説明

診療支援システム

【課題】医療関連業務の流れであるワークフローを構成する各ステップに意味づけラベルを付与し、日々の診療業務や、ワークフローに基づいたデータの分析を支援するシステムを提供する。
【解決手段】ワークフローと、各ワークフローステップの情報と、医療情報とを互いに関連付けて登録した第1の記憶領域と、ワークフローステップの種別に応じたラベルの付与条件を定義する第2の記憶領域とを用意する。
ワークフローステップ実行時に、そのワークフローステップの種類からワークフローステップの依頼元と依頼先を探索し、ラベル付与条件に一致するワークフローステップに対し、ワークフロー内の順序関係の情報を含むラベルを付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療従事者による医療関連業務上の判断(診療)を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療費の増加などを要因として、診療の質の向上と効率化が求められている。本来、患者に対する医療関連業務は、各医療従事者による一連の医療関連業務の流れ(すなわち、ワークフロー)として提供される。このため、ワークフローに基づいて医療従事者の知識を蓄積し、再利用することができれば、診療の質の向上や効率化に寄与することができると考えられる。
【0003】
近年の複雑高度化した医療現場では、扱う診断方法・治療方法も多岐に渡り、ワークフロー自体も複雑化している。また、ワークフローの期間が長くなるほど、大まかな診療の流れの把握が困難になり、実施・参照すべき医療行為の見落としリスクも高まっている。
【0004】
これに対し、特許文献1には、標準的な診療計画を表したクリニカルパス(「クリティカルパス」又は単に「パス」とも呼ばれる。)において、複数種類の医療行為を、所定の分類別に日付順に並べて表示する表形式により管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−214302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示するシステムは、標準的な診療計画を、日付欄別に実施される各医療行為と、各医療行為に対するラベルにより定義する。例えばラベルには、手術等のイベントやイベント前後の情報を含めた名称(例えば「入院時血液検査」、「術前血液検査」、「術後CT」等)を定義し、医療従事者の実施すべき医療行為を分かり易く表現する。しかし、複雑化したワークフローは、標準的な診療計画には当てはまらないものが多い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者は、ワークフローを構成するワークフローステップに、ワークフロー内における他のワークフローステップ間の順序関係の情報を含むラベルを動的に付与する仕組みを提供する。また、本発明者は、当該ラベルに基づいた診療支援処理機能や分析機能を提供する。
【0008】
より具体的には、以下の発明を提案する。
(A)本明細書に係る1つの発明は、以下に示す手段を有する診療支援システムとして提供される。
(1) (a) 医療関連業務の一連の診療の流れであるワークフローを識別するワークフロー情報と、(b) 前記ワークフローを構成する医療関連業務の単位であるワークフローステップを識別する情報と、前記医療関連業務の依頼元及び又は依頼先に関する情報と、前記医療関連業務の種別に関する情報を含むワークフローステップ情報と、(c) 前記医療関連業務に関連する情報である医療情報と、を互いに関連付けて第1の記憶領域(医療情報データベース)に格納する医療情報格納手段
(2) 実行ワークフローステップを取得する実行ワークフローステップ取得手段
(3) (a) 前記実行ワークフローステップの種別と、(b) その前後に出現するワークフローステップの種別と、(c) ラベルを付与するワークフローステップを特定するための付与条件と、(d) ワークフロー内の順序関係の情報を含む前記ラベルの内容とを定義する第2の記憶領域(ラベル付与条件記憶手段)
(4) 前記実行ワークフローステップ取得手段により取得された実行ワークフローステップの種別に基づいて、その前後に出現するワークフローステップの種別を前記第1の記憶領域から探索し、前記第2の記憶領域に記憶された付与条件に基づいて、ラベルの付与先となるワークフローステップを動的に特定するラベル付与処理手段
(5) 前記ラベル付与先処理手段で特定されたワークフローステップに、前記第2の記憶領域に記憶されたラベルの内容を関連づけ、第3の記憶領域(ラベルデータ記憶手段)に格納するラベルデータ格納手段。
【0009】
(B)本明細書に係る1つの発明は、以下に示す手段を有する診療支援システムとして提供される。
(1) (a) 医療関連業務の一連の診療の流れであるワークフローを識別するワークフロー情報と、(b) 前記ワークフローを構成する医療関連業務の単位であるワークフローステップを識別する情報と、前記医療関連業務の依頼元及び又は依頼先に関する情報と、前記医療関連業務の種別に関する情報を含むワークフローステップ情報と、(c) 前記医療関連業務に関連する情報である医療情報と、を互いに関連付けて第1の記憶領域(医療情報データベース)に格納する医療情報格納手段
(2) ワークフロー内での順序関係の情報を含むラベルが動的に付与されたワークフローステップのラベルデータを記憶する第2の記憶領域(ラベルデータ記憶手段)
(3) 第1の記憶領域より、ワークフローステップ情報と、各ワークフローステップに関連づけられた医療情報を抽出する第1の抽出手段(医療情報抽出手段)
(4) ワークフローステップのラベルデータを、前記第2の記憶領域より抽出する第2の抽出手段(ラベルデータ抽出手段)
(5) 前記ワークフローステップ情報と、前記医療情報と、前記ラベルデータとに基づいて、診療支援処理を実行するラベルデータ診療支援処理手段。
【0010】
(C)本明細書に係る1つの発明は、以下に示す手段を有する診療支援システムとして提供される。
(1) (a) 医療関連業務の一連の診療の流れであるワークフローを識別するワークフロー情報と、(b) 前記ワークフローを構成する医療関連業務の単位であるワークフローステップを識別する情報を含むワークフローステップ情報と、(c) 前記医療関連業務に関連する情報である医療情報と、(d) ワークフローステップが対応する患者を一意に特定する患者識別子と、を互いに関連付けて記憶する第1の記憶領域(医療情報データベース)
(2) ワークフロー内での順序関係の情報を含むラベルが付与されたワークフローステップのラベルデータを記憶する第2の記憶領域(ラベルデータ記憶手段)
(3) 第1の記憶領域より、前記ワークフローステップ情報と、各ワークフローステップに関連づけられた前記医療情報を抽出する第1の抽出手段
(4) ワークフローステップのラベルデータを、前記第2の記憶領域より抽出する第2の抽出手段
(5) 前記第1の記憶領域に蓄積された複数の患者のワークフローステップ情報と、前記第2の記憶領域に蓄積された複数の患者のラベルデータとに基づいて、ワークフローを分析する分析手段。
【発明の効果】
【0011】
前述した1つの発明によれば、ワークフローが複雑化した場合でも、ワークフロー内におけるワークフローステップ間の前後関係の情報を含むラベルを、個々のワークフローステップにレベルデータとして動的に付与することができる。また、他の発明によれば、動的に付与されたラベルデータを通じて複数のワークフローステップ情報の順序関係と医療情報の提供が可能になる。また、他の発明によれば、複数の患者のワークフローステップ情報と複数の患者のラベルデータに基づいたワークフローの解析が可能になる。
【0012】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】診療支援システムが病院に設置される際の構成例を示す図。
【図1B】診療支援システムの別の構成例を示す図。
【図2A】医療情報データベースを構成するワークフローテーブルのデータ構造例を示す図。
【図2B】医療情報データベースを構成するワークフローステップ情報テーブルの第1のデータ構造例を示す図。
【図3A】医療情報データベースを構成する医療情報テーブルのデータ構造例を示す図。
【図3B】医療情報データベースを構成するエビデンスデータテーブルのデータ構造例を示す図。
【図3C】医療情報データベースを構成する処理履歴テーブルのデータ構造例を示す図。
【図3D】医療情報データベースを構成する入力データテーブルのデータ構造例を示す図。
【図4A】検査情報データベースを構成する検査値テーブルのデータ構造例を示す図。
【図4B】検査情報データベースを構成する検査項目マスタテーブルのデータ構造例を示す図。
【図4C】検査情報データベースを構成する測定値テーブルのデータ構造例を示す図。
【図4D】検査情報データベースを構成する測定項目マスタテーブルのデータ構造例を示す図。
【図4E】検査情報データベースを構成する画像テーブルのデータ構造例を示す図。
【図5】ワークフローステップをワークフローから抽出し、医療情報と判断文を用いて診療を支援する際に実行されるフローチャートの一例を示す図。
【図6A】ワークフローに基づいて検査グラフの参照と判断文の入力を行う前の画面の一例を示す図。
【図6B】検査グラフを参照する際の画面の一例を示す図。
【図6C】判断文の入力を行う際の画面の一例を示す図。
【図7】エビデンスデータに対するデータ処理により診療を支援する際に実行されるフローチャートの一例を示す図。
【図8A】画像データの参照する際の画面の一例を示している図。
【図8B】ワークフローに基づいて画像データを参照して判断文の入力を行う際の画面の一例を示す図。
【図9】次ワークフローステップへの宛先と伝達文とを設定して表示する画面の一例を示す図。
【図10】ワークフローステップラベル処理手段の第1の構成図。
【図11】ラベル付与条件マスタテーブルのデータ構造例を示す図。
【図12】ラベルデータテーブルのデータ構造例を示す図。
【図13】ラベル付与処理手段で実行される処理動作の概要を示すフローチャート。
【図14】ワークフローステップ情報テーブルの第2のデータ構造例を示す図。
【図15】ラベル付与処理手段で実行されるラベル付与先ワークフローステップの特定処理を示すフローチャート。
【図16】ワークフローステップラベル処理手段の第2の構成例を示す図。
【図17】ラベルデータ診療支援処理手段で実行される処理動作の概要を示すフローチャート。
【図18】ラベルデータ診療支援処理手段により表示される画面例を示す図。
【図19】ラベルデータ診療ワークフロー分析手段の構成例を示す図。
【図20A】評価項目マスタテーブルのデータ構造例を示す図。
【図20B】評価値テーブルのデータ構造例を示す図。
【図21】ラベルデータ診療ワークフロー分析手段により表示される画面例を示す図。
【図22】ラベルデータ診療ワークフロー分析手段で実行される処理動作の概要を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の実施態様は、後述する形態例に限定されるものではなく、その技術思想の範囲において、種々の変形が可能である。
【0015】
<用語の定義>
以下に、本明細書で使用する用語の定義を説明する。
・「ワークフロー」とは、患者に対して医療従事者が行う一連の医療関連業務の流れをいう。例えば、疾患ごとの診断、治療、経過観察の一連の診療の流れ、入院期間中の診療の流れ(入院日〜退院日)、診療ガイドラインで定められる一つの流れ等がある。
・「ワークフロー情報」とは、ワークフローの識別に関する情報をいう。ワークフロー情報は、該当するワークフローに関する患者を識別する患者識別子も有している。
・「ワークフローステップ」とは、ワークフローを構成する医療関連業務の単位をいう。例えば、患者の診療段階(診断、治療、経過観察)の各業務、又は主治医が判断を下す診断業務,看護師の投薬などの作業や、診療科と放射線科などの医療部門との間でやりとりされるオーダ業務単位等がある。
・「ワークフローステップ情報」とは、ワークフローステップを識別する情報と、医療関連業務の依頼元及び依頼先の少なくとも一方に関する情報とを含む。ワークフローステップ情報は、各ワークフローステップの医療従事者等により新たに生成、削除される等して編集されることもある。また、ワークフローステップ情報は、予め定められた診療ガイドラインに基づいて用意されることもある。
