説明

誘導機器

【課題】第1のコア、及び第2のコアに巻回されたコイルを同一方向から冷却し易く、且つ容易に製造できる誘導機器を提供すること。
【解決手段】フェライトからなる第1L型コア12と、ダスト材からなり第1L型コア12と共に閉磁路を形成する第2L型コア13と、を備えたリアクトル10であって、第1L型コア12は放熱板11により冷却される接触面15aと、接触面15aと交差し且つ第1L型コア12に向かう方向に沿って延びるように形成される壁部16とを有し、第2L型コア13は、接触面15aと交差し且つ第1L型コア12に向かう方向に沿って延びる脚部18を有し、この脚部18にはコイル14が巻回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リアクトルやトランスといった誘導機器には、フェライトコアやダストコアが採用されている。フェライトコアでは、コア間に空気ギャップを設けることで直流重畳特性を確保できるものの、この空気ギャップにより磁束の損失が発生する。一方、ダストコアでは、ダスト材の透磁率が低いことに伴って、コイルの巻回数を大きくする必要があり、銅損が大きくなり易いという問題がある。このような問題に対して、フェライトコア及びダストコアを組み合わせた複合コアを備えた誘導機器が提供されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、四角枠状をなすフェライトコアに対して、コイルが巻回され平板状をなすI型ダストコアを組み付けた構成とされている。このような構成により、特許文献1では、空気ギャップを設けることなく直流重畳特性を確保しつつ、コイルの巻回数の増加を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−278025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フェライトコア及びダストコアを組み合わせた複合コアでは、フェライトコアの飽和磁束密度が温度に依存して変化するため、フェライトコアを冷却器などに固定して冷却することが望ましい。
【0006】
しかしながら、特許文献1において、フェライトコアの開口部を省略してその断面積を拡大しつつ、ダストコアの挿入側とは反対側の面を冷却器に固定する場合、フェライトコアとともにコイルを冷却するには、ダストコア側にも冷却手段を設ける必要があり、構成が複雑となる虞がある。
【0007】
また、特許文献1において、フェライトコアの側面を冷却器に固定する場合には、フェライトコアを固定した冷却器側からコイル端面を冷却できるものの、コイルを巻回したダストコアを側方からフェライトコアに組み付ける必要があり、簡便に製造できるとは言い難い。
【0008】
本発明は、上記従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、第1のコア、及び第2のコアに巻回されたコイルを同一方向から冷却し易く、且つ容易に製造できる誘導機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、フェライトからなる第1のコアと、前記フェライトよりも透磁率が低く且つ飽和磁束密度が高い材料からなり、前記第1のコアと共に閉磁路を形成する第2のコアと、を備えた誘導機器であって、前記第1のコアは、冷却手段により冷却される冷却面と、前記冷却面と交差し且つ前記第2のコアに向かう方向に沿って延びるように形成された第1の磁脚と、を有し、前記第2のコアは、前記冷却面と交差し且つ前記第1のコアに向かう方向に沿って延びるように形成された第2の磁脚を有し、前記第2の磁脚にはコイルが巻回されることを要旨とする。
【0010】
これによれば、第1のコアの第1の磁脚は、冷却面と交差し且つ第2のコアに向かう方向に沿って延びるように形成される一方で、第2のコアの第2の磁脚は、第1のコアの冷却面と交差し且つ第1のコアに向かう方向に沿って延びるように形成される。このため、第2のコア側から冷却面側に向かう一方向からの作業により、第2のコアを第1のコアに組み付けることができる。そして、第1のコアの冷却面に交差し且つ第1のコアに向かう方向に沿って延びる第2の磁脚にコイルが巻回されることから、コイルを冷却面(第1のコア)側に配置しやすくできる。すなわち、第1のコアとともにコイルを同一方向(第1のコア側)から冷却し易くできる。したがって、第1のコア、及び第2のコアに巻回されたコイルを同一方向から冷却し易く、且つ容易に製造できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の誘導機器において、前記閉磁路において磁束が流れる方向と直交する方向の断面積は、前記第2の磁脚と比較して前記第1のコアのほうが大きいことを要旨とする。
