説明

読み取り装置

【課題】読み取りの前にプレビュー動作を行う必要をなくし、操作労力の低減及び読み取り処理の迅速化を図る。
【解決手段】読み取り装置1は、読み取り対象物2に対向して近接配置される透明材料の第1面11、及び、読み取り対象物2側と反対側に離間して配置される透明材料の第2面12、を備え、読み取り対象物2が第1面11及び第2面12越しに視認可能に構成された装置本体10を有し、第2面12に対する操作者の接触操作を検出し、その検出結果に応じて、接触操作により指定された第2面12の領域範囲を認識する。第1面11は、第2面12側に向かって所望の表示を行い、上記領域範囲に対応した読み取り範囲を表示するよう第1面が制御され、第1面11のうち上記読み取り範囲に対応した読み取り領域を介し、画像Rを読み取るスキャナ部25が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り対象物に対し光学的に読み取りを行う読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
読み取り対象物に対し光学的に読み取りを行う装置として、例えば特許文献1に記載の読み取り装置が知られている。
【0003】
この従来技術の読み取り装置は、略箱状の装置本体(情報処理装置本体)を備えている。装置本体の表側には表示手段(ディスプレイ部)が設けられ、裏側には読み取り手段(スキャナ部)が設けられている。このように、装置本体に表示手段及び読み取り手段を一体化することにより、装置全体の小型化・軽量化が図れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−10645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、光学的に読み取りを行う読み取り装置においては、一般的に、プレビュー動作が必須である。すなわち、読み取り対象物に対し、まず読み取り手段によって読み取りが行われ、当該読み取り結果が表示手段にプレビュー画像として表示される。操作者は、表示手段の上記プレビューを視認した状態で、適宜の操作手段を操作することで、上記プレビュー画像のうち自らが読み取りを行いたい部分を示す操作(例えば当該部分を囲む操作)を行う。これにより、読み取り手段が、読み取り対象物のうち、上記操作に対応した部分に対し再度読み取りを行う。
【0006】
上記のように、光学的に読み取りを行う読み取り装置においては、通常、画像読み取りの前にその都度プレビュー動作を行う必要があった。このプレビュー動作の必要をなくすことができれば、操作労力を低減できるとともに読み取り処理の迅速化を図ることができるが、上記従来技術では、そのような点については特に配慮されていなかった。
【0007】
本発明の目的は、読み取りの前にプレビュー動作を行う必要をなくし、操作労力の低減及び読み取り処理の迅速化を図ることができる読み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明は、読み取り時において読み取り対象物に対向して近接配置される透明材料の第1面、及び、前記第1面から前記読み取り対象側と反対側に離間して配置される透明材料の第2面、を備え、前記第1面に対向して配置された前記読み取り対象が当該第1面及び前記第2面越しに視認可能に構成された装置本体と、前記第2面に対する操作者の接触操作を検出する操作検出手段と、前記検出手段の検出結果に応じて、前記第2面での接触操作により指定された当該第2面の領域範囲を認識する領域認識手段と、前記第1面に設けられ、前記第2面側に向かって所望の表示を行う表示手段と、前記領域認識手段で認識された前記領域範囲に対応した読み取り範囲を表示するよう、前記表示手段を制御する第1表示制御手段と、前記第1面のうち前記読み取り範囲に対応した読み取り領域を介して、前記読み取り対象物を読み取り、対応する画像情報を生成する読み取り手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本願発明の読み取り装置は、読み取り時に読み取り対象物側に配置される第1面と読み取り時に操作者側に位置する第2面とを備えた、装置本体を有する。第1面、第2面は透明材料で構成されている。