説明

認識可能な出力の空間分布を実現するための制御システムの設定を提供する装置、方法及びコンピュータプログラム

物理的空間内で認識可能な出力の空間分布を実現するための制御システムの設定を提供するための装置であって、前記制御システムは、前記物理的空間内に配置される少なくとも一つの出力デバイスを制御するよう構成され、かつ、基準点に対する前記物理的空間内の前記出力デバイスの夫々と関連する位置を表すデータをメモリ内に保持するよう構成され、当該装置は、前記出力デバイスの一と関連する少なくとも一つの位置に関するユーザ入力を取得するための入力デバイスを有する。前記設定は、前記ユーザ入力を表すデータに基づく。前記入力デバイスは、ユーザによる操作のための少なくとも一つの部品上の少なくとも第一の点を位置づけるための前記部品、及び、前記入力デバイスの第二の点を通る少なくとも一つの軸についての前記第一の点の角座標を検出するための出力を提供するよう構成されるセンサ装置を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認識可能な出力の空間分布を実現するための制御システムの設定を提供する装置に関する。また、本発明は、認識可能な出力の空間分布を実現するための制御システムの設定を提供する方法に関する。また、本発明は、コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
WO2005/052751は、複数の照明システムの位置をマッピングするための照明システムマネージャーを開示する。実施形態において、マッピング設備が、二次元空間内の照明をマップする。構成ファイルは、所望の組み合わせ又は環境のためのマッピングシステムにおける照明システムの位置のほかに、各照明システムのための識別子を保管することができる。構成ファイルは、照明システムで照らされる位置についての情報も保管することができる。一つの実施形態において、ある環境内の照明システムの位置を自動的に取得する方法が適用される。カメラは、照明の位置の分析及び計算のための画像を取得することができる。他の実施形態において、構成ファイルは、タイプ入力されることができる。あるいは、構成ファイルは、環境表示の上に光源をドラッグアンドドロップすることができるグラフィカルユーザインターフェースにより実現される。
【0003】
カメラ又はグラフィカルユーザインターフェースを用いることによる問題点は、それが照明のショーを実現するための専門家向けのシステムにのみ真に適合するように、比較的高価で複雑なシステムを必要とすることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2005/052751号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
単純に実現でき、直感的に使用できる制御システムの設定を提供するための装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、物理的空間内で認識可能な出力の空間分布を実現するための制御システムの設定を提供するための装置であって、前記制御システムは、前記物理的空間内に配置される少なくとも一つの出力デバイスを制御するよう構成され、かつ、前記物理的空間内の(例えば、基準点に対して)前記出力デバイスの夫々と関連する位置を表すデータをメモリ内に保持するよう構成され、当該装置は、前記出力デバイスの一と関連する少なくとも一つの位置に関するユーザ入力を取得するための入力デバイスを有し、前記設定は、前記ユーザ入力を表すデータに基づくものであり、かつ前記入力デバイスは、ユーザによる操作のための少なくとも一つの部品上の少なくとも第一の点を位置づけるための、前記部品、及び、前記入力デバイスの第二の点を通る少なくとも一つの軸についての前記第一の点の角座標(angular co−ordinate)を検出するための出力を提供するよう構成されるセンサ装置を有する、入力デバイスであることを特徴とする装置を提供することによって実現される。
【0007】
前記制御システムは、前記物理的空間内に配置される少なくとも一つの出力デバイスを制御するよう構成され、かつ、基準点に対する前記物理空間内の各出力デバイスに関連する位置を表すデータをメモリ内に保存するよう構成されるので、ユーザの実際の物理的環境において、いかなる物理的環境とは無関係に特定される認識可能な出力の空間分布を実現することができる。ユーザは、初めに入力デバイスを用いて出力デバイスの場所を示す。前記入力デバイスは、ユーザによる操作のための少なくとも一つの部品上の少なくとも第一の点を位置づけるための、前記部品、及び、当該入力デバイスの第二の点を通る少なくとも一つの軸についての前記第一の点の角座標を検出するための出力を提供するよう構成されるセンサ装置を有する。多くの種類の出力にとって、その出力がユーザに到達する方向又はユーザによって知覚される方向がわかれば十分である。