【0012】
これによれば、コイルが巻回される第2の磁脚は、第1のコアと比較して閉磁路において磁束が流れる方向と直交する方向の断面積が小さくなっている。このため、第2の磁脚に巻回されるコイルの巻線長さを短くできる。そして、この様な構成であっても、第2のコアがフェライトよりも飽和磁束密度が大きい材料から形成されていることから、第2の磁脚において磁束が飽和することを抑制できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の磁性コアにおいて、前記第1のコア及び前記第2のコアは、単一の磁脚を有するL型コアであることを要旨とする。
これによれば、第1のコア及び第2のコアを何れもL型コアとすることにより、各コアの構成を簡略化して容易に製造することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁性コアにおいて、前記第2のコアは、前記コイルによって前記第2の磁脚の延びる方向と交差する方向への移動が規制されていることを要旨とする。
【0015】
これによれば、第2のコアは、コイルによって第2の磁脚が延びる方向と交差する方向への移動が規制される。したがって、専用部材を用いることなく第2のコアの移動を規制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1のコア、及び第2のコアに巻回されたコイルを同一方向から冷却し易く、且つ容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は、リアクトルの模式正面図、(b)は、リアクトルの模式平面図、(c)は、リアクトルの模式右側面図。
【図2】図1(a)のA−A線模式断面図。
【図3】別の実施形態におけるリアクトルの模式正面図。
【図4】別の実施形態におけるリアクトルの模式正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1にしたがって説明する。
図1(a)〜(c)に示すように、本実施形態において、誘導機器としてのリアクトル10は、例えばアルミニウムなどからなる冷却手段(冷却器)としての放熱板11に固定されている。以下の説明では、便宜上、放熱板11と平行な方向を前後方向(矢印Y1に示す)とするとともに、放熱板11と平行で且つ前後方向と直交する方向(矢印Y2に示す)を左右方向とし、さらに放熱板11に対して垂直な方向を上下方向(矢印Y3に示す)と示すものとする。
【0019】
本実施形態のリアクトル10は、放熱板11の上面に対して、例えば接着により固定される第1のコアとしての第1L型コア12と、この第1L型コアに対して上側から組み付けられる第2のコアとしての第2L型コア13と、第2L型コア13に巻回されるコイル14とから構成されている。本実施形態では、第1L型コア12、及び第2L型コア13により磁性コアCが形成されている。
【0020】
第1L型コア12は、例えばMnZn系材料やNiMn系材料などのフェライトからなるフェライトコアとされている。第1L型コア12には、平面視で左右方向に沿って延びる長方形平板状をなす平板部15が設けられおり、この平板部15の下面は、放熱板11に接触(接着)される接触面15aとされている。
【0021】
また、平板部15の上面において、左側に配置される一方の側縁部(端部)には、接触面15a(放熱板11)と直交し、且つ第2L型コア13に向かう方向(上方向)に沿って延びるように形成された壁部16が設けられている。壁部16は、平板部15において前後方向に沿った全幅にわたって形成されている。このため、本実施形態の第1L型コア12は、平板部15及び壁部16により、その全体として平板状の部材を上方に向けて直角に屈曲させた正面視L字型をなすL型コアとされている。
【0022】
また、第2L型コア13は、表面を絶縁性の樹脂材料で被覆(コーティング)した例えばFe−Al−Si系材料などの粉末(ダスト材)を加圧成形して形成したダストコア(圧粉コア)とされている。ここで、第2L型コア13を形成するダスト材は、フェライトより透磁率が低く、且つ飽和磁束密度が高い。
【0023】
