説明

誘導性カプラを有する衣料品、衣料品用の誘導性インタフェース、およびこの衣料品用インタフェースの使用法

本発明は、柔軟な材料の少なくとも1つのレイヤと、この柔軟な材料の1つのレイヤあるいは複数のレイヤを通して電流および/またはデータ信号を伝送する誘導結合装置(20)とを有する衣料品(10)に関する。本発明はまた、衣料品用の誘導インタフェースに関し、このインタフェースを使用して、衣料品の外部と内部との間で誘導的に電流および/またはデータ信号を伝送することができる。さらに、衣料品の布地レイヤを通して、電流および/またはデータ信号を送るタイプのインタフェースの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料品(衣服)、誘導性衣料インタフェース、およびこの衣服用インタフェースの使用法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
個人使用の電子装置が小型化されることによって携帯可能となった結果、ラップトップ、携帯電話機、計算機、ハンドヘルドオーガナイザ、携帯型ラジオ、またはCDプレーヤなどの装置、並びに、その他のこれらに類似した装置の有用性と機能が向上している。十分な小型化により、衣料などの日常品に電子装置を統合することが可能になっている。
【0003】
いまや、多くの衣料品が、携帯電話機、コンパクトディスクプレーヤ、および携帯型オーディオプレーヤ、あるいは、その他の電子装置などの装置を携帯するためのポケットを有するようになっている。
【0004】
従来技術においても、「ウェアラブルコンピュータ」という概念は周知であり、このようなウェアラブルコンピュータは、通常は衣料に、または衣料の上に保持された状態で長期間にわたってユーザが着用可能な、強力ではあるが非常に小型であって経済的に設計されたコンピュータシステムを有している。小さな電子装置および/またはウェアラブルコンピュータをその周辺装置と共に織物および衣服と統合することは望ましいことであり、この結果、装置の機能と携帯性が劇的に向上することになる。これらの試みの多くにおいて目標とされているのが、ハンズフリー操作である。
【0005】
特定の高度な機能の場合には、パーソナル電子装置および/またはウェアラブルコンピュータは、例えば、脈拍、ECG波形、呼吸、歩数、またはユーザのその他のパラメータを検出するために、好ましくは、または本来的にユーザの身体上に着用されることを要する様々なセンサを具備可能である。
【0006】
一方、このような場合には、衣服の内側から、衣服の外部に配置されている電子装置および/またはウェアラブルコンピュータに対して、このようなセンサの出力信号を伝送する必要がある。このようなセンサは、特定種類の専門的な衣料(例えば、消防士用の保護衣料や軍事要員用の保護用制服)との関連において特別な重要性を有している。ただし、例えば、アウトドアレジャー用の衣料など、その他の適用分野も存在しているため、センサの使用が、このような種類の保護用衣料に限定されるものではないことは明らかである。
【0007】
一方、衣服の内側に配置されたインテリジェントセンサまたはその他の電子装置には、衣服の外側に配置されているコンピュータから、制御データまたはこれに類似したものを供給する必要があろう。
【0008】
したがって、高機能なソリューションにおいては、衣服の外側に配置されているなんらかの種類の装置と衣服の内側に配置されているその他のコンポーネントの間における双方向のデータ転送が望ましい。
【0009】
多くの場合に、衣服の内側に配置されている電子コンポーネントは、なんらかの形態の電源を必要としていよう。これは、別個の電池または蓄電池を、その近傍またはそれぞれの電子コンポーネント自体に備えることによって実行可能ではあるが、システムの複雑性およびコストを低減するべく、データ転送用に提供されているものと同一の手段を通じて電力を供給するほうが明らかに有利であろう。
【0010】
最近の衣服のその他の重要な側面は、液体の水と水蒸気に対する透過性の観点における技術的特性に関係している。具体的には、アウトドアアプリケーションとの関連において、衣服は防水性を有する必要がある。ただし、高機能なアプリケーションにおいては、ユーザの皮膚が汗で濡れることを回避または少なくとも低減することによってそれらの織物の着用の快適性を向上させるように、水蒸気に対する透過性を有する必要がある。水蒸気に対しては透過性を有するが、液体状態の水に対しては不透性を有する、例えば、微小孔を有するPTFE(polytetrafluoroethylene)から製造されたある種のメンブレインを含む既知のさまざまな機能強化された織物材料が存在している。
【0011】
衣服の外側に取り付けられた少なくとも1つの電子装置から衣服の内側に取り付けられたセンサまたは別の電子コンポーネントに対して電力および/またはデータ信号の供給経路を確立する際には、衣服の織物にデータおよび/または電気を透過させるという問題に対する解決策が必要である。防水性の衣服を使用する場合には、データおよび/または電力を伝送する電子的機能によって衣服の防水特性が損なわれないように、予防策を講じなければならない。
【0012】
米国特許第6,324,053号(US6,324,053B1)には、ウェアラブルコンピュータまたはこれに類似したシステム内に包含された装置の電気的相互接続のためのシステムおよび方法が開示されている。極度に微細な導電性ワイヤを縫い目の糸として衣料に装着することにより、電源およびデータネットワークを形成しており、この糸を使用することにより、I/O装置とコンピュータシステム本体が別個に配置されているウェアラブルコンピュータ内に包含されている装置を接続している。
【0013】
したがって、この米国特許第6,324,053号(US6,324,053B1)に開示されているネットワークは、特定の衣服の内側に取り付けられたセンサまたはその他の電子コンポーネントを、電子的な衣服の外側に取り付けられているウェアラブルコンピュータまたはその他の電子装置と接続するのに適していると考えられる。しかしながら、縫い目の糸としてのこの微細な導電性ワイヤの導入は、この試みが、特に、防水性を有しつつ蒸気を透過可能なメンブレインを具備した衣服を提供するということと矛盾していることを意味している。このようなメンブレインは、必然的にネットワークをセットアップするために必要な縫い目の糸によって何回も突き通されることになり、望ましくない水架橋が生成されることになろう。実際の経験は、縫い目の糸に沿ったこのような水架橋を閉鎖することが非常に困難であることを示している。又、微細なワイヤは、電気的な結合を提供し、この結果、電気的な事故や電気的特性の劣化などの電気的な問題が生じる可能性があろう。
