貫通性キャップおよび関連する流体移動デバイス
【課題】流体移動デバイスの貫通または強度特性を改善すること。
【解決手段】プラスチックピペットチップであって、上部分および下部分を備える中空本体であって、該上部分は、管状形状を有し、そして流体移動装置のプローブを固定的に係合するように構成された近位端を有し、そして該下部分は、円錐形状を有し、そして流体物質を受容するように構成された遠位端開口部を有する、中空本体;ならびに該本体の外側表面に配置された複数の間隔を空けたリブであって、該リブのうちの少なくとも1つは、該遠位端開口部の位置またはその近くから延び、該ピペットチップは、キャップ20Aの表面材料を貫通するように適合されており、そして該リブは、ピペットチップと、該キャップの貫通される表面材料との間で空気ギャップを形成することを補助する、リブ、を備える、プラスチックピペットチップ。
【解決手段】プラスチックピペットチップであって、上部分および下部分を備える中空本体であって、該上部分は、管状形状を有し、そして流体移動装置のプローブを固定的に係合するように構成された近位端を有し、そして該下部分は、円錐形状を有し、そして流体物質を受容するように構成された遠位端開口部を有する、中空本体;ならびに該本体の外側表面に配置された複数の間隔を空けたリブであって、該リブのうちの少なくとも1つは、該遠位端開口部の位置またはその近くから延び、該ピペットチップは、キャップ20Aの表面材料を貫通するように適合されており、そして該リブは、ピペットチップと、該キャップの貫通される表面材料との間で空気ギャップを形成することを補助する、リブ、を備える、プラスチックピペットチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は1999年5月14日出願の米国仮出願第60/134,265号の利益を主張する。この内容は参考として本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、臨床分析や患者のモニタリングまたは診断のための生物学的標本を受容し、保持する目的で設計されたもの等、流体保持容器と組み合わせて使用するキャップに関するものである。より詳細に述べれば、本発明は流体を流体保持容器に移し、または上記容器から移動するために用いられる流体移動デバイスが貫通できるキャップに関するものであり、その際流体移動中は前記容器とキャップとは物理的にかつ封止可能に結合している。
【0003】
さらに本発明は、本発明のキャップを貫通するために使用できる流体移動デバイスにも関係する。より詳細に述べれば、これらの流体移動デバイスは、前記流体移動デバイスの貫通または強度特性を改善し、および/または収集デバイス内からの置換された空気を排出するための空気ギャップの形成にも役立ち得る一つ以上のリブ構造が配設されるよう適合される。前記空気ギャップは収集デバイスの内部空気圧をこの収集デバイスを取り巻く周囲空気圧と平衡させるためにも役立ち得る。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
収集デバイスは、例えば臨床検査室に送達するための生物学的標本を受容し、貯蔵するために一般的に用いられる、キャップと容器とを組み合わせたタイプのものである。前記検査室で前記標本は分析され、特定状態の存在もしくは状態、または特定の感染性物質の存在が明らかにされ得る。普通、分析のために収集され臨床検査室に送達される生物学的標本の種類としては、血液、尿、痰、唾液、膿汁、粘液および脳脊髄液が挙げられる。これらの種類の標本は病原体を含むことがあるから、その収集デバイスは、収集部位から分析場所に移動する途中、実質的に漏出を防止するように構成されることを確実にすることが重要である。収集デバイスのこの特徴は、臨床的検査室と採集施設とが互いにかなり離れた所に位置する場合、特に重要である。
【0005】
漏出を防ぐために、収集デバイスのキャップは代表的にはねじを回して締めるか、パチンと締めるか、その他に摩擦で容器コンポーネントにフィットするように設計され、それによってキャップと容器との間に実質的に漏出防止シールが形成される。標本の漏出防止に加えて、収集デバイスのキャップと容器との間に形成される実質的漏出防止シールは周囲環境からの潜在的汚染性影響への標本の曝露も軽減する。漏出防止シールのこの局面はアッセイの定性的または定量的結果を変化し得る汚染物の導入を阻止するために重要である。
【0006】
漏出防止シールは移動中の標本の浸出を防止しなければならないが、一方、標本を分析する前に前記容器からそのキャップを物理的に取り外すことが、汚染の別の機会を提供する。キャップを取り外す際、移動中にキャップの下側に集まり得る標本は分析者と接触する可能性があり、恐らくその分析者は、流体サンプル中に存在する有害な病原体にさらされる。そしてもしその標本がタンパク質性または粘液様であるならば、またはもし前記移動媒質が洗剤または界面活性剤を含む場合は、移動中に容器の開口部周辺に生成したかも知れない膜または気泡が、キャップを容器から取り外したときに飛び出し、それによって標本が環境にばらまかれる可能性がある。ある収集デバイスからの標本の残り(それは分析者の手袋をはめた手に存在することもある)が、そのキャップの日常的または不注意な取り外しが原因で、別の収集デバイスの標本と接触することもあり得る。もう一つのリスクは、キャップと容器とを互いから物理的に分離する場合の、汚染性エーロゾルが生成する可能性であり、それは多分、同じ共通の場所で同時にまたはその後にアッセイするその他の標本を、交差汚染によって、偽陽性の結果または誇張された結果に導くことがある。
【0007】
交差汚染に関する懸念は、実施されるアッセイが核酸の検出を含む場合や周知のポリメラーゼ連鎖反応手順または転写介在増幅手順などの増幅手順を含む場合には特に重大である。増幅は、標本中に存在する標的核酸配列の量を増やすことによってアッセイの感度を高めることを目的としているから、他のコンテナからの病原体担持標本、または陽性対照サンプルからの標的核酸がごく少量だけ別の陰性標本に移されたとしても、偽陽性の結果が出ることがある。
【0008】
汚染性の標本エーロゾルが生成する可能性を最小にし、標本とヒトまたは環境との間の直接接触を制限するために、流体移動デバイス(例えばピペットチップ)が貫通でき、そのキャップが容器と物理的に、封止可能に結合したままになる、収集デバイスキャップを提供することが所望である。また、予測的かつ確実に流体を分配するまたは引き出す能力を果たし得る前記流体移動デバイスに対する損傷を防ぐために、前記流体移動デバイスがキャップを貫通するために必要とする力を制限するようにキャップを設計しなければならない。理想的には、前記収集デバイスは手動および自動フォーマット両方に用いることができ、プラスチック製のピペットチップと共に適切に使用される。
【0009】
その上、収集デバイスに入る上記流体移動デバイスによって占められるスペースの体積は前記収集デバイス内の等量の空気を置換するに違いないから、上記流体移動デバイスが結合したキャップを通過するにつれて空気がその収集デバイスから放出される速度を制御する手段が所望である。このような手段がなければ、収集デバイスからの空気の周囲環境への加圧移動は、潜在的に有害なエーロゾルまたは汚染性のエーロゾルの形成および放出、あるいは上記流体サンプル中にタンパク質または界面活性剤が存在する場合は気泡の形成および放出を促進し得る。そこで、エーロゾルまたは気泡の形態での流体サンプルの放出を阻止または最小にするために、貫通された収集デバイスからの空気放出を制御できる流体移動デバイスが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
