説明

読み取り/書き込みチップ、ヘッドおよび装置、およびその使用法、およびその製造方法

本発明は、導電性材料のコーティング(9)で覆われた耐火材料の芯(3)からなり、トンネル顕微鏡法によって表面(17a)に関する情報を取得するために、トンネル効果による外部顕微鏡の針の形状を有するニードル状に構成された、読み取り/書き込みチップに関する。ニードル(2)は、導電性材料の層(9)から荷電粒子を放出して、表面を形成する。チップは、液化されてチップに沿って流れることのできるリザーバ(11)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み取り/書き込み装置のチップおよびヘッド、読み取り/書き込み装置、および当該装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
論文「ナノテクノロジーのための改良されたガリウム液体金属イオン源(An improved gallium liquid-metal ion source geometry for nanotechnology)」(Van Es et al., Microelectronic Engineering 73-74, (2004); 132-138)には、液体金属イオン源の一例が記載されている。このようなイオン源は、一般に、導電性材料(この論文ではガリウム)の層で部分的に覆われた耐火材料(この論文ではタングステン)の芯で形成されたニードル状に構成されたチップを有しており、
前記ニードルが、ニードルに電位を印加するための発電機との接続部を有し、
前記ニードルが、表面を有する導電性基板にそれ自体が面している静電光学システム内に配置されるようになっており、
前記ニードルが、発電機によって基板とニードルとの間に印加される電位差の影響下で、第1の極性の荷電粒子を導電性材料の層から基板の表面の方向に放出して、基板の表面を形成するようになっており、
前記チップが、層を形成する導電性材料の予備を有し、層と流体連通するリザーバと、熱発生装置(この論文では発電機)に接続され、熱発生装置の作動下で、リザーバに含有されている導電性材料を液化してチップに沿って流すようになっている伝熱装置と、をさらに有している。
【0003】
このような方法で使用されるニードルは、一般に(直径が0.4ミリメートル程度の)粗い形状を有している。これによって、イオンビームを発生させ、および/または、基板上に約10または100ナノメートル程度のサイズで材料を蓄積させることができる。チップから基板上へと材料が失われると腐食が起こるが、その腐食は、伝熱装置によって流体状に維持されている材料がリザーバから流れることにより補償される。
【0004】
さらに、カルバートソン(Culbertson)らの論文「高強度ガリウムイオン源のアトムプローブ電界イオン顕微鏡法(Atom-probe field-ion microscopy of a high intensity gallium ion source)」には、上述した種類のチップが開示されており、そこでは、堆積させる材料の融点より低い温度でイオン放出が行われている。したがって、固相の金属からのイオン放出を実施することが可能となっている。このようなチップでは、ほぼ原子精度で、基板の表面を形成することが可能である。しかし、このようなイオン源の自立性は、ニードル上にあるときには蒸発すべき材料が固体的性質を有するため、比較的限定的なままである。この固体的性質によって、ニードルの活性部位への材料の流れが妨げられ、その結果、この種のチップではリザーバは使用されない。
【0005】
さらに、ビーニッヒ(Binnig)およびローラー(Rohrer)は、例えば「走査型トンネル顕微鏡法−誕生から青年期まで(Scanning tunneling microscopy- from birth to adolescence)」(Review of Modem Physics, vol. 59, no 3, Part 1, July 1987)において、発電機に接続されたチップを備えたトンネル効果を用いた電子顕微鏡を示しており、その発電機は、チップと基板との間で電位差を発生させ、それによりチップにおける電子の剥離を可能している。このような顕微鏡は、チップと基板との間を流れる電流を測定することによって基板の表面に関するデータ項目を決定することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これらの機能は、現在のところ別個の装置によって実施されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、主として、導電性材料の層で少なくとも部分的に覆われた耐火材料の芯で形成されたニードル状に構成された読み取り/書き込みチップに関し、
前記ニードルが、前記ニードルに電位を印加するための発電機との接続部を有し、
前記ニードルが、表面を有する導電性基板に近接した動作位置に配置されるようになっており、
前記ニードルが、トンネル顕微鏡の針の幾何学的外形を有し、読み取りモードでは検出システムに接続されて、前記発電機によって前記基板と前記ニードルとの間に印加される第1の電位差の影響下で、トンネル顕微鏡法によって前記表面に関するデータ項目を取得するようになっており、
前記ニードルが、書き込みモードでは、前記発電機によって前記基板と前記ニードルとの間に印加された、前記第1の電位差とは逆の符号を有する第2の電位差の影響下で、第1の極性の荷電粒子を前記導電性材料の前記層から前記基板の前記表面の方向に放出して、前記基板の前記表面を形成するようになっており、
