説明

語学学習教材提供システム、文章変換方法及びプログラム

【課題】語学学習者のレベル情報に応じ、習得された第1の文を第2の文に変換できる機能を提供する。
【解決手段】語学学習教材提供システムに、第1の文を取得する文取得部と、前記第1の文を構成する単語及び/又は熟語及び/又は文型を、変換ルールに従って、前記第1の文と同じ言語で構成される第2の文に変換する文変換部と、アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報に基づいて前記第1の文の難易度を評価する難易度評価部と、アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報とユーザの目的と難易度の評価結果に基づいて、前記変換ルールを管理する変換ルール管理部とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習者のレベルに応じた語学学習教材を提供するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
英文を沢山読むことにより、英文の読解力の向上を図る英語学習法がある。インターネットの普及により、沢山の英文に容易にアクセスできる環境が整ってきている。
【0003】
図21に、従来システムの概要を示す。なお、図21は、インターネット上で提示された日本文を英文に翻訳して提示するシステムの概要図である。図21に示すシステムは、日本文を英文に変換するホストシステム10003と、変換後の英文を受信する端末(移動端末装置10002a、10002b、10002n及び端末装置10001)と、変換前の日本文を提供する他ホストシステム10004から構成される。ホストシステム10003には、他ホストシステム情報取得部100031、翻訳部100032、翻訳規則DB10005及びコーパスDB10006が設けられている。
【0004】
移動端末装置10002a、10002b、10002nは、無線回線を通じ、基地局10002に接続されている。基地局10002は、有線の公衆回線網であるネットワーク10008に接続されている。端末装置10001は、有線の公衆回線網であるネットワーク10008に接続されている。ホストシステム10003も、ネットワーク10008に接続されている。
【0005】
図21に示すシステムでは、以下の手順により、参照対象である日本文に対応する英文が端末に送信される。まず、移動端末装置10002a、10002b、10002n又は端末装置10001からホストシステム10003に対し、ユーザが参照を希望する日本語で構成される情報が存在するネットワーク上のアドレスが与えられる。
【0006】
ホストシステム10003は、他ホストシステム情報取得部100031を使用して、要求のあった情報を他ホストシステム10004から取得し、取得した日本語の情報を翻訳部100032に渡す。翻訳部100032は、翻訳規則DB10005とコーパスDB10006より取得された日本語を英語に変換するための規則情報に基づいて、渡された日本語の情報を英文に変換する。
【0007】
この後、翻訳部100032は、他ホストシステム情報取得部100031に英文情報を返却する。他ホストシステム情報取得部100031は、取得した英文情報を、移動端末装置10002a、10002b、10002n又は端末装置10001に返却する。移動端末装置10002a、10002b、10002n又は端末装置10001は、ネットワーク10008を介して取得した英文を画面に表示する。
【0008】
このシステムの特徴は、日本語から英語に翻訳する翻訳部100032は、日本文の表現と同等な英文を1:1の関係で翻訳することである。
なお、本発明に関連する公知技術文献としては下記に示す特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−32367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、英文の多読は英文の読解力を向上させるための有力な学習方法の一つである。ところが、インターネット上には、さまざまな難易度の英文が存在する。このため、英語の学習を目的として、インターネット上の英文を参照するとしても、学習者に適した英文であるとは限らない。
【0011】
本発明の目的は、語学学習者が学習対象語で記述された原文を参照する際に、学習者に対応したレベルの文に変換することにより、学習者の読解力の向上に利用できる仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明においては、第1の文を取得する文取得部と、前記第1の文を構成する単語及び/又は熟語及び/又は文型を、変換ルールに従って、前記第1の文と同じ言語で構成される第2の文に変換する文変換部と、アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報に基づいて前記第1の文の難易度を評価する難易度評価部と、アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報とユーザの目的と難易度の評価結果に基づいて、前記変換ルールを管理する変換ルール管理部とを有する語学学習教材提供システムを提供する。また、同システムで実行する文章変換方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザの語学レベル(スキル情報)と目的と原文の難易度に応じ、原文を同一原語によるレベルの異なる文に変換することができる。これにより、ユーザの学習言語の読解力を効率的に向上させることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係る語学学習教材提供システムの機能構成を示す図。
【図2】変換ルールデータベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図3】変換ルールデータベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図4】変換ルールデータベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図5】変換ルールデータベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図6】変換ルールデータベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図7】学習状況/計画データベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図8】学習状況/計画データベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図9】学習状況/計画データベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図10】コーパスデータベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図11】コーパスデータベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図12】コーパスデータベースに格納されているデータ構造の一部を示す図。
