説明

調査ボーリング工法、及びこれに用いるボーリング装置

【課題】孔を掘削し、コアを採取する際に、地中に空洞部分や未固結部分があっても、コアの採取率を向上させてコアを地中に存在した状態のとおりに採取し、地中の空洞部分や未固結部分を可視化して、その位置及び規模などを正確に把握できるようにする。
【解決手段】ボーリング装置B1に地中の空洞部分及び/又は未固結部分に当該空洞部分内及び/又は未固結部分内に進入し固化可能な着色した固化材料Mを送給するための固化材料送給装置5を備え、地中の空洞部分及び/又は未固結部分に固化材料Mを送給し充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に孔を掘削し、地質資料としてのコアを採取する調査ボーリングに使用する調査ボーリング工法、及びこれに用いるボーリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地中に孔を掘削し、地質資料としてのコアを採取する調査ボーリングでは、ボーリング装置が使用され、ボーリングロッドを回転させながら地中に貫入し、ボーリングロッド下部のコアチューブにコアを収容した後、このコアチューブを地上に引き上げることによりコアチューブを回収して、コアを採取することが行われている。
【0003】
この種の調査ボーリング工法、及びこれに用いるボーリング装置が例えば特許文献1に記載されている。この文献1のボーリング工法で使用されるボーリング装置は、ボーリングマシン本体と、ボーリングマシン本体に作動連結され、回転力と推力を付与されるボーリングロッド、及びボーリングロッドの下部に設けられ、下端にビットを有し、コアを収容するためのコアチューブとを備える。また、このボーリング装置の付帯設備として、櫓と、掘削水循環設備が併せて設置される。なお、櫓は頂部に滑車が取り付けられ、この滑車にホイスティングロープが巻き掛けられる。このホイスティングロープの一端はボーリングマシン本体に併設された巻上げ機に固定され、他端にボーリングロッド他、各種の部材が吊り下げられる。掘削水循環設備は、ポンプと、ボーリング現場の近くに設けられる掘削水溜りと、ポンプと掘削水溜り、及びポンプとボーリングロッドの上部に設けられるウォータースイベルをそれぞれ接続する配管類とを備え、掘削水溜りの掘削水がポンプによりボーリングロッドを介してコアチューブに供給される。
この調査ボーリング工法では、ボーリングロッドを回転させ、併せてポンプによりボーリングロッドを介して掘削水を供給しながら、このボーリングロッドを地中に貫入し、コアチューブにコアを収容する。そして、このコアチューブを巻上げ機により地上に引き上げて、コアチューブを回収し、コアを採取する。
このように掘削水循環設備により、コアチューブ及びビットの周囲において掘削水(泥水など)を循環させて、コアチューブ及びビットとこれらを貫入する地盤との摩擦を低減することにより、孔底の土層を乱さないように掘削を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−227580公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような調査ボーリングによる地表面からの空洞調査では、コアサンプリングによりコアが採取されない区画は空洞と判断されており、鍾乳洞の新鮮な石灰岩などのような硬質の岩盤であれば、岩盤の部分と空洞の部分が明確に現れるため、空洞の位置を特定することができ、その規模を把握することができるが、土砂や軟弱な岩盤の場合には、削孔時にコアが流出したり、コアの採取時に土砂の部分が空洞の部分に流動したりして、土砂や軟弱な岩盤の部分と空洞の部分との区別が判然としないことがあり、このため、空洞の位置を特定することやその規模を把握することが困難である、という問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、この種の調査ボーリング工法、及びこれに用いるボーリング装置において、孔を掘削し、コアを採取する際に、地中に空洞部分や未固結部分があった場合に、コアの採取率を向上させてコアを地中に存在した状態のとおりに採取し、地中の空洞部分や未固結部分を可視化して、その位置及び規模などを正確に把握できるようにすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、ボーリング装置のボーリングロッドを回転させ、併せて掘削水循環設備により前記ボーリングロッドを介して前記ボーリングロッド下部のコアチューブに掘削水を供給しながら、前記ボーリングロッドを地中に貫入し、前記コアチューブにコアを収容する調査ボーリング工法において、前記ボーリングロッドを貫入する地中の空洞部分及び/又は未固結部分に、当該空洞部分内及び/又は未固結部分内に進入し固化可能な固化材料を送給し充填する、ことを要旨とする。
