説明

負帯電性電子写真用トナー

【課題】高い帯電量であって帯電の立ち上がりが速く、かつ環境安定性のよい負帯電性トナー。
【解決手段】2:1型鉄錯塩化合物を電荷制御剤としてα質量%含有するトナーであって、該化合物中に不純物としてβ質量%含有されているピラゾロン化合物を、α×β≦3.3に設定管理して製造された負帯電性電子写真用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録のような画像形成方法における静電荷像を現像するための負帯電性電子写真用トナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真法としては、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成し、次いでトナーを用いて該潜像を現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力或いは溶剤蒸気などにより定着し複写物を得るものである。上述の最終工程であるトナー像を紙などのシートに定着する工程に関して種々の方法や装置が開発されているが、現在最も一般的な方法は熱ローラーによる圧着加熱方式である。加熱ローラーによる圧着加熱方式はトナーに対し離型性を有する表面を形成した熱ローラーの表面に被定着シートのトナー像面を加圧下で接触しながら通過せしめることにより定着を行なうものである。この方法は加熱ローラー表面と被定着シートのトナー像とが加圧下で接触するため、トナー像を被定着シート上に融着する際の熱効率が極めて良好であり、迅速に定着を行なうことができ、高速度電子写真複写機において非常に有効である。このような定着方法において、結着樹脂を含有するトナーが使用されている。これら定着性、耐オフセット性を向上させるために、トナー結着樹脂中に酸成分或いは酸無水物成分を樹脂構成成分として含有せしめることが行われている。しかし、そのような結着樹脂を用いた場合には、高湿下における吸着水分量が増加するために帯電量が低下することにより、濃度低下を引き起こし、更に低湿下においては、負帯電性が過剰になり過ぎるために、カブリや濃度低下を生じることがある。このように、トナーの定着性能、耐オフセット性能を満足するとともに、トナーの帯電性能においても十分な性能を与えることが求められている。
【0003】
帯電特性を制御するためには、トナー中に電荷制御剤を添加することが広く行われている。電荷制御剤を添加されたトナーにおける帯電特性は、結着樹脂の種類と電荷制御剤の種類の組み合わせにより異なる。このような電荷制御剤の中で、モノアゾ金属錯塩化合物を用いることが知られている。しかしながら、これらの電荷制御剤は、トナーの結着樹脂に対する親和性や摩擦帯電付与効果が不十分なために、初期の複写画像の品質が変動し易いという欠点があった。又温度、湿度の影響を受けやすく、高湿度での環境下において、帯電量の低下という欠点も有していた。モノアゾクロム錯塩化合物の中には、これらの問題を解決しているものがあるが、燃焼廃棄時に有害な6価クロムが微量生成する可能性が完全には否定できず、環境や人体に与える影響が懸念されている。従って、より安全な金属を使用し、且つ性能面において十分に満足できる電荷制御剤が望まれていた。
【0004】
電荷制御剤としていくつかのモノアゾ鉄錯塩化合物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。中でも性能の良好なものは全てニトロ基を複数有するアゾ錯体であることから、化合物の合成中に発火・爆発の危険を伴う。特に中心金属が鉄の場合は、発火・爆発の危険が著しく、乾燥及び粉砕工程が極めて危険な作業となる。また粉砕型のトナーは、押し出し混練機等により混練され、且つそれを粉砕し製造することが一般的であることから、トナー製造時における粉塵爆発の可能性も少なくない。中心金属をクロムとした場合は鉄より発火・爆発の危険性は低下するが、この場合においても得られたニトロ基を有するモノアゾクロム錯塩化合物は、自己反応性物質(第5類危険物)に該当し取り扱いに制限を受ける。中心金属が鉄であるモノアゾ鉄錯塩化合物を電荷制御剤として使用したトナーが開示されているが(例えば、特許文献2参照)、中心金属としてクロムを使用しない負帯電性の電荷制御剤としては、実用的な帯電量を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平8−500912号公報
【特許文献2】特開昭61−155464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、電子写真法を応用したプリンターやファクシミリが普及し、年々複写の速度が高速化しており、従来の複写機以上に瞬時に適正帯電を保持する(帯電の立ち上がりが良好な)トナーが要求されるようになってきている。すなわち、休止状態から出力状態に入った時に瞬時に適性帯電を保持することが、従来のトナー以上に求められており、鉄錯塩化合物を含有するトナーに対しても例外ではない。
【0007】
本発明は、電荷制御剤の構造式中にニトロ基を有さないことによりトナー製造時における粉体爆発を起こすことがなく、また、構造式中にクロムを含まないために、燃焼又は酸化しても有害物質が生ずる可能性が無く、環境に対しても安全であり、高い帯電量を有し、帯電の立ち上がりが速く、かつ環境安定性のよい負帯電性トナーを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは研究の結果、ピラゾロン骨格を有する特定の金属錯塩化合物を用いて、かつ金属錯塩化合物中の特定の不純物をトナー中のある一定の範囲以下に保持することにより、高い帯電量を有し、帯電の立ち上がりが著しく良好であり、温度や湿度の影響を受けることなく安定した帯電量を維持することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、下記一般式(1)
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、A、Bはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Yは無置換の芳香族環基もしくはハロゲン原子で置換された芳香族環基を表す。Jは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基またはアルキルアンモニウム基を表し、Jにおいてこれらの基は2種以上が混合されていてもよい。)で表される2:1型鉄錯塩化合物を電荷制御剤としてα質量%含有するトナーであって、該化合物中に不純物としてβ質量%含有されている下記一般式(2)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Yは無置換の芳香族環基もしくはハロゲン原子で置換された芳香族環基を表す。)で表されるピラゾロン化合物を、トナーに対する含量として330ppm以下とするために、該電荷制御剤のトナー中における含有量αを1〜3質量%であるものとし、α×β≦3.3に設定管理して製造されたことを特徴とする負帯電性電子写真用トナーである。
【0014】
本発明は、好ましくは下記一般式(3)
【0015】
【化3】