【0014】
PCT特許出願第01/45038号(WO01/45038A2)には、近距離通信システムが開示されている。その特定の具体例においては、人物の近傍に保持された送信機が、複数のトランスポンダに対して問合せを実行し、トランスポンダから別個に情報を受信している。送信機および/またはトランスポンダは、その人物の衣料品内または携行品内に保持可能である。このようなシステムによれば、人物が着用している衣料は、例えば、有用な情報を得るために、複数の物品と通信可能である。又、このPCT特許出願第01/45038号(WO01/45038A2)に開示されている近距離通信システムは、基本的に、衣服の内側に取り付けられているセンサから、その(織物)材料を通じて、衣服の外側に取り付けられている任意の電子装置またはウェアラブルコンピュータに対して、衣服を突き通すことなしに、電子データを伝送するように使用できる。
【0015】
ただし、いくつかのケースにおいては、外部への電磁放射漏洩を利用した盗聴と、環境による内部への電磁放射の電磁干渉(EMI)によって発生する特に強力な電磁パルス(EMP)によって発生する障害に対して、個人使用のウェアラブルコンピュータまたはその他のこれと同等の電子装置のユーザを保護しなければならない。
【0016】
これは、特に、軍事アプリケーションに関連して当てはまることであるが、これらの要件は、ある程度、例えば、消防士などの専門職との関連においても満足させる必要がある。
【0017】
又、純粋な無線に基づいたソリューションは、衣服の外側において提供される大量の電力を衣服の内側に配置されている電子コンポーネントに対して供給するのに適当ではない。高周波電磁場による電力の効率的な伝送に必要な高周波電磁放射の相対的に強力な電磁場に対して生体組織が露出することによって恐らく発生するであろう生物学的な事故に関する懸念も存在している。
【0018】
したがって、無線接続は、好適な利点を提供可能ではあるが、個人使用の電子装置および/またはウェアラブルコンピュータとその周辺機の間における、好ましくは、シールドされた電気配線による相互接続のほうが、無線ソリューションよりも好ましいアプリケーション分野が存在している。
【0019】
しかしながら、衣服を形成している織物材料を貫通する接続ワイヤの提供は、防水特性が重要である場合には、大きな問題となる。
【0020】
したがって、衣服を形成している材料を突き通すことなしに、電力および/またはデータの経路を織物材料を通じて提供することができるあるいは少なくとも、衣服を形成している材料の境界に対して防水性を確実に付与できるように、電子装置を互いにおよび/またはウェアラブルコンピュータをその関連する周辺機と相互接続するための設備を具備した高機能な衣服を提供することに対する強いニーズが存在している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、このような衣服を形成している織物材料を通じた電力の供給および/またはデータストリームの通過が可能な衣服を改善することが本発明の目的である。
【0022】
衣服を形成している布地を通じた電力の供給および/またはデータストリームの通過が可能な誘導性インタフェースを改善することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明のこれらの目的は、請求項1記載の衣料品を提供すると共に、請求項25記載の誘導性衣料インタフェースを提供し、かつ、請求項38記載の衣料品の布地のレイヤに電力および/またはデータ信号を通過させるインタフェースの使用法を提案することによって解決される。更なる改善は、従属請求項から入手可能である。
【0024】
衣料品が提供され、この衣料品は、少なくとも1つの柔軟な材料のレイヤと、少なくとも1つの柔軟な材料のレイヤを通して電力および/またはデータ信号を送るための誘導性結合手段と、を有している。柔軟な材料は、かならずしも布地である必要はないが(これは、例えば、プラスチックから製造されたシートまたはフォイルであってよい)、多くのアプリケーションにおいては、衣料品用の材料としては、布地が好ましいであろう。
【0025】
インタフェースが使用される衣料品の内側と外側の間において電力および/またはデータを伝送する能力を有する誘導性衣料インタフェースも提供され、衣料品は、材料レイヤと、誘導性結合手段を有するインタフェースと、を有しており、誘導性結合手段は、材料レイヤに固定されるように設計され、材料レイヤの外側からアクセスできるように設計された第1結合部分を有する第1結合ユニットであって、第1結合部分には、第1結合部分の絶縁材量内に埋め込まれると共に、衣料の内側に配置された内部電気システムと動作可能に接続されるように設計された第1コイルを備える、第1結合ユニットと、第1結合部分と着脱自在に嵌合されるべく設計された第2結合部分を有する第2結合ユニットであって、第2結合部分には、第2結合部分の絶縁材料内に埋め込まれると共に、衣料の外側に配置された外部電気システムと動作可能に接続されるように設計された第2コイルを備える、第2結合ユニットと、を具備しており、第1および第2結合ユニットは、第1および第2結合部分が嵌合された際に、第1および第2コイルが電力および/またはデータの誘導性伝送を実行できるように、設計されている。第1および第2結合ユニットの少なくとも1つは、少なくとも1つの既定のデータ伝送プロトコルにしたがって結合装置を通じて結合されるようにデータ信号を変換するべく設計された電子回路を含んでいる。
【0026】
誘導性結合を利用することにより、その第1コイルが衣服の外側に配置されると共に、その第2コイルがその内側に配置された変圧器により、接触することなしに、エネルギーおよび/またはデータを伝送することができる。
【0027】
本発明は、機能レイヤを具備した衣服との関連において使用可能である。機能レイヤとは、少なくとも1つの関連した特性を衣服に付与する衣服を構成している材料の一部を形成しているレイヤのことである。具体的には、機能レイヤは、液体状態の水に対する不透性を衣服に付与する防水レイヤであってよい。更に有利な機能レイヤは、半透過性レイヤ、すなわち、水蒸気に対しては透過性を有しているが、液体状態の水に対しては不透性を有するメンブレインレイヤであってもよい。このような半透過性機能レイヤは、延伸ポリテトロフルオロエチレンePTFE(expanded polytetrafluoroethylene)から製造可能である。
【0028】
