説明

調整可能な動作を有する電動歯ブラシ

【課題】歯ブラシのブラシ部分の運動の振幅を調整するよう歯ブラシの周波数を変化させるシステムを提供する。
【解決手段】周波数の変化は、手動又は自動のいずれかにより起こる。手動の実施例では、ユーザは、スイッチ及び内部回路を介して、ユーザにとって最も心地良い値へと振幅を変化させるよう歯ブラシの動作周波数を変化させることができる。自動モードでは、歯ブラシの共振周波数は、歯ブラシの動作の起動時に決定される。その場合に、共振周波数値は、通常は共振周波数よりも高い選択量によりオフセットされ、このオフセットされた周波数が歯ブラシの動作周波数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、電動歯ブラシに関し、更に具体的には、ブラシ運動の振幅を調整することにより歯ブラシの動作を調整するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動歯ブラシの動作パラメータ、特に、歯ブラシのブラシ部分の相互運動の周波数及び運動の振幅は、通常、歯ブラシの販売前に製造者により規定及び設定をなされる。このような歯ブラシは、共振システムであって、その動作周波数は、通常、歯ブラシの共振周波数、又はその近くに設定される。
【0003】
しかし、製造者により定められた電動歯ブラシの振幅は、特定の歯ブラシ及び/又は特定のユーザにとって最適でない。製造者により定められた振幅とは多少異なった振幅が、しばしば、特定のユーザによる好ましい感覚/感触及び最大応答を提供するのに望ましいことがある。歯ブラシの使用による実際の結果は、また、歯ブラシの運動の特定の振幅に依存して変化しうる。振幅が、モータへ供給される電力を変化させることにより調整されうる一方で、このアプローチは、モータにおける磁気飽和及び電池容量に起因して実際的制限を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力を直接的に調整することなく性能及び/又は洗浄感を最適化するよう製造出荷後にブラシの振幅を変化させることが可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、一実施形態での本発明は、電動歯ブラシのブラシ部分の運動の振幅を変化させる手動システムであって、結果として得られる振幅で前記ブラシ部分を動かすよう選択周波数で動作する電動歯ブラシのための駆動システムと、ユーザにより操作可能な部材を有し、前記駆動システムの周波数、ひいては前記ブラシ部分の運動の振幅を変化させる周波数調整システムとを有するシステムである。
【0006】
他の実施形態は、電動歯ブラシのブラシ部分の運動の振幅を変化させる自動システムであって、結果として得られる振幅を作るよう特定周波数で前記歯ブラシを動かす、電動歯ブラシのための駆動システムと、ユーザによる前記歯ブラシの動作の開始に続く選択された時点で前記歯ブラシの共振周波数を決定するシステムと、該決定された共振周波数から予め選択された量だけオフセットされた値で前記歯ブラシの動作周波数の設定を制御する周波数調整システムとを有するシステムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明が使用可能な電動歯ブラシを示す。
【図2】本発明の調節可能な歯ブラシの一実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明の調節可能な歯ブラシの他の実施例を示すブロック図である。
【図4】図3の実施例で用いられるソフトウェアプログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、電動歯ブラシ10を示す。一例として、電動歯ブラシ10は、ハンドル部分12と、ハンドル部分に付けられたヘッド部分14とを有する。ハンドル部分は、歯ブラシ用のモータの一部であって、駆動コイル18を有するステータ16を有する。モータは、信号発生源20により作られる駆動信号により駆動される。信号発生源20は、スイッチング回路22を有する。
【0009】
ヘッド部分14は、通常、モータの動作により駆動されるステム部分17及びブラシ部分19を有する。スイッチ28をオン/オフすることにより、ブラシ部分18は選択された周波数及び振幅で動作する。
【実施例1】
【0010】