・「医療関連業務の依頼」とは、各医療部門、例えば検査部門や画像診断部門への医療関連業務のオーダリング等をいう。
・「医療従事者」とは、担当医、検査技師、放射線技師、読影医だけでなく、看護師や医事会計関係者等も含む意味で使用する。
・「ワークフローの開始と終了」は、例えば臨床医の中の主治医が決定する。
【0016】
<システム構成の説明>
<システム例1>
図1Aに、診療支援システム101を病院内に設置する使用形態の一例を示す。診療支援システム101は、端末104、インターフェイス111、メモリ112、ハードディスクドライブなどの記憶装置113、CPU114で構成される。図1Aに示す診療支援システム101は、電子カルテシステム102やPACS(Picture Archiving and Communication System)103等とネットワーク経由で接続される。
【0017】
端末104、インターフェイス111、メモリ112、記憶装置113は、CPU114に接続される。端末104は、医療従事者が操作する端末装置である。端末104に対する情報の入力は、ネットワーク等を経由して接続されたインターフェイス111を通じてCPU114に与えられる。CPU114は、指示入力に応じ、メモリ112に格納されているプログラムを読み出し、処理結果をインターフェイス111を通じ、端末104に出力する。医療従事者を支援するための処理機能は、プログラムに基づいたデータ処理を通じて提供される。インターフェイス111には、表示画面を備える装置構成も含まれる。
【0018】
前述したように、各端末104は、医師や看護師、検査技師、読影医などの医療従事者による操作入力を受け付ける端末装置である。各端末104は、診療支援システム101だけでなく、電子カルテシステム102やPACS103を操作する端末装置としても使用できる。
【0019】
電子カルテシステム102及びPACS103には、それぞれ、診療履歴(医療従事者の所見を含む。)、患者の検査値、画像データ等が蓄積されている場合がある。その場合、診療支援システム101の記憶装置113は、それらのデータベースへのリンクを示す情報を有していても良いし、それらのデータベースに格納されているデータをコピーしたものを有していても良い。また、後述する図1Bのように、電子カルテシステム102やPACS103が有するデータベースである検査情報データベース116も、診療支援システム101に含む形態でも良い。
【0020】
<システム例2>
図1Bに、診療支援システム101の他の構成例を示す。図1Bに示す診療支援システム101には、医療情報データベース105があり、当該データベースに情報を格納する医療情報格納手段106が接続されている。この形態例の場合、医療情報データベース105には、ワークフロー情報、ワークフローステップ情報、医療関連業務に関する情報である医療情報とが互いに関連付けて格納されている。
【0021】
「医療情報」には、医療従事者により入力される情報、患者から取得される客観的な生体情報であるエビデンスデータ等が含まれる。この形態例の場合、医療従事者により入力される情報の一例として、医療関連業務で下される判断を示すテキスト文(判断文)を使用する。「エビデンスデータ」とは、例えばモダリティ(医療機器)から取得される検査値や画像データなどのデータを指す。
【0022】
さらに、診療支援システム101には、ワークフロー入力手段107と、入力情報受付手段108と、医療情報出力手段109と、ワークフローステップ依頼入力手段117と、ワークフロー出力手段118と、ワークフロー終了手段119とが備えられている。これらの手段に対応する機能は、図1Aのメモリ112に格納されている。
【0023】
ワークフロー入力手段107は、医療情報データベース105からワークフローステップ情報を選択する際の入力を受け付ける機能を提供する。
【0024】
入力情報受付手段108は、判断文の入力を受け付ける機能を提供する。
医療情報出力手段109は、医療情報をワークフローステップ情報に基づいて、医療情報データベース105から抽出して出力する機能を提供する。
【0025】
ワークフローステップ依頼入力手段117は、ワークフローステップの依頼に関する情報の入力を受け付ける機能を提供する。
【0026】
ワークフロー出力手段118は、患者を識別する患者識別子に基づいて、医療情報データベース105からワークフロー情報を取得し、取得したワークフロー情報をインターフェイス111に出力する機能を提供する。
【0027】
ワークフロー終了手段119は、ワークフロー終了情報を医療情報データベース105に格納する機能を提供する。
【0028】
ここで、診療支援システム101は、ワークフローステップ入力手段107を通じて選択されたワークフローステップ情報に基づいて、医療情報データベース105から医療情報を読み出し、不図示の表示画面上に表示する機能を提供する。また、診療支援システム101は、入力情報受付手段108を通じて入力された情報と表示画面上に表示されている医療情報とを、実行中のワークフローステップ情報と関連付けて医療情報データベース105に格納する機能を提供する。
【0029】
このように、実行中のワークフローステップにおいて参照した医療情報についても、入力された情報と共に関連付けて医療情報データベース105に格納することにより、当該ワークフローステップの実行時に診療の根拠として参照した情報の蓄積が可能となる。蓄積された情報の参照により、医療従事者による医療関連業務の過程を事後的に把握することが可能になる。
【0030】
医療情報データベース105は、医療情報格納手段106を介し、各ワークフローステップにおける医療関連業務に関する情報である医療情報を蓄積管理する。医療情報データベース105には、(1) 入力情報受付手段108を通じて入力される、各ワークフローステップに関連づけられた判断文と、(2) エビデンスデータ処理手段115でデータ処理されたエビデンスデータとその処理履歴と、(3) 各ワークフローステップで参照した医療情報等が蓄積される。
【0031】
図1Aに示す医療支援システム101の場合と同様、医療情報データベース105は、電子カルテシステム102やPACS103に蓄積された医療情報へのリンク情報を有していても良い。
【0032】
医療情報格納手段106は、医療情報データベース105に対し、ワークフロー情報、ワークフローステップ情報、医療情報を格納する機能を実現する手段(装置)である。格納する医療情報には、例えば(1) エビデンスデータ処理手段115でデータ処理されたエビデンスデータ、(2) その処理元データを含むデータ処理履歴、(3) 入力情報受付手段108を通じ、医療従事者により入力された情報等がある。
【0033】
検査情報データベース116は、各ワークスローステップにおける、血液検査や画像検査等の医療に関連する検査結果の情報を蓄積管理する。このデータベースは、電子カルテシステム102、オーダリングシステムその他の病院情報システムが有するデータベースとの共有により実現しても良く、PACS103等の画像管理システムが有するデータベースとの共有により実現しても良い。
【0034】
また、不図示のデータインポート手段(装置)を設け、それらのシステムからデータを検査情報データベース116にインポートしても良い。また、不図示のデータ入力手段(装置)を設け、医師、看護婦、技師その他の医療従事者によるデータの直接入力を可能にしても良い。また、医師が研究目的として新規に開発した検査方法に基づいた患者の検査結果についても、不図示のデータ入力手段(装置)から検査情報データベース116に入力し、一般の検査結果と共に蓄積管理しても良い。
【0035】
さらに、診療支援システム101とは別に電子カルテシステム102やPACS103が設置されている場合、電子カルテシステム102やPACS103に保存されている検査情報へのリンク情報のみを有していても良い。
【0036】
また、データ処理ワークステーションが設置されている場合には、該データ処理ワークステーションで実行されたデータ処理の履歴を、検査情報データベース116に格納しても良い。
【0037】
エビデンスデータ処理手段115は、検査情報データベース116に蓄積されたデータを利用してデータ処理を実行する手段(装置)である。エビデンスデータ処理手段115は、複数の処理モジュールを備えている。
【0038】
画像診断を専門とする医師(以下「読影医」という。)向けのエビデンスデータ処理手段115は、例えば画像データの入出力処理や各種フィルター処理のような基本モジュールだけでなく、高度な画像処理アルゴリズムを必要とする領域抽出処理や画像の位置合わせ処理のような機能モジュールも有している。操作者は、処理目的やデータの性質に応じて上記処理モジュールを自由に組み合わせ、それらを順番に実行させることにより、診療に必要な一連のデータ処理を実行することができる。
【0039】
なお、本形態例の場合には、医療情報データベース105と検査情報データベース116を論理的に分けて構成しているが、物理的に同一のデータベースで構成しても良い。例えば医療情報データベース105と検査情報データベース116を合わせて一つのデータベースとしても良い。また、図1Aに示す医療支援システム101の場合と同様、電子カルテシステム102やPACS103を別に用いる場合には、それらに対するリンク情報をデータベース内に有するようにしても良い。
【0040】
さらに、図1Bに示す診療支援システム101のように、前述したシステム構成に対し、類似症例検索手段160とプロセス分析手段170を更に有していても良い。
【0041】
類似症例検索手段160は、医療従事者の判断を支援する目的で使用される手段(装置)である。例えば、類似症例検索手段160は、ある指定した患者の症例と類似した症例を、医療情報データベース105から検索する機能を提供する。この形態例の場合、類似症例検索手段160は、(1) 検索された医療情報と、(2) 当該医療情報に対応付けられているワークフローステップ情報の属するワークフロー情報とを出力する。
【0042】
類似症例検索手段160を用いることにより、医療従事者は、類似症例に関する医療情報を参照できるだけでなく、参照している医療情報が関連づけられたワークフロー情報も参照することができる。すなわち、類似症例検索手段160は、医療業務者が、(1) 参照している医療情報に対応づけられているワークフローステップの前後に位置する他のワークフローステップの情報と、(2) そのワークフローに関連付けられている患者の予後の情報等を勘案して類似症例に関する医療情報を活用するのを支援する機能を提供する。
【0043】
プロセス分析手段170は、診療の質や効率を向上するために、医療情報データベース105に蓄積された複数の患者のデータに基づいて診療のプロセスを分析し、プロセスの改善・最適化に必要な情報を抽出する手段(装置)である。
【0044】
更に、図1Bに示す診療支援システム101は、ワークフローステップラベル処理手段180を有していても良い。ワークフローステップラベル処理手段180は、医療情報データベース105に蓄積された患者のワークフローステップ情報に対し、ワークフロー内での順序関係の情報を含むラベルを付与し、付与したラベルデータに基づいた診療支援処理や診療プロセスの分析に必要な情報処理を実行する手段(装置)である。診療支援処理や診療プロセスの分析に必要な情報処理の具体例については後述する。
【0045】
<データベースのテーブル構造>
<医療情報データベース>
以下では、医療情報データベース105を構成するテーブル構造を説明する。図2Aは、ワークフロー情報テーブル200のデータ構造を示す。図2Bは、ワークフローステップ情報テーブル210のデータ構造を示す。図3Aは、医療情報テーブル300のデータ構造を示す。図3Bは、エビデンスデータテーブル310のデータ構造を示す。図3Cは、処理履歴テーブル320のデータ構造を示す。図3Dは、入力データテーブル330のデータ構造を示す。
【0046】
<ワークフロー情報テーブル200>
