誘電体バリア放電ランプ及び紫外線照射装置
【課題】放電管と当該放電管の外周面に押圧接触される電極との密着性を向上させる。
【解決手段】放電用ガスが封入された放電管21と、放電管21の外周面21aに互いに対向して設けられる一対の電極22A、22Bと、一対の電極22A、22Bを外周面21aに押圧して弾性変形した状態で接触させる一対の押圧部材23A、23Bと、一対の押圧部材23A、23Bが一対の電極22A、22Bを外周面21aに接触した状態で、一対の押圧部材23A、23Bの長手方向両端部が固定される一対の固定ブロック24A、24Bとを備え、一対の押圧部材23A、23Bが一対の電極22A、22Bから離間した状態において、各押圧部材23A、23Bにおける中央部接触面23Xが、外側部接触面23Yよりも、押圧方向に向かって膨出している。
【解決手段】放電用ガスが封入された放電管21と、放電管21の外周面21aに互いに対向して設けられる一対の電極22A、22Bと、一対の電極22A、22Bを外周面21aに押圧して弾性変形した状態で接触させる一対の押圧部材23A、23Bと、一対の押圧部材23A、23Bが一対の電極22A、22Bを外周面21aに接触した状態で、一対の押圧部材23A、23Bの長手方向両端部が固定される一対の固定ブロック24A、24Bとを備え、一対の押圧部材23A、23Bが一対の電極22A、22Bから離間した状態において、各押圧部材23A、23Bにおける中央部接触面23Xが、外側部接触面23Yよりも、押圧方向に向かって膨出している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体バリア放電ランプ及びこの誘電体バリア放電ランプを用いた紫外線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の誘電体バリア放電ランプは、特許文献1に示すように、放電管の上面にベタ電極又はメッシュ電極が配置され、下面にメッシュ電極が配置されている。そして、その下面が光を取り出すための光取り出し領域とされており、下面に配置されたメッシュ電極の網目の隙間から紫外線を射出する構成とされている。このため、光取り出し領域から射出された光の一部がメッシュ電極の網目に遮光されてしまい光透過率が低下してしまうという問題がある。
【0003】
このようなことから、本出願人は、放電管における光取り出し領域の光透過率を向上させるために、長尺状の放電管と一対の電極とを有し、前記放電管における長手方向に沿った外周面の一部を光取り出し領域とし、前記一対の電極を、放電管の外周面の周方向において一対の電極の間に光取り出し領域が位置するようにそれぞれ配置したものを考えている。そして、本出願人は、一対の電極に板ばねを使用し、当該板ばねを押圧部材により前記外周面に弾性変形させて密着させることで、放電管に蒸着等により電極を形成する手間やコストを低減することを考えている。ここで、電極を弾性変形させて密着させる押圧部材は、その長手方向両端部が放電管の両端部を収容する絶縁碍子にねじ止めされることにより、絶縁碍子に固定される構成とされている。
【0004】
しかしながら、この押圧部材は、弾性変形した電極から弾性復帰力(反発力)を受けるため、押圧部材はこの反発力によって外側に湾曲して変形してしまう。具体的には、絶縁碍子に固定されている押圧部材の両端部(固定端部)では反発力による変形は小さいが、その両端部から離れるほど、すなわち放電管の長手方向中央部に行くほど前記反発力による押圧部材自体の弾性変形が大きくなる。そうすると、放電管の長手方向中央部における板ばねの押さえが甘くなってしまい、放電管の長手方向中央部と電極との密着性が悪くなるという問題がある。
【0005】
そして、電極の密着性が悪くなる結果、放電管の長手方向中央部の光強度が低下してしまうという問題が生じる。また電極の密着性が悪い部分(放電管の長手方向中央部)では電極と放電管との間にマイクロスパッタが生じてしまい、放電管が失透するだけでなく、その部分で応力集中が生じて早期破損につながってしまう。さらにマイクロスパッタによりパーティクルが発生し、例えば、放電管の光射出側前方に設けられた前面ガラスの透過率低下、絶縁部材の絶縁性能低下、又は、ランプ自体の光強度低下を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−287418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであって、放電管と当該放電管の外周面に押圧接触される電極との密着性を向上させることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る誘電体バリア放電ランプは、放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、前記一対の押圧部材が前記一対の電極から離間した状態において、前記各押圧部材における前記放電管の長手方向中央部に電極を接触させる中央部接触面が、前記放電管の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極を接触させる外側部接触面よりも、前記電極を前記放電管に押圧する押圧方向に向かって膨出していることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、中央部接触面が外側部接触面よりも押圧方向に向かって膨出しているので、押圧部材の長手方向両端部を固定ブロックに固定した状態において、中央部接触面及び外側部接触面が放電管の外周面に沿って略直線状となり、押圧部材の長手方向中央部において電極の反発力により生じる変位が相殺されて、放電管の長手方向中央部の外周面と電極との密着性を向上させることができる。これにより、放電管の長手方向中央部の光強度の低下を防ぎ、長手方向に沿って均一な光強度を得ることができる。また、放電管の長手方向に亘って放電管と電極との間に生じるマイクロスパッタを抑制することができ、放電管の失透やパーティクルの発生等を防止することができる。
【0010】
前記中央部接触面が前記外側部接触面よりも押圧方向に向かって膨出している具体的な構成としては、前記外側部接触面が、長手方向外側に行くに連れて前記押圧方向と反対側に傾斜する傾斜面であることを特徴とすることが望ましい。これならば、押圧部材の長手方向外側部を切り欠く等の加工を施すだけで良く、押圧部材の製造を簡単にすることができる。
【0011】
このとき、前記中央部接触面が長手方向に沿った平坦面であることが望ましい。これならば、押圧部材の製造をより簡単にすることができる。
【0012】
その他の具体的な構成としては、前記各押圧部材における前記放電管に電極を押圧する接触面が、前記押圧方向に向かって膨出した湾曲状とされていることが望ましい。これならば、湾曲状の曲率を調節することによって、押圧部材の長手方向両端部を固定ブロックに固定した状態において電極を長手方向に沿って均一な押圧力で接触させることができるようになる。
【0013】
前記押圧部材が電極の反発力によりその長手方向中央部が撓んでしまうという課題が顕著になるものとしては、前記一対の電極が、概略平板状の板ばねであり、前記押圧部材が、当該板ばねをその長手方向に直交する幅方向に湾曲させるものであることが考えられる。このように概略平板状の板ばねを押圧する押圧部材に本発明を適用することで本発明の効果を一層顕著にすることができる。
【0014】
前記押圧部材が、長手方向の断面形状が概略C字形状をなすものであり、前記電極が、前記押圧部材のC字開口端面により前記外周面に押圧されるものであることが望ましい。これならば、C字開口端面により概略平板状の板ばねが湾曲されつつ放電管の外周面に押圧されることから、電極の長手方向に沿った各側辺部を放電管の外周面により確実に接触させることができる。
【0015】
前記一対の押圧部材が、前記一対の電極に外部からの電圧を印加するものであることが望ましい。これならば、別途電極に電圧を印加するための部品が不要となり、放電管への電極の接触と当該電極への給電とを同一部材により構成することができる。
【0016】
また本発明に係る誘電体バリア放電ランプは、放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、前記各押圧部材において、前記放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分の機械的強度が、前記放電管の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極を押圧する部分の機械的強度よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