これにより、装置本体の第1面を読み取り対象物に対向して配置した状態で、操作者は、その反対側に配置された第2面側から、当該第2面及び上記第1面越しに、読み取り対象物を視認することができる。この視認した状態で、操作者は、第2面に対し指先やペンなどを接触させ、上記視認された対象物のうち自らが読み取りを行いたい部分を示す操作(例えば当該部分を囲む操作)を行う。これにより、当該接触操作が操作検出手段によって検出され、さらにその検出結果に基づき上記読み取りを行いたい部分が領域範囲として領域認識手段によって認識される。このとき、当該認識された領域範囲に対応した読み取り範囲が、第1表示制御手段の制御に基づき表示手段により表示されるので、操作者は自らの意図する部分が認識されたことを確認することができる。その後、読み取り手段が、上記認識された領域範囲に対応した第1面の読み取り領域を介し、読み取り対象物を読み取る。
【0010】
以上のようにして、本願発明においては、透明材料で構成された装置本体越しに読み取り対象物を視認しつつ、接触操作によって読み取り領域の設定を行い、画像読み取りを行うことができる。この結果、従来構造のように画像読み取りの前にその都度プレビュー動作を行う必要がなくなるので、操作労力の低減及び読み取り処理の迅速化を図ることができる。
【0011】
また、上記視認の際、読み取り対象物に近い側の第1面に設けた表示手段が表示を行う。これにより、操作者側の第2面に表示手段を設ける場合に比べ、操作者の見る角度の違い等による、読み取り対象物の実際に読み取りが行われる部分と表示手段が表示する読み取り範囲との位置ずれの発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、読み取りの前にプレビュー動作を行う必要をなくし、操作労力の低減及び読み取り処理の迅速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による読み取り装置を表す斜視図である。
【図2】読み取り装置の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図3】読み取り対象物が配置された状態の読み取り装置を表す平面図である。
【図4】第1面に対し所定のマスキング表示を行った状態の読み取り装置を表す平面図である。
【図5】第1面に対し所定のマスキング表示を行った状態の読み取り装置を表す斜視図である。
【図6】第1面に対し所定のマスキング表示を行った状態で読み取りが行われている状態を表す平面図である。
【図7】第1面に対し所定のマスキング表示を行った状態で読み取りが行われている状態を表す平面図である。
【図8】読み取り終了後に第1面にコメント欄を表示した状態の読み取り装置を表す平面図である。
【図9】読み取り装置によって画像を読み取る際に処理制御部のCPUによって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図10】読み取り装置を上下逆さまで使用する場合の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0015】
本実施形態の読み取り装置を図1及び図2を用いて説明する。本実施形態の読み取り装置1は、読み取り対象物2を読み取るための直方体状の装置本体10を備えている。
【0016】
装置本体10は、その上下面を除く周囲を読み取り装置1の筐体3によって囲まれている。筺体3の長手方向一方側(図1では右側)には、装置本体10に隣接する処理制御部4が内側に設けられている。筐体3のさらに外側の長手方向一方側の側面には、USBケーブル等を介してプリンタ、パーソナルコンピュータなどの外部機器が接続される外部接続部6が設けられている。筐体3の上記処理制御部4の上面には、電源ボタン5a、読み取り開始ボタン5b(開始操作手段)、コメントボタン5c等を含む各種操作ボタン5が設置されている(後述の図3も参照)。
【0017】
処理制御部4は、CPU20と、RAM21と、ROM22と、インターフェース(図中では「I/F」と略記している)23と、スキャナ部(読み取り手段)25とを有している。
【0018】
スキャナ部25は、読み取り対象物2を公知の方式で1ラインごとに読み取り、読み取った画像に対応する画像信号を生成する。
【0019】