ワークフロー情報テーブル200(図2A)は、ワークフローを識別する情報であるワークフロー情報を格納するテーブルであり、基本的には主治医が登録する。当該テーブルは、患者IDフィールド201、ワークフロー番号(No.)フィールド202、ワークフロー名フィールド203、ワークフロー開始日時フィールド204、ワークフロー終了日時フィールド205、主治医IDフィールド206、カンファレンスフラグフィールド207を含んで構成される。
【0047】
ここで、患者IDフィールド201は、患者を識別する識別子である患者識別子を格納する。
【0048】
ワークフローNo.フィールド202は、各ワークフロー情報を一意に指定するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0049】
ワークフロー名フィールド203は、病名や治療名等で示されるワークフロー名を格納する。この形態例の場合、ワークフロー名フィールド203には、テキスト文を格納するが、病名や治療名の標準マスタのIDを格納しても良い。
【0050】
ワークフロー開始日時フィールド204は、ワークフローの開始日等を格納する。
【0051】
ワークフロー終了日時フィールド205は、ワークフローの終了日等を格納し、ワークフローが終了した時点で登録される。
【0052】
主治医IDフィールド206は、ワークフローの責任者となる主治医の識別情報を格納する。
【0053】
カンファレンスフラグフィールド207は、そのワークフローにおいてカンファレンスを実行したことの有無を示す実行フラグを格納する。
【0054】
<ワークフローステップ情報テーブル210>
ワークフローステップ情報テーブル210(図2B)は、ワークフローの各ステップを識別する情報であるワークフローステップ情報を格納するテーブルであり、一つのステップが一つのレコードとなる。当該テーブルは、患者IDフィールド211、ワークフローステップ番号(No.)フィールド212、ワークフローステップ実行予定部門IDフィールド213、ワークフローステップ実行日時フィールド214、ワークフローステップ実行者IDフィールド215、ワークフローステップ実行フラグフィールド216、カンファレンスステップフラグフィールド217、ワークフロー番号(No.)フィールド218、親ワークフローステップ番号(No.)フィールド219、子ワークフローステップ番号(No.)フィールド220、ワークフローステップ種別フィールド221を含んで構成される。
【0055】
ここで、ワークフローステップNo.フィールド212は、各ワークフローステップを一意に指定するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0056】
ワークフローステップ実行予定部門IDフィールド213は、ワークフローステップを実行する予定の部門、診療科、検査科等を一意に識別するための識別情報を格納する。
【0057】
ワークフローステップ実行日時フィールド214は、ワークフローステップを実行した日時を格納する。
【0058】
ワークフローステップ実行者IDフィールド215は、ワークフローステップを実際に実行した医療従事者を一意に識別するための識別情報を格納する。
【0059】
ワークフローステップ実行フラグフィールド216は、ワークフローステップの実行・未実行のフラグを格納する。
【0060】
カンファレンスステップフラグフィールド217は、カンファレンスが行われたワークフローステップであることを示すフラグを格納する。
【0061】
ワークフローNo.フィールド218は、ワークフローステップが属するワークフローを一意に識別するための識別情報を格納する。
【0062】
親ワークフローステップNo.フィールド219は、該当するワークフローステップに対して時間的に前に出現し、かつ、該当するワークフローステップに結び付けられているワークフローステップを識別するための識別情報を格納する。
【0063】
子ワークフローステップNo.フィールド220は、該当するワークフローステップに対して時間的に後ろに出現し、かつ、該当するワークフローステップに結び付けられているワークフローステップを識別する識別情報を格納する。親ワークフローステップNo.と子ワークフローステップNo.は、オーダの依頼元と依頼先とを結びつける役割を持っている。
【0064】
ワークフローステップ種別フィールド221は、ワークフローステップ種別を一意に識別するための識別情報を格納する。ワークフローステップ種別とは、医療関連業務の種類を示す。例えば診療科であれば「入院診療」、「外来診療」、「○○手術」等、放射線科であれば「CT検査」、「MRI検査」等、検体検査科であれば「血液検査」等である。これらは、病院毎又は部門毎又は科毎に、マスタデータベース等に予め定義されている。
【0065】
<医療情報テーブル300>
医療情報テーブル300(図3A)は、ワークフローステップに基づいて医療関連業務に関する情報である医療情報を格納するテーブルであり、一つのレコードに一つの医療情報を格納する。このテーブルは、患者IDフィールド301、ワークフローステップNo.フィールド212、ワークフローステップ実行日時フィールド214、ワークフローステップ実行者IDフィールド215、判断文フィールド305、ワークフローNo.フィールド218、エビデンス番号(No.)フィールド311、参照ワークフローステップ番号(No.)フィールド306を含んで構成される。
【0066】
ここで、患者IDフィールド301は、患者を識別する患者識別子を格納する。
判断文フィールド305は、該当するワークフローステップについて入力された判断文が格納される。因みに、判断文フィールド305に判断文を入力する際に参照した医療情報に判断文が含まれている場合、参照した医療情報に含まれる判断文も、判断文フィールド305に格納することができる。この場合、入力された判断文と参照した医療情報に含まれる判断文との区別は、参照ワークフローステップNo.に基づいて行うことが可能である。
【0067】
ワークフローステップNo.フィールド212は、医療情報が登録される場合に、ワークフローステップ情報テーブル210のワークフローステップNo.フィールド212へのリンク情報を格納する。このリンク情報を通じ、ワークフローステップテーブル情報210と医療情報テーブル300が関連づけられる。
【0068】
エビデンスNo.フィールド311は、判断する際の根拠となるエビデンスデータを指定する識別子であり、エビデンスデータテーブル310と関連付けられている。このように、医療情報テーブル300には、判断文と判断の根拠となるエビデンスデータとがワークフローステップ情報に基づいて格納されている。
【0069】
参照ワークフローステップNo.フィールド306は、あるレコードのワークフローステップNo.において参照されたワークフローステップNo.を格納する。
【0070】
<エビデンスデータテーブル310>
エビデンスデータテーブル310(図3B)は、エビデンスデータを格納するテーブルであり、一つのレコードに一つのエビデンスデータを格納する。当該テーブルには、エビデンス番号(No.)フィールド311、エビデンス種別フィールド312、エビデンス表示用アイコンフィールド313、エビデンス表示用テキストフィールド314、ワークフローステップ実行日時フィールド214、ワークフローステップ実行者IDフィールド215、ワークフローステップNo.フィールド212を含んで構成される。
【0071】
ここで、エビデンスNo.フィールド311は、各エビデンスデータを一意に指定するためのキー情報となる番号などを格納する。前述したエビデンスデータ処理手段115では、画像に対しては画像処理、検査値に対してはグラフ化や統計処理といように、入力される検査情報の種類により異なる処理が実行される。この形態例の場合、例えば画像処理や検査値のグラフ化といった異なる種類の処理に対応するエビデンスデータは、それぞれ別のレコードとして格納される。
【0072】
エビデンス種別フィールド312は、エビデンスデータが抽出される診療支援処理の種別を格納する。
【0073】
エビデンス表示用アイコンフィールド313及びエビデンス表示用テキストフィールド314は、エビデンスデータの内容を認識できるような情報を格納する。エビデンス表示用アイコンフィールド313には、図3Bに示すように、アイコン画像を直接格納するようにしても良いが、ファイル名等のアイコン画像の識別情報を格納しても良い。
【0074】
ワークフローステップNo.フィールド212は、医療情報テーブル300内のワークフローステップNo.フィールド212へのリンク情報を格納する。このリンク情報により、エビデンスデータテーブル310に格納されたエビデンスデータの各種データが、医療情報テーブル300と対応付けられることになる。
【0075】
<処理履歴テーブル320>
処理履歴テーブル320(図3C)は、エビデンスデータの処理前の情報である検査情報に対して施した処理履歴を格納するテーブルであり、一つのレコードに一つの処理履歴を格納する。処理履歴には、検査値に対する処理履歴や画像データに対する処理履歴が含まれ、これらの処理履歴も医療情報に含まれる。
【0076】
当該テーブルは、処理番号(No.)フィールド321、処理内容フィールド322、エビデンス番号(No.)フィールド323、処理パラメータフィールド324、処理時間フィールド325を含んで構成される。
【0077】
ここで、処理No.フィールド321は、処理履歴を構成する一つ一つの処理を一意に識別するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0078】
処理内容フィールド322は、計算機が、事後的に処理を再現、分析、再利用するために最低限必要な情報、すなわち処理内容を識別できる情報を格納する。この形態例の場合、画像処理と検査値処理の処理履歴に関する情報が格納される。
【0079】
例えば検査値処理(エビデンスNo.=3)で、検査結果の読み込み、複数の検査項目の実スケールによるグラフ化が実行される場合、「入力」、「実スケール表示」が登録される。
【0080】
例えば画像処理(エビデンスNo.=4)で、検査画像の読み込み、腫瘍領域の領域抽出処理(例えばリージョングローイング手法)が実行され、腫瘍領域の体積の算出とフィルタリングが実行される場合、「入力」、「リージョングローイング」、「ボリューム算出」、「フィルタリング」が処理の順序に従って登録される。
【0081】
エビデンスNo.フィールド323は、エビデンスデータテーブル310におけるエビデンスNo.フィールド311の値を格納する。同一のエビデンスNo.で識別されるエビデンスデータは、処理No.フィールド321の番号順に実行される。
【0082】
処理パラメータフィールド324は、各処理を実行する際に設定されたパラメータを格納する。本形態例の場合、説明の都合上、パラメータを一つのフィールドに入れているが、処理によって異なる。そのため、処理の種類毎に別の処理パラメータテーブルを用意しても良い。
【0083】
本形態例では、エビデンスデータを構成する個々の処理を、個別にデータベースのテーブルへ保存する構成としているが、エビデンスデータテーブル310に処理履歴バイナリフィールドを設け、処理履歴と各処理の入出力データも含め独自のバイナリ形式で格納しても良い。この場合、処理の再現時に、処理履歴テーブル320や入力データテーブル330を参照しなくても、バイナリデータをエビデンスデータ処理手段115に直接渡すことができ、処理の再現の高速化、実装の容易化を実現できる。このように、処理履歴テーブル320は、エビデンスNo.を介し、処理内容などをエビデンスデータテーブル310と、医療情報テーブル300に格納された各レコードとを関連付ける。
【0084】
<入力データテーブル330>
入力データテーブル330(図3D)は、検査情報データベース116とリンクしてエビデンスデータにおける処理履歴の最初の処理で利用される入力データを格納する。一つのレコードには、一つの入力データが格納される。当該テーブルは、エビデンス番号(No.)フィールド331、入力データIDフィールド332、入力データ種別フィールド333を含んで構成される。
【0085】