この場合、固化材料を、ボーリングロッドにおいて掘削水と共通の供給経路により地中に送給してもよく、また、ボーリングロッドにおいて掘削水と異なる供給経路により地中に送給してもよい。さらに、固化材料を、ボーリングロッドを用いることなく、直接、地中に送給してもよい。また、この場合、固化材料は固化した後の当該固化材料が判別可能に色を有することが好ましい。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明は、ボーリングマシン本体と、前記ボーリングマシン本体に作動連結され、回転駆動されるボーリングロッド、及び前記ボーリングロッドの下部に設けられ、コアを収容するためのコアチューブと、前記ボーリングロッド及び前記コアチューブに掘削水を供給し循環させる掘削水循環設備とを備え、前記ボーリングロッドを回転させ、前記ボーリングロッド及び前記コアチューブに掘削水を供給しながら、前記ボーリングロッドを地中に貫入して、前記コアチューブにコアを収容するボーリング装置において、地中の空洞部分及び/又は未固結部分に当該空洞部分内及び/又は未固結部分内に進入し固化可能な固化材料を送給するための固化材料送給装置を備える、ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の調査ボーリング工法、及びこれに用いるボーリング装置によれば、上記のとおり、孔を掘削し、コアを採取する際に、ボーリングロッドの貫入先の地中に、空洞部分及び/又は未固結部分に進入し固化可能な固化材料を送給し充填するので、地中に空洞部分や未固結部分があった場合に、当該空洞部分内や未固結部分内で固化材料が固化して当該空洞部分や未固結部分の状態を保持し、この状態を可視化することができ、これにより、コアの採取率が向上し、コアを地中に存在した状態のとおりに採取して、地中の空洞部分や未固結部分の位置及び規模などを正確に把握することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による調査ボーリング工法、及びこれに用いるボーリング装置のイメージを示す図
【図2】同調査ボーリング工法、及びこれに用いるボーリング装置で採取されたコアのイメージを示す図
【図3】同調査ボーリング工法、及びこれに用いるボーリング装置のまた別のイメージを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1にこの調査ボーリング工法に使用するボーリング装置のイメージを示している。図1に示すように、ボーリング装置B1は、ボーリングマシン本体1と、ボーリングマシン本体1に作動連結され、回転駆動されるボーリングロッド2、及びボーリングロッド2の下部に設けられ、コアを収容するためのコアチューブ3と、ボーリングロッド2及びコアチューブ3に掘削水(水、泥水など)を供給し循環させる掘削水循環設備4とを備え、ボーリングロッド2を回転させ、ボーリングロッド2及びコアチューブ3に掘削水を供給しながら、ボーリングロッド2を地中に貫入して、コアチューブ3にコアを収容するようになっている。
【0012】