実際に、これは、出力デバイスの場所又は出力デバイスによって提供される効果の経過を追う論理的な方法である。なぜなら、シーン(音風景、照明分布、等)は、一般的にユーザの周囲に作り上げられるためである。ユーザによる操作のための部品を有する入力デバイスは、そのような情報を提供するためのインターフェースとして十分である。なぜならば、入力デバイスは、座標系における角座標の値を提供することができるためである。一方、コンピュータのマウス又は同様の入力デバイスは、フィードバックを提供するために、グラフィカルなディスプレイを必要とする。なぜなら、それらの入力デバイスは、移動を表す出力を提供するのみであるためである。ユーザが設定を提供することにより、出力デバイスを自動で位置づけるためのシステムは必要とされない。前記設定は、各出力デバイスと関連する位置を表すデータを有する制御システムのメモリを追加するための初期設定であり得ることに注意する。あるいは、前記設定は、コマンドが適用される一つ又は複数の出力デバイスが、その位置によって特定されるユーザコマンドであり得ることに注意する。
【0008】
一つの実施形態において、ユーザによる操作のための前記部品は面を定義し、前記部品は、前記第一の点として前記面上の点を示すようユーザにより操作されることができ、かつ、前記センサ装置は、前記第一の点の位置を検出するよう構成される。
【0009】
この実施形態は、特に物理的空間内の扇形のセクター(sector)又は絶対角を特定するために比較的直感的なユーザインターフェースを提供する。この実施形態は、また、比較的実現することが容易である。なぜなら、部品のどの位置が角座標の値のゼロに対応するのかを示すために、明確な又は暗黙の方向支援が、面の上で提供されるからである。
【0010】
一つの実施形態において、前記第二の点を通るただ一つの軸についての前記第一の点の角座標に対応するデータが取得される。
【0011】
したがって、一般的に物理的空間のフロアに対応する平面において、一つのセクターを示すユーザ入力を表すデータは、角座標を含むことができる。前記実施形態は、そのような位置の特定は、一般に多くの種類の出力には十分であり、特にビルの部屋の中に共通する距離を大きく越えても弱められないという理解に基づくものである。
【0012】
一つの実施形態において、前記第二の点は、前記入力デバイスに対して固定されている。
【0013】
ユーザが前記第二の点を特定する必要がないため、これにより入力デバイスは容易に使うことができる。
【0014】
一つの実施形態において、前記部品上の前記第一の点は、前記入力デバイスの上に広がる軌道(trajectory)に沿う点に対応し、かつ、少なくとも180度を超える前記第二の点の囲む相互作用の点、特に一般には閉軌道(closed trajectory)の相互作用の点に対応する。
【0015】
この実施形態は、比較的単純なセンサ装置をもたらす。前記センサ装置は、軌道に沿う相互作用の点の位置を測定することができる必要があるだけである。一般的な閉軌道は、例えば、照明及び音に適合するものである。
【0016】
一つの実施形態において、ユーザによる操作のための部品は、ダイアルを有する。
【0017】
前記ダイアルは、仮想的であってもよく、また物理的であってもよい。ダイアルは、角座標を測定するために特に適している。
【0018】
一つの実施形態においては、当該装置は、前記出力デバイスの一と関連する少なくとも一つの位置に関連する前記ユーザ入力が前記入力デバイスを通じて取得することができる第一モードと、前記ユーザ入力が関連する前記位置と関連する出力デバイスにより発せられた照明の少なくとも一つの制御可能な態様に関連する前記ユーザ入力が前記入力デバイスを通じて取得できる第二モードとを切り替えるよう構成されている。この実施形態により、同一の入力デバイスが、一つの出力デバイスの出力の態様を特定し、かつ、角座標に関して位置を特定するために用いられることができる。したがって、提供される必要のある入力デバイスの物理的部品はより少なくなる。あるいは、少なくともよりコンパクトになり、散らかることが少なくなる。
【0019】
一つの変形例として、前記第二モードにおいて、色の選択に関連するユーザ入力が、前記入力デバイスを通じて取得されることができる。
【0020】
色の特定との組み合わせは、特に適切である。なぜなら、ちょうど角座標が円の位置として特定されることができるのと同様に、色は色相環の位置によって特定されるためである。本実施形態は、したがって、出力デバイスが多様な色の照明を発するときに特に適する。
【0021】
一つの実施形態において、前記入力デバイスは、前記ユーザによる操作のための前記部品により定義される経路に沿って情報を表示する少なくとも一つのディスプレイデバイスを有し、当該装置は、表示される前記情報を合わせるよう構成される。
【0022】
前記装置の一つの実施形態は、前記出力デバイスの少なくとも一つへの距離の非接触による測定のため、少なくとも一つのセンサを有し、前記設定は、前記測定された距離を表すデータにさらに基づいてなされる。
【0023】