【0016】
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、C、Dはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、Jは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基またはアルキルアンモニウム基を表し、Jにおいてこれらの基は2種以上が混合されていてもよい。)で表される2:1型鉄錯塩化合物を電荷制御剤としてα質量%含有するトナーであって、該化合物中に不純物としてβ質量%含有されている下記一般式(4)
【0017】
【化4】

【0018】
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、C、Dはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表す。)で表されるピラゾロン化合物を、トナーに対する含量として330ppm以下とするために、該電荷制御剤のトナー中における含有量αを1〜3質量%であるものとし、α×β≦3.3に設定管理して製造されたことを特徴とする負帯電性電子写真用トナーである。
【0019】
さらに本発明は、下記一般式(1)
【0020】
【化5】

【0021】
(式中、A、Bはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Yは無置換の芳香族環基もしくはハロゲン原子で置換された芳香族環基を表す。Jは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基またはアルキルアンモニウム基を表し、Jにおいてこれらの基は2種以上が混合されていてもよい。)で表される2:1型鉄錯塩化合物を電荷制御剤としてα質量%含有するトナーであって、該化合物中に不純物としてβ質量%含有されている下記一般式(2)
【0022】
【化6】

【0023】
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Yは無置換の芳香族環基もしくはハロゲン原子で置換された芳香族環基を表す。)で表されるピラゾロン化合物を、トナーに対する含量として330ppm以下とするために、該電荷制御剤のトナー中における含有量αを1〜3質量%であるものとし、α×β≦3.3に設定管理することを特徴とする、負帯電性電子写真用トナー製造時の不純物抑制管理方法である。
【0024】
本発明は、好ましくは下記一般式(3)
【0025】
【化7】

【0026】
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、C、Dはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、Jは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基またはアルキルアンモニウム基を表し、Jにおいてこれらの基は2種以上が混合されていてもよい。)で表される2:1型鉄錯塩化合物を電荷制御剤としてα質量%含有するトナーであって、該化合物中に不純物としてβ質量%含有されている下記一般式(4)
【0027】
【化8】