CPU20は、RAM21の一時記憶機能を利用しつつ、ROM22に記憶されたプログラムを実行することにより、読み取り装置1全体の動作を制御する。ROM22には、読み取り装置1の制御上必要な各種プログラム(後述の図9のフローを実行するためのプログラムを含む)が格納されている。
【0020】
インターフェース23は、読み取り対象物2から読み取られた画像を、パーソナルコンピュータやプリンタ等の外部機器24に提供するためのインターフェースである。このインターフェース23は、例えば、Universal Serial Bus(USB)接続のためのUSBインターフェースや、SDカードなどのメモリカードスロットや、無線又は有線のネットワークインターフェースなどから構成され、外部接続部6に接続されている。
【0021】
また、上記装置本体10は、読み取り時に読み取り対象物2に対向して近接配置される第1面11(図1では下側に位置する)と、上記第1面11から読み取り対象物2側と反対側に離間して配置される操作者側となる第2面12(図1では上側に位置する)とを備えている。そして、これら第1面11及び第2面12は、透明材料で構成されている。
【0022】
上記第1面11は、表示手段としての表示機能を有するとともに、処理制御部4に設けられたスキャナ部25が読み取り対象物2を読み取る際、スキャナ部25が第1面11を介して読み取り対象物2を読み取れるように構成されている。上記第2面12は操作機能を有する公知のタッチパネルとして構成されている。
【0023】
上記構成において、読み取り装置1を使用して読み取り対象物2を読み取る際には、読み取り対象物2上で装置本体10の第1面11が読み取り対象物2に対向して配置される。これにより、図3に示すように、操作者は、読み取り対象物2の反対側に配置された第2面12側から、当該第2面12及び上記第1面11越しに、読み取り対象物2、特に当該読み取り対象物に記録された画像R(この例ではひらがなの五十音表)を、視認することができる。
【0024】
そして、その視認した状態で、操作者は、第2面12に対し指先やペンなどを接触させ、上記視認された画像Rのうち自らが読み取りを行いたい部分R1(この例では、五十音表の「か」の段から「ほ」の段までの部分)を指定する操作、例えば当該部分を囲む操作を行う。すると、第2面12に対する当該接触操作が処理制御部4によって検出され、さらにその検出結果に基づき上記読み取りを行いたい部分R1(すなわち指定した画像部分)が第2面12上の領域範囲として処理制御部4によって認識される。また、処理制御部4の制御に基づき第1面11に、上記第2面12上の認識された領域範囲に対応した読み取り範囲を囲む例えば枠13が(第2面12側に向かって)表示される。これにより、操作者は第2面12越しに自らの意図する部分が認識されたことを確認することができる。
【0025】
その後、操作者が、読み取り装置1の読み取り開始ボタン5bを押すことで、処理制御部4に対し読み取り動作の開始が操作指示される。これにより、スキャナ部25は、上記第1面11のうち上記第2面12の読み取り範囲に対応した読み取り領域を介して、当該読み取り領域より小さな移動窓領域16を読み取り領域の全域にわたって(この例では図示左側へと)順次移動させる(白抜き矢印参照)。さらにその移動窓領域16を移動させつつ、スキャナ部25は、読み取り対象物2に記録された画像Rの五十音表を「か」の段から「ほ」の段までの部分R1を走査して順次読み取り、画像情報を生成する。その読み取る際、処理制御部4により第1面11が制御されて、図4及び図5に示すように、第1面11のうち、順次移動する移動窓領域16に対応する領域以外の領域にマスキング表示14が行われる。すなわち、スキャナ部25による読み取りが行われない部分はマスキング表示14を行う一方、スキャナ部25により上記のように順次読み取りが行われる部分については、移動窓領域16の移動に追従してマスキング表示14を行わないようにする(図6及び図7参照)。これにより、光の乱反射を最小限に抑制しつつ、スキャナ部25による読み取りを行うことができる。読み取りによって生成された画像情報、すなわち五十音表の「か」の段から「ほ」の段までの部分R1の文字は、図8に示すように、第1面11に表示される。読み取り対象物2は、上記読み取りが終了したら、読み取り装置1から取り去ることができる。
【0026】