前記チップが、前記層を形成する前記導電性材料の予備を有し、前記層と流体連通するリザーバと、作動時には前記リザーバに含有されている前記導電性材料を液化して前記チップに沿って流すようになっている伝熱装置と、をさらに有している。この材料は、毛細管現象によって、チップに沿って流れることになる。
【0008】
これらの構成のために、単一のチップを、基板の表面特性の読み取り操作を実施するためのトンネル顕微鏡のチップと、液体または固体金属イオンの供給源として基板の表面を形成する書き込みチップの両方として、使用することができる。このようなチップは、書き込み段階と読み取り段階を交互に行うことが容易に可能であるという利点を有しており、このことは、外付けの顕微鏡システムを使用する必要なく書き込みが行われる場所を容易に見つけられるようにするために、実用上有用である。
【0009】
読み取り機能から書き込み機能に切り換えるには、チップと基板との間に印加される電位差を反転させるだけでよい。
【0010】
液体金属イオン放出モードで書き込みを行う場合には、芯を覆う金属が流動することで、以後の読み取りに依然として適したチップ形状を維持することが可能となる。
【0011】
(より低い温度での)固体金属イオン放出モードで書き込みを行った後は、チップが局所腐食効果を受けることがあり得る。伝熱装置によって、チップの再生工程が実施可能であり、読み取りモードに適したチップの初期の幾何学的形状に回復することが可能となる。
【0012】
その結果、本発明は、従来はそれぞれが独立した手段で実施されていた3つの機能を実施することのできるチップを提案する。
【0013】
本発明の好適な実施形態では、以下の構成のうちのいずれかを任意に利用することも可能である。すなわち、
−前記ニードルが、前記表面に面して配置されるようになっている尖端部を有し、該尖端部が、約0.1から2マイクロメートル(μm)までの間の曲率半径を有しており;
−前記芯が、0.1から0.4ミリメートル(mm)までの間の直径を有するテーパー状の本体を有し、該本体が、前記本体からの距離が離れるにつれて直径が小さくなるテーパー状の端部を通じて延びており;
−前記芯が、前記層の前記導電性材料の融点より実質的に高い融点を有する材料で作られており、
−前記伝熱装置が、作動時に、前記ニードルおよび前記リザーバを、前記導電性材料の融点と前記芯材料の融点との間の温度にするようになっており;
−前記芯が、縦方向マイクロチャネル状の粗さを有する柱状材料で作られており、前記縦方向マイクロチャネルによって、前記導電性材料の融点と前記芯材料の融点との間の前記温度で液化された前記導電性材料の前記芯に沿った流れと、毛細管現象による前記導電性材料の前記芯上での滞留とが共に可能になるようにされており;
−前記リザーバが前記層と流体連通して前記ニードルを取り囲んでいる気泡状の前記導電性材料を有し、前記伝熱装置がフィラメントを有し、該フィラメントが、
−前記ニードルを取り囲み、前記導電性材料からなる前記リザーバ内に浸漬された少なくとも1つの巻きと、
−ジュール効果によって前記リザーバの前記導電性材料を液化するように前記フィラメントに電力を流すことができる発電機との接続部と、を有しており;
−第1の極性の前記荷電粒子がカチオンである。
【0014】
他の態様によれば、本発明は、少なくとも1つの上記のチップを支持する支持体を有し、該支持体が、前記ニードルの前記接続部と電気的に接続され、前記ニードルに電位を印加するための前記発電機に接続されるようになっている、第1の接続帯を有する、読み取り/書き込み装置ヘッドに関する。
【0015】
他の態様によれば、本発明は、上記のチップをそれぞれが支持する複数の支持体を有し、該各支持体が、前記各ニードルの前記接続部と電気的に接続され、前記各ニードルに独立した電位を印加するための前記発電機に接続されるようになっている、第1の接続帯を有する、読み取り/書き込み装置ヘッド。
【0016】
他の態様によれば、本発明は、
−上記の読み取り/書き込み装置ヘッドと、
−前記各チップに面する前記表面部を有する前記基板を受け入れるようになっているサンプルホルダと、
−前記チップと前記表面とを相対的に移動させることができる変位システムと、
−前記チップと該チップに対向して面する前記表面部との間に、独立した前記第1の電位差および該第1の電位差とは逆の符号を有する独立した前記第2の電位差を印加するために前記各チップの前記接続部に接続され、前記伝熱装置を作動させるために前記伝熱装置と電気的に接続されている前記発電機と、を有する、読み取り/書き込み装置に関する。
【0017】
好ましい実施形態では、上記の装置が、前記ニードルと電気的に接続されて、前記第1の電位差の影響下でトンネル顕微鏡法によって前記表面に関するデータ項目を取得するようになっている、前記検出システムを備えるようにすることも可能である。
【0018】
他の態様によれば、本発明は、
(a)上記の読み取り/書き込みチップが、前記表面を有する前記導電性基板に近接した動作位置に配置され、
(b)前記発電機が、前記第1の電位差とは逆の符号を有する前記第2の電位差を前記基板と前記ニードルとの間に印加し、前記基板の前記表面を形成するために、前記ニードルが、前記第1の極性の前記荷電粒子を前記導電性材料の前記層から前記基板の前記表面の方向に放出する、書き込み方法に関する。
【0019】
特定の実施形態では、以下の構成のうちのいずれかを設けることもできる。すなわち、
−段階(b)において、前記第2の電位差の影響下で、前記チップの前記層から剥離された導電性金属の粒子が前記表面に堆積することによって、前記表面が形成され;
−段階(b)において、前記伝熱装置が、前記チップに沿って前記リザーバに含有されている前記導電性材料を固体状態で保持し;
