貨物自動車における積荷の搬送装置
【課題】高さの異なる複数段の床を有する荷台を備えた貨物自動車において、高段側の床を荷台の一部として有効利用することを促進する。
【解決手段】搬送装置は、長手方向と直交する方向に並ぶ複数の床板材からなり、前記直交方向に隣り合う床板材が互いに異なる群に属するように分類された複数の床板材群と、前記複数の床板材群のそれぞれに設けられ、各床板材群に属する床板材を同時に往動および復動させる複数の油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cと、を低段床3aおよび高段床3bのそれぞれに備えている。制御装置55は、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cを順次駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を順次往動させた後、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cを同時に駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を一斉に復動させることによって、積荷を搬送する。
【解決手段】搬送装置は、長手方向と直交する方向に並ぶ複数の床板材からなり、前記直交方向に隣り合う床板材が互いに異なる群に属するように分類された複数の床板材群と、前記複数の床板材群のそれぞれに設けられ、各床板材群に属する床板材を同時に往動および復動させる複数の油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cと、を低段床3aおよび高段床3bのそれぞれに備えている。制御装置55は、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cを順次駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を順次往動させた後、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cを同時に駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を一斉に復動させることによって、積荷を搬送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物自動車における積荷の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、貨物自動車において、荷台の床板材を適宜前後にスライドさせることによって、荷台内の積荷を搬送する搬送装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された積荷の搬送装置は、分割された複数の床板材を備えている。これら複数の床板材は、左右方向にそれぞれ3つ置きに配置された複数の床板材からなる第1、第2および第3の床板材群を構成する。第1の床板材群の床板材と第2の床板材群の床板材と第3の床板材群の床板材とは、この順に配列されており、このような配列パターンが左右方向に繰り返し形成されている。
【0003】
積荷の搬送の際には、第1の床板材群の床板材のみを往動させる第1の動作と、第2の床板材群の床板材のみを往動させる第2の動作と、第3の床板材群の床板材のみを往動させる第3の動作と、第1〜第3の床板材群の全床板材を同時に復動させる第4の動作とが繰り返される。第1、第2、および第3の動作では、一部の床板材群(厳密には、3つの床板材群のうちの2つの床板材群)の床板材が停止しているので、往動する床板材は積荷に対して摺動する。そのため、積荷は停止している。一方、第4の動作では、すべての床板材群の床板材が復動するので、積荷は床板材と共に進む。すなわち、積荷は床板材の復動に伴って床板材の復動方向に搬送される。
【特許文献1】特開2001−39208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、いわゆる段付きトレーラのように、キャブ(運転室)の後方に高さの異なる2段式の床を有する貨物自動車が知られている。この種の貨物自動車では、車両の前側の床は、車両の後側の床よりも高くなっている。従来の貨物自動車では、前側の床と後側の床との間に段差があるので、高段側の床(すなわち前側の床)は荷台として利用されず、低段側の床(すなわち後側の床)のみが荷台として利用されている。
【0005】
ところが、荷台の一部として高段側の床も有効利用することができれば、荷台の大容量化を図ることができるため好ましい。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高段側の床を荷台の一部として有効利用することを促進する積荷の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る貨物自動車における積荷の搬送装置は、第1段の床と、前記第1段の床よりも搬入搬出口側に位置し、前記第1段よりも低い第2段の床とを有する荷台を備えた貨物自動車における積荷の搬送装置であって、長手方向と直交する方向に並ぶ複数の床板材からなり、前記直交方向に隣り合う床板材が互いに異なる群に属するように分類された複数の床板材群と、前記複数の床板材群のそれぞれに設けられ、各床板材群に属する床板材を同時に前記長手方向に往復させる複数のアクチュエータと、を前記第1段の床および前記第2段の床のそれぞれに備え、前記第1段の床および前記第2段の床のそれぞれにおいて、前記複数のアクチュエータを順次駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を順次往動させた後、前記複数のアクチュエータを同時に駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を一斉に復動させることによって前記積荷を前記床板材の復動方向へ進ませる制御装置を備えているものである。
【0008】
上記搬送装置によれば、第1段の床の積荷を搬入搬出口側に自動的に進ませることができ、第2段の床に搬送することができる。さらに、第2段の床に搬送された積荷を搬入搬出口側に自動的に進ませることができ、搬入搬出口から排出することができる。そのため、第1段の床の積荷を自動的に排出することが可能となる。したがって、第1段の床から積荷を排出することが容易となるので、積荷を収容する荷台の一部として、第1段の床を積極的に利用することが可能となる。
【0009】
前記第1段の床における前記複数のアクチュエータと前記第2段の床における前記複数のアクチュエータとは、それぞれ対応しており、対応するアクチュエータ同士は、同調するように制御されることが好ましい。
【0010】
このことにより、第1段の床のアクチュエータと第2段の床のアクチュエータとを関連づけて制御することができ、アクチュエータ全体の制御が比較的容易となる。
【0011】
前記制御装置は、前記第1段の床の積荷と前記第2段の床の積荷とを搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、その後、前記第2段の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動することが好ましい。
【0012】
このことにより、第1段の床と第2段の床との両方に積荷が載置されている場合に、始めに両段の床のアクチュエータを同時に駆動することによって、両段の床の積荷を共に搬入搬出口側に進ませる一方、第1段の床の積荷が第2段の床に搬送された後は、第1段の床のアクチュエータを停止することによって、無駄な動作を防止することができる。したがって、搬送装置の運転効率を向上させることができる。
【0013】
前記搬送装置は、前記第1段の床のアクチュエータの負荷を検出する第1負荷検出手段をさらに備え、前記制御装置は、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動しているときに、前記第1負荷検出手段によって前記第1段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動することが好ましい。
【0014】
このことにより、第1段の床の積荷が排出された後で第1段の床のアクチュエータを停止させることができ、当該アクチュエータを適切なタイミングで停止させることができる。したがって、搬送装置の運転効率を一層向上させることができる。
【0015】
前記第2の床の長手方向長さは、前記第1段の床の長手方向長さよりも長く、前記制御装置は、前記第2段の床の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第2段の床のアクチュエータを駆動し、その後、前記第1段の床の積荷と前記第2段の床の積荷とを搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、その後、前記第2段の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動することが好ましい。
【0016】
このことにより、第1段の床と第2段の床との両方に積荷が載置されている場合に、始めに第2段の床のアクチュエータを駆動することによって、第2段の床の積荷の一部を優先的に排出することができる。その後、両段の床のアクチュエータを同時に駆動することによって、両段の床の積荷を共に進ませることができる。そして、第1段の床の積荷が第2段の床に搬送された後は、第1段の床のアクチュエータを停止することによって、無駄な動作を防止することができる。したがって、搬送装置の運転効率をより一層向上させることができる。
【0017】
前記搬送装置は、前記第1段の床のアクチュエータの負荷を検出する第1負荷検出手段と、前記第2段の床のアクチュエータの負荷を検出する第2負荷検出手段と、をさらに備え、前記制御装置は、前記第2段の床のアクチュエータを駆動しているときに、前記第2負荷検出手段によって前記第2段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動しているときに、前記第1負荷検出手段によって前記第1段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動することが好ましい。
【0018】
このことにより、第2段の床のアクチュエータの負荷が低減された後に、第1段の床および第2段の床の両アクチュエータの駆動を開始することができる。したがって、両アクチュエータを同時に駆動する際に、それら両アクチュエータを駆動するための動力を比較的小さく抑えることができる。また、第1段の床の積荷が排出された後で第1段の床のアクチュエータを停止させることができ、当該アクチュエータを適切なタイミングで停止させることができる。したがって、搬送装置の運転効率を一層向上させることができる。
【0019】
前記搬送装置は、前記第1段の床および前記第2段の床において、前記複数の床板材群のそれぞれに属する少なくとも一つの床板材の位置を直接または間接的に検出する位置センサをさらに備え、前記制御装置は、前記第1段の床および第2段の床のそれぞれにおいて、いずれか一つの床板材群の床板材の往動が完了した後に、次に往動すべき床板材群の床板材の往動が開始され、さらに全床板材群の床板材の往動が完了した後に全床板材群の床板材が復動を開始するように、前記位置センサの検出に基づいて前記複数のアクチュエータを制御することが好ましい。
【0020】
このことにより、床板材群の床板材が常に適切なタイミングで往動または復動するので、積荷の搬送を迅速かつ確実に実行することができる。
【0021】
前記第2の床の長手方向長さは、前記第1段の床の長手方向長さよりも長く、前記搬送装置は、前記第2段の床における前記複数の床板材群のそれぞれに属する少なくとも一つの床板材の位置を直接または間接的に検出する位置センサをさらに備え、前記制御装置は、前記第2段の床における床板材の往動または復動が完了したことを前記位置センサで検出してから、前記第1段の床における床板材の往動または復動を開始するものであってもよい。
【0022】
第2段の床は第1段の床よりも長いため、第1段の床の床板材は第2段の床の床板材よりも迅速に往動または復動しがちとなる。そのため、第2段の床の床板材の往動または復動が完了する前に、第1段の床の床板材の往動または復動が開始されるおそれがある。しかし、上記搬送装置によれば、第2段の床の床板材の往動または復動が完了したが上記位置センサで検出されてから、第1段の床の床板材の往動または復動が開始される。したがって、第1段の床の床板材と第2段の床の床板材とを正確に同調させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、高さの異なる複数段の床を有する荷台を備えた貨物自動車において、高段側の床を荷台の一部として有効利用することを促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
《実施形態1》
(貨物自動車および荷台)
図1および図2に示すように、本実施形態に係る積荷の搬送装置は、いわゆる段付きトレーラからなる貨物自動車1に搭載されている。貨物自動車1は、キャブ2と荷台3とを備えている。荷台3は、キャブ2の後方に位置する高段側の床(以下、高段床という)3aと、高段床3aの後方に位置する低段側の床(以下、低段床という)3bとを備えている。高段床3aと低段床3bとは高さが異なっており、低段床3bの方が高段床3aよりも低くなっている。低段床3bの長手方向長さ(言い換えると、車両前後方向の長さ、図1および図2における左右方向長さである。)は、高段床3aの長手方向長さよりも長くなっている。
【0025】
(荷台の床の構成)
高段床3aと低段床3bとは、それらの長手方向長さが異なっているが、その他の構成は同様である。そこで、以下では、低段床3bの構成のみを説明し、高段床3aの詳細な説明は省略する。
【0026】
床3bは、図8に示すように、長手方向(図8における左右方向)と直交する方向に並んだ複数の床板材10を備えている。複数の床板材10は、複数の群に分けられている。本実施形態では、複数の床板材10は、第1床板材群11A、第2床板材群11B、および第3床板材群11Cの3つの群に分けられている。ただし、本発明において、床板材群の数は3つに限定される訳ではない。床板材群の数は、2であってもよく、4以上であってもよい。
【0027】
各床板材群11A,11B,11Cに属する複数の床板材10は、3つ置きに配列されている。すなわち、本実施形態では、第1床板材群11Aに属する床板材10と、第2床板材群11Bに属する床板材10と、第3床板材群11Cに属する床板材とは、この順に並んでいる。また、長手方向と直交する方向に、このような配列パターンが順次繰り返されている。
【0028】
各床板材群11A,11B,11Cに属する床板材10同士は、一緒に往動および復動するように互いに連結されている。詳しくは、第1床板材群11Aに属する複数の床板材10は、横板材12Aを介して連結されている。第2床板材群11Bに属する複数の床板材10は、横板材12Bを介して連結されている。第3床板材群11Cに属する複数の床板材10は、横板材12Cを介して連結されている。なお、これら横板材12A,12B,12Cは、直交方向と交差する方向に延びる板材である。ただし、各床板材群11A,11B,11Cに属する床板材10同士を連結する構造は、上記横板材12A,12B,12Cを用いた構造に限定される訳ではない。