第2L型コア13には、平面視で長方形平板状をなすとともに、第1L型コア12の平板部15と平行に配置される平板部17が設けられている。この平板部17の下面(第1L型コア12側に配置される面)において、左側に配置される一方の側縁部(端部)には、前述した第1L型コア12における壁部16の先端面が接している。
【0024】
また、第2L型コア13において、右側に配置される他方の側縁部(端部)には、接触面15a(放熱板11)と直交し、且つ第1L型コア12(接触面15a)に向かう方向(下方向)に沿って延びるように形成された四角柱状の脚部18が設けられている。
【0025】
脚部18の先端面は、第1L型コア12の平板部15の上面(第2L型コア13側に配置される面)において、右側に配置される他方の側縁部(端部)に接している。また、脚部18は、第1L型コア12の壁部16と平行をなす。このように、本実施形態の第2L型コア13は、平板部17及び脚部18により、その全体として平板状の部材を下方に向けて直角に屈曲させた正面視L字型をなすL型コアとされている。
【0026】
図2に示すように、第2L型コア13の平板部17において、その長手方向(左右方向)の中央で切断した場合の断面積は、第1L型コア12の平板部15において、その長手方向(左右方向)の中央で切断した場合の断面積、及び第1L型コア12の壁部16において上下方向に直交する方向の断面積よりも小さく設定されている。同様に、第2L型コア13の脚部18において上下方向に直交する方向の断面積は、第1L型コア12の平板部15において、その長手方向(左右方向)の中央で切断した場合の断面積、及び第1L型コア12の壁部16において上下方向に直交する方向の断面積よりも小さく設定されている。
【0027】
また、図1に示すように、第2L型コア13は、第1L型コア12の前後方向における中央において、左右方向に延びるように配置されている。したがって、本実施形態の磁性コアCは、第1L型コア12及び第2L型コア13を組み合わせることで、正面視で四角枠状(環状)をなしている。なお、本実施形態の第2L型コア13は、第1L型コア12のように放熱板11に固定されておらず、冷却手段に非接触とされている。
【0028】
第2L型コア13の脚部18には、例えばポリ塩化ビニールなどの絶縁性樹脂で被覆した銅線からなるコイル14が巻回されている。換言すれば、第2L型コア13は、脚部18をコイル14に挿通させた状態で第1L型コア12に組み付けられている。また、本実施形態において放熱板11には、コイル14(上方)に向かって突出するコイル支持部11aが設けられており、コイル14は、コイル支持部11aの上面に接するように、且つ移動不能に固定されている。なお、本実施形態のコイル14の巻回数(ターン数)は1回とされている。本実施形態において、第2L型コア13は、コイル14に脚部18を挿通させるように配置されていることから、脚部18の延びる方向と交差する前後方向及び左右方向への移動がコイル14により規制されている。
【0029】
本実施形態のリアクトル10では、図1(a)における矢印Y4に示すように、コイル14への通電に伴って脚部18→平板部17→壁部16→平板部15→脚部18…のように、又はその逆方向に磁束が流れる閉磁路が形成されることになる。すなわち、第2L型コア13は、第1L型コア12と共に閉磁路を形成するとともに、第1L型コア12の壁部16、及び第2L型コア13の脚部18は、それぞれ他方のコアとの間で磁路を形成するための単一の磁脚となる。
【0030】
また、本実施形態では、第2L型コア13によって形成される磁路長さが上述した閉磁路の磁路長さの好ましくは50%未満とされている。そして、第2L型コア13の平板部17及び脚部18は、閉磁路において磁束が流れる方向と直交する方向の断面積が第1L型コア12よりも小さく設定されることになる。
【0031】
次に、リアクトル10の形成方法(製造方法)について図1にしたがって説明する。
最初に、第1L型コア12を放熱板11の上方から放熱板11に接着して固定する。次に、第1L型コア12の平板部15において、第2L型コア13の脚部18が配置される位置に対応し、且つ放熱板11のコイル支持部11aにその下面が接するように第1L型コア12(放熱板11)の上方からコイル14を配置し、固定する。
【0032】
続けて、第1L型コア12に対して、脚部18をコイル14に挿通させつつ第1L型コア12(放熱板11)の上方から第2L型コア13を組み付けてリアクトル10が完成される。このように、本実施形態では、放熱板11に対する第1L型コア12、第2L型コア13、及びコイル14の組み付けを、全て第2L型コア13側から接触面15a(放熱板11)に向かう一方向からの作業で行うことができる。