【図13】ユーザスキルに応じた英文の分類を説明する図。
【図14】英文の変換処理を説明するフローチャート。
【図15】学習を目的とした英文への変換処理を説明するフローチャート。
【図16】内容理解を目的とした英文への変換処理を説明するフローチャート。
【図17】単語・熟語の変換処理を説明するフローチャート。
【図18】変換ルールの生成処理を説明するフローチャート。
【図19】コーパスの出現回数のカウント処理を説明するフローチャート。
【図20】画面表示例を示す図。
【図21】従来システムの概要を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態においては、複数のセクションに分割して、実施の形態に係る検索システムの実現に必要な処理機能を説明する。以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。
【0016】
また、以下の実施の形態において、各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、前述した各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより実現しても良い。すなわち、ソフトウェアとして実現しても良い。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
[システム構成]
図1に、本発明を適用した英語学習教材提供システムの構成を示す。本システムは、英文→英文変換サービスを提供するホストシステム3と、ホストシステム3から変換後の英文を受信する複数の移動端末装置2a、2b、2n及び端末装置1と、変換前の英文を提供する他ホストシステム4により構成される。ここで、英文とは、英語で記述されたテキストだけでなく、画像データやその他の情報が埋め込まれたマルチメディア文書を含んでいる。
【0019】
移動端末装置2a、2b、2nは、無線回線を通じ、基地局2と接続されている。基地局2は、移動端末装置2a、2b、2nを収容する無線送受信装置であり、例えば移動端末装置2a、2b、2nが携帯電話機である場合、移動電話事業者の基地局に相当する。また、例えば移動端末装置2a、2b、2nが無線LANの子機である場合、基地局2は無線LANの親機に相当する。図1の場合、基地局2は、有線の公衆回線網によるネットワーク8と接続されている。端末装置1は有線の公衆回線網であるネットワーク8に接続されている。このネットワーク8にホストシステム3が接続されている。従って、移動端末装置2a、2b、2nとホストシステム3は、基地局2に到る無線回線及びネットワーク8を通じて互いに接続されている。同様に、端末装置1は、ネットワーク8を通じ、ホストシステム3に接続されている。
【0020】
他ホストシステム4は、ネットワーク8に接続され、英文情報を提供するシステム、例えば、WWWサーバに相等する。
【0021】
[ホストシステムの機能構成]
ホストシステム3は、他ホストシステム情報取得部31、英語→英語変換部32、変換ルール管理部33、学習状況/計画情報管理部34、コーパス管理部35、変換ルールDB5、学習状況/計画DB6、コーパスDB7を有している。
【0022】
他ホストシステム情報取得部31は、英語→英語変換部32と変換ルール管理部33から呼び出される処理機能であり、端末装置1、移動端末装置2a、2b、2n、他ホストシステム4との間の通信を中継する。
【0023】
英語→英語変換部32は、他ホストシステム4から読み出した英文を端末装置1や移動端末装置2a、2b、2nのユーザの語学レベル(学習スキル)に応じた英文に変換する機能部である。変換ルール管理部33は、変換ルールDB5を管理する機能部である。学習状況/計画情報管理部34は、学習状況/計画DB6を管理する機能部である。コーパス管理部35は、コーパスDB7を管理する機能部である。
【0024】
[変換ルールDB]
変換ルールDB5には、図2に示すユーザ設定の単語熟語変換ルール210と、図3に示すユーザ設定の他ホストシステムアクセス情報220と、図4に示す動詞活用統計情報230と、図5に示す単語熟語変換ルール310と、図6に示すユーザ設定の構文変換ルール410が格納されている。
【0025】
ユーザ設定の単語熟語変換ルール210(図2)は、ルールID211と、単語熟語(変換前)212と、単語熟語(変換後)213とから構成され、ルール毎に登録される。単語熟語には、単語や熟語が記憶されている。
【0026】
ユーザ設定の他ホストシステムアクセス情報220(図3)は、評価に利用する他ホストシステム4へのアクセス情報221から構成され、他ホストシステム4毎に登録される。アクセス情報221には、例えばネットワークアドレスが記憶されている。
【0027】
動詞活用統計情報230(図4)は、動詞活用例231と、名詞232と、出現回数233とから構成され、動詞と名詞の組合せ毎に登録される。出現回数233には、評価に利用する他ホストシステムへのアクセス情報221から取得した英文内で、該当する動詞と名詞の組合せが利用された回数が登録される。
【0028】
単語熟語変換ルール情報310(図5)は、ルールID311と、単語熟語(変換前)312と、単語熟語(変換後)313とから構成される。単語熟語変換ルール情報310には、図2のルールに対し、図12に示す動詞の活用形を個別に適用したルール毎に登録される。ここでは、図2のルールID211が「10000003」の場合について説明する。「10000003」には、単語熟語(変換前)212として「get rid of [1]」、単語熟語(変換後)213として「throw [1] away」が登録されている。このとき、ルールID311の「10000003」には、単語熟語(変換前)312と単語熟語(変換後)313の各動詞に図12に示されている活用形の組み合わせが登録される。例えば「get rid of [1]」と「throw [1] away」、「gets rid of [1]」と「throws [1] away」、「got rid of [1]」と「threw [1] away」、「gotten rid of [1]」と「thrown [1] away」、「getting rid of [1]」と「throwing [1] away」が登録される。
【0029】