【0029】
横板材12A,12B,12Cには、第1油圧シリンダ13A,第2油圧シリンダ13B,第3油圧シリンダ13Cがそれぞれ連結されている。油圧シリンダ13A,13B,13Cは、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を往復動させるアクチュエータの一例である。本実施形態では、油圧シリンダ13A,13B,13Cは、横板材12A,12B,12Cを介して、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を往復動させる。ただし、本発明に係るアクチュエータは、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を直接往復動させるものであってもよい。
【0030】
図4は、油圧シリンダ13A,13B,13Cが横板材12A,12B,12Cに連結されている状態を示す拡大平面図である。油圧シリンダ13A,13B,13Cは、シリンダケース131A,131B,131Cと、ピストンロッド130A,130B,130Cとをそれぞれ備えている。横板材12A,12B,12Cは、ピストンロッド130A,130B,130Cの先端部にそれぞれ接続されている。シリンダケース131A,131B,131Cは、貨物自動車1の荷台3の下方に配置されたシャーシフレーム14に固定されている。
【0031】
(床板材の往復動作)
次に、積荷の搬送時における床板材10の往復動作について説明する。なお、以下の説明において、往動とは積荷を進める方向と反対の方向への移動を言い、復動とは積荷を進める方向への移動を言う。往動側端部とは往動側の端部を言い、復動側端部とは復動側の端部を言う。したがって、積荷の搬出時には、貨物自動車1の搬入搬出口3c側からキャブ2側に向かう方向への移動が往動となり、キャブ2側から搬入搬出口3c側に向かう方向への移動が復動となる。積荷の搬出時には、キャブ2側が往動端部となり、搬入搬出口3c側が復動端部となる。
【0032】
図3に示す状態では、床板材群11A,11B,11Cの全床板材10は、復動側端部に位置付けられている(なお、図3の右側が復動側、図3の左側が往動側となる)。このとき、油圧シリンダ13A,13B,13Cのピストンロッド130A,130B,130Cは、最も収縮した状態にある。
【0033】
積荷の搬送の際には、上記状態から、まず、第3油圧シリンダ13Cのピストンロッド130C、第2油圧シリンダ13Bのピストンロッド130B、第1油圧シリンダ13Aのピストンロッド130Aを、順に伸長させる。これにより、第3床板材群11Cの床板材10、第2床板材群11Bの床板材10、第1床板材群11Aの床板材10は、順に往動側端部へと移動する。なお、図5は、第3床板材群11Cの床板材10が往動した状態を示している。図6は、第2床板材群11Bの床板材10が往動した状態を示している。図7は、第1床板材群11Aの床板材10が往動した状態を示している。このように、3つの床板材群11A,11B,11Cのうちのいずれか一つの床板材群の床板材10のみが往動する際には、往動中の床板材10と積荷(図示せず)との間に生じる摩擦力は、停止中の床板材群の床板材10と積荷との間に生じる摩擦力よりも小さくなるため、積荷は停止した状態のままとなる。
【0034】
続いて、床板材群11A,11B,11Cのそれぞれの床板材10が往動を完了した後に、全油圧シリンダ13A,13B,13Cのピストンロッド130A,130B,130Cを一斉に収縮させる。これにより、床板材群11A,11B,11Cの全床板材10は、一斉に復動する(図8参照)。この際、全床板材10の復動に伴って、積荷は移動する。すなわち、積荷は床板材10と共に移動し、復動方向に搬送される。
【0035】
上述の床板材群11A,11B,11Cの床板材10の往動および復動のサイクルは、繰り返し実行される。これにより、積荷は順次に搬送され、床3bから排出されることになる。
【0036】
(床板材の位置の推定または検出)
なお、上記サイクルを迅速かつ効率的に行うために、第3床板材群11Cの床板材10が往動側端部に到達した後、第2床板材群11Bの床板材10を直ちに往動させることが好ましい。以下同様に、第2床板材群11Bの床板材10が往動側端部に到達した後、第1床板材群11Aの床板材10を直ちに往動させることが好ましく、第1床板材群11Aの床板材10が往動側端部に到達した後、全床板材群11A,11B,11Cの床板材10の一斉復動を直ちに実行することが好ましい。そのため、床板材群11A,11B,11Cの床板材10が往動側端部または復動側端部に到達した時点を検出または推定し、一つの動作が完了すると直ちに次の動作に移ることが望ましい。
【0037】
床板材群11A,11B,11Cの床板材10が往動側端部または復動側端部に到達した時点を特定する方法には、種々の方法が考えられる。例えば、床板材10が往動側端部から復動側端部に移動するために最低限必要とされる時間、または復動側端部から往動側端部に移動するために最低限必要とされる時間は、予め経験的にほぼ分かっている。そのため、当該時間が経過したときに床板材10が復動側端部または往動側端部に到達したと推定し、次の動作を開始するようにしてもよい。
【0038】
ただし、後述するように、油圧シリンダ13A,13B,13C等を駆動するための駆動源として、貨物自動車1の走行用のエンジン(図示せず)を用いる場合には、当該エンジンの回転数によって、油圧シリンダ13A,13B,13Cの動作速度が変化する。そのため、床板材10における往動側端部と復動側端部との間の移動時間が変化することがある。そこで、床板材10が往動側端部または復動側端部に到達したことを、位置センサによって検出するようにしてもよい。
【0039】
本実施形態では、搬送装置には、第1床板材群11Aの床板材10の位置を検出するためのセンサA1,A2と、第2床板材群11Bの床板材10の位置を検出するためのセンサB1,B2と、第3床板材群11Cの床板材10の位置を検出するためのセンサC1,C2とが設けられている(図9参照)。センサA1,B1,C1は、それぞれ油圧シリンダ13A,13B,13Cのピストンロッド130A,130B,130Cが最も収縮した状態にあることを検出するものであり、それにより、床板材群11A,11B,11Cの床板材10がそれぞれ復動側端部に位置していることを検出する。逆に、センサA2,B2,C2は、それぞれ油圧シリンダ13A,13B,13Cのピストンロッド130A,130B,130Cが最も伸長した状態にあることを検出するものであり、それにより、床板材群11A,11B,11Cの床板材10がそれぞれ往動側端部に位置していることを検出する。
【0040】
(位置センサの構成)
センサA1,A2,B1,B2,C1,C2の具体的構成は何ら限定されない。以下に、センサA1,A2の一例について説明する。なお、センサB1,B2,C1,C2にも、センサA1,A2と同様のものを利用することができる。
【0041】
図10は、油圧シリンダ13Aとその下方に配置される部材の側面図である。図11は、油圧シリンダ13Aとその下方に配置される部材の正面図である。なお、図10では、説明の便宜のため、後述する連結部材21およびカバー部材22の一部を、図に示すA−A線に沿って切り欠いて図示している。
【0042】
油圧シリンダ13Aのシリンダケース131Aの下方には、連結部材21を介してカバー部材22が連結されている。カバー部材22は筒状に形成されている。カバー部材22の内部には、補助軸20が挿入されている。補助軸20は、油圧シリンダ13Aのピストンロッド130Aに連結されており、ピストンロッド130Aに連動して往復移動する。
【0043】
補助軸20の外径は、カバー部材22の内径よりも小さい。そのため、補助軸20の外面20aとカバー部材22の内面22aとは離隔し、外面20aと内面22aとの間に隙間が存在している。この隙間内であって補助軸20の外面20a上には、センサA1,A2用の金属製の被検出体23が取り付けられている。
【0044】
被検出体23は筒状に形成されており、その内部を補助軸20が挿通している。被検出体23は、補助軸20の外面20a上に取り付けられている。これにより、被検出体23は、補助軸20と共にピストンロッド130Aと連動して往復移動する。なお、被検出体23は、その往復移動中にカバー部材22の内部から露出しないように構成されている。
【0045】
センサA1,A2は、被検出体23との離隔距離が所定値以下となったときに、それぞれ被検出体23に対して反応するものである。すなわち、センサA1,A2は、いわゆる近接センサであって、カバー部材22の内面22a上に取り付けられている。センサA1は、ピストンロッド130Aが最も収縮した状態になったとき、すなわち床板材群11Aの床板材10が復動側端部に位置付けられたときに、被検出体23との離隔距離が上記所定値となるように配置されている。一方、センサA2は、ピストンロッド130Aが最も伸長した状態になったとき、すなわち床板材群11Aの床板材10が往動側端部に位置付けられたときに、被検出体23との離隔距離が上記所定値となるように配置されている。
【0046】
これにより、床板材群11Aの床板材10が復動側端部に位置付けられたときには、センサA1は補助軸20の径方向に位置する被検出体23に対して反応し、床板材群11Aの床板材10が往動側端部に位置付けられたときに、センサA2は径方向に位置する被検出体23に対して反応する。このようにして、床板材10が往動側端部または復動側端部に位置付けられたことを検出することができる。
【0047】
(油圧回路)
図9は、搬送装置の油圧回路50を示している。前述したように、高段床3aの構成は、低段床3bの構成と同様である。高段床3aにも、低段床3bの第1〜第3油圧シリンダ13A,13B,13Cと同様に、第1〜第3床板材群11A,11B,11Cの床板材10を進退させる第1〜第3油圧シリンダ113A,113B,113Cがそれぞれ設けられている。
【0048】
油圧回路50は、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cを駆動するための回路である。本実施形態では、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、互いに同調して作動するように、共通の油圧回路50内に配置されている。ただし、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cを駆動する油圧回路と、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動する油圧回路とは、別々であってもよい。また、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを、互いに同調することなく独立に作動させることも可能である。
【0049】
油圧回路50は、油圧タンク16と、油圧ポンプ17と、リリーフ弁18と、フィルタ19とを備えている。また、油圧回路50は、油圧ポンプ17と低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとの間の連通状態を切り換える第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、および第3切換バルブ15Cを備えている。さらに、油圧回路50は、油圧ポンプ17と高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cとの間の連通状態を切り換える第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fを備えている。
【0050】
貨物自動車1には、図示しない動力取出装置(PTO)が設けられている。この動力取出装置は、貨物自動車1の走行用のエンジン(図示せず)から動力を取り出す装置である。油圧ポンプ17は、この動力取出装置によって取り出された動力によって駆動される。油圧ポンプ17は、油圧タンク16に貯留された油を圧送する。なお、油圧ポンプ17が圧送する油の量(言い換えると、油圧ポンプ17から与えられる油圧)は、上記エンジンの回転数を調整することによって制御することができる。
【0051】
第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、第3切換バルブ15C、第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fは、それぞれソレノイド式の3位置6ポートバルブである。
【0052】
切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールが伸び側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cの伸び側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに伸長方向への動力が伝達される。
【0053】
切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールが収縮側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cの縮み側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに収縮方向への動力が伝達される。
【0054】
切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールが中立位置にシフトしたときには、油は油圧タンク16に回収される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに動力は伝達されない。
【0055】
第1切換バルブ15Aと第4切換バルブ15D、第2切換バルブ15Bと第5切換バルブ15E、第3切換バルブ15Cと第6切換バルブ15Fは、制御装置55によってそれぞれ同調するように制御することができる。これにより、第1油圧シリンダ13Aと第1油圧シリンダ113A、第2油圧シリンダ13Bと第2油圧シリンダ113B、第3油圧シリンダ13Cと第3油圧シリンダ113Cは、それぞれ同調して伸縮する。
【0056】
一方、第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fのスプールを中立位置に保持したまま、第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、および第3切換バルブ15Cを切り換えることもできる。これにより、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cのみを作動させることができる。
【0057】
リリーフ弁18は、油圧回路50の油圧の過上昇を防止するためのものである。リリーフ弁18は、油圧が設定圧力にまで上昇したときに開く弁体を備えている。
【0058】
