のための制御情報が入力される。
【0036】
具体的には、図2に示されるように、CPU5から各通常レジスタ20Aへの制御値の書込指示を含む制御情報FAが入力されると、設定制御部12は、通常レジスタ20Aに対して、当該制御値の書込動作WA1を実行させる。当該書込動作WA1では、データ線31Aを介して各通常レジスタ20Aに制御値が入力され、各通常レジスタ20Aには初期値としての制御値が設定されることになる。
【0037】
次に、CPU5から各特殊レジスタ20Bへの制御値の書込指示を含む制御情報FB1が入力されると、設定制御部12は、特殊レジスタ20Bに対して、当該制御値の書込動作WB1を実行させる。当該書込動作WB1では、データ線31Bを介して各特殊レジスタ20Bに制御値が入力され、各特殊レジスタ20Bには初期値としての制御値が設定されることになる。
【0038】
また、CPU5からの制御情報FB1の入力に応じて、設定制御部12は、一時記憶部11に対しても制御値の書込動作WS1を実行させる。より詳細には、設定制御部12は、データ線32を介して制御値を一時記憶部11に入力させるとともに、信号線33を介して書込を指示する書込制御信号および当該制御値を記憶させる所定アドレスを一時記憶部11に入力させ、一時記憶部11の所定アドレスに制御値を記憶させる。
【0039】
このような、各レジスタ20A,20Bおよび一時記憶部11への初期値の設定処理が終了すると、CPU5は、信号線34Aを介して処理回路100に起動信号を入力し、処理回路100を起動させる。これにより、処理回路100の動作状態を示す信号KSは、HIGHレベルに推移するとともに、設定制御装置1の動作段階は、初期設定段階から更新設定段階へと移行する。図2では、矢印YE2で示される期間が更新設定段階となる。
【0040】
なお、設定制御部12から各レジスタ20A,20Bへのデータ線31A,31Bは、図1では、まとめて単線として示されている箇所があるが、詳細には、各レジスタ20A,20Bごとに対応するデータ線31A,31Bが設けられている。
【0041】
次に、更新設定段階について詳述する。図3は、更新設定段階における設定制御装置1の動作を示すタイミングチャートである。図3では、処理回路100の動作状態を示す信号KSと、処理回路100における垂直同期信号VSと、処理回路100における水平同期信号HSと、処理回路100における垂直ブランキング期間を示す信号VBSと、処理回路100から入力される、垂直ブランキング期間の開始に応じた信号(V開始信号)BTSと、一時記憶部11への制御値の書込完了を示す信号(「書込完了信号」または「記憶完了信号」とも称する)WCSとが示されている。また、図3では、上記各信号KS,VS,HS,VBS,BTS,WCSの時間進展に対応させて、CPU5からのアクセス状態PACと、通常レジスタ20Aへのデータ(ここでは制御値)の書込動作状態GAWと、一時記憶部11へのデータの書込動作状態SWと、一時記憶部11からのデータの読出動作状態SRと、特殊レジスタ20Bへのデータの書込動作状態GBWとが示されている。また、さらに図3では、一時記憶部11からのデータの読出開始を示す信号(読出開始信号)STSと、一時記憶部11からのデータの読出終了を示す信号(読出終了信号)ENSとが示されている。
【0042】
なお、処理回路100において処理される映像信号の垂直ブランキング期間を示す信号VBSは、水平同期信号HSと垂直同期信号VSとに基づいて生成され、信号VBSにおいて矢印YBで表される信号レベルの低い(LOW)区間は、映像信号の垂直ブランキング期間に対応する。垂直ブランキング期間は、例えば、画像表示装置では、有効な画像が表示されない非表示期間とも称され、撮像装置では、撮像装置内の撮像素子から有効な映像信号が取得されない期間(無効データ期間)とも称される。
【0043】
更新設定段階では、処理回路100において映像信号に関する所定処理が実行されるので、設定制御装置1においては、映像信号に影響を与えない制御値の更新と映像信号に影響を与える制御値の更新とで、異なる態様の更新動作が実行される。
