説明

販売支援システム、販売支援方法及び販売支援プログラム

【課題】既に公開された作品について2次利用のための販売を支援するための販売支援システム、販売支援方法及び販売支援プログラムを提供する。
【解決手段】販売支援サーバ20の制御部21は、クライアント端末10から、予算、パッケージ構成本数、検索キーワードを取得する。そして、制御部21は、検索キーワードを用いて候補作品を検索する。ここで、パッケージ構成本数以上を抽出できた場合、制御部21は、パッケージ候補の生成処理を実行する。ここでは、パッケージ構成本数の作品を組み合わせたパッケージ候補を生成し、パッケージ価格を算出する。パッケージ価格が予算内のパッケージ候補について、候補作品の再評価、構成作品の収益額を計算する。そして、制御部21は、収益額が高い順番に並べかえたパッケージ候補一覧表を、クライアント端末10のディスプレイに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既に公開された作品について2次利用のための販売を支援するための販売支援システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、映画・テレビなど各種メディアを通して多様な作品が公開されており、これら作品を利用して収益を得るコンテンツビジネスが行なわれている。このような作品には、著作権者、製作者(出資者)等、多様な関係者が関わっており、コンテンツビジネスにおける収入を分配している。
【0003】
そこで、利用者による作品の利用・購入額の合計を、コンテンツに関わる権利者、権利仲介団体およびコンテンツホルダ等に正当に分配して、その正当性を明示するための著作物権利料分配システムが検討されている(例えば、特許文献1を参照。)。この文献記載のシステムは、コンテンツを販売することにより得られる利益である利用料を、利用料の一部を享受する権利を有する者(コンテンツホルダ、著作権等管理事業者、権利者)に分配する。そして、コンテンツ管理権利分配システムは、利用料を享受する権利を有する分配先及び分配先に対する分配額などを記憶する記憶手段となる各種データベースを有している。また、コンテンツ管理権利分配システムは、利用料についての全分配先と分配額とを出力する権利分配サーバを有している。
【0004】
また、各種作品の権利者から作品に関する権利を取得し、放送事業者に販売する仲介ビジネスが行なわれることもある。そこで、番組コンテンツに関する権利の売買の仲介を行なうシステムも検討されている(例えば、特許文献2を参照。)。この文献記載のシステムは、番組制作会社や映画製作会社などのコンテンツのセラーが有するパーソナルコンピュータ、および、地上波、BS、CS、もしくはケーブルテレビの放送局などのバイヤーが有するパーソナルコンピュータは、ネットワークを介して、コンテンツ配給仲介システムに接続されている。バイヤーは、販売したいコンテンツに関するデータをデータベースに登録することができ、セラーおよびバイヤーは、バイヤーとコンテンツの売買契約に関するネゴシエーション及び売買契約の締結処理を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−196415号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開2002−140555号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、映画ビジネスにおける収入源としては、映画館での上映による興行収入、ビデオ販売による収入、放映権の販売による収入等がある。
映画館で上映する場合には、興行収入(入場料の売上)は個別契約により、興行主(映画館)に分配され、残りが配給収入となる。そして、プリント費や宣伝費(P&A費)が必要経費としてトップオフされる。配給会社は配給収入からP&A費を差し引いた額から個別契約により定められた割合を配給手数料として得る。製作者(出資者)は、興行収入から興行主取り分、P&A費、配給手数料を差し引いた金額を得る。
【0007】
ビデオ販売の場合には、個別契約により、製作者、発売元、販売元、小売店等に収入が分配される。
また、放映権の販売の場合、コンテンツホルダや仲介会社等の販売窓口会社が放送事業者に対して営業を行なうことがある。この場合、販売窓口に手数料を支払うことが多いが、この手数料は配給収入に所定割合を乗算した販売価格に基いて決められることがある。そして、製作者には、販売価格から、宣伝や編集のための費用、仲介の場合には仲介手数料等を差し引いた残りが支払われる。
【0008】
上述のように、作品を販売する場合には、複数の関係者に対して、それぞれの個別契約に基いて収入を分配する必要がある。この個別契約の内容は多様であり、特に、関係者が多い場合には、収益計算が煩雑になる。
【0009】
また、放送事業者等、作品の購入者においては作品を購入する予算が決まっていることが多く、販売窓口会社はこの予算を考慮して販売する作品を選択する必要がある。更に、放送事業者等においては、将来の番組編成を考慮して、多様な作品を準備しておくことが一般的である。特に、突発的な番組変更を考慮して、ある程度、作品をストックしておくことが多い。
【0010】
また、作品の価値は、興行収入や視聴率等、過去の公開実績を参考にして決めることができる。しかしながら、この実績は、同時期に公開されていた他の競合作品の影響を受けることがある。従って、同時期に公開されている競合作品によっては的確な評価を行なうことができない可能性がある。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、既に公開された作品について2次利用のための販売を支援するための販売支援システム、販売支援方法及び販売支援プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、作品識別子に関連付けて、キーワード、販売価格及び収益計算式を記録した作品情報記憶手段と、ユーザ端末に接続された制御手段とを備えた販売支援システムであって、前記制御手段が、ユーザ端末から予算及びキーワードを取得する手段と、前記キーワードに関連する複数の作品からなる作品群を前記作品情報記憶手段から抽出する手段と、前記作品群の中の作品を組み合わせたパッケージ候補を生成する手段と、各パッケージ候補を構成する作品の販売価格を合計してパッケージ価格を算出し、このパッケージ価格が前記予算に収まるパッケージ候補を特定する手段と、前記パッケージ候補を構成する各作品の収益額について収益計算式を用いて算出し、この収益を合計してパッケージ収益額を算出する手段と、前記パッケージ候補を構成する各作品情報及び前記パッケージ収益額を含めたパッケージ候補一覧表を前記ユーザ端末に出力する手段とを備えたことを要旨とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の販売支援システムにおいて、前記パッケージ候補一覧表において、パッケージ収益額が高い順番にパッケージ候補を並べて出力することを要旨とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の販売支援システムにおいて、作品識別子に関連付けて、各作品の公開時期と公開実績に関する情報を蓄積した実績情報記憶手段を更に備え、前記制御手段が、前記実績情報記憶手段から、各パッケージ候補を構成する各作品の公開時期を取得する手段と、前記実績情報記憶手段から、前記公開時期と同時期に公開された他の競合作品の公開実績を取得する手段と、前記競合作品の公開実績を用いて、パッケージ候補を構成する各作品の公開実績を修正する手段を更に備え、前記修正された公開実績を、パッケージ候補一覧表に含めて出力することを要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