高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cに対しては、第1圧力センサPS1がそれぞれ配置されている。また、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cには、第2圧力センサPS2が配置されている。なお、圧力センサPS1,PS2は、各油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの油圧を検出できれば足り、その設置位置や構成等は特に限定されない。設置位置としては、油圧シリンダの近傍、バルブポート等が挙げられる。また、圧力センサPS1,PS2は、必ずしも油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cのそれぞれに設ける必要はなく、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの少なくとも一つと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cの少なくとも一つとに対して設けるようにしてもよい。
【0059】
搬送装置は、制御装置55を備えている。制御装置55は、油圧ポンプ17、切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15F、高段床3aおよび低段床3bのセンサA1,A2,B1,B2,C1,C2に接続されている。制御装置55は、油圧ポンプ17の駆動中に、上記センサA1,A2,B1,B2,C1,C2からの検出信号に基づいて、適当なタイミングで切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールの位置を変更する。これにより、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cのピストンロッド130A,130B,130Cの動きが切り換えられ、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を前述のように往復動させることができる。
【0060】
(高段床および低段床の連係動作)
高段床3aの床板材10と、低段床3bの床板材10とは、常に同時に往復動させてもよい。しかし、本実施形態では、高段床3aと低段床3bとにおいて、以下のような連係動作を行う。
【0061】
本実施形態では、積荷の排出の際、始めに、低段床3bの床板材10のみを往復動させる。次に、高段床3aおよび低段床3bの双方の床板材10を往復動させる。最後に、再び低段床3bの床板材10のみを往復動させる。
【0062】
具体的には、図12に示すように、まず、ステップS1において、排出スイッチ(図示せず)をONする。すると、制御装置55は、ステップS2に進み、油圧ポンプ17を起動する一方、切換バルブ15D,15E,15Fを中立位置に保持する。そして、切換バルブ15A,15B,15Cを適宜切り換えることによって、低段床3bにおいて、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を適宜往復動させる。これにより、低段床3bの積荷は、徐々に排出されることになる。なお、この際、高段床3aおよび低段床3bの双方の油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cを駆動する場合と比較して、負荷が小さくなる。そのため、エンジンの回転数を中レベル(所定の回転数範囲内)とすることができる。
【0063】
次に、ステップS3に進み、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷が小さくなったか否かを判定する。この判定は、第2油圧センサPS2の検出信号を受け、油圧シリンダ13A,13B,13Cの油圧が所定値以下であるか否かに基づいて行うことができる。すなわち、油圧シリンダ13A,13B,13Cの油圧が所定値以下になると、負荷が小さくなったと判定することができる。負荷が小さくなると、続いてステップS4に進む。
【0064】
ステップS4では、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを同時に駆動する。詳しくは、制御装置55は、切換バルブ15D,15E,15Fの中立位置の保持状態を解除し、切換バルブ15D,15E,15Fを切換バルブ15A,15B,15Cと同調させて切り換える。すなわち、第1切換バルブ15Aと第4切換バルブ15Dとを同時に切り換え、第2切換バルブ15Bと第5切換バルブ15Eとを同時に切り換え、第3切換バルブ15Cと第6切換バルブ15Fとを同時に切り換える。これにより、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、それぞれ同調して作動する。そして、高段床3aおよび低段床3bの双方において、床板材群11A,11B,11Cの床板材10が適宜往復動する。その結果、高段床3aおよび低段床3bの双方において、積荷の搬送が行われる。なお、この際、エンジンの回転数は、高レベル(前記中レベルの回転数範囲よりも高い所定の回転数範囲内)となる。
【0065】
本実施形態では、低段床3bの床板材10が往動側端部または復動側端部に到達したことを位置センサA1,A2,B1,B2,C1,C2で検出し、その検出結果に基づいて切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fを切り換える。なお、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cは低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cよりも負荷が小さいので、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの方が低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cよりも早く動きがちである。そのため、床板材10の往復動を繰り返しているうちに、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとの動作にずれが生じるおそれがある。しかし、本実施形態では、低段床3bの床板材10が往動側端部または復動側端部に到達したことを検出し、その検出結果に基づいて高段床3aの切換バルブ15D,15E,15Fを切り換える。そのため、たとえ高段側3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cが低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cよりも早く伸縮動作を完了してしまったとしても、高段側3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cは、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cの伸縮動作の完了を待ってから作動し始めることができる。したがって、高段側3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを精度良く同調させることができる。なお、ここでいう同調とは、高段側3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとの進む方向が同一で、その動作の切り換えタイミングが同時であることを意味する。すなわち、必ずしも伸縮動作に要する時間が同一であることを意味する訳ではない。
【0066】
次に、ステップS5に進み、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷が小さくなったか否かを判定する。この判定は、第1油圧センサPS1の検出信号を受け、油圧シリンダ113A,113B,113Cの油圧が所定値以下であるか否かに基づいて行うことができる。高段床3aの積荷が低段床3bにまで搬送されると、負荷は小さくなる。負荷が小さくなると、続いてステップS6に進む。
【0067】
ステップS6では、制御装置55は、切換バルブ15D,15E,15Fを再び中立位置に保持する。そして、切換バルブ15A,15B,15Cを適宜切り換えることによって、低段床3bのみにおいて、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を適宜往復動させる。なお、この際、エンジンの回転数は、再び中レベルとなる。
【0068】
そして、低段床3bの積荷の搬送が終了すると、ステップS7において排出スイッチがOFFされる。これにより、積荷の搬出が完了する。
【0069】
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係る貨物自動車1の積荷の搬送装置によれば、高段床3aの積荷を、低段床3bに自動的に搬送し、さらに、低段床3bから自動的に排出することができる。すなわち、高段床3aの積荷を自動的に排出することが可能となる。したがって、高段床3aから積荷を排出することが容易となるので、積荷を収容する荷台3の一部として、高段床3aを積極的に利用することが可能となる。その結果、荷台3の大容量を図ることができる。
【0070】
本実施形態によれば、高段床3aに第1〜第3の油圧シリンダ113A,113B,113Cが設けられ、低段床3bに第1〜第3の油圧シリンダ13A,13B,13Cが設けられ、それらは互いに対応している。また、高段床3aおよび低段床3bの双方にて積荷を搬送させる際には、それら対応するアクチュエータ同士(すなわち、油圧シリンダ113Aと13A、油圧シリンダ113Bと13B、油圧シリンダ113Cと13C)は同調するように駆動される。したがって、本実施形態によれば、アクチュエータ全体、つまり油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cの全体の制御が比較的容易となる。
【0071】
また、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、同一の油圧回路50内に設けられている。したがって、比較的簡単な構成により、対応するアクチュエータ同士を同調して作動させることができる。また、アクチュエータとして油圧シリンダを用いているので、比較的小型で大きな力を発揮することができるアクチュエータを得ることができる。
【0072】
本実施形態によれば、始めに、低段床3bの積荷を移動させるように、油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動し、その後、高段床3aの積荷と低段床3bの積荷とを移動させるように、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cを駆動し、その後、低段床3bの積荷を移動させるように、油圧シリンダ113A,113B,113Cを停止させる一方、油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動させる。これにより、始めに、低段床3aの積荷の一部を優先的に排出することができ、上記積荷を迅速に排出することができる。また、高段床3aの積荷が低段床3bに搬送された後は、油圧シリンダ113A,113B,113Cの無駄な動作を防止することができる。したがって、搬送装置の運転効率を向上させることができる。
【0073】
本実施形態では、動力取出装置によって走行用のエンジンから動力を取り出し、その動力を用いて油圧ポンプ17(ひいては、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13C)を駆動している。すなわち、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの駆動源として、貨物自動車1のエンジンを用いている。本実施形態における制御によれば、始めは低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cのみを駆動し、また、高段床3aの積荷が低段床3bに搬送された後も、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cのみを駆動する。したがって、動力源としてのエンジンの負荷を抑えることができる。言い換えると、貨物自動車1のエンジンのみを駆動源として、高段床3aおよび低段床3bの双方の積荷を、無理なく自動的に排出することができる。
【0074】
特に、本実施形態では、第1圧力センサPS1によって油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷を検出し、また、第2圧力センサPS2によって油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷を検出する。そして、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動した後、これら油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷が小さくなったことを確認したうえで、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの動作を開始する。したがって、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとの双方を駆動する際に、エンジンの負荷をより確実に低減させることができる。
【0075】
また、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを駆動しているときに、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷が小さくなったことを確認したうえで、これら油圧シリンダ113A,113B,113Cの作動を停止させる。したがって、高段床3aの積荷を低段床3bに搬送したことをより確実に検出することができ、その検出に基づいて、高段床3aにおける搬送動作を停止することができる。したがって、無駄のない効率的な運転が可能となる。
【0076】
本実施形態によれば、床板材10の位置を検出するセンサA1,A2,B1,B2,C1,C2を備え、床板材10が往動側端部または復動側端部に到達したことを確認しながら、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cを制御する。したがって、床板材群11A,11B,11Cの各床板材10が常に適切なタイミングで往動または復動するので、積荷の搬送を迅速かつ確実に実行することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、低段床3bの床板材10の往動または復動が完了したことを位置センサA1,A2,B1,B2,C1,C2で検出してから、高段床3aの床板材10の往動または復動を開始することとした。そのため、低段床3bの床板材10と高段床3aの床板材10とを正確に同調させることが可能となる。
【0078】
《実施形態2》
油圧回路50は、実施形態1のものに限定される訳ではない。実施形態2は、実施形態1の油圧回路50を、図13に示す油圧回路50Bに置き換えたものである。
【0079】
本実施形態では、高段床3aにも、第1〜第3床板材群11A,11B,11Cの床板材10の位置を検出するためのセンサA1,A2,B1,B2,C1,C2が配置されている。
【0080】
本実施形態においても、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、互いに同調して作動するように、共通の油圧回路50B内に配置されている。