【0044】
具体的には、映像信号に影響を与えない制御値、すなわち通常レジスタ20Aに保持された制御値の更新要求が生じると、設定制御部12は、通常レジスタ20Aに対してデータ線31Aを介して制御値を入力し、制御値の更新動作を実行させる。このように、映像信号に影響を与えない制御値の更新は、設定制御部12によって行われることになる。
【0045】
一方、映像信号に影響を与える制御値、すなわち特殊レジスタ20Bに保持された制御値の更新要求が生じると、設定制御部12は、ダブルバッファレジスタを用いた制御値の更新動作を行う。
【0046】
より詳細には、まず、CPU5から各特殊レジスタ20Bへの制御値の書込指示を含む制御情報FB2が入力されると、設定制御部12は、一時記憶部11に対して、当該制御値の書込動作WS2を実行させる。当該書込動作WS2では、データ線32を介して制御値が一時記憶部11に入力されるとともに、信号線33を介して当該制御値を記憶させるアドレスが一時記憶部11に入力され、制御値が一時記憶部11内の所定アドレスに記憶される。
【0047】
このような一時記憶部11への制御値の書込動作WS2が完了すると、CPU5は、制御情報FB2の送信が終了した旨の信号を含む制御情報FNを出力する。CPU5からの制御情報FNに含まれる信号は、一時記憶部11への制御値の書込完了信号WCSをHIGHレベルに推移させるための指令信号としての役割を果たす。具体的には、制御情報FNを受けた設定制御部12は、設定制御部12内のフラグ用レジスタ121に所定値を格納し、フラグをセットする。フラグ用レジスタ121は、図3に示される一時記憶部11への制御値の書込完了信号WCSを生成する生成手段として機能し、フラグ用レジスタ121にフラグがセットされると、当該書込完了信号WCSの信号レベルはHIGHレベルに推移する。
【0048】
設定制御装置1では、書込完了信号WCSがHIGHレベルに設定されると、読み出しのためのトリガ信号(読出トリガ信号)の検出に応じて、制御値読出動作が開始される。
【0049】
具体的には、制御値読出動作は、読出制御部13の制御下で行われ、読出制御部13は、書込完了信号WCSのHIGHレベル状態と、読出トリガ信号のHIGHレベル状態との同時検出を制御値読出動作の実行開始条件とする。当該実行開始条件が満たされた場合、読出制御部13は、制御値読出動作を開始する。制御値読出動作は、図3では、破線HLに囲まれた部分に表される動作であり、一時記憶部11から制御値を読み出す読出動作RSと、特殊レジスタ20Bに当該制御値を記憶させる書込動作WB2とを含んでいる。
【0050】
制御値読出動作をさらに詳述すると、読出制御部13は、信号線34Bを介してCPU5から入力される処理回路100の起動信号に応じて起動される。そして、当該読出制御部13に、信号線35を介してHIGHレベルの書込完了信号WCSが入力されるとともに、処理回路100から信号線36を介して読出トリガ信号が入力されると、読出制御部13は制御値読出動作を開始させる。
【0051】
制御値読出動作では、読出制御部13によって、第1セレクタ14の切り換えが行われ、信号線37から一時記憶部11への伝送路が確保されるとともに、信号線37を介して制御値の読出を行うアドレス(「読出アドレス」とも称する)が指定される。読出アドレスの指定は、読出を指示する読出制御信号と読出対象の制御値を格納する読出アドレスとを一時記憶部11に対して出力して行われる。
【0052】
読出制御信号と読出アドレスとが入力された一時記憶部11では、指定された読出アドレスに格納されている制御値が出力される。一時記憶部11から出力された制御値は、データ線38を介して各第2セレクタ15に入力される。ここで、読出制御部13は、第2セレクタ15の切り換え制御を行って、読み出された制御値を読出アドレスに対応する特殊レジスタ20Bに格納させる。例えば、図1において、一時記憶部11のアドレスAD(0)に格納されている制御値を読み出す場合は、読出制御部13は、第2セレクタ15Aの切り換え制御を行って、アドレスAD(0)に対応する特殊レジスタ20B(0)への伝送路を確保し、読み出された制御値を特殊レジスタ20B(0)に格納させる。