キャップであって、以下:
環状頂部壁;
該環状頂部壁の内周囲により規定される、開口部;および
円錐形内壁であって、該開口部から、該環状頂部壁の対称軸に実質的に位置する尖端へと内向きにテーパ状であり、該円錐形内壁は、該対称軸に対して単一の角度を有する、円錐形内壁、を備える、キャップ。
(項目2)
上記環状頂部壁が、下面を有し、該下面が、容器の環状縁部の上面に固定され得る、項目1に記載のキャップ。
(項目3)
上記キャップを容器と固定的に結合させるための手段をさらに備える、項目1に記載のキャップ。
(項目4)
開放端容器の側壁表面を把持するよう適合される環状フランジをさらに備え、上記環状頂部壁が該環状フランジに対して実質的に垂直である、項目1に記載のキャップ。
(項目5)
上記環状フランジが、上記容器の外面を把持するよう適合された内壁を有する、環状外側フランジである、項目4に記載のキャップ。
(項目6)
キャップであって、以下:
環状頂部壁;
該環状頂部壁の内周囲により規定される、開口部;および
円錐形内壁であって、該開口部から、該環状頂部壁の対称軸に実質的に位置する尖端へと内向きにテーパ状であり、該円錐形内壁は、流体移動デバイスによる該円錐形内壁の貫通可能性を改善するために、複数の線条を備えるよう適合され、該線条の各々は、該尖端またはその近くの出発点から、半径方向外向きに延びる、内壁、を備える、キャップ。
(項目7)
上記環状頂部壁が、下面を有し、該下面が、容器の環状縁部の上面に固定され得る、項目6に記載のキャップ。
(項目8)
上記キャップを容器と固定的に結合させるための手段をさらに備える、項目6に記載のキャップ。
(項目9)
開放端容器の側壁表面を把持するよう適合される環状フランジをさらに備え、上記環状頂部壁が、該環状フランジに対して実質的に垂直である、項目6に記載のキャップ。
(項目10)
上記環状フランジが、上記容器の外面を把持するよう適合された、内壁を有する環状外側フランジである、項目9に記載のキャップ。
(項目11)
上記環状外側フランジの上記内壁が、上記容器の外面を把持するためのねじ山を備える、項目10に記載のキャップ。
(項目12)
上記環状外側フランジが、上記環状頂部壁の上に垂直に伸びる上部を備え、該環状外側フランジが、該環状外側フランジに対して実質的に垂直である環状頂面を備える、項目11に記載のキャップ。
(項目13)
上記環状外側フランジの上記上部内に位置する芯をさらに備える、項目12に記載のキャップ。
(項目14)
上記芯がパイル状織物である、項目13に記載のキャップ。
(項目15)
上記キャップが高密度ポリエチレンから一体的に成形されている、項目6に記載のキャップ。
(項目16)
上記開口部を被覆するためのシールをさらに備え、該シールが、上記環状頂部壁の頂面に固定されている、項目6に記載のキャップ。
(項目17)
上記シールが、金属箔を備える、項目16に記載のキャップ。
(項目18)
上記開口部を被覆するためのシールをさらに備え、該シールが、上記環状頂面に固定されている、項目12に記載のキャップ。
(項目19)
上記シールが、金属箔を備える、項目18に記載のキャップ。
(項目20)
上記円錐形内壁の、上記対称軸に対する角度が、約25°〜約65°である、項目6に記載のキャップ。
(項目21)
上記線条の各々が、上記尖端またはその近くの出発点から、上記円錐形内壁の外周囲へと部分的に延びる、項目6に記載のキャップ。
(項目22)
上記線条が、上記尖端またはその近くの出発点から、上記円錐形内壁の外周囲へと完全に延びる、項目6に記載のキャップ。
(項目23)
線条のない部分の上記円錐形内壁と、線条のある部分の該円錐形内壁との間の厚みの比が、約10:1〜約1.25:1の範囲内である、項目6に記載のキャップ。
(項目24)
上記線条のある部分の上記円錐形内壁の平均の厚みが、約0.002インチと約0.008インチとの間であり、そして上記線条のない部分の該円錐形内壁の平均の厚みが、約0.01インチと約0.02インチとの間である、項目6に記載のキャップ。
(項目25)
上記円錐形内壁が、約3〜約12の上記線条を備える、項目6に記載のキャップ。
(項目26)
上記線条が、上記内部円錐形内壁の、上記内面、上記外面、または該内面と該外面との両方に形成される、項目6に記載のキャップ。
(項目27)
上記線条が、上記円錐形内壁の溝またはチャネルを備える、項目6に記載のキャップ。
(項目28)
表面材料であって、該表面材料に約8ポンド未満の力を付与するプラスチックピペットチップにより貫通され得る、表面材料;および
キャップ内に固定的に配置された芯であって、該芯に約4ポンド未満の力を付与する該ピペットチップにより貫通され得る、芯、
を備える、キャップ。
(項目29)
収集デバイスと一緒に使用するためのオーバーキャップであって、
環状フランジ
該環状フランジに対して実質的に垂直である環状頂部壁;
該環状頂部壁の内周囲により規定される開口部;および
芯であって、該環状頂部壁の底面の下で、該環状フランジの内面内に位置する、芯、
を備える、オーバーキャップ。
(項目30)
上記環状フランジの上記内面が、上記オーバーキャップをキャップの上に摩擦により取り付けるための、内向きに延びる複数のリブを備える、項目29に記載のオーバーキャップ。
(項目31)
上記芯がパイル状織物である、項目29に記載のオーバーキャップ。
(項目32)
上記オーバーキャップが、上記開口部を覆うためのシールをさらに備え、該シールが、上記環状頂部壁の頂面に固定されている、項目29に記載のオーバーキャップ。
(項目33)
上記シールが金属箔を備える、項目32に記載のオーバーキャップ。
(項目34)
キットであって、パッケージされた組合せとして、項目9に記載のキャップ、ならびに以下:
流体物質を受容および保持するための、容器;
1種以上の試薬;
芯を備えるオーバーキャップ;
流体移動デバイス;および
標本回収デバイス、からなる群から選択される第二の成分を備える、キット。
(項目35)
キットであって、パッケージされた組合せとして、項目12に記載のキャップ、ならびに以下:
流体物質を受容および保持するための、容器;
1種以上の試薬;
流体移動デバイス;および
標本回収デバイス、からなる群から選択される第二の成分を備える、キット。
(項目36)
中空管状本体;
流体移動装置のプローブを固定的に受容するように構成された開口上端部;
流体物質を受容するための開口下端部;および
1つ以上のリブ構造であって、外面から外向きに、そして該開口下端部またはその近くの点からほぼ垂直な方向に延びる、1つ以上のリブ構造、
を備える、流体移動デバイス。
(項目37)
流体移動装置のプローブを固定的に受容するための近位端を有する中空管部分;
近位端を有する中空円錐部分であって、該近位端はまた、該管部分の遠位端を規定し、該円錐部分は、内面および外面を有し、該内面および外面は、該円錐部分の該近位端から、オリフィスを有する遠位端へとテーパ状である、中空円錐部分;ならびに
1つ以上の下方リブ構造であって、該円錐部分の該外面から外向きに延びる、1つ以上の下方リブ構造、
を備える、プラスチックピペットチップ。
(項目38)
上記管部分の外面から外向きに延びる1つ以上の上方リブ構造をさらに備え、該上方リブ構造のうちの少なくとも1つは、該管部分の遠位端またはその近くに遠位末端を有する、項目37に記載のピペットチップ。
(項目39)
上記下方リブ構造のうちの少なくとも1つ、および上記上方リブ構造のうちの少なくとも1つが、連続的なリブ構造を形成する、項目38に記載のピペットチップ。
(項目40)
流体移動装置のプローブを固定的に受容するための近位端を有する中空管部分;