【0081】
油圧回路50Bは、油圧タンク16と、油圧ポンプ17と、リリーフ弁18と、フィルタ19とを備えている。また、油圧回路50Bは、油圧ポンプ17と油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cとの間の連通状態を切り換える第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、および第3切換バルブ15Cを備えている。さらに、油圧回路50Bは、油圧ポンプ17と高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cとの間の連通状態を切り換える第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fを備えている。
【0082】
高段床3aの第1油圧シリンダ113Aと低段床3bの第1油圧シリンダ13Aとは、第4切換バルブ15Dを介して互いに連通している。高段床3aの第2油圧シリンダ113Bと低段床3bの第2油圧シリンダ13Bとは、第5切換バルブ15Eを介して互いに連通している。高段床3aの第3油圧シリンダ113Cと低段床3bの第3油圧シリンダ13Cとは、第6切換バルブ15Fを介して互いに連通している。このように、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、それぞれ対応している。
【0083】
第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、および第3切換バルブ15Cは、ソレノイド式の3位置6ポートバルブである。第1切換バルブ15Aの入口ポートは油圧ポンプ17側の供給路に接続され、出口ポートは第1油圧シリンダ13A,113A側に接続されている。同様に、第2切換バルブ15Bの入口ポートは油圧ポンプ17側の供給路に接続され、出口ポートは第2油圧シリンダ13B,113B側に接続されている。第3切換バルブ15Cの入口ポートは油圧ポンプ17側の供給路に接続され、出口ポートは第3油圧シリンダ13C,113C側に接続されている。
【0084】
切換バルブ15A,15B,15Cのスプールが伸び側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13Cの伸び側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに伸長方向への動力が伝達される。
【0085】
切換バルブ15A,15B,15Cのスプールが収縮側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13Cの縮み側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに収縮方向への動力が伝達される。
【0086】
切換バルブ15A,15B,15Cのスプールが中立位置にシフトしたときには、油は切換バルブ15A,15B,15Cを通過して、油圧タンク16に回収される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに動力は伝達されない。
【0087】
第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fは、ソレノイド式の2位置4ポートバルブである。第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fのスプールが連通位置にシフトすると、第1油圧シリンダ13Aと第1油圧シリンダ113A、第2油圧シリンダ13Bと第2油圧シリンダ113B、第3油圧シリンダ13Cと第3油圧シリンダ113Cが、それぞれ連通する。この際、第1油圧シリンダ13Aと第1油圧シリンダ113A、第2油圧シリンダ13Bと第2油圧シリンダ113B、第3油圧シリンダ13Cと第3油圧シリンダ113Cは、それぞれ同調して伸縮する。
【0088】
一方、第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fのスプールが遮断位置にシフトすると、第1油圧シリンダ13Aと第1油圧シリンダ113A、第2油圧シリンダ13Bと第2油圧シリンダ113B、第3油圧シリンダ13Cと第3油圧シリンダ113Cの連通が、それぞれ遮断される。この際、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cに油が供給されても、高段床3a側の油圧シリンダ113A,113B,113Cには油が供給されず、これら油圧シリンダ113A,113B,113Cは作動しないことになる。すなわち、この状態では、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cのみが作動することになる。
【0089】
リリーフ弁18は、油圧回路50の油圧の過上昇を防止するためのものであり、油圧ポンプ17と切換バルブ15A,15B,15Cとの間に配置されている。リリーフ弁18は、油圧が設定圧力にまで上昇したときに開く弁体を備えている。なお、図示は省略するが、切換バルブ15D,15E,15Fと油圧シリンダ113A,113B,113Cとの間にも、リリーフ弁を設けるようにしてもよい。
【0090】
制御装置55は、油圧ポンプ17、切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15F、高段床3aおよび低段床3bのセンサA1,A2,B1,B2,C1,C2に接続されている。制御装置55は、油圧ポンプ17の駆動中に、上記センサA1,A2,B1,B2,C1,C2からの検出信号に基づいて、適当なタイミングで切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールの位置を変更する。これにより、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cのピストンロッド130A,130B,130Cの動きが切り換えられ、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を前述のように往復動させることができる。
【0091】
本実施形態においても、概ね実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0092】
《変形例》
なお、本発明において、荷台の段数は2に限らず、3以上であってもよい。すなわち、荷台は、高さの異なる3つ以上の床を有していてもよい。
【0093】
前記実施形態では、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの油圧に基づいて、それらの負荷を検出することとしていた。しかし、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの負荷を検出する負荷検出手段は、油圧に基づくものに限定される訳ではない。例えば、高段床3aおよび低段床3bにロードセルを配置しておき、高段床3aおよび低段床3bの積荷の重量に基づいて、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの負荷を検出するようにしてもよい。また、光学センサやカメラ等を用いて、高段床3aおよび低段床3bの積荷の充填状態を検出し、その充填状態に基づいて油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの負荷を検出することも可能である。
【0094】
前記実施形態では、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動している間に、これら油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷が小さくなると、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの駆動を開始することとしていた。しかし、油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷を検出する代わりに、所定の時間が経過すると油圧シリンダ113A,113B,113Cの駆動を自動的に開始するようにしてもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを駆動している際に、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷が小さくなると、これら油圧シリンダ113A,113B,113Cを停止させることとしていた。しかし、油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷を検出する代わりに、所定の時間が経過すると油圧シリンダ113A,113B,113Cを自動的に停止させるようにすることも可能である。
【0096】
前記実施形態では、床板材10を進退させるアクチュエータは油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cであったが、他の種類のアクチュエータを用いることも勿論可能である。他の種類のアクチュエータとして、例えば、他の流体圧シリンダ、電動モータ等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明は、貨物自動車の積荷の搬送装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】貨物自動車の側面図である。
【図2】貨物自動車の平面図である。
【図3】低段床における積荷の搬送装置の概略平面図である。
【図4】油圧シリンダおよび横板材の連結構造を示す平面図である。
【図5】第3床板材群の床板材が往動端部に移動した状態を示す平面図である。
【図6】第2床板材群の床板材が往動端部に移動した状態を示す平面図である。
【図7】第1床板材群の床板材が往動端部に移動した状態を示す平面図である。
【図8】第1〜第3床板材群の床板材が復動端部に移動する状態を示す平面図である。
【図9】実施形態1に係る油圧回路の回路図である。
【図10】油圧シリンダとその下方に配置される部材の側面図である。
【図11】油圧シリンダとその下方に配置される部材の正面図である。
【図12】積荷の搬送装置の制御フローチャートである。
【図13】実施形態2に係る油圧回路の回路図である。
【符号の説明】
【0099】
1 貨物自動車
2 キャブ
3 荷台
3a 高段床(第1段の床)
3b 低段床(第2段の床)
10 床板材
11A,11B,11C 床板材群
12A,12B,12C 横板材
13A,13B,13C 油圧シリンダ(第2段の床のアクチュエータ)
50 油圧回路
55 制御装置
113A,113B,113C 油圧シリンダ(第1段の床のアクチュエータ)
PS1 圧力センサ(第1負荷検出手段)
PS2 圧力センサ(第2負荷検出手段)
A1,A2,B1,B2,C1,C2 センサ(位置センサ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物自動車における積荷の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、貨物自動車において、荷台の床板材を適宜前後にスライドさせることによって、荷台内の積荷を搬送する搬送装置が知られている(特許文献1参照)。特許文献1に開示された積荷の搬送装置は、分割された複数の床板材を備えている。これら複数の床板材は、左右方向にそれぞれ3つ置きに配置された複数の床板材からなる第1、第2および第3の床板材群を構成する。第1の床板材群の床板材と第2の床板材群の床板材と第3の床板材群の床板材とは、この順に配列されており、このような配列パターンが左右方向に繰り返し形成されている。
【0003】
積荷の搬送の際には、第1の床板材群の床板材のみを往動させる第1の動作と、第2の床板材群の床板材のみを往動させる第2の動作と、第3の床板材群の床板材のみを往動させる第3の動作と、第1〜第3の床板材群の全床板材を同時に復動させる第4の動作とが繰り返される。第1、第2、および第3の動作では、一部の床板材群(厳密には、3つの床板材群のうちの2つの床板材群)の床板材が停止しているので、往動する床板材は積荷に対して摺動する。そのため、積荷は停止している。一方、第4の動作では、すべての床板材群の床板材が復動するので、積荷は床板材と共に進む。すなわち、積荷は床板材の復動に伴って床板材の復動方向に搬送される。
【特許文献1】特開2001−39208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、いわゆる段付きトレーラのように、キャブ(運転室)の後方に高さの異なる2段式の床を有する貨物自動車が知られている。この種の貨物自動車では、車両の前側の床は、車両の後側の床よりも高くなっている。従来の貨物自動車では、前側の床と後側の床との間に段差があるので、高段側の床(すなわち前側の床)は荷台として利用されず、低段側の床(すなわち後側の床)のみが荷台として利用されている。
【0005】
ところが、荷台の一部として高段側の床も有効利用することができれば、荷台の大容量化を図ることができるため好ましい。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高段側の床を荷台の一部として有効利用することを促進する積荷の搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る貨物自動車における積荷の搬送装置は、第1段の床と、前記第1段の床よりも搬入搬出口側に位置し、前記第1段よりも低い第2段の床とを有する荷台を備えた貨物自動車における積荷の搬送装置であって、長手方向と直交する方向に並ぶ複数の床板材からなり、前記直交方向に隣り合う床板材が互いに異なる群に属するように分類された複数の床板材群と、前記複数の床板材群のそれぞれに設けられ、各床板材群に属する床板材を同時に前記長手方向に往復させる複数のアクチュエータと、を前記第1段の床および前記第2段の床のそれぞれに備え、前記第1段の床および前記第2段の床のそれぞれにおいて、前記複数のアクチュエータを順次駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を順次往動させた後、前記複数のアクチュエータを同時に駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を一斉に復動させることによって前記積荷を前記床板材の復動方向へ進ませる制御装置を備えているものである。
【0008】
上記搬送装置によれば、第1段の床の積荷を搬入搬出口側に自動的に進ませることができ、第2段の床に搬送することができる。さらに、第2段の床に搬送された積荷を搬入搬出口側に自動的に進ませることができ、搬入搬出口から排出することができる。そのため、第1段の床の積荷を自動的に排出することが可能となる。したがって、第1段の床から積荷を排出することが容易となるので、積荷を収容する荷台の一部として、第1段の床を積極的に利用することが可能となる。
【0009】
前記第1段の床における前記複数のアクチュエータと前記第2段の床における前記複数のアクチュエータとは、それぞれ対応しており、対応するアクチュエータ同士は、同調するように制御されることが好ましい。
【0010】