以下、添付の図面を使用し、本発明およびその様々な実施形態の様々な態様について更に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1において、ジャケット10は、本発明による誘導性カプラ20を具備している。ユーザ(図示せず)は、ジャケット10の外側に取り付けられているポケット12内に、ワイヤ14によって誘導性カプラ20と接続された電子装置(図示せず)を保持している。ポケット12内に保持されている電子装置は、例えば、コンピュータ、遠隔計測送信機/受信機ユニット、あるいは、デジタルデータおよび/または音声レコーダであってよい。ジャケット10の内側においては、誘導性カプラ20が、ユーザ(図示せず)の身体上に固定されているセンサ25と、第2ワイヤ23を介して接続されている。センサ25は、例えば、体温センサ、脈拍センサ、または心臓信号センサであってよい。好適な実施形態においては、センサ25の代わりに、ジャケットの内側において使用されるその他の電子コンポーネントを誘導性カプラ20と結合可能である。例えば、センサ25の代わりに、マイクロフォン(図示せず)を使用可能であろう。更に高機能の実施形態においては、複数の電気コンポーネントを誘導性カプラ20に対して接続可能なデジタルバスによって配線23を実現できる。
【0030】
図2を参照すれば、誘導性カプラ20は、ジャケット10の外側において、電子装置32と接続された第1コイル30と、ジャケット10の内側において、少なくとも1つのセンサ25と接続された第2コイル35と、を有している。
【0031】
誘導性カプラ20の基本的な機能は、次の2つである。
【0032】
(a)第1に、第1コイル30が変圧器の1次巻線のように機能するように、第1コイル30に適切な電圧および周波数の交流(AC)を供給し、この結果生じる第1コイル30の交流磁界から、第2コイル35が、変圧器の2次巻線と同様に、エネルギーをピックアップしてカプラ制御ブロック37に供給可能な対応した出力電圧を供給し、これが、このカプラ制御ブロックにおいて整流およびフィルタリングされ、ジャケット10の内側に装着されている電子コンポーネント用の電源電圧として使用される。周波数、電圧、および電流の値は、疎結合の変圧器における通常の規則にしたがってセットアップされている。
【0033】
(b)第2に、ジャケット10の外側に向かって方向付けされた第1コイル30と、ジャケット10の内側に向かって方向付けされている第2コイル35は、電子装置32からセンサ25に対して、並びにこの逆に、情報搬送信号を転送するためのカプラ変圧器としても利用される。電力の供給のために第1コイル30に供給される交流との干渉を回避するように、情報搬送のための交流の周波数は、好ましくは、電力供給のため交流の周波数とは別個にする必要がある。
【0034】
本発明の一実施形態においては、第1および第2コイルは、銅(Cu)線を複数回巻回して製造されており、例えば、第1コイル30は、直径が0.3mmのCu線からなる45回の巻線から製造可能である。第2コイル35は、直径が0.224mmのCu線からなる60回の巻線から製造可能である。一実施形態においては、約14Vの電源電圧が第1コイル30に供給されている。第2コイル35において得られる電圧は、約3Vである。最大負荷時においては、第1コイル30内における電流は、約230mAに到達し、第2コイル35内における対応する電流は、約80mAである。
【0035】
情報搬送信号の転送のために、一実施形態においては、約50kHz〜最大約500kHzのレンジの周波数が使用されている。ただし、その他の実施形態においては、少なくとも約1kHz〜最大数MHzのレンジの周波数を利用可能である。
【0036】
このような周波数レンジの電磁場は、生理学的に無害であると考えられている。実際に、これらの実施形態の機械的および電気的な特性に鑑み、磁気成分が電気成分よりも優勢である。低強度であり、かつ、相対的に低周波数である交流磁界は、健康被害を引き起こさないと考えられている。
【0037】
独国特許出願第19621003号(DE19621003A1)には、電気エネルギーおよび電気情報搬送信号を転送する誘導性カプラが開示されている。この明細書には、誘導性カプラの非常に基本的な原理が記述されており、この内容は、本引用により、本明細書に包含される。
【0038】
結合装置を通じて結合するには、情報搬送データ信号を少なくとも1つの既定のデータ伝送プロトコルにしたがって形成する必要がある。
【0039】
本発明の基本的な実施形態においては、衣服と共に使用される誘導性カプラ20により、単一の情報転送のみが可能である。すなわち、情報は、電子装置32から、ジャケット10の内側に配置されているなんらかの(図示せず)電子コンポーネントに対してのみ、あるいはこの代わりに、更に好適な実施形態においては、ジャケット10の内側のセンサ25からジャケット10の外側に配置されている電子装置に対してのみ、転送可能である。
【0040】
ただし、本発明の更に高機能な実施形態においては、両方の方向における双方向データ転送を実現することが有利である。このような双方向データ転送は、具体的には、次の2つの代替的な原理に応じて実現可能である。
【0041】
(a)周波数の多重ソリューションにおいては、ジャケット10の内側に配置されている電子コンポーネントへのインバウンド信号は、電子装置32に向かって伝播するジャケット10の内側の電子コンポーネントから発生するアウトバウンド信号とは異なるキャリア周波数において搬送される。この周波数多重方式は、同時パラレルデータ転送が可能であるという点において有利であるが、2つの異なるキャリア周波数を処理するには、それぞれの方向ごとに、1つずつ(図示せず)の2つの異なる変調/復調段を備える必要がある。
【0042】
(b)この代わりに、時間多重方式を利用可能である。この場合には、両方のデータ伝送方向の中の1つに対して誘導性カプラを通じた信号経路を交互に提供することにより、半二重動作モードを確立する。この場合には、なんらかの種類の制御スイッチを備えることにより、任意の時点において情報搬送信号のフローの方向を制御しなければならない。
【0043】
本発明と関連し、周波数多重並びに時間多重方式の両方を使用可能である。いずれの場合にも、誘導性カプラ20によって提供される通信リンクのそれぞれの側において、変調、復調、および制御のために、それぞれ、適切な電子ユニット41および42を備えなければならない。
【0044】
既定のデータ伝送プロトコルは、好ましくは、標準的なコンピュータインタフェースのプロトコルと互換性を有することができ、標準的なコンピュータインタフェースは、例えば、RS232、USB(Universal Serial Bus)、およびFirewireからなる群から選択される。
【0045】
次に示すような通常の変調方法のいずれかによって実現可能である。
変調は、例えば、
・振幅変調、
・DSSC(Double Side band Suppressed Carrier)、
QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、およびこれらに類似のものなどの振幅変調の変形、
・周波数変調、
・位相変調、
・ベクトル変調、あるいは、
・デジタル変調
【0046】
また、
・パルス振幅変調、
・パルス周波数変調、
・パルス位相変調、
・パルス幅変調、
・パルス符号変調
からなる方法も使用可能である。
【0047】
又、例えば、PSK(Phase Shift Keying)やASK(Amplitude Shift Keying)などのキーイング法も使用可能である。特に、デジタル信号の場合には、
・QPSK、8PSK、16PSK(複数ビットの同時伝送)、
・QAM(16QAM、32QAM、64QAMなど)(複数ビットの同時伝送)、あるいは、
・DMTまたはOMDF(いくつかのキャリア周波数上における同時伝送)
という規格による変調方法を使用可能である。
【0048】
好適な実施形態においては、第1コイル30から第2コイル35へのデータ伝送のために、周波数シフトキーイング(57.6kHz/115.2kHz)が使用されている。逆方向の場合には、500kHzのキャリア上における振幅変調が利用されている。ただし、その他のパラメータ値でも動作可能である。
【0049】
第1コイル30と第2コイル35間における誘導性結合の効率を向上させるために、強磁性コアを使用することができる。
【0050】
誘導性カプラ20は、必然的に、その近傍に浮遊磁界を生成する。この浮遊磁界は、特に、
(a)浮遊磁界が生成される方向を捕捉するによってジャケット10を着用しているユーザを特定するため、あるいは、
(b)浮遊磁界を遠隔ピックアップすることによって誘導性カプラ20を通過する情報のフローを盗聴することにより、
敵意を有する可能性のある第3者によって利用される可能性がある。
【0051】
したがって、本発明の更に高機能の変形によれば、
(a)誘導性カプラ20およびこれと接続されているすべての配線の強力かつ効果的なTEMPESTシールディング、および
(b)誘導性カプラ20を通過する情報のフローを暗号化することにより、盗聴している第3者にとって浮遊磁界からピックアップされる情報を無価値なものにする暗号化/暗号解読手段を
具備することができる。
【0052】
TEMPESTシールディングは、対応した電磁的および磁気的吸収特性を有する金属材料による誘導性カプラ20のカプセル化(図示せず)を有することができる。又、高機能のソリューションにおいては、例えば、米国特許第5,165,098号(US5,165,098)および米国特許第5,297,201号(US5,297,201)の明細書に開示されているアクティブシールディング法を使用することも可能である。
【0053】
このような並びにこれらに類似した手段により、電磁干渉(EMI)に対する耐性を有する本発明による衣服および/またはインタフェースを提供可能である。
【0054】
又、衣服を形成している織物材料を通じたデータフローの盗聴の試みに対する耐性を有する衣服および/またはインタフェースを提供することも可能である。
【0055】
誘導性カプラ20を通じたデータフローの暗号化は、周知の対称型、非対称型、またはハイブリッド型暗号化法を利用して実行可能である。問題点は、キーの管理である、すなわち、ジャケット10の外側に配置されている電子装置が使用している暗号化キー素材と合致した暗号化キー素材を、ジャケット10の内側に配置されている電子装置に供給する必要がある。これは、適切な暗号化キーを、関係しているそれぞれの電子コンポーネントに対して手動で明示的に入力するか、あるいは、暗号化キー生成および配布プロトコルを利用することにより、実現可能である。適切なプロトコルは、例えば、RSA(非対称型)、Triple−DES(対称型)、またはBlowfishなどである。キー交換は、COMSET方式を使用して実行可能である。その他の要点は、誘導性カプラの信号経路に接続されているすべての電子装置の適切な認証である。認証のためには、Kerberosなどのプロトコルを利用可能である。このような暗号化プロトコルの適切な実装の技術的な詳細について、例えば、Schneier, Bruceによる「Applied Cryptography」(New York、John Wiley & Sons, Inc.、第2版、1996年)を参照されたい。
【0056】
又、高機能な変形においては、例えば、インバウンド電磁放射および/または、例えば近傍の無線送信機から発生する強力な交流磁界、電力変圧器の近傍における強力な交流磁界、並びに、これらに類似したものによる干渉に対して、誘導性カプラ20を強化することができる。軍事アプリケーションの場合には、電磁パルス(EMP)に対して、誘導性カプラ2を強化することも可能である。
【0057】
図3において、参照符号51は、柔軟な材料のレイヤ、例えば布地を示しており、図1のジャケット10は、これから製造されている。誘導性カプラ20の第1実施形態は、ジャケット10の外側に適用される第1カプラ要素20Aと、ジェケット10の内側に適用される第2カプラ要素20Bを有している。両方のカプラ要素20A、20Bは、それぞれ、略同一の場所において、布地の外側と内側に装着される。好ましくは、第1カプラ要素20Aおよび第2カプラ要素20Bは、それぞれ、面ファスナ53A、53Bにより、略同一の場所において、布地51上に取り付けられている。布地51のそれぞれの面には、ベルト55A、55Bが布地の表面上に永久的に、すなわち接着剤によるかまたは縫い目によって(図示せず)、固定されている。それぞれ、対応するベルト55Aおよび55Bと個々にマッチングできるように設計された対応するカウンタパートベルト57A、57Bが、それぞれ、第1および第2カプラ要素20A、20Bの外部極表面21A、21Bに、例えば接着レイヤによって永久的に装着されている。参照符号54Aおよび54Bは、それぞれ、第1カプラ要素24A内および第2カプラ要素24B内のオプションであるフェライトコアを示している。カプラ要素24A、24Bのいずれか、あるいは、これらの両方が、結合効率を向上させるために、強磁性フェライトコアを具備することができる。
【0058】
面ファスナ53A、53Bにより、第1および第2カプラ要素20A、20Bの両方を、それぞれ、布地51の外側と内側に着脱自在に装着可能である。
【0059】
図3に示されている実施形態の電気コンポーネントは、図2に示されているものに対応している。具体的には、第1カプラ要素20Aは、第1コイル30を有しており、第2カプラ要素20Bは、第2コイル35を有し、この両方のコイル30、35が、疎結合の変圧器を形成している。