本発明で、歯ブラシ10の動作は、歯ブラシの動作周波数を変化させることにより調整される。図示及び記載をなされる本実施形態における歯ブラシは、以下で更に詳細に述べられるように、ブラシ運動の振幅の変化を生じさせる。図2は、周波数調整システムの手動の実施例を示す。手動の実施例で、ユーザは、マイクロプロセッサ39の作用により歯ブラシの動作周波数を変化させるようロッカースイッチ36を操作する。ロッカースイッチ36の動作は、アップ/ダウンカウンタ38により検知されて、タイマ40により供給されるべき信号の周波数の増大又は減少の量を決定する。アップ/ダウンカウンタ38はタイマ40を読み込む。タイマ40へは当該機器の初期動作周波数を供給するクロック信号37が印加される。タイマ40の出力は、方形波を生成するために用いられる、2による除算(divide−by−two)回路42へ送られる。次に、除算回路42で生成された方形波は、インバータ46及び48へ印加される。インバータ46、48の出力は、モータ16のスタータコイル54の利用を制御するFET50及び52へ印加される。例えばバイポーラトランジスタのような他の電気スイッチがFETの代わりに用いられても良い。
【0011】
ロッカースイッチ36を操作することにより歯ブラシの動作周波数の変化が生じ、これはブラシ運動の振幅に影響を与える。ユーザは、最適な“感触”又は他の所望の結果が現れるまでロッカースイッチを操作する。ロッカースイッチの夫々の操作は、選択された量だけ動作周波数を変更しうる。ユーザにより選択された周波数は、現在の周波数よりも高くとも、又は低くとも良く、歯ブラシの実際の共振周波数よりも高くとも、又は低くとも良い。示される実施例で、ユーザは、好ましい最適な値へと振幅を調整するよう、ブラッシングの間でさえ、ユーザの都合で周波数調整システムを操作することができる。通常、上で示されたように、この値は、製造者により設定された周波数とは異なる。
【0012】
しかし、例えば、ユーザによる周波数の変更が再び可能となる前に完了すべきタイマを設けることにより、ある程度、周波数ひいては振幅を変更するユーザ能力を制限することが可能である。タイマは、例えば、典型的には2分である通常のブラッシング事象の間に1度乃至おそらくは2度まで周波数を変更するようユーザ能力を制限するように設定されても良い。
【実施例2】
【0013】
図3は、他の実施例、具体的には、自動歯ブラシ周波数/振幅調整システムを示すブロックである。本実施例で一般的に、ユーザが歯ブラシをオンとすると、システムは起動して、歯ブラシの共振周波数を決定する。これは、一連の周波数を掃引することによりなされる。その周波数の範囲は、歯ブラシの共振周波数の値を含む。共振周波数がこの周波数掃引により決定されると、歯ブラシの実際の動作周波数は、先に決定された共振周波数からのオフセットを含むことにより生成される。この周波数オフセットの値は、製造者により定められる。このような動作周波数の設定は、ユーザが歯ブラシをオンにするたびに生ずる。従って、時間の経過に伴う歯ブラシの共振周波数における変化は、自動的に適応されうる。
【0014】
図3を参照すると、図3は、マイクロプロセッサ58を有する自動調整システムを示しており、マイクロプロセッサ内のタイミングレジスタ60は、最初に初期化される。その場合に、タイミングレジスタ60は、タイマ62を予め読み込む。タイマ62は、また、クロック63に応答する。タイミングレジスタにより定められる最初の周波数値は、通常、周波数の“掃引”における最低周波数値である。しかし、掃引は、同様に、最高周波数から最低周波数へと起こっても良い。タイマ62の出力(最初は最低周波数)は、次に、2による除算回路64へ印加され、除算回路64は方形波を生成し、この方形波はインバータ回路66及び68へ印加される。
【0015】
次に、インバータからの出力は、FET70、76へ印加される。FET70、76は、短い選択時間、例えば10分の1秒の間にスタータコイル77へ印加される電流を生成する。コイルの電流は72で検知され、位相シフトが74で測定される。周波数値はブラシヘッドの共振周波数を移動するので、電流を逆にするのに必要な時間は変化しうる。ここで、用語“位相シフト”は、電圧駆動(方形波信号)と電流波形の零交点との間の関係を言う。上述されたこの位相シフトの値は、位相値の表で第1の値を与えるようマイクロプロセッサ内のRAM76へ入力される。タイミングレジスタ60は、次に、特定の周波数値によって変化し、処理は、位相シフト値の表が構築されるまで繰り返される。選択された範囲での周波数の予め選択された“掃引”における最後の周波数が用いられ、表示が完成すると、共振周波数が決定される。共振周波数は、表中の位相シフトの最小値に関連する。その場合に、動作周波数は、製造者により決定されたオフセット周波数値を用いて設定、即ち規定される。この結果として得られる動作周波数値は、その場合に、タイミングレジスタ60を設定するために用いられ、歯ブラシは、所定の時間量(ブラッシングの時間)の間動作するよう設定される。