近位端を有する中空円錐部分であって、該近位端はまた、該管部分の遠位端を規定し、該円錐部分は、内面および外面を有し、該内面および該外面は、該円錐部分の該近位端から、オリフィスを有する遠位端へとテーパ状である、中空円錐部分;ならびに
該円錐部分の該内面から内向きに延びる、1つ以上の下方リブ構造、
を備える、プラスチックピペットチップ。
(項目41)
上記管部分の外面から外向きに延びる1つ以上の上方リブ構造をさらに備え、該上方リブ構造のうちの少なくとも1つは、該管部分の遠位端またはその近くに遠位末端を有する、項目40に記載のピペットチップ。
(項目42)
流体移動装置のプローブを摩擦により受容するための近位端を有する中空管部分;
近位端を有する中空円錐部分であって、該近位端はまた、該管部分の遠位端を規定し、該円錐部分は、内面および外面を有し、該内面および該外面は、該円錐部分の該近位端から、オリフィスを有する遠位端へとテーパ状である、中空円錐部分;ならびに
該管部分の外面から外向きに延びる1つ以上の上方リブ構造であって、該上方リブ構造のうちの少なくとも1つは、該管部分の遠位端またはその近くに遠位末端を有する、1つ以上の上方リブ構造、
を備える、プラスチックピペットチップ。
(項目43)
物質を収集デバイスから取り出すための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)キャップに約8ポンド未満の力を付与して、プラスチック製流体移動デバイスを用いて、該収集デバイスの該キャップを貫通する工程;
b)該物質の少なくとも一部を、該流体移動デバイス内へと引き込む工程であって、該物質は、該収集デバイスの容器内に存在する、工程;および
c)該物質の少なくとも一部を含む該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程、を包含する、方法。
(項目44)
物質を、標本回収デバイスを含む収集デバイスから取り出すための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)貫通可能なキャップを容器に固定的に結合させることによって、標本回収デバイスを該容器の側壁の内面に沿って位置決めする工程;
b)該キャップを、流体移動デバイスを用いて貫通する工程;
c)該物質の少なくとも一部を該流体移動デバイス内へと引き込む工程であって、該物質は、該収集デバイスの容器内に存在する、工程;および
d)該物質の少なくとも一部を含む該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程、を包含する、方法。
(項目45)
流体移動デバイスにより貫通され得るキャップを備える収集デバイスの内部に、エーロゾルを収容するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)該キャップを、流体移動デバイスを用いて貫通する工程であって、これによって、該収集デバイスの内部チャンバから外部大気への通路を作製する工程;
b)流体物質の少なくとも一部を、該内部チャンバから、該流体移動デバイスを用いて回収する工程;
c)該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程;および
d)該収集デバイス内に存在し得るエーロゾルを、該キャップ内に固定的に位置する芯を用いて収容する工程であって、その結果、該流体移動デバイスの、該芯を通る移動が、実質的に妨害されない、工程、を包含する、方法。
(項目46)
上記取り外す工程の間に、上記流体移動デバイスを上記芯で拭く工程をさらに包含する、項目45に記載の方法。
(項目47)
上記芯が、裏地に取り付けられた繊維を備え、該裏地が、上記キャップ内でほぼ円形の配向に配置されている、項目46に記載の方法。
(項目48)
上記繊維が合成繊維である、項目47に記載の方法。
(項目49)
上記芯がパイル状織物である、項目48に記載の方法。
(項目50)
工程c)において上記収集デバイスから取り出された上記流体物質中に存在する核酸を増幅する工程をさらに包含する、項目45に記載の方法。
(発明の要旨)
本発明は、容器の開口端のところで容器の内側または外側壁表面を把持するように取り付けられた環状フランジ、上記環状フランジに実質的に垂直な環状頂部壁、環状頂部壁の内側周囲によって輪郭づけられる開口部、および前記開口部から実質的に環状頂部壁の対称軸に位置する尖端(apex)に向かって、内方にテーパ状の円錐形内壁を含む、一体型に成形されたキャップを提供することによって前述の一組の問題を解決する。上記環状フランジおよび円錐形内壁は各々、実質的に平行せる内面および外面を有し、環状頂部壁は実質的に平行せる上面および下面を有する。本発明の代替の局面において、キャップは容器の表面を把持するために取り付けられる環状フランジを含まず、その代わりに前記環状頂部壁が環状リングを形成し、そのリングの下面は、固定剤(例えば接着剤)等の手段によって容器の環状縁の上面に固定することができるか、あるいはその容器の上面と一体的に成形できる。
【0011】
本発明は、中空管状本体を有する流体移動デバイスであって、上記流体移動デバイスの外面か、内面か、または内側と外側との両面に一つ以上のリブ構造を含む上記流体移動デバイスを提供することによって、上記もう一組の問題を解決する。上記リブ構造が外面に位置する際にはそれらは流体移動デバイスの外面とキャップの貫通される表面材料との間に換気チャネルを形成することが期待される。これらの換気チャネルは貫通される収集デバイス内から空気を好都合に放出しやすくし、一方流体サンプルがエーロゾルまたは気泡の形態で形成および/または放出されるのを最小に抑制することが判明した。流体移動デバイスの外面のリブ構造はまた、流体移動デバイスの強度特性を高め、貫通性キャップを突き通すために必要とされる力を減らすことが期待される。これらの強度特性および力低下特性は内面に位置するリブ構造を有する流体移動デバイスとも関連することが期待される。
【0012】
本発明の第一実施形態において、円錐形内壁は上記環状頂部壁の対称軸に関して単一の角度を有する。この実施形態のキャップは、好ましい局面において、プラスチック製ピペットチップからなる流体移動デバイスが貫通可能であり、ピペットチップがキャップを貫通した後にそのピペットチップが正確に流体物質を引き出す能力を顕著には侵害しない。
【0013】
本発明の第二の実施形態において、キャップの円錐形内壁は、複数の線条を含み、それらの線条は上記円錐形内壁の尖端から、または尖端に近い一つ以上の出発点から放射状に外側に向かって延びている。これら線条の各々は一部分または完全に上記円錐形内壁の上記尖端から、または尖端近くの出発点から円錐形内壁の外側円周に延びている。これらの線条は上記円錐形内壁の少なくとも一つの面にチャネル、溝、エッチング、または一連の穿孔の形態で存在し得、各線条の厚さは上記円錐形内壁の線条のない部分の厚さより小さい。上記線条は好都合なことに、上記キャップの貫通に必要な力を減らし、同時に円錐形内壁の上記線条によって輪郭づけられる部分が、通過する流体移動デバイスから離れるにつれて、上記円錐形内壁の部分と流体移動デバイスとの間に空気の通路を作り出すことが判明した。
【0014】
本発明の第三の実施形態において、環状フランジは、上記環状頂部壁上を垂直に延びる上部を有し、その結果環状頂部壁の上面は、芯材料を実質上円錐形内壁の上におよび環状フランジ内に配置、維持するための棚として役立ち得る。上記芯材料は、気泡、エーロゾルの広がりを制限するために、および/または流体移動デバイスを収集デバイスのキャップを通して引き出す際に、前記流体移動デバイスの外側に存在する流体を除去するワイピング(ふき取り)作用を与えるためのいかなる材料、または材料の組み合わせでもよい。上記芯材料は好ましくは毛細管作用によって上記流体移動デバイスから流体をふき取る。