【0060】
本発明のこの特定の実施形態に伴う利点は、誘導性カプラ20が適用される場所において、布地51を突き通す必要がないという点にある。ただし、磁界が布地を透過しなければならないことから、この種の構造の電気的な効率は、第1カプラ要素20Aと第2カプラ要素20Bが結合する場所において、布地51が突き通される様々な構造の電気的な効率よりも多少低いものとなる。
【0061】
図3に示されている実施形態においては、第2結合ユニット20Bは、それぞれ、機能レイヤまたはラミネートの一面に対して配置された周辺ショルダ部90を有しており、周辺カウンタ装置91が、ショルダ部に周辺においてオーバーラップし、柔軟な材料のレイヤ51のもう一方の面に対して配置されると共に、機能レイヤがショルダ部90とカウンタ装置91の間において防水性を有してクランプされるように第2結合ユニット20Bに固定されている。
【0062】
図4は、図1に示されている本発明によるジャケット10の第2実施形態の断面を示している。この実施形態においては、ジャケット10の柔軟な材料のレイヤまたは柔軟な布地51は、円形のエリア51Aにおいて突き通されている。第2カプラ要素20Bは、例えば、布地51の内側の接着レイヤ(図示せず)によって取り付けられている。第2カプラ要素20Bは、その上部に第1カプラ要素20Aを取り付け可能な円筒形の突出部61を有している。
【0063】
図4に示されている実施形態の電気コンポーネントは、図2および図3に示されているものに対応している。具体的には、第1カプラ要素20Aは、第1コイル30を有しており、第2カプラ要素20Bは、第2コイル35を有し、この両方のコイル30、35が、疎結合の変圧器を形成している。
【0064】
この実施形態においては、磁束が布地を透過する必要はない。したがって、このバージョンは、エネルギーと信号搬送の観点において、相対的に効率的なものにすることができる。
【0065】
参照符号54Aおよび54Bは、それぞれ、第1カプラ要素24A内および第2カプラ要素24B内のオプションであるフェライトコアを示している。カプラ要素24A、24Bのいずれかまたはこれらの両方が、結合効率を向上させるべく、強磁性フェライトコアを具備可能である。
【0066】
図4に示されている実施形態においては、第2結合ユニット20Bは、柔軟な材料のレイヤ51の一面に対して配置された周辺ショルダ部90を有している。第2結合ユニット20Bは、内部セクションを形成しているプラットフォーム92と、プラットフォーム92から収容開口部51Aを通じて延長して外部セクションを形成していると共に、その内部に第2コイル35を埋め込んでいる突出部93を具備しており、ショルダ部90が、プラットフォーム92から突出部93への遷移部位に形成されている。第1結合要素20Aは、第2結合要素20Bの突出部に被さるように設計されたフード形状の部分72を有しており、フード形状の部分72が第2結合要素20Bの突出部に被さった際に、半径方向において第2コイル35に隣接する位置において、第2コイル35をその内部に埋め込んでいる。
【0067】
図5は、図4に示されている誘導性カプラ20の変形を示している。特記しない限り、参照符号は、図4と同様のものを示す。具体的には、図5aは、このカプラ20の断面を示しており、図5bは、その対応する透視図を示している。
【0068】
図5に示されている実施形態においては、第2結合ユニット20Bは、柔軟な材料のレイヤ51の一面に対して配置された周辺ショルダ部90を有している。第2結合要素20Bは、内部セクションを形成しているプラットフォーム92と、このプラットフォーム92から収容開口部51Aを通じて延長して外部セクションを形成すると共に、第1コイル35をその内部に埋め込んでいる突出部93を具備しており、ショルダ部90が、プラットフォーム92から突出部93への遷移部位に形成されている。第1結合要素20Aは、第2結合要素20Bの突出部に被さるように設計されたフード形状の部分72を有しており、フード形状の部分72が第2結合要素20Bの突出部に被さった際に、第2コイル35に半径方向において隣接する位置において、第1コイル30をその内部に埋め込んでいる。
【0069】
図5に示されている誘導性カプラ20は、特定の機械的特性の観点において機能強化されている。
【0070】
図3に示されている実施形態の電気コンポーネントは、図2、図3、図4に示されているものに対応している。具体的には、第1カプラ要素20Aは、第1コイル30を有しており、第2カプラ要素20Bは、第2コイル35を有し、この両方30、35が、疎結合の変圧器を形成している。
【0071】
第2カプラ要素20Bは、その内部に円周溝71が形成された円筒形係合セクション70を有している。フード形状の部分72は、第2カプラ要素20Bの円筒形係合セクション70と嵌合するべく設計されている。フード形状の部分72は、その内側に、第2カプラ要素20Bの円筒形係合セクション70の溝71に対応した溝73を有している。溝73には、第1および第2カプラ要素20A、20Bの両方のスナップイン固定を提供するスプリング要素75が提供されている。
【0072】
実施形態のさらに高機能なバージョンにおいては、第2カプラ要素20Bは、その底部に、電気回路(図示せず)、具体的には、電子ユニット42を形成するようにその上部に取り付けられるすべての必要なコンポーネントを有する印刷回路基板を収容するように設計されたチャンバ81を有している。
【0073】
その他の変形例(図示せず)においては、電子ユニット41は、第1カプラ要素20A内に配置可能である。
【0074】
代替変形例においては、第1および第2カプラ要素20A、20Bは、その他の手段、例えば、ねじ止め手段、スナップイン部材、永久磁石などによって、固定可能である。
【0075】
本発明の実施形態は、水蒸気に対しては透過性を有しているが液体状態の水に対しては不透性を有するある種のメンブレイン(例えば、微細孔を有するePTFE(expanded polytetrafluoroethylene)から製造されている)を具備する機能強化された織物材料からなる衣服10を提供することにより、更に機能強化可能である。しばしば、この種のメンブレインは、液体状態の水の導入がユーザに大きな不快感を引き起こす衣服10の内側への環境からの液体状態の水の浸入を遮断しつつ、同時に、衣服10を着用しているユーザから放出される汗の蒸発を許容するべく、利用されている。好適な実施形態においては、機械的な影響を受けやすい傾向を有するメンブレインは、複数のレイヤのラミネートの形態で利用されている。一実施形態においては、衣服10の外側を形成している布地は、メンブレインラミネートのレイヤの中の1つと同一である。更に好適な実施形態においては、メンブレインは、その一面が第1布地によってカバーされ、他面が第2布地によってカバーされており、これらのレイヤが全体として3レイヤラミネートを形成しており、この3レイヤラミネートが衣服10の内側に挿入されている。