の販売支援システムにおいて、前記制御手段が、前記ユーザ端末から、パッケージを構成するパッケージ構成本数を取得する手段を更に備え、前記パッケージ構成本数になるように作品を組み合わせたパッケージ候補を生成することを要旨とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一つに記載の販売支援システムにおいて、作品識別子に関連付けて、各作品の初期支出額及び収益額累計に関するデータが記録された収支情報記憶手段を更に備え、前記制御手段が、前記作品群に含まれる作品について、前記収支情報記憶手段に記録された収益額累計が初期支出額を超えたリクープ作品と、まだ収益額累計が初期支出額を超えていない未リクープ作品とに分類する手段を更に備え、前記リクープ作品と未リクープ作品とを組み合わせてパッケージ候補を生成することを要旨とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、作品識別子に関連付けて、キーワード、販売価格及び収益計算式を記録した作品情報記憶手段と、ユーザ端末に接続された制御手段とを備えた販売支援システムを用いて、販売を支援する方法であって、前記制御手段が、ユーザ端末から予算及びキーワードを取得する段階と、前記キーワードに関連する複数の作品からなる作品群を前記作品情報記憶手段から抽出する段階と、前記作品群の中の作品を組み合わせたパッケージ候補を生成する段階と、各パッケージ候補を構成する作品の販売価格を合計してパッケージ価格を算出し、このパッケージ価格が前記予算に収まるパッケージ候補を特定する段階と、前記パッケージ候補を構成する各作品の収益額について収益計算式を用いて算出し、この収益を合計してパッケージ収益額を算出する段階と、前記パッケージ候補を構成する各作品情報及び前記パッケージ収益額を含めたパッケージ候補一覧表を前記ユーザ端末に出力する段階とを実行することを要旨とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、作品識別子に関連付けて、キーワード、販売価格及び収益計算式を記録した作品情報記憶手段と、ユーザ端末に接続された制御手段とを備えた販売支援システムを用いて、販売を支援するプログラムであって、前記制御手段を、ユーザ端末から予算及びキーワードを取得する手段、前記キーワードに関連する複数の作品からなる作品群を前記作品情報記憶手段から抽出する手段、前記作品群の中の作品を組み合わせたパッケージ候補を生成する手段、各パッケージ候補を構成する作品の販売価格を合計してパッケージ価格を算出し、このパッケージ価格が前記予算に収まるパッケージ候補を特定する手段、前記パッケージ候補を構成する各作品の収益額について収益計算式を用いて算出し、この収益を合計してパッケージ収益額を算出する手段、前記パッケージ候補を構成する各作品情報及び前記パッケージ収益額を含めたパッケージ候補一覧表を前記ユーザ端末に出力する手段として機能させることを要旨とする。
【0019】
(作用)
請求項1、6、7に記載の発明によれば、制御手段は、ユーザ端末から予算及びキーワードを取得し、キーワードに関連する複数の作品からなる作品群を作品情報記憶手段から抽出する。そして、作品群の中の作品を組み合わせたパッケージ候補を生成する。次に、各パッケージ候補を構成する作品の販売価格を合計してパッケージ価格を算出し、このパッケージ価格が予算に収まるパッケージ候補を特定する。パッケージ候補を構成する各作品の収益額について収益計算式を用いて算出し、この収益を合計してパッケージ収益額を算出する。そして、パッケージ候補を構成する各作品情報及びパッケージ収益額を含めたパッケージ候補一覧をユーザ端末に出力する。これにより、ユーザが設定した予算に応じて、作品を組み合わせたパッケージ候補を生成することができる。そして、各パッケージ候補の収益性に考慮して作品の販売を行なうことができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、パッケージ候補一覧において、パッケージ収益額が高
い順番にパッケージ候補を並べて出力する。これにより、収益的に有利なパッケージ候補を優先的に販売することができる。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、実績情報記憶手段から、各パッケージ候補を構成する各作品の公開時期を取得する。次に、実績情報記憶手段から、公開時期と同時期に公開された他の競合作品の公開実績を取得し、競合作品の公開実績を用いて、パッケージ候補を構成する各作品の公開実績を修正する。そして、修正された公開実績を、パッケージ候補一覧に含めて出力する。これにより、同時期に公開されていた競合作品の影響を考慮して、販売対象の作品の評価を行なうことができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、ユーザ端末から、パッケージを構成するパッケージ構成本数を取得し、パッケージ構成本数になるように作品を組み合わせたパッケージ候補を生成する。これにより、ユーザが希望する本数により作品を組み合わせたパッケージ候補を生成することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、作品群に含まれる作品を、収益額累計が初期支出額を超えたリクープ作品と、まだ収益額累計が初期支出額を超えていない未リクープ作品とに分類する。そして、リクープ作品と未リクープ作品とを組み合わせてパッケージ候補を生成する。これにより、収益性に偏りのない作品を組み合わせたパッケージ候補を生成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、既に公開された作品について2次利用のための販売を支援するための販売支援システム、販売支援方法及び販売支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態のシステム概略図。
【図2】本発明の実施形態の各記憶部に記録されたデータの説明図であって、(a)は作品管理データベース、(b)は収支管理データベース、(c)は興行実績データベース、(d)は視聴率実績データベースに記録されたデータの説明図。
【図3】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図4】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図5】第1の実施形態の処理手順の説明図。
【図6】第2の実施形態の処理手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施形態>
以下、本発明を具体化した実施形態を図1〜図5に従って説明する。本実施形態では、作品(例えば、映画作品やテレビ番組のための作品)を販売する販売窓口会社の担当者が、既に公開(1次利用)された作品を、2次利用のために第三者(例えば、放送事業者)に対して販売する場合に用いる販売支援システム、販売支援方法及び販売支援プログラムとして説明する。特に、本実施形態においては、複数の作品をまとめたパッケージを生成し、このパッケージの販売候補として出力する場合を想定する。
【0027】
本実施形態では、図1に示すように、販売支援サーバ20(販売支援システム)がパッケージ候補を生成する販売支援処理を実行する。この販売支援サーバ20には、ネットワークを介してクライアント端末10が接続されている。
【0028】
クライアント端末10は、作品の販売を行なう担当者が使用するコンピュータ端末(ユーザ端末)である。このクライアント端末10は、担当者が販売支援サーバ20にアクセ
スする場合に用いられる。クライアント端末10は、ネットワークを介してデータを送信する機能や、受信したデータを表示する機能等を有する。このため、このクライアント端末10は、図示しないCPU、RAM、ROMの他、キーボード、マウス等の入力手段、ディスプレイ等の出力手段、通信手段等を有する。