このようなものであれば、押圧部材において、放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分の機械的強度を放電管の長手方向外側部に電極を押圧する部分の機械的強度よりも大きくしているので、押圧部材の両端部を固定ブロックに固定した状態において、放電管の長手方向中央部が電極の反発力により変形しにくくなり、電極の密着性を向上させることができる。これにより、放電管中央部の照度低下を防ぎ長手方向に沿って均一な光強度を得ることができる。また、放電管の失透やパーティクルの発生の原因となるマイクロスパッタを防止することができる。
【0018】
さらに本発明に係る誘電体バリア放電ランプは、放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、前記各押圧部材が、当該各押圧部材における前記放電管の長手方向中央部に前記電極を押圧する部分の変形を抑制する変形抑制部を有することを特徴とする。
【0019】
このようなものであれば、各押圧部材が、放電管の長手方向中央部に前記電極を押圧する部分の変形を抑制する変形抑制部を有するので、押圧部材の両端部を固定ブロックに固定した状態において、放電管の長手方向中央部が電極の反発力により変形しにくくなり、電極の密着性を向上させることができる。これにより、放電管中央部の照度低下を防ぎ長手方向に沿って均一な光強度を得ることができる。また、放電管の失透やパーティクルの発生の原因となるマイクロスパッタを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した本発明によれば、放電管と当該放電管の外周面に押圧接触される電極との密着性を向上させることができ、放電管と電極との密着が甘くなることにより生じる様々な問題点を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態のランプユニットを示す平面図である。
【図2】同実施形態の誘電体バリア放電ランプを示す平面図及び固定ブロックの拡大図である。
【図3】同実施形態の誘電体バリア放電ランプを示す正面図である。
【図4】同実施形態の誘電体バリア放電ランプを示す断面図である。
【図5】同実施形態の電極の平面図である。
【図6】同実施形態の誘電体バリア放電ランプの部品展開図及び組立図である。
【図7】同実施形態の押圧部材を示す正面図、側面図及び平面図である。
【図8】同実施形態の固定ブロックの取り付け部分を示す模式図である。
【図9】同実施形態の接続金具の展開図である。
【図10】本発明の押圧部材を固定した状態と従来の押圧部材を固定した状態を示す模式図である。
【図11】変形実施形態の押圧部材を示す平面図である。
【図12】変形実施形態の押圧部材を示す平面図である。
【図13】変形実施形態の押圧部材を示す平面図である。
【図14】変形実施形態の押圧部材を示す平面図である。
【図15】変形実施形態の押圧部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る紫外線照射装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る紫外線照射装置は、半導体基板又はガラス基板等の被処理物に紫外線を照射することにより当該被処理物の表面に付着した有機物を分解してこれを除去することで、被処理物を洗浄するものである。この紫外線照射装置は、図1に示す1又は複数のランプユニット100を有するものであり、このランプユニット100は、複数本(例えば10本)の誘電体バリア放電ランプ2と、これら複数の誘電体バリア放電ランプ2をその長手方向が互いに平行且つ等間隔となるように保持してユニット化し、それら複数の誘電体バリア放電ランプ2に給電する給電部材3とを有する。
【0024】
なお、給電部材3は、平面視において概略コの字状をなす第1の給電部材3A及び第2の給電部材3Bを有する。これら第1の給電部材3A及び第2の給電部材3Bは、アルミ合金、ステンレス等の導電性材料から形成されており、各自由端部が絶縁部材4を介して互いに接続されることにより平面視概略矩形枠状となる。
【0025】
第1の給電部材3Aは、交流電圧を印加する電源装置の高電圧端子側に電気的に接続されるとともに、誘電体バリア放電ランプ2の一方の固定ブロック24Aがねじ固定により電気的に接続される。一方、第2の給電部材3Bは、電源装置のアース端子側に電気的に接続されるとともに、誘電体バリア放電ランプ2の他方の固定ブロック24Bがねじ固定により電気的に接続される。このように第1の給電部材3A及び第2の給電部材3Bにより、複数の誘電体バリア放電ランプ2の一端及び他端それぞれを支持してユニット化する構成として、誘電体バリア放電ランプ2の撓みを可及的に小さくし、ランプユニット100の機械的強度を大きくするとともに、ランプユニット100の取り扱いを容易にしている。
【0026】
誘電体バリア放電ランプ2は、図2〜図4に示すように、放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管21と、一対の電極22A、22Bと、一対の押圧部材23A、23Bと、一対の固定ブロック24A、24Bとを有する。以下、各部について詳述する。
【0027】
放電管21は、合成石英ガラス製の円筒の両端を閉じた断面円形状の丸管である。また、放電管21の内部に形成された放電空間には誘電体バリア放電用ガスが充填されている。なお、誘電体バリア放電用ガスとしては、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)等の希ガス、或いは、フッ素(F2)又は塩素(Cl2)等のハロゲンガス等を用いることができる。誘電体バリア放電ランプ2は、ガスの種類に応じて異なる波長(172nm、222nm、308nm等)のエキシマ光を発光する。例えば有機化合物を分解するためには、放電用ガスとしてキセノン(Xe)を用いて、172nmを中心波長とするエキシマ光を発光する誘電体バリア放電ランプ2とする。
【0028】
一対の電極22A、22Bは、放電管21の長手方向に沿った外周面21aに弾性変形した状態で接触して互いに対向して設けられる長尺状をなすものである。具体的に各電極22A、22Bは、放電管21と略同等の長さを有する平板状の板ばねであり、放電管21における光を取り出すための光取り出し領域21Pを周方向の両側から挟む位置に設けられている(図4参照)。本実施形態では、放電管21の中心軸に対して対称となる位置に設けられている。この電極22A、22Bの素材としてはリン青銅、ステンレス、ベリリウム銅など、導電性を有するものであれば良いが、特に耐食性の高い材質が好ましく、本実施形態では、厚さが約0.03mmのステンレス製の板ばねを用いている。
【0029】
本実施形態の電極22A、22Bは、特に図5に示すように、長手方向と直交する幅方向に形成された複数のスリット221、222を有する。このスリット221、222は、電極22A、22Bの長手方向に沿った側辺部及び中央部分に、それぞれ複数形成されている。これらのスリット221、222は、電極22A、22Bが熱膨張した際に、当該熱膨張分をスリット221、222により形成される間隙に逃がして、熱膨張により電極22A、22B全体が膨張して変形し、放電管21の外周面21aとの密着性が低下することを防止する。なお、図5における符号223は、電極22A、22Bが後述する押圧部材23A、23Bに対してずれることを防止するずれ防止部として機能する突起である。この突起223は、略直角に折り曲げられて、押圧部材23A、23Bの溝231内に差し込まれる(図6参照)。
【0030】
そして、この各電極22A、22Bは、図6に示すように、対応する各押圧部材23A、23Bにより放電管21の外周面21aに押圧されることによって、放電管21の外周面21aに沿うように弾性変形して放電管21の外周面21aに接触する。
【0031】
一対の押圧部材23A、23Bは、図2〜図4及び図7等に示すように、前記一対の電極22A、22Bを放電管21の外周面21aに押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなすものである。具体的に各押圧部材23A、23Bは、放電管21の長手方向に沿って延びる棒状の部材であり、放電管21の外周面21aに対向する対向面に長手方向に沿った溝231が開口形成されている。また、各押圧部材23A、23Bの長手方向両端部には、後述する固定ブロック24A、24Bにねじ固定するための貫通孔23Hが形成されている(図7参照)。本実施形態の押圧部材23A、23Bは、長手方向の断面形状が概略C字形状をなすものであり、より詳細には、長手方向の断面形状が概略コの字形状をなすものである。なお、押圧部材23A、23Bとして、ステンレス製のものを用いれば、アルマイト処理が不要であり、例えば鏡保持用等に使用される汎用のCチャンネルを利用すれば更にコストを低減することができる。