【0053】
このように、読出制御部13は、一時記憶部11からの読出処理を制御値ごとに行い、さらに、読み出した制御値の種類に応じて第2セレクタ15の切り換え制御を行うことによって、制御値を変更させる特殊レジスタ20Bを選択し、制御値の更新を実現する。
【0054】
また、設定制御装置1では、制御値読出動作の開始に応じて読出開始信号STSが信号線39Aを介して読出制御部13からCPU5に出力されるとともに、制御値読出動作の完了に応じて読出終了信号ENSが信号線39Bを介して読出制御部13からCPU5に出力される。これらの各信号STS,ENSは、制御値読出動作の実行状態をCPU5に伝える役割を果たしている。CPU5では、例えば、これらの信号STS,ENSを制御値読出動作実行中における、特殊レジスタ20Bへの書込指示を制限するために用いることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、制御値読出動作を開始させる読出トリガ信号として、V開始信号BTSが採用され、V開始信号BTSのHIGHレベル状態の検出が制御値読出動作の実行開始条件の一つとされる。
【0056】
このように、垂直ブランキング期間の開始に応じたV開始信号BTSの検出に応じて制御値読出動作を開始することによれば、垂直ブランキング期間において制御値の更新を行うことが可能になるので、処理回路100の処理対象となる映像信号に影響を及ぼすことなく、制御値の更新を実現できる。
【0057】
またさらに、本実施形態では、一時記憶部11への制御値の書込完了を示す書込完了信号WCSを読出制御部13に入力し、当該書込完了信号WCSのHIGHレベル状態を制御値読出動作の実行開始条件の一つとしている。これによれば、一時記憶部11への制御値の書込完了後に、制御値読出動作が実行されるので、一時記憶部11への制御値の書込が完了しない状態で、一時記憶部11から制御値が読み出される可能性を低減することができる。このため、本実施形態の設定制御装置1では、特殊レジスタ20Bへの制御値の誤設定を防止することができる。
【0058】
以上のように、設定制御装置1は、処理回路100において用いられる制御値の入力に応じて、当該制御値を一時記憶部11に記憶させる設定制御部12と、処理回路100に対して電気的に接続され、制御値を記憶可能な記憶素子としての特殊レジスタ20Bと、一時記憶部11から特殊レジスタ20Bへの制御値の読出動作を制御する読出制御部13とを備えている。そして、当該読出制御部13は、制御値の一時記憶部11への記憶完了後の垂直ブランキング期間に含まれる所定タイミングで、読出動作を実行させる。これによれば、一時記憶部11への制御値の記憶完了後に、記憶素子への制御値の読出動作が実行されることになるので、制御値の誤設定の可能性を低減させることが可能になる。
【0059】
なお、上記では、一時記憶部11としてSRAMを採用する場合を例示したが、SRAMは、SRAMを構成するメモリセルを自由に指定して、読み込みおよび書き込みを行うことが可能である。このため、本実施形態のように一時記憶部11としてSRAMを採用した場合、設定制御部12は、一時記憶部11に保持されている制御値を制御値ごとに個別に変更することが可能になるので、制御値更新動作に要する時間を短縮することができる。
【0060】
<2.変形例>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は、上記に説明した内容に限定されるものではない。
【0061】
例えば、上記実施形態では、水平同期信号HSと垂直同期信号VSとを処理回路100から得ていたが、これに限定されない。具体的には、水平同期信号HSおよび垂直同期信号VSを生成するHVカウンタを設定制御装置1内に設けて、設定制御装置1内のHVカウンタから水平同期信号HSと垂直同期信号VSとを得てもよい。これによれば、映像信号の垂直ブランキング期間を示す信号VBSを設定制御装置1内で生成し、当該信号VBSを用いて、制御値読出動作を制御することができる。このような構成を採用すれば、処理回路100から入力される信号VBSが実際の垂直ブランキング期間よりも遅れている場合に有効になる。