【0029】
販売支援サーバ20は、クライアント端末10から受信したデータに基づいて販売支援に関する各種データ処理を行なうコンピュータシステムである。この販売支援サーバ20は、制御部21、作品管理データベース22、収支管理データベース23、興行実績データベース24、視聴率実績データベース25、候補記憶部27を備える。作品管理データベース22は作品情報記憶手段として機能し、収支管理データベース23は収支情報記憶手段として機能し、興行実績データベース24、視聴率実績データベース25は実績情報記憶手段として機能する。
【0030】
この制御部21は、販売支援処理を行なうための各種データの管理処理等を行なう制御手段として機能する。制御部21は、図示しないCPU、RAM、ROM等を有する。そして、後述する処理(支援管理段階、パッケージ生成段階、再評価段階、収支計算段階等の各処理等)を実行する。このための販売支援プログラムを実行することにより、制御部21は、図1に示すように、支援管理手段211、パッケージ生成手段212、再評価手段213、収支計算手段214を備える。
【0031】
支援管理手段211は、クライアント端末10から担当者の依頼を受け付けて、この依頼に対応して生成したパッケージ候補を出力する処理を実行する。この支援管理手段211は、クライアント端末から取得した予算額やパッケージ構成本数、キーワードを一時記憶する依頼受付メモリを備えている。
【0032】
パッケージ生成手段212は、担当者の依頼に応じて作品を抽出し、抽出した作品を用いてパッケージ候補を生成する処理を実行する。
再評価手段213は、各作品の評価(興行収入や視聴率)を補正する処理を実行する。この補正のために、再評価手段213は、興行収入補正テーブルや視聴率補正テーブルを保持している。興行収入補正テーブルにおいては、競合作品の興行収入を用いて、処理対象作品の興行収入を補正するための補正率が記録されている。視聴率補正テーブルにおいては、競合作品の視聴率を用いて、処理対象作品の視聴率を補正するための補正率が記録されている。
【0033】
収支計算手段214は、パッケージ候補に含まれる作品の収支を算出する処理を実行する。また、収支計算手段214は、将来の収支を予測するための所定期間(予測期間)において、発生する可能性があるすべての収支項目に関する収支項目テーブルを保持している。
【0034】
作品管理データベース22には、この販売窓口会社が取り扱う作品に関する作品管理レコード220が記録されている。この作品管理レコード220は、作品についてライセンスを取得した場合に登録される。作品管理レコード220には、図2(a)に示すように、作品コード、ジャンル、関連キーワード、公表年月、販売価格、支出算出式、収益算出式に関するデータが記録される。
【0035】
作品コードデータ領域には、各作品を特定するための識別子(作品識別子)に関するデータが記録される。
ジャンルデータ領域には、この作品が属する分野を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0036】
関連キーワードデータ領域には、この作品に関連するキーワードに関するデータが記録される。本実施形態においては、関連キーワードとして、この作品の原作者、監督、出演者等が登録される。
【0037】
公表年月データ領域には、この作品が最初に公表された時期(年月)に関するデータが記録される。
販売価格データ領域には、この作品の販売価格に関するデータが記録される。
【0038】
支出算出式データ領域には、収支項目毎に、この作品を販売する場合に支払うべき支出額を算出するための計算式に関するデータが記録される。本実施形態では、この支出額には、P&A費等の経費、使用料や追加報酬等の芸文費、出資者に支払う分配金等が含まれる。
【0039】
収入算出式データ領域には、収支項目毎に、この作品を販売する場合に自社の収入を算出するための収入計算式に関するデータが記録される。この収入には、販売手数料や出資者の場合には分配金が含まれる。
【0040】
本実施形態においては、支出算出式や収入算出式により収益算出式が構成される。各算出式においては、一定額に設定されている場合や、収入等を変数とする関数が設定される。そして、将来の所定期間(予測期間)について、収入算出式によって算出される予想収入から、支出算出式によって算出される予想支出を差し引いた収益が、この販売窓口会社の取り分(予想収益額)となる。
【0041】
収支管理データベース23には、この販売窓口会社が取り扱う作品の収支実績に関する収支管理レコード230が記録される。この収支管理レコード230は、作品の支出額や収益額が登録された場合に記録される。収支管理レコード230には、図2(b)に示すように、作品コード、発生年月日、収支項目、収支額に関するデータが記録される。
【0042】
作品コードデータ領域には、各作品を特定するための識別子に関するデータが記録される。
発生年月日データ領域には、この作品について支払や収入が発生した年月日に関するデータが記録される。
【0043】
収支項目データ領域には、この作品について発生した支払や収入の根拠に関するデータが記録される。例えば、支出には、製作費、P&A費等のように初期的に発生する支出(初期支出)や、販売に関する社内経費、追加使用料(報酬)、配分金等のように販売の都度発生する支出(都度支出)がある。そして、収支項目データ領域には、初期支出や都度支出を識別するための収支識別情報が記録される。また、収入には興行収入やビデオ販売収入等があり、収支項目データ領域には収入であることを示す収支識別情報が記録される。
【0044】
収支額データ領域には、この作品について支払われた支出額や、取得した収入額に関するデータが記録される。そして、収支識別情報によって支出や収入を識別することにより、初期支出額、収入額累計、都度支出額累計を算出することができる。更に、収入額累計から都度支出額累計を差し引くことにより、収益額累計を算出することができる。
【0045】
興行実績データベース24には、各作品(映画)の興行に関する興行実績レコード240が記録されている。この興行実績レコード240は、一般公開されている興行実績を取得し、登録された場合に記録される。興行実績レコード240には、図2(c)に示すように、作品コード、興行期間、興行収入に関するデータが記録される。
【0046】
作品コードデータ領域には、各作品を特定するための識別子に関するデータが記録される。
興行期間データ領域には、この作品について映画館での上映期間(公開時期)に関するデータが記録される。
興行収入データ領域には、この興行期間における公開実績として興行収入(映画館での入場料から得られる売上合計)に関するデータが記録される。
【0047】
視聴率実績データベース25には、この作品(テレビ番組)が放送されたときの視聴率に関する視聴率実績レコード250が記録されている。この視聴率実績レコード250は、視聴率調査機関から視聴率情報を入手し、登録された場合に記録される。視聴率実績レコード250には、図2(d)に示すように、作品コード、放送日(公開時期)、視聴率に関するデータが記録される。
【0048】
作品コードデータ領域には、各作品を特定するための識別子に関するデータが記録される。
放送日データ領域には、テレビ放送された年月日及び放送時間帯に関するデータが記録される。
視聴率データ領域には、この放送時の公開実績として視聴率に関するデータが記録される。
【0049】
候補記憶部27には、販売候補の作品についての候補作品レコード及び候補作品を組み合わせて生成したパッケージ候補に関するパッケージ候補レコードが一時的に記憶される。この候補作品レコード及びパッケージ候補レコードは、販売対象のパッケージを生成する場合に記録される。