【0015】
本発明の第四の実施形態において、キャップはさらに、環状頂部壁、または環状フランジの上部の環状頂部表面に固定されるか、あるいは上記環状フランジの内面内にぴったりと置かれたシールを含む(例えばシールが付着している中空樹脂ディスクであって、環状フランジの内面内に摩擦でフィットし、そこを流体移動デバイスが通過できるような大きさの中空樹脂ディスク)。上記シールは流体移動デバイスが貫通できるのが好ましいが、上記シールを流体移動デバイスが貫通する前に上記シールをキャップから分離することができるような方法で上記シールをキャップに適用しまたはキャップと結合させることもできる。上記シールは汚染物を上記円錐形内壁から(そして存在すれば、芯材料からも)分離しておくために、そしてキャップを流体移動デバイスが貫通する際に上記収集デバイスからのエーロゾルの放出阻止に役立つために、および/または芯材料を前記環状フランジ内に保持するために取り付けられる。上述のように、シールは好ましくは金属箔またはプラスチック等の貫通可能な材料から作られ、貫通前には円錐の開口部を完全にまたは部分的に覆う。
【0016】
本発明の第五実施形態においては、キャップ表面への約8ポンド未満の力の付与によってプラスチック製ピペットチップが貫通できるキャップが提供される。この特定のキャップにも、キャップの貫通可能表面材料の上または下に位置し、ピペットチップが通過するために約4ポンド未満の圧力を必要とする芯材料が含まれる。上記芯材料は、プラスチック製ピペットチップがキャップを通過中および/または通過後、結合した容器から逃げるエーロゾルまたは気泡を少なくとも一部分は捕捉できるように、そのキャップに配置される。
【0017】
本発明の第六の実施形態においては、本発明のキャップの上に置くことができる、芯材料を含むオーバーキャップが提供される。上記オーバーキャップの環状頂部壁は、キャップの円錐形内壁を通過する流体移動デバイスを受け入れる大きさを有する開口部を規定する内部円周を含む。オーバーキャップの環状フランジの内面にはさらにリブ構造が含まれ、オーバーキャップの内面とキャップの環状外側フランジとの間を摩擦によりフィットさせ得る。オーバーキャップの環状頂部壁にはまたシールが取り付けられ、一旦、キャップが貫通された収集デバイスからのエーロゾルまたは気泡の放出をさらに少なくし、そして/または芯材料をオーバーキャップの環状フランジ内に保持する。取り出して分析すべきサンプルが、検出工程の実施前に増幅しなければならない標的核酸分析物を含むことが疑われる場合には、任意に上記オーバーキャップ(エーロゾルおよび気泡を分離コンポーネントに封じ込めるという利点をもたらす)を、例えば芯材料のないキャップを有する収集デバイスと共に用いることができる。
【0018】
本発明の第七実施形態においては、本発明のキャップおよびオーバーキャップの貫通を容易にするために用いられ得、そして/または入ってくる流体移動デバイスによって容器から追い出される空気の排出を改善し得る流体移動デバイスが提供される。この特殊の流体移動デバイスは中空構造を有し(ただしこの流体移動デバイスはエーロゾル阻止フィルターを備え得る)、流体を引き出しおよび/または分配するロボットまたは手動操作の流体移動器具と連動するプローブまたは延長部分と係合するように設計され、一つ以上のリブ構造を含む。これらのリブ構造は上記流体移動デバイスの本体の外面から外側に延び、好ましくは流体移動デバイスの遠位端の一点または複数の点あるいはその近くからほぼ垂直方向に延びる。これらのリブ構造に起因する強度および質量の増大は貫通可能キャップを通過するために必要な力を減らし得、若干の例では前記流体移動デバイスが容認可能に複数回通過することも可能となる。
【0019】
本発明の第八の実施形態において、空気および/または流体が通過するための中空の管および円錐部分と、前記円錐部分に位置する一つ以上の下方リブ構造とを有するプラスチック製ピペットチップが提供される。それらリブ構造は前記円錐部分の外面から外側に延びている。これらの下方リブ構造は本発明の第七実施形態による利点と同様の利点をもたらすことが期待される。
【0020】
本発明の第九実施形態において、空気および/または流体が通過するための中空の管および円錐部分、ならびに前記円錐部分に位置し、前記円錐部分の内面から内側に延びる一つ以上の下方リブ構造を有するプラスチック製ピペットチップが提供される。第七実施形態におけるように、これらの下方リブ構造は本発明のキャップおよびオーバーキャップの通過を容易にすることが期待される。
【0021】
本発明の第十実施形態において、空気および/または流体が通過するための中空の管および円錐部分、ならびに上記管部分に位置する一つ以上の上方リブ構造を有するプラスチック製ピペットチップが提供される。上記リブ構造は管部分の外面から外側に延び、これらの上方リブ構造の少なくとも一つは上記管部分の遠位端またはその近くで終わる。これらの上方リブ構造はキャップの貫通される表面材料と上記ピペットチップとの間の空気ギャップの形成を助けるように設計され、結合した収集デバイスにピペットチップが貫入する際にこの収集デバイスの内部から追い出される空気の移動を容易にし、そして/またはキャップ貫通時に収集デバイスの内側および外側の空気圧を平衡化することができる。
【0022】
本発明の第十一実施形態において、上記の第八および第十実施形態の、または第九および第十実施形態の下方リブ構造および上方リブ構造とを組み合わせたプラスチック製ピペットチップが提供される。その際下方リブ構造は上方リブ構造とは離れていてもよいし、下方および上方リブ構造の対が、円錐部分の一点または複数点から管部分の一点または複数点まで延びる連続リブ構造を形成してもよい。
【0023】
本発明の第十二実施形態では、収集デバイスからある物質を取り出すための方法であって、上記のような収集デバイスのキャップをプラスチック製流体移動デバイスが貫通することを含み、その際キャップ表面に約8ポンド未満の力をかけることを必要とする上記方法が提供される。ひとたびキャップが貫通されると、上記収集デバイスの容器中の物質が、上記収集デバイスから除去される前の流体移動デバイスによって引き出される。
【0024】
本発明の第十三実施形態において、収集デバイスからある物質を取り出すための方法であって、容器と貫通性キャップとをぴったりと結合させる手段によって、標本回収デバイス(スワブ等)を前記容器の側壁の内面に沿って配置することを含んでなる方法が提供される。その後流体移動デバイスが上記キャップを貫通し、流体移動デバイスは上記容器から上記物質を引き出した後、収集デバイスから除去される。
【0025】
本発明の第十四実施形態において、プラスチック製ピペットチップ等の流体移動デバイスで、結合するキャップを貫通することによって通路が作られた後、収集デバイスの内側にエーロゾルを含むための方法が提供される。流体移動デバイスがキャップを通過中、および/または流体移動デバイスを収集デバイスから除去する間、上記形成された通路は一部分開き得る。そこで流体移動デバイスが上記キャップを通過して上記収集デバイスに入る際、流体移動デバイスが上記収集デバイスから引き抜かれる際、および/または流体移動デバイスが上記収集デバイスから完全に引き抜かれた後に、エーロゾル含有(一部分または完全に)が起こることがある。エーロゾルが含まれる疑いのある際に選択される材料、および貫通性キャップの内側におけるその材料の配列は次のようでなければならない:すなわち上記材料は、流体移動デバイスが収集デバイス内へまたは収集デバイスから移動するのを実質的には妨害しない。この方法は、上記収集デバイスが標的核酸分析物を含む疑いがある流体サンプルを含み、その分析物はその後公知の任意の増幅手順を用いて増幅され、それから検出されるという場合に特に有用である。