【0033】
次に、リアクトル10の作用について説明する。
コイル14、第1L型コア12、及び第2L型コア13は、コイル14への通電によって磁束が発生し、これに伴って発熱する。コイル14で発生した熱は、放熱板11に設けられたコイル支持部11aに伝達され、放熱板11から放熱される。すなわち、コイル支持部11a(放熱板11)とコイル14とは、熱的に接続されるとともに、コイル14は、コイル支持部11a(放熱板11)により冷却される。
【0034】
また、第1L型コア12で発生した熱は、第1L型コア12から接触面15aを介して放熱板11へ伝達され、放熱される。すなわち、本実施形態において、第1L型コア12は、接触面15aを介して放熱板11と熱的に接続されるとともに、放熱板11によって冷却される。したがって、接触面15aは、放熱板11により冷却される冷却面として機能する。
【0035】
また、第2L型コア13で発生した熱は、第1L型コア12を介して放熱板11へ伝達され、放熱される。すなわち、本実施形態において、第2L型コア13は、第1L型コア12を介して放熱板11と熱的に接続されるとともに、放熱板11によって冷却される。このように、本実施形態では、特に第1L型コア12、及びコイル14の冷却を第1L型コア12(放熱板11)側の同一方向から容易に行うことができる。
【0036】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、第1L型コア12の壁部16は、冷却面となる接触面15aと交差し且つ第2L型コア13に向かう方向に沿って延びるように形成される一方で、第2L型コア13の脚部18は、第1L型コア12の接触面15aと交差し且つ第1L型コア12に向かう方向に沿って延びるように形成される。このため、一方向(第2L型コア13側)からの作業により、第2L型コア13を第1L型コア12に組み付けることができる。そして、第1L型コア12の接触面15aに交差し且つ第1L型コア12に向かう方向に沿って延びる脚部18にコイル14が巻回されることから、コイル14を放熱板11(第1L型コア12)側に配置しやすくできる。すなわち、第1L型コア12及びコイル14を第1L型コア12側の同一方向から冷却し易くできる。したがって、第1L型コア12、及び第2L型コア13に巻回されたコイル14を同一方向から冷却し易く、且つ容易に製造できる。
【0037】
(2)コイル14が巻回される脚部18は、第1L型コア12と比較して閉磁路において磁束が流れる方向と直交する方向の断面積が小さくなっている。このため、巻回数を同一とした場合に脚部18に巻回されるコイル14の巻線長さを短くすることができる。そして、この様な構成であっても、第2L型コア13がフェライトよりも飽和磁束密度が大きいダスト材から形成されていることから、脚部18において磁束が飽和することを抑制できる。
【0038】
(3)第1L型コア12、及び第2L型コア13は、何れも単一の磁脚を有するL型コアとされている。したがって、各コアの構成を簡略化して容易に製造することができる。
(4)第2L型コア13は、コイル14によって脚部18の延びる方向と交差する方向への移動が規制されている。このため、第2L型コア13の移動を規制するための専用部材を設けることなく第2L型コア13の移動を規制することができる。
【0039】
(5)フェライトからなる第1L型コア12を放熱板11に固定している。したがって、第1L型コア12を放熱板11により効率的に冷却し、飽和磁束密度が変化することを抑制できる。
【0040】
(6)フェライトからなる第1L型コア12と、ダスト材からなる第2L型コア13とを組み合わせて磁性コアCを形成した。したがって、第2L型コア13をU型コアに置き換えた構成と比較して、第2L型コア13による磁路長さを短くし、リアクトル10のインダクタンスを向上できる。その一方で、第1L型コア12をI型コアに置き換えた構成と比較して、第1L型コア12による磁路長さが長くなるものの、前述のようにフェライトの透磁率が高いことによりリアクトル10のインダクタンスの低下が抑制される。したがって、本実施形態では、組み付け性や冷却し易さを確保しつつ、インダクタンスを向上させることができる。
【0041】
(7)ダスト材は、フェライトと比較して一般に高価である。本実施形態では、第2L型コア13をL型コアとすることにより、U型コアとする場合と比較してダスト材の使用量を削減し、コストダウンを図ることができる。