このボーリング装置B1において、ボーリングマシン本体1は、原動機、原動機の回転を伝達する変速装置、原動機により回転駆動されるスイベルヘッド及びこのスイベルヘッドに挿通されるスピンドル、スピンドルを昇降駆動する油圧シリンダー及び油圧装置、ホイスティングロープを繰り出し又は巻き上げるための巻上げ機など周知の各種装置からなり、ボーリングロッド2に回転力と推力を付与する構造を有する。ボーリングロッド2は地中に貫入可能なロッドからなり、下部にコアを収容するためのコアチューブ3を具備する。この場合、ボーリングロッド2は中空のロッドで、ロッド内部に掘削水を通すための通水路を有している。コアチューブ3は筒状に形成され、下端にビット301を有している。このようにしてボーリングロッド2はボーリングマシン本体1のスピンドルにチャックを介して取り付けられ、ボーリングマシン本体1により回転駆動及び/又は昇降駆動される。また、このボーリング装置B1には、櫓(図示省略)と、掘削水循環設備4が併せて設置される。櫓は頂部に滑車が取り付けられ、この滑車にホイスティングロープが巻き掛けられる。このホイスティングロープの一端はボーリングマシン本体1の巻上げ機に固定され、他端にボーリングロッド2他、各種の部材が吊り下げられる。掘削水循環設備4は、ポンプ装置41と、ボーリング現場の近くに設けられる掘削水溜り40と、ポンプ装置41と掘削水溜り40、及びポンプ装置41とボーリングロッド2の上部に設けられるウォータースイベル42をそれぞれ接続する配管類(サクションホース43、デリバリーホース44、45)とを有し、ポンプ装置41により掘削水溜り40の掘削水をボーリングロッド2を通じてコアチューブ3に供給するようになっている。この掘削水循環設備4にはまた、固化材料投入装置5及び固化材料処理タンク6を有する。固化材料投入装置5は地中の空洞部分及び/又は未固結部分に当該空洞部分内及び/又は未固結部分内に進入し固化可能な固化材料Mを送給するための装置で、この固化材料投入装置5により固化材料Mをボーリングロッド2及びコアチューブ3を通し、地中の空洞部分内及び/又は未固結部分内に送給するようになっている。この場合、固化材料Mは水溶液材料で、オールコアによる調査ボーリングの実施時に掘削に支障のない程度の強度を発現する例えば、ゲル状、ウレタン系材料、高分子ジェル材料などの材料からなり、また、固化後の当該固化材料Mが地盤と判別がつきやすいように適宜の色が付けられる。また、この固化材料Mは、ボーリング装置B1の削孔速度に応じて、固化する時間を調整できるものが望ましい。また、特に固化材料Mを地中の空洞部分に早期に充填させる必要がある場合は、発泡性を有する材料とする。固化材料投入装置5はボーリングロッド2(上端のウォータースイベル42)とポンプ装置41との間にデリバリーホース44、45を介して連結され、この固化材料投入装置5により固化材料Mを掘削水に送り込み、ボーリングロッド2において掘削水と共通の供給経路により送給する。固化材料処理タンク6は掘削孔に近接する所定の位置に、掘削孔に連通して設置され、掘削孔を循環して戻される固化材料Mをこの固化材料処理タンク6に収容する。
【0013】
この調査ボーリング工法では、ボーリングロッド2を貫入する地中に、ボーリングロッド2を介して、固化材料Mを供給し充填して、この固化材料Mを地中の空洞部分内及び/又は未固結部分内で固化させつつ、ボーリングロッド2を回転させ、併せてボーリングロッド2を介してコアチューブ3に掘削水を供給しながら、ボーリングロッド2を地中に貫入し、コアチューブ3にコアを収容する。
すなわち、まず、掘削水循環設備4を駆動する。ポンプ装置41により掘削水を汲み上げ、この掘削水に固化材料投入装置5により固化材料Mを送り込みながら、この掘削水をデリバリーホース45、ウォータースイベル42を介してボーリングロッド2に送り、このボーリングロッド2を介してコアチューブ3に供給して、この固化材料Mを地中の空洞部分内及び/又は未固結部分内に充填して固化させる。この空洞部分内及び/又は未固結部分内で固化材料Mの固化が進むにしたがい、ボーリング装置B1を掘削水循環設備4とともに駆動する。ポンプ装置41により掘削水をデリバリーホース44、45、ウォータースイベル42を介してボーリングロッド2に送り、このボーリングロッド2を介してコアチューブ3に供給しながら、ボーリングマシン本体1によりボーリングロッド2をコアチューブ3とともに回転させ、地中に回転するコアチューブ3のビット301を押圧して、コアチューブ3を地中に貫入し、コアチューブ3にコアを収容する。このようにしてコアチューブ3にコアを収容すると、ボーリングロッド2及びコアチューブ3の回転を停止し、ボーリングロッド2を櫓のホイスティングロープに吊り下げ、巻上げ装置の駆動により引き上げて、コアチューブ3を地上に回収し、コアを採取する。なお、掘削孔で循環され、固化材料Mの混じった掘削水は固化材料処理タンク6に排出され、処理される。以上の手順を地中の必要な深さまで繰り返し行う。