そして、操作者が、上記生成された画像情報に対しコメントを追加したい場合には、読み取り装置1の上記コメントボタン5cを押すことにより、第1面11に表示された文字の余白部、図では左側の部分にコメント欄15が区画される。これにより、操作者が、指先やペンで第2面12に接触してコメント欄15にコメントを書き入れることができる。すなわち、操作者が指先やペンでコメント欄15に対応する第2面12の領域に対し接触操作すると、処理制御部4によって当該操作が検出され、当該検出結果に応じたコメントの文字認識が行われる。そして、処理制御部4の制御により、第1面11に、上記認識されたコメントの文字が表示される。この例では、「○○月××日△△にてスキャン」の文字C1がコメント内容として表示されている。
【0027】
なお、上記のようにして認識された文字に対応したテキスト情報(すなわち、「○○月××日△△にてスキャン」のテキストデータ)はさらに、処理制御部4によって、上記生成された画像情報に対して適宜の関連づけ(例えば同一フォルダへの格納)によって追加される。あるいは、上記生成された画像情報と合成するようにしてもよい。このようにしてコメントのテキスト情報が追加された(または合成された)画像情報は、処理制御部4のメモリに記憶されるとともに、読み取り装置1の外部接続部6に接続されたプリンタあるいはパーソナルコンピュータ等の外部機器へ出力される。
【0028】
上記手法を実行するために処理制御部4のCPU20が実行する制御内容を、図9を用いて説明する。
【0029】
操作者は、読み取り処理を行うにあたり、装置本体10の第1面11が読み取り対象物2に対向するように読み取り対象物2をセットする。前述したように、この状態で、操作者は、装置本体10の第2面12側から、第2面12及び第1面11越しに、読み取り対象物2、特に記録された画像Rを視認することができる。そして、操作者が、例えば読み取り装置1の電源スイッチ5aをオンすることにより、図9のフローが開始される。
【0030】
まず、ステップS5において、CPU20は、第2面12に対する接触操作の検出を行う。なお、このステップS5の手順が各請求項記載の操作検出手段として機能する。
【0031】
その後、ステップS10で、CPU20は、ステップS5の検出結果に基づき、操作者が指先やペンにより第2面12上に接触操作したか否かを判定する。接触操作がない場合は判定が満たされず、ステップS5に戻り上記同様の手順を繰り返す。前述したように、操作者が、第2面12側から視認された画像Rのうち自らが読み取りを行いたい部分を第2面12上で接触操作すると、ステップS10の判定が満たされ、ステップS15に移る。
【0032】
ステップS15では、CPU20は、上記ステップS5及びステップS10での接触操作の検出結果に基づき、上記操作された範囲(上記操作者が読み取りを行いたい部分に相当)を領域範囲として認識する。なお、このステップS15の手順が各請求項記載の領域認識手段として機能する。
【0033】
その後、ステップS20で、CPU20は、第1面11に制御信号を出力して、認識された領域範囲を囲むような枠13を第1面11に表示させる(上記図3参照)。これにより、操作者は自らの意図する部分が認識されたことを確認することができる。なお、ステップS20の手順が各請求項記載の第1表示制御手段として機能する。
【0034】
そして、ステップS25において、CPU20は、読み取り開始ボタン5bを介し操作者により読み取り動作の開始を指示する操作指示があったか否かを判定する。操作者が読み取り開始ボタン5bを押さなければ判定が満たされず、ステップS5に戻って上記同様の手順を繰り返す。操作者が、読み取り開始ボタン5bを押すと判定が満たされ、ステップS30に移る。
【0035】
ステップS30では、CPU20は、第1面11に制御信号を出力して、第1面11のうちスキャン動作のために予め用意されている所定の移動窓領域16(例えば1ライン分の幅を備えている)に対応する領域以外の領域にマスキング表示14を行わせる(上記図4参照)。これにより、操作者が指定した領域範囲に基づく読み取りの際、光の乱反射を最小限に抑制し、読み取り精度の低下を防止することができる。なお、ステップS30の手順が各請求項記載の第2表示制御手段として機能する。
【0036】