ユーザ設定の構文変換ルール情報410(図6)は、構文ルールID411と、構文(変換前)412と、構文(変換後)413とから構成され、ルール毎に登録される。例えば構文「[S][V][O][C]」に対して、構文「[S][V][O] and [O] is [C]」が登録されている。
【0030】
[学習状況/計画DB]
学習状況/計画DB6には、図7に示す単語習得状況510と、図8に示す熟語習得状況520と、図9に示す構文習得状況530が格納されている。
【0031】
単語習得状況情報510(図7)は、ユーザ名511と、単語ID512と、単語513と、習得状況514とから構成され、ユーザ毎かつ単語毎に登録される。習得状況514には、当該ユーザが習得済みの単語であれば「習得」を、当該ユーザが次に習得すべき単語であれば「習得中」を登録する。
【0032】
熟語習得状況情報520(図8)は、ユーザ名521と、熟語ID522と、熟語523と、習得状況524とから構成され、ユーザ毎かつ熟語毎に登録される。習得状況524には、当該ユーザが習得済みの熟語であれば「習得」を、当該ユーザが次に習得すべき熟語であれば「習得中」を登録する。
【0033】
構文習得状況情報530(図9)は、ユーザ名531と、構文ルールID532と、習得状況533とから構成され、ユーザ毎かつ構文ルール毎に登録される。構文ルールID532には、構文ルールID411が登録され、習得状況533には、当該ユーザが習得済みの構文であれば「習得」を、当該ユーザが次に習得すべき構文であれば「習得中」を登録する。
【0034】
[コーパスDB]
コーパスDB7には、図10に示す単語管理情報610と、図11に示す熟語管理情報620と、図12に示す動詞管理情報630が格納される。
【0035】
単語管理情報610(図10)は、単語ID611と、単語612と、出現回数613と、品詞とから構成され、単語毎に登録される。図10では、品詞の例として、名詞614と、助詞615と、形容詞616を記載している。出現回数613には、評価に利用する他ホストシステム4へのアクセス情報221(図3)から取得した英文内において、該当する単語が利用された回数を登録する。
【0036】
熟語管理情報620(図11)は、熟語ID621と、熟語622と、出現回数623とから構成され、熟語毎に登録される。出現回数623には、評価に利用する他ホストシステム4へのアクセス情報221から取得した英文内において、該当する熟語が利用された回数を登録する。
【0037】
動詞管理情報630(図12)は、単語ID631と、原形632と、三人称単数現在形633と、過去形634と、過去分詞形635と、現在分詞形636とから構成され、単語毎に登録される。
【0038】
[ホストシステムの処理機能]
まず、英語→英語変換部32又は変換ルール管理部33が、他ホストシステム情報取得部31に対し、他ホストシステム4から英文を取得するための方法を入力する。次に、他ホストシステム情報取得部31は、ネットワーク8を通じて他ホストシステム4に接続して英文情報を取得し、英語→英語変換部32又は変換ルール管理部33に返却する。
【0039】
英語→英語変換部32には、他ホストシステム4から英文を取得する方法又は変換対象英文が、移動端末装置2a、2b、2n又は端末装置1から入力される。他ホストシステム4から英文を取得する方法が指定されている場合、他ホストシステム情報取得部31は、ネットワーク8経由で変換対象英文を取得する。
【0040】
ホストシステム3は、変換対象英文を、変換ルールDB5と、学習状況/計画DB6と、コーパスDB7を用い、ユーザの語学レベルに応じた学習目的の英文又は理解目的の英文に変換する。
【0041】
学習目的の英文とは、習得状況514(図7)が「習得」又は「習得中」の単語と、習得状況524(図8)が「習得」又は「習得中」の熟語と、習得状況533(図9)が「習得」又は「習得中」の構文とで構成される文章である。理解目的の英文とは、習得状況514(図7)が「習得」の単語と、習得状況524(図8)が「習得」の熟語と、習得状況533(図9)が「習得」の構文とで構成される文章である。
【0042】
変換ルールには、動詞活用統計情報230(図4)と、単語熟語変換ルール310(図5)と、ユーザ設定の構文変換ルール410(図6)を用いる。本システムにアクセスしているユーザの習得状況には、単語習得状況510(図7)と、熟語習得状況520(図8)と、構文習得状況530(図9)を用いる。
【0043】
変換ルール管理部33は、変換ルールDB5の更新を管理する。変換ルール管理部33は、移動端末装置2a、2b、2nや端末装置1から単語熟語(変換前)の情報と、単語熟語(変換後)の情報と、評価に利用する他ホストシステム4へのアクセス情報と、構文(変換前)の情報と、構文(変換後)の情報とを入力し、ルールID211(図2)と、単語熟語(変換前)212(図2)と、単語熟語(変換後)213(図2)と、評価に利用する他ホストシステム4へのアクセス情報221(図3)と、構文ルールID411(図6)と、構文(変換前)412(図6)と、構文(変換後)413(図6)とを登録する。
【0044】
なお、副詞や形容詞などを削除して文章の難易度を下げることを可能とするために、単語熟語(変換後)213には、変換後データなしを設定できるものとする。
【0045】
変換ルール管理部33は、図2と図12に基づいて、図5に示す単語熟語変換ルール情報310(ルールID311と、単語熟語(変換前)312と、単語熟語(変換後)313)を作成し、変換ルールDB5に登録する。ルールID311には、ルールID211を設定する。
【0046】
単語熟語(変換前)312(図5)には、単語熟語(変換前)212に動詞が設定されていない場合、単語熟語(変換前)212がそのまま登録される。単語熟語(変換前)212に動詞が設定されている場合、単語熟語(変換前)312(図5)には、図12の原形632と、三人称単数現在形633と、過去形634と、過去分詞形635と、現在分詞形636とに定義されている文字列に置換されて登録される。
【0047】
単語熟語(変換後)313(図5)には、単語熟語(変換後)213に動詞が設定されていない場合、単語熟語(変換後)213をそのまま登録する。単語熟語(変換後)213に動詞が設定されている場合、単語熟語(変換後)313(図5)には、図12の原形632と、三人称単数現在形633と、過去形634と、過去分詞形635と、現在分詞形636とに定義されている文字列に置換されて登録される。
【0048】
変換ルール管理部33は、単語熟語(変換後)313(図5)と評価に利用する他ホストシステム4へのアクセス情報221に基づいて、図4に示す動詞活用統計情報230(動詞活用例231、名詞232、出現回数233)を作成し、変換ルールDB5に登録する。
【0049】