【0032】
このような構成の押圧部材23A、23Bは、そのC字開口端面23xが電極22A、22Bの長手方向に沿った各側辺部に接触して放電管21の外周面21a側に押圧する(図6参照)。そして、一対の押圧部材23A、23Bは、電極22A、22Bを放電管21に押圧した状態で、その長手方向両端部が、貫通孔23Hにより一対の固定ブロック24A、24Bにねじ固定される(図2等参照)。
【0033】
一対の固定ブロック24A、24Bは、図2等に示すように、放電管21の長手方向両端部を収容するとともに、当該放電管21の外周面21aに一対の電極22A、22Bを押圧した状態の一対の押圧部材23A、23Bの長手方向両端部が固定されるものである。具体的に各固定ブロック24A、24Bは、平面視において概略矩形状をなすものであり、例えばセラミックス等の絶縁性材料から形成されている。そして、各固定ブロック24A、24Bは、図2の固定ブロック拡大図及び図4に示すように、誘電体バリア放電ランプ2の端部が装着される面である前面に誘電体バリア放電ランプ2の端部を収容する放電管収容部241を有する。この放電管収容部241は、誘電体バリア放電ランプ2の外形形状に対応した断面略円形状をなす凹部である。
【0034】
また各固定ブロック24A、24Bは、放電管収容部241を挟む左右側壁部分に、前記一対の押圧部材23A、23Bそれぞれがねじ固定される押圧部材固定部242が形成されている。この押圧部材固定部242は、固定ブロック24A、24Bの左右側面に押圧方向に沿って形成された雌ねじ孔(不図示)を有する。この雌ねじ孔は、押圧部材23A、23Bの貫通孔23Hを通された固定ねじN1が螺合されるものである。なお、この固定ねじN1により押圧部材23A、23Bを固定ブロック24A、24Bに締結固定することで、押圧部材23A、23BのC字開口端面23xが電極22A、22Bを放電管21の外周面21aに押圧接触させる。
【0035】
さらに固定ブロック24A、24Bの後端部243には、給電部材3A、3Bにねじ固定するための固定ねじN2が挿入される貫通孔24Hが形成されている。この貫通孔24Hは、固定ねじN2の雄ねじ部よりも大きい開口面積を有する孔であり、本実施形態では、放電管21の長手方向に沿って延びる長孔である。そして、この貫通孔24Hに挿入された固定ねじN2が給電部材3A、3Bに形成された雌ねじ部に螺合される。これにより、固定ブロック24A、24Bが給電部材3A、3Bにねじ固定される。なお、後端部243の上面及び下面はいずれも平坦面である。
【0036】
そしてこのように構成された誘電体バリア放電ランプ2は、図1又は図8に示すように、給電部材3A、3Bに対して放電管21の長手方向に直交する方向(図8では上方)からねじ止めされる。このとき、貫通孔24Hが放電管の長手方向に沿った長孔とされていることから、誘電体バリア放電ランプ2の取り付け精度や加工公差により、誘電体バリア放電ランプ2の長手方向寸法にばらつきがあったとしても、そのばらつきが貫通孔24Hにより吸収されて確実に給電部材3A、3Bにねじ止めすることができる。
【0037】
また、給電部材3A、3Bからの電圧を押圧部材23A、23Bを介して電極22A、22Bに印加するために、固定ブロック24A、24Bは、図2等に示すように、給電部材3A、3B及び押圧部材23A、23Bを電気的に接続する接続金具5を有する。
【0038】
この接続金具5は、図9に示すように、展開した状態において概略T字形状をなすものであり、固定ブロック24A、24Bの後端部243の上面及び下面に接触して後端部243を挟むように設けられる概略コの字状に折り曲げられた挟み部51と、当該挟み部51の中央部から略垂直に延出した延出部52とを有する。そして、延出部52には、押圧部材23A、23Bを固定ブロック24A、24Bに固定するための固定ねじN1が挿入される貫通孔52Hが形成されている。この接続金具5は、押圧部材23A、23Bを固定ブロック24A、24Bに固定する際に、固定ねじN1により共締めされて、押圧部材23A、23Bと電気的な接触が確保される。また、接続金具5の挟み部51は、図8に示すように、固定ブロック24A、24Bの後端部243の上面及び下面を挟むように配置される。また、この挟み部51には、固定ブロック24A、24Bに設けられた貫通孔24Hに対応して当該貫通孔H24と概略同一形状の貫通孔(長孔)51Hが形成されている。そして、固定ブロック24A、24Bを給電部材3A、3Bにねじ止めする際に、固定ブロック24A、24Bの下面にある挟み部51の下部51aが給電部材3A、3Bと面接触して電気的な接触が確保される。また固定ブロック24A、24Bの上面にある挟み部51の上部51bは固定ねじN2と接触し、当該固定ねじN2が給電部材3A、3Bに接触していることから、挟み部51の上部51bにおいても電気的な接触が確保される。
【0039】
そして、図1に示すように、一対の電極22A、22Bのうち一方の電極22Aが、誘電体バリア放電ランプ2の一端部に装着される固定ブロック24Aにより、電源装置の高電圧端子側に電気的に接続されて高電圧印加側電極となり、一対の電極22A、22Bのうち他方の電極22Bが、誘電体バリア放電ランプ2の他端部に装着される固定ブロック24Bにより電源装置のアース端子側に電気的に接続されてアース側電極となる。なお、隣接する誘電体バリア放電ランプ2間の放電を防止するため、隣接する誘電体バリア放電ランプ2の高電圧印加側電極22A同士又はアース側電極22B同士を向かい合うように配置している。
【0040】
しかして本実施形態の誘電体バリア放電ランプ2における各押圧部材23A、23Bは、図7に示すように、一対の電極22A、22Bから離間した状態、つまり、放電管21に電極22A、22Bを押圧する前の状態(外力を受けない自然状態)において、当該各押圧部材23A、23Bにおける放電管21の長手方向中央部に電極22A、22Bを接触させる中央部接触面23Xが、放電管21の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極22A、22Bを接触させる外側部接触面23Yよりも、電極22A、22Bを放電管21に押圧する押圧方向に向かって膨出するように構成されている。
【0041】
本実施形態では、押圧部材23A、23Bの電極22A、22B側を向く側面、つまりC字開口端面23xにおいて、放電管21の長手方向中央部に電極22A、22Bを接触させる中央部接触面23Xが、放電管21の長手方向外側部(長手方向中央部以外の部分であって放電管収容部241に収容されない部分)に電極22A、22Bを接触させる外側部接触面23Yよりも、押圧方向に向かって膨出するように構成されている。
【0042】
具体的に押圧部材23A、23Bの中央部接触面23Xは、押圧部材23A、23Bの長手方向に沿った平坦面であり、外側部接触面23Yは、長手方向外側に行くに連れて押圧方向とは反対側に傾斜する傾斜面である。つまり、押圧部材23A、23Bの外側部接触面23Yを有する長手方向外側部は、平面視において、C字開口端23xが長手方向外側に向かって下がり勾配を有するようにその幅が縮小するように構成されている。なお、この外側部接触面23Yを形成する長手方向外側部よりもさらに外側に長手方向両端部に貫通孔23Hが形成されており、この長手方向両端部が固定ブロック24A、24Bにねじ固定される。
【0043】
ここで、押圧部材23A、23Bにおける中央部接触面23Xである平坦面及び外部接触面23Yである傾斜面の長手方向寸法又は傾斜面の傾斜角度は、放電管21の長手方向寸法、放電管21の有効照射幅、電極22A、22Bの弾性復帰力を決める要因である厚みや幅寸法などの形状又は材質、或いは、押圧部材23A、23Bの機械的強度を決める要因である形状又は材質などによって定められる。
【0044】