このことにより、第1段の床のアクチュエータと第2段の床のアクチュエータとを関連づけて制御することができ、アクチュエータ全体の制御が比較的容易となる。
【0011】
前記制御装置は、前記第1段の床の積荷と前記第2段の床の積荷とを搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、その後、前記第2段の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動することが好ましい。
【0012】
このことにより、第1段の床と第2段の床との両方に積荷が載置されている場合に、始めに両段の床のアクチュエータを同時に駆動することによって、両段の床の積荷を共に搬入搬出口側に進ませる一方、第1段の床の積荷が第2段の床に搬送された後は、第1段の床のアクチュエータを停止することによって、無駄な動作を防止することができる。したがって、搬送装置の運転効率を向上させることができる。
【0013】
前記搬送装置は、前記第1段の床のアクチュエータの負荷を検出する第1負荷検出手段をさらに備え、前記制御装置は、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動しているときに、前記第1負荷検出手段によって前記第1段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動することが好ましい。
【0014】
このことにより、第1段の床の積荷が排出された後で第1段の床のアクチュエータを停止させることができ、当該アクチュエータを適切なタイミングで停止させることができる。したがって、搬送装置の運転効率を一層向上させることができる。
【0015】
前記第2の床の長手方向長さは、前記第1段の床の長手方向長さよりも長く、前記制御装置は、前記第2段の床の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第2段の床のアクチュエータを駆動し、その後、前記第1段の床の積荷と前記第2段の床の積荷とを搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、その後、前記第2段の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動することが好ましい。
【0016】
このことにより、第1段の床と第2段の床との両方に積荷が載置されている場合に、始めに第2段の床のアクチュエータを駆動することによって、第2段の床の積荷の一部を優先的に排出することができる。その後、両段の床のアクチュエータを同時に駆動することによって、両段の床の積荷を共に進ませることができる。そして、第1段の床の積荷が第2段の床に搬送された後は、第1段の床のアクチュエータを停止することによって、無駄な動作を防止することができる。したがって、搬送装置の運転効率をより一層向上させることができる。
【0017】
前記搬送装置は、前記第1段の床のアクチュエータの負荷を検出する第1負荷検出手段と、前記第2段の床のアクチュエータの負荷を検出する第2負荷検出手段と、をさらに備え、前記制御装置は、前記第2段の床のアクチュエータを駆動しているときに、前記第2負荷検出手段によって前記第2段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動しているときに、前記第1負荷検出手段によって前記第1段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動することが好ましい。
【0018】
このことにより、第2段の床のアクチュエータの負荷が低減された後に、第1段の床および第2段の床の両アクチュエータの駆動を開始することができる。したがって、両アクチュエータを同時に駆動する際に、それら両アクチュエータを駆動するための動力を比較的小さく抑えることができる。また、第1段の床の積荷が排出された後で第1段の床のアクチュエータを停止させることができ、当該アクチュエータを適切なタイミングで停止させることができる。したがって、搬送装置の運転効率を一層向上させることができる。
【0019】
前記搬送装置は、前記第1段の床および前記第2段の床において、前記複数の床板材群のそれぞれに属する少なくとも一つの床板材の位置を直接または間接的に検出する位置センサをさらに備え、前記制御装置は、前記第1段の床および第2段の床のそれぞれにおいて、いずれか一つの床板材群の床板材の往動が完了した後に、次に往動すべき床板材群の床板材の往動が開始され、さらに全床板材群の床板材の往動が完了した後に全床板材群の床板材が復動を開始するように、前記位置センサの検出に基づいて前記複数のアクチュエータを制御することが好ましい。
【0020】
このことにより、床板材群の床板材が常に適切なタイミングで往動または復動するので、積荷の搬送を迅速かつ確実に実行することができる。
【0021】
前記第2の床の長手方向長さは、前記第1段の床の長手方向長さよりも長く、前記搬送装置は、前記第2段の床における前記複数の床板材群のそれぞれに属する少なくとも一つの床板材の位置を直接または間接的に検出する位置センサをさらに備え、前記制御装置は、前記第2段の床における床板材の往動または復動が完了したことを前記位置センサで検出してから、前記第1段の床における床板材の往動または復動を開始するものであってもよい。
【0022】
第2段の床は第1段の床よりも長いため、第1段の床の床板材は第2段の床の床板材よりも迅速に往動または復動しがちとなる。そのため、第2段の床の床板材の往動または復動が完了する前に、第1段の床の床板材の往動または復動が開始されるおそれがある。しかし、上記搬送装置によれば、第2段の床の床板材の往動または復動が完了したが上記位置センサで検出されてから、第1段の床の床板材の往動または復動が開始される。したがって、第1段の床の床板材と第2段の床の床板材とを正確に同調させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、高さの異なる複数段の床を有する荷台を備えた貨物自動車において、高段側の床を荷台の一部として有効利用することを促進することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
《実施形態1》
(貨物自動車および荷台)
図1および図2に示すように、本実施形態に係る積荷の搬送装置は、いわゆる段付きトレーラからなる貨物自動車1に搭載されている。貨物自動車1は、キャブ2と荷台3とを備えている。荷台3は、キャブ2の後方に位置する高段側の床(以下、高段床という)3aと、高段床3aの後方に位置する低段側の床(以下、低段床という)3bとを備えている。高段床3aと低段床3bとは高さが異なっており、低段床3bの方が高段床3aよりも低くなっている。低段床3bの長手方向長さ(言い換えると、車両前後方向の長さ、図1および図2における左右方向長さである。)は、高段床3aの長手方向長さよりも長くなっている。
【0025】
(荷台の床の構成)
高段床3aと低段床3bとは、それらの長手方向長さが異なっているが、その他の構成は同様である。そこで、以下では、低段床3bの構成のみを説明し、高段床3aの詳細な説明は省略する。
【0026】
床3bは、図8に示すように、長手方向(図8における左右方向)と直交する方向に並んだ複数の床板材10を備えている。複数の床板材10は、複数の群に分けられている。本実施形態では、複数の床板材10は、第1床板材群11A、第2床板材群11B、および第3床板材群11Cの3つの群に分けられている。ただし、本発明において、床板材群の数は3つに限定される訳ではない。床板材群の数は、2であってもよく、4以上であってもよい。
【0027】
各床板材群11A,11B,11Cに属する複数の床板材10は、3つ置きに配列されている。すなわち、本実施形態では、第1床板材群11Aに属する床板材10と、第2床板材群11Bに属する床板材10と、第3床板材群11Cに属する床板材とは、この順に並んでいる。また、長手方向と直交する方向に、このような配列パターンが順次繰り返されている。
【0028】
各床板材群11A,11B,11Cに属する床板材10同士は、一緒に往動および復動するように互いに連結されている。詳しくは、第1床板材群11Aに属する複数の床板材10は、横板材12Aを介して連結されている。第2床板材群11Bに属する複数の床板材10は、横板材12Bを介して連結されている。第3床板材群11Cに属する複数の床板材10は、横板材12Cを介して連結されている。なお、これら横板材12A,12B,12Cは、直交方向と交差する方向に延びる板材である。ただし、各床板材群11A,11B,11Cに属する床板材10同士を連結する構造は、上記横板材12A,12B,12Cを用いた構造に限定される訳ではない。
【0029】
横板材12A,12B,12Cには、第1油圧シリンダ13A,第2油圧シリンダ13B,第3油圧シリンダ13Cがそれぞれ連結されている。油圧シリンダ13A,13B,13Cは、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を往復動させるアクチュエータの一例である。本実施形態では、油圧シリンダ13A,13B,13Cは、横板材12A,12B,12Cを介して、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を往復動させる。ただし、本発明に係るアクチュエータは、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を直接往復動させるものであってもよい。
【0030】
図4は、油圧シリンダ13A,13B,13Cが横板材12A,12B,12Cに連結されている状態を示す拡大平面図である。油圧シリンダ13A,13B,13Cは、シリンダケース131A,131B,131Cと、ピストンロッド130A,130B,130Cとをそれぞれ備えている。横板材12A,12B,12Cは、ピストンロッド130A,130B,130Cの先端部にそれぞれ接続されている。シリンダケース131A,131B,131Cは、貨物自動車1の荷台3の下方に配置されたシャーシフレーム14に固定されている。
【0031】
(床板材の往復動作)
次に、積荷の搬送時における床板材10の往復動作について説明する。なお、以下の説明において、往動とは積荷を進める方向と反対の方向への移動を言い、復動とは積荷を進める方向への移動を言う。往動側端部とは往動側の端部を言い、復動側端部とは復動側の端部を言う。したがって、積荷の搬出時には、貨物自動車1の搬入搬出口3c側からキャブ2側に向かう方向への移動が往動となり、キャブ2側から搬入搬出口3c側に向かう方向への移動が復動となる。積荷の搬出時には、キャブ2側が往動端部となり、搬入搬出口3c側が復動端部となる。
【0032】
図3に示す状態では、床板材群11A,11B,11Cの全床板材10は、復動側端部に位置付けられている(なお、図3の右側が復動側、図3の左側が往動側となる)。このとき、油圧シリンダ13A,13B,13Cのピストンロッド130A,130B,130Cは、最も収縮した状態にある。
【0033】
積荷の搬送の際には、上記状態から、まず、第3油圧シリンダ13Cのピストンロッド130C、第2油圧シリンダ13Bのピストンロッド130B、第1油圧シリンダ13Aのピストンロッド130Aを、順に伸長させる。これにより、第3床板材群11Cの床板材10、第2床板材群11Bの床板材10、第1床板材群11Aの床板材10は、順に往動側端部へと移動する。なお、図5は、第3床板材群11Cの床板材10が往動した状態を示している。図6は、第2床板材群11Bの床板材10が往動した状態を示している。図7は、第1床板材群11Aの床板材10が往動した状態を示している。このように、3つの床板材群11A,11B,11Cのうちのいずれか一つの床板材群の床板材10のみが往動する際には、往動中の床板材10と積荷(図示せず)との間に生じる摩擦力は、停止中の床板材群の床板材10と積荷との間に生じる摩擦力よりも小さくなるため、積荷は停止した状態のままとなる。
【0034】
続いて、床板材群11A,11B,11Cのそれぞれの床板材10が往動を完了した後に、全油圧シリンダ13A,13B,13Cのピストンロッド130A,130B,130Cを一斉に収縮させる。これにより、床板材群11A,11B,11Cの全床板材10は、一斉に復動する(図8参照)。この際、全床板材10の復動に伴って、積荷は移動する。すなわち、積荷は床板材10と共に移動し、復動方向に搬送される。
【0035】
上述の床板材群11A,11B,11Cの床板材10の往動および復動のサイクルは、繰り返し実行される。これにより、積荷は順次に搬送され、床3bから排出されることになる。
【0036】
(床板材の位置の推定または検出)
なお、上記サイクルを迅速かつ効率的に行うために、第3床板材群11Cの床板材10が往動側端部に到達した後、第2床板材群11Bの床板材10を直ちに往動させることが好ましい。以下同様に、第2床板材群11Bの床板材10が往動側端部に到達した後、第1床板材群11Aの床板材10を直ちに往動させることが好ましく、第1床板材群11Aの床板材10が往動側端部に到達した後、全床板材群11A,11B,11Cの床板材10の一斉復動を直ちに実行することが好ましい。そのため、床板材群11A,11B,11Cの床板材10が往動側端部または復動側端部に到達した時点を検出または推定し、一つの動作が完了すると直ちに次の動作に移ることが望ましい。
【0037】
床板材群11A,11B,11Cの床板材10が往動側端部または復動側端部に到達した時点を特定する方法には、種々の方法が考えられる。例えば、床板材10が往動側端部から復動側端部に移動するために最低限必要とされる時間、または復動側端部から往動側端部に移動するために最低限必要とされる時間は、予め経験的にほぼ分かっている。そのため、当該時間が経過したときに床板材10が復動側端部または往動側端部に到達したと推定し、次の動作を開始するようにしてもよい。
【0038】
ただし、後述するように、油圧シリンダ13A,13B,13C等を駆動するための駆動源として、貨物自動車1の走行用のエンジン(図示せず)を用いる場合には、当該エンジンの回転数によって、油圧シリンダ13A,13B,13Cの動作速度が変化する。そのため、床板材10における往動側端部と復動側端部との間の移動時間が変化することがある。そこで、床板材10が往動側端部または復動側端部に到達したことを、位置センサによって検出するようにしてもよい。
【0039】
本実施形態では、搬送装置には、第1床板材群11Aの床板材10の位置を検出するためのセンサA1,A2と、第2床板材群11Bの床板材10の位置を検出するためのセンサB1,B2と、第3床板材群11Cの床板材10の位置を検出するためのセンサC1,C2とが設けられている(図9参照)。センサA1,B1,C1は、それぞれ油圧シリンダ13A,13B,13Cのピストンロッド130A,130B,130Cが最も収縮した状態にあることを検出するものであり、それにより、床板材群11A,11B,11Cの床板材10がそれぞれ復動側端部に位置していることを検出する。逆に、センサA2,B2,C2は、それぞれ油圧シリンダ13A,13B,13Cのピストンロッド130A,130B,130Cが最も伸長した状態にあることを検出するものであり、それにより、床板材群11A,11B,11Cの床板材10がそれぞれ往動側端部に位置していることを検出する。
【0040】
(位置センサの構成)
