説明

誤操作防止装置

【課題】操作盤での作業時に操作者が、必ず注意事項を注視する様にし、操作盤での誤操作を防止する誤操作防止装置を提供する。
【解決手段】注意惹起手段12と注意銘板11とを具備し、前記注意惹起手段は操作ボタン5,6を有する操作パネル4に設けられ、前記注意銘板は前記操作ボタンを操作できる状態で、前記操作パネル以外の場所に設けられ、前記操作ボタンを操作できる状態で前記注意惹起手段は、注意を前記注意銘板に誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作盤に設けられ、操作盤での誤操作を防止する為の誤操作防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人と装置との間の意思伝達手段としてマン−マシンインタフェースである操作盤が設けられ、人が装置に所要の動作をさせる場合、操作盤の入力手段、例えば機能ボタン、テンキー等を介して動作を実行させる。
【0003】
例えば、操作盤が設けられる装置が立体駐車場であった場合、2階、3階等複数階の駐車フロアを有する立体駐車装置で自動車を入庫させる場合は、自動車を入出庫スペースに進入させた後、操作盤により駐車階と駐車スペース番号を入力し、立体駐車装置に自動車の入庫動作を行わせる。或は、出庫する場合は、駐車している駐車スペース番号を前記操作盤から入力し、立体駐車装置に駐車スペース番号から入出庫スペース迄、自動車を出庫させる。
【0004】
又、立体駐車装置では、空間の有効利用を図る為、車高が高い自動車(以下ハイルーフ車)を格納する高車高用駐車フロアと、通常の車高の自動車とを格納する通常駐車フロアとに分けられており、ハイルーフ車は高車高用駐車フロアに駐車する様になっており、通常駐車フロアの駐車スペースにハイルーフ車を駐車しようとすると自動車の屋根が立体駐車装置の構造部材に干渉して、自動車を傷付ける場合がある。
【0005】
この為、立体駐車装置の目立つ所要の場所、例えば、入口、入出庫スペースの柱等に車高の制限、入庫注意等の注意を促す銘板、看板等を設置しているが、入庫作業に注意を集中している状態では、注意事項を見落してしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−30821号公報
【特許文献2】特開2003−221939号公報
【特許文献3】特開2009−191558号公報
【特許文献4】特開2009−191559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる実情に鑑み、操作盤での作業時に操作者が、必ず注意事項を注視する様にし、操作盤での誤操作を防止する誤操作防止装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、注意惹起手段と注意銘板とを具備し、前記注意惹起手段は操作ボタンを有する操作パネルに設けられ、前記注意銘板は前記操作ボタンを操作できる状態で、前記操作パネル以外の場所に設けられ、前記操作ボタンを操作できる状態で前記注意惹起手段は、注意を前記注意銘板に誘導する誤操作防止装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記注意惹起手段が、操作盤の操作パネルに設けられ、前記注意銘板は操作盤の扉の裏面に設けられた誤操作防止装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記注意惹起手段が、前記操作パネルから立設する支持体と、該支持体の上端に設けられた注意惹起銘板から構成され、少なくとも前記支持体は弾性を有する合成樹脂製であり、前記注意惹起銘板が振動可能となっている誤操作防止装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記支持体が、前記扉が閉じられた状態で撓み、該扉が開かれることで復元し、前記注意惹起銘板が振動する誤操作防止装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記注意惹起銘板には、注意惹起語句が記され、該注意惹起語句により前記注意銘板へ注意が向く様に設定された誤操作防止装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記注意惹起銘板に反射剤が塗布され、或は前記注意惹起語句が蛍光塗料で記された誤操作防止装置に係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、注意惹起手段と注意銘板とを具備し、前記注意惹起手段は操作ボタンを有する操作パネルに設けられ、前記注意銘板は前記操作ボタンを操作できる状態で、前記操作パネル以外の場所に設けられ、前記操作ボタンを操作できる状態で前記注意惹起手段は、注意を前記注意銘板に誘導するので、操作する以前に前記注意銘板が視認又注視され、誤操作が防止される。
【0015】