このように構成した押圧部材23A、23Bの両端部を固定ブロック24A、24Bにねじ固定することによって、押圧部材23A、23Bの中央部接触面23Xが電極22A、22Bを放電管21の外周面21aに密着させつつ、押圧部材23A、23Bの長手方向外側部が放電管21側に変形して、押圧部材23A、23Bの外側部接触面23Yが放電管21の外周面21aに電極22A、22Bを密着させる。つまり、押圧部材23A、23Bを固定ブロック24A、24Bに固定させた状態において、押圧部材23A、23Bの電極接触面23s(中央部接触面23X及び外側部接触面23Y)は略直線状となり、電極22A、22Bの長手方向全体に亘って放電管21の外周面21aに密着された状態となる。この押圧部材23A、23Bに形成された傾斜面23Yにより、押圧部材23A、23Bの長手方向中央部の変形による変位が相殺されて、押圧部材23A、23Bの長手方向中央部の変形に関わらず、放電管21の外周面21aに電極22A、22Bを密着させることができる。なお、図10は、従来の押圧部材を用いた場合に比較して、本実施形態の押圧部材23A、23Bを用いた場合に、放電管の長手方向中央部の外周面と電極との密着性が向上していることを示す模式図である。
【0045】
このように構成した本実施形態に係る紫外線照射装置によれば、中央部接触面23Xが外側部接触面23Yよりも押圧方向に向かって膨出しているので、押圧部材23A、23Bの長手方向両端部を固定ブロックに固定した状態において、中央部接触面23X及び外側部接触面23Yが放電管21の外周面21aに沿って略直線状となり、押圧部材24A、24Bの長手方向中央部において電極22A、22Bの反発力により生じる変位が相殺されて、放電管21の長手方向中央部の外周面21aと電極22A、22Bとの密着性を向上させることができる。これにより、放電管21の長手方向中央部の光強度の低下を防ぎ、長手方向に沿って均一な光強度を得ることができる。また、放電管21の長手方向に亘って放電管21と電極22A、22Bとの間に生じるマイクロスパッタを抑制することができ、放電管21の失透やパーティクルの発生等を防止することができる。
【0046】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態の押圧部材は、長手方向両端部が傾斜面を有するものであったが、図11に示すように、押圧部材23A、23Bの長手方向中央部の幅寸法よりも長手方向外側部の幅寸法が小さくなるように構成された段形状をなすものであっても良い。このようなものであっても、押圧部材23A、23Bの長手方向中央部の変形による変位を相殺して、放電管の外周面に電極を密着させることができる。なお、図11では、長手方向中央部と長手方向外側部とからなる2段形状であったが、その他、3段以上の多段形状としても良い。
【0047】
また、図12に示すように、押圧部材23A、23Bの電極接触面23sが、平面視において、押圧方向に向かって膨出した湾曲状に形成されても良い。このようなものであっても、押圧部材の長手方向中央部の変形による変位を相殺して、放電管の外周面に電極を密着させることができる。また、電極接触面23sの曲率を調節することによって、電極を長手方向に沿って均一な押圧力で接触させることができるようになる。
【0048】
さらに、図13に示すように、押圧部材全体を押圧方向に向かって膨出した屈曲状又は湾曲状とすることで、放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分を、放電管の長手方向外側部に電極を押圧する部分よりも、押圧方向に向かって膨出するように構成しても良い。
【0049】
その上、各押圧部材において、放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分の機械的強度が、放電管の長手方向両端部に電極を押圧する部分の機械的強度よりも大きくなるように構成しても良い。例えば、図14に示すように、押圧部材の長手方向中央部の幅寸法(押圧方向に沿った寸法)を、長手方向両端部の幅寸法よりも大きくすることで、長手方向中央部の押圧方向に沿った変形に対する機械的強度を、長手方向両端部の押圧方向に沿った変形に対する機械的強度よりも大きくすることが考えられる。なお、この場合、押圧部材の電極接触面23sは全体が平坦面とされている。
【0050】
加えて、各押圧部材23A、23Bが、当該各押圧部材23A、23Bにおける少なくとも長手方向中央部の変形を抑制する変形抑制部232を有するものであっても良い。この変形抑制部232としては、例えば、図15に示すように、押圧部材23A、23Bの底壁(コの字の中間部分)に長手方向に沿って形成した凹凸条等のリブが考えられる。なお、各押圧部材に形成する溝を放電管の外周面と同一径を有する部分円弧状として、押圧部材を中実として変形しにくくすることも考えられる。
【0051】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
100・・・紫外線照射装置
2・・・誘電体バリア放電ランプ
21・・・放電管
21a・・・外周面
22A、22B・・・電極
23A、23B・・・押圧部材
24A、24B・・・保持ブロック
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体バリア放電ランプ及びこの誘電体バリア放電ランプを用いた紫外線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の誘電体バリア放電ランプは、特許文献1に示すように、放電管の上面にベタ電極又はメッシュ電極が配置され、下面にメッシュ電極が配置されている。そして、その下面が光を取り出すための光取り出し領域とされており、下面に配置されたメッシュ電極の網目の隙間から紫外線を射出する構成とされている。このため、光取り出し領域から射出された光の一部がメッシュ電極の網目に遮光されてしまい光透過率が低下してしまうという問題がある。
【0003】
このようなことから、本出願人は、放電管における光取り出し領域の光透過率を向上させるために、長尺状の放電管と一対の電極とを有し、前記放電管における長手方向に沿った外周面の一部を光取り出し領域とし、前記一対の電極を、放電管の外周面の周方向において一対の電極の間に光取り出し領域が位置するようにそれぞれ配置したものを考えている。そして、本出願人は、一対の電極に板ばねを使用し、当該板ばねを押圧部材により前記外周面に弾性変形させて密着させることで、放電管に蒸着等により電極を形成する手間やコストを低減することを考えている。ここで、電極を弾性変形させて密着させる押圧部材は、その長手方向両端部が放電管の両端部を収容する絶縁碍子にねじ止めされることにより、絶縁碍子に固定される構成とされている。
【0004】
しかしながら、この押圧部材は、弾性変形した電極から弾性復帰力(反発力)を受けるため、押圧部材はこの反発力によって外側に湾曲して変形してしまう。具体的には、絶縁碍子に固定されている押圧部材の両端部(固定端部)では反発力による変形は小さいが、その両端部から離れるほど、すなわち放電管の長手方向中央部に行くほど前記反発力による押圧部材自体の弾性変形が大きくなる。そうすると、放電管の長手方向中央部における板ばねの押さえが甘くなってしまい、放電管の長手方向中央部と電極との密着性が悪くなるという問題がある。
【0005】
そして、電極の密着性が悪くなる結果、放電管の長手方向中央部の光強度が低下してしまうという問題が生じる。また電極の密着性が悪い部分(放電管の長手方向中央部)では電極と放電管との間にマイクロスパッタが生じてしまい、放電管が失透するだけでなく、その部分で応力集中が生じて早期破損につながってしまう。さらにマイクロスパッタによりパーティクルが発生し、例えば、放電管の光射出側前方に設けられた前面ガラスの透過率低下、絶縁部材の絶縁性能低下、又は、ランプ自体の光強度低下を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−287418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであって、放電管と当該放電管の外周面に押圧接触される電極との密着性を向上させることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る誘電体バリア放電ランプは、放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、前記一対の押圧部材が前記一対の電極から離間した状態において、前記各押圧部材における前記放電管の長手方向中央部に電極を接触させる中央部接触面が、前記放電管の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極を接触させる外側部接触面よりも、前記電極を前記放電管に押圧する押圧方向に向かって膨出していることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、中央部接触面が外側部接触面よりも押圧方向に向かって膨出しているので、押圧部材の長手方向両端部を固定ブロックに固定した状態において、中央部接触面及び外側部接触面が放電管の外周面に沿って略直線状となり、押圧部材の長手方向中央部において電極の反発力により生じる変位が相殺されて、放電管の長手方向中央部の外周面と電極との密着性を向上させることができる。これにより、放電管の長手方向中央部の光強度の低下を防ぎ、長手方向に沿って均一な光強度を得ることができる。また、放電管の長手方向に亘って放電管と電極との間に生じるマイクロスパッタを抑制することができ、放電管の失透やパーティクルの発生等を防止することができる。