センサA1,A2,B1,B2,C1,C2の具体的構成は何ら限定されない。以下に、センサA1,A2の一例について説明する。なお、センサB1,B2,C1,C2にも、センサA1,A2と同様のものを利用することができる。
【0041】
図10は、油圧シリンダ13Aとその下方に配置される部材の側面図である。図11は、油圧シリンダ13Aとその下方に配置される部材の正面図である。なお、図10では、説明の便宜のため、後述する連結部材21およびカバー部材22の一部を、図に示すA−A線に沿って切り欠いて図示している。
【0042】
油圧シリンダ13Aのシリンダケース131Aの下方には、連結部材21を介してカバー部材22が連結されている。カバー部材22は筒状に形成されている。カバー部材22の内部には、補助軸20が挿入されている。補助軸20は、油圧シリンダ13Aのピストンロッド130Aに連結されており、ピストンロッド130Aに連動して往復移動する。
【0043】
補助軸20の外径は、カバー部材22の内径よりも小さい。そのため、補助軸20の外面20aとカバー部材22の内面22aとは離隔し、外面20aと内面22aとの間に隙間が存在している。この隙間内であって補助軸20の外面20a上には、センサA1,A2用の金属製の被検出体23が取り付けられている。
【0044】
被検出体23は筒状に形成されており、その内部を補助軸20が挿通している。被検出体23は、補助軸20の外面20a上に取り付けられている。これにより、被検出体23は、補助軸20と共にピストンロッド130Aと連動して往復移動する。なお、被検出体23は、その往復移動中にカバー部材22の内部から露出しないように構成されている。
【0045】
センサA1,A2は、被検出体23との離隔距離が所定値以下となったときに、それぞれ被検出体23に対して反応するものである。すなわち、センサA1,A2は、いわゆる近接センサであって、カバー部材22の内面22a上に取り付けられている。センサA1は、ピストンロッド130Aが最も収縮した状態になったとき、すなわち床板材群11Aの床板材10が復動側端部に位置付けられたときに、被検出体23との離隔距離が上記所定値となるように配置されている。一方、センサA2は、ピストンロッド130Aが最も伸長した状態になったとき、すなわち床板材群11Aの床板材10が往動側端部に位置付けられたときに、被検出体23との離隔距離が上記所定値となるように配置されている。
【0046】
これにより、床板材群11Aの床板材10が復動側端部に位置付けられたときには、センサA1は補助軸20の径方向に位置する被検出体23に対して反応し、床板材群11Aの床板材10が往動側端部に位置付けられたときに、センサA2は径方向に位置する被検出体23に対して反応する。このようにして、床板材10が往動側端部または復動側端部に位置付けられたことを検出することができる。
【0047】
(油圧回路)
図9は、搬送装置の油圧回路50を示している。前述したように、高段床3aの構成は、低段床3bの構成と同様である。高段床3aにも、低段床3bの第1〜第3油圧シリンダ13A,13B,13Cと同様に、第1〜第3床板材群11A,11B,11Cの床板材10を進退させる第1〜第3油圧シリンダ113A,113B,113Cがそれぞれ設けられている。
【0048】
油圧回路50は、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cを駆動するための回路である。本実施形態では、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、互いに同調して作動するように、共通の油圧回路50内に配置されている。ただし、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cを駆動する油圧回路と、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動する油圧回路とは、別々であってもよい。また、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを、互いに同調することなく独立に作動させることも可能である。
【0049】
油圧回路50は、油圧タンク16と、油圧ポンプ17と、リリーフ弁18と、フィルタ19とを備えている。また、油圧回路50は、油圧ポンプ17と低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとの間の連通状態を切り換える第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、および第3切換バルブ15Cを備えている。さらに、油圧回路50は、油圧ポンプ17と高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cとの間の連通状態を切り換える第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fを備えている。
【0050】
貨物自動車1には、図示しない動力取出装置(PTO)が設けられている。この動力取出装置は、貨物自動車1の走行用のエンジン(図示せず)から動力を取り出す装置である。油圧ポンプ17は、この動力取出装置によって取り出された動力によって駆動される。油圧ポンプ17は、油圧タンク16に貯留された油を圧送する。なお、油圧ポンプ17が圧送する油の量(言い換えると、油圧ポンプ17から与えられる油圧)は、上記エンジンの回転数を調整することによって制御することができる。
【0051】
第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、第3切換バルブ15C、第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fは、それぞれソレノイド式の3位置6ポートバルブである。
【0052】
切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールが伸び側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cの伸び側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに伸長方向への動力が伝達される。
【0053】
切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールが収縮側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cの縮み側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに収縮方向への動力が伝達される。
【0054】
切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールが中立位置にシフトしたときには、油は油圧タンク16に回収される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに動力は伝達されない。
【0055】
第1切換バルブ15Aと第4切換バルブ15D、第2切換バルブ15Bと第5切換バルブ15E、第3切換バルブ15Cと第6切換バルブ15Fは、制御装置55によってそれぞれ同調するように制御することができる。これにより、第1油圧シリンダ13Aと第1油圧シリンダ113A、第2油圧シリンダ13Bと第2油圧シリンダ113B、第3油圧シリンダ13Cと第3油圧シリンダ113Cは、それぞれ同調して伸縮する。
【0056】
一方、第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fのスプールを中立位置に保持したまま、第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、および第3切換バルブ15Cを切り換えることもできる。これにより、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cのみを作動させることができる。
【0057】
リリーフ弁18は、油圧回路50の油圧の過上昇を防止するためのものである。リリーフ弁18は、油圧が設定圧力にまで上昇したときに開く弁体を備えている。
【0058】
高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cに対しては、第1圧力センサPS1がそれぞれ配置されている。また、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cには、第2圧力センサPS2が配置されている。なお、圧力センサPS1,PS2は、各油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの油圧を検出できれば足り、その設置位置や構成等は特に限定されない。設置位置としては、油圧シリンダの近傍、バルブポート等が挙げられる。また、圧力センサPS1,PS2は、必ずしも油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cのそれぞれに設ける必要はなく、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの少なくとも一つと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cの少なくとも一つとに対して設けるようにしてもよい。
【0059】
搬送装置は、制御装置55を備えている。制御装置55は、油圧ポンプ17、切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15F、高段床3aおよび低段床3bのセンサA1,A2,B1,B2,C1,C2に接続されている。制御装置55は、油圧ポンプ17の駆動中に、上記センサA1,A2,B1,B2,C1,C2からの検出信号に基づいて、適当なタイミングで切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールの位置を変更する。これにより、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cのピストンロッド130A,130B,130Cの動きが切り換えられ、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を前述のように往復動させることができる。
【0060】
(高段床および低段床の連係動作)
高段床3aの床板材10と、低段床3bの床板材10とは、常に同時に往復動させてもよい。しかし、本実施形態では、高段床3aと低段床3bとにおいて、以下のような連係動作を行う。
【0061】
本実施形態では、積荷の排出の際、始めに、低段床3bの床板材10のみを往復動させる。次に、高段床3aおよび低段床3bの双方の床板材10を往復動させる。最後に、再び低段床3bの床板材10のみを往復動させる。
【0062】
具体的には、図12に示すように、まず、ステップS1において、排出スイッチ(図示せず)をONする。すると、制御装置55は、ステップS2に進み、油圧ポンプ17を起動する一方、切換バルブ15D,15E,15Fを中立位置に保持する。そして、切換バルブ15A,15B,15Cを適宜切り換えることによって、低段床3bにおいて、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を適宜往復動させる。これにより、低段床3bの積荷は、徐々に排出されることになる。なお、この際、高段床3aおよび低段床3bの双方の油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cを駆動する場合と比較して、負荷が小さくなる。そのため、エンジンの回転数を中レベル(所定の回転数範囲内)とすることができる。
【0063】
次に、ステップS3に進み、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷が小さくなったか否かを判定する。この判定は、第2油圧センサPS2の検出信号を受け、油圧シリンダ13A,13B,13Cの油圧が所定値以下であるか否かに基づいて行うことができる。すなわち、油圧シリンダ13A,13B,13Cの油圧が所定値以下になると、負荷が小さくなったと判定することができる。負荷が小さくなると、続いてステップS4に進む。
【0064】
ステップS4では、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを同時に駆動する。詳しくは、制御装置55は、切換バルブ15D,15E,15Fの中立位置の保持状態を解除し、切換バルブ15D,15E,15Fを切換バルブ15A,15B,15Cと同調させて切り換える。すなわち、第1切換バルブ15Aと第4切換バルブ15Dとを同時に切り換え、第2切換バルブ15Bと第5切換バルブ15Eとを同時に切り換え、第3切換バルブ15Cと第6切換バルブ15Fとを同時に切り換える。これにより、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、それぞれ同調して作動する。そして、高段床3aおよび低段床3bの双方において、床板材群11A,11B,11Cの床板材10が適宜往復動する。その結果、高段床3aおよび低段床3bの双方において、積荷の搬送が行われる。なお、この際、エンジンの回転数は、高レベル(前記中レベルの回転数範囲よりも高い所定の回転数範囲内)となる。
【0065】
本実施形態では、低段床3bの床板材10が往動側端部または復動側端部に到達したことを位置センサA1,A2,B1,B2,C1,C2で検出し、その検出結果に基づいて切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fを切り換える。なお、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cは低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cよりも負荷が小さいので、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの方が低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cよりも早く動きがちである。そのため、床板材10の往復動を繰り返しているうちに、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとの動作にずれが生じるおそれがある。しかし、本実施形態では、低段床3bの床板材10が往動側端部または復動側端部に到達したことを検出し、その検出結果に基づいて高段床3aの切換バルブ15D,15E,15Fを切り換える。そのため、たとえ高段側3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cが低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cよりも早く伸縮動作を完了してしまったとしても、高段側3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cは、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cの伸縮動作の完了を待ってから作動し始めることができる。したがって、高段側3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを精度良く同調させることができる。なお、ここでいう同調とは、高段側3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとの進む方向が同一で、その動作の切り換えタイミングが同時であることを意味する。すなわち、必ずしも伸縮動作に要する時間が同一であることを意味する訳ではない。