単語熟語(変換後)313(図5)に埋め込み情報が設定されている場合、変換ルール管理部33は、評価に利用する他ホストシステム4へのアクセス情報221に基づいて取得した英文に含まれる該当文字列の出現回数を求め、図4に示す動詞活用例231と、名詞232と、出現回数233を変換ルールDB5に登録する。
【0050】
例では「get rid of [1]」の「[1]」が埋め込み情報を表現している。動詞活用例231には、単語熟語(変換後)313の情報を登録する。名詞232には、埋め込み文字に該当する文字列を登録する。埋め込み文字に該当する文字列が複数の単語で構成される場合、名詞以外の品詞を削除する。例えば「a paper」ならば「paper」と、「the paper」ならば「paper」を埋め込み文字として扱う。出現回数233には、動詞活用例231の埋め込み文字を名詞232に置き換えた文字列の出現回数を登録する。
【0051】
学習状況/計画情報管理部34は、学習状況/計画DB6を更新する。学習状況/計画情報管理部34は、移動端末装置2a、2b、2nや端末装置1から単語の習得状況情報と、述語の習得情報と、構文の習得情報と、ユーザ情報を入力し、ユーザ名511(図7)と、単語ID512(図7)と、単語513(図7)と、習得状況514(図7)と、ユーザ名521(図8)と、熟語ID522(図8)と、熟語523(図8)と、習得状況524(図8)と、ユーザ名531(図9)と、構文ルールID532(図9)と、習得状況533(図9)とを登録する。
【0052】
ユーザ名511(図7)と、ユーザ名521(図8)と、ユーザ名531(図9)には、ユーザを特定できるユーザ名が登録される。
【0053】
学習状況/計画情報管理部34は、単語ID512に、単語ID611を登録する。単語513は、単語612と同じ内容であり、説明のために表記しているだけなので実際には格納しない。
【0054】
学習状況/計画情報管理部34は、熟語ID522に、熟語ID621を登録する。熟語523は、熟語622と同じ内容であり、説明のために表記しているだけなので実際には格納しない。
【0055】
学習状況/計画情報管理部34は、構文ルールID532に、構文ルールID411を登録する。
【0056】
学習状況/計画情報管理部34は、習得状況514に単語の習得状況情報を登録し、習得状況524に熟語の習得状況情報を登録し、習得状況533に構文ルールの習得状況を登録する。学習状況/計画情報管理部34は、習得状況514や習得状況524や習得状況533に「習得」が設定されている場合は習得済みとして扱い、「習得中」が設定いる場合は次に習得すべき単語又は熟語又は文型として扱う。
【0057】
習得状況514、習得状況524、習得状況533の情報は、移動端末装置2a、2b、2nや端末装置1から更新する情報を直接ユーザに入力してもらう方式の他、英文の評価情報などをユーザに登録してもらい、自動更新する方式がある。自動更新する方式は、ユーザが参照した英文から単語と熟語と文型の参照回数を求め、参照回数の閾値を越えたら習得状況に「習得」を登録する。まだ習得状況でない単語と熟語については、単語であれば出現回数613の出現回数の多い順に、述語であれば出現回数623の出現回数の多い順に、事前に設定された個数だけ、次に習得すべき単語と熟語として(つまり「習得中」として)登録する。事前に設定された個数とは、例えば「習得中」の数が常に100個と定義される。
【0058】
コーパス管理部35は、コーパスDB7を更新する。コーパス管理部35は、移動端末装置2a、2b、2nや端末装置1から管理者が更新する情報を直接入力する。コーパス管理部35は、(1) 単語と、(2) 該当する品詞情報として例えば名詞と動詞と形容詞と、(3) 熟語と、(4) 動詞の変化情報として例えば原形と、三人称単数現在形と、過去形と、過去分詞形と、現在分詞形を入力すると、単語ID611(図10)と、単語612(図10)と、品詞情報として名詞614(図10)と、動詞615(図10)と、形容詞616(図10)と、熟語ID621(図11)と、熟語622(図11)と、単語ID631(図12)と、動詞の変化情報として原形632(図12)と、三人称単数現在形633(図12)と、過去形634(図12)と、過去分詞形635(図12)と、現在分詞形636(図12)を登録する。
【0059】
また、コーパス管理部35は、評価に利用する他ホストシステム4へのアクセス情報221に基づいて取得した英文に含まれる単語612と熟語622の出現回数を求め、出現回数613と出現回数623をコーパスDB7に登録する。
【0060】
単語ID611と熟語ID621にはシステムでユニークな番号を生成し、登録する。単語ID631は、単語ID611と同じ値を登録する。
【0061】
ユーザは、実在する人物の場合と、実在しない人物の場合がある。例えばユーザが実在する人物の場合、特定の個人向けに、英文の変換サービスが提供される。この場合、学習状況/計画DB6は随時更新される。ユーザが実在しない人物の場合、特定スキルのモデルユーザが登録され、不特定多数の人から同じユーザ情報で利用される。この場合、学習状況/計画DB6は更新されない。
【0062】
図13に、英文に含まれる単語と、熟語と、文型と、本システムで管理する単語と、熟語と、文型との関係を示す。分類701がシステムで扱う単語と、熟語と、文型の分類である。分類701は、管理対象外の単語・熟語・文型702と、未習得の単語・熟語・文型703と、次に習得する単語・熟語・文型704と、習得済み単語・熟語・文型705とから構成される。システムで管理する単語・熟語・文型706は、未習得の単語・熟語・文型703と、次に習得する単語・熟語・文型704と、習得済み単語・熟語・文型705との集合である。
【0063】
図13には、変換対象の英文を、これに含まれる単語と、熟語と、文型により分類した代表例も表している。英文A711は、分類701の全ての分類を含む英文である。英文B712は、管理対象外の単語・熟語・文型702と、次に習得する単語・熟語・文型704と、習得済み単語・熟語・文型705で構成される英文である。英文C713は、管理対象外の単語・熟語・文型702と、習得済み単語・熟語・文型705で構成される英文である。英文D714は、未習得の単語・熟語・文型703と、次に習得する単語・熟語・文型704と、習得済み単語・熟語・文型705で構成される英文である。英文E715は、次に習得する単語・熟語・文型704と、習得済み単語・熟語・文型705で構成される英文である。英文F716は、習得済み単語・熟語・文型705だけで構成される英文である。
【0064】
学習目的の英文とは、次に習得する単語・熟語・文型704と、習得済み単語・熟語・文型705と、管理対象外の単語・熟語・文型702に分類される単語と、熟語と、文型とで構成された英文であり、次に習得する単語・熟語・文型704の単語又は熟語又は文型は必ず含まれる。例えば英文B712と、英文E715が該当する。
【0065】