【0010】
前記中央部接触面が前記外側部接触面よりも押圧方向に向かって膨出している具体的な構成としては、前記外側部接触面が、長手方向外側に行くに連れて前記押圧方向と反対側に傾斜する傾斜面であることを特徴とすることが望ましい。これならば、押圧部材の長手方向外側部を切り欠く等の加工を施すだけで良く、押圧部材の製造を簡単にすることができる。
【0011】
このとき、前記中央部接触面が長手方向に沿った平坦面であることが望ましい。これならば、押圧部材の製造をより簡単にすることができる。
【0012】
その他の具体的な構成としては、前記各押圧部材における前記放電管に電極を押圧する接触面が、前記押圧方向に向かって膨出した湾曲状とされていることが望ましい。これならば、湾曲状の曲率を調節することによって、押圧部材の長手方向両端部を固定ブロックに固定した状態において電極を長手方向に沿って均一な押圧力で接触させることができるようになる。
【0013】
前記押圧部材が電極の反発力によりその長手方向中央部が撓んでしまうという課題が顕著になるものとしては、前記一対の電極が、概略平板状の板ばねであり、前記押圧部材が、当該板ばねをその長手方向に直交する幅方向に湾曲させるものであることが考えられる。このように概略平板状の板ばねを押圧する押圧部材に本発明を適用することで本発明の効果を一層顕著にすることができる。
【0014】
前記押圧部材が、長手方向の断面形状が概略C字形状をなすものであり、前記電極が、前記押圧部材のC字開口端面により前記外周面に押圧されるものであることが望ましい。これならば、C字開口端面により概略平板状の板ばねが湾曲されつつ放電管の外周面に押圧されることから、電極の長手方向に沿った各側辺部を放電管の外周面により確実に接触させることができる。
【0015】
前記一対の押圧部材が、前記一対の電極に外部からの電圧を印加するものであることが望ましい。これならば、別途電極に電圧を印加するための部品が不要となり、放電管への電極の接触と当該電極への給電とを同一部材により構成することができる。
【0016】
また本発明に係る誘電体バリア放電ランプは、放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、前記各押圧部材において、前記放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分の機械的強度が、前記放電管の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極を押圧する部分の機械的強度よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
このようなものであれば、押圧部材において、放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分の機械的強度を放電管の長手方向外側部に電極を押圧する部分の機械的強度よりも大きくしているので、押圧部材の両端部を固定ブロックに固定した状態において、放電管の長手方向中央部が電極の反発力により変形しにくくなり、電極の密着性を向上させることができる。これにより、放電管中央部の照度低下を防ぎ長手方向に沿って均一な光強度を得ることができる。また、放電管の失透やパーティクルの発生の原因となるマイクロスパッタを防止することができる。
【0018】
さらに本発明に係る誘電体バリア放電ランプは、放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、前記各押圧部材が、当該各押圧部材における前記放電管の長手方向中央部に前記電極を押圧する部分の変形を抑制する変形抑制部を有することを特徴とする。
【0019】
このようなものであれば、各押圧部材が、放電管の長手方向中央部に前記電極を押圧する部分の変形を抑制する変形抑制部を有するので、押圧部材の両端部を固定ブロックに固定した状態において、放電管の長手方向中央部が電極の反発力により変形しにくくなり、電極の密着性を向上させることができる。これにより、放電管中央部の照度低下を防ぎ長手方向に沿って均一な光強度を得ることができる。また、放電管の失透やパーティクルの発生の原因となるマイクロスパッタを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように構成した本発明によれば、放電管と当該放電管の外周面に押圧接触される電極との密着性を向上させることができ、放電管と電極との密着が甘くなることにより生じる様々な問題点を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態のランプユニットを示す平面図である。
【図2】同実施形態の誘電体バリア放電ランプを示す平面図及び固定ブロックの拡大図である。
【図3】同実施形態の誘電体バリア放電ランプを示す正面図である。
【図4】同実施形態の誘電体バリア放電ランプを示す断面図である。
【図5】同実施形態の電極の平面図である。
【図6】同実施形態の誘電体バリア放電ランプの部品展開図及び組立図である。
【図7】同実施形態の押圧部材を示す正面図、側面図及び平面図である。
【図8】同実施形態の固定ブロックの取り付け部分を示す模式図である。
【図9】同実施形態の接続金具の展開図である。
【図10】本発明の押圧部材を固定した状態と従来の押圧部材を固定した状態を示す模式図である。
【図11】変形実施形態の押圧部材を示す平面図である。
【図12】変形実施形態の押圧部材を示す平面図である。
【図13】変形実施形態の押圧部材を示す平面図である。
【図14】変形実施形態の押圧部材を示す平面図である。
【図15】変形実施形態の押圧部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る紫外線照射装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0023】
本実施形態に係る紫外線照射装置は、半導体基板又はガラス基板等の被処理物に紫外線を照射することにより当該被処理物の表面に付着した有機物を分解してこれを除去することで、被処理物を洗浄するものである。この紫外線照射装置は、図1に示す1又は複数のランプユニット100を有するものであり、このランプユニット100は、複数本(例えば10本)の誘電体バリア放電ランプ2と、これら複数の誘電体バリア放電ランプ2をその長手方向が互いに平行且つ等間隔となるように保持してユニット化し、それら複数の誘電体バリア放電ランプ2に給電する給電部材3とを有する。
【0024】
なお、給電部材3は、平面視において概略コの字状をなす第1の給電部材3A及び第2の給電部材3Bを有する。これら第1の給電部材3A及び第2の給電部材3Bは、アルミ合金、ステンレス等の導電性材料から形成されており、各自由端部が絶縁部材4を介して互いに接続されることにより平面視概略矩形枠状となる。
【0025】
第1の給電部材3Aは、交流電圧を印加する電源装置の高電圧端子側に電気的に接続されるとともに、誘電体バリア放電ランプ2の一方の固定ブロック24Aがねじ固定により電気的に接続される。一方、第2の給電部材3Bは、電源装置のアース端子側に電気的に接続されるとともに、誘電体バリア放電ランプ2の他方の固定ブロック24Bがねじ固定により電気的に接続される。このように第1の給電部材3A及び第2の給電部材3Bにより、複数の誘電体バリア放電ランプ2の一端及び他端それぞれを支持してユニット化する構成として、誘電体バリア放電ランプ2の撓みを可及的に小さくし、ランプユニット100の機械的強度を大きくするとともに、ランプユニット100の取り扱いを容易にしている。
【0026】
誘電体バリア放電ランプ2は、図2〜図4に示すように、放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管21と、一対の電極22A、22Bと、一対の押圧部材23A、23Bと、一対の固定ブロック24A、24Bとを有する。以下、各部について詳述する。