入力データIDフィールド332は、各エビデンスデータに対する入力データとして、検査情報データベース116における検査情報を一意に指定するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0086】
入力データ種別フィールド333は、入力データIDフィールド332に格納されるIDのリンク先を規定するためのデータ種別を格納する。例えば「血液検査」であれば、患者の検査値を一意に識別するための検査値IDを格納し、「画像検査」であれば、患者の画像を一意に識別するための画像IDを格納し、「新規マーカー検査」であれば、新規マーカー検査の患者の測定値を一意に識別するための測定値IDを格納する。
【0087】
このように、入力データテーブル330は、エビデンスNo.フィールド331を介し、エビデンスデータテーブル310と医療情報テーブル300とに格納されたレコードとを関連付ける。
【0088】
<検査情報データベース>
以下では、検査情報データベース116を構成するテーブル構造を説明する。検査情報データベース116は、診療に関するエビデンスデータの詳細な情報が格納されており、検査値テーブル400、検査項目マスタテーブル410、測定値テーブル420、測定項目マスタテーブル430、画像テーブル440から構成されている。
【0089】
図4Aは、検査値テーブル400のデータ構造を示す。図4Bは、検査項目マスタテーブル410のデータ構造を示す。図4Cは、測定値テーブル420のデータ構造を示す。図4Dは、測定項目マスタテーブル430のデータ構造を示す。図4Eは、画像テーブル440のデータ構造を示す。
【0090】
<検査値テーブル400>
検査値テーブル400(図4A)は、「血液検査」データの中身を格納するテーブルであり、一つのレコードに一つの検査値を格納する。当該テーブルは、検査値IDフィールド401、患者IDフィールド402、検査結果日時フィールド403、項目コードフィールド404、値フィールド405を含んで構成される。検査値テーブル400のレコードは、項目コードをキー情報に用いて検査項目マスタテーブル410(図4B)と関連付けられる。
【0091】
<検査項目マスタテーブル410>
検査項目マスタテーブル410(図4B)は、「血液検査」の項目マスタテーブルであり、項目コードフィールド411、項目名フィールド412、単位名フィールド413を含んで構成される。
【0092】
<測定値テーブル420>
測定値テーブル420(図4C)は、「新規マーカー検査」のデータの中身を格納するテーブルであり、一つのレコードに一つの測定値を格納する。測定値テーブル420は、検査値テーブル400と同様のデータ構造を有している。測定値テーブル420は、測定値IDフィールド421、患者IDフィールド422、測定結果日時フィールド423、項目コードフィールド424、値フィールド425を含む。
【0093】
<測定項目マスタテーブル430>
測定項目マスタテーブル430(図4D)は、検査項目マスタテーブル410と同様のデータ構造を有している。測定項目マスタテーブル430は、項目コードフィールド431、項目名フィールド432、単位名フィールド433を含む。なお、測定項目マスタテーブル430には、検査項目マスタ410を構成するフィールドに加えて、測定項目の登録情報(例えば登録日フィールド434等)を格納するためのフィールドを設け、項目のバージョン管理をできるようにしても良い。
【0094】
このように、本形態例の場合、検査情報データベース116は、入力データの中身を「血液検査」と「新規マーカー検査」とで別々に管理し、入力データテーブル330(図3D)はリンク情報のみを一元管理する構成を採用する。この手法の採用により、通常業務で測定される検査値も、研究目的で新規開発された検査方法による検査値も、同様にエビデンスデータとして蓄積することができる。このため、新規開発された検査方法の有効性についての分析が可能になる。
【0095】
<画像テーブル440>
画像テーブル440(図4E)は、画像を識別する識別子を格納する画像IDフィールド441、患者識別子を格納する患者IDフィールド442、画像を取得した日時を格納する画像取得日フィールド443、項目コードを格納する項目コードフィールド444、画像を格納する画像フィールド445を含んで構成される。
【0096】
<使用形態に応じたデータの入力動作例>
次に、読影医が、形態例に係る医療支援システムにデータを入力する際に、システム内で実行される処理動作を説明する。システム側の処理は、CPU114上で実行されるプログラムのデータ処理を通じて提供される。図5に、実行されるフローチャートの例を示す。
【0097】
(ステップS500)
本システムは、端末104に対する操作者の操作入力を通じ、ログイン画面へのログイン入力を受け付ける。
【0098】
(ステップS501)
次に、本システムは、端末104に対する操作者の操作入力を通じ、患者の選択を受付ける。具体的には、患者選択画面上における一人の患者の選択操作を通じ、患者識別子の選択を受け付ける。
【0099】
(ステップS502)
次に、医療情報格納手段106は、ステップS501で取得した患者に該当するレコードであり、さらに、現在進行中のワークフローNo.に対応するレコードを、ワークフロー情報テーブル200(図2A)から識別する。ここで、現在進行中のワークフローNo.を識別する方法には、例えばワークフロー終了日時フィールド205の値が未登録のレコードを識別する方法がある。また例えば、ステップS501で取得した患者に該当するレコードをワークフロー情報テーブル200から全て抽出してワークフロー選択画面に表示し、一つのワークフローを操作者に指定入力させる方法を用いても良い。
【0100】
(ステップS503)
医療情報格納手段106は、ステップS502で識別したワークフローNo.を使用し、ワークフローステップ情報テーブル210(図2B)から該当するワークフローステップ情報を取得する。
【0101】
(ステップS504)
医療情報格納手段106は、ステップS500で取得したログイン情報の部門情報から、カレントワークフローステップNo.を識別する。ここで、「カレントワークフローステップ」とは、ワークフロー内で現在実行中のワークフローステップを表す。
【0102】
カレントワークフローステップの識別は、例えば医療情報格納手段106が、ステップS502で取得したレコード内のワークフローステップ実行予定部門IDフィールド213及びワークフローステップ実行フラグフィールド216を参照し、ログイン者の部門と該当する部門のステップで未実行であるワークフローステップNo.をカレントワークフローステップNo.として抽出する等して識別することができる。該当する部門のステップの全てが実行済みの場合には、最終ステップNo.を、カレントワークフローステップNo.とする。
【0103】
(ステップS505)
ワークフロー出力手段118は、ステップS503で取得した各ワークフローステップ情報を、図6Aに示すワークフローステップ実行画面600にセットして表示する。このワークフローステップ実行画面600は、インターフェイス111(図1)に表示される。
【0104】
ワークフローステップ実行画面600(図6A)は、例えばワークフローステップ選択エリア601、ログイン情報表示エリア602、判断文入出力エリア603、エビデンスデータ表示エリア604、医療情報登録ボタン605、診療支援ボタン群606、ワークフローステップ種別入力エリア607を含む。
【0105】
ワークフローステップ選択エリア601は、ワークフローステップ情報テーブル210(図2B)の親ワークフローステップNo.フィールド219の情報に基づいてワークフローの開始ステップから現在のステップまでのワークフローステップをフロー形式で表示する。
【0106】
例えばワークフローステップ情報テーブル210(図2B)の場合、ワークフローステップNo.2とNo.3のワークフローステップは、親ワークフローステップNo.がいずれも「1」である。従って、ワークフローステップNo.2とNo.3のワークフローステップは、いずれもワークフローステップNo.1のワークフローステップに結び付けられて表示される。また、ワークフローステップNo.4のワークフローステップは、親ワークフローステップNo.が「3」であるので、ワークフローステップNo.3のワークフローステップに結び付けられて表示される。
【0107】
なお、このようなワークフローステップ間の結び付けは、子ワークフローステップNo.を用いることによっても同様に実現することができる。
【0108】
このように、ワークフローステップ選択エリア601(図6A)には、ワークフロー情報と、依頼元のワークフローステップと依頼先のワークフローステップを互いに結び付けたワークフローステップ情報とが表示される。
【0109】
ログイン情報表示エリア602は、システムに現在ログイン中の操作者情報を表示するエリアである。判断文入出力エリア603は、医療従事者が判断した内容をテキスト形式で入出力したものを表示するエリアである。エビデンスデータ表示エリア604は、エビデンスデータを表示するエリアである。医療情報登録ボタン605は、操作者のクリック操作により、エビデンスデータとテキスト文を組み合わせたデータを医療情報データベース105に登録するためのボタンである。
【0110】
診療支援ボタン群606は、医療従事者が患者の診療のために、画像処理や検査値処理等のデータ処理を行うエビデンスデータ処理手段115の機能を呼び出すために使用するボタンである。診療支援ボタン群606は、ステップS500で取得したログイン情報の職種情報から、選択可能・不可能を設定できるようにしても良い。
【0111】
本形態例の場合、ワークフローステップ選択エリア601には、例えばステップS504で識別したカレントワークフローステップを強調表示する。また、各ワークフローステップには、ワークフローの進捗状況が判るような情報を表示する。図6Aの場合、例えばワークフローステップ実行フラグフィールド216(図2B)の内容に応じて表示色を変える等、完了・未完了が判るような表示形式をとる。また、完了したワークフローステップに関しては、ワークフローステップ実行日時フィールド214(図2B)やワークフローステップ実行者IDフィールド215(図2B)の内容を表示する。
【0112】
(ステップS509)
本形態例では、この段階で、読影医Aは読影作業を開始し、医療情報の登録を行うものとする。読影医Aは、図7のステップS701〜S712の処理(後述)により、読影作業を行う。読影作業が終了すると、医療情報格納手段106がステップS504で識別したカレントワークフローステップNo.に対応付けて、画面上に表示されている医療情報を医療情報データベース105(図1B)に登録する。
【0113】
以下、医療情報を読影医Aが本システムに医療情報を登録する際に、システム内で実行される処理動作を説明する。システム側の処理は、やはり、CPU114上で実行されるプログラムのデータ処理を通じて提供される。
【0114】
本システムを利用する読影医Aは、読影作業のワークフローステップにおいて、検査技師AやCT技師Aのワークフローステップにおける医療情報を参照しながら読影を行い、参照した医療情報と読影結果とを実行中のワークフローステップに関連付けて保存する。
【0115】
(ステップS701)
図7に、ステップS509で実行される処理動作の詳細を示す。操作者は、端末104に対する操作を通じ、検査技師Aのワークフローステップ情報を選択する入力を行う。このとき、ワークフロー入力手段107は、ワークフローステップ情報を医療情報データベース105から選択する入力を受け付ける。
【0116】
(ステップS702)
医療情報出力手段109は、選択された検査技師Aのワークフローステップ(ワークフローステップNo.2)に関連付けられた医療情報を医療情報データベース105より検索し、ワークフローステップ実行画面600に表示する。本形態例では、検査技師Aにより取得されたエビデンスNo.1の検査値グラフが医療情報に登録されているものとする。
【0117】
(ステップS703)
読影医Aは、端末104に対する操作を通じ、表示された検査値グラフをデータ処理したいデータとして特定する。
【0118】
(ステップS704)
本システムは、検査値グラフ画面610(図6B)を画面上に表示する。
【0119】