−段階(b)において、前記第2の電位差の影響下で、前記チップの前記層から剥離された導電性金属の粒子の衝撃によって前記表面を食刻することによって、前記表面が形成され;
−段階(b)において、前記伝熱装置が、前記チップに沿って前記リザーバに含有されている前記導電性材料を液体状態で保持し;
−前記発電機が、前記リザーバおよび前記層の前記導電性材料を液体状態で保持するのに十分な電力を前記伝熱装置に印加し;
−段階(a)において、各ニードルに独立した電位を印加するための前記発電機にそれぞれが接続された、複数の上記の読み取り/書き込みチップが、前記表面を有する前記導電性基板に近接した動作位置に配置され、
段階(b)が前記各ニードルについて独立して実施され;
−2つの連続する段階(b)の間に、前記基板と少なくとも1つの前記チップとの相対的な移動が行われる。
【0020】
他の態様によれば、本発明は、前記伝熱装置によって前記リザーバに含有されている前記導電性材料が液化され前記チップに沿って流される段階(c)が実施される、上記の読み取り/書き込みチップの再生方法に関する。
【0021】
他の態様によれば、本発明は、
(d)上記のチップが、前記表面を有する前記導電性基板に近接した動作位置に配置され、
(e)前記発電機が、前記基板と前記ニードルとの間に前記第1の電位差を印加し、
(f)前記ニードルに接続された前記検出システムが、前記第1の電位差の影響下で、トンネル顕微鏡法によって前記表面に関するデータ項目を取得する、読み取り方法に関する。
【0022】
一実施形態では、前記チップと前記基板との相対的な移動を行えるようにして、段階(d)、(e)、および(f)を繰り返すことも可能である。
【0023】
他の態様によれば、本発明は、上記の読み取り方法の少なくとも1つの方法と、上記の書き込み方法から選択された1つの方法と、上記の再生方法とが、単一のチップに対して連続的に実施される、表面処理方法に関する。
【0024】
他の態様によれば、本発明は、コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータ上で実行されるときに、上記の方法の複数の段階を実行するための複数のプログラムコード部分を有する、コンピュータプログラムに関する。
【0025】
他の態様によれば、本発明は、読み取り/書き込みチップを製造する製造方法であって、
(z)耐火材料の芯が形成され、
(y)前記芯が導電性材料の層で少なくとも部分的に覆われて、ニードルが形成され、
前記ニードルに電位を印加するための発電機との接続部が前記ニードルに形成され、
前記ニードルが、表面を有する導電性基板に近接した動作位置に配置されるようになっており、
(x)トンネル顕微鏡の針の幾何学的外形が前記ニードルに与えられ、
前記ニードルが、読み取りモードでは検出システムに接続されて、前記発電機によって前記基板と前記ニードルとの間に印加される第1の電位差の影響下で、トンネル顕微鏡法によって前記表面に関するデータ項目を取得するようになっており、
前記ニードルが、書き込みモードでは、前記発電機によって前記基板と前記ニードルとの間に印加された、前記第1の電位差と逆の符号を有する第2の電位差の影響下で、第1の極性の荷電粒子を前記導電性材料の前記層から前記基板の前記表面の方向に放出して、前記基板の前記表面を形成するようになっており、
(w)前記層を形成する前記導電性材料の予備を有するリザーバが、前記層と流体連通するように配置され、(v)作動時には前記リザーバに含有されている前記導電性材料を液化して前記チップに沿って流すようになっている伝熱装置が、前記ニードルに接続される、読み取り/書き込みチップを製造する製造方法に関する。
【0026】
特定の実施形態では、以下の構成のうちのいずれかを実施することも可能である。すなわち、
−段階(z)において、
(z1)前記芯が化学エッチングによって粗面化されて、前記芯に縦方向マイクロチャネルが形成されることにより、前記導電性材料に対する毛細管現象を向上させ、
導電性材料の溶融浴に前記芯を浸漬させることによって、段階(w)および(y)が同時に実施され、前記芯がフィラメントを備え、該フィラメントが、
前記リザーバの前記導電性材料を液化するために前記フィラメントに電力を流すようになっている発電機との接続部と、
前記ニードルを取り囲み、前記導電性材料からなる前記リザーバ内に浸漬された少なくとも1つの巻きと、を有している。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照した、非制限的な例により与えられる、本発明のいくつかの実施形態の1つについての以下の説明において明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
様々な図において、同じ参照番号は同一または類似の構成要素を示す。
【0029】
図1は、読み取り/書き込みチップの一部を示している(理解しやすくするために原寸通りではない)。このチップ1は一般に、チップの近位部4および中間部5の両方の部分を延びるほぼ円柱状の本体3と、本体3の延長上にある遠位部7を延びる尖端部6とを有するニードル2の形状となっている。10分の数ミリメートルにわたって延びる尖端部6は、トンネル顕微鏡のチップの幾何学的外形を有している。走査型顕微鏡によって測定されたチップの先端曲率半径は、約0.1から2マイクロメートルの間、好ましくは0.3から1マイクロメートルの間である。したがって、尖端部6の外面6aは、読み取り/書き込みヘッドをトンネル顕微鏡針として使用するのに適した、完全な幾何学的形状を与えられることになる。
【0030】