【0050】
候補作品レコードには、作品コード毎に、収支実績、収支予測、補正興行収入、補正視聴率に関するデータが記録される。
作品コードデータ領域には、各候補作品を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0051】
収支実績データ領域には、この候補作品の収入額累計から都度支出額累計を差し引いた収支額に関するデータが記録される。
収支予測データ領域には、この候補作品を販売した場合の予想支出額、予想収益額に関するデータが記録される。
【0052】
補正興行収入データ領域には、この候補作品の興行収入の補正値に関するデータが記録される。
補正視聴率データ領域には、この候補作品の視聴率の補正値に関するデータが記録される。
【0053】
また、このパッケージ候補レコードは、パッケージ候補識別子毎に、構成作品の作品コード、パッケージ販売価格、パッケージ収支実績、パッケージ収支予測、判定フラグに関するデータが記録される。
【0054】
パッケージ候補識別子には、候補作品を組み合わせて生成した各パッケージ候補を特定するための識別子に関するデータが記録される。
作品コードデータ領域には、このパッケージ候補を構成する各候補作品を特定するための識別子に関するデータが記録される。
【0055】
パッケージ販売価格データ領域には、このパッケージ候補の販売価格に関するデータが記録される。パッケージ販売価格は、このパッケージ候補の構成作品の販売価格を合計することにより算出する。
【0056】
パッケージ収支実績データ領域には、このパッケージの収支状況に関するデータが記録される。パッケージ収支状況は、このパッケージ候補の構成作品の収支額を合計することにより算出する。
【0057】
パッケージ収支予測データ領域には、このパッケージ候補を販売した場合の支出額、収益額(予想収益額)に関するデータが記録される。このパッケージ収益予測は、このパッケージ候補の構成作品の収支予測を合計することにより算出する。
【0058】
判定フラグデータ領域には、このパッケージ候補を販売候補として出力するかどうかを判定するためのフラグが記録される。パッケージ販売価格が予算を超えている場合には、販売候補から除くための「除外」フラグが記録される。
【0059】
次に、本実施形態の販売支援処理について説明する。ここでは、全体の手順(図3)、パッケージ候補の生成処理(図4)、候補作品の再評価処理(図5)の順に説明する。
(全体の手順)
まず、図3を用いて全体の手順を説明する。
【0060】
販売対象のパッケージ候補を作成する場合、担当者はクライアント端末10を用いて、販売支援サーバ20にアクセスする。この場合、販売支援サーバ20の制御部21は、クライアント端末10のディスプレイにメニュー画面を出力する。このメニュー画面には、販売支援を行なうための各種選択ボタンが表示されており、この中にパッケージ作成ボタンが含まれる。そして、パッケージ作成ボタンが選択された場合、クライアント端末10はパッケージ作成要求を販売支援サーバ20に送信する。
【0061】
パッケージ作成要求を受信した販売支援サーバ20の制御部21は、予算情報の取得処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、クライアント端末10のディスプレイに予算情報入力画面を出力する。この予算情報入力画面には、パッケージの予算を入力するための入力欄及び送信実行ボタンが設けられている。予算が入力されて、送信実行ボタンが選択された場合、クライアント端末10は、入力された予算情報を販売支援サーバ20に送信する。そして、制御部21の支援管理手段211は、クライアント端末10から取得した予算を依頼受付メモリに一時記憶する。
【0062】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ構成本数の取得処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、クライアント端末10のディスプレイにパッケージ構成本数入力画面を出力する。このパッケージ構成本数入力画面には、パッケージを構成する作品の本数を入力するための入力欄および送信実行ボタンが設けられている。パッケージ構成本数が入力されて、送信実行ボタンが選択された場合、クライアント端末10は、入力されたパッケージ構成本数情報を販売支援サーバ20に送信する。そして、制御部21の支援管理手段211は、クライアント端末10から取得したパッケージ構成本数を依頼受付メモリに一時記憶する。
【0063】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、検索キーワードの取得処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、クライアント端末10のディスプレイに検索キーワード入力画面を出力する。この検索キーワード入力画面には、パッケージを構成する作品を検索するためのキーワードを入力するための入力欄および送信実行ボタンが設けられている。キーワードが入力されて、送信実行ボタンが選択
された場合、クライアント端末10は、入力されたキーワード情報を販売支援サーバ20に送信する。そして、制御部21の支援管理手段211は、クライアント端末10から取得したキーワードを依頼受付メモリに一時記憶する。
【0064】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、候補検索処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、クライアント端末10から取得したキーワードを用いて、作品管理データベース22において候補作品を検索する。ここでは、支援管理手段211は、依頼受付メモリに記録されたキーワードが、ジャンルデータ領域や関連キーワードデータ領域に記録された作品管理レコード220を検索する。
【0065】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ構成本数以上の候補作品を抽出したかどうかについての判定処理を実行する(ステップS1−5)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、作品管理データベース22から抽出できた作品管理レコード220を用いて候補作品の抽出本数をカウントする。そして、支援管理手段211は、依頼受付メモリに記録されたパッケージ構成本数と抽出本数とを比較する。
【0066】
ここで、パッケージ構成本数以上の候補作品を抽出できなかった場合(ステップS1−5において「NO」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、検索キーワードの変更処理を実行する(ステップS1−6)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、パッケージ構成本数を取得できなかったことを示したメッセージ及び検索キーワード入力画面をクライアント端末10のディスプレイに出力する。この場合、担当者は、別のキーワードを入力することにより検索を再実施する。
【0067】
一方、パッケージ構成本数以上の候補作品を抽出できた場合(ステップS1−5において「YES」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ候補の生成処理を実行する(ステップS1−7)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、抽出した作品管理レコード220に記録された作品コードを記録した候補作品レコードを生成し、候補記憶部27に記録する。そして、制御部21のパッケージ生成手段212は、この候補作品(作品群)を用いて、後述するように、図4に示すパッケージ候補の生成処理を実行する。この処理の中で、候補記憶部27に、パッケージ候補に関するデータが記録される。