【0028】
(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、C、Dはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表す。)で表されるピラゾロン化合物を、トナーに対する含量として330ppm以下とするために、該電荷制御剤のトナー中における含有量αを1〜3質量%であるものとし、α×β≦3.3に設定管理することを特徴とする、負帯電性電子写真用トナー製造時の不純物抑制管理方法である。
【0029】
本発明の負帯電性電子写真用トナーの中でも性能の優れているものとしては、一般式(3)において、Xがメチル基でCおよびDが水素原子であるもの、Xがメチル基でCが水素原子でDが4−クロロ基であるもの、Xがメチル基でCが3−クロロ基、Dが4−クロロ基であるものが挙げられる。また、これらの化合物は、本発明の負帯電性電子写真用トナー製造時の不純物抑制管理方法においても良好に対応しているものである。
【発明の効果】
【0030】
本発明の負帯電性電子写真用トナーは、トナー製造時の不純物抑制管理方法によって特定の不純物含量が抑制されているので、高い帯電量を有し、帯電の立ち上がりが速く、かつ環境安定性に優れている。また、本発明の負帯電性電子写真用トナーは、トナー中の2:1型鉄錯塩化合物が、構造式中にニトロ基を有していないのでトナー製造時における粉体爆発を起こすことがなく、クロム等の金属を含まないために、燃焼又は酸化しても有害な物質が生ずる可能性もないため、環境に対しても安全である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の負帯電性電子写真用トナー製造時の不純物抑制管理方法では、第1段階で一般式(1)で表される2:1型鉄錯塩化合物中の不純物である、一般式(2)で表されるピラゾロン化合物含有量βについて、分析を行う。第2段階では、得られたβ値に応じて、次のトナー製造段階に直接移行するのか、または一般式(1)で表される2:1型鉄錯塩化合物について再度精製を実施するのかを決定する。β値が大きいと、第3段階で製造されるトナーは2:1型鉄錯塩化合物の添加量が制限されることになる。2:1型鉄錯塩化合物の添加量が低いトナーの場合には、β値がやや大きい場合でも、そのまま第3段階のトナー製造に直接移行することが可能である。ただし、トナー中の2:1型鉄錯塩化合物添加量を低下させ過ぎると、トナーの性能が損なわれることになる。β値がさらに大きくなると、2:1型鉄錯塩化合物について再度精製を実施することになる。このように、第1段階でβ値をあらかじめ分析しておくことにより、品質の悪いトナーを製造する危険率を確実に低減することができる。また逆に、過剰に精製を余儀無くされる負担を確実に低減することができる。さらにこのことは、一般式(3)で表される2:1型鉄錯塩化合物中の不純物である、一般式(4)で表されるピラゾロン化合物含有量βを第1段階で分析しておくことによっても、上述したものと同一の効果を得ることができる。
【0032】
本発明の負帯電性電子写真用トナー製造時の不純物抑制管理方法における、第1段階の一般式(2)または一般式(4)で表されるピラゾロン化合物含有量βの分析手段としては、高速液体クロマトグラフィー法が適している。その他ガスクロマトグラフィー法も採用可能である。いずれも、化合物製造時の不純物抑制管理方法として適した手段である。
【0033】
一般式(1)または一般式(3)で表される、2:1型鉄錯塩化合物中の製造時、および第1段階でβ値が大きくて再精製が必要な時の、2:1型鉄錯塩化合物中の不純物である一般式(2)または一般式(4)で表されるピラゾロン化合物の除去方法としては、溶解度差を利用するのが最も適している。ピラゾロン化合物の溶媒に対する溶解度が比較的高いためである。
【0034】
ピラゾロン化合物の除去方法としては、メタノール、DMF等の極性有機溶媒で不純物を洗い出す方法、極性有機溶媒または極性有機溶媒と非極性有機溶媒との組合せによる、再結晶による方法、さらに純度を高める方法として、クロマトグラフィーによりカラム上で分離した後に極性溶媒を用いて抽出する方法が適している。これらの方法を組み合わせることも可能である。
【実施例1】
【0035】
以下、実施例を示す。実施例中、部、%は特に記載がないかぎり、質量部又は質量%とする。
[実施例1〜3]
一般式(1)の式中、A=5−Cl基、B=水素原子、X=CH基、Y=無置換フェニル基、J=水素原子とした2:1型鉄錯塩化合物で、一般式(2)の式中、X=CH基、Y=無置換フェニル基としたピラゾロンの含有量が、0.6%、1.0%、1.8%である3種類を調製した。次に、カーボンブラック5部(%)、調製された2:1型鉄錯塩化合物、スチレンアクリル系合成樹脂(三井化学社製、商品名CPR−100)を下記[表1]の割合で(合計が100部になるように)配合し、十分混合後、加熱溶融混練させ、冷却後常法で粉砕分級し、体積平均粒径9±0.5μmの負帯電トナーを得た。これをシリコンコートキャリア(パウダーテック社製、商品名:F96−100)と4対100質量部の割合で混合振とうし、トナーを負に帯電させた後、ブローオフ粉体帯電量測定装置で測定した。実施例1〜3では、一般式(1)中における一般式(2)の含有量βを0.6%とし、トナーへの一般式(1)の添加量αを1〜3%とした。
【0036】
[実施例4〜6]
実施例4〜6では、一般式(1)中における一般式(2)の含有量βを1.0%とし、トナーへの一般式(1)の添加量αを1〜3%とした。
【0037】
[実施例7]
実施例7では、一般式(1)中における一般式(2)の含有量βを1.8%とし、トナーへの一般式(1)の添加量αを1%とした。
【0038】
[比較例1〜2]
比較例1〜2では、一般式(1)中における一般式(2)の含有量βを1.8%とし、トナーへの一般式(1)の添加量αを2〜3%とした。
【0039】
[帯電立ち上がり性]
また、帯電立ち上がり性の指標である時定数(τ)についても算出した。時定数(τ)は、飽和帯電に達するまでの帯電量を一定時間ごとにブローオフ帯電量測定装置で測定し、(電子写真学会誌、P307、第27巻、第3号(1988))に記載される、次式によってln(qmax−q)を算出し、時間tとln(qmax−q)の関係をグラフにプロットし、時定数τを求めた。