本実施形態は、出力が前記物理的空間の距離特性による減衰の影響を受けるとき、より詳細な出力装置の位置を特定するために有用である。位置は、したがって、物理的空間内(角座標が一つだけ存在するときには、基準点を通る軸に対して)の基準点及び物理的空間内の基準点への距離に対して少なくとも一つの角座標として特定される。もちろん、前記装置は、制御システムの設定を提供する前に、別の座標系へこの仕様を変換(translate)することができる。
【0024】
一つの実施形態は、前記出力デバイスの少なくとも一つの高さのレベルを表す、ユーザ入力を取得するための入力デバイスを有する。
【0025】
本実施形態は、三次元のあらゆる物理的環境とは無関係に特定される、認識可能な出力の空間分布を実現するために適する。一般的に、前記高さは、例えば、地表面、目の高さ、天井の高さのような、比較的粗い基準において、相対的な高さとして特定されることができる。したがって、前記入力デバイスは、とても単純であることができる。分離された入力デバイスを提供することにより、角座標を特定するためにユーザにより用いられる入力デバイスの単純かつ直感的な特性が保たれる。
【0026】
一つの実施形態において、少なくとも、前記出力デバイスの一と関連する少なくとも一つの位置と関連するユーザ入力を取得するための入力デバイスは、携帯用の筐体に含まれる。
【0027】
入力デバイスが、物理的空間へ、実際には物理的空間の基準点へ取り入れられることができるため、前記入力デバイスは容易に用いられる効果がある。さらに、ユーザが入力デバイスを操作するとき、ユーザによる操作のための装置の点の角座標のゼロの位置が、所定の角座標のゼロの位置に揃えられるよう、前記入力デバイスは回転されることができる。これは、ユーザが部屋で座っているときに通常向いている方向のような、北又は12時として予め定められる方向に対応することができる。
【0028】
一つの実施形態において、前記装置は、物理的空間のセットの中から前記物理的空間を選択するための入力デバイスを有する。
【0029】
同一の入力デバイスが、一つ以上の空間、例えば部屋で、出力装置と関連する位置に関する設定を提供するために用いられることができる効果がある。出力デバイスを制御しているとき、物理的空間の物理的特性を推測するために、制御システムによりこの情報が用いられることができる。例えば、照明が壁面から反射され、音がよく反響するよう、バスルームは一般的にタイル状になっている。
【0030】
本発明の別の態様によると、認識可能な出力の空間分布を実現するための制御システムの設定を提供する方法であって、前記制御システムは、前記物理的空間内に配置される少なくとも一つの出力デバイスを制御するよう構成され、かつ、(基準点に対する)前記物理的空間内の前記出力デバイスの夫々と関連する位置を表すデータをメモリ内に保持するよう構成され、前記設定は、前記出力デバイスの一と関連する少なくとも一つの位置に関するユーザ入力を表すデータに基づき、ユーザ入力を表す前記データの少なくとも一部は、ユーザによる操作のための少なくとも一つの部品上の少なくとも第一の点を位置づけるための前記部品、及び、前記入力デバイスの第二の点を通る少なくとも一つの軸についての前記第一の点の角座標を決定するための出力を提供するセンサ装置を有する入力デバイスから取得されることを特徴とする方法が提供される。
【0031】
前記方法は、音、照明又は同様のものの空間分布を実現するために適する形式の設定を提供することにとても適する。なぜなら、そのような分布は、一般に、ユーザの固有のイマーシブな体験(immersive experience)を作り出すためのユーザ中心の方法で特定されるためである。
【0032】
前記方法の実施形態は、本発明による装置の使用を含む。
【0033】
本発明の別の態様によると、情報処理能力を有するシステムに本発明による方法を実行させることのできる命令のセットを含むコンピュータプログラムが、コンピュータが読み取り可能な媒体に組み込まれて、提供される。
【0034】
コンピュータプログラムは、本発明による装置において入力デバイスから取得される入力から、設定が処理されることを可能にする。
【発明の効果】
【0035】
単純に実現でき、直感的に使用できる制御システムの設定を提供するための装置、方法及びコンピュータプログラムを提供できる
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】イマーシブな体験が作り出されるいくつかの空間が存在するビルの断面の概略図である。
【図2】イマーシブな体験の作成のためのシステムのいくつかの部品を表す略図である。
【図3】一つの物理的空間の地図を表す略図である。
【図4】図2のシステムの一つの出力デバイスの少なくとも一つの位置に関するユーザ入力の提供のための入力デバイスを有するリモコン装置の第一の実施形態の概略図である。
【図5】図2のシステムの一つの出力デバイスの少なくとも一つの位置に関するさらなるユーザ入力の提供のための、異なるモードにおけるリモコン装置の概略図である。