【0068】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ候補の出力処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、候補記憶部27において「除外」フラグが記録されていないパッケージ候補レコードを用いて、予想収益額が高い順番にパッケージ候補を並べたパッケージ候補一覧表を生成する。そして、支援管理手段211は、パッケージ候補一覧表を含めたパッケージ候補画面を、クライアント端末10のディスプレイに出力する。更に、このパッケージ候補一覧表には、各候補パッケージの収益予測、収支状況、各候補パッケージを構成する候補作品一覧表が含まれる。この候補作品一覧表には、各作品について興行収入又は補正興行収入、視聴率又は補正視聴率が表示される。
【0069】
(パッケージ候補の生成処理)
次に、図4を用いてパッケージ候補の生成処理を説明する。
ここでは、販売支援サーバ20の制御部21は、候補作品の組み合わせの生成処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21のパッケージ生成手段212は、抽出した候補作品の中から、依頼受付メモリに記録されたパッケージ構成本数の作品を選択し、作品コードを組み合わせたパッケージ候補を生成する。次に、パッケージ生成手段212は、生成した組み合わせに対してパッケージ候補識別子を付与して候補記憶部27に登録する。
【0070】
そして、順次、処理対象の組み合わせを特定して、パッケージ候補毎に以下の処理を繰り返す。
ここでは、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ価格の算出処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部21のパッケージ生成手段212は、作品管理データベース22から、パッケージ候補を構成する候補作品の作品管理レコード220を抽出し、候補作品の販売価格を特定する。そして、パッケージ生成手段212は、これらの販売価格を合計することにより、パッケージ価格を算出する。
【0071】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ価格が予算内かどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部21のパッケージ生成手段212は、パッケージ価格と、依頼受付メモリに記録された予算とを比較する。
【0072】
パッケージ価格が予算内の場合(ステップS2−3において「YES」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、処理対象のパッケージ候補を構成する作品を特定して、構成作品毎に以下の処理を繰り返す。
【0073】
ここでは、販売支援サーバ20の制御部21は、構成作品の再評価処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部21の再評価手段213は、後述するように、パッケージ候補の構成作品の興行収入や視聴率の見直しを行なう。
【0074】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、構成作品の収支計算処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部21の収支計算手段214は、この構成作品の収支額(支出額や収入額)を、収支管理データベース23から取得する。そして、収支計算手段214は、この収入額累計から都度支出額累計を差し引いた収益額累計を算出し、収支実績として候補記憶部27に記録する。
【0075】
更に、収支計算手段214は、収支項目テーブルを用いて、これから予測期間内に発生する可能性がある収支項目(収支実績がない項目)を特定する。次に、収支計算手段214は、特定した各収支項目について、作品管理レコード220に記録された支出算出式、収入算出式を用いて、予測期間の予想支出額、予想収入額を算出する。そして、収支計算手段214は、予想収入額から予想支出額を差し引いた予想収益額を算出して、候補記憶部27に記録する。
【0076】
処理対象のパッケージ候補の構成作品毎の繰り返しを終了した場合、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ候補の収支計算処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部21のパッケージ生成手段212は、処理対象のパッケージ候補に含まれる各構成作品の収益額累計を合計することにより、パッケージ候補の収益額累計を算出する。そして、パッケージ収支実績として候補記憶部27に記録する。
【0077】
更に、パッケージ生成手段212は、処理対象のパッケージ候補に含まれる各構成作品の予想支出額、予想収入額を合計することにより、このパッケージ候補の収支予測を算出して、候補記憶部27に記録する。
【0078】
なお、パッケージ価格が予算を超えている場合(ステップS2−3において「NO」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、除外フラグの設定処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部21のパッケージ生成手段212は、候補記憶部27に記録されたパッケージ候補レコードに「除外」フラグを記録して、このパッケージ候補についての処理を終了する。
【0079】
以上の処理を、組み合わせ毎に繰り返す。
(候補作品の再評価処理)
次に、図5を用いて候補作品(パッケージ候補の構成作品)の再評価処理(ステップS2−4)を説明する。
【0080】
この処理は、候補作品毎に、処理対象の作品コードを特定して繰り返して行われる。
ここでは、販売支援サーバ20の制御部21は、興行収入情報の取得処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、制御部21の再評価手段213は、処理対象の作品コードが記録された興行実績レコード240を興行実績データベース24から抽出する。
【0081】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、興行時期が重複する作品の検索処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、制御部21の再評価手段213は、抽出した興行実績レコード240に記録された興行期間を取得する。そして、再評価手段213は、この興行期間に重複する期間が記録された他の作品の興行実績レコード240を検索する。
【0082】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、競合作品があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、制御部21の再評価手段213は、作品管理データベース22から、興行期間が重複する他の作品についての興行実績レコード240の作品コードを特定し、この作品コードが記録された作品管理レコード220を抽出する。そして、再評価手段213は、処理対象の作品管理レコード220に記録されたジャンルと、他の競合作品の作品管理レコード220に記録されたジャンルとを比較する。ここで、ジャンルが共通する場合には、競合作品と判定する。
【0083】