ニードル2は、例えば金のような導電性材料の微細層9で覆われた、例えばタングステンのような耐火材料からなる長いテーパー状の芯8を有している。一例として、所与の実施形態では、芯8は、直径0.25mmのタングステンワイヤから形成され、厚さ数ミクロンの金膜で少なくとも部分的に、少なくとも遠位部7の部分が覆われている。
【0031】
チップ1の中間部5には、電気フィラメント10となるいくつかの巻き10a、10b、10cが配置されている。一例として、図1では3つの巻きに番号を付しているが、これらは、中間部においてニードル2の縦軸の周りに巻かれており、例えば直径約0.1mmのタングステンワイヤで作られている。所与の例では、巻きは、導電性材料からなるリザーバ11を取り囲む直径約0.5mmの円を形成している。
【0032】
図2に示すように、上述のチップ1は、例えば、数ミリメートルの外径を有するトンネル顕微鏡ヘッドのような、読み取り/書き込み装置のヘッド12に取り付けられている。このようなヘッド12は、例えば、発電機(図2には図示せず)に接続することができる中央キャピラリ13と、互いに電気的に絶縁された複数のクロスピース14a、14cとを有している。
【0033】
図1に示したチップ1は、第1の端部10dおよび第2の端部10eを有し、端部同士の間を巻き10a、10b、10cが延びているフィラメント10と、ニードル2とを備えており、ヘッド12と電気的に接続されている。一方、チップの近位部4は、第1のクロスピース14aから電力が供給される中央キャピラリ13と電気的に接続されている。ここで、フィラメント10の第1の端部10dは、ニードル2と電気的に接続されて、単一の電気接点を形成する。電気加熱回路を閉じるために、フィラメント10の第2の端部10eは、例えば圧着やスポット溶接によって、絶縁されたクロスピースの1つ、例えばクロスピース14bと電気的に接続されている。
【0034】
図3に示すように、第1および第2のクロスピース14a、14cは、図4および図5aから図5dに関連して以下でより詳細に説明される発電機15に接続されている。クロスピース14cは、その一部については、キャピラリ13と電気的に接続されている。読み取り/書き込みヘッド12は、基板17を保持しているサンプルホルダ16に近接して配置されており、その基板は、チップ1の方に向けられ、チップ1によって読み取られるか、または形成されるようになっている表面17aを有している。チップ1と表面17aとの間の距離は、例えば100ミクロン程度である。発電機15は、基板17とチップ1との間に電位差を印加するために、サンプルホルダ16とも電気的に接続されている。
【0035】
変位装置18によって、表面17aとチップ1との、一次元、二次元、または三次元の相対的な移動が可能となっている。このような変位装置は、標準的には、例えば、材料に電流が流れることで伸長可能な圧電素子を利用した装置のような、トンネル顕微鏡法で使用されるタイプの変位装置であってよい。所与の例では、3つの矢印X、Y、Zで示すように、サンプルホルダを、固定された状態の読み取り/書き込みヘッドに対して3方向に変位させることができる。他の変形実施形態も可能である。特に、方向Xまたは方向Yへの「水平」変位をサンプルホルダ16で実施する一方で、基板の表面17aに対するチップ1の高さの調整を、方向Zには固定された状態のサンプルホルダに対してヘッド12を方向Zに変位させることで実施することが可能である。
【0036】
所与の例では、発電機15は、一方では電流発生装置19を有しており、2つのクロスピース14aおよび14cに接続された電流発生装置によって、フィラメント10に加熱電流が流れることとなる。発電機15は電圧発生装置20も有しており、この電圧発生装置によって、チップと基板17との間に、第1の符号の電位差、または第1の符号とは逆の第2の符号の電位差を印加させることができる。
【0037】
したがって、発電機15は、単に、単一の電圧発生装置の分極を反転させるような構成とすることができる。一変形によれば、図4に示すように、逆極性を有する2つの独立した電圧発生装置20a、20bを使用することができる。スイッチ21によって、スイッチの端子aと端子bのどちらの位置が選択されるかに応じて、発生装置20aか発生装置20bかの選択を制御することが可能である。
【0038】
第1の電圧発生装置20aは、読み取り/書き込み装置を書き込みモード(液体または固体金属イオン源)で使用することを可能にする。したがって、例えば、サンプルホルダ16を接地した状態で、チップ1に0から5キロボルト程度の正電圧を印加するような発生装置を使用することが可能となる。第1の発生装置20aによって供給される電流は、例えば1から10マイクロアンペア程度である。
【0039】
第2の電圧発生装置20bに関しては、サンプルホルダ16が基板に接続されている間は、チップ1に数ボルト程度の負電圧を印加することができる。そのとき、チップと基板との間に、1ピコアンペア未満から300ナノアンペア程度までが可能な電流を流すことができる。
【0040】