【0042】
(8)また、本実施形態では、放熱板11に固定される第1L型コア12をL型コアとし、且つ平板部15に対応させてコイル14を配置していることから、例えば第1L型コア12に代えてE型コアを採用した場合のように、コイル14の配設位置が放熱板11に固定したコアによって特定位置に規制されることがない。したがって、コイル14を容易に配設することができる。そして、コイル14を配設した後に、脚部18を有する第2L型コア13を配設することが可能であり、第2L型コア13を容易に組み付けることができる。例えば、第1L型コア12を平板状のI型コアとすることにより、コイル14の配設位置の自由度を高め、コイル14の組み付け性をさらに向上させることも考えられる。しかしながら、この場合には、閉磁路の全体に占める第2L型コア13の磁路長さが長くなることに伴って磁束の透過率が低下し、第2L型コア13の断面積を大きくする必要が生じる。このため、却ってコイル14の巻線長さを短くすることができない。本実施形態では、第1L型コア12及び第2L型コア13を何れもL型コアとすることにより、このような問題を好適に解決している。
【0043】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 図3において二点鎖線で示すように、第1L型コア12の接触面15a及び壁部16の側面が交差する角部に対して、前後方向に沿った全幅にわたって傾斜面21a(所謂C面)や、円弧面22a(所謂R面)を設けてもよい。同様に、第2L型コア13の上面及び脚部18の側面が交差する角部に対して、前後方向に沿った全幅にわたって傾斜面21bや、円弧面22bを設けてもよい。
【0044】
○ 図3に示すように、第1L型コア12は、左右方向の両端に一対の磁脚としての壁部16を有するU型コアとしてもよく、第2L型コア13は、左右方向の両端に一対の脚部18を有するU型コアとしてもよい。この場合、第1L型コア12及び第2L型コア13のうち何れかをL型コアとしてもよい。但し、リアクトル10の製造を簡便にする観点からは、上記実施形態のように構成することが好ましい。
【0045】
○ 図4に示すように、第1L型コア12における壁部16の先端側の側面に対し、第2L型コア13における平板部17の端面が接するように構成してもよい。すなわち、第1L型コア12、及び第2L型コア13では、磁脚となる壁部16、及び脚部18の先端側で他方(相手側)のコアと接するようにすればよい。ただし、第1L型コア12に対する第2L型コア13の組み付け時の安定性を向上させる観点からは、上記実施形態のように構成することが好ましい。
【0046】
○ 第2L型コア13における脚部18の先端側の側面に対し、第1L型コア12における平板部15の端面が接するように構成してもよい。すなわち、第1L型コア12、及び第2L型コア13では、磁脚となる壁部16、及び脚部18の先端側で他方(相手側)のコアと接するようにすればよい。ただし、第1L型コア12に対する第2L型コア13の組み付け時の安定性を向上させる観点からは、上記実施形態のように構成することが好ましい。
【0047】
○ 第1L型コア12の壁部16は、接触面15a(放熱板11)に対して傾斜するように形成されていてもよい。すなわち、壁部16は、接触面15aと交差し且つ前記第2L型コア13に向かう方向に沿って延びるように形成されておればよい。この場合、壁部16は、平板部15に対して直角をなすように形成されていなくてもよい。
【0048】
○ 第2L型コア13の脚部18は、接触面15a(放熱板11)に対して傾斜するように形成されていてもよい、すなわち、脚部18は、接触面15aと交差し且つ第1L型コア12に向かう方向に沿って延びるように形成されておればよい。この場合、脚部18は、平板部17に対して直角をなすように形成されていなくてもよい。
【0049】
○ コイル14の巻回数は、2回以上としてもよい。また、コイル14は、はんだ付けによって回路基板などに支持された平面コイルとしてもよい。この場合は、コイル14と脚部18との間に、絶縁性を有する材料からなる部品(規制部材)を介在させて第2L型コア13の移動を規制してもよい。
【0050】
○ 第2L型コア13は、コイル14によって移動が規制されない構成としてもよい。この場合、第2L型コア13は、第2L型コア13を第1L型コア12に向かって付勢するホルダなどにより固定するとよい。
【0051】