その後、ステップS35で、CPU20は、スキャナ部25及び第1面11に制御信号を出力して、移動窓領域16を読み取り領域の全域にわたって順次移動させつつ、第1面11のうち上記第2面12の読み取り範囲に対応した読み取り領域を介して、読み取り対象物2に記録された画像Rのうち指定した画像部分(読み取りを行いたい部分R1)を読み取り、対応する画像情報を生成する。その後、ステップS40に移る。
【0037】
ステップS40では、CPU20は、ステップS15で認識された領域範囲の読み取りが完了したか否かを判定する。認識された領域範囲の読み取りが完了していなければ判定が満たされず、ステップS30へ戻って上記同様の手順を繰り返す。認識された領域範囲の読み取りが完了すればステップS40の判定が満たされ、ステップS45に移る。
【0038】
ステップS45では、CPU20は、第1面11に制御信号を出力して、ステップS40での読み取りにより生成された画像情報を第1面11に表示する。その後、ステップS50に移る。
【0039】
ステップS50では、CPU20は、操作者によりコメントボタン5cが押されたか否かを判定する。操作者がコメントボタン5cを押さなければ判定が満たされず、後述のステップS80に移る。操作者がコメントボタン5cを押すと判定が満たされ、ステップS55に移る。
【0040】
ステップS55では、CPU20は、第1面11に表示されたコメント欄15に対する、操作者による第2面12上での指先やペンを用いた接触操作を検出する。その後、ステップS60に移る。なお、このステップS55の手順が各請求項記載の操作検出手段として機能する。
【0041】
ステップS60では、CPU20は、接触操作の検出結果に応じたコメントの文字認識を行う。その後、ステップS65に移る。なお、このステップS60の手順が各請求項記載の文字認識手段として機能する。
【0042】
ステップS65では、CPU20は、第1面11に制御信号を出力して、第1面11のコメント欄15にステップS60で認識された文字を表示させる。その後、ステップS70に移る。なお、このステップS65の手順が各請求項記載の第3表示制御手段として機能する。
【0043】
ステップS70では、CPU20は、操作者による第1面11のコメント欄15へのコメントの書き込みが完了したか否か(具体的には、例えばコメントボタン5cを再度押したかどうか)を判定する。操作者によりコメントボタン5cがまだ押されていなければ判定が満たされず、ステップS55に戻り、同様の手順を繰り返す。操作者によるコメントの書き込みが完了して、操作者がコメントボタン5cを再度押した場合には判定が満たされ、ステップS75に移る。
【0044】
ステップS75では、CPU20は、ステップS60で文字認識されたコメントの文字に対応するテキスト情報を、ステップS35での読み取りで生成された画像情報に対し適宜の関連づけ(例えば同一フォルダへの格納)によって追加する。あるいはテキスト情報を上記画像情報と合成してもよい。これにより、コメントのテキスト情報と関連づけられた(あるいは合成された)画像情報を生成する。なお、このステップS75の手順が各請求項記載のテキスト処理手段として機能する。
【0045】
その後、ステップS80で、CPU20は、ステップS75でテキスト情報と関連づけられた(合成された)画像情報を、読み取り装置1の外部接続部6に接続されたプリンタあるいはパーソナルコンピュータ等の外部機器24へ出力する。その後、このフローを終了する。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の読み取り装置1は、読み取り時に読み取り対象物2側に配置される第1面11と読み取り時に操作者側に位置する第2面12とを備えた、装置本体10を有する。第1面11、第2面12を含み、装置本体10の全体が透明材料で構成されている。これにより、装置本体10の第1面11を読み取り対象物2に対向して配置した状態で、操作者は、その反対側に配置された第2面12側から、当該第2面12及び上記第1面11越しに、読み取り対象物2、特に記録された画像Rを視認することができる。この視認した状態で、操作者は、上述したようにして、第2面12に対し指先やペンなどを接触させ、上記視認された画像Rのうち自らが読み取りを行いたい部分R1を示す操作(例えば当該部分を囲む操作)を行う。これにより、当該接触操作の検出結果に基づき上記読み取りを行いたい部分R1が領域範囲として認識される。その後、スキャナ部25が、上記認識された領域範囲に対応した第1面11の読み取り領域を介し、読み取り対象物2に記録された画像Rの読み取りを行いたい部分R1を読み取る。