【図6】適合された入力デバイスに関するディスプレイと、さらに別のモードにおけるリモコン装置の概略図である。
【図7】物理的空間における出力デバイスと位置とを結びつけるテーブルを追加する方法を表すフローチャートである。
【図8】変更される設定を図2のシステムの制御システムへ提供する方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
消費者は、自分の雰囲気を作ることのできる、パーソナライズされた環境を実現することを好む。消費者が、彼らの家5のあらゆる部屋番号1ないし4において専用の雰囲気を作ることができるシステムについて説明する。本システムは、専門家の使用にも適する。ここで説明される例において、雰囲気は、主に照明効果によりもたらされる。その結果は、特定の音風景又は立体視効果により増大されることができる。
【0038】
図2を参照すると、少なくとも二つ存在する照明装置6ないし8のいかなる数又は組み合わせはそのシステムに含まれることができ、かつ、照明装置の数は本質的に制限されない。そのような照明装置6ないし8は、例えば色相、彩度及び明るさのような1つ以上の適応パラメータを有し、複雑かつ柔軟である。
【0039】
そのような複雑な照明装置6ないし8が多数使用されるとき、各照明装置6ないし8のための壁面の照明スイッチを用いることは、あまりうまく動作しない。この理由に対して、制御デバイス9及び制御デバイス9のためのリモコン装置10の形状をした関連する携帯装置が提供される。照明装置6ないし8は、例えばIEEE802.11規格の一による無線LAN(local area network)又はZigBee若しくはBluetooth仕様による無線PAN(personal area network)のようなネットワーク11を経由して制御デバイス9に接続されている。説明される実施形態において、リモコン装置10及び制御デバイス9は、ネットワーク11への各インターフェース12、13を経由して互いに通信する。しかし、別の実施形態において、直接接続されることもできる。同様に、制御デバイス9は、照明装置6ないし8の一つに統合されることもできる。
【0040】
制御デバイス9は、特定の雰囲気の種類と関連する照明分布の抽象的な記述を、入力として用いる。制御デバイスは、そのような抽象的な記述を、照明装置6ないし8が設置される特定の物理的空間における雰囲気を再作成するための、照明装置6ないし8の制御信号へと変換する。この目的を達成するために、制御デバイス9は、データ処理装置14、メモリ15、及び、いかなる物理的空間、特に照明装置6ないし8が位置する物理的空間から独立している、照明の空間分布の仕様の取得のための、少なくとも一つのI/Oデバイス16とともに提供される。
【0041】
前記仕様は、amBX記述言語のような記述言語を用いて、例えば、特定の効果の位置に関し得る。制御デバイス9は、記述言語を解析し、記述される効果が利用可能な照明装置6ないし8によりどのように生成されるか決定し、かつ、ネットワーク11を経由して照明装置6ないし8へ適切な更新信号を提供するよう構成される。
【0042】
多くの特定される効果は、照明装置6ないし8の種類に依存しないだけでなく、照明装置6ないし8の位置にも依存しない。位置に関する適切な仕様は、図3において示される。図3は、二次元において、部屋17内のフロア空間が、コンパスの点に対応する扇形のセクター18ないし25へどのように分割されているかを示す。小さい部屋と大きい部屋の間で区別がされないよう、相対的な大きさの概念は存在しない。代わりに、セクター18ないし25は、ユーザの場所に対応すると仮定される基準点26に集まる。北又は12時に対応する一つの最初のセクター18は、ユーザが自然に注目する方向に対応する。物理的な室内において、この方向は、例えば、ソファ又はメインの椅子に座っているユーザが面している方向である。
【0043】
利用可能な照明装置6ないし8を有する物理的空間内において、抽象的に特定される認識可能な出力の空間分布を実現するために、制御システムは、メモリ15内に、部屋17内の各照明装置6ないし8に関連する、基準点26と相対的な位置、及び、任意でさらに、例えば、基準点26への高さ又は距離のような、位置の詳細を表すデータを保持する。
【0044】
前記データは、照明装置6ないし8と関連する少なくとも一つの位置に関するユーザ入力を表すデータに基づく設定として提供される。前記位置は、関係している照明装置6ないし8の位置、照明が生成する(すなわち、照明が可視であるとき)照明効果の位置、又は両方である。前記ユーザ入力は、リモコン装置10に含まれる入力デバイスによって取得される。入力デバイスは、ユーザにより操作されることができ、かつ、ディスプレイデバイス27を含む、タッチスクリーンデバイス形式である。ディスプレイデバイス27は、位置がユーザにより入力されているとき(図4)、角座標を表示する。前記タッチスクリーンデバイスは、基準点を通る少なくとも一つの軸と相対的な、タッチスクリーン上の点の角座標を検出するためのセンサ装置28(図2)をさらに有する。このような状況における部品の操作とは、ユーザがこの部品に触れることができ、かつ、部品に対して、又は部品を動かすことにより、接触する点の場所を変えることができることを意味する。