上述の読み取り/書き込み装置は、図5aに示すように、書き込みモードで液体金属イオン源として使用することができる。スイッチ21を位置aにセットすることによって、第1の発生装置20は、チップ1と基板17との間に数キロボルト程度の正の電位差を印加することになる。同時に、電流発生装置19は、(例えば所与の幾何学的形状では数アンペア程度の)十分な電流をフィラメント10に流すことによって伝熱装置を作動させ、巻きの下の導電性材料を少なくともその融点と等しい温度まで加熱することができる。所与の幾何学的形状では、リザーバが約1000℃の温度に達するには、1.5Wの電力で十分である。この動作モード、すなわち液体イオン放出による書き込みモードでは、チップからイオンを剥離しようとする印加電界の拮抗作用と、ニードルを覆う液体金属膜の表面張力とにより、チップの端部にテイラーコーンが形成される。また、チップ1と基板17との間に印加される電位差によって、電界蒸発によって層9の導電性金属イオンのビームが形成される。これらによって、反対側の基板17部分が形成される。基板17部分は、例えば、前述のイオンの衝撃を受けて食刻されることになる。このようにして、100ナノメートル程度の分解能を有するパターンを形成することができる。チップ1から材料が抽出されることで起こる腐食は、電流発生装置19から発生したエネルギーを伝達するフィラメントの巻きによって液化された、リザーバ11の導電性材料がニードルに沿って流れることによって補償される。したがって、ニードルの端部にある材料は連続的に補給されて、高耐用性を有する書き込みモードの利用が可能となる。
【0041】
図5bに示すように、読み取り/書き込み装置は、スイッチ21を位置aにセットすることで固体金属イオンビーム23が放出されることによって書き込みモードで使用することができる。この位置では、第1の電圧発生装置20aは、チップ1と基板17との間に数キロボルトの正の電位差を印加することになる。このモードでは、電流発生装置は、リザーバ11の導電性材料をこの材料の融点以下の温度、通常は表面拡散効果を生じさせる、融点の約1/2の温度になるまで加熱することができる電流をフィラメントに放出する。このモードでは、イオンビーム23がチップ1の端部に位置する原子サイズを有する部位から基板17の方向に切り離され、前述の材料のイオンが堆積して基板17の表面17aが形成される。このように形成されたパターンの分解能は、数ナノメートルに達しうる。このようなモードは、層の固体的性質により材料がニードルに沿って流れることができないため、それほどの高耐用性を有していない。
【0042】
図5cに示すように、スイッチ21を位置bにセットすることによって、第2の電圧発生装置20bが、チップ1と基板17との間に数ボルトの負の電位差を印加して、トンネル顕微鏡法による読み取りモードの動作が行われる。この電位差の影響下では、例えば、チップ1と基板17との間に1ナノメートル程度の電流が流れると、チップ1がトンネル顕微鏡のチップとして動作することになる。測定電流を始めとする、基板17の表面17aに関するデータ項目を取得するためにトンネル顕微鏡法で使用されるタイプの適切な検出装置24が、この情報を検出するために使用される。このような検出装置は、トンネル顕微鏡法の分野では標準的なので、ここではさらに詳しくは説明しない。本明細書に記載されたシステムでは、ガリウムヒ素の基板上で原子分解能を得ることができる。
【0043】
図5dに示すように、再生モードでは、ニードル2の端部の幾何学的外形を再生することができる。実際に、例えば固体金属イオン放出モードでの書き込みの後では、チップ1の端部は激しく腐食していることがあり、チップ1を以後に使用できるようにこの端部の幾何学的形状を再生するのが適切である。このモードでは、チップ1と基板17との間に電位差が印加されることなく、リザーバに含有されている導電性材料が、電流発生装置19による加熱によって液化されて、チップが幾何学的形状の原形を回復するまでこの材料がチップに沿って流れることになる。
【0044】
上述の装置を使用して、例えば、以下の表面処理を実施することが可能である。すなわち、
ヘッド12をサンプルホルダ16に面するように配置して、
液体金属イオン放出書き込みモードでは、基板に対してチップを相対的に水平方向に(イオン放出方向と垂直に)任意に移動させながら、イオン食刻によって位置合わせマークを形成して、
以後の使用において、読み取りモードでは、事前に形成されたマークを検出してから、基板17において構造が形成されるべき場所に達するまで、チップをサンプル16に対して変位させ、
固体金属イオンビームの放出による書き込みモードでは、基板17の表面を所望の方法で形成して、その後、
再生モードでは、以後の読み取りまたは書き込みのために、ニードル2の幾何学的外形を再生する。
【0045】
図6に示すように、多数の読み取り/書き込みヘッド12(図6には2つを図示)を単一の基板17に対して並行に動作させて、この基板の表面を形成することが可能である。これらのヘッドのニードルは、すべて同じ導電性材料か、またはすべて異なる堆積材料を有することができる。放出方向Zにおける各ヘッドの位置と同様に、各ヘッド12の動作モードは、中央ユニット25により、予め確立された方法に従って互いに独立して調整することが可能である。中央ユニット25は、基板17の他の2つの方向X、Yにおける変位を制御することもできる。上述の動作の自動化およびシステム化を、事前に定義して、中央ユニット25内のメモリに格納されたデータ処理プログラムによって制御することが可能であることに留意されたい。図6の装置では、前述の装置のように、例えばニードル2に面して数ナノメートルの直径を有する開口部28が貫通したマスク27を備えた加速装置26を使用することができる。この加速装置は、ニードル2から放出されたイオンビームを加速可能な極性に設定された(ニードル2に面する)上面上および(基板17に面する)下面上に、電極29c、29bを有してもよい。
【0046】
上述の装置の可能な用途として、例えば生物学の分野において、基板17が生体分子か細胞であることが想定できる。その生体分子や細胞には、調査中の構造に対する原子の影響を評価することが求められるとき、および、事前に行われる堆積に続いて、読み取りモード中に調査中の細胞の特性における変化が検出されるときに、1つ以上の原子が書き込みモード中に導入されるかまたは堆積させられる。こうして、図6の装置を使用して、非常に少ない量の試薬で、一連の検査を並行して実施することができる。