【0026】
本発明のキャップは少なくとも一つの容器、試薬(例えば移動媒体または陽性対照)、オーバーキャップ、流体移動デバイスおよび標本回収デバイス(例えば標本採取のためのスワブ等)とのパッケージされた組み合わせにおいて提供され得る。同様に、本発明のオーバーキャップもまた、キャップ、容器、試薬、流体移動デバイス、および標本回収デバイスのうちの少なくとも1つとの、パッケージされた組み合わせとして提供され得る。パッケージされた組み合わせとは、上記の物品が単に同じコンテナ(例えば輸送のための郵便または配達容器)に入れられて提供される必要があることを意味し、それぞれの物品がそのコンテナ内で互いに物理的に結合するか、または同じラッパー内で結合していることは要求されないことが理解される。
【0027】
本発明のこれらのおよびその他の特徴、局面、および利点は下記の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および付随する図面を考慮すれば、当業者に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の好ましいキャップ(20A)と任意のシール(80)とを含む収集デバイス(10)の分解斜視図である。図中、容器(50)はねじ山(54)を含み、それはキャップ(20A)のねじ山(42)(この図には示されていない)と対になっている。
【図2】図2は、図1のキャップ(20A)の拡大平面図である。図中、キャップ(20A)の円錐形内壁(33)には部分的に延びる線条(35)がある。
【図3】図3は、図1のキャップ(20A)の拡大底面図である。図中、キャップ(20A)の円錐形内壁(33)には部分的に延びる線条(35)がある。
【図4】図4は、本発明の別のキャップ(20B)の拡大平面図である。図中、キャップ(20B)の円錐形内壁(33)には十分に延びた線条(35)がある。
【図5】図5は、図1および図2に示されるキャップ(20A)および容器(50)の、図2の線5−5に沿って切り取られた拡大部分断面側面図である。キャップ(20A)の環状頂部壁(22)に適用された任意のシール(80)も示されている。
【図6】図6は、キャップ(20C)および容器(50)の拡大部分断面側面図である。図中、キャップ(20C)は延長した環状外側フランジ(40A)と、環状頂部面(48)に付着した任意のシール(80)と、上記環状外側フランジ(40A)の上部(46)内に含まれる芯(90)とを含み、容器(50)およびキャップ(20C)には係合するリム(55)、(43)がある。
【図7】図7は、図5に示されるキャップ(20A)と容器(50)の拡大部分断面側面図である。流体移動デバイス(70)(すなわち鋭角の先端を有するピペットチップ71)が貫通し、スワブ(130)が側壁(58)の内面(59)に沿って配置されている。
【図8】図8は、図7に示される流体移動デバイス(70)を除去した後の図5のキャップ(20A)の拡大平面図である。
【図9】図9は、図5に示されるキャップ(20A)および容器(50)と組み合わせたオーバーキャップ(100)の拡大部分断面側面図である。図中、オーバーキャップ(100)は環状頂部壁(104)の下面(105)の下に芯(90)を含み、任意のシール(80)が環状頂部壁(104)の上面(106)にある。
【図10】図10は、下方リブ構造(151A)、(152A)と鋭角の先端(71A)とを有するピペットチップ(70A)の拡大側立面図である。
【図11】図11は、2本の下方リブ構造(152A)と流体受口(161)とを含む、図(10)に示されるピペットチップのもう一つの拡大側立面図である。
【図12】図12は、図10に示されるピペットチップ(70A)の円錐部分(166)の遠位部分の拡大斜視図である。
【図13】図13は、図11に示されるピペットチップ(70A)の、線13−13に沿って切り取った拡大底面図である。
【図14】図14は、テーパー状遠位端または平滑遠位端(162B)、(163B)を有する下方リブ構造(151B)、(152B)、および上方リブ構造(174)を有するピペットチップ(70B)の拡大側立面図である。
【図15】図15は、2本の下方リブ構造(152B)、2本の上方リブ構造(174)、および流体受口(161)を含む、図14に示されるピペットチップ(70B)の別の拡大側立面図である。
【図16】図16は、図14に示されるピペットチップ(70B)の遠位部分の拡大斜視図である。
【図17】図17は、上方リブ構造(174)を有するピペットチップ(70C)およびピペットチップ(70C)の円錐部分(166)の内面(157)の下方リブ構造(151C)、(152C)の拡大側立面図である。
【図18】図18は、図17の線17−17に沿って切り取った、図17のピペットチップ(70C)の拡大断面図であり、円錐部分(166)の内面(157)にある下方リブ構造(151C)、(152C)が示される。
【図19】図19は、図17の線19−19に沿って切り取った、図17に示すピペットチップ(70C)の拡大底面図である。
【図20】図20は、円錐部分(166)の遠位端から管部分(167)の近位端に延びる連続リブ構造(176)を有するピペットチップ(70D)の拡大側立面図である。
【図21】図21は、管部分(167)に上方リブ構造(174)があり、円錐部分(166)には下方リブ構造がないピペットチップ(70E)の拡大側立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
図により、本発明のキャップ(20A−C)と、流体標本を受容し、保存するための容器(50)とを組み合わせて用い、その後に特定の病原体を診断する、核酸ベースのアッセイまたは免疫アッセイを用いる分析等の分析を行うことができる。所望の標本が生物学的流体である場合、その標本は血液、尿、唾液、痰、粘液またはその他の体内分泌物、膿、羊水、脳脊髄液または精液等である。しかし本発明はこれらの特異的生物学的流体以外の物質、例えば非制限的に、環境サンプル(例えば水)、化学物質およびアッセイ試薬、並びに流体ミリューに完全または部分的に溶解し得る固体物質(例えば組織標本、粉末、粒子、顆粒および食品類)等も考慮する。本発明のキャップ(20A−C)と共に用いる容器(50)は、キャップ(20A−C)と一緒になって実質的に漏出を防止するシールを形成できるのが好ましく、容器(50)が目的の物質(例えば流体標本またはアッセイ試薬)を受容し、保持する形を有することを条件に、上記容器はいかなる形または組成でもよい。容器(50)がアッセイすべき標本を含む場合、容器(50)の組成は本質的に不活性で、したがってそれがアッセイの性能または結果を著しくは妨害しないことが特に重要である。
【0030】