【0047】
このように、本実施形態においては、透明材料で構成された第1面11、第2面12越しに読み取り対象物2を視認しつつ、接触操作によって読み取り領域の設定を行い、画像読み取りを行うことができる。この結果、従来構造のように画像読み取りの前にその都度プレビュー動作を行う必要がなくなるので、操作労力の低減及び読み取り処理の迅速化を図ることができる。
【0048】
また、上記視認の際、読み取り対象物2に近い側の第1面11が表示を行う。これにより、操作者側の第2面12が表示を行う場合に比べ、操作者の見る角度の違い等による、読み取り対象物2の実際に読み取りが行われる部分と表示する読み取り範囲との位置ずれの発生を抑制することができる。
【0049】
また、本実施形態では特に、スキャナ部25による読み取り動作の開始を操作指示するための読み取り開始ボタン5cを有する。これにより、操作者は、第1面11において自らの意図する部分が認識されたことを確認した後、読み取り開始ボタン5cを操作して読み取り動作を実行させることができる。
【0050】
また、本実施形態では特に、読み取り開始ボタン5cにより読み取り動作の開始の操作指示があった場合に、処理制御部4により、第1面11のうち、順次移動する移動窓領域16に対応する領域以外の領域にマスキング表示14を行わせる。これにより、スキャナ部25が、操作者が指定した領域範囲に対応した読み取り範囲の読み取りを、移動窓領域16を移動させながら行うときの、光の乱反射を最小限に抑制し、読み取り精度の低下を防止することができる。
【0051】
また、本実施形態では特に、操作検出結果に応じて文字認識が行われ、処理制御部4の制御により、第1面11において上記認識された文字が表示される(ステップS65参照)。そして、上記認識された文字に対応したテキスト情報が、ステップS75において画像情報に対し対応づけられる(又は合成される)。これにより、操作者は、読み取り対象物2のうち自らの意図する部分の読み取り動作を実行させるとき、当該読み取り結果の画像情報に対し所望のコメントや情報等をテキスト情報として追加したり合成することができる。この結果、操作者にとっての利便性をさらに向上することができる。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0053】
例えば、上記図9のステップS50〜ステップS70において、操作者により入力されたコメントの文字を認識し、ステップS75でその認識結果を画像情報と対応づけるようにしたが、これに限られない。すなわち、画像情報に対応づけるものを、上記コメントのような文字に限られず、操作者が指先やペンを用いた接触操作でフリーハンドで第2面12に書いた、手書きやイラスト等の軌跡を上記ステップS60でCPU20が認識するようにしてもよい(軌跡認識手段としての機能)。この場合、CPU20が第1面11に制御信号を出力することにより(第4表示制御手段としての機能)、上記ステップS65で、上記認識された軌跡が第1面11に表示される。そして、上記ステップS70を経てステップS75で、上記ステップS60で認識されたイラスト等の軌跡に対応する情報(イメージ情報)を、ステップS35での読み取りで生成された画像情報に対し適宜の関連づけ(例えば同一フォルダへの格納)によって追加する。あるいはイラスト等のイメージ情報を上記画像情報と合成してもよい。これにより、手書きやイラスト等のイメージ情報と関連づけられた(あるいは合成された)上記画像情報が生成される。これにより、操作者にとっての利便性をさらに向上することができる。
【0054】
また例えば図10に示すように、読み取り装置1を上下逆さまに使用して(図10では筐体3を省略して図示している)もよい。この場合、装置本体10の上側の面となった第1面11が読み取り対象物2に対向配置され、読み取り対象物2に記録されている画像のうち読み取りを行いたい部分を操作者が接触操作する。これにより、接触操作で指定された領域範囲が認識されて、第1面11に認識された領域範囲に対応した読み取り範囲を囲む枠13が表示されるとともに、スキャナ部25によって当該読み取り範囲が読み取られる。この場合も、上記実施形態と同様、画像読み取りの前にその都度プレビュー動作を行う必要なく、画像を読み取ることができる。