競合作品があると判定された場合(ステップS3−3において「YES」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、補正興行収入の算出処理を実行する(ステップS3−4)。具体的には、制御部21の再評価手段213は、競合作品の興行実績レコード240に記録された興行収入を取得する。そして、再評価手段213は、興行収入補正テーブルから、競合作品の興行収入に対応する補正率を取得する。そして、再評価手段213は、処理対象作品の興行収入に、この補正率を乗算して補正興行収入を算出し、候補記憶部27に記録する。
【0084】
一方、競合作品がないと判定された場合(ステップS3−3において「NO」の場合)、補正興行収入の算出処理(ステップS3−4)をスキップする。この場合、再評価手段213は、処理対象作品の興行収入を候補記憶部27に記録する。
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、視聴率情報の取得処理を実行する(ステップS3−5)。具体的には、制御部21の再評価手段213は、処理対象の作品コードが記録された視聴率実績レコード250を視聴率実績データベース25から抽出する。
【0085】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、放送時期が重複する作品の検索処理を実行する(ステップS3−6)。具体的には、制御部21の再評価手段213は、抽出した視聴率実績レコード250に記録された放送日、放送時間帯を取得する。そして、再評価手段213は、再評価処理対象の作品と同じ放送日及び放送時間帯が記録された他の作品の視聴率実績レコード250を検索する。
【0086】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、競合作品があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−7)。具体的には、制御部21の再評価手段213は、放送時間帯が重複する他の作品についての視聴率実績レコード250の作品コードを特定し、この作品コードが記録された作品管理レコード220を作品管理データベース22から抽出する。そして、処理対象の作品管理レコード220に記録されたジャンルと、他の競
合作品の作品管理レコード220に記録されたジャンルとを比較する。ここで、ジャンルが共通する場合には、競合作品と判定する。本実施形態において、共通するジャンルにおいて複数の作品を抽出した場合には、最も視聴率が高い作品を競合作品として扱う。
【0087】
競合作品があると判定された場合(ステップS3−7において「YES」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、補正視聴率の算出処理を実行する(ステップS3−8)。具体的には、制御部21の再評価手段213は、競合作品の視聴率実績レコード250に記録された視聴率を取得する。そして、再評価手段213は、視聴率補正テーブルから、競合作品の視聴率に対応する補正率を取得する。そして、再評価手段213は、処理対象作品の視聴率に、この補正率を乗算して補正視聴率を算出し、候補記憶部27に記録する。
【0088】
一方、競合作品がないと判定された場合(ステップS3−7において「NO」の場合)、補正視聴率の算出処理(ステップS3−8)をスキップする。この場合、再評価手段213は、処理対象作品の視聴率を候補記憶部27に記録する。
以上の処理を、候補作品毎に繰り返す。
【0089】
以上、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、販売支援サーバ20の制御部21は、候補検索処理を実行する(ステップS1−4)。パッケージ構成本数以上を抽出できた場合(ステップS1−5において「YES」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ候補の生成処理を実行する(ステップS1−7)。そして、パッケージ候補の生成処理において、パッケージ価格が予算内の候補を選択する。これにより、所望のパッケージ構成本数の作品により、予算内のパッケージ候補を生成することができる。
【0090】
(2)上記実施形態では、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ候補の出力処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、生成したパッケージ候補を列挙したパッケージ候補画面を、クライアント端末10のディスプレイに出力する。このパッケージ候補画面には、各パッケージを販売した場合の収益予測が高い順番に並べかえたパッケージ候補一覧表が表示される。これにより、収益性が高い有利な販売を支援することができる。
【0091】
(3)上記実施形態では、販売支援サーバ20の制御部21は、候補作品の再評価処理を実行する(ステップS2−4)。ここでは、販売支援サーバ20の制御部21は、補正興行収入の算出処理(ステップS3−4)、補正視聴率の算出処理(ステップS3−8)を実行する。これにより、競合作品が同時に公開されている場合の影響を考慮した評価指標を算出することができる。
【0092】
そして、このパッケージ候補一覧表には、各候補パッケージの収益、収支状況、各候補パッケージを構成する作品一覧が含まれる。この作品一覧には、各作品について補正興行収入、補正視聴率が表示される。これにより、補正された指標(興行収入、視聴率)を参照して、パッケージ提案を行なうことができる。
【0093】
<第2の実施形態>
本発明を具体化した第2の実施形態を図6に従って説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態にリクープ処理を加えた構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。本実施形態においては、図6に示すように、作品に対する出資(初期支出額)の回収状況(リクープ状況)によって作品を複数の属性(リクープ作品、未リクープ作品)に分類し、この属性を用いてパッケージ候補を生成する。未リクープ作品については、更にリクープの可能性がある作品と、リクープの可能性が少ない作品とに分類
する。この場合、制御部21にリクープ判定手段を設ける。このリクープ判定手段は、最初の公表年月から所定期間以上が経過した類似作品を抽出するための評価基準期間に関するデータを保持している。
【0094】
更に、候補記憶部27に記録されたパッケージ候補レコードにおいて、作品コードに対してリクープ状況を記録する。このリクープ判定手段は、作品に対する出資を回収できているかどうかについての判定を行ない、この判定に基づいて作品を分類する処理を実行する。
【0095】
図6を用いて候補作品のリクープ判定処理を説明する。
この処理も、候補作品毎に、処理対象の作品コードを特定して繰り返して行われる。
販売支援サーバ20の制御部21は、収支情報の取得処理を実行する(ステップS4−1)。具体的には、制御部21のリクープ判定手段は、処理対象の作品コードが記録された収支管理レコード230を収支管理データベース23から抽出する。
【0096】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、リクープ済みかどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−2)。具体的には、制御部21のリクープ判定手段は、収支管理レコード230に記録された収入額を合計して収入額累計を算出する。また、リクープ判定手段は、収支管理レコード230に記録された都度支出額を合計して都度支出額累計を算出する。次に、リクープ判定手段は、収入額累計から都度支出額累計を差し引いて収益額累計を算出する。そして、リクープ判定手段は、収益額累計と初期支出額とを比較してリクープしているかどうかを判定する。収益額累計が初期支出額を超えている場合にはリクープ済みと判定する。