【0047】
一用途として、書き込みモードで表面に関する情報を格納して、その後読み取りモードでこの情報にアクセスすることによって、ナノメートルスケールのデータ保存を実施することが想定可能である。
【0048】
一用途として、読み取りモードでは、基板上の電子ナノ部材の場所を特定することも想定可能であり、そして、書き込みモードでは、この電子ナノ部材を外部の電子部材などに接続する電線のような電気的構造を形成して、ナノ部材に電流を供給することも想定可能である。
【0049】
各読み取りまたは書き込み動作の前には、チップの幾何学的外形を再生するために、あるいは必要であれば、熱蒸発を使用して、直前の使用からチップ上に堆積している可能性のある不純物(例えば酸化物)をチップから除去するために、加熱による再生機能が実施可能であることに留意されたい。
【0050】
このようなチップの製造については、ニードルの芯を形成するための耐火材料でワイヤを作製することにより着手することができる。タングステンワイヤは、例えば、タングステン粉末を押出機で熱圧することによって作製することができる。こうして形成されたワイヤの外面は、表面の毛細管現象を向上させるために粗面化される。この粗面化は、例えば、交流電流を使用して、水酸化ナトリウム溶液中でワイヤを数分間電解エッチングすることによって実施可能である。この段階によって、ナノ柱状構造を芯の表面に形成でき、それにより、溶融した金属が芯の表面に沿って流れて保持されることが可能となる。
【0051】
フィラメントは、例えば、前述の幾何学的形状を有するタングステンワイヤとして作製され、芯の周りに巻かれており、その組立体は、図7aに示すような装置ヘッド12上に固定することができる。芯の遠位端の細長い形状は、例えば電気化学のような適切な方法によって得られている。そして、ヘッド12を電流発生装置に接続した後に、フィラメントに加熱電流を流して、特に、芯の表面に存在する酸化物を芯から除去する。それから、図7bに示すように、芯を被覆する所望の導電性材料を含んだるつぼ30が設けられる。この材料は、書き込みモードで堆積させられる材料であって、芯材料の融点以下の適切な温度でこの材料のみを溶融させることができるように、芯を形成する耐火材料の融点より著しく低い融点を有することが好ましい。また、この導電性材料については、耐火性の芯材料と合金を形成しない材料を選択することが可能である。所与の例では、るつぼ30の中には金が含まれており、るつぼ30を取り囲んでいるフィラメント31に、例えば100アンペア程度の大電流を流すことによって溶融状態で保持されている。溶融した金を含んだるつぼにチップ1を浸漬させることによって、金が毛細管現象によって芯上に堆積して、導電性材料の層9が形成される。さらに、金の毛細管現象によって、一方では中間部の芯8上に、他方ではフィラメント10の巻き10a、10b、および10c上に、リザーバ11が形成される。
【0052】
図8aの左側は、走査型電子顕微鏡法によって得られた、凹形状芯の第1の実施形態における、溶融した金の溶液中に浸漬させる前のタングステン芯端部を示す図であり、目盛りが500ミクロンである44倍の拡大図である。右側には、凸形状の変形実施形態を示す。
【0053】
図8bは、第1の実施形態の拡大図であり、目盛りが10ミクロンである2774倍の拡大図である。このスケールでは、図8bに破線で概略的に示したような、芯に形成された縦方向マイクロチャネル状の柱状構造を識別することができる。液化された導電性材料はこれらのチャネルを流れ、それにより外部汚染から保護されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】読み取り/書き込みチップの部分概略図である。
【図2】図1のチップを搭載した読み取り/書き込みヘッドの概略斜視図である。
【図3】図2のヘッドを搭載した読み取り/書き込み装置の概略図である。
【図4】図3の読み取り/書き込み装置の機能図である。
【図5a】液体金属イオン源書き込みモードにおける読み取り/書き込み装置を、図4に対応して示す図である。
【図5b】固体金属イオン源書き込みモードにおける読み取り/書き込み装置を、図4に対応して示す図である。
【図5c】読み取りモードにおける読み取り/書き込み装置を、図4に対応して示す図である。
【図5d】再生モードにおける図4の読み取り/書き込み装置を、図4に対応して示す図である。
【図6】第2の実施形態による読み取り/書き込み装置を、図3に対応して示す図である。
【図7a】読み取り/書き込みチップの製造段階を示す図である。
【図7b】読み取り/書き込みチップの製造段階を示す図である。
【図8a】走査型電子顕微鏡法によって得られた、2つの実施形態によるチップ形状の一例を示す図である。
【図8b】図8aの第1の実施形態の端部を拡大して示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性材料の層(9)で少なくとも部分的に覆われた耐火材料の芯(3)で形成されたニードル(2)状に構成された読み取り/書き込みチップであって、
前記ニードルが、前記ニードルに電位を印加するための発電機(15)との接続部(4)を有し、
前記ニードルが、表面(17a)を有する導電性基板に近接した動作位置に配置されるようになっており、
前記ニードルが、トンネル顕微鏡の針の幾何学的外形を有し、読み取りモードでは検出システム(24)に接続されて、前記発電機(15)によって前記基板と前記ニードルとの間に印加される第1の電位差の影響下で、トンネル顕微鏡法によって前記表面に関するデータ項目を取得するようになっており、