【0045】
図4の実施形態において、リモコン装置10は、円形のタッチスクリーンデバイスを有し、外側の領域は、ディスプレイデバイス27により表示される角座標とともに、ホイール29の形状をしている。ホイール29は、リモコン制御装置10上の平面内に広がる、中心点30を囲む閉じたループの形状による面の一部として実装されている。ユーザの指32とホイール29との間の相互作用の点31の場所が、検出されることができる。その場所は、中心点30を通る軸、かつ、ホイール29の平面と垂直な角座標に対応する。
【0046】
図4の実施形態において、角座標が、図3で表示されるセクターに対応するコンパスの点として示される。タッチスクリーンデバイスは、ホイール29の外縁内の全ての領域を占める。かつ、方向支援33は、部屋17内において、ユーザが、中心点30を通る軸に対する角座標と基準点26を通る水平軸に対する角座標とを結びつけることを支援する。
【0047】
図5を参照すると、リモコン装置10は、仮想スライダー34の形をした入力デバイスをさらに提供するよう構成されることができる。リモコン装置10は、物理的なボタン40ないし44を含む多数のさらなる入力デバイス35ないし39もまた有する。
【0048】
スライダー34は、ユーザが角座標に加えて高さのレベルを特定することができるような、任意の機能である。一つの実施形態において、高さは、例えば5つの値又はそれ以下の、特には3つの値のセットから選択されることができる。前記の値は、例えば、フロア、目の高さおよび天井の高さのような、相対的な値であり得る。
【0049】
説明される実施形態において、3つのボタン40ないし42は、例えば、照明装置6ないし8、スピーカ45、46、および立体視出力装置(tactile output device)47、48のような、三種類の異なる出力デバイスの場所を設定するための入力デバイス35ないし37に含まれる。
【0050】
第4のボタン43は、部屋17内の基準点26から、照明装置6ないし8のうち一つ、スピーカ45、46のうち一つ、又は立体視出力装置47、48のうち一つまでの距離を測定するためのデバイス49と連動するための入力デバイス38に含まれ得る。この測定デバイス49は、例えば、関係する出力装置に適する赤外線(図示されない)に応答することができる。さらに、出力デバイスが所定の強度の出力を提供するよう制御されているとき、信号振幅を測定することができる。他の非接触距離測定方法が使用されることができる。
【0051】
さらなるボタン44は、入力モードの切替を示すための入力デバイス39に含まれる。照明装置6ないし8の設定を行う状況において、第一のモードにおいて、少なくとも一つの角座標に関するユーザ入力は、ホイール29を用いて提供される(図4)。第二のモードにおいて、スライダー34が示される(図5)。第三のモードにおいて、ホイール29は、図4及び図5のコンパスの点が消されて色相環の描写に置き換えられるよう、ディスプレイ装置27の適切な制御を通じて外観を変える。ホイール29とともに接触点31は、次に、例えばユーザが出力の色を設定できるよう、色相環上の場所に対応する。どのようにこの機能が実装されるかについてのさらなる詳細は、WO2008/038179から得られる。
【0052】
第四のモードにおいて、ホイール29は、図6に示される形状に外観を再び変える。このモードでは、家5の部屋1ないし4を表すアイコン50ないし52が表示されている。このモードは、ユーザが各部屋1ないし4の出力デバイスの位置のセットを保存することができるよう用いられることができる。同一のリモコン装置10及び制御デバイス9は、したがって、家5全体で用いられることができる。
【0053】
図7は、様々な出力デバイス6ないし8、45ないし48の位置を、どのようにメモリ15に設定することができるか示すものである。
【0054】
ボタン40ないし42のうち一つを押すことにより、制御デバイス9及びリモコン装置10を有する装置を位置設定モードへと切り替える(ステップ53)。リモコン装置10は、デフォルトでは図4の外観を呈することを意味する。さらに、ホイール29は図6のように現われ、ユーザは最初に部屋を選択する。次に、例えば、部屋17の中の照明装置6ないし8の位置の設定のためのモードを切り替え、リモコン装置10がディスプレイデバイス27の出力を合わせるために、ボタン44を押す(ステップ54)。
【0055】