【0097】
リクープ済みの場合(ステップS4−2において「YES」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、第1属性分類処理を実行する(ステップS4−3)。具体的には、制御部21のリクープ判定手段は、候補記憶部27において、この候補作品の作品コードに対して第1フラグを記録する。
【0098】
一方、リクープ済みでない場合(ステップS4−2において「NO」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、類似作品の実績の検索処理を実行する(ステップS4−4)。具体的には、制御部21のリクープ判定手段は、この候補作品のジャンルや関連キーワードが共通する作品であって、最初の公表年月から評価基準期間が経過している作品を、作品管理データベース22において検索する。次に、リクープ判定手段は、抽出した作品管理レコード220に記録された作品コードを取得し、この作品コードが記録された収支管理レコード230を収支管理データベース23から抽出する。
【0099】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、リクープ割合の算出処理を実行する(ステップS4−5)。具体的には、制御部21のリクープ判定手段は、収支管理レコード230の中で収益額累計が初期支出額の合計額を超えている作品(リクープ作品)の数をカウントする。そして、リクープ判定手段は、すべての類似作品の総数に対するリクープ作品の数の割合(リクープ割合)を算出する。
【0100】
次に、販売支援サーバ20の制御部21は、リクープ可能かどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−6)。具体的には、制御部21のリクープ判定手段は、算出したリクープ割合を用いてリクープ可否を判定する。ここで、リクープ割合が基準値(例えば、50%)を超えている場合には、処理対象作品もリクープ可能と判定する。
【0101】
リクープ可能と判定した場合(ステップS4−6において「YES」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、第2属性分類処理を実行する(ステップS4−7)。具体
的には、制御部21のリクープ判定手段は、候補記憶部27において、この候補作品の作品コードに対して、リクープ状況として第2フラグを記録する。
【0102】
一方、リクープ不可と判定した場合(ステップS4−6において「NO」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、第3属性分類処理を実行する(ステップS4−8)。具体的には、制御部21のリクープ判定手段は、候補記憶部27において、この候補作品の作品コードに対して、リクープ状況として第3フラグを記録する。
【0103】
以上の処理を、候補作品毎に繰り返す。
このように分類された作品を用いて、販売支援サーバ20の制御部21は、候補作品の組み合わせの生成処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、制御部21のパッケージ生成手段212は、依頼受付メモリに記録されたパッケージ構成本数を各属性に振り分ける。本実施形態においては、パッケージ構成本数を属性数(ここでは「3」)で除算した整数値(割当本数)を算出する。次に、パッケージ生成手段212は、パッケージ構成本数に不足する本数を、任意の属性に振り分けて割当本数に加算する。そして、パッケージ生成手段212は、各属性の作品群から、割当本数分の作品を抽出して構成した組み合わせによりパッケージ候補を生成する。以下、生成したパッケージ候補について、(ステップS2−2)以降の処理を実行する。
【0104】
以上、本実施形態によれば、上記(1)〜(3)の効果に加え、以下に示す効果を得ることができる。
(4)上記実施形態では、リクープ済みの場合(ステップS4−2において「YES」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、第1属性分類処理を実行する(ステップS4−3)。リクープ可能と判定した場合(ステップS4−6において「YES」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、第2属性分類処理を実行する(ステップS4−7)。リクープ不可と判定した場合(ステップS4−6において「NO」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、第3属性分類処理を実行する(ステップS4−8)。これにより、リクープ状況により作品を分類し、各属性から作品を抽出することができる。従って、リクープ状況において偏った作品からなるパッケージ候補の生成を抑制することができる。
【0105】
なお、上記実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
・ 上記実施形態では、販売支援サーバ20の制御部21は、候補作品の再評価処理を実行する(ステップS2−4)。ここでは、興行収入や視聴率の見直しを行なうが、評価対象はこれらに限定されるものではない。例えば、1次利用において視聴した動機に基づいて評価を見直してもよい。具体的には、視聴者に対して、視聴の動機となった宣伝広告についてのアンケートを行なう。そして、アンケート結果及び宣伝広告にかけた費用を販売支援サーバ20に入力する。この場合、制御部21の再評価手段213は、動機となった宣伝広告と、宣伝広告にかけた費用との相関関係を算出する。両者に相関がない場合には、的確な宣伝広告が行われなかったとして、再評価手段213は、興行収入や視聴率を補正する。これにより、宣伝広告方法の的確性により、作品に対する評価を見直すことができる。
【0106】
・ 上記実施形態では、販売支援サーバ20の制御部21は、パッケージ候補の出力処理を実行する(ステップS1−8)。具体的には、制御部21の支援管理手段211は、候補記憶部27に記録されたパッケージ候補を、予想収益額が高い順番に並べたパッケージ候補一覧表を生成する。ここで、パッケージ候補の出力順番は、予想収益額が高い順番に限定されるものではない。例えば、パッケージ候補を構成する作品について、補正興行収入や補正視聴率をそれぞれ合計した評価指標を算出して、この評価指標を用いて並べてもよい。
【0107】
・ 上記実施形態では、パッケージ構成本数以上の候補作品を抽出できなかった場合(ステップS1−5において「NO」の場合)、販売支援サーバ20の制御部21は、検索キーワードの変更処理を実行する(ステップS1−6)。これに代えて、入力された予算やパッケージ構成本数に近い候補作品を出力するようにしてもよい。具体的には、販売支援サーバ20の制御部21の支援管理手段211は、目的のパッケージ構成本数になるまで予算を高くする修正を行ない、修正結果に応じた候補作品を出力する。また、パッケージ構成本数に満たない場合であっても、支援管理手段211は、抽出できた候補作品を出力するようにしてもよい。これにより、予算やパッケージ構成本数を見直した新たな提案を行なうことができる。
【0108】
・ 上記実施形態では、販売支援サーバ20の制御部21は、候補検索処理を実行する(ステップS1−4)。この場合、支援管理手段211は、依頼受付メモリに記録されたキーワードが、ジャンルデータ領域や関連キーワードデータ領域に記録された作品管理レコード220を検索する。ここで、放送事業者から放送時間帯の指定を受け付け、この放送時間帯を用いて検索するようにしてもよい。この場合、制御部21の支援管理手段211に、放送時間帯に対応させて視聴者層情報(例えば年齢層)を記録した視聴者特定テーブルを保持させておく。更に、作品管理レコード220には、各作品の対象としている視聴者層を特定するための情報を記録しておく。