理解目的の英文とは、習得済み単語・熟語・文型705と、管理対象外の単語・熟語・文型702に分類される単語と、熟語と、文型とで構成された英文であり、習得済み単語・熟語・文型705の単語又は熟語又は文型は必ず含まれる。例えば英文C713と、英文F716が該当する。
【0066】
なお、本システムでは、難易度の高い英文を難易度の低い英文に変換するだけでなく、難易度の低い英文を難易度の高い英文に変換することもある。例えば、理解目的の英文F716から学習目的の英文E715に変換する。
【0067】
システムで管理する単語・熟語・文型706は、(1) 図10に示す単語612と、(2) 図12に示す原形632と、三人称単数現在形633と、過去形634と、過去分詞形635と、現在分詞形636とに定義されている単語と、(3) 図11に示す熟語622に定義されている熟語と、(4) 図6に示す構文(変換前)412に定義されている文型である。
【0068】
習得済み単語・熟語・文型705は、(1) 図7に示す単語習得状況510において、ユーザ名511と処理対象のユーザが一致し、習得状況514が「習得」に該当する単語513と、(2) 図8に示す熟語習得状況520において、ユーザ名521と処理対象ユーザが一致し、習得状況524が「習得」に該当する熟語523と、ユーザ名531と処理対象のユーザが一致し、習得状況533が「習得」に該当する構文ルールID532と一致する構文ルールID411の構文(変換前)412に定義されている文型である。
【0069】
次に習得する単語・熟語・文型704は、(1) 図7に示す単語習得状況510において、ユーザ名511と処理対象のユーザが一致し、習得状況514が「習得中」に該当する単語513と、(2) 図8に示す熟語習得状況520において、ユーザ名521と処理対象ユーザが一致し、習得状況524が「習得中」に該当する熟語523と、ユーザ名531と処理対象のユーザが一致し、習得状況533が「習得中」に該当する構文ルールID532と一致する構文ルールID411の構文(変換前)412に定義されている文型である。
【0070】
未習得の単語・熟語・文型703は、システムで管理する単語・熟語・文型706に存在し、習得済み単語・熟語・文型705と次に習得する単語・熟語・文型704に存在しない単語・熟語・文型である。
【0071】
[英語学習教材提供システムの処理動作]
次に、英語学習教材提供システムの動作を説明する。なお、図14、図15、図16、図17は、英語→英語変換部32で実行される処理動作の概要を示すフローチャートである。図18は、変換ルール管理部33で実行される処理動作の概要を示すフローチャートである。図19は、コーパス管理部35の概要を示すフローチャートである。
【0072】
図14は、英語→英語変換部32の概要を示すフローチャートである。英語→英語変換部32には、他ホストシステム4から英文を取得する方法、又は、変換対象英文と変換目的が入力される。
【0073】
他ホストシステム4から英文を取得する方法が入力された場合(ステップ801で肯定結果)、英語→英語変換部32は、他ホストシステム情報取得部31経由で入力された他ホストシステム4へのアクセス情報に基づいて、他ホストシステム4から英文情報を取得する(ステップ802)。
【0074】
次に、英語→英語変換部32は、変換目的が学習目的か否かを判定する(ステップ803)。変換目的が学習目的であった場合(ステップ803で肯定結果)、英語→英語変換部32は、図15の処理を実行する(ステップ805)。変換目的が学習目的ではなく、理解目的であった場合(ステップ803で否定結果、かつ、ステップ804で肯定結果)英語→英語変換部32は、図16の処理を実行する(ステップ806)。ステップ805又は806の実行後、英語→英語変換部32は、変換後の英文を返却する。
【0075】
[学習目的の場合の処理動作]
図15に、英語→英語変換部32で実行される学習目的の英文生成処理動作の概要を示す。まず、英語→英語変換部32は、変換対象英文の使用単語と熟語と文型の一覧を作成する(ステップ901)。
【0076】
次に、英語→英語変換部32は、一覧表の中に未習得の単語・熟語・文型703が存在するか否か判定する(ステップ902)。未習得の単語・熟語・文型703が存在する場合(ステップ902で肯定結果)、英語→英語変換部32は、未習得の要素を、次に習得する単語・熟語・文型704の文字列に変換する(ステップ903)。
【0077】
次に、英語→英語変換部32は、未習得の要素が残っているか否か判定する(ステップ94)。未習得の単語・熟語・文型703が残っている場合(ステップ904で肯定結果)、英語→英語変換部32は、未習得の要素を、習得済み単語・熟語・文型705の文字列に変換する(ステップ905)。
【0078】
未習得の要素が残っていない場合(ステップ904で否定結果)又はステップ905の実行後、英語→英語変換部32は、習得済み単語・熟語・文型705を、次に習得する単語・熟語・文型704の文字列に変換する(ステップ906)。
【0079】
この後、英語→英語変換部32は、変換後文書の使用単語と熟語と文型の一覧を作成する(ステップ907)。
【0080】
次に、英語→英語変換部32は、作成された一覧に、未習得の要素が存在しない、かつ、次に習得する要素が含まれるか否か判定する(ステップ908)。習得する単語・熟語・文型704と、習得済み単語・熟語・文型705と、管理対象外の単語・熟語・文型702に分類される単語と、熟語と、文型とで構成された英文であり、かつ、次に習得する単語・熟語・文型704の単語又は熟語又は文型が含まれるならば(ステップ908で肯定結果)、英語→英語変換部32は、変換した文書を端末装置1及び移動端末装置2a、2b、2cに返却する(ステップ909)。一方、ステップ908で否定結果が得られた場合、英語→英語変換部32は、変換不可情報の一覧と共に変換した文書を返却する(ステップ910)。
【0081】
なお、ステップ903において、未習得の単語・熟語が単語熟語(変換前)312(図5)に存在する場合、英語→英語変換部32は、単語熟語(変換後)313(図5)が次に習得する単語・熟語であるなら変換する。これに対し、同ステップにおいて、未習得の文型が構文(変換前)412(図6)に存在する場合、英語→英語変換部32は、構文(変換後)413(図6)が次に習得する文型であるなら変換する。変換動作の詳細は図17に示す。
【0082】
ステップ905において、未習得の単語・熟語が単語熟語(変換前)312(図5)に存在する場合、英語→英語変換部32は、単語熟語(変換後)313(図5)が習得済み単語・熟語であるなら変換する。これに対し、同ステップにおいて、未習得の文型が構文(変換前)412に存在する場合、英語→英語変換部32は、構文(変換後)413(図6)が習得済み文型であるなら変換する。変換動作の詳細は図17に示す。
【0083】