ユーザが、どの照明装置6ないし8の場所を設定しているのかわかるよう、デバイスは識別される(ステップ55)。制御デバイス9は、例えば、所定の出力を提供するため、特定の照明装置6ないし8のみを動作させることができる。さらに、分離した照明が、各照明装置6ないし8上で提供されることができる。その分離した照明は、照明装置6ないし8にフォーカスが当てられているとき、スイッチがオンになる。さらに別の実施形態において、ユーザはデバイスを指し示す。例えば、各照明装置6ないし8は、一意の出力信号を提供するよう作られることができ、距離測定デバイス49は、例えば、その信号を取得するために照明装置6ないし8に向けられることができる。他の実施形態も可能である。
【0056】
制御デバイス9は、例えば、家5の各部屋1ないし4のための複数のテーブル57ないし60の形式の、データベース56を保持する。
【0057】
照明装置6ないし8が識別されると、ユーザは、既に識別された照明装置6ないし8が配置される部屋17のセクター18ないし25を示すために、関係のある接触点31へ彼又は彼女の指32を動かす。一つの実施形態において、この座標は、指を離す時の接触点31のホイール29に沿う場所に対応する。別の実施形態において、正しい入力についての確認のためのいくつかの形態が得られる。例えば、軽く叩く(tapping)ジェスチャー又は所定のインターバル時間の間、同一の接触点を維持することにより、ユーザ入力を確認する。
【0058】
必要であれば、ユーザは次に、スライダー34を、入力が関連する照明装置6ないし8の高さのレベルを示すよう動かすことができ、かつ/又は、リモコン装置10を照明装置に向け、距離測定を取得するためにボタン43を押すことができる。
【0059】
これらのデータが取得されると、ユーザ入力を表すデータは、識別された照明装置6ないし8と関連するデータベース56のテーブル57のエントリへの入力(ステップ62)のため、設定を取得するよう用いられる(ステップ61)。設定の取得に関するステップ61は、制御デバイス9とリモコン装置10のいずれか又は両方において実行されることができる。一つの実施形態において、ステップ61は、ユーザ入力データの、データベース56に適合する特定の形式の設定への変換を含む。
【0060】
次に、制御デバイス9又はユーザは、方法が終了する場合においてデータベース56のテーブル57が完結しない限りは、設定が提供されるべき次の照明装置6ないし8を識別する。
【0061】
図8は、例えば、照明出力の色を変えるため、一つ以上の照明装置6ないし8の設定がどのように変更されることができるかを示す。この方法において、設定が適用される照明装置6ないし8は、データベース56において保持されるそれらの位置によって識別される。
【0062】
第一のステップ63において、ユーザは、例えば、モードを変えるためのボタン44を押すことにより、モードを変えるための適切なコマンドを、照明の色が変えられる照明装置に提供する。
【0063】
任意の次のステップにおいて(図示されない)、予備のモードにより、ユーザがデバイスの種類を選択できる。この目的を達成するために、例えば、アイコンがホイール29上に表示されることができる。このステップにより、ユーザは、位置又は位置の範囲を示すことで、その位置又は位置のその範囲内の全てのデバイスよりむしろ、特定のデバイスの種類だけを選択できる。この方法において、例えば、ユーザは、後続の新しい設定が、全ての照明装置6ないし8ではなく、スポットライトにのみ適用され、又は背景照明を提供する周囲照明装置にのみ適用されることを示すことができる。
【0064】
部屋は既知のものであるとみなせるので、ディスプレイデバイス27は、図4に示されるように、コンパスの点を表示する(ステップ64)。
【0065】
ユーザは、次に、適切な点31においてホイール29に接触することにより、少なくとも一つの第一の角座標を示す(ステップ65)。任意で、ユーザは、次に、コンパスの弧(segment)が定義されるように、角位置が決定される第二の接触点31へと動かす。
【0066】
制御デバイス9は、次に、コンパスの弧の中の全ての照明装置6ないし8を識別する(ステップ67)。あるいは、制御デバイス9は、第二の入力ステップ66が省かれるとき、第一の角座標に対して最も近いデバイスを識別する。この識別ステップ67は、図6の方法を用いて取得される設定を用いる。ユーザが、ホイール29の全体の外周に沿った円のジェスチャを行っているとき、全ての照明装置6ないし8、又は、少なくとも上で述べた任意のステップにおいて既に示された種類の少なくとも全ての照明装置6ないし8は、新たなデバイスの設定のための目標として識別される。
【0067】
次に、ディスプレイデバイス27は、コンパスの点の場所に色相環を表示する(ステップ68)。ユーザは、ホイール29との接触点31を通して、色を選択することができる。この入力は受信され(ステップ69)、前のステップ67で識別された全ての装置のための設定を構成する(ステップ70)。
【0068】
さらなるステップにおいて(図示されない)、ディスプレイデバイス27は、照明装置6ないし8の選択されたいくつかにより発せられる照明のさらになる態様を設定するために、例えばスケールのような値のセットが表示される。例として、CCT(相関色温度)、明るさ及び彩度が含まれる。
【0069】