【0027】
放電管21は、合成石英ガラス製の円筒の両端を閉じた断面円形状の丸管である。また、放電管21の内部に形成された放電空間には誘電体バリア放電用ガスが充填されている。なお、誘電体バリア放電用ガスとしては、キセノン(Xe)、アルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)等の希ガス、或いは、フッ素(F2)又は塩素(Cl2)等のハロゲンガス等を用いることができる。誘電体バリア放電ランプ2は、ガスの種類に応じて異なる波長(172nm、222nm、308nm等)のエキシマ光を発光する。例えば有機化合物を分解するためには、放電用ガスとしてキセノン(Xe)を用いて、172nmを中心波長とするエキシマ光を発光する誘電体バリア放電ランプ2とする。
【0028】
一対の電極22A、22Bは、放電管21の長手方向に沿った外周面21aに弾性変形した状態で接触して互いに対向して設けられる長尺状をなすものである。具体的に各電極22A、22Bは、放電管21と略同等の長さを有する平板状の板ばねであり、放電管21における光を取り出すための光取り出し領域21Pを周方向の両側から挟む位置に設けられている(図4参照)。本実施形態では、放電管21の中心軸に対して対称となる位置に設けられている。この電極22A、22Bの素材としてはリン青銅、ステンレス、ベリリウム銅など、導電性を有するものであれば良いが、特に耐食性の高い材質が好ましく、本実施形態では、厚さが約0.03mmのステンレス製の板ばねを用いている。
【0029】
本実施形態の電極22A、22Bは、特に図5に示すように、長手方向と直交する幅方向に形成された複数のスリット221、222を有する。このスリット221、222は、電極22A、22Bの長手方向に沿った側辺部及び中央部分に、それぞれ複数形成されている。これらのスリット221、222は、電極22A、22Bが熱膨張した際に、当該熱膨張分をスリット221、222により形成される間隙に逃がして、熱膨張により電極22A、22B全体が膨張して変形し、放電管21の外周面21aとの密着性が低下することを防止する。なお、図5における符号223は、電極22A、22Bが後述する押圧部材23A、23Bに対してずれることを防止するずれ防止部として機能する突起である。この突起223は、略直角に折り曲げられて、押圧部材23A、23Bの溝231内に差し込まれる(図6参照)。
【0030】
そして、この各電極22A、22Bは、図6に示すように、対応する各押圧部材23A、23Bにより放電管21の外周面21aに押圧されることによって、放電管21の外周面21aに沿うように弾性変形して放電管21の外周面21aに接触する。
【0031】
一対の押圧部材23A、23Bは、図2〜図4及び図7等に示すように、前記一対の電極22A、22Bを放電管21の外周面21aに押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなすものである。具体的に各押圧部材23A、23Bは、放電管21の長手方向に沿って延びる棒状の部材であり、放電管21の外周面21aに対向する対向面に長手方向に沿った溝231が開口形成されている。また、各押圧部材23A、23Bの長手方向両端部には、後述する固定ブロック24A、24Bにねじ固定するための貫通孔23Hが形成されている(図7参照)。本実施形態の押圧部材23A、23Bは、長手方向の断面形状が概略C字形状をなすものであり、より詳細には、長手方向の断面形状が概略コの字形状をなすものである。なお、押圧部材23A、23Bとして、ステンレス製のものを用いれば、アルマイト処理が不要であり、例えば鏡保持用等に使用される汎用のCチャンネルを利用すれば更にコストを低減することができる。
【0032】
このような構成の押圧部材23A、23Bは、そのC字開口端面23xが電極22A、22Bの長手方向に沿った各側辺部に接触して放電管21の外周面21a側に押圧する(図6参照)。そして、一対の押圧部材23A、23Bは、電極22A、22Bを放電管21に押圧した状態で、その長手方向両端部が、貫通孔23Hにより一対の固定ブロック24A、24Bにねじ固定される(図2等参照)。
【0033】
一対の固定ブロック24A、24Bは、図2等に示すように、放電管21の長手方向両端部を収容するとともに、当該放電管21の外周面21aに一対の電極22A、22Bを押圧した状態の一対の押圧部材23A、23Bの長手方向両端部が固定されるものである。具体的に各固定ブロック24A、24Bは、平面視において概略矩形状をなすものであり、例えばセラミックス等の絶縁性材料から形成されている。そして、各固定ブロック24A、24Bは、図2の固定ブロック拡大図及び図4に示すように、誘電体バリア放電ランプ2の端部が装着される面である前面に誘電体バリア放電ランプ2の端部を収容する放電管収容部241を有する。この放電管収容部241は、誘電体バリア放電ランプ2の外形形状に対応した断面略円形状をなす凹部である。
【0034】
また各固定ブロック24A、24Bは、放電管収容部241を挟む左右側壁部分に、前記一対の押圧部材23A、23Bそれぞれがねじ固定される押圧部材固定部242が形成されている。この押圧部材固定部242は、固定ブロック24A、24Bの左右側面に押圧方向に沿って形成された雌ねじ孔(不図示)を有する。この雌ねじ孔は、押圧部材23A、23Bの貫通孔23Hを通された固定ねじN1が螺合されるものである。なお、この固定ねじN1により押圧部材23A、23Bを固定ブロック24A、24Bに締結固定することで、押圧部材23A、23BのC字開口端面23xが電極22A、22Bを放電管21の外周面21aに押圧接触させる。
【0035】
さらに固定ブロック24A、24Bの後端部243には、給電部材3A、3Bにねじ固定するための固定ねじN2が挿入される貫通孔24Hが形成されている。この貫通孔24Hは、固定ねじN2の雄ねじ部よりも大きい開口面積を有する孔であり、本実施形態では、放電管21の長手方向に沿って延びる長孔である。そして、この貫通孔24Hに挿入された固定ねじN2が給電部材3A、3Bに形成された雌ねじ部に螺合される。これにより、固定ブロック24A、24Bが給電部材3A、3Bにねじ固定される。なお、後端部243の上面及び下面はいずれも平坦面である。
【0036】
そしてこのように構成された誘電体バリア放電ランプ2は、図1又は図8に示すように、給電部材3A、3Bに対して放電管21の長手方向に直交する方向(図8では上方)からねじ止めされる。このとき、貫通孔24Hが放電管の長手方向に沿った長孔とされていることから、誘電体バリア放電ランプ2の取り付け精度や加工公差により、誘電体バリア放電ランプ2の長手方向寸法にばらつきがあったとしても、そのばらつきが貫通孔24Hにより吸収されて確実に給電部材3A、3Bにねじ止めすることができる。
【0037】
また、給電部材3A、3Bからの電圧を押圧部材23A、23Bを介して電極22A、22Bに印加するために、固定ブロック24A、24Bは、図2等に示すように、給電部材3A、3B及び押圧部材23A、23Bを電気的に接続する接続金具5を有する。
【0038】
この接続金具5は、図9に示すように、展開した状態において概略T字形状をなすものであり、固定ブロック24A、24Bの後端部243の上面及び下面に接触して後端部243を挟むように設けられる概略コの字状に折り曲げられた挟み部51と、当該挟み部51の中央部から略垂直に延出した延出部52とを有する。そして、延出部52には、押圧部材23A、23Bを固定ブロック24A、24Bに固定するための固定ねじN1が挿入される貫通孔52Hが形成されている。この接続金具5は、押圧部材23A、23Bを固定ブロック24A、24Bに固定する際に、固定ねじN1により共締めされて、押圧部材23A、23Bと電気的な接触が確保される。また、接続金具5の挟み部51は、図8に示すように、固定ブロック24A、24Bの後端部243の上面及び下面を挟むように配置される。また、この挟み部51には、固定ブロック24A、24Bに設けられた貫通孔24Hに対応して当該貫通孔H24と概略同一形状の貫通孔(長孔)51Hが形成されている。そして、固定ブロック24A、24Bを給電部材3A、3Bにねじ止めする際に、固定ブロック24A、24Bの下面にある挟み部51の下部51aが給電部材3A、3Bと面接触して電気的な接触が確保される。また固定ブロック24A、24Bの上面にある挟み部51の上部51bは固定ねじN2と接触し、当該固定ねじN2が給電部材3A、3Bに接触していることから、挟み部51の上部51bにおいても電気的な接触が確保される。