ステップ906において、習得済み単語・熟語が単語熟語(変換前)312(図5)に存在する場合、英語→英語変換部32は、単語熟語(変換後)313(図5)が次に習得する単語・熟語であるなら変換する。これに対し、同ステップにおいて、習得済み文型が構文(変換前)412に存在する場合、英語→英語変換部32は、構文(変換後)413(図6)が次に習得する文型であるなら変換する。変換動作の詳細は図17に示す。
【0084】
[理解目的の場合の処理動作]
図16に、英語→英語変換部32で実行される理解目的の英文生成処理動作の概要を示す。まず、英語→英語変換部32は、変換対象英文の使用単語と熟語と文型の一覧を作成する(ステップ1001)。
【0085】
次に、英語→英語変換部32は、一覧表の中に未習得の単語・熟語・文型703又は次に習得する単語・熟語・文型704が存在するか否か判定する(ステップ1002)。ステップ1002で肯定結果が得られた場合、英語→英語変換部32は、未習得や次に習得する要素を、習得済み単語・熟語・文型705に変換する(ステップ1003)。
【0086】
この後、英語→英語変換部32は、未習得の単語・熟語・文型703がまだ残っているか判定する(ステップ1004)。ステップ1004で肯定結果が得られた場合、英語→英語変換部32は、未習得の要素を、次に習得する単語・熟語・文型704に変換する(ステップ1005)。
【0087】
ステップ1004で否定結果が得られた場合又はステップ1005の実行後、英語→英語変換部32は、次に習得する単語・熟語・文型704を、習得済み単語・熟語・文型705に変換する(ステップ1006)。
【0088】
その後、英語→英語変換部32は、変換後文書の使用単語と熟語と文型の一覧を作成する(ステップ1007)。
【0089】
さらに、英語→英語変換部32は、一覧表中に管理対象外と習得済みの要素だけ存在するか否かを判定する(ステップ1008)。一覧表中に、習得済み単語・熟語・文型705と、管理対象外の単語・熟語・文型702とで構成される単語と、熟語と、文型とで構成されている場合(ステップ1008で肯定結果)、英語→英語変換部32は、変換した文書を、端末装置1及び移動端末装置2a、2b、2cに返却する(ステップ1009)。これに対し、ステップ1008で否定結果の場合、英語→英語変換部32は、変換不可情報一覧と共に、変換した文書を、端末装置1及び移動端末装置2a、2b、2cに返却する(ステップ1010)。
【0090】
なお、ステップ1003において、未習得や次に習得する単語・熟語が単語熟語(変換前)312(図5)に存在する場合、英語→英語変換部32は、単語熟語(変換後)313(図5)が習得済み単語・熟語であるなら変換する。これに対し、同ステップにおいて、未習得や次に習得する文型が構文(変換前)412(図6)に存在する場合、英語→英語変換部32は、構文(変換後)413(図6)が習得済み文型であるなら変換する。変換動作の詳細は図17に説明する。
【0091】
ステップ1005において、未習得の単語・熟語が単語熟語(変換前)312(図5)に存在する場合、英語→英語変換部32は、単語熟語(変換後)313(図5)が次に習得する単語・熟語であるなら変換する。これに対し、同ステップにおいて、未習得の文型が構文(変換前)412(図6)に存在する場合、英語→英語変換部32は、構文(変換後)413(図6)が次に習得する文型であるなら変換する。変換動作の詳細は図17に示す。
【0092】
ステップ1006において、次に習得する単語・熟語が単語熟語(変換前)312に存在する場合、英語→英語変換部32は、単語熟語(変換後)313(図5)が習得済み単語・熟語であるなら変換する。これに対し、同ステップにおいて、次に習得する文型が構文(変換前)412(図6)に存在する場合、英語→英語変換部32は、構文(変換後)413(図6)が習得済み文型であるなら変換する。変換動作の詳細は図17に示す。
【0093】
[単語と熟語の変換処理動作]
図17に、英語→英語変換部32で実行される単語と熟語の変換処理動作の概要を示す。まず、英語→英語変換部32は、変換対象の単語や熟語が、単語熟語(変換前)312(図5)に登録されているか否か判定する(ステップ1101)。
【0094】
ステップ1101で肯定結果が得られた場合、英語→英語変換部32は、単語熟語(変換後)313(図5)の内容が目的とする単語や熟語であるか否かを判定する(ステップ1102)。ステップ1102で否定結果が得られた場合、英語→英語変換部32は、ステップ1107に進む。
【0095】
一方、ステップ1102で肯定結果が得られた場合、英語→英語変換部32は、単語熟語(変更前)312(図5)の内容に動詞が含まれているか否か判定する(ステップ1103)。ステップ1103で否定結果が得られた場合、英語→英語変換部32は、文字列を単語熟語(変更後)313(図5)に置き換える(ステップ1106)。ステップ1103で肯定結果が得られた場合、英語→英語変換部32は、動詞の後ろに出現する名詞が、動詞の活用例231に対応する名詞232に存在し、かつ、出現回数233が閾値を越えているか判定する(ステップ1104)。
【0096】
ステップ1104で肯定結果の場合、英語→英語変換部32は、文字列を単語熟語(変更後)313(図5)に置き換える(ステップ1105)。ここで、動詞の後に出現する名詞とは、例えば「the paper」であれば「paper」という冠詞を除く文字列である。
【0097】
ステップ1101で否定結果、又は、ステップ1102で否定結果、又は、ステップ1104で否定結果、又は、ステップ1105の実行後、又は、ステップ1106の実行後、英語→英語変換部32は、変換対象の文型が、構文(変換前)412に登録されているか否か判定する(ステップ1107)。
【0098】
ステップ1107で肯定結果の場合、英語→英語変換部32は、構文(変換後)413の内容が目的とする文型であるか判定する(ステップ1108)。ステップ1108で肯定結果の場合、英語→英語変換部32は、文字列を構文(変更後)413に置換する(ステップ1109)。
【0099】
例えば、「I can not get rid of the paper.」が変換対象である場合、英語→英語変換部32は、最初に「I」「can」「not」「get」「rid」「of」「the」「paper」に分解する。次に、英語→英語変換部32は、単語熟語(変換前)312の「get rid of [1]」が該当すると判断する(ステップ1101で肯定結果)。さらに、英語→英語変換部32は、単語熟語(変換後)313の「throw [1] away」を目的とする単語や熟語であると判断したら(ステップ1102で肯定結果)、単語熟語(変換前)312の「get rid of [1]」に動詞が含まれると判断し(ステップ1103で肯定結果)、埋め込み文字「[1]」に該当する「the」と「paper」から冠詞の「the」を除外し、「paper」を埋め込み文字とする。そして、英語→英語変換部32は、動詞活用例231「throw [1] away」に対応する名詞232に「paper」が存在するかを評価し、存在しているなら出現回数233が閾値を越えていることを確認したうえで(ステップ1104で肯定結果)、「get」「rid」「of」「the」「paper」を、「throw」「the」「paper」「away」に変換する(ステップ1105)。