本発明のキャップ(20A−C)は多数の異なるポリマーおよびヘテロポリマー樹脂から調製され得る。それらにはポリオレフィン(例えば高密度ポリエチレン(「HDPE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、HDPEとLDPEとの混合物、またはポリプロピレン)、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンおよびポリカーボネート等が挙げられるが、これらに制限するものではない。HDPEの一例はアラソン(Alathon)M5370の商品名で市販され、ハンツヴィル(ノースカロライナ)のポリマーランド(Polymerland)から市販される;LDPEの一例は商品名722で販売され、ダウケミカル社(ミドランド、ミシガン)から市販される;ポリプロピレンの一例はレキセン(Rexene)13T10ACS279の商品名で販売され、ハンツマン(Huntsman)コーポレーション(ソルトレイクシティー、ユタ)から市販される。LDPEはHDPEに比べて軟らかく、展性のより大きい材料であるが、ねじ込みキャップをねじ容器に回してはめ込む際には、キャップがより硬いHDPE材料から形成されている場合に比べて、LDPEの軟らかさはより大きい摩擦抵抗を生み出す。HDPEから製造されたキャップはLDPEから製造されたものより硬く、この硬さがHDPEキャッから製造されたLDPEキャップより通過しにくくしている。本発明のキャップ(20A−C)は好ましくはHDPEから形成されるが、好ましくは、例えば容量で約20%LDPE:80%HDPE〜約50%LDPE:約50%HDPEの範囲のLDPEとHDPEとの混合物等を含む樹脂類の組み合わせから形成され得る。
【0031】
ここに提供される指針に基づいて、当業者は、慣用的実験以外のいかなる実験も必要とせずに、特定の使用条件下で硬性と貫通特性との最高の組み合わせをもたらす樹脂、または樹脂類の混合物を選択することができる。さらに、当業者は、受容可能なキャップ(20A−C)樹脂の範囲が上記収集デバイス(10)の形成のために用いられる樹脂の性質にも左右されることを理解する。なぜならばこれら二つのコンポーネントの形成に用いる樹脂の特性は収集デバイス(10)のキャップ(20A−C)と容器(50)とがいかに良く漏出防止シールを形成し得るか、そしてキャップ(20A−C)が容器(50)にいかに容易に確実にねじ込めるかに影響するからである。(現在好ましい容器(10)はポリプロピレンから作られている。)そしてキャップ(20A−C)の硬性および貫通特性をさらに微調整するために、成形材料を例えば加熱、照射または冷却によって処理することができることを当業者は理解する。
【0032】
選択した樹脂類の種類または混合物には関係なく、キャップ(20A−C)は好ましくは、射出成形の当業者には周知の方法、例えばキャップ(20A−C)の形を成形するために用いるキャップ−キャビティーへの均質樹脂流を促進するためのマルチ−ゲート方式等を用いて単品として射出成形される。均質樹脂流は、キャップ(20A−C)の貫通性表面には特に重要な、濃度の一貫性を実現するために望ましい。一体型に成形されたキャップ(20A−C)を製造した後、環状頂部壁(22)の内部円周(25)(図2を参照)か、または環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)の円周かどちらかによって規定される開口内に芯(90)を入れることができる(図6を参照)。上記芯(90)は好ましくはキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の上方に置かれ、収集デバイス(10)の外へのエーロゾルの広がりをさらに含んだり制限したりするのに役立つ。その上、図5および6に示すように、シール(80)を環状頂部壁(22)(キャップ(20A−B))の上面(24)かまたは環状頂部表面(48)(キャップ(20C))に備え付けて、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)上の開口を覆う防御カバーとする(存在すれば、芯(90)もキャップ(20A−C)に保持される)。
【0033】
円錐形内壁(33)の外側円周(38)は環状頂部壁(22)の内側円周(25)と単一面(示されず)で一致するが(環状内側フランジ(49)が存在しない場合等)、図5のキャップ(20A)は好ましい実施形態である。なぜならばこのキャップは、円錐形内壁(33)の外側円周(38)から環状頂部壁(22)の内側円周(25)にほぼ垂直に延びる環状内側フランジ(49)を含み、芯(90)を受け入れるために必要な開口内に付加的垂直スペースを与えるからである。しかし芯(90)がキャップ(20A−C)に含まれる場合は図6に示すような環状外側フランジ(40A)の延長が特に好ましい。この配置において、環状外側フランジ(40A)は、環状頂部壁(22A)の上面(24A)の上に位置する上部(46)を有し、上記環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)が環状頂部壁(22A)の上面(24A)で終わるように構成される。この好ましい配置によると、環状頂部壁(22A)の内側円周(25)は環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)によって規定される円周より小さい。このようにして、環状頂部壁(22A)の上面(24A)は円錐形内壁(33)の上に芯(90)を配置し、保持するための棚として機能することができる。
【0034】
芯(90)を含むことは、エーロゾルが容器(50)から環境へ移動するのを遅らせるだけでなく、流体移動デバイス(70)を容器(50)およびキャップ(20A−C)から抜き取る際に上記流体移動デバイス(70)の外側に対するふき取り作用を行うためにも(芯が)取り付けられる。好ましいやり方では、芯(90)は流体移動デバイス(70)の外側から毛細管作用によって流体を引き離すように働く。ここに用いられる用語「芯」は、流体移動デバイス(70)の外側に存在する流体を除去するふき取り機能、および/または流体移動デバイス(70)から外部へ除去された流体を保持する吸収機能を行う材料を意味する。本発明のキャップ(20A−C)と共に用いられる芯(90)材料の例には、非制限的に、パイル織物、スポンジ、フォーム(スキン層を含むか含まない)、フェルト、スライバーニット、ゴアテックス(登録商標)、スパンデックス(登録商標)、およびその他の天然および合成材料がある。これらの材料を機械的または化学的に処理して、芯(90)の所望機能をさらに改善することもできる。例えば、ナッピングを用いて表面積を、したがって芯(90)の流体保持能力を高めることができる。芯(90)の材料を界面活性剤等の湿潤剤で前処理して流体移動デバイス(70)の外側表面に存在する流体の表面張力を下げることもできる。アクリル性結合剤を使用して、例えば前記湿潤剤を芯(90)材料に実際に結合させてもよい。
【0035】
大部分の標準空気置換ピペットチップの場合のように、流体移動デバイス(70)が均一直径でない場合には、流体移動デバイス(70)を収集デバイス(10)から抜き去る際に、芯(90)の材料が上記流体移動デバイス(70)のより小さい直径部分の周囲で変形し得るのが好ましい。従って例えばパイル織物、スポンジ、フォームおよびスパンデックス等の材料は、圧縮力にさらされた後、速やかに反発する能力を有するため、好ましい。パイル織物は特に好ましい芯(90)材料である。その例にはローラー・ファブリックス(ミルウォーキー、ウィスコンシン)からPartNo.ASW112として市販される、アクリル構造の3/8インチ(9.53mm)パイル織物等がある。その他の容認されるパイル織物は1/4インチ(6.35mm)〜5/16インチ(7.95mm)範囲のアクリルおよびポリエステル材料から作られ、マウント・ベルモン・ミルズ社(ルフランス、サウスカロライナ)からPartNo.0446、0439および0433として市販される。芯(90)材料は容器(50)内に含まれる流体サンプルに対して不活性であるのが好ましい。
【0036】