【0076】
カプラ要素20A、20Bの1つが接着剤によって衣服10の布地に接着されている本発明の実施形態においては、メンブレインラミネートを衣服10の内側、すなわち、ユーザの身体に対向する衣服10の面に備えることができる。カプラ要素20A、20Bが衣服10の布地の切り抜き開口部の周辺部において接着固定されている実施形態においては、液体状態の水が衣服10の内側の空間内に浸入できないようにするべく、要素が衣服10の布地に接着されるエリアには、防水性を付与しなければならない。
【0077】
好ましくは、これは、適切な接着剤と、接着剤を適用する適切な方法とを選択することによって保証可能である。好適な実施形態においては、衣服10は、ポリウレタン接着剤によるか、フッ素ポリマーを有する接着剤によるか、シリコーン接着剤によるか、または反応性ホットメルト接着剤によって第2カプラ20Bに接着されたメンブレインラミネートを有している。反応性ホットメルト接着剤とは、高温において、溶解した液体として適用可能であると共に、反応させることにより、機能強化された接着および密封特性を有する溶解不能な熱硬化性プラスチックポリマーに変化させることができる接着剤またはシーラントである。
【0078】
図6は、本発明にしたがって、衣服10を形成している柔軟な材料のレイヤ51を有するラミネートに接着された第2カプラ要素20Bの断面を示している。柔軟な材料のレイヤ51は、機能レイヤ94と組み合わせられることによってラミネートを形成している。接着剤は、参照符号95によって示されている。第2カプラ要素20Bのショルダ部90は、接着剤95によって機能レイヤ94に装着されている。尚、図示のラミネートは、2つのレイヤしか具備していないが、その他の実施形態は、更に多くのレイヤを有するラミネートを使用可能である。参照符号35は、第2コイルを示している。この特定のケースにおいては、第2カプラ要素20Bの全般的な形状は、図4に示されているものと同一であるが、その変形を利用することも可能である。この種の接着剤に基づいた接続は、具体的には、図5に示されている実施形態にも適用可能であることに留意されたい。
【0079】
本発明との関連において、好ましくは、その液体状態における接着剤が、メンブレインレイヤに直接接着するように、メンブレインラミネートの布地レイヤを確実に通るように、低粘度の接着剤が利用される。又、低粘度の接着剤を使用することにより、接着剤によるメンブレインレイヤ内の微細孔の充填が促進され、この結果、接着剤による接合が更に丈夫なものとなる。好適な接着剤が、それ自体で十分に小さな粘度の値を具備しているか、あるいは、例えば、加熱することにより、接着剤を低粘度状態に変更可能である。
【0080】
別の有利な選択肢は、カプラへの接着剤による接合に使用される布地レイヤが、溶解可能なファイバ(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド)から製造されているメンブレインラミネートを提供する方法である。カプラを取り付ける際に、溶解可能なファイバを加熱することができ、カプラを布地に機械的に加圧することにより、接合を得ることができる。ただし、この技術は、溶解不能なファイバ、例えば消防士またはこれに類似した者用の衣服10に使用されるアラミドファイバが使用されている場合には、機能しない。その他の改善は、異なる材料から製造されたいくつかのストランドから構成されている糸から製織した布地をメンブレインラミネート内に使用することによって得ることができる。例えば、この糸は、溶解可能な材料の少なくとも1つのストランドと、溶解不能な材料から製造された少なくとも1つのストランドを有することができよう。このような糸を使用することにより、結果的に得られるメンブレインラミネートが、機械的に熱に対する耐性を有すると共に、加熱された際に接着可能となることが保証される。
【0081】
メンブレインラミネートを有する衣服10にカプラを固定するために、クランピングプレートを利用する際には、液体状態の水が、カプラとメンブレインラミネート布地の間の接触エリアを衣服10の内側にまで侵入できないように、接触圧力を十分大きなものにしなければならない。機械的には、これは、対応するカプラ要素20A、20B上の2つの対応したねじ山を利用することによって実現可能である。更に好適な実施形態においては、メンブレインラミネートの布地と個々のカプラ要素20A、20Bの加圧表面の間に、シーラントを施している。
【0082】
以上において説明した変形の実施形態は、装着された電気ネットワーキング装置を容易に取り外し可能なタイプから構成されている。
【0083】
特に、衣服の水密性を有する実施形態は、過酷なまたは危険な環境内において、あるいは、場合によっては、水中の条件下においても、使用可能である。衣服の材料として同一の条件において洗濯可能な本発明による衣服を得ることも可能である。
【0084】
以上において様々な実施形態と共に開示したすべての特徴を1つに組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明による誘導性カプラを有する衣服を示している。
【図2】本発明による誘導性カプラを有する衣服と関連して使用する回路の適切な実施を示す概略電気回路図を示している。
【図3】本発明による誘導性カプラを有する衣服の第1実施形態の断面図を示している。
【図4】本発明による誘導性カプラを有する衣服の第2実施形態の断面図である。
【図5】図4に示されている誘導性カプラの変形例を示しており、具体的には、図5aは、このカプラの断面を示しており、図5bは、その対応する透視図を示している。
【図6】本発明にしたがって衣服を形成する柔軟な材料を有するラミネートに接着された第2カプラ要素の断面を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)柔軟な材料の少なくとも1つのレイヤ(51)と、
(b)前記柔軟な材料の少なくとも1つのレイヤ(51)を通して電力および/またはデータ信号を送る誘導性結合手段(20)と、
を有する衣料品(10)。
【請求項2】
前記柔軟な材料の少なくとも1つのレイヤは、織物布地を有する請求項1記載の衣料品(10)。
【請求項3】
前記柔軟な材料の少なくとも1つのレイヤ(1)は、水蒸気に対しては透過性であるが液体状態の水に対しては不透性である防水機能レイヤを有する請求項2記載の衣料品(10)。
【請求項4】
前記防水機能レイヤは、ポリテトラフルオロエチレンメンブレインを有する請求項3記載の衣料品(10)。