(ステップS705)
読影医Aは、端末104に対する操作を通じ、検査値グラフ画面610に表示する検査項目の選択、グラフ形式の設定、着目点やデータ変動の抽出等のデータ処理の入力する。ここでは、読影医Aが「AFP抽出」ボタンを操作して、AFPの値の選択的な抽出を入力する場合を想定する。このとき、「AFP抽出」ボタンの操作は、エビデンスデータ処理手段115に与えられる。この場合、エビデンスデータ処理手段115は、検査値グラフ中のAFPデータの中から、操作者によって選択されたAFPの値を抽出する。図6Bでは、選択された2点のデータを示すドットを大きくすることで、選択されたAFPのデータを示している。
【0120】
(ステップS706)
エビデンスデータ処理手段115は、ステップS705で抽出されたAFPの値と日付を、表示されている検査値グラフと共にエビデンスデータとして取得する。この取得処理により、エビデンスデータが生成される。
【0121】
(ステップS707)
医療情報出力手段109は、取得したデータからエビデンスデータの表示用データ「グラフアイコンファイル1」、「20091001, AFP: 17.1、20091106, AFP: 17.3」を生成し、エビデンスデータ表示エリア604の最初の行に表示する(図6C)。
【0122】
(ステップS708)
操作者である読影医Aは、端末104の操作を通じ、検査値グラフのデータ処理に関連した判断文「AFP変動なし」を判断文入出力エリア603に入力する。入力情報受付手段108は、この入力を受け付ける。
【0123】
(ステップS709)
本システムは、操作者が別のデータ処理を行うか否かを判断し、別のデータ処理を行う場合は、ステップS701に戻り、処理を繰り返す。本形態例の場合、操作者である読影医Aは、CT技師Aのワークフローステップにて撮像されたCT画像に対して処理を継続するものとする。
【0124】
この場合、ワークフロー入力手段107は、CT技師Aのワークフローステップ(ワークフローステップNo.3)を選択する入力を受け付ける。
【0125】
この後、ステップS702において、画像データ(エビデンスNo.2)が取得され、画面上に表示される。次のステップS703では、表示されている画像データが処理対象データに特定される。ステップS704では、図8Aに示す画像処理画面800が画面上に表示される。次のステップS705において、読影医AはCT画像に対して腫瘍の領域抽出を行なう。なお、画像処理画面800における処理の詳細については後述する。ステップS706では、画像処理画面800より画像入力から領域抽出を経て腫瘍領域の体積を算出するまでの画像処理履歴と入力データ「画像ID1」が取得される。ステップS707では、画像処理履歴の情報を用いて、エビデンスデータの表示用データ「画像アイコンファイル1」、「#1:10mm #2:15mm」を生成し、エビデンスデータ表示エリア604に表示する(図8B)。ステップS708では、操作者は、画像処理に関連した判断文「#1:S7に10mm、#2:S6に15mmの結節あり」を判断文入出力エリア603に入力する。入力情報受付手段108は、この入力を受け付ける。
【0126】
(ステップS710)
ステップS709において操作者が追加処理を行なわないと判断すると、本システムは、必要に応じ、エビデンスデータ毎ではない判断文、例えば「高分化HCCが疑われる。」を判断文入出力エリア603に追加入力する。入力情報受付手段108がこの入力を受け付ける。
【0127】
(ステップS711)
操作者である読影医Aは、必要に応じ、ワークフローステップ種別入力エリア607で「CT検査」を選択し、医療情報登録ボタン605を選択する。なお、本形態例の場合、読影医Aは、ワークフローステップ種別を登録時に選択するが、後述のワークフローステップ生成時の依頼先の入力時に設定された内容を自動的に反映しても良い。
【0128】
(ステップS712)
医療情報登録ボタン705が選択されると、医療情報格納手段106は、現在の日時を例えば診療支援システムが実装されているハードウェアから取得する。また、医療情報格納手段106は、ログイン者の医療従事者情報「読影医A」を、例えば医療情報データベース105から取得する。医療情報格納手段106は、判断文入出力エリア603のテキスト文、エビデンスデータ処理手段115により抽出した処理の履歴と入力データを、ステップS501で選択した患者識別子や日時及び医療従事者情報とワークフローステップ種別とワークフローステップ実行フラグ「真」とワークフローステップNoとを、前述の医療情報データベース105の各テーブルに登録する。この形態例の場合、データ処理された検査値グラフに対応してエビデンスNo.3が、画像処理されたデータに対応してエビデンスNo.4が、それぞれ登録される。
【0129】
なお、本形態例における判断文入出力エリア603では、ステップS708及びステップS710で入出力されたテキスト文を一つのデータとして扱っているが、判断文入出力エリア603を、エビデンスデータ毎の判断文の入出力エリア(検査値グラフの判断文エリア、画像処理の判断文エリア)と、全てのエビデンスデータに関連した判断文の入出力エリアを分けて構成し、ステップS712では、それらを区別するタグ情報を付加する等してそれぞれの判断文を区別して登録しても良い。またエビデンスデータ毎の判断文については、エビデンスデータとのリンク情報をもたせても良い。
【0130】
<まとめ1>
以上説明したように、本システムは、カレントワークフローステップより前に実行されたワークフローステップ(医療関連業務)に対応するエビデンスデータを表示し、データ処理を実行し、カレントワークフローステップにてそのデータ処理されたエビデンスデータに基づいた判断文の入力を受け付け、判断文と判断文の入力時に表示していたエビデンスデータをカレントワークフローステップに自動的に対応付けて登録する。
【0131】
この仕組みの採用により、各ワークフローステップにおいて、医療従事者がどのデータを見てどのように判断を下したかという過程を、各ワークフローステップに対応付けて蓄積することができる。この結果、ワークフローに沿った各医療従事者の暗黙知を活用しながらの診療行為を支援することができる。
【0132】
さらに、本システムは、ワークフローステップに基づいてエビデンスデータの処理履歴も保存する。このため、各ワークフローステップで行われた医療従事者の判断とデータ処理履歴との対応関係を蓄積することができる。
【0133】
<ワークフローステップの生成、ワークフローの終了について>
図9を用い、ワークフローステップの生成とワークフローの終了について説明する。図9に示す画面には、依頼先ワークフローステップ種別入力エリア901、伝達文を入力する伝達文入力エリア902、次ワークフローステップ設定ボタン903、予定日入力エリア、添付ファイルエリア、返信フラグ入力エリア等が示されている。依頼先ワークフロー種別、伝達文、予定日を入力した状態で、操作者が次ワークフローステップ設定ボタン903を押すと、入力された情報がワークフローステップ表示マップ904に反映される。
【0134】
ワークフローステップ依頼入力手段117は、これらの入力を受け付ける。伝達文入力エリア902により入力された伝達文は、医療情報出力手段109により、ワークフローステップ表示マップ904内の伝達文表示部905に表示される。
【0135】
さらに、ワークフロー依頼入力手段117は、医療情報格納手段106を介して新しいワークフローステップNo.を付与し、依頼先入力エリア901に入力された依頼先から実行予定部門とワークフローステップ種別と子ワークフローステップNo.を取得する。依頼元であるカレントワークステップNo.から親ワークフローステップNo.が取得されることにより、医療情報データベース105のワークフローステップ情報テーブル210に新しくレコードが格納される。また、添付ファイルの送信や、返信フラグを付与することも可能となる。
【0136】
<まとめ2>
以上の通り、本システムは、依頼先、予定日、コメント等の入力を受け付けてワークフローステップ情報を生成することができる。これにより、本システムは、ワークフローステップを効率的に管理することができる。また、本システムが、入力された依頼先、予定日、コメントをワークフローステップ表示マップ904に表示することにより、操作者は、ワークフローを容易に把握することができる。また、図1Aで示されているように、前述した依頼入力は、電子カルテシステム102を別途用い、電子カルテシステムで管理されるオーダリング情報と連携して動作しても良い。
【0137】
<ワークフローステップラベルの付与処理>
「ワークフローステップラベル」とは、診療現場又は診療プロセスの分析現場等において重要なワークフローステップを区別できるように、予め病院ごと等で定められるワークフローステップ種別に対して意味付けを付与するためのラベルを意味する。
【0138】
例えば「血液検査」の場合、単なる「血液検査」ではなく、「初回血液検査」、「入院時血液検査」、「○○手術の術前血液検査」、「○○手術の術後血液検査」、更には「再発後の血液検査」等のように、臨床上の患者に発生したイベントや時間的な順序関係が判る情報が付与された情報をいう。
【0139】
本システムの場合、ワークフローステップの実行時に、動的に、ワークフローステップのラベル付けを行う。ここでのワークフローステップの実行時とは、医療従事者がワークフローステップに関連する医療情報の入力を完了して登録ボタンを押したことにより、医療情報格納手段106が医療情報データベースに患者のデータを格納するタイミングをいう。
【0140】
<ワークフローステップラベル処理手段180の構成例1>
図10に、ワークフローステップラベル処理手段180の構成例を示す。ワークフローステップラベル処理手段180は、病院又は部門又は科ごとに定義されるラベル付与条件記憶手段1000と、実行ワークフローステップ取得手段1001と、ラベル付与処理手段1002と、ラベルデータ格納手段1003と、ラベルデータ記憶手段1004と、表示手段1005を備える。
【0141】
ラベル付与条件記憶手段1000は、ワークフローステップの種別によってラベル付与先ワークフローを特定するための条件や付与するラベル内容等を定義する手段である。
【0142】
実行ワークフローステップ取得手段1001は、実行されたワークフローステップ(以下、「実行ワークフローステップ」ともいう。)の情報を取得する手段である。
【0143】
ラベル付与処理手段1002は、ラベル付与条件記憶手段1000のラベル付与条件に基づき、ラベル付与先ワークフローステップを特定し、ラベルデータを生成する手段である。
【0144】
ラベルデータ格納手段1003は、生成されたラベルデータを、ラベル付与先ワークフローステップに関連づけてラベルデータ記憶手段1004に格納する手段である。
【0145】
ラベルデータ記憶手段1004は、ラベル付けされたワークフローステップのラベルデータを格納する手段である。
【0146】
これらの構成により、ワークフローステップラベル処理手段180は、ワークフロー入力手段107において登録ボタンが押下操作されたタイミングで、関連するワークフローステップのラベル付けを動的に実行し、その処理結果を蓄積する。
【0147】
<ラベル付与条件記憶手段1000のテーブル構造>
<ラベル付与条件マスタテーブル1100>
図11に、ラベル付与条件記憶手段1000に含まれるラベル付与条件マスタテーブル1100のデータ構造例を示す。ラベル付与定義マスタテーブル1100は、ワークフローステップにラベルを付与するための条件であるラベル付与条件を格納するテーブルであり、一つのラベル付与条件が一つのレコードに記録される。ラベル付与条件には、実行ワークフローステップの種別によってラベル付与先ワークフローを特定するための条件や付与するラベルの内容が含まれる。
【0148】
当該テーブルは、付与条件番号(No.)フィールド1101、実行ワークフローステップ種別フィールド1102、対象ワークフローステップ種別フィールド1103、ラベル付与種別フラグフィールド1104、未実行時ラベル付与フラグフィールド1105、ラベル内容フィールド1106を含んで構成される。
【0149】