【0109】
そして、支援管理手段211は、入力された放送時間帯に応じて、視聴者特定テーブルにおいて視聴者層を特定する。次に、支援管理手段211は、この視聴者層が記録されている作品管理レコード220を抽出する。これにより、ジャンルや関連キーワードのみならず、放送時間帯に合わせて抽出した作品を含めたパッケージを生成することができる。
【0110】
・ 上記実施形態では、販売支援サーバ20の制御部21は、競合作品があるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−7)。ここで、共通するジャンルにおいて複数の作品を抽出した場合には、最も視聴率が高い作品を競合作品として扱う。競合作品は、最高視聴率の作品に限定されるものではなく、例えば、処理対象の作品に対して視聴率が高い他の作品の視聴率の合計値を用いるようにしてもよい。
【0111】
・ 上記第2の実施形態では、リクープ状況によって作品を複数の属性に分類したが、作品の分類方法はこれに限定されるものではない。販売価格、興行収入、視聴率、補正興行収入、補正視聴率等について複数の属性を設けて、この属性により作品を分類してもよい。これにより、属性の偏在が少ないパッケージ候補を生成することができる。
【0112】
・ 上記第2の実施形態では、販売支援サーバ20の制御部21は、リクープ割合の算出処理を実行する(ステップS4−5)。そして、販売支援サーバ20の制御部21は、リクープ可能かどうかについての判定処理を実行する(ステップS4−6)。ここでは、すべての類似作品に対してリクープ作品の数の割合(リクープ割合)を算出して、リクープ可能性を判定する。リクープ可能性の判定方法は、これに限定されるものではない。例えば、作品毎に、時期に対して支出及び収入を記録した収支履歴を記録しておく。そして、処理対象作品の収支履歴と共通した他の先行作品を検索する。この先行作品の収支履歴を利用して、処理対象作品の将来の収支を予測するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0113】
10…クライアント端末、20…販売支援サーバ、21…制御部、211…支援管理手段、212…パッケージ生成手段、213…再評価手段、214…収支計算手段、22…作品管理データベース、23…収支管理データベース、24…興行実績データベース、25…視聴率実績データベース、27…候補記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作品識別子に関連付けて、キーワード、販売価格及び収益計算式を記録した作品情報記憶手段と、
ユーザ端末に接続された制御手段とを備えた販売支援システムであって、
前記制御手段が、
ユーザ端末から予算及びキーワードを取得する手段と、
前記キーワードに関連する複数の作品からなる作品群を前記作品情報記憶手段から抽出する手段と、
前記作品群の中の作品を組み合わせたパッケージ候補を生成する手段と、
各パッケージ候補を構成する作品の販売価格を合計してパッケージ価格を算出し、
このパッケージ価格が前記予算に収まるパッケージ候補を特定する手段と、
前記パッケージ候補を構成する各作品の収益額について収益計算式を用いて算出し、この収益を合計してパッケージ収益額を算出する手段と、
前記パッケージ候補を構成する各作品情報及び前記パッケージ収益額を含めたパッケージ候補一覧表を前記ユーザ端末に出力する手段と
を備えたことを特徴とする販売支援システム。
【請求項2】
前記パッケージ候補一覧表において、パッケージ収益額が高い順番にパッケージ候補を並べて出力することを特徴とする請求項1に記載の販売支援システム。
【請求項3】
作品識別子に関連付けて、各作品の公開時期と公開実績に関する情報を蓄積した実績情報記憶手段を更に備え、
前記制御手段が、
前記実績情報記憶手段から、各パッケージ候補を構成する各作品の公開時期を取得する手段と、
前記実績情報記憶手段から、前記公開時期と同時期に公開された他の競合作品の公開実績を取得する手段と、
前記競合作品の公開実績を用いて、パッケージ候補を構成する各作品の公開実績を修正する手段を更に備え、
前記修正された公開実績を、パッケージ候補一覧表に含めて出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の販売支援システム。
【請求項4】
前記制御手段が、前記ユーザ端末から、パッケージを構成するパッケージ構成本数を取得する手段を更に備え、
前記パッケージ構成本数になるように作品を組み合わせたパッケージ候補を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の販売支援システム。
【請求項5】
作品識別子に関連付けて、各作品の初期支出額及び収益額累計に関するデータが記録された収支情報記憶手段を更に備え、
前記制御手段が、前記作品群に含まれる作品について、前記収支情報記憶手段に記録された収益額累計が初期支出額を超えたリクープ作品と、まだ収益額累計が初期支出額を超えていない未リクープ作品とに分類する手段を更に備え、
前記リクープ作品と未リクープ作品とを組み合わせてパッケージ候補を生成することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の販売支援システム。
【請求項6】
作品識別子に関連付けて、キーワード、販売価格及び収益計算式を記録した作品情報記憶手段と、
ユーザ端末に接続された制御手段とを備えた販売支援システムを用いて、販売を支援する方法であって、
前記制御手段が、
ユーザ端末から予算及びキーワードを取得する段階と、
前記キーワードに関連する複数の作品からなる作品群を前記作品情報記憶手段から抽出する段階と、
前記作品群の中の作品を組み合わせたパッケージ候補を生成する段階と、
各パッケージ候補を構成する作品の販売価格を合計してパッケージ価格を算出し、
このパッケージ価格が前記予算に収まるパッケージ候補を特定する段階と、
前記パッケージ候補を構成する各作品の収益額について収益計算式を用いて算出し、この収益を合計してパッケージ収益額を算出する段階と、
前記パッケージ候補を構成する各作品情報及び前記パッケージ収益額を含めたパッケージ候補一覧表を前記ユーザ端末に出力する段階と
を実行することを特徴とする販売支援方法。
【請求項7】
作品識別子に関連付けて、キーワード、販売価格及び収益計算式を記録した作品情報記憶手段と、
ユーザ端末に接続された制御手段とを備えた販売支援システムを用いて、販売を支援するプログラムであって、
前記制御手段を、
ユーザ端末から予算及びキーワードを取得する手段、
前記キーワードに関連する複数の作品からなる作品群を前記作品情報記憶手段から抽出する手段、
前記作品群の中の作品を組み合わせたパッケージ候補を生成する手段、
各パッケージ候補を構成する作品の販売価格を合計してパッケージ価格を算出し、
このパッケージ価格が前記予算に収まるパッケージ候補を特定する手段、
前記パッケージ候補を構成する各作品の収益額について収益計算式を用いて算出し、この収益を合計してパッケージ収益額を算出する手段、
前記パッケージ候補を構成する各作品情報及び前記パッケージ収益額を含めたパッケージ候補一覧表を前記ユーザ端末に出力する手段
として機能させることを特徴とする販売支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−203831(P2011−203831A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68380(P2010−68380)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(592131906)みずほ情報総研株式会社 (187)