【請求項5】
前記誘導性手段(20)は、
(a)前記柔軟な材料のレイヤ(51)に装着されており、前記柔軟な材料のレイヤ(51)の外側からアクセス可能な第1結合部分を有する第1結合ユニット(20A)であって、前記第1結合部分には、前記第1結合部分の絶縁材料内に埋め込まれていると共に、前記衣料(10)の外側に配置された外部電気システムと動作可能に接続される第1コイル(30)を備える、第1結合ユニット(20A)と、
(b)前記柔軟な材料のレイヤ(51)に装着されており、前記第1結合部分と着脱自在に嵌合されるべく設計された第2結合部分を有する第2結合ユニット(20B)であって、第2結合部分には、前記第2結合部分の絶縁材料内に埋め込まれていると共に、前記衣料(10)の内側に配置された内部電気システムと動作可能に接続される第2コイル(35)を備える、第2結合ユニットと(20B)、
を有し、
(c)前記第1および第2結合ユニットは、前記第1および第2結合部分が結合する際に、前記第1および第2コイル(30、35)が電力および/またはデータの誘導性の伝送を実行する請求項1〜4のいずれか1項記載の衣料品(10)。
【請求項6】
前記第1結合ユニット(20A)および前記第2結合ユニット(20B)は、前記柔軟な材料のレイヤ(51)において着脱自在に固定されている請求項5記載の衣料品(10)。
【請求項7】
前記第1結合ユニット(20A)および前記第2結合ユニット(20B)は、面ファスナ(53A、53B)によって前記柔軟な材料のレイヤ(51)において着脱自在に固定されている請求項6記載の衣料品(10)。
【請求項8】
前記第2結合ユニット(20B)は、前記柔軟な材料のレイヤ(51)において永久的に固定されている請求項5記載の衣料品(10)。
【請求項9】
前記第1結合ユニット(20A)は、前記柔軟な材料のレイヤ(51)において着脱自在に固定されている請求項8記載の衣料品(10)。
【請求項10】
前記第1結合ユニット(20A)は、前記柔軟な材料のレイヤ(51)において面ファスナ(53A)によって着脱自在に固定されている請求項9記載の衣料品(10)。
【請求項11】
前記柔軟な材料のレイヤ(51)には、前記第2結合ユニット(20B)を収容する収容開口部(51A)を有する請求項5記載の衣料品(10)。
【請求項12】
前記第2結合ユニット(20B)は、前記結合ユニット(20B)が前記収容開口部(51A)内に収容された際に、前記柔軟な材料のレイヤ(51)の内部表面から延長する内部セクションと、前記柔軟な材料のレイヤ(51)の外部表面から延長する外部セクションと、を備える請求項11記載の衣料品(10)。
【請求項13】
前記衣料品(10)の少なくとも一部において前記柔軟な材料のレイヤ(51)を裏打ちしている防水機能レイヤ(94)を有し、
前記柔軟な材料のレイヤ(51)には、前記第2結合ユニット(20B)を収容する収容開口部(51A)を有し、
前記機能レイヤ(94)には、前記柔軟な材料のレイヤ(51)の前記収容開口部(51A)とアライメントされた収容開口部を有し、
前記第2結合ユニット(20B)は、前記機能レイヤ(94)との関係において防水性を有するように前記機能レイヤ(94)の前記収容開口部内において固定されている請求項1記載の衣料品(10)。
【請求項14】
前記柔軟な材料のレイヤ(51)および前記機能レイヤは、少なくとも2つのラミネートレイヤを備えるラミネートのコンポーネントである請求項13記載の衣料品(10)。
【請求項15】
前記第1結合ユニット(20A)と前記ラミネートの間の前記防水性の接続は、防水性接着剤によって実現される請求項14記載の衣料品(10)。
【請求項16】
前記第2結合ユニット(20B)は、それぞれ、機能レイヤまたはラミネートの一面に対して配置された周辺ショルダ部(90)と、前記ショルダ部に周辺においてオーバーラップしており、それぞれ、前記機能レイヤまたはラミネートのもう一方の面に対して配置される周辺カウンタ装置(91)であって、前記機能レイヤが前記周辺ショルダ部(90)と前記周辺カウンタ装置(91)の間において防水性を有してクランプされるように、前記第2結合ユニット(20B)に固定される周辺カウンタ装置(91)と、を有する請求項11〜15のいずれか1項記載の衣料品(10)。
【請求項17】
(a)前記第2結合ユニット(20B)は、前記内部セクションを形成しているプラットフォーム(92)と、前記プラットフォーム(92)から前記収容開口部(51A)を通じて延長して前記外部セクションを形成しており、かつ、その内部に前記第2コイル(35)を埋め込んでいる突出部(93)と、を備え、前記ショルダ部(90)は、前記プラットフォーム(92)ら前記突出部(93)への遷移部位に形成され、
(b)前記第1結合ユニット(20A)は、前記第2結合ユニット(20B)の前記突出部に被さるように設計され、かつ、フード形状の部分(72)が前記第1結合ユニットの前記突出部に被さった際に、前記第1コイル(30)に半径方向において隣接する位置において、その内部に前記第2コイル(35)を埋め込んでいる前記フード形状の部分(72)を有する請求項11〜15のいずれか1項記載の衣料品(10)。
【請求項18】
前記第2結合ユニット(20B)の前記突出部(93)および前記第1結合ユニット(20A)の前記フード形状の部分(72)は、それぞれ、円筒形を備えている請求項17記載の衣料品。
【請求項19】
前記第2結合ユニット(20B)の前記プラットフォーム(92)は円筒形であり、前記突出部(93)の円筒直径を上回る直径を備え、
前記ショルダ部(90)は、大きな直径から小さな直径への遷移部位に形成され、
前記カウンタ装置(91)は、リング形状である請求項17記載の衣料品(10)。
【請求項20】
前記リング形状のカウンタ装置(91)は、前記円筒形の突出部(93)にねじ止めされる請求項19記載の衣料品(10)。
【請求項21】
前記第1結合ユニット(20A)および前記第2結合ユニット(20B)は、ねじメカニズムによって着脱自在に互いに接続される請求項5〜20のいずれか1項記載の衣料品(10)。
【請求項22】
前記第1結合ユニット(20A)および前記第2結合ユニット(20B)は、スナップメカニズムによって着脱自在に互いに接続される請求項5〜20のいずれか1項記載の衣料品(10)。
【請求項23】
前記第1結合ユニット(20A)および前記第2結合ユニット(20B)は、永久磁石によって着脱自在に互いに接続される請求項5〜20のいずれか1項記載の衣料品(10)。
【請求項24】
前記第1および第2結合ユニット(20A、20B)の中の少なくとも1つは、少なくとも既定のデータ伝送プロトコルにしたがって前記結合装置(20)を通じて結合されるようにデータ信号を変換する電子回路(41、42)を含む請求項5〜23のいずれか1項記載の衣料品(10)。