したがって、リモコン装置10の構成による方法は、雰囲気を提供するシステムをセットアップするときに出力デバイスの位置を入力すると同時に、その後出力デバイスのそれぞれの設定を変えるためにも用いられることができる。
【0070】
注目すべきは、上述の実施形態は、本発明を制限するのではなく説明するものであり、当業者は、添付されるクレームの範囲を逸脱することなく多数の別の実施形態を設計することができるであろう。クレームにおいて、括弧の間に置かれるいかなる参照符号も、クレームを制限するよう解釈されてはならない。“含む”の語は、クレーム内に列挙される要素又はステップ以上の別の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素に先行する“一つの(a)”又は“一つの(an)”の語は、そのような複数の要素の存在を除外するものではない。特定の手段が相互に異なる従属クレームにおいて列挙されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせが利益を得るために用いられ得ないことを示すものではない。
【0071】
示された実施形態において、ユーザによる操作のための部品は、ユーザが点を示すことができる平面を定義する。その点は、中心点30を通るただ一つの軸について、ある点の角座標に対応するユーザ入力を表すデータである。別の実施形態において、それぞれの軸についての点の二つの角座標に対応するユーザ入力を表すデータが取得される。その場合、面は、例えば球又は半球のような三次元面であり得る。面を横切って指32を動かす代わりに、面を提供する部品は、例えば、トラックボールの形状で、リモコン装置の固定される点に対して移動されることができる。ただし、単なる変位ではなく絶対的な位置を決定することができるようにセンサ装置が提供されていることが条件である。
【0072】
さらなる別の実施形態において、面はタッチスクリーンであり、ユーザは二本の指をタッチスクリーン上に置くことができ、一つの接触点は基準点(第二の点)として機能する。
【0073】
また、リモコン装置の筐体がユーザによる操作のための部品であるとき、基準点は、リモコン装置内の点であり、角座標が検出されるべき点は、リモコン装置上の別の点である。リモコン装置を特定の場所へ回転することは、そのような構成において角座標の値を提供する。この実施形態は、リモコン装置10(又はリモコン装置10及び/又は制御デバイス9と関連するポインティングデバイス)の筐体内の加速度計により第一の変形例において実装される。第二の変形例において、入力デバイス内の電子コンパスが、入力デバイスが保つ角度の決定のための出力を提供するためのセンサ装置として用いられる。
【0074】
同様の方法が、既に効果を提供しているデバイスを指示し、または、例えば制御デバイス9の筐体上若しくは出力デバイス6ないし8、45ないし48の一つで提供される効果の表示を指示することにより、その効果を選択するために用いられることができる。したがって、図8の方法は、ポインティングデバイスの方向及び(所定のインターバル時間、方向付けを維持することにより簡単になされる)入力の確認方法を変えることにより、完全な代わりの方法として実装されることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 物理的空間
6 照明装置
9 制御システム
10 リモコン装置
11 ネットワーク
12 インターフェース
13 インターフェース
14 データ処理装置
15 メモリ
16 I/Oデバイス
26 基準点
27 ディスプレイデバイス
28 センサ装置
29 ホイール
30 中心点
31 第一の点
56 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的空間内で認識可能な出力の空間分布を実現するための制御システムの設定を提供するための装置であって、
前記制御システムは、前記物理的空間内に配置される少なくとも一つの出力デバイスを制御するよう構成され、かつ、
前記物理的空間内の前記出力デバイスの夫々と関連する位置を表すデータをメモリ内に保持するよう構成され、
当該装置は、前記出力デバイスの一と関連する少なくとも一つの位置に関するユーザ入力を取得するための入力デバイスを有し、
前記設定は、前記ユーザ入力を表すデータに基づくものであり、かつ、
前記入力デバイスは、ユーザによる操作のための少なくとも一つの部品上の少なくとも第一の点を位置づけるための、前記部品、及び、前記入力デバイスの第二の点を通る少なくとも一つの軸についての前記第一の点の角座標を検出するための出力を提供するよう構成されるセンサ装置を有する、入力デバイスである
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
ユーザによる操作のための前記部品は、面を定義し、
前記部品は、前記第一の点として前記面上の点を示すようユーザにより操作されることができ、かつ、
前記センサ装置は、前記第一の点の位置を検出するよう構成される