【0014】
図2にこの調査ボーリング工法により採取されたコアのイメージを示している。図2に示すように、採取されたコアCに空洞部分や未固結部分Sがある場合、空洞部分や未固結部分S内に固化材料Mが充填固化されて、この固化材料Mにより空洞部分や未固結部分Sの可視化が可能となり、このようなコアCの取り出しにより地層の現状が現状のとおりに現出される。この場合、固化材料Mは着色されているので、コアCの空洞部分や未固結部分Sを明確に視認することが可能である。
【0015】
以上説明したように、この調査ボーリング工法によれば、ボーリング装置B1のボーリングロッド2を回転させ、併せて掘削水循環設備4によりボーリングロッド2を介してボーリングロッド2下部のコアチューブ3に掘削水を供給しながら、ボーリングロッド2を地中に貫入し、コアチューブ3にコアを収容する調査ボーリング工法において、ボーリングロッド2を貫入する地中の空洞部分及び/又は未固結部分に当該空洞部分内及び/又は未固結部分内に進入し固化可能な固化材料Mを供給し充填するので、地中に空洞部分や未固結部分がある場合に、空洞部分や未固結部分の内部で固化材料Mが固化して当該空洞部分や未固結部分の状態を保持し、これを可視化することができ、これにより、コアの採取率が向上し、コアを地中に存在した状態のとおりに採取して、地中の空洞部分や未固結部分の位置及び規模などを正確に把握することができる。また、この場合、固化材料Mを固化後の当該固化材料Mを地盤と判別しやすいように着色しているので、コアの空洞部分や未固結部分を明確に視認することができる。
【0016】
また、このボーリング装置B1は、ボーリングマシン本体1と、このボーリングマシン本体1に作動連結され、回転駆動されるボーリングロッド2、及びボーリングロッド2の下部に設けられ、コアを収容するためのコアチューブ3と、ボーリングロッド2及びコアチューブ3に掘削水を供給し循環させる掘削水循環設備4、及び地中の空洞部分及び/又は未固結部分に当該空洞部分内及び/又は未固結部分内に進入し固化可能な固化材料Mを送給するための固化材料送給装置5とを備え、掘削水循環設備4により掘削水をボーリングロッド2を通じてコアチューブ3に供給し、固化材料投入装置5により固化材料Mをボーリングロッド2及びコアチューブ3を通して地中の空洞部分内及び/又は未固結部分内に送給し充填するようにしたので、地中に空洞部分や未固結部分がある場合に、当該空洞部分内や未固結部分内で固化材料Mを固化して当該空洞部分や未固結部分の状態を保持し、これを可視化することができ、これにより、コアの採取率が向上し、コアを地中に存在した状態のとおりに採取して、地中の空洞部分や未固結部分の位置及び規模などを正確に把握することができる。
【0017】
なお、この実施の形態では、ポンプ装置41により掘削水を汲み上げ、この掘削水に固化材料投入装置5により固化材料Mを送り込みながら、この掘削水をこのボーリングロッド2及びコアチューブ3を通して地中に供給するようにして、固化材料Mをボーリングロッド2において掘削水と共通の供給経路により送給するようにしたが、例えば、ポンプ装置41及び固化材料投入装置5を各別にボーリングロッド2に接続して、掘削水と固化材料Mを各別にボーリングロッド2に送り込むようにして、固化材料Mをボーリングロッド2において掘削水と共通の供給経路により送給するようにしてもよく、また、例えばボーリングロッド2を二重管構造にして、中心の通水路に固化材料投入装置5を接続してこの中心の通水路を通して固化材料Mを送給し、その周囲の通水路にポンプ装置41を接続してこの周囲の通水路を通して掘削水を供給するようにして、固化材料Mをボーリングロッド2において掘削水と異なる供給経路により供給するようにしてもよい。
【0018】
また、この実施の形態では、固化材料Mをボーリングロッド2及びコアチューブ3を通じて地中に送り込むようにしたが、ボーリング装置B1による掘削孔の掘進に合わせて、固化材料Mを地中に直接送入するようにしてもよく、その一例を図3に例示している。
【0019】