【0039】
そして、図1に示すように、一対の電極22A、22Bのうち一方の電極22Aが、誘電体バリア放電ランプ2の一端部に装着される固定ブロック24Aにより、電源装置の高電圧端子側に電気的に接続されて高電圧印加側電極となり、一対の電極22A、22Bのうち他方の電極22Bが、誘電体バリア放電ランプ2の他端部に装着される固定ブロック24Bにより電源装置のアース端子側に電気的に接続されてアース側電極となる。なお、隣接する誘電体バリア放電ランプ2間の放電を防止するため、隣接する誘電体バリア放電ランプ2の高電圧印加側電極22A同士又はアース側電極22B同士を向かい合うように配置している。
【0040】
しかして本実施形態の誘電体バリア放電ランプ2における各押圧部材23A、23Bは、図7に示すように、一対の電極22A、22Bから離間した状態、つまり、放電管21に電極22A、22Bを押圧する前の状態(外力を受けない自然状態)において、当該各押圧部材23A、23Bにおける放電管21の長手方向中央部に電極22A、22Bを接触させる中央部接触面23Xが、放電管21の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極22A、22Bを接触させる外側部接触面23Yよりも、電極22A、22Bを放電管21に押圧する押圧方向に向かって膨出するように構成されている。
【0041】
本実施形態では、押圧部材23A、23Bの電極22A、22B側を向く側面、つまりC字開口端面23xにおいて、放電管21の長手方向中央部に電極22A、22Bを接触させる中央部接触面23Xが、放電管21の長手方向外側部(長手方向中央部以外の部分であって放電管収容部241に収容されない部分)に電極22A、22Bを接触させる外側部接触面23Yよりも、押圧方向に向かって膨出するように構成されている。
【0042】
具体的に押圧部材23A、23Bの中央部接触面23Xは、押圧部材23A、23Bの長手方向に沿った平坦面であり、外側部接触面23Yは、長手方向外側に行くに連れて押圧方向とは反対側に傾斜する傾斜面である。つまり、押圧部材23A、23Bの外側部接触面23Yを有する長手方向外側部は、平面視において、C字開口端23xが長手方向外側に向かって下がり勾配を有するようにその幅が縮小するように構成されている。なお、この外側部接触面23Yを形成する長手方向外側部よりもさらに外側に長手方向両端部に貫通孔23Hが形成されており、この長手方向両端部が固定ブロック24A、24Bにねじ固定される。
【0043】
ここで、押圧部材23A、23Bにおける中央部接触面23Xである平坦面及び外部接触面23Yである傾斜面の長手方向寸法又は傾斜面の傾斜角度は、放電管21の長手方向寸法、放電管21の有効照射幅、電極22A、22Bの弾性復帰力を決める要因である厚みや幅寸法などの形状又は材質、或いは、押圧部材23A、23Bの機械的強度を決める要因である形状又は材質などによって定められる。
【0044】
このように構成した押圧部材23A、23Bの両端部を固定ブロック24A、24Bにねじ固定することによって、押圧部材23A、23Bの中央部接触面23Xが電極22A、22Bを放電管21の外周面21aに密着させつつ、押圧部材23A、23Bの長手方向外側部が放電管21側に変形して、押圧部材23A、23Bの外側部接触面23Yが放電管21の外周面21aに電極22A、22Bを密着させる。つまり、押圧部材23A、23Bを固定ブロック24A、24Bに固定させた状態において、押圧部材23A、23Bの電極接触面23s(中央部接触面23X及び外側部接触面23Y)は略直線状となり、電極22A、22Bの長手方向全体に亘って放電管21の外周面21aに密着された状態となる。この押圧部材23A、23Bに形成された傾斜面23Yにより、押圧部材23A、23Bの長手方向中央部の変形による変位が相殺されて、押圧部材23A、23Bの長手方向中央部の変形に関わらず、放電管21の外周面21aに電極22A、22Bを密着させることができる。なお、図10は、従来の押圧部材を用いた場合に比較して、本実施形態の押圧部材23A、23Bを用いた場合に、放電管の長手方向中央部の外周面と電極との密着性が向上していることを示す模式図である。
【0045】
このように構成した本実施形態に係る紫外線照射装置によれば、中央部接触面23Xが外側部接触面23Yよりも押圧方向に向かって膨出しているので、押圧部材23A、23Bの長手方向両端部を固定ブロックに固定した状態において、中央部接触面23X及び外側部接触面23Yが放電管21の外周面21aに沿って略直線状となり、押圧部材24A、24Bの長手方向中央部において電極22A、22Bの反発力により生じる変位が相殺されて、放電管21の長手方向中央部の外周面21aと電極22A、22Bとの密着性を向上させることができる。これにより、放電管21の長手方向中央部の光強度の低下を防ぎ、長手方向に沿って均一な光強度を得ることができる。また、放電管21の長手方向に亘って放電管21と電極22A、22Bとの間に生じるマイクロスパッタを抑制することができ、放電管21の失透やパーティクルの発生等を防止することができる。
【0046】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態の押圧部材は、長手方向両端部が傾斜面を有するものであったが、図11に示すように、押圧部材23A、23Bの長手方向中央部の幅寸法よりも長手方向外側部の幅寸法が小さくなるように構成された段形状をなすものであっても良い。このようなものであっても、押圧部材23A、23Bの長手方向中央部の変形による変位を相殺して、放電管の外周面に電極を密着させることができる。なお、図11では、長手方向中央部と長手方向外側部とからなる2段形状であったが、その他、3段以上の多段形状としても良い。
【0047】
また、図12に示すように、押圧部材23A、23Bの電極接触面23sが、平面視において、押圧方向に向かって膨出した湾曲状に形成されても良い。このようなものであっても、押圧部材の長手方向中央部の変形による変位を相殺して、放電管の外周面に電極を密着させることができる。また、電極接触面23sの曲率を調節することによって、電極を長手方向に沿って均一な押圧力で接触させることができるようになる。
【0048】
さらに、図13に示すように、押圧部材全体を押圧方向に向かって膨出した屈曲状又は湾曲状とすることで、放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分を、放電管の長手方向外側部に電極を押圧する部分よりも、押圧方向に向かって膨出するように構成しても良い。
【0049】
その上、各押圧部材において、放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分の機械的強度が、放電管の長手方向両端部に電極を押圧する部分の機械的強度よりも大きくなるように構成しても良い。例えば、図14に示すように、押圧部材の長手方向中央部の幅寸法(押圧方向に沿った寸法)を、長手方向両端部の幅寸法よりも大きくすることで、長手方向中央部の押圧方向に沿った変形に対する機械的強度を、長手方向両端部の押圧方向に沿った変形に対する機械的強度よりも大きくすることが考えられる。なお、この場合、押圧部材の電極接触面23sは全体が平坦面とされている。
【0050】
加えて、各押圧部材23A、23Bが、当該各押圧部材23A、23Bにおける少なくとも長手方向中央部の変形を抑制する変形抑制部232を有するものであっても良い。この変形抑制部232としては、例えば、図15に示すように、押圧部材23A、23Bの底壁(コの字の中間部分)に長手方向に沿って形成した凹凸条等のリブが考えられる。なお、各押圧部材に形成する溝を放電管の外周面と同一径を有する部分円弧状として、押圧部材を中実として変形しにくくすることも考えられる。
【0051】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0052】
100・・・紫外線照射装置
2・・・誘電体バリア放電ランプ
21・・・放電管
21a・・・外周面
22A、22B・・・電極
23A、23B・・・押圧部材
24A、24B・・・保持ブロック
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、
前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、
前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、