芯(90)材料は流体を流体移動デバイス(70)の外側から引き離し、および/またはエーロゾルおよび/または泡の形の流体を捕獲するように設計されているので、芯(90)の材料および寸法は流体の過剰飽和を避けるように選択されねばならない。もしも芯(90)が過剰に飽和すると、流体は流体移動デバイス(70)の外部から十分にふき取られないかも知れず、そして/または流体移動デバイス(70)の挿入時および/または収集デバイス(10)内部からの空気の置換時に泡が生成するかも知れない。こうして、芯(90)が関与する推定流体移動回数が与えられるならば、所与のキャップ(20A−C)構造、流体移動デバイス(70)および流体物質を用いた場合に十分なふき取り作用、およびエーロゾルおよび/または泡の閉じ込めを実現するように芯(90)の寸法および吸着特性を合わせることが重要である。そのため、所与の適用において、芯(90)に含まれる推定される流体量が増加するにつれて、芯(90)材料の量および/またはその吸収性を、使用中の芯(90)が過度に飽和しないように調節する必要がある。
【0037】
収集デバイス(10)からの空気流を相対的に阻害しないように芯(90)を構成してキャップ(20A−C)中に配置することも重要である。この特性は芯(90)が乾燥している際に重要であるだけでなく、それが所与の適用で期待される最大量の流体を吸収した際にも重要である。しかし、芯(90)のこの特性は、芯(90)が逃げるエーロゾルおよび/または泡を捕獲するのに十分な密度を有するという要求と均衡を図る必要があることを理解しなければならない。そこで、当業者はエーロゾルおよび泡を捕捉できるマトリックスを有し、同時に、貫通性キャップ(20A−C)の下地材料を貫通すると直ちに収集デバイス(10)から空気を排出させ得るような芯(90)材料を選択または設計しなければならない。
【0038】
図6に示されるように、芯(90)はキャップ(20C)の環状頂部表面(48)の水平面の下(またはキャップ(20A−B)の環状頂部壁(22)の上面(24))および環状頂部壁(22A)の上にフィットするような寸法であることが好ましい。その際、芯はシール(80)と環状頂部壁(22A)によって制限される。芯(90)がキャップ(20A−B)を突き通して行く、または上記キャップから除去されつつある流体移動デバイス(70)との摩擦接触によってこの位置からの移動が実質的にないことをより確実にするために、芯(90)の上または下に、キャップ(20A−C)の内面(21)、(123)から内方に伸びる少なくとも一つの環状棚(示されず)を備えることができる。このような環状棚は、キャップ(20A−C)がシール(80)を含まない場合は特に有益である。その上、芯(90)の可動性をさらに阻止する目的で、芯を、示唆される環状棚、シール(80)および環状頂部壁(22A)の少なくとも一つに接着剤で、またはその他の方法で付着することができる。あるいは芯(90)を環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)に、接着剤またはその他の方法で付着することができる。
【0039】
好ましい実施形態において、環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)によって規定される開口部は、例えば感圧接着剤を使用して、金属箔(80)(または箔積層体)でシールされる。この接着剤は環状頂部表面(48)(キャップ20C)または環状頂部壁(22)の上面(24)(キャップ20A−B)に塗布される。芯(90)の材料および形状は、流体移動デバイス(70)をキャップ(20A−C)および容器(50)に挿入する際、またはそこから引き抜く際に、上記流体移動デバイス(70)に対する摩擦的妨害が最小になるように設計されねばならない。この際、例えばスポンジまたはフォームの場合、芯(90)の中心に穿孔をあけるか、または一つ以上のスリットを作ることが必要になる。それらは摩擦的妨害を最小にするが同時に流体移動デバイス(70)に若干の摩擦的妨害は与えるような寸法を有し、それによってエーロゾルの移動が制限され、ふき取り作用が実現する。もしもパイル織物を芯(90)として使用するならば、上記パイル織物は、好ましくは、個々の繊維の自由端は互いに内側に向き、パイル織物裏地からは離れる方向に配置される。この裏地は、環状内側フランジ(49)の内面(21)か、または環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)内に、概ね円形になるようにキャップ(20A−C)に取り付けられる。容器(50)およびキャップ(20A−C)内に、またはそれらから移動する流体移動デバイス(70)に対して上記パイル織物が過剰の摩擦的妨害を生じ、それによって流体移動デバイスの移動を実質的に阻害する程、上記パイル織物を緻密に巻かないように注意すべきである。もしも芯(90)を貫通するために必要な力が、それを含むキャップ(20A−C)の貫通に必要な力より大きい場合、流体移動デバイス(70)の移動は「実質的に妨害される」ようにみえる。芯(90)の通過に必要な力は約4.0ポンド(1.81kg)未満が好ましく、約2.0ポンド(0.91kg)未満がより好ましく、約1.0ポンド(0.45kg)未満がさらにより好ましく、約0.5ポンド(0.23kg)未満が最も好ましい。
【0040】
シール(80)が含まれる場合、それはプラスチックフィルム(例えば二軸ポリプロピレン)または金属箔材料(例えばアルミニウム箔)からなることが好ましい。それらは接着剤を含む、当業者に公知の手段によって、環状頂部表面(48)(キャップ20C)に、または環状頂部壁(22)(20A−B)の上面(24)に付着可能である。金属シール(80)としては、プラスチックライナーがさらに挙げられる。それは例えば金属材料の一面または両面に適用されたHDPEの薄板等であり、それはヒートシーラーを用いる際に環状頂部壁(22)へのシール(80)の付着を促進する。ヒートシーリングは周知の方法であり、熱の発生およびシールされる表面(この場合は環状頂部表面(48)(キャップ20C)または環状頂部壁(22)(キャップ20A−B)の上面(24)である)への加圧を含む。熱を用いて環状頂部表面(48)または環状頂部壁(22)(そしてもしも樹脂薄板が含まれるなら、シール(80)も)の材料を軟かくして、上記シール(80)を永久的に受け入れる。そしてキャップ(20A−C)に圧をかけ、その間にシール(80)は環状頂部表面(48)または環状頂部壁(22)の上面(24)に固定される。高周波または高振幅音波のいずれかを用いる任意の公知の超音波溶接法を用いてシール(80)をキャップ(20A−C)に固着させてもよい。
【0041】
収集デバイス(10)からのエーロゾル放出が特に懸念される場合、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の通過時に収集デバイス(10)から放出されるエーロゾル量を、シール(80)を用いてさらに減らすことができる。これらの環境下では、シール(80)のために選択される材料は、ピペットチップまたは液輸送針等の流体移動デバイス(70)がそれを通過する際に生ずる裂けが最小になるような材料でなければならない。しかしキャップ(20A−C)が貫通された際に収集デバイス(10)内に真空が発生するのを回避するために、多少の裂けは望ましい。本発明のキャップ(20A−C)に対して用いることができるピペットの一例は、Eppendorf−Netherler−HinzGmbH(Hamburg、Germany)から提供されるGenesisシリーズ1000μl Tecan−Tip(フィルターつき)である。シール(80)は、収集デバイス(10)から放出されるエーロゾルの量を制限することに加えて、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)および/または挿入された芯(90)を不都合な環境汚染物質から防御するためにも役立つ。