【0100】
その結果、英語→英語変換部32は、「I」「can」「not」「throw」「the」「paper」「away」を出力する。この例の場合、評価に使う埋め込み文字は、名詞の「paper」であり、置き換える際の埋め込み文字は「the」「paper」である。例えばこれは、「the」「blue」「paper」の場合であっても、評価に使う埋め込み文字は名詞の「paper」であり、置き換える際の埋め込み文字は「the」「blue」「paper」である。
【0101】
[動詞活用の出現回数のカウント処理動作]
図18に、変換ルール管理部33で実行される動詞活用の出現回数のカウント処理動作の概要を示す。まず、変換ルール管理部33は、単語熟語(変換前)212と単語熟語(変換後)213を取得する(ステップ1201)。
【0102】
次に、変換ルール管理部33は、埋め込み文字が設定されているか否か判定する(ステップ1202)。埋め込み文字が設定されていない場合(ステップ1202で否定結果)、変換ルール管理部33は、ルールID211をルールID311に、単語熟語(変換前)212を単語熟語(変換前)312に、単語熟語(変換後)213を単語熟語(変換後)313に登録する(ステップ1203)。
【0103】
埋め込み文字が設定されている場合(ステップ1202で肯定結果)、変換ルール管理部33は、単語熟語(変換前)212の動詞を、原形632、三人称単数現在形633と、過去形634と、過去分詞形635と、現在分詞形636とに定義されている文字列に置き換えて単語熟語(変換前)312に登録する(ステップ1204)。
【0104】
この後、変換ルール管理部33は、単語熟語(変換後)213の動詞を、原形632、三人称単数現在形633と、過去形634と、過去分詞形635と、現在分詞形636とに定義されている文字列に置き換えて、単語熟語(変換後)313に登録する(ステップ1205)。
【0105】
例えば変換ルール管理部33単語熟語(変換前)212の「get rid of [1]」の「get」を、原形632「get」、三人称単数現在形633「gets」と、過去形634「got」と、過去分詞形635「gotten」と、現在分詞形636「getting」に置き換えて、単語熟語(変換前)312に登録し(ステップ1204)、単語熟語(変換後)213の「throw [1] away」の「throw」を、原形632「throw」、三人称単数現在形633「throws」と、過去形634「threw」と、過去分詞形635「thrown」と、現在分詞形636「throwing」に置き換えて、単語熟語(変換後)313に登録する(ステップ1205)。
【0106】
この後、変換ルール管理部33は、評価に利用する他ホストシステム4へのアクセス情報221を基に、他ホストシステム情報取得部31経由で、評価英文を他ホストシステム4から取得し(ステップ1206)、単語熟語(変換後)313の出現回数をカウントする(ステップ1207)。具体的には、評価英文の動詞の後に出現する名詞の出現回数をカウントする。例えば「the paper」であれば「paper」という文字列を名詞としてカウントする。つまり、評価英文が「He threw the paper away to the garbage can.」の場合、単語熟語(変換後)313「threw [1] away」に対応する名詞として「paper」がカウントされる。
【0107】
評価に利用する他ホストシステムへのアクセス情報221を全て評価したら(ステップ1208)、変換ルール管理部33は、集計した情報を、動詞活用例231と、名詞232と、出現回数233とに登録する(ステップ1209)。
【0108】
[コーパスの出現回数のカウント処理動作]
図19に、コーパス管理部35のコーパスの出現回数のカウント処理動作の概要を示す。まず、コーパス管理部35は、評価に利用する他ホストシステムへのアクセス情報221を基に、他ホストシステム情報取得部31経由で、評価英文を取得し(ステップ1301)、単語612に設定されている文字列をカウントする(ステップ1302)。
【0109】
この後、コーパス管理部35は、評価に利用する他ホストシステムへのアクセス情報221を全て評価していないか判定する(ステップ1303)。評価が完了していない場合(ステップ1303で肯定結果)、コーパス管理部35は、ステップ1301及び1302を繰り返す。評価が完了した場合(ステップ1303で否定結果)、コーパス管理部35は、出現回数613を更新する(ステップ1304)。この後、コーパス管理部35は、熟語622に対応する動詞活用例231の出現回数233を集計し(ステップ1305)、出現回数623を更新する(ステップ1306)。
【0110】
[表示画面例]
図20に、本システムを利用する端末装置1及び移動端末装置2a、2b、2cに設けられた表示装置に表示される画面例1401を示す。上欄は変換前の英文であり、下欄は変換後の英文である。なお、変換後の英文は、学習目的又は理解目的で変換された英文のいずれかが表示される。なお、学習目的と理解目的の両方が表示されてもよい。
【0111】
[他の形態例]
前述の実施の形態においては、学習・習得目的の言語が英語である場合について説明したが、中国語や韓国語など言語の種類を問わないことは言うまでもない。
【0112】
また、上述の実施の形態においては、ホストシステム3が英文レベルを変換するサービスを提供する場合について説明したが、ユーザのコンピュータ上で実行させてもよい。
【符号の説明】
【0113】
1…端末装置
2…基地局
2a、2b、2n…移動端末装置
3…ホストシステム
4…他ホストシステム
5…変換ルールデータベース
6…学習状況/計画データベース
7…コーパスデータベース
8…ネットワーク
31…他ホストシステム情報取得部
32…英語→英語変換部
33…変換ルール管理部
34…学習状況/計画情報管理部
35…コーパス管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の文を取得する文取得部と、
前記第1の文を構成する単語及び/又は熟語及び/又は文型を、変換ルールに従って、前記第1の文と同じ言語で構成される第2の文に変換する文変換部と、
アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報に基づいて前記第1の文の難易度を評価する難易度評価部と、
アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報とユーザの目的と難易度の評価結果に基づいて、前記変換ルールを管理する変換ルール管理部と