【0016】
図4は、当該機器の自動動作の制御のためのマイクロプロセッサ58におけるソフトウェアプログラムのフローチャートである。第1に、タイミングレジスタ60が、ブロック90で示されるように初期化される。タイミングレジスタ60は、最初に、歯ブラシの共振周波数を決定するよう、周波数掃引範囲における第1の、即ち(上で示されたように最高であっても良いが)最低の周波数で設定されうる。次に、この値は、ブロック92で示されるようにタイマ62を予め読み込むために使用される。次に、ブロック94で示されるように、モータのステータは第1の周波数値を用いて、選択された回数(n)のサイクルの間動かされる。
【0017】
この第1の動作周波数から得られる位相シフト値は、次に、ブロック96で示されるように捕捉されて、RAM76に記憶される。次に、周波数は1ステップだけ増分される。これはブロック98で示される。ブロック98で、ループ指標又は値(i)は、ループを通過するたびに1だけ増分されたその値を有する。(i)のこの新しいループ値は、次に、周波数掃引過程での周波数ステップの総数である値(m)と比較される。これはブロック100で示される。(i)の新しい値が(m)よりも大きくない場合には、ブロック102で示されるように、タイミングレジスタ60は、タイマ62に新しい先行読み込み値を定めるよう減少させられる。
【0018】
この過程は、(i)が(m)よりも大きくなるまで、RAMに位相シフト値の表を構築するよう繰り返される。この時点で、歯ブラシシステムの共振周波数は、位相シフトの最低値をRAM内の表から確かめて、その値を関連する動作周波数に関連付けることにより決定される。その場合に、製造者により設定された予め選択されたオフセット周波数は、ブロック104で示されるように、歯ブラシに動作タイミング値(run timing value)を定めるために使用される。その値は、ブロック106でタイミングレジスタを設定するために使用される。タイマがタイミングレジスタから設定されると、当該機器は、ブロック108で示されるように、定められた周波数値に従って、事象の時間、即ちブラッシングのための所定時間の間動かされる。
【0019】
従って、システムは、歯ブラシの周波数を変化させることにより、手動及び自動で、電動歯ブラシの動作を調整することが説明された。
【0020】
本発明の好ましい実施例が説明の目的のために開示されたが、当然のことながら、様々な変更、変形及び置換が、特許請求の範囲で定義された本発明の適用範囲から逸脱することなく盛り込まれても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動歯ブラシのブラシ部分の運動の振幅を変化させる手動システムであって:
結果として得られる振幅で前記ブラシ部分を動かすよう選択周波数で動作する電動歯ブラシのための駆動システム;及び
ユーザにより操作可能な部材を有し、前記駆動システムの周波数、ひいては前記ブラシ部分の運動の振幅を変化させる周波数調整システム;
を有するシステム。
【請求項2】
前記操作可能な部材は、前記歯ブラシのハンドルに置かれた機械的なスイッチである、ことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記周波数調整システムは、マイクロプロセッサを有し、
該マイクロプロセッサは、選択された量だけタイマの周波数出力を変化させるよう前記スイッチに応答するカウンタを有し、
前記周波数出力は、前記駆動システムの周波数を制御する、
ことを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記周波数調整システムは、前記歯ブラシがオンである場合はいつでも動作可能である、ことを特徴とする請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−125740(P2011−125740A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66621(P2011−66621)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【分割の表示】特願2007−518793(P2007−518793)の分割
【原出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】