ことを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記第二の点を通るただ一つの軸についての前記第一の点の角座標に対応するデータが取得される
ことを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記第二の点は、前記入力デバイスに対して固定されている
ことを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記部品上の前記第一の点は、前記入力デバイスの上に広がる軌道に沿い、かつ、
少なくとも180度を超える前記第二の点の囲む相互作用の点、特に一般には閉じた軌道の相互作用の点に対応する
ことを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記装置は、
前記出力デバイスの一と関連する少なくとも一つの位置に関連する前記ユーザ入力が前記入力デバイスを通じて取得されることができる第一モードと、
前記ユーザ入力が関連する前記位置と関連する出力デバイスにより発せられた照明の少なくとも一つの制御可能な態様に関連する前記ユーザ入力が前記入力デバイスを通じて取得されることができる第二モードとを切り替えるようさらに構成されている、
装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記装置は、
前記第二モードにおいて、色の選択に関連するユーザ入力が、前記入力デバイスを通じて取得されることができる
ことを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記入力デバイスは、前記ユーザによる操作のための前記部品により定義される経路に沿って情報を表示する少なくとも一つのディスプレイデバイスを有し、
当該装置は、表示される前記情報を合わせるよう構成される
ことを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記装置は、
前記出力デバイスの少なくとも一つへの距離の非接触による測定のため、少なくとも一つのセンサをさらに有し、
前記設定は、前記測定された距離を表すデータにさらに基づいてなされる
ことを特徴とする、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、前記装置は、
前記出力デバイスの少なくとも一つの高さのレベルを表すユーザ入力を取得するための入力デバイス
をさらに有する、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
少なくとも、前記出力デバイスの一と関連する少なくとも一つの位置と関連するユーザ入力を取得するための入力デバイスは、携帯用の筐体に含まれる
ことを特徴とする、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、前記装置は、
物理的空間のセットの中から前記物理的空間を選択するための入力デバイスを有する
ことを特徴とする、装置。
【請求項13】
認識可能な出力の空間分布を実現するための制御システムの設定を提供する方法であって、
前記制御システムは、前記物理的空間内に配置される少なくとも一つの出力デバイスを制御するよう構成され、かつ、
前記物理的空間内の前記出力デバイスの夫々と関連する位置を表すデータをメモリ内に保持するよう構成され、
前記設定は、前記出力デバイスの一と関連する少なくとも一つの位置に関するユーザ入力を表すデータに基づくものであり、かつ、
ユーザ入力を表す前記データの少なくとも一部は、ユーザによる操作のための少なくとも一つの部品上の少なくとも第一の点を位置づけるための前記部品、及び、前記入力デバイスの第二の点を通る少なくとも一つの軸についての前記第一の点の角座標を決定するための出力を提供するセンサ装置を有する入力デバイスから取得される
ことを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項1ないし12いずれか一項に記載の装置の使用を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
情報処理能力を有するシステムに請求項13又は14による方法を実行させることのできる命令のセットを含む、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−516014(P2012−516014A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−547020(P2011−547020)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050253
【国際公開番号】WO2010/084462
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】