(qmax−q)/(qmax−q)=exp(−t/τ)

ここで、qmaxは飽和帯電量、qは初期帯電量(ここでは帯電時間30秒のときの値)、tが各測定時間であり、そのときの帯電量がqである。
帯電の立ち上がりのよいものは、時定数がより小さな値となる。時定数の単位は秒である。
【0040】
[環境安定性]
また、帯電の環境安定性についても評価を行った、環境安定性の評価方法は、通常の25℃−50%RH(相対湿度)の環境下での測定に加え、高湿環境(35℃−85%RH)での帯電量測定を行うことにより判定した。
帯電量測定は、各環境下に24時間暴露した現像剤を、その環境においたままで十分に帯電させ、飽和帯電量をブローオフ帯電量測定装置により測定した。
2つの環境で帯電量の変動が20%未満であるものを良好(○)、20%を超えるものを不良(×)とした。
結果を[表1]に示した。
【0041】
【表1】

【0042】
[表1]の結果から、一般式(1)中の一般式(2)の含有量β%と、トナー中への一般式(1)の添加量α%との積が3.3以下の条件を満すトナーは、高い帯電量を有し、帯電立ち上り性、環境安定性が良好であることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の負帯電性電子写真用トナーは、高い帯電量、帯電の立ち上がりが速いこと、かつ環境安定性に優れていることが要求される場合に適している。また、本発明の負帯電性電子写真用トナーは、トナー中の2:1型鉄錯塩化合物が、構造式中にニトロ基を有していないのでトナー製造時における粉体爆発を起こすことがなく、クロム等の金属を含まないために、燃焼又は酸化しても有害な物質が生ずる可能性もないため、環境に対して安全性が要求される場合に適している。また、トナー製造時の不純物抑制管理方法として適した方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、A、Bはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Yは無置換の芳香族環基もしくはハロゲン原子で置換された芳香族環基を表す。Jは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基またはアルキルアンモニウム基を表し、Jにおいてこれらの基は2種以上が混合されていてもよい。ただし、Xがメチル基であって、Yが無置換のフェニル基である場合を除く。)で表される2:1型鉄錯塩化合物を電荷制御剤としてα質量%含有するトナーであって、該化合物中に不純物としてβ質量%含有されている下記一般式(2)
【化2】