付与条件No.フィールド1101は、各ラベル付与条件を一意に特定するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0150】
実行ワークフローステップ種別フィールド1102は、実行ワークフローステップのワークフローステップ種別を一意に特定するための識別情報を格納し、ラベル付与処理実行の際には、このフィールドをキー情報に使用してラベル付与条件を抽出する。
【0151】
対象ワークフローステップ種別フィールド1103は、実行されるワークフローステップのワークフローステップ種別により、その前後に位置するワークフローステップを探索し、実行有無を判定するための判定対象となるワークフローステップの種別を格納する。
【0152】
ラベル付与種別フラグフィールド1104は、判定対象のワークフローステップが実行された場合に、実行ワークフローステップ又は判定対象のワークフローステップのどちらにラベルを付与するかを示す情報を格納する。本形態例の場合、「0」は実行ワークフローステップ、「1」は対象ワークフローステップを意味する。
【0153】
未実行時ラベル付与フラグフィールド1105は、判定対象のワークフローステップが未実行の場合に、実行ワークフローステップにラベルを付与するか否かを示す情報を格納する。本例では、「0」は「格納しない」を意味し、「1」は「格納する」を意味する。
【0154】
ラベル内容フィールド1106は、ラベルを付与する場合に、付与するラベル内容を示す情報を格納する。図11に、付与条件の定義例1107、1108を示す。
【0155】
付与条件の定義例1107には、RFA(肝癌のラジオ波焼灼治療)が実施される際に、RFA以前に実施されたCT検査に対して、「RFA術前CT検査」というラベルを付与する例を示している。付与条件の定義例1107の場合、実行ワークフローステップ種別フィールド1102には「RFA」、対象ワークフローステップ種別フィールド1103には「CT検査」、ラベル付与種別フラグフィールド1104には、ラベルを自身ではなく「CT検査」に付与するため「1」、未実行時ラベル付与フラグフィールド1105は、「CT検査」がなければラベル付けしないため「0」、ラベル内容フィールド1106には「RFA術前CT検査」が設定される。
【0156】
一方、付与条件の定義例1108は、血液検査が実施される際に、以前に血液検査が一度も行われていない場合に、「初回血液検査」というラベルを付与する例を示している。付与条件の定義例1108の場合、実行ワークフローステップ種別フィールド1102には「血液検査」、対象ワークフローステップ種別フィールド1103には「血液検査」、ラベル付与種別フラグフィールド1104にはラベルを自身に付与するため「0」、未実行時ラベル付与フラグフィールド1105には「血液検査」が行われていない場合にラベル付けするため「1」、ラベル内容フィールド1106には「初回血液検査」が設定される。
【0157】
本形態例の場合、説明の都合上、ラベル内容フィールド1106にラベルデータがそのまま定義されているが、ラベルデータを更に細かく分類し、「術前」・「術後」のような時間順序を意味する情報、「RFA」・「TAE」のような術式を意味する情報、既存のワークフローステップ種別である「血液検査」・「CT検査」のような医療行為の種類を示す情報等の複数種類の意味をもつ情報を組み合わせてラベル内容を定義しても良い。
【0158】
また、本形態例の場合、ラベル付与条件を一つのマスタテーブルで定義しているが、システムの実装方法に合わせて複数のマスタテーブルから構成しても良い。
【0159】
<ラベルデータテーブル1200>
図12に、ラベルデータ記憶手段1004に含まれるラベルデータテーブル1200のデータ構造例を示す。ラベルデータテーブル1200は、ラベル付与処理手段1002によってラベル付けされたワークフローステップのラベルデータを格納する。また、ラベルデータは、一つのワークフローステップに対して複数を格納することができる。例えば「CT検査」に対して「初回CT検査」又は「RFA術前CT検査」を格納することができる。このため、一つの医療行為に対して目的に応じて別の意味づけをすることができる。
【0160】
ラベルデータテーブル1200は、ラベル番号(No.)フィールド1201、患者IDフィールド1202、ワークフローステップ番号(No.)フィールド1203、ラベルデータフィールド1204、ラベル付与条件番号(No.)フィールド1205を含んで構成される。
【0161】
ここで、ラベルNo.フィールド1201は、各ラベルデータを一意に特定するためのキー情報となる番号などを格納する。
【0162】
患者IDフィールド1202は、患者を一意に特定するための患者識別子を格納する。
【0163】
ワークフローステップNo.フィールド1203は、ワークフロー情報テーブル200(図2A)におけるワークフローステップNo.フィールド212へのリンク情報を格納する。このリンクにより、ラベルデータテーブル1200に格納されたラベル内容が、ワークフローステップNo.のリンクを介して、医療情報テーブル300(図3A)と対応付けられることになる。
【0164】
ラベルデータフィールド1204は、ラベル付与処理で得られたラベル内容を格納する。
【0165】
ラベル付与条件No.フィールド1205には、ラベル付与処理で用いられたラベル付与定義マスタテーブル1100のラベル付与条件No.を格納する。これにより、同じラベル内容でも別のルールでラベル付与している場合に、分析時に必要に応じて両者を区別できるようになる。
【0166】
<ラベル付与処理例>
次に、ワークフローステップラベル処理手段180により実行されるラベル付与処理例を説明する。システム側の処理は、ワークフローステップラベル処理手段180を通じて提供される。ワークフローステップラベル処理手段180は、ワークフローステップが実行されたイベントを受け付けると、図13に示すラベル付与処理フローを実行する。
【0167】
(ステップS1300)
まず、実行ワークフローステップ取得手段1001は、実行ワークフローステップのワークフローステップNo.を取得し、ワークフローステップ情報テーブル210(図14)より該当レコードを取得する。
【0168】
(ステップS1301)
ラベル付与処理手段1002は、取得した実行ワークフローステップのワークフローステップ種別より、ラベル付与条件マスタテーブル1100の該当するレコードを取得する。
【0169】
(ステップS1302)
ワークフローステップラベル処理手段180は、ステップS1301で取得したレコードから「付与条件No.」、「対象ワークフローステップ種別」、「ラベル付与種別フラグ」、「未実行時ラベル付与フラグ」、「ラベル内容」を抽出する。
【0170】
(ステップS1303)
次に、ワークフローステップラベル処理手段180は、ワークフローステップ情報テーブル210(図14)より前後のワークフローステップを探索し、「対象ワークフローステップ種別」に該当するワークフローステップの「ワークフローステップNo.」を抽出する。
【0171】
(ステップS1304)
ワークフローステップラベル処理手段180は、抽出されたワークフローステップの実行の有無を判定する。この処理の詳細は後述する。該当するワークフローステップが既に実行されている場合、ワークフローステップラベル処理手段180は、ステップS1305を実行し、実行されていなければステップS1308を実行する。
【0172】
(ステップS1305)
ワークフローステップラベル処理手段180は、「ラベル付与種別フラグ=真」であればステップS1306を実行し、ラベル付与種別フラグ=偽」であればステップS1307を実行する。
【0173】
(ステップS1306)
「ラベル付与種別フラグ=真」は、抽出したワークフローステップにラベル付けをすることを意味する。従って、この場合、ラベルデータ格納手段1003は、ステップS1303で取得した「ワークフローステップNo.」に対し、ステップS1302で取得された「ラベル内容」が存在するか否かをチェックし、存在しなければラベルデータ記憶手段1004に格納する。
【0174】
(ステップS1307)
これに対し、「ラベル付与種別フラグ=偽」は、自身のワークフローステップにラベル付けをすることを意味する。従って、この場合、ラベルデータ格納手段1003は、ステップS1300で取得した実行ワークフローステップの「ワークフローステップNo.」に対し、ステップS1302で取得された「ラベル内容」が存在するか否かをチェックし、存在しなければラベルデータ記憶手段1004に格納する。
【0175】
(ステップS1308)
ラベルデータ格納手段1003は、「未実行時ラベル付与フラグ=真」であればステップS1309を実行し、「未実行時ラベル付与フラグ=偽」であればステップS1310を実行する。
【0176】
(ステップS1309)
「未実行時ラベル付与フラグ=真」は、ラベル付けを行うことを意味する。従って、この場合、ラベルデータ格納手段1003は、ステップS1300で取得した実行ワークフローステップの「ワークフローステップNo.」に対してステップS1302で取得した「ラベル内容」が存在するか否かをチェックし、存在しなければラベルデータ記憶手段1004に格納する。
【0177】
(ステップS1310)
ワークフローステップラベル処理手段180は、全てのラベル付与条件に対して一連の処理が実行されたか否かを判定し、次のレコードがある場合はステップS1301を実行する。これに対し、該当レコードがない場合、ワークフローステップラベル処理手段180は、処理を終了する。
【0178】
前述したように、ワークフローステップラベル処理手段180は、ステップS1303において、実行ワークフローステップの前後に位置するワークフローステップの情報を使用し、ラベル付与先となるワークフローステップを動的に探索することを特徴とする。
【0179】
図15に、ステップS1303において実行されるワークフローステップ探索処理の詳細な処理フロー例を示す。
【0180】
(ステップS1500)
ワークフローステップラベル処理手段180は、実行ワークフローステップを取得し、そのワークフローステップNo.を探索ワークフローステップNo.として設定する。
【0181】
(ステップS1501)
次に、ワークフローステップラベル処理手段180は、ワークフロー情報テーブル210(図2B)より、探索ワークフローステップNo.に該当する親ワークフローステップNo.を取得する。
【0182】
(ステップS1502)
ワークフローステップラベル処理手段180は、親ワークフローステップNo.がある場合はステップS1503を実行し、ない場合はワークフローの先頭にいると判断しステップS1507を実行する。
【0183】
(ステップS1507)
ワークフローステップラベル処理手段180は、戻り値にnullを設定し、処理を終了する。
【0184】
(ステップS1503)
ワークフローステップラベル処理手段180は、親ワークフローステップNo.に該当する「ワークフローステップ種別」と「子ワークフローステップNo.」を、「親ワークフローステップ種別」と「親の子ワークフローステップNo.」としてワークフロー情報テーブルより抽出する。
【0185】
(ステップS1504)
ワークフローステップラベル処理手段180は、「親ワークフローステップ種別」と図13の処理においてラベル付与条件定義テーブルから取得した「対象ワークフローステップ種別」が一致し、かつ、「親の子ワークフローステップNo.」が存在するか否かを判定する。ワークフローステップラベル処理手段180は、条件に一致すればステップS1505を実行し、一致しなければステップS1506を実行する。
【0186】
ここで「親の子ワークフローステップNo.」が存在するか否かまで判断する理由は、子ワークフローステップNo.が存在する場合は実施済み(報告先あり)、存在しない場合は未実施(報告先なし)と判断でき、実施済みのワークフローステップを探索対象とするためである。
【0187】
(ステップS1505)
ワークフローステップラベル処理手段180は、ステップS1504の条件に一致した「親ワークフローステップNo.」を戻り値に設定する。
【0188】
(ステップS1506)