又本発明によれば、前記注意惹起手段は、操作盤の操作パネルに設けられ、前記注意銘板は操作盤の扉の裏面に設けられたので、操作状態で前記注意惹起手段、前記注意銘板が見える状態となり、又前記注意惹起手段の誘導により確実に注意銘板が視認又注視される。
【0016】
又本発明によれば、前記注意惹起手段は、前記操作パネルから立設する支持体と、該支持体の上端に設けられた注意惹起銘板から構成され、少なくとも前記支持体は弾性を有する合成樹脂製であり、前記注意惹起銘板が振動可能となっているので、より注意惹起銘板への注意が惹起され、より確実に操作者の注意が前記注意銘板へ誘導される。
【0017】
又本発明によれば、前記支持体は、前記扉が閉じられた状態で撓み、該扉が開かれることで復元し、前記注意惹起銘板が振動するので、風等の外的要因がなくとも、確実に前記注意惹起銘板が振動し、操作者の注意を確実に惹起する。
【0018】
又本発明によれば、前記注意惹起銘板には、注意惹起語句が記され、該注意惹起語句により前記注意銘板へ注意が向く様に設定されたので、操作者の注意を確実に惹起する。
【0019】
又本発明によれば、前記注意惹起銘板に反射剤が塗布され、或は前記注意惹起語句が蛍光塗料で記されたので、前記注意惹起銘板への注意をより確実に惹起することができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例に係る操作盤を示す斜視図である。
【図2】該実施例に用いられる注意惹起手段を示す斜視図である。
【図3】該注意惹起手段の注意惹起銘板の一例を示す図である。
【図4】前記実施例に用いられる注意銘板の一例を示す図である。
【図5】前記実施例の応用例を示す側面図である。
【図6】(A)(B)は他の実施例の説明図である。
【図7】注意惹起銘板の他の実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0022】
図1は、本発明が実施される操作盤の一例として、立体駐車場の操作盤を示している。
【0023】
操作盤1は、制御部を収納する筐体2と該筐体2に開閉可能に設けられた扉3を有している。図示では、該扉3が開いた状態となっており、前記筐体2には、該筐体2の表面から所要量後退した位置に、操作パネル4が設けられ、該操作パネル4には機能キー5、テンキー6等の操作ボタン、表示部7、鍵8等が設けられている。
【0024】
前記表示部7には、前記機能キー5、前記テンキー6から入力された事項が表示される様になっている。
【0025】
前記扉3の裏面には注意銘板11が貼設され、前記扉3を開いた状態で、前記注意銘板11が操作者の目に留る様になっている。
【0026】
又、前記操作パネル4の所要位置、特に操作者が入力作業を行う場合に、必ず目に留る位置に注意惹起手段12が設けられる。該注意惹起手段12が設けられる位置としては、例えば、前記テンキー6の上部等とし、該テンキー6を操作する場合に、必ず視野に入る位置が好ましい。
【0027】
前記注意惹起手段12について、図2を参照して説明する。
【0028】
該注意惹起手段12は、矢印形状とした注意惹起銘板13と、該注意惹起銘板13を支持する支持体14を有している。
【0029】
前記注意惹起銘板13は、所要の弾性を有する薄板の合成樹脂製、例えば、ポリエチレンテレフタラート製とする。前記注意惹起銘板13の上面には、注意が銘板の方に向く様な注意惹起語句15を記する。記する方法としては、前記注意惹起銘板13の上面に直接注意惹起語句15を印刷する、或は注意惹起語句15を印刷したラベルを前記注意惹起銘板13の上面に貼付ける等である。記する注意惹起語句15としては、例えば図3に示される様に「操作前に見て下さい」であり、又「操作前に車の高さを確認」等である。
【0030】
前記支持体14は、所要の弾性を有する薄板の合成樹脂製、例えば、所要の弾性を有する合成樹脂製、例えば、ポリエチレンテレフタラート製とし、帯板状の部材の上端部14aを前記操作パネル4と平行に折曲げ、下端部14bを前記操作パネル4と平行に且つ前記上端部14aとは逆の方向に折曲げ、全体としてはクランク形状となっている。
【0031】
前記注意惹起銘板13は、前記上端部14aに接着剤、両面テープ或は溶着等所要の手段で固着されている。
【0032】
前記下端部14bは、接着剤或は両面テープ等の所要の手段19で前記操作パネル4に固着されている。前記注意惹起手段12が前記操作パネル4に取付けられた状態では、前記注意惹起銘板13の矢印の先が前記注意銘板11に向く様に設定される。
【0033】
該注意銘板11には、操作上の注意が記されており、例えば図4に示される様に、「赤枠内の駐車スペース(B1)は背の高い車は入庫できません…」等の注意書16、駐車スペースの場所及び駐車スペースの番号を表示する図形17であり、特に入庫できない駐車スペースについては、赤色で表示する(図示ではハッチで示している)等、操作者の注意を引くような表示となっている。
【0034】