図3に示すように、この調査ボーリングでは、ボーリングロッド2下部のコアチューブ3が所謂シュー先行型のサンプラーとして構成されている。すなわち、このコアチューブ3は、ボーリングロッド2にサンプラーヘッド31を介して接合される、下端にメタルクラウン(ビット)32を有するアウターチューブ33と、サンプラーヘッド31にサンプリングチューブヘッド34を介して連結されて、アウターチューブ33の内側に所定の隙間を介して配設される、下端に刃先であるシュー35を有するサンプリングチューブ36とを備えて構成される。このコアチューブ3では、サンプラーヘッド31はボーリングロッド2に直結され、下部に雌ねじ部312を有するヘッド部311と、ヘッド部311の雌ねじ部312にねじ締結可能な雄ねじ部314を有し、ヘッド部311の下部にねじを介して連接される連結部313とからなる。この場合、ヘッド部311は、ボーリングロッド2の通水路20に連通し、このヘッド部311の下面側でかつ雌ねじ部312の外側に開口される通水口30を有し、また、軸芯上に上端側は閉塞されて外周面側に開口し、下端側は雌ねじ部312に貫通される水抜き孔310を有する。このヘッド部311の水抜き孔310の所定の位置に逆流防止弁315が設けられる。ヘッド部311の雌ねじ部312と連結部313の雄ねじ部314はサンプリングチューブ36のシュー35の突出長さを調節するための調節ねじ316をなす。雄ねじ部314は軸芯に水抜き孔310を有し、連結部313は雄ねじ部314の水抜き穴310に連通する筒状に形成され、サンプリングチューブヘッド34の連結に際し、連結部313内部にスプリング317が介装されて、下端開口が軸挿通部を有する固定部材318により閉じられる。また、サンプリングチューブヘッド34は、サンプラーヘッド31の連結部313に連結される小径部341と、サンプリングチューブ36を固定するための大径部342とからなる。この場合、小径部341は上端部に外周方向に突出するフランジ341fを有し、また、軸芯上に水抜き孔310を有する。大径部342は小径部341の水抜き孔310に連通する筒状に形成される。そして、このサンプリングチューブヘッド34の小径部341がサンプラーヘッド31の連結部313内にスプリング317を介して挿入され、この連結部313に固定部材318が固定されて、サンプリングチューブヘッド34とサンプラーヘッド31がスイベル構造340により連結される。このようにしてアウターチューブ33はサンプラーヘッド31のヘッド部311の外周面下部に固定されて、下方に延ばされ、このアウターチューブ33の内側で、サンプリングチューブ36がサンプリングチューブヘッド34の大径部342の外周にビスを介して固定され、下方に延ばされる。
【0020】
この調査ボーリング工法においても、ボーリングロッド2を貫入する地中に固化材料Mを供給し充填して、この固化材料Mを地中の空洞部分内及び/又は未固結部分内で固化させつつ、ボーリングロッド2を回転させ、併せてボーリングロッド2を介してコアチューブ3に掘削水を供給しながら、ボーリングロッド2を地中に貫入し、コアチューブ3にコアを収容する。
すなわち、まず、固化材料投入装置により、ボーリングロッド2を貫入する地中(掘削孔)に、直接、固化材料Mを送給し、この固化材料Mを掘削孔内の内壁とボーリングロッド2及びコアチューブ3の外周面との間を通して、地中の空洞部分及び/又は未固結部分内に充填し固化させる。この空洞部分内及び/又は未固結部分内で固化材料Mの固化が進むにしたがい、ボーリング装置を掘削水循環設備とともに駆動する。ポンプ装置により掘削水をデリバリーホース、ウォータースイベルを介してボーリングロッド2に送り、このボーリングロッド2を介してコアチューブ3のアウターチューブ33とサンプリングチューブ36との間に掘削水を流入させながら、アウターチューブ33を回転させて、メタルクラウン32により地盤を掘削する。この場合、アウターチューブ33が回転しても、サンプリングチューブヘッド34とサンプラーヘッド31との間のスイベル構造340により、サンプリングチューブ36はアウターチューブ33に連動せず、回転することがないので、サンプリングチューブ36のシュー35を回転することなく地盤に貫入して、サンプリングチューブ36内にコアCを取り込む。なお、このとき、サンプリングチューブ36内に取り込まれたコアCは逆流防止弁315の作用により脱落することがない。