【請求項25】
インタフェース(20)が使用される衣料品(10)の内側と外側の間において電力および/またはデータを伝送する能力を有する前記誘導性衣料インタフェース(20)において、
前記衣料品(10)は、柔軟な材料のレイヤ(51)と、誘導性結合手段(20A、20B)を有する前記インタフェース(20)と、を有しており、
前記誘導性結合手段(20A、20B)は、
(a)前記柔軟な材料のレイヤ(51)に固定され、かつ、前記柔軟な材料のレイヤ(51)の外部からアクセスできるように設計された第1結合部分を有する第1結合ユニット(20A)であって、前記第1結合部分には、前記第1結合部分の絶縁材料内に埋め込まれていると共に、前記衣料品(10)の外側に配置された外部電気システムと動作可能に結合される第1コイル(30)を備える、第1結合ユニット(20A)と、
(b)前記第1結合部分と着脱自在に嵌合される第2結合部分を有する第2結合ユニット(20B)であって、前記第2結合部分は、前記第2結合部分の絶縁材料内に埋め込まれていると共に、前記衣料品(10)の内側に配置された内部電気システムと動作可能に接続される第2コイル(35)を備える、第2結合ユニット(20B)と、
を有し、
(c)前記第1および第2結合ユニット(20A、20B)は、前記第1および第2結合部分が嵌合された際に前記第1および第2コイルが電力および/またはデータの前記誘導性の伝送を実行できるように設計されており、
(d)前記第1および第2結合ユニット(20A、20B)の中の少なくとも1つは、少なくとも1つの既定のデータ伝送プロトコルにしたがって前記結合手段を通じて結合されるようにデータ信号を変換する電子回路を含む、誘導性衣料インタフェース(20)。
【請求項26】
前記第2結合ユニット(20B)は、前記柔軟な材料のレイヤ(51)内に提供された収容開口部(51A)によって収容される請求項25記載のインタフェース(20)。
【請求項27】
前記第2結合ユニット(20B)は、前記結合ユニット(20B)が前記柔軟な材料のレイヤ(51)の前記収容開口部内に収容された際に、前記柔軟な材料のレイヤ(51)の内部表面から延長するように設計された内部セクションと、前記柔軟なレイヤ(51)の外部表面から延長するように設計された外部セクションと、を備えている請求項26記載のインタフェース(20)。
【請求項28】
第2結合ユニット(20B)は、防水機能レイヤの前記収容開口部内において防水性を有するように固定されるように設計され、衣料品(10)の前記柔軟な材料のレイヤ(51)には、前記防水機能レイヤが、前記衣料品(10)の少なくとも一部に備えられている請求項25〜27のいずれか1項記載のインタフェース(20)。
【請求項29】
前記第2結合ユニット(20B)は、防水性接着剤によって前記機能レイヤとの前記防水性の接続を実現する請求項28記載のインタフェース(20)。
【請求項30】
前記第2結合ユニット(20B)は、それぞれ、前記機能レイヤまたはラミネートの一面に対して配置される周辺ショルダ部(90)と、前記ショルダ部(90)に周辺においてオーバーラップし、それぞれ、前記機能レイヤまたはラミネートのもう一方の面に対して配置され、かつ、前記機能レイヤが前記ショルダ部(90)とカウンタ装置(91)の間において防水性を有してクランプされるように前記第1結合ユニット(20B)に固定される前記周辺カウンタ装置(91)と、を有する請求項28記載のインタフェース(20)。
【請求項31】
(a)前記第2結合ユニット(20B)は、前記内部セクションを形成しているプラットフォーム(92)と、前記プラットフォーム(92)から前記収容開口部(51A)を通じて延長して前記外部セクションを形成し、かつ、前記第2コイル(35)をその内部に埋め込んでいる突出部(93)と、を備え、前記ショルダ部(90)は、前記プラットフォーム(92)から前記突出部(93)への遷移部位に形成され、
(b)前記第1結合ユニット(20A)は、前記第2結合ユニット(20B)の前記突出部に被さるようにされ、かつ、フード形状の部分(72)が前記第2結合ユニット(20B)の前記突出部に被さった際に、前記第2コイル(35)に半径方向において隣接する位置において、前記第1コイル(30)をその内部に埋め込んでいるフード形状の部分(72)を有する請求項27〜30のいずれか1項記載のインタフェース(20)。
【請求項32】
前記第2結合ユニット(20B)の前記突出部と前記第1結合ユニット(20A)の前記フード形状の部分(72)は、それぞれ、円筒形を備えている請求項31記載のインタフェース(20)。
【請求項33】
前記第2結合ユニット(20B)の前記プラットフォーム(92)は円筒形であり、前記突出部(93)の円筒直径を上回る直径を具備しており、前記ショルダ部(90)は、前記大きな直径から前記小さな直径への遷移部位に形成されており、前記カウンタ装置(91)はリング形状である請求項32記載のインタフェース(20)。
【請求項34】
前記リング形状のカウンタ装置(91)は、前記円筒形状の突出部(93)にねじ止めされている請求項33記載のインタフェース(20)。
【請求項35】
前記第1結合ユニット(20A)および第2結合ユニット(20B)は、ねじ機構によって着脱自在に互いに接続可能である請求項25〜34のいずれか1項記載のインタフェース(20)。
【請求項36】
前記第1結合ユニット(20A)および前記第2結合ユニット(20B)は、スナップ機構によって着脱自在に互いに接続可能である請求項25〜34のいずれか1項記載のインタフェース(20)。
【請求項37】
前記第1結合ユニット(20A)および前記第2結合ユニット(20B)は、永久磁石によって着脱自在に互いに接続可能である請求項25〜34のいずれか1項記載のインタフェース(20)。
【請求項38】
衣料品(10)の柔軟な材料のレイヤ(51)を通して電力および/またはデータ信号を送る請求項25〜38のいずれか1項記載のインタフェースの使用法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2008−514829(P2008−514829A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533927(P2007−533927)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【国際出願番号】PCT/EP2005/010388
【国際公開番号】WO2006/037507
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】