【0062】
また、上記実施形態では、垂直ブランキング期間の開始に応じたV開始信号BTSの検出に基づいて制御値読出動作を開始していたが、これに限定されず、垂直ブランキング期間に含まれる所定タイミングで制御値読出動作を開始するようにしてもよい。ただし、当該所定タイミング(制御値読出動作の開始タイミング)は、制御値読出動作を開始した垂直ブランキング期間内に制御値読出動作が完了するようなタイミングであることが要求される。
【0063】
また、上記実施形態の設定制御装置1では、映像信号の垂直ブランキング期間において制御値の更新が行われていたが、これに限定されず、設定制御装置1は、垂直ブランキング期間以外の他の所定期間内に制御値の更新を実現させる場合においても適用される。
【符号の説明】
【0064】
1 設定制御装置
5 CPU
10 CPUインターフェース回路(CPUIF回路)
100 処理回路
11 一時記憶部
12 設定制御部
121 フラグ用レジスタ
13 読出制御部
14 第1セレクタ
15,15A 第2セレクタ
20 記憶素子
20A 通常レジスタ
20B 特殊レジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定処理部において用いられる制御値の入力に応じて、当該制御値を第1記憶部に記憶させる記憶制御手段と、
前記所定処理部に対して電気的に接続され、前記制御値を記憶可能な第2記憶部と、
前記第1記憶部から前記第2記憶部への前記制御値の読出動作を制御する読出制御手段と、
を備え、
前記読出制御手段は、前記制御値の前記第1記憶部への記憶完了後の所定タイミングで、前記読出動作を実行させる設定制御装置。
【請求項2】
前記記憶制御手段は、
前記制御値の前記第1記憶部への記憶完了後に、前記第1記憶部への前記制御値の記憶が完了したことを示す記憶完了信号を生成する手段を有し、
前記記憶制御手段は、前記記憶完了信号を前記読出制御手段に与え、
前記読出制御手段は、前記記憶完了信号の入力を前記読出動作の実行開始条件として用いる請求項1に記載の設定制御装置。
【請求項3】
前記所定処理部における処理対象には、映像信号が含まれ、
前記所定タイミングは、前記映像信号の垂直ブランキング期間に含まれるタイミングである請求項1または請求項2に記載の設定制御装置。
【請求項4】
前記第1記憶部には、SRAMが採用され、
前記記憶制御手段は、前記SRAMへの前記制御値の記憶を、入力された制御値ごとに個別に行う請求項1から請求項3のいずれかに記載の設定制御装置。
【請求項5】
前記所定処理部に対して電気的に接続された第3記憶部、
をさらに備え、
前記所定処理部における処理対象には、映像信号が含まれ、
前記記憶制御手段は、前記制御値のうち、前記映像信号に影響を与えない第1制御値を前記第3記憶部に記憶させ、前記映像信号に影響を与える第2制御値を前記第1記憶部に記憶させ、
前記読出制御手段は、前記第2制御値に関する読出動作を実行させる請求項1から請求項4のいずれかに記載の設定制御装置。
【請求項6】
a)所定処理部において用いられる制御値の入力に応じて、当該制御値を第1記憶部に記憶させる工程と、
b)前記第1記憶部から前記制御値を読み出して、当該制御値を前記所定処理部に対して電気的に接続された第2記憶部に記憶させる工程と、
を備え、
前記b)工程は、前記a)工程完了後の所定タイミングに実行させる設定制御装置の動作方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−133651(P2011−133651A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292896(P2009−292896)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】