ワークフローステップラベル処理手段180は、「探索ワークフローステップNo.」として一つ前の「ワークフローステップNo.」を設定する。
【0189】
<まとめ3>
以上の処理動作の実行により、ワークフローステップラベル処理手段180は、ワークフローステップを実行する際に、各ワークフローステップの日付情報を参照して比較しなくとも、前後の関係だけで、順序関係を含むラベルを動的に付与することができる。
【0190】
また、付与したラベルを動的にワークフロー上で表示すれば、特にワークフローが長くなる場合や複雑になる場合における診療の流れの把握が容易になる。
【0191】
<ワークフローステップラベル処理手段180の構成例2>
図16に、ワークフローステップラベル処理手段180の第2の構成例を示す。図16に示す構成は、医療従事者の医療関連業務における診療支援を目的する場合に好適である。なお、図16に示す構成は、図10に示す構成図に、医療情報抽出手段1600、ラベルデータ抽出手段1601、ラベルデータ診療支援処理手段1602、ラベルデータ診療ワークフロー分析手段1603を新たに追加したものである。
【0192】
以下、図16に示すワークフローステップラベル処理手段180による動作例を、図17に示すフローチャートと図18に示す画面例を用いて詳細に説明する。
【0193】
本形態例においては、医療従事者がワークフローステップに関連付けた画像や検査値等のエビデンスデータを時系列表示画面で参照する場合について説明する。
【0194】
(ステップS1700)
本システムは、ログイン画面に対するログイン入力を、端末104に対する操作者の操作入力を通じて受け付ける。
【0195】
(ステップS1701)
本システムは、患者選択画面上で操作者が選択した一人の患者の患者識別子を受け付ける。操作者による患者の選択は、端末104に対する操作入力を通じて実現される。
【0196】
(ステップS1702)
医療情報抽出手段1600は、医療情報データベース105に含まれるワークフロー情報テーブル210から、ステップS1701で取得した患者に該当するレコードを全て抽出し、不図示のワークフロー選択画面として表示する。
【0197】
(ステップS1703)
医療情報抽出手段1600は、ワークフロー選択画面を通じ、操作者による一つのワークフローの選択を受け付ける。
【0198】
(ステップS1704)
医療情報抽出手段1600は、ワークフローステップ情報テーブル210から、ステップS1703で選択したワークフローNo.に該当するレコードを全て抽出し、ワークフローステップ実行画面600に各ワークフローステップを表示する。
【0199】
(ステップS1705)
ここで、操作者は、診療支援ボタン群706の操作を通じて「時系列表示」を選択する。医療情報抽出手段1600は、この選択を受付ける。
【0200】
(ステップS1706)
医療情報抽出手段1600は、医療情報データベース105内のワークフローステップ情報テーブル200と、医療情報テーブル300と、エビデンスデータテーブル310により、ステップS1703で選択されているワークフロー内の各ワークフローステップに関連づけられたエビデンスデータを抽出する。
【0201】
(ステップS1707)
医療情報抽出手段1600は、エビデンス種別が「検査値」や「画像」であるエビデンスデータのエビデンスNo.を抽出する。
【0202】
(ステップS1708)
医療情報抽出手段1600は、抽出したエビデンスNo.に基づき、医療情報データベース105内の入力データテーブル330から入力データIDを取得し、検査情報データベース116から入力データIDに該当する入力データを読み出す。ラベルデータ抽出手段1601は、ステップS1703で取得したワークフローステップNo.に該当するラベル内容を抽出する。
【0203】
(ステップS1709)
ラベルデータ診療支援処理手段1602は、ワークフローステップの実行日時を実行日時表示エリア毎に、その実行日時に該当するワークフローステップに関連づいた検査値や画像を時系列表示画面1800に表示する。また、ラベルデータ診療支援処理手段1602は、取得したラベルデータを、ラベルデータ表示エリア1801に、ワークフローステップの実行日時の時間軸に合わせて表示する。
【0204】
<まとめ4>
以上のように、医療情報の時系列表示画面において、その実行日時と共に診療の流れの中での順序関係の情報を含むラベルデータを表示すれば、比較参照すべきデータが明確になり、医師その他の医療従事者による診療を支援することができる。
【0205】
<ラベルデータ診療ワークフロー分析手段1603の構成例>
図19に、ラベルデータ診療ワークフロー分析手段1603の構成例を示す。図19に示すラベルデータ診療ワークフロー分析手段1603は、ラベルデータ臨床指標算出手段1900と、ラベルデータ臨床指標格納手段1901と、ラベルデータ臨床指標データベース1902と、ラベルデータ条件設定手段1903と、データ抽出・集計手段1904で構成される。
【0206】
本システムは、ワークフローステップという個々の医療関連業務の評価を支援するために、ワークフローステップに付されたラベルの内容をキー情報に用いて群分けし、更にその内容に基づいて算出した評価指標をワークフロー分析に用いることを特徴とする。
【0207】
ラベルデータ臨床指標算出手段1900は、ラベルデータに基づいて、ワークフローを分析するための評価指標を算出する手段(装置)である。
【0208】
ラベルデータ臨床指標格納手段1901は、算出した臨床指標を患者のワークフローに関連づけ、ラベルデータ臨床指標データベース1902に登録する手段(装置)である。
【0209】
ラベルデータ臨床指標データベース1902は、患者のワークフロー毎に算出された臨床指標を記憶する手段(装置)である。
【0210】
ラベルデータ条件設定手段1903は、ラベルデータが付与されたワークフローステップに対する条件設定を行う手段(装置)である。
【0211】
データ抽出・集計手段1904は、ラベルデータ条件設定手段1903で設定された条件に基づいて該当するワークフローを抽出し、ワークフローに対する評価値を抽出・集計する手段(装置)である。
【0212】
<ラベルデータ臨床指標データベース1902のテーブル構造>
<評価項目マスタテーブル2000>
図20Aに、ラベルデータ臨床指標データベース1902に格納される評価項目マスタテーブルのデータ構造例を示す。評価項目マスタテーブル2000は、評価指標を検索条件として設定するためのマスタテーブルであり、ラベルデータ臨床指標項目コードフィールド2001、項目名フィールド2002、データ型フィールド2003を含んで構成される。
【0213】
<評価値テーブル2008>
図20Bに、ラベルデータ臨床指標データベース1902に格納される評価値テーブル2008のデータ構造例を示す。評価値テーブル2008は、ワークフローごとにラベルデータに基づき算出した評価値を格納するためのテーブルであり、患者IDフィールド2004、ワークフロー番号(No.)フィールド2005、ラベルデータ臨床指標項目コードフィールド2006、評価値フィールド2007を含んで構成される。
【0214】
<臨床指標の算出例>
次に、ラベルデータ臨床指標算出手段1901で算出される患者の臨床指標の算出例を示す。例えば「再発するまでの日数」として、「RFA術後CT」〜次の「RFA術前CT」までの日数を算出するものとする。
【0215】
この場合、ラベルデータ抽出手段1601は、ラベルデータテーブル1200から「RFA術後CT」と「RFA術前CT」の両方を有する患者番号(No.)と、ワークフローステップ番号(No.)をそれぞれ抽出する。
【0216】
次に、医療情報抽出手段1600は、抽出した患者No.とワークフローステップNo.の各実行日時を、ワークフロー情報テーブル210(図2B、図14)から取得し、「RFA術後CT」から次の「RFA術前CT」までの日数を算出する。ここで、同一のワークフロー内に算出対象とする区間が複数ある場合は、それらの平均値を算出する。
【0217】
医療情報抽出手段1600は、算出した評価値を取得した患者No.と、ワークフローステップNo.と、日数を評価値テーブル2008に格納する。
【0218】
<ワークフロー分析動作>
次に、本システムによるワークフロー分析動作を、図21の画面例と図22の処理フロー例を用いて詳細に説明する。
【0219】
図21は、ワークフロー分析画面2100の一例である。ワークフロー分析画面2100は、絞り込み条件設定エリア2101、群分け条件設定エリア2102、評価指標項目設定エリア2103、検索・グラフ表示ボタン2104、グラフ表示エリア2105から構成される。
【0220】
絞り込み条件設定エリア2101は、全体のデータを絞り込むための条件設定を行うエリアである。群分け条件設定エリア2102は、絞り込んだデータが条件を満たすか否かにより群分けするための条件設定を行うエリアである。これら2つの条件設定エリアには、ラベルデータテーブル1200に一回でも格納されたラベルデータが設定されている。
【0221】
評価指標項目設定エリア2103には、評価項目マスタテーブル2000の項目が設定される。
【0222】
以下では、「再発するまでの日数」を評価項目とし、手術後の経過観察における画像検査の有効性について分析する場合について説明する。
【0223】
<ステップS2200>
操作者は、絞り込み条件設定エリア2101において「脳腫瘍摘出手術術後MRI」を選択し、群分け条件設定エリア2102において「脳腫瘍摘出手術術後PET」を選択し、評価指標項目設定エリア2103において「再発するまでの日数」を選択する。ラベルデータ条件設定手段1903は、これらの選択を受付ける。
【0224】
(ステップS2201)
操作者は、グラフ表示ボタン2104を選択する。この選択操作は、端末104を通じてデータ抽出・集計手段1904に与えられる。
【0225】
(ステップS2202)
データ抽出・集計手段1904は、絞り込み条件設定エリア2101で設定されたラベルデータを有するワークフローステップNo.を、ラベルデータテーブル1200から抽出する。
【0226】
(ステップS2203)
データ抽出・集計手段1904は、ステップS2202で取得したワークフローステップNo.のうち、群分け条件設定エリア2102で設定されたラベルデータを有するワークフローステップNo.のリスト(対象群リスト)と、設定したラベルデータをもたないワークフローステップNo.のリスト(非対象群リスト)を、ラベルデータテーブル1200から抽出する。
【0227】
(ステップS2204)
データ抽出・集計手段1904は、対象群リストと非対象群リストの各ワークフローステップNo.の各ワークフローNo.について、評価指標項目設定エリア2103で設定した評価項目に対応する評価値を抽出する。
【0228】
(ステップS2205)
データ抽出・集計手段1904は、各リストの評価値の分布をグラフ化し、表示画面のグラフ表示エリア2105に表示する。必要に応じ、データ抽出・集計手段1904は、各リストの評価値の集計値も表示する。
【0229】
<まとめ>
図21の場合、左側のグラフ表示エリア2105の表示内容が対象群リスト(術後PETなし)に対応し、右側のグラフ表示エリア2105の表示内容が非対象群リスト(術後PETあり)に対応する。これら2つのグラフは、ワークフローステップに付するラベルに一連の診療の流れ内における順序関係の情報が含まれていることで作成と表示が可能になる。また、図21に示すように、2つのグラフを並べて表示することにより、術後PETの有無による再発までの日数の違いを比較的に分析することが可能になる。
【0230】
<その他の変形例>
なお、本発明は上述した形態例に限定されるものでなく、様々な変形例が含まれる。例えば上述した形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある形態例の一部を他の形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある形態例の構成に他の形態例の構成を加えることも可能である。また、各形態例の構成の一部について、他の構成を追加、削除又は置換することも可能である。
【0231】