【0042】
図5に示すように、本発明のキャップ(20A−C)は円錐形内壁(33)を備えるように設計され、その円錐形内壁は環状頂部壁(22)の内側円周(25)によって規定される開口部(図2参照)から実質的に上記環状頂部壁(22)の対称軸(30)に位置する尖端(34)まで内方にテーパ状である。上記円錐形内壁(33)の形は流体移動デバイス(70)を上記円錐形内壁(33)の尖端(34)に導くために役立ち、その尖端で上記流体移動デバイス(70)が図7に示すように、キャップ(20A−C)を貫通する。そのため上記円錐形内壁(33)の角度は、流体移動デバイス(70)のチップ(71)による上記尖端(34)の貫通が実質的に妨害されないように選択されねばならない。従って、円錐形内壁(33)の対称軸(30)に対する角度は、約25〜約65゜であることが好ましく、約35〜約55゜であることがより好ましく、約45゜±5゜であることが最も好ましい。理想的には円錐形内壁(33)は対称軸(30)に対して単一の角度を有する。
【0043】
図7に示されるように、本発明のキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の形は、標本担持綿棒(130)等の標本回収デバイスを、それが流体移動デバイスの収集デバイス(10)への、または収集デバイスからの移動を実質的には妨害しないように、容器(50)の側壁(58)の内面(59)に沿って位置づけるように役立つこともできることを発見した。このような妨害とは、流体移動デバイスが収集デバイス(10)に入ったり、そこから出たりする際に綿棒(130)と上記流体移動デバイスとの間に何らかの物理的接触を起こすことであり得るか、または単に、上記流体移動デバイスが収集デバイス(10)に入り、そこから流体サンプルの正確な量を引き出すために上記綿棒(130)の位置が邪魔にならないことを意味し得る。綿棒(130)が収集デバイス(50)内の流体移動デバイスの通路から確実に十分離れているためには、収集デバイス(10)を完全に組み立てたときに、綿棒(130)が円錐形内壁(33)の外側表面(37)の下に、容器の側壁(58)の内面(59)に沿ってぴったりとフィットするような大きさにしなければならない。このようにきちっとフィットさせるための一方法は、中間部スコアライン(示されず)を含むように製造された綿棒(130)を使用することである。これによって綿棒(130)の上部を使用後、手で折り取り、捨て、標本を含む綿棒(130)下部のみを収集デバイス(10)に残すことができる。綿棒(130)に対するスコアラインの正確な位置は、キャップ(20A−C)を容器(50)に摩擦的にフィットさせた際の、収集デバイス(10)の内部の寸法に基づいて決めなければならない。折れる綿棒は米国特許第5,623,942号に詳細に記載されており、この内容は参考として本明細書に援用される。
【0044】
本発明のもう一つの実施形態は図9に示され、図2−5に示されるキャップ(20A−B)上にフィットするように取り付けられる(一般にはシール(80)はない)、好ましくは射出成形プラスチックからなるオーバーキャップ(100)を含む。キャップ(20A−B)の環状外側フランジ(40)と上記オーバーキャップ(100)の環状フランジ(102)の内面(101)の一部との間が摩擦によりフィットすることが好ましい。キャップ(20A−B)とオーバーキャップ(100)との間のこの摩擦によるフィットを実現するために、オーバーキャップ(100)は、上記オーバーキャップ(100)の内面(101)から内方に延びる一本以上のリブ(103)を備え、かつ上記オーバーキャップ(100)がキャップ(20A−B)上に置かれた場合に環状外側フランジ(40)と物理的に接触するよう形成される。この実施形態のオーバーキャップ(100)は、オーバーキャップ(100)の環状フランジ(102)の内面(101)内、そしてオーバーキャップ(100)の環状頂部壁(104)の下面(105)の下に、例えば、摩擦的フィットまたは接着剤等によって固定された芯(90)を含む。芯(90)は上で議論したいずれかの理由で用いることができ、上に述べたエーロゾル遅延またはふき取り特性を有するいかなる材料で作ってもよい。シール(80)も含むことができ、例えば流体移動デバイス(70)が円錐形内壁(33)を貫通する際に収集デバイス(10)からのエーロゾル流に対する付加的障壁として作用する。使用する場合、シール(80)を、上記の加熱および超音波法を含む従来の方法を用いてオーバーキャップ(100)の環状頂部壁(104)に適用することが好ましい。キャップ(20A−B)の円錐形内壁(33)に流体移動デバイス(70)を貫通させるために、オーバーキャップ(100)の環状頂部壁(104)は流体移動デバイス(70)を受け入れるような寸法の開口部(107)を備える。この場合開口部(107)の大きさは環状頂部壁(104)が流体移動デバイス(70)の収集デバイス(10)の容器(50)内への、および容器からの移動を妨害しないように十分大きい。
【0045】
好ましいキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)には、尖端(34)から、または尖端近くの1個所以上の出発点(31)から(図4参照)半径方向に外側に、円錐形内壁(33)の外側円周(38)に向かって延びる複数の線条(35)がある。線条(35)が尖端「近くの」出発点(31)から延びる場合、上記出発点(31)は円錐形内壁(33)において尖端(34)から少なくとも約0.05インチ(1.27mm)の距離内、好ましくは尖端(34)から少なくとも約0.025インチ(0.635mm)の距離内に位置する。円錐形内壁(33)の線条(35)の出発点(31)全てが尖端(34)からわずかに離れた位置にある場合は、以下に述べるように、射出成形プロセス中に尖端(34)の樹脂厚さがより均一になり、線条(35)は貫通の際によりなめらかに「開く」傾向があることが判明した。
【0046】
図1−6、8および9に示されるように、線条(35)は、流体移動デバイス(70)による円錐形内壁(33)の貫通を促進することが判明した。キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の線条(35)の例としては、チャネル、溝、エッチングまたは一連の穿孔が挙げられ、これらは公知の射出成形技術を用いてコアピン上に形成でき、または周知の技術を用いてキャップ(20A−C)形成後に物理的にエッチングするかまたは切断ツールで突き通すことによって形成することができる。線条(35)の数は、キャップ(20A−C)の貫通に必要な力の減少によって測定して、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の貫通性を改善するために十分な数であればよい。とはいえ、キャップ(20A−C)の線条の数は約3〜約12が好ましく、約6〜約10がより好ましく、約8が最も好ましい。図2に示される一実施形態において、全ての線条(35)は尖端(34)から大体等しい距離だけ延び、想像線(28)が周辺に沿って引き上げられて線条(35)の終点(27)と一緒になるとき、円錐形内壁(33)に概ねクサビ形の部分が形成される。図4には十分延びた線条(35)について同様な形状が示される。図2および図4に図示されるこれらのクサビ形部分(26)は概略寸法および形が同じであることが望ましい。線条(35)は円錐形内壁(33)の内面(36)または円錐