前記注意惹起手段12は、前記注意惹起銘板13が錘、前記支持体14が前記注意惹起銘板13を支持するバネ材である、振動系を構成しており、又、前記支持体14は、薄板の合成樹脂製であり、剛性は小さく、前記注意惹起手段12に小さな外力が作用することで、前記注意惹起銘板13は容易に振動する様になっている。
【0035】
以下、作用について説明する。
【0036】
通常、前記扉3は閉じられており、入出庫、例えば入庫する場合は、操作者が前記扉3を開く、該扉3が開かれると正面に前記注意惹起手段12が現れる。前記注意惹起銘板13の注意惹起語句15によって、更に前記注意惹起銘板13の形状によって、操作者の視線が前記注意銘板11に導かれる。
【0037】
上記した様に、前記注意惹起銘板13、前記支持体14、特に支持体14が所要の弾性を有する合成樹脂製であるので、前記扉3が開かれ、前記注意惹起手段12が露出すると風等の影響で、前記注意惹起銘板13が前後に(図2中A矢印方向)、又捻転(図2中B矢印方向)に不規則に揺れる(振動する)。前記注意惹起銘板13が不規則に揺れることで、該注意惹起銘板13が操作者の注意を引く効果が更に増大する。
【0038】
前記扉3の開き状態、上記注意銘板11の貼付け位置によっては、操作者の死角に入り、或は視野から外れる場合があるが、斯かる状態でも、前記注意惹起手段12による誘導によって、操作者は確実に前記注意銘板11を視認又注視する。
【0039】
而して、前記機能キー5、前記テンキー6の誤操作が防止される。
【0040】
図5は、上記実施例の応用例を示しており、該応用例では、前記扉3が閉じられた状態で、前記注意惹起銘板13が前記扉3に押込まれ、前記支持体14が弾性変形し、撓んだ状態となる様に、前記支持体14の高さを設定する。
【0041】
応用例では、操作の為に、前記扉3を開くと、前記支持体14が復元し(図5の2点鎖線で示す状態)、復元によって即ち、負の外力が作用することで前記注意惹起銘板13が振動する(揺れる)。従って、風等の外的な要因が作用しなくとも、前記注意惹起銘板13が揺れ、確実に操作者の注意を引くことができる。
【0042】
上記実施例は、本発明の一例を示すものであり、種々変更が可能である。
【0043】
例えば、図6(A)、図6(B)に示す様に、先端に矢印を有する一枚の帯状部材18をC,Dの2箇所で折曲げ、Z状に成形してもよい。この場合、上辺部と下辺部が平行となり、上辺部が前記注意惹起銘板13として機能し、下辺部が下端部14bとして機能し、該下端部14bが両面テープ、接着剤等により操作パネル4に固着される。
【0044】
或は、図7に示す様に、前記注意惹起銘板13の先端部の矢印の形状の代りに、人の指を模した形状としてもよい。
【0045】
又、前記注意銘板11、前記注意惹起銘板13の表面に反射塗料を塗布してもよく、或は注意惹起語句15、注意書16の文字を蛍光塗料等として、前記注意銘板11、前記注意惹起銘板13が目立つ様にしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 操作盤
2 筐体
3 扉
4 操作パネル
5 機能キー
6 テンキー
7 表示部
8 鍵
11 注意銘板
12 注意惹起手段
13 注意惹起銘板
14 支持体
15 注意惹起語句
16 注意書
17 図形
18 帯状部材
19 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注意惹起手段と注意銘板とを具備し、前記注意惹起手段は操作ボタンを有する操作パネルに設けられ、前記注意銘板は前記操作ボタンを操作できる状態で、前記操作パネル以外の場所に設けられ、前記操作ボタンを操作できる状態で前記注意惹起手段は、注意を前記注意銘板に誘導することを特徴とする誤操作防止装置。
【請求項2】
前記注意惹起手段は、操作盤の操作パネルに設けられ、前記注意銘板は操作盤の扉の裏面に設けられた請求項1の誤操作防止装置。
【請求項3】
前記注意惹起手段は、前記操作パネルから立設する支持体と、該支持体の上端に設けられた注意惹起銘板から構成され、少なくとも前記支持体は弾性を有する合成樹脂製であり、前記注意惹起銘板が振動可能となっている請求項2の誤操作防止装置。
【請求項4】
前記支持体は、前記扉が閉じられた状態で撓み、該扉が開かれることで復元し、前記注意惹起銘板が振動する請求項3の誤操作防止装置。
【請求項5】
前記注意惹起銘板には、注意惹起語句が記され、該注意惹起語句により前記注意銘板へ注意が向く様に設定された請求項1〜請求項5のいずれかの誤操作防止装置。
【請求項6】
前記注意惹起銘板に反射剤が塗布され、或は前記注意惹起語句が蛍光塗料で記された請求項3〜請求項5のいずれかの誤操作防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29647(P2013−29647A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165296(P2011−165296)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)