また、上述した各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより実現しても良い。すなわち、ソフトウェアとして実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
【0232】
また、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示すものであり、製品上必要な全ての制御線や情報線を表すものでない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えて良い。
【産業上の利用可能性】
【0233】
患者の検査値や画像データ、医療従事者の所見を扱う診療支援システムに関わり、医療従事者の医療関連業務における判断や診療プロセスの分析を支援する技術に関する。
【符号の説明】
【0234】
101 診療支援システム
102 電子カルテシステム
103 PACS
104 端末
105 医療情報データベース
106 医療情報格納手段
107 ワークフロー入力手段
108 入力情報受付手段
109 医療情報出力手段
111 インターフェイス
112 メモリ
113 記憶装置
114 CPU
115 エビデンスデータ処理手段
116 検査情報データベース
117 ワークフローステップ依頼入力手段
118 ワークフロー出力手段
119 ワークフロー終了手段
160 類似症例検索手段
170 プロセス分析手段
180 ワークフローステップラベル処理手段
200 ワークフロー情報テーブル
201 患者IDフィールド
202 ワークフローNo.フィールド
203 ワークフロー名フィールド
204 ワークフロー開始日時フィールド
205 ワークフロー終了日時フィールド
206 主治医IDフィールド
207 カンファレンスフラグフィールド
210 ワークフローステップ情報テーブル
211 患者IDフィールド
212 ワークフローステップNo.フィールド
213 ワークフローステップ実行予定部門IDフィールド
214 ワークフローステップ実行日時フィールド
215 ワークフローステップ実行者IDフィールド
216 ワークフローステップ実行フラグフィールド
217 カンファレンスステップフラグフィールド
218 ワークフローNo.フィールド
219 親ワークフローステップNo.フィールド
220 子ワークフローステップNo.フィールド
221 ワークフローステップ種別フィールド
300 医療情報テーブル
301 患者IDフィールド
305 判断文フィールド
306 参照ワークフローステップNo.フィールド
310 エビデンスデータテーブル
311 エビデンスNo.フィールド
312 エビデンス種別フィールド
313 エビデンス表示用アイコンフィールド
314 エビデンス表示用テキストフィールド
320 処理履歴テーブル
321 処理No.フィールド
322 処理内容フィールド
323 エビデンスNo.フィールド
324 処理パラメータフィールド
325 処理時間フィールド
330 入力データテーブル
331 エビデンスNo.フィールド
332 入力データIDフィールド
333 入力データ種別フィールド
400 検査値テーブル
401 検査値IDフィールド
402 患者IDフィールド
403 検査結果日時フィールド
404 項目コードフィールド
405 値フィールド
410 検査項目マスタテーブル
411 項目コードフィールド
412 項目名フィールド
413 単位名フィールド
420 測定値テーブル
421 測定値IDフィールド
422 患者IDフィールド
423 測定結果日時フィールド
424 項目コードフィールド
425 値フィールド
430 測定項目マスタテーブル
431 項目コードフィールド
432 項目名フィールド
433 単位名フィールド
434 登録日フィールド
440 画像テーブル
441 画像IDフィールド
442 患者IDフィールド
443 画像取得日フィールド
444 項目コードフィールド
445 画像フィールド
600 ワークフローステップ実行画面
601 ワークフローステップ選択エリア
602 ログイン情報表示エリア
603 判断文入出力エリア
604 エビデンスデータ表示エリア
605 医療情報登録ボタン
606 診療支援ボタン群
607 ワークフローステップ種別入力エリア
610 検査値グラフ表示画面
800 画像処理画面
901 依頼先ワークフローステップ種別入力エリア
902 伝達文入力エリア
903 次ワークフローステップ設定ボタン
904 ワークフローステップ表示マップ
905 伝達文表示部
1000 ラベル付与条件記憶手段
1001 実行ワークフローステップ取得手段
1002 ラベル付与処理手段
1003 ラベルデータ格納手段
1004 ラベルデータ記憶手段
1005 表示手段
1100 ラベル付与条件マスタテーブル
1101 付与条件No.フィールド
1102 実行ワークフローステップ種別フィールド
1103 対象ワークフローステップ種別フィールド
1104 ラベル付与種別フラグフィールド
1105 未実行時ラベル付与フラグフィールド
1106 ラベル内容フィールド
1107 付与条件の定義例
1108 付与条件の定義例
1200 ラベルデータテーブル
1201 ラベルNo.フィールド
1202 患者IDフィールド
1203 ワークフローステップNo.フィールド
1204 ラベルデータフィールド
1205 ラベル付与条件No.フィールド
1600 医療情報抽出手段
1601 ラベルデータ抽出手段
1602 ラベルデータ診療支援処理手段
1603 ラベルデータ診療ワークフロー分析手段
1800 時系列表示画面
1801 ラベルデータ表示エリア
1901 ラベルデータ臨床指標算出手段
1901 ラベルデータ臨床指標格納手段
1902 ラベルデータ臨床指標データベース
1903 ラベルデータ条件設定手段
1904 データ抽出・集計手段
2000 評価項目マスタテーブル
2008 評価値テーブル
2100 ワークフロー分析画面
2101 絞り込み条件設定エリア
2102 群分け条件設定エリア
2103 評価指標項目設定エリア2103
2104 検索・グラフ表示ボタン
2105 グラフ表示エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 医療関連業務の一連の診療の流れであるワークフローを識別するワークフロー情報と、(b) 前記ワークフローを構成する医療関連業務の単位であるワークフローステップを識別する情報と、前記医療関連業務の依頼元及び又は依頼先に関する情報と、前記医療関連業務の種類に関する情報を含むワークフローステップ情報と、(c) 前記医療関連業務に関連する情報である医療情報と、を互いに関連付けて第1の記憶領域に格納する医療情報格納手段と、
実行ワークフローステップを取得する実行ワークフローステップ取得手段と、
(a) 前記実行ワークフローステップの種別と、(b) その前後に出現するワークフローステップの種別と、(c) ラベルを付与するワークフローステップを特定するための付与条件と、(d) ワークフロー内の順序関係の情報を含む前記ラベルの内容とを定義するラベル付与条件記憶手段と、
前記実行ワークフローステップ取得手段により取得された実行ワークフローステップの種別に基づいて、その前後に出現するワークフローステップの種別を、前記第1の記憶領域から探索し、前記第2の記憶領域に記憶された付与条件に基づいて、ラベルの付与先となるワークフローステップを動的に特定するラベル付与処理手段と、
前記ラベル付与先処理手段で特定されたワークフローステップに、前記第2の記憶領域に記憶されたラベルの内容を関連づけ、第3の記憶領域に格納するラベルデータ格納手段と
有することを特徴とする診療支援システム。
【請求項2】
(a) 医療関連業務の一連の診療の流れであるワークフローを識別するワークフロー情報と、(b) 前記ワークフローを構成する医療関連業務の単位であるワークフローステップを識別する情報と、前記医療関連業務の依頼元及び又は依頼先に関する情報と、前記医療関連業務の種類に関する情報を含むワークフローステップ情報と、(c) 前記医療関連業務に関連する情報である医療情報と、を互いに関連付けて第1の記憶領域に格納する医療情報格納手段と、
ワークフロー内での順序関係の情報を含むラベルが動的に付与されたワークフローステップのラベルデータを記憶する第2の記憶領域と、
第1の記憶領域より、ワークフローステップ情報と、各ワークフローステップに関連づけられた医療情報を抽出する第1の抽出手段と、
ワークフローステップのラベルデータを、前記第2の記憶領域より抽出する第2の抽出手段と、
前記ワークフローステップ情報と、前記医療情報と、前記ラベルデータとに基づいて、診療支援処理を実行するラベルデータ診療支援処理手段と
を有することを特徴とする診療支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の診療支援システムにおいて、
前記ラベルデータ診療支援処理手段は、
前記医療情報抽出手段で取得したワークフローステップの実行日時毎に、その実行日時に該当するワークフローステップに関連した前記医療情報を表示手段に表示する時系列データ処理手段を有する
ことを特徴する診療支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の診療支援システムにおいて、
前記時系列データ処理手段は、前記医療情報と共に前記ラベルデータを前記表示手段に表示する
ことを特徴する診療支援システム。
【請求項5】
(a) 医療関連業務の一連の診療の流れであるワークフローを識別するワークフロー情報と、(b) 前記ワークフローを構成する医療関連業務の単位であるワークフローステップを識別する情報を含むワークフローステップ情報と、(c) 前記医療関連業務に関連する情報である医療情報と、(d) ワークフローステップが対応する患者を一意に特定する患者識別子と、を互いに関連付けて記憶する第1の記憶領域と、
ワークフロー内での順序関係の情報を含むラベルが付与されたワークフローステップのラベルデータを記憶する第2の記憶領域と、
前記第1の記憶領域より、前記ワークフローステップ情報と、各ワークフローステップに関連づけられた前記医療情報を抽出する第1の抽出手段と、
前記ワークフローステップのラベルデータを、前記第2の記憶領域より抽出する第2の抽出手段と、
前記第1の記憶領域に蓄積された複数の患者のワークフローステップ情報と、前記第2の記憶領域に蓄積された複数の患者のラベルデータとに基づいて、ワークフローを分析する分析手段と
を有することを特徴とする診療ワークフロー分析システム。
【請求項6】
請求項5に記載の診療ワークフロー分析システムにおいて、
前記分析手段は、前記ラベルデータに基づいて前記ワークフローステップ情報を検索し、その検索結果に基づいてワークフローを分析する
ことを特徴とする診療ワークフロー分析システム。
【請求項7】
請求項5に記載の診療ワークフロー分析システムにおいて、
前記分析手段は、
前記ラベルデータに基づいて、患者のワークフロー単位で臨床指標を算出するラベルデータ臨床指標算出手段と、
算出された前記臨床指標を、患者のワークフロー単位で第3の記憶領域に格納するラベルデータ臨床指標格納手段と、
前記ラベルデータに基づいて、ワークフローの絞り込み条件を設定するラベルデータ条件設定手段と、
設定された前記絞り込み条件に基づいて、前記第1の記憶領域から該当する複数のワークフローを抽出する大3の抽出手段と、
前記第3の抽出手段で抽出された複数のワークフローに該当する臨床指標を前記第3の記憶領域から抽出し、抽出した臨床指標を集計し、その集計結果を表示画面上に表示するラベルデータ臨床指標集計手段と
を有することを特徴とする診療ワークフロー分析システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−3658(P2013−3658A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131279(P2011−131279)
【出願日】平成23年6月13日(2011.6.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)