○ 放熱板11上に複数のリアクトル10を配置した誘導機器(電子機器)としてもよい。例えば、放熱板11に対して特定個(但し複数個)のリアクトル10を形成する場合には、まず、第1L型コア12を特定個、放熱板11に接着する。続けて、少なくとも特定個のコイル14を設けた単一の回路基板を、各第1L型コア12の平板部15に対して各コイル14がそれぞれ対応されるように配設する。その後、コイル14毎に脚部18を挿通させつつ第2L型コア13を順次組み付けることで、各リアクトル10が完成される。このような構成によれば、第1L型コア12に代えてE型コアなどを放熱板11に固定する構成と比較して、単一の回路基板上に設けられたコイル14を容易に配設し、複数個のリアクトル10を効率的に形成することができる。なお、複数個のリアクトルのうち一部又は全部を複数のコイル14を備えたトランスとして構成してもよい。
【0052】
○ 第1L型コア12は、放熱板11とは異なる冷却手段により冷却してもよい。例えば、リアクトル10を収容するケースに対して第1L型コア12を密着させることにより、ケースを冷却手段として機能させてもよく、冷媒を第1L型コア12に吹き付けることにより冷媒を冷却手段として機能させてもよい。
【0053】
○ 第2L型コア13は、表面を絶縁性の樹脂材料で被覆(コーティング)した金属ガラスの粉末を加圧成形して形成してもよい。
○ 第1L型コア12における壁部16、及び第2L型コア13における脚部18の形状は、円柱状など適宜変更してもよい。同様に、第1L型コア12における平板部15、及び第2L型コア13における平板部17の形状は、平面視で六角形など適宜変更してもよい。
【0054】
○ 第1L型コア12における壁部16と第2L型コア13との間や、第2L型コア13における脚部18と第1L型コア12との間に例えば磁性を有するペーストやシートを介在させてもよい。すなわち、上記実施形態のように直接的に接している場合のほか、他部材を介して間接的に接していてもよい。
【0055】
○ 複数のコイル14を備えた誘導機器としてのトランスに適用してもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(a)前記第1の磁脚は、その先端側において前記第2のコアと接しており、前記第2の磁脚は、その先端側において前記第1のコアと接していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の誘導機器。
【符号の説明】
【0056】
10…リアクトル(誘導機器)、11…放熱板(冷却手段)、12…第1L型コア(第1のコア)、13…第2L型コア(第2のコア)、14…コイル、15a…接触面(冷却面)、16…壁部(第1の磁脚)、18…脚部(第2の磁脚)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェライトからなる第1のコアと、前記フェライトよりも透磁率が低く且つ飽和磁束密度が高い材料からなり、前記第1のコアと共に閉磁路を形成する第2のコアと、を備えた誘導機器であって、
前記第1のコアは、冷却手段により冷却される冷却面と、前記冷却面と交差し且つ前記第2のコアに向かう方向に沿って延びるように形成された第1の磁脚と、を有し、
前記第2のコアは、前記冷却面と交差し且つ前記第1のコアに向かう方向に沿って延びるように形成された第2の磁脚を有し、前記第2の磁脚にはコイルが巻回されることを特徴とする誘導機器。
【請求項2】
前記閉磁路において磁束が流れる方向と直交する方向の断面積は、前記第2の磁脚と比較して前記第1のコアのほうが大きいことを特徴とする請求項1に記載の誘導機器。
【請求項3】
前記第1のコア及び前記第2のコアは、単一の磁脚を有するL型コアであることを特徴とする請求項1または2に記載の誘導機器。
【請求項4】
前記第2のコアは、前記コイルによって前記第2の磁脚の延びる方向と交差する方向への移動が規制されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の誘導機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−89774(P2013−89774A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229129(P2011−229129)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)