このようにしてコアチューブ3にコアCを取り込んだ後、既述のとおり、ボーリングロッド2の回転を停止し、ボーリングロッド2を櫓のホイスティングロープに吊り下げ、巻上げ装置の駆動により引き上げて、コアチューブ3を地上に回収し、コアCを採取する。採取されたコアCは、空洞部分や未固結部分Sがある場合に、空洞部分や未固結部分S内に固化材料Mが固化され、この固化材料Mにより空洞部分や未固結部分Sの可視化が可能となり、このようなコアCの取り出しにより地層の現状が現状のとおりに現出される。この場合、固化材料Mは着色されていることにより、コアCの空洞部分や未固結部分Sを明確に視認することが可能である。なお、掘削孔内に残された固定材料Mは掘削水とともに、掘削孔内で、コアチューブ3の各部の軸芯に形成された水抜き穴310を通じて循環され、掘削孔の外部、又は既述の固化材料処理タンクに排出される。以上の手順を地中の必要な深さまで繰り返し行う。
【0021】
このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0022】
B1 ボーリング装置
1 ボーリングマシン本体
2 ボーリングロッド
20 通水路
3 コアチューブ
301 ビット
30 通水口
31 サンプラーヘッド
310 水抜き孔
311 ヘッド部
312 雌ねじ部
313 連結部
314 雄ねじ部
315 逆流防止弁
316 調節ねじ
317 スプリング
318 固定部材
32 メタルクラウン(ビット)
33 アウターチューブ
34 サンプリングチューブヘッド
340 スイベル構造
341 小径部
341f フランジ
342 大径部
35 シュー
36 サンプリングチューブ
4 掘削水循環設備
40 掘削水溜り
41 ポンプ装置
42 ウォータースイベル
43 サクションホース
44、45 デリバリーホース
5 固化材料投入装置
6 固化材料処理タンク
C コア
S 空洞部分及び/又は未固結部分
M 固化材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーリング装置のボーリングロッドを回転させ、併せて掘削水循環設備により前記ボーリングロッドを介して前記ボーリングロッド下部のコアチューブに掘削水を供給しながら、前記ボーリングロッドを地中に貫入し、前記コアチューブにコアを収容する調査ボーリング工法において、
前記ボーリングロッドを貫入する地中の空洞部分及び/又は未固結部分に、当該空洞部分内及び/又は未固結部分内に進入し固化可能な固化材料を送給し充填する、
ことを特徴とする調査ボーリング工法。
【請求項2】
固化材料をボーリングロッドにおいて掘削水と共通の供給経路により地中に送給する請求項1に記載の調査ボーリング工法。
【請求項3】
固化材料をボーリングロッドにおいて掘削水と異なる供給経路により地中に送給する請求項1に記載の調査ボーリング工法。
【請求項4】
固化材料をボーリングロッドを用いることなく直接地中に送給する請求項1に記載の調査ボーリング工法。
【請求項5】
固化材料は固化した後の当該固化材料が判別可能に色を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の調査ボーリング工法。
【請求項6】
ボーリングマシン本体と、前記ボーリングマシン本体に作動連結され、回転駆動されるボーリングロッド、及び前記ボーリングロッドの下部に設けられ、コアを収容するためのコアチューブと、前記ボーリングロッド及び前記コアチューブに掘削水を供給し循環させる掘削水循環設備とを備え、前記ボーリングロッドを回転させ、前記ボーリングロッド及び前記コアチューブに掘削水を供給しながら、前記ボーリングロッドを地中に貫入して、前記コアチューブにコアを収容するボーリング装置において、
地中の空洞部分及び/又は未固結部分に当該空洞部分内及び/又は未固結部分内に進入し固化可能な固化材料を送給するための固化材料送給装置を備える、
ことを特徴とするボーリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−154039(P2012−154039A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11774(P2011−11774)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)