【0066】
次に、ステップS5に進み、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷が小さくなったか否かを判定する。この判定は、第1油圧センサPS1の検出信号を受け、油圧シリンダ113A,113B,113Cの油圧が所定値以下であるか否かに基づいて行うことができる。高段床3aの積荷が低段床3bにまで搬送されると、負荷は小さくなる。負荷が小さくなると、続いてステップS6に進む。
【0067】
ステップS6では、制御装置55は、切換バルブ15D,15E,15Fを再び中立位置に保持する。そして、切換バルブ15A,15B,15Cを適宜切り換えることによって、低段床3bのみにおいて、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を適宜往復動させる。なお、この際、エンジンの回転数は、再び中レベルとなる。
【0068】
そして、低段床3bの積荷の搬送が終了すると、ステップS7において排出スイッチがOFFされる。これにより、積荷の搬出が完了する。
【0069】
(実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係る貨物自動車1の積荷の搬送装置によれば、高段床3aの積荷を、低段床3bに自動的に搬送し、さらに、低段床3bから自動的に排出することができる。すなわち、高段床3aの積荷を自動的に排出することが可能となる。したがって、高段床3aから積荷を排出することが容易となるので、積荷を収容する荷台3の一部として、高段床3aを積極的に利用することが可能となる。その結果、荷台3の大容量を図ることができる。
【0070】
本実施形態によれば、高段床3aに第1〜第3の油圧シリンダ113A,113B,113Cが設けられ、低段床3bに第1〜第3の油圧シリンダ13A,13B,13Cが設けられ、それらは互いに対応している。また、高段床3aおよび低段床3bの双方にて積荷を搬送させる際には、それら対応するアクチュエータ同士(すなわち、油圧シリンダ113Aと13A、油圧シリンダ113Bと13B、油圧シリンダ113Cと13C)は同調するように駆動される。したがって、本実施形態によれば、アクチュエータ全体、つまり油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cの全体の制御が比較的容易となる。
【0071】
また、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、同一の油圧回路50内に設けられている。したがって、比較的簡単な構成により、対応するアクチュエータ同士を同調して作動させることができる。また、アクチュエータとして油圧シリンダを用いているので、比較的小型で大きな力を発揮することができるアクチュエータを得ることができる。
【0072】
本実施形態によれば、始めに、低段床3bの積荷を移動させるように、油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動し、その後、高段床3aの積荷と低段床3bの積荷とを移動させるように、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cを駆動し、その後、低段床3bの積荷を移動させるように、油圧シリンダ113A,113B,113Cを停止させる一方、油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動させる。これにより、始めに、低段床3aの積荷の一部を優先的に排出することができ、上記積荷を迅速に排出することができる。また、高段床3aの積荷が低段床3bに搬送された後は、油圧シリンダ113A,113B,113Cの無駄な動作を防止することができる。したがって、搬送装置の運転効率を向上させることができる。
【0073】
本実施形態では、動力取出装置によって走行用のエンジンから動力を取り出し、その動力を用いて油圧ポンプ17(ひいては、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13C)を駆動している。すなわち、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの駆動源として、貨物自動車1のエンジンを用いている。本実施形態における制御によれば、始めは低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cのみを駆動し、また、高段床3aの積荷が低段床3bに搬送された後も、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cのみを駆動する。したがって、動力源としてのエンジンの負荷を抑えることができる。言い換えると、貨物自動車1のエンジンのみを駆動源として、高段床3aおよび低段床3bの双方の積荷を、無理なく自動的に排出することができる。
【0074】
特に、本実施形態では、第1圧力センサPS1によって油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷を検出し、また、第2圧力センサPS2によって油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷を検出する。そして、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動した後、これら油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷が小さくなったことを確認したうえで、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの動作を開始する。したがって、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとの双方を駆動する際に、エンジンの負荷をより確実に低減させることができる。
【0075】
また、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを駆動しているときに、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷が小さくなったことを確認したうえで、これら油圧シリンダ113A,113B,113Cの作動を停止させる。したがって、高段床3aの積荷を低段床3bに搬送したことをより確実に検出することができ、その検出に基づいて、高段床3aにおける搬送動作を停止することができる。したがって、無駄のない効率的な運転が可能となる。
【0076】
本実施形態によれば、床板材10の位置を検出するセンサA1,A2,B1,B2,C1,C2を備え、床板材10が往動側端部または復動側端部に到達したことを確認しながら、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cを制御する。したがって、床板材群11A,11B,11Cの各床板材10が常に適切なタイミングで往動または復動するので、積荷の搬送を迅速かつ確実に実行することができる。
【0077】
また、本実施形態によれば、低段床3bの床板材10の往動または復動が完了したことを位置センサA1,A2,B1,B2,C1,C2で検出してから、高段床3aの床板材10の往動または復動を開始することとした。そのため、低段床3bの床板材10と高段床3aの床板材10とを正確に同調させることが可能となる。
【0078】
《実施形態2》
油圧回路50は、実施形態1のものに限定される訳ではない。実施形態2は、実施形態1の油圧回路50を、図13に示す油圧回路50Bに置き換えたものである。
【0079】
本実施形態では、高段床3aにも、第1〜第3床板材群11A,11B,11Cの床板材10の位置を検出するためのセンサA1,A2,B1,B2,C1,C2が配置されている。
【0080】
本実施形態においても、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、互いに同調して作動するように、共通の油圧回路50B内に配置されている。
【0081】
油圧回路50Bは、油圧タンク16と、油圧ポンプ17と、リリーフ弁18と、フィルタ19とを備えている。また、油圧回路50Bは、油圧ポンプ17と油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cとの間の連通状態を切り換える第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、および第3切換バルブ15Cを備えている。さらに、油圧回路50Bは、油圧ポンプ17と高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cとの間の連通状態を切り換える第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fを備えている。
【0082】
高段床3aの第1油圧シリンダ113Aと低段床3bの第1油圧シリンダ13Aとは、第4切換バルブ15Dを介して互いに連通している。高段床3aの第2油圧シリンダ113Bと低段床3bの第2油圧シリンダ13Bとは、第5切換バルブ15Eを介して互いに連通している。高段床3aの第3油圧シリンダ113Cと低段床3bの第3油圧シリンダ13Cとは、第6切換バルブ15Fを介して互いに連通している。このように、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとは、それぞれ対応している。
【0083】
第1切換バルブ15A、第2切換バルブ15B、および第3切換バルブ15Cは、ソレノイド式の3位置6ポートバルブである。第1切換バルブ15Aの入口ポートは油圧ポンプ17側の供給路に接続され、出口ポートは第1油圧シリンダ13A,113A側に接続されている。同様に、第2切換バルブ15Bの入口ポートは油圧ポンプ17側の供給路に接続され、出口ポートは第2油圧シリンダ13B,113B側に接続されている。第3切換バルブ15Cの入口ポートは油圧ポンプ17側の供給路に接続され、出口ポートは第3油圧シリンダ13C,113C側に接続されている。
【0084】
切換バルブ15A,15B,15Cのスプールが伸び側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13Cの伸び側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに伸長方向への動力が伝達される。
【0085】
切換バルブ15A,15B,15Cのスプールが収縮側位置にシフトしたときには、油が油圧シリンダ13A,13B,13Cの縮み側油室に供給される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに収縮方向への動力が伝達される。
【0086】
切換バルブ15A,15B,15Cのスプールが中立位置にシフトしたときには、油は切換バルブ15A,15B,15Cを通過して、油圧タンク16に回収される。この際には、ピストンロッド130A,130B,130Cに動力は伝達されない。
【0087】
第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fは、ソレノイド式の2位置4ポートバルブである。第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fのスプールが連通位置にシフトすると、第1油圧シリンダ13Aと第1油圧シリンダ113A、第2油圧シリンダ13Bと第2油圧シリンダ113B、第3油圧シリンダ13Cと第3油圧シリンダ113Cが、それぞれ連通する。この際、第1油圧シリンダ13Aと第1油圧シリンダ113A、第2油圧シリンダ13Bと第2油圧シリンダ113B、第3油圧シリンダ13Cと第3油圧シリンダ113Cは、それぞれ同調して伸縮する。
【0088】
一方、第4切換バルブ15D、第5切換バルブ15E、および第6切換バルブ15Fのスプールが遮断位置にシフトすると、第1油圧シリンダ13Aと第1油圧シリンダ113A、第2油圧シリンダ13Bと第2油圧シリンダ113B、第3油圧シリンダ13Cと第3油圧シリンダ113Cの連通が、それぞれ遮断される。この際、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cに油が供給されても、高段床3a側の油圧シリンダ113A,113B,113Cには油が供給されず、これら油圧シリンダ113A,113B,113Cは作動しないことになる。すなわち、この状態では、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cのみが作動することになる。
【0089】
リリーフ弁18は、油圧回路50の油圧の過上昇を防止するためのものであり、油圧ポンプ17と切換バルブ15A,15B,15Cとの間に配置されている。リリーフ弁18は、油圧が設定圧力にまで上昇したときに開く弁体を備えている。なお、図示は省略するが、切換バルブ15D,15E,15Fと油圧シリンダ113A,113B,113Cとの間にも、リリーフ弁を設けるようにしてもよい。
【0090】
制御装置55は、油圧ポンプ17、切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15F、高段床3aおよび低段床3bのセンサA1,A2,B1,B2,C1,C2に接続されている。制御装置55は、油圧ポンプ17の駆動中に、上記センサA1,A2,B1,B2,C1,C2からの検出信号に基づいて、適当なタイミングで切換バルブ15A,15B,15C,15D,15E,15Fのスプールの位置を変更する。これにより、油圧シリンダ13A,13B,13C,113A,113B,113Cのピストンロッド130A,130B,130Cの動きが切り換えられ、床板材群11A,11B,11Cの床板材10を前述のように往復動させることができる。
【0091】
本実施形態においても、概ね実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0092】
《変形例》
なお、本発明において、荷台の段数は2に限らず、3以上であってもよい。すなわち、荷台は、高さの異なる3つ以上の床を有していてもよい。
【0093】
前記実施形態では、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの油圧に基づいて、それらの負荷を検出することとしていた。しかし、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの負荷を検出する負荷検出手段は、油圧に基づくものに限定される訳ではない。例えば、高段床3aおよび低段床3bにロードセルを配置しておき、高段床3aおよび低段床3bの積荷の重量に基づいて、油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの負荷を検出するようにしてもよい。また、光学センサやカメラ等を用いて、高段床3aおよび低段床3bの積荷の充填状態を検出し、その充填状態に基づいて油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cの負荷を検出することも可能である。