前記ニードルが、書き込みモードでは、前記発電機によって前記基板と前記ニードルとの間に印加された、前記第1の電位差とは逆の符号を有する第2の電位差の影響下で、第1の極性の荷電粒子を前記導電性材料の前記層(9)から前記基板の前記表面(17a)の方向に放出して、前記基板の前記表面を形成するようになっており、
前記チップが、前記層を形成する前記導電性材料の予備を有し、前記層と流体連通するリザーバ(11)と、作動時には前記リザーバに含有されている前記導電性材料を液化して前記チップに沿って流すようになっている伝熱装置(10)と、をさらに有する、読み取り/書き込みチップ。
【請求項2】
前記ニードルが、前記表面に面して配置されるようになっている尖端部を有し、該尖端部が、約0.1から2マイクロメートル(μm)までの間の曲率半径を有する、請求項1に記載の読み取り/書き込みチップ。
【請求項3】
前記芯(3)が、0.1から0.4ミリメートル(mm)までの間の直径を有するテーパー状の本体を有し、該本体が、前記本体からの距離が離れるにつれて直径が小さくなるテーパー状の端部(6)を通じて延びている、請求項1または2に記載の読み取り/書き込みチップ。
【請求項4】
前記芯(3)が、前記層の前記導電性材料の融点より実質的に高い融点を有する材料で作られており、
前記伝熱装置(10)が、作動時に、前記ニードルおよび前記リザーバを、前記導電性材料の融点と前記芯材料の融点との間の温度にするようになっている、請求項1から3のいずれか1項に記載の読み取り/書き込みチップ。
【請求項5】
前記芯(3)が、縦方向マイクロチャネル状の粗さを有する柱状材料で作られており、前記縦方向マイクロチャネルによって、前記導電性材料の融点と前記芯材料の融点との間の前記温度で液化された前記導電性材料の前記芯に沿った流れと、毛細管現象による前記導電性材料の前記芯上での滞留とが共に可能になるようにされている、請求項4に記載の読み取り/書き込みチップ。
【請求項6】
前記リザーバ(11)が前記層(9)と流体連通して前記ニードルを取り囲んでいる気泡状の前記導電性材料を有し、前記伝熱装置がフィラメント(10)を有し、該フィラメントが、
前記ニードルを取り囲み、前記導電性材料からなる前記リザーバ内に浸漬された少なくとも1つの巻き(10a、10b、10c)と、
ジュール効果によって前記リザーバの前記導電性材料を液化するように前記フィラメントに電力を流すことができる発電機(19)との接続部と、を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の読み取り/書き込みチップ。
【請求項7】
第1の極性の前記荷電粒子がカチオンである、請求項1から6のいずれか1項に記載の読み取り/書き込みチップ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の少なくとも1つのチップ(1)を支持する支持体(12)を有し、該支持体が、前記ニードルの前記接続部と電気的に接続され、前記ニードルに電位を印加するための前記発電機(15)に接続されるようになっている、第1の接続帯(13)を有する、読み取り/書き込み装置ヘッド。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか1項に記載のチップ(1)をそれぞれが支持する複数の支持体(12)を有し、該各支持体が、前記各ニードルの前記接続部(13)と電気的に接続され、前記各ニードルに独立した電位を印加するための前記発電機(15)に接続されるようになっている、第1の接続帯を有する、読み取り/書き込み装置ヘッド。
【請求項10】
請求項8または9に記載の読み取り/書き込み装置ヘッドと、
前記各チップに面する前記表面部(17a)を有する前記基板を受け入れるようになっているサンプルホルダ(16)と、
前記チップと前記表面とを相対的に移動させることができる変位システム(18)と、
前記チップと該チップに面する前記表面部との間に、独立した前記第1の電位差および該第1の電位差とは逆の符号を有する独立した前記第2の電位差を印加するために前記各チップの前記接続部に接続され、前記チップの前記伝熱装置(10)を作動させるために前記伝熱装置と電気的に接続されている前記発電機(15)と、を有する、読み取り/書き込み装置。
【請求項11】
前記ニードルと電気的に接続されて、前記第1の電位差の影響下でトンネル顕微鏡法によって前記表面に関するデータ項目を取得するようになっている前記検出システム(24)を有する、請求項10に記載の読み取り/書き込み装置。
【請求項12】
(a)請求項1から7のいずれか1項に記載の読み取り/書き込みチップ(1)が、前記表面を有する前記導電性基板(17)に近接した動作位置に配置され、
(b)前記発電機(15)が、前記第1の電位差とは逆の符号を有する前記第2の電位差を前記基板と前記ニードルとの間に印加し、前記基板の前記表面を形成するために、前記ニードルが、前記第1の極性の前記荷電粒子を前記導電性材料の前記層から前記基板の前記表面の方向に放出する、書き込み方法。
【請求項13】
段階(b)において、前記第2の電位差の影響下で、前記チップの前記層から剥離された導電性金属の粒子が前記表面に堆積することによって、前記表面(17a)が形成される、請求項12に記載の書き込み方法。
【請求項14】
段階(b)において、前記伝熱装置(10)が、前記チップに沿って前記リザーバに含有されている前記導電性材料を固体状態で保持する、請求項13に記載の書き込み方法。
【請求項15】
段階(b)において、前記第2の電位差の影響下で、前記チップの前記層(9)から剥離された導電性金属の粒子の衝撃によって前記表面を食刻することによって、前記表面が形成される、請求項12に記載の書き込み方法。