を有する語学学習教材提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記ユーザのスキル情報は、実在するユーザについて個別に設定された情報である
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項3】
請求項1に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記ユーザのスキル情報は、実在しない架空のユーザについて設定された情報である
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記ユーザのスキル情報は、ユーザの学習状況及び学習計画の情報を記憶したデータベースと、前記データベースを管理する情報管理部とを有する
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項5】
請求項1に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
評価用の文に含まれる動詞と名詞の組み合わせの発生頻度に基づいて、前記変換ルールを調整する機能部を有する
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項6】
請求項5に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記変換ルールを調整する機能部は、前記変換ルールを登録する処理部と、前記変換ルールに登録されている動詞を、三人称単数現在形、過去形、過去分詞形、現在分詞形に置き換えて検索用の単語や熟語を生成する処理部と、前記評価用の文を取得する処理部と、前記評価用の文に含まれる動詞に関連する名詞を抽出する処理部と、動詞と関連する名詞の組合せについて出現回数を求める処理部と、動詞と関連する名詞の組合せの出現回数が閾値未満の場合、該当する変換ルールを適用しない処理部とを有する
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項7】
請求項1に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記第1の文に含まれる単語と熟語を他の単語や熟語に変換又は削除し、文の難易度を調整する機能部を有する
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項8】
請求項7に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記文の難易度を調整する機能部は、変換ルールを登録する処理部と、前記第1の文に合致する条件がある場合に、単語や熟語を変換する又は削除する処理部とを有する
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項9】
請求項1に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記ユーザの目的は、学習目的である
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項10】
請求項9に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記文変換部は、未習得に分類された前記第1の文の単語、熟語、文型を、ユーザが次に習得する単語、熟語、文型に優先的に変換する処理部と、未習得に分類された前記第1の文の単語、熟語、文型を、習得済みの単語、熟語、文型に変換する処理部とを有する
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項11】
請求項1に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記ユーザの目的は、理解目的である
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項12】
請求項11に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記文変換部は、未習得に分類された第1の文の単語、熟語、文型、及び、次に習得する対象に分類された第1の文の単語、熟語、文型を、習得済みの単語、熟語、文型に変換する処理部を有する
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項13】
請求項1に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
前記難易度評価部は、前記第1の文の使用単語、熟語、文型をカウントする処理部と、
カウントした使用単語、熟語、文型をユーザのスキル情報に応じて分類する処理部とを有する
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項14】
請求項1に記載の語学学習教材提供システムにおいて、
少なくとも前記第2の文をユーザの端末に送信する機能部とを有する
ことを特徴とする語学学習教材提供システム。
【請求項15】
第1の文を取得する処理と、
前記第1の文を構成する単語及び/又は熟語及び/又は文型を、変換ルールに従って、前記第1の文と同じ言語で構成される第2の文に変換する処理と、
アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報に基づいて前記第1の文の難易度を評価する処理と、
アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報とユーザの目的と難易度の評価結果に基づいて、前記変換ルールを管理する処理と
を有する文章変換方法。
【請求項16】
コンピュータに、
第1の文を取得する処理、
前記第1の文を構成する単語及び/又は熟語及び/又は文型を、変換ルールに従って、前記第1の文と同じ言語で構成される第2の文に変換する処理、
アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報に基づいて前記第1の文の難易度を評価する処理、
アクセス時点で登録されているユーザのスキル情報とユーザの目的と難易度の評価結果に基づいて、前記変換ルールを管理する処理
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−72973(P2013−72973A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211439(P2011−211439)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)