【0094】
前記実施形態では、低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cを駆動している間に、これら油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷が小さくなると、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの駆動を開始することとしていた。しかし、油圧シリンダ13A,13B,13Cの負荷を検出する代わりに、所定の時間が経過すると油圧シリンダ113A,113B,113Cの駆動を自動的に開始するようにしてもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cと低段床3bの油圧シリンダ13A,13B,13Cとを駆動している際に、高段床3aの油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷が小さくなると、これら油圧シリンダ113A,113B,113Cを停止させることとしていた。しかし、油圧シリンダ113A,113B,113Cの負荷を検出する代わりに、所定の時間が経過すると油圧シリンダ113A,113B,113Cを自動的に停止させるようにすることも可能である。
【0096】
前記実施形態では、床板材10を進退させるアクチュエータは油圧シリンダ113A,113B,113C,13A,13B,13Cであったが、他の種類のアクチュエータを用いることも勿論可能である。他の種類のアクチュエータとして、例えば、他の流体圧シリンダ、電動モータ等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上のように、本発明は、貨物自動車の積荷の搬送装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】貨物自動車の側面図である。
【図2】貨物自動車の平面図である。
【図3】低段床における積荷の搬送装置の概略平面図である。
【図4】油圧シリンダおよび横板材の連結構造を示す平面図である。
【図5】第3床板材群の床板材が往動端部に移動した状態を示す平面図である。
【図6】第2床板材群の床板材が往動端部に移動した状態を示す平面図である。
【図7】第1床板材群の床板材が往動端部に移動した状態を示す平面図である。
【図8】第1〜第3床板材群の床板材が復動端部に移動する状態を示す平面図である。
【図9】実施形態1に係る油圧回路の回路図である。
【図10】油圧シリンダとその下方に配置される部材の側面図である。
【図11】油圧シリンダとその下方に配置される部材の正面図である。
【図12】積荷の搬送装置の制御フローチャートである。
【図13】実施形態2に係る油圧回路の回路図である。
【符号の説明】
【0099】
1 貨物自動車
2 キャブ
3 荷台
3a 高段床(第1段の床)
3b 低段床(第2段の床)
10 床板材
11A,11B,11C 床板材群
12A,12B,12C 横板材
13A,13B,13C 油圧シリンダ(第2段の床のアクチュエータ)
50 油圧回路
55 制御装置
113A,113B,113C 油圧シリンダ(第1段の床のアクチュエータ)
PS1 圧力センサ(第1負荷検出手段)
PS2 圧力センサ(第2負荷検出手段)
A1,A2,B1,B2,C1,C2 センサ(位置センサ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1段の床と、前記第1段の床よりも搬入搬出口側に位置し、前記第1段よりも低い第2段の床とを有する荷台を備えた貨物自動車における積荷の搬送装置であって、
長手方向と直交する方向に並ぶ複数の床板材からなり、前記直交方向に隣り合う床板材が互いに異なる群に属するように分類された複数の床板材群と、
前記複数の床板材群のそれぞれに設けられ、各床板材群に属する床板材を同時に前記長手方向に往復させる複数のアクチュエータと、
を前記第1段の床および前記第2段の床のそれぞれに備え、
前記第1段の床および前記第2段の床のそれぞれにおいて、前記複数のアクチュエータを順次駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を順次往動させた後、前記複数のアクチュエータを同時に駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を一斉に復動させることによって前記積荷を前記床板材の復動方向へ進ませる制御装置を備えている、
貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項2】
前記第1段の床における前記複数のアクチュエータと前記第2段の床における前記複数のアクチュエータとは、それぞれ対応しており、
対応するアクチュエータ同士は、同調するように制御される、
請求項1に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記第1段の床の積荷と前記第2段の床の積荷とを搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、その後、
前記第2段の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動する、
請求項1または2に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項4】
前記第1段の床のアクチュエータの負荷を検出する第1負荷検出手段をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動しているときに、前記第1負荷検出手段によって前記第1段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動する、
請求項3に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項5】
前記第2の床の長手方向長さは、前記第1段の床の長手方向長さよりも長く、
前記制御装置は、
前記第2段の床の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第2段の床のアクチュエータを駆動し、その後、
前記第1段の床の積荷と前記第2段の床の積荷とを搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、その後、
前記第2段の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動する、
請求項1または2に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項6】
前記第1段の床のアクチュエータの負荷を検出する第1負荷検出手段と、
前記第2段の床のアクチュエータの負荷を検出する第2負荷検出手段と、をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第2段の床のアクチュエータを駆動しているときに、前記第2負荷検出手段によって前記第2段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、
前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動しているときに、前記第1負荷検出手段によって前記第1段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動する、
請求項5に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項7】
前記第1段の床および前記第2段の床において、前記複数の床板材群のそれぞれに属する少なくとも一つの床板材の位置を直接または間接的に検出する位置センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記第1段の床および第2段の床のそれぞれにおいて、いずれか一つの床板材群の床板材の往動が完了した後に、次に往動すべき床板材群の床板材の往動が開始され、さらに全床板材群の床板材の往動が完了した後に全床板材群の床板材が復動を開始するように、前記位置センサの検出に基づいて前記複数のアクチュエータを制御する、
請求項1〜6のいずれか一つに記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項8】
前記第2の床の長手方向長さは、前記第1段の床の長手方向長さよりも長く、
前記第2段の床における前記複数の床板材群のそれぞれに属する少なくとも一つの床板材の位置を直接または間接的に検出する位置センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記第2段の床における床板材の往動または復動が完了したことを前記位置センサで検出してから、前記第1段の床における床板材の往動または復動を開始する、
請求項2に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項1】
第1段の床と、前記第1段の床よりも搬入搬出口側に位置し、前記第1段よりも低い第2段の床とを有する荷台を備えた貨物自動車における積荷の搬送装置であって、
長手方向と直交する方向に並ぶ複数の床板材からなり、前記直交方向に隣り合う床板材が互いに異なる群に属するように分類された複数の床板材群と、
前記複数の床板材群のそれぞれに設けられ、各床板材群に属する床板材を同時に前記長手方向に往復させる複数のアクチュエータと、
を前記第1段の床および前記第2段の床のそれぞれに備え、
前記第1段の床および前記第2段の床のそれぞれにおいて、前記複数のアクチュエータを順次駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を順次往動させた後、前記複数のアクチュエータを同時に駆動することにより、前記複数の床板材群の床板材を一斉に復動させることによって前記積荷を前記床板材の復動方向へ進ませる制御装置を備えている、
貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項2】
前記第1段の床における前記複数のアクチュエータと前記第2段の床における前記複数のアクチュエータとは、それぞれ対応しており、
対応するアクチュエータ同士は、同調するように制御される、
請求項1に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記第1段の床の積荷と前記第2段の床の積荷とを搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、その後、
前記第2段の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動する、
請求項1または2に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項4】
前記第1段の床のアクチュエータの負荷を検出する第1負荷検出手段をさらに備え、
前記制御装置は、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動しているときに、前記第1負荷検出手段によって前記第1段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動する、
請求項3に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項5】
前記第2の床の長手方向長さは、前記第1段の床の長手方向長さよりも長く、
前記制御装置は、
前記第2段の床の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第2段の床のアクチュエータを駆動し、その後、
前記第1段の床の積荷と前記第2段の床の積荷とを搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、その後、
前記第2段の積荷を搬入搬出口側へ進ませるように、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動する、
請求項1または2に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項6】
前記第1段の床のアクチュエータの負荷を検出する第1負荷検出手段と、
前記第2段の床のアクチュエータの負荷を検出する第2負荷検出手段と、をさらに備え、
前記制御装置は、
前記第2段の床のアクチュエータを駆動しているときに、前記第2負荷検出手段によって前記第2段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動し、
前記第1段の床のアクチュエータと前記第2段の床のアクチュエータとを駆動しているときに、前記第1負荷検出手段によって前記第1段の床のアクチュエータの負荷が所定値以下になったことが検出されると、前記第1段の床のアクチュエータを停止させかつ前記第2段の床のアクチュエータを駆動する、
請求項5に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項7】
前記第1段の床および前記第2段の床において、前記複数の床板材群のそれぞれに属する少なくとも一つの床板材の位置を直接または間接的に検出する位置センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記第1段の床および第2段の床のそれぞれにおいて、いずれか一つの床板材群の床板材の往動が完了した後に、次に往動すべき床板材群の床板材の往動が開始され、さらに全床板材群の床板材の往動が完了した後に全床板材群の床板材が復動を開始するように、前記位置センサの検出に基づいて前記複数のアクチュエータを制御する、
請求項1〜6のいずれか一つに記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【請求項8】
前記第2の床の長手方向長さは、前記第1段の床の長手方向長さよりも長く、
前記第2段の床における前記複数の床板材群のそれぞれに属する少なくとも一つの床板材の位置を直接または間接的に検出する位置センサをさらに備え、
前記制御装置は、前記第2段の床における床板材の往動または復動が完了したことを前記位置センサで検出してから、前記第1段の床における床板材の往動または復動を開始する、
請求項2に記載の貨物自動車における積荷の搬送装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−234420(P2009−234420A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82955(P2008−82955)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
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