【0055】
また例えば、上記読み取り装置1の構成を、パソコン等の操作端末に接続されて動作するスキャナに適用し、読み取り動作を操作端末側の操作指示により開始するようにしてもよい。この場合も、上記同様の効果を得る。
【0056】
なお、以上において、図9に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0057】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 読み取り装置
2 読み取り対象物
3 筐体
4 処理制御部
5b 読み取り開始ボタン
5c コメントボタン
10 装置本体
11 第1面(表示手段)
12 第2面
13 枠
14 マスキング表示
15 コメント欄
16 移動窓領域
20 CPU
25 スキャナ部(読み取り手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取り時において読み取り対象物に対向して近接配置される透明材料の第1面、及び、前記第1面から前記読み取り対象側と反対側に離間して配置される透明材料の第2面、を備え、前記第1面に対向して配置された前記読み取り対象が当該第1面及び前記第2面越しに視認可能に構成された装置本体と、
前記第2面に対する操作者の接触操作を検出する操作検出手段と、
前記検出手段の検出結果に応じて、前記第2面での接触操作により指定された当該第2面の領域範囲を認識する領域認識手段と、
前記第1面に設けられ、前記第2面側に向かって所望の表示を行う表示手段と、
前記領域認識手段で認識された前記領域範囲に対応した読み取り範囲を表示するよう、前記表示手段を制御する第1表示制御手段と、
前記第1面のうち前記読み取り範囲に対応した読み取り領域を介して、前記読み取り対象物を読み取り、対応する画像情報を生成する読み取り手段と、
を有することを特徴とする読み取り装置。
【請求項2】
請求項1記載の読み取り装置において、
前記読み取り手段による前記読み取り動作の開始を操作指示するための開始操作手段を有する
ことを特徴とする読み取り装置。
【請求項3】
請求項2記載の読み取り装置において、
前記読み取り手段は、
前記読み取り領域より小さな移動窓領域を当該読み取り領域の全域にわたって順次移動させつつ、当該移動窓領域を介し前記読み取り対象物の前記画像の読み取りを順次行い、
かつ、
前記開始操作手段により前記操作指示があった場合に、前記第1面のうち、順次移動する前記移動窓領域に対応する領域以外の領域にマスキング表示を行うように、前記表示手段を制御する第2表示制御手段を設けた
ことを特徴とする読み取り装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の読み取り装置において、
前記操作検出手段の検出結果に応じた文字認識を行う文字認識手段と、
前記文字認識手段で認識された文字を表示するよう、前記表示手段を制御する第3表示制御手段と、
前記文字認識手段で認識された文字に対応したテキスト情報を、前記読み取り手段により生成された前記画像情報に対し追加する又は前記画像情報と合成する、テキスト処理手段と、
を有することを特徴とする読み取り装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の読み取り装置において、
前記操作検出手段の検出結果に応じた軌跡認識を行う軌跡認識手段と、
前記軌跡認識手段で認識された軌跡を表示するよう、前記表示手段を制御する第4表示制御手段と、
前記軌跡認識手段で認識された軌跡に対応した軌跡情報を、前記読み取り手段により生成された前記画像情報に対し追加する又は前記画像情報と合成する、軌跡処理手段と、
を有することを特徴とする読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−231329(P2012−231329A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98650(P2011−98650)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】