前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、
前記一対の押圧部材が前記一対の電極から離間した状態において、前記各押圧部材における前記放電管の長手方向中央部に電極を接触させる中央部接触面が、前記放電管の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極を接触させる外側部接触面よりも、前記電極を前記放電管に押圧する押圧方向に向かって膨出していることを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
【請求項2】
前記外側部接触面が、長手方向外側に行くに連れて前記押圧方向と反対側に傾斜する傾斜面であることを特徴とする請求項1記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項3】
前記中央部接触面が長手方向に沿った平坦面であることを特徴とする請求項2記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項4】
前記各押圧部材における前記放電管に電極を押圧する接触面が、前記押圧方向に向かって膨出した湾曲状とされていることを特徴とする請求項1記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項5】
前記一対の電極が、概略平板状の板ばねであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項6】
前記一対の押圧部材が、長手方向の断面形状が概略C字形状をなすものであり、
前記一対の電極が、前記一対の押圧部材のC字開口端面により前記外周面に押圧されるものであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項7】
前記一対の押圧部材が、前記一対の電極に外部からの電圧を印加するものである請求項1、2、3、4、5又は6記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項8】
放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、
前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、
前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、
前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、
前記各押圧部材において、前記放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分の機械的強度が、前記放電管の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極を押圧する部分の機械的強度よりも大きいことを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
【請求項9】
放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、
前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、
前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、
前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、
前記各押圧部材が、当該各押圧部材における前記放電管の長手方向中央部に前記電極を押圧する部分の変形を抑制する変形抑制部を有することを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の誘電体バリア放電ランプを用いた紫外線照射装置。
【請求項1】
放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、
前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、
前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、
前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、
前記一対の押圧部材が前記一対の電極から離間した状態において、前記各押圧部材における前記放電管の長手方向中央部に電極を接触させる中央部接触面が、前記放電管の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極を接触させる外側部接触面よりも、前記電極を前記放電管に押圧する押圧方向に向かって膨出していることを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
【請求項2】
前記外側部接触面が、長手方向外側に行くに連れて前記押圧方向と反対側に傾斜する傾斜面であることを特徴とする請求項1記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項3】
前記中央部接触面が長手方向に沿った平坦面であることを特徴とする請求項2記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項4】
前記各押圧部材における前記放電管に電極を押圧する接触面が、前記押圧方向に向かって膨出した湾曲状とされていることを特徴とする請求項1記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項5】
前記一対の電極が、概略平板状の板ばねであることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項6】
前記一対の押圧部材が、長手方向の断面形状が概略C字形状をなすものであり、
前記一対の電極が、前記一対の押圧部材のC字開口端面により前記外周面に押圧されるものであることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項7】
前記一対の押圧部材が、前記一対の電極に外部からの電圧を印加するものである請求項1、2、3、4、5又は6記載の誘電体バリア放電ランプ。
【請求項8】
放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、
前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、
前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、
前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、
前記各押圧部材において、前記放電管の長手方向中央部に電極を押圧する部分の機械的強度が、前記放電管の長手方向中央部両側の長手方向外側部に電極を押圧する部分の機械的強度よりも大きいことを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
【請求項9】
放電用ガスが封入された長尺状をなす放電管と、
前記放電管の長手方向に沿った外周面に互いに対向して設けられる長尺状をなす一対の電極と、
前記一対の電極を前記外周面に押圧して弾性変形した状態で接触させる長尺状をなす一対の押圧部材と、
前記一対の押圧部材が前記一対の電極を前記外周面に接触した状態で、前記一対の押圧部材の長手方向両端部が固定される一対の固定ブロックとを備え、
前記各押圧部材が、当該各押圧部材における前記放電管の長手方向中央部に前記電極を押圧する部分の変形を抑制する変形抑制部を有することを特徴とする誘電体バリア放電ランプ。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の誘電体バリア放電ランプを用いた紫外線照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−80612(P2013−80612A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219856(P2011−219856)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
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