【請求項16】
段階(b)において、前記伝熱装置(10)が、前記チップに沿って前記リザーバに含有されている前記導電性材料を液体状態で保持する、請求項15に記載の書き込み方法。
【請求項17】
前記発電機(15)が、前記リザーバおよび前記層の前記導電性材料を液体状態で保持するのに十分な電力を前記伝熱装置(10)に印加する、請求項16に記載の書き込み方法。
【請求項18】
段階(a)において、各ニードルに独立した電位を印加するための前記発電機(15)にそれぞれが接続された、請求項1から7のいずれか1項に記載の複数の読み取り/書き込みチップ(1)が、前記表面を有する前記導電性基板(17)に近接した動作位置に配置され、
段階(b)が前記各ニードルについて独立して実施される、請求項15から17のいずれか1項に記載の書き込み方法。
【請求項19】
2つの連続する段階(b)の間に、前記基板(17)と少なくとも1つの前記チップとの相対的な移動が行われる、請求項12から18のいずれか1項に記載の書き込み方法。
【請求項20】
前記伝熱装置(10)によって前記リザーバに含有されている前記導電性材料が液化され前記チップに沿って流される段階(c)が実施される、請求項1から7のいずれか1項に記載の読み取り/書き込みチップの再生方法。
【請求項21】
(d)請求項1から7のいずれか1項に記載のチップが、前記表面を有する前記導電性基板に近接した動作位置に配置され、
(e)前記発電機が、前記基板と前記ニードル(2)との間に前記第1の電位差を印加し、
(f)前記ニードルに接続された前記検出システム(24)が、前記第1の電位差の影響下で、トンネル顕微鏡法によって前記表面に関するデータ項目を取得する、読み取り方法。
【請求項22】
前記チップと前記基板との相対的な移動が行われて、段階(d)、(e)、および(f)が繰り返される、請求項21に記載の読み取り方法。
【請求項23】
請求項21または22に記載の読み取り方法の少なくとも1つの方法と、請求項12から19のいずれか1項に記載の書き込み方法から選択された1つの方法と、請求項20に記載の再生方法とが、単一のチップに対して連続的に実施される、表面処理方法。
【請求項24】
コンピュータプログラムであって、前記プログラムがコンピュータ(25)上で実行されるときに、請求項12から23のいずれか1項に記載の方法の複数の段階を実行するための複数のプログラムコード部分を有する、コンピュータプログラム。
【請求項25】
読み取り/書き込みチップを製造する製造方法であって、
(z)耐火材料の芯(3)が形成され、
(y)前記芯が導電性材料の層(9)で少なくとも部分的に覆われて、ニードル(2)が形成され、
前記ニードルに電流を印加するための発電機との接続部が前記ニードルに形成され、
前記ニードルが、表面を有する導電性基板に近接した動作位置に配置されるようになっており、
(x)トンネル顕微鏡の針の幾何学的外形が前記ニードルに与えられ、
前記ニードル(2)が、読み取りモードでは検出システム(24)に接続されて、前記発電機(15)によって前記基板と前記ニードルとの間に印加される第1の電位差の影響下で、トンネル顕微鏡法によって前記表面に関するデータ項目を取得するようになっており、
前記ニードルが、書き込みモードでは、前記発電機によって前記基板と前記ニードルとの間に印加された、前記第1の電位差と逆の符号を有する第2の電位差の影響下で、第1の極性の荷電粒子を前記導電性材料の前記層(9)から前記基板の前記表面の方向に放出して、前記基板の前記表面を形成するようになっており、
(w)前記層を形成する前記導電性材料の予備を有するリザーバ(11)が、前記層と流体連通するように配置され、(v)作動時には前記リザーバに含有されている前記導電性材料を液化して前記チップに沿って流すようになっている伝熱装置(10)が、前記ニードルに接続される、読み取り/書き込みチップを製造する製造方法。
【請求項26】
段階(z)において、
(z1)前記芯(3)が前記導電性材料に対する毛細管現象を向上させるために化学エッチングによって粗面化されて、前記芯に縦方向マイクロチャネルが形成される、請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
フィラメント(10)を備えた前記芯(2)を導電性材料の溶融浴に浸漬させることによって、段階(w)および(y)が同時に実施され、前記フィラメントが、
前記リザーバの前記導電性材料を液化するために前記フィラメントに電力を流すようになっている発電機との接続部(10d)と、
前記ニードルを取り囲み、前記導電性材料からなる前記リザーバ内に浸漬された少なくとも1つの巻き(10a)と、を有する、請求項25または26に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【公表番号】特表2009−512847(P2009−512847A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536074(P2008−536074)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002243
【国際公開番号】WO2007/045739
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(502155356)サントル ナショナル デ ラ ルシェルシュ シィアンティフィク (セ.エヌ.エール.エス.) (10)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE (C.N.R.S.)