(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Yは無置換の芳香族環基もしくはハロゲン原子で置換された芳香族環基を表す。ただし、Xがメチル基であって、Yが無置換のフェニル基である場合を除く。)で表されるピラゾロン化合物を、トナーに対する含量として330ppm以下とするために、該電荷制御剤のトナー中における含有量αを1〜3質量%であるものとし、α×β≦3.3に設定管理して製造されたことを特徴とする負帯電性電子写真用トナー。
【請求項2】
下記一般式(3)
【化3】

(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、C、Dはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、Jは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基またはアルキルアンモニウム基を表し、Jにおいてこれらの基は2種以上が混合されていてもよい。ただし、Xがメチル基であって、CとDが同時に水素原子である場合を除く。)で表される2:1型鉄錯塩化合物を電荷制御剤としてα質量%含有するトナーであって、該化合物中に不純物としてβ質量%含有されている下記一般式(4)
【化4】

(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、C、Dはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表す。ただし、Xがメチル基であって、CとDが同時に水素原子である場合を除く。)で表されるピラゾロン化合物を、トナーに対する含量として330ppm以下とするために、該電荷制御剤のトナー中における含有量αを1〜3質量%であるものとし、α×β≦3.3に設定管理して製造されたことを特徴とする負帯電性電子写真用トナー。
【請求項3】
前記した一般式(3)式および一般式(4)式中、Xがメチル基で、Cが水素原子、Dが4−クロロ基である、請求項2記載の負帯電性電子写真用トナー。
【請求項4】
前記した一般式(3)式および一般式(4)式中、Xがメチル基で、Cが3−クロロ基、Dが4−クロロ基である、請求項2記載の負帯電性電子写真用トナー。
【請求項5】
下記一般式(1)
【化5】

(式中、A、Bはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Yは無置換の芳香族環基もしくはハロゲン原子で置換された芳香族環基を表す。Jは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基またはアルキルアンモニウム基を表し、Jにおいてこれらの基は2種以上が混合されていてもよい。ただし、Xがメチル基であって、Yが無置換のフェニル基である場合を除く。)で表される2:1型鉄錯塩化合物を電荷制御剤としてα質量%含有するトナーであって、該化合物中に不純物としてβ質量%含有されている下記一般式(2)
【化6】

(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、Yは無置換の芳香族環基もしくはハロゲン原子で置換された芳香族環基を表す。ただし、Xがメチル基であって、Yが無置換のフェニル基である場合を除く。)で表されるピラゾロン化合物を、トナーに対する含量として330ppm以下とするために、該電荷制御剤のトナー中における含有量αを1〜3質量%であるものとし、α×β≦3.3に設定管理することを特徴とする、負帯電性電子写真用トナー製造時の不純物抑制管理方法。
【請求項6】
下記一般式(3)
【化7】

(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、C、Dはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表し、Jは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基またはアルキルアンモニウム基を表し、Jにおいてこれらの基は2種以上が混合されていてもよい。ただし、Xがメチル基であって、CとDが同時に水素原子である場合を除く。)で表される2:1型鉄錯塩化合物を電荷制御剤としてα質量%含有するトナーであって、該化合物中に不純物としてβ質量%含有されている下記一般式(4)
【化8】

(式中、Xは炭素数1〜8のアルキル基を表し、C、Dはそれぞれ独立して水素原子またはハロゲン原子を表すただし、Xがメチル基であって、CとDが同時に水素原子である場合を除く。。)で表されるピラゾロン化合物を、トナーに対する含量として330ppm以下とするために、該電荷制御剤のトナー中における含有量αを1〜3質量%であるものとし、α×β≦3.3に設定管理することを特徴とする、負帯電性電子写真用トナー製造時の不純物抑制管理方法。
【請求項7】
前記した一般式(3)式および一般式(4)式中、Xがメチル基で、Cが水素原子、Dが4−クロロ基である、請求項6記載の負帯電性電子写真用トナー製造時の不純物抑制管理方法。
【請求項8】
前記した一般式(3)式および一般式(4)式中、Xがメチル基で、Cが3−クロロ基、Dが4−クロロ基である、請求項6記載の負帯電性電子写真用トナー製造時の不純物抑制管理方法。

【公開番号】特開2010−211233(P2010−211233A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116012(P2010−116012)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【分割の表示】特願2005−39470(P2005−39470)の分割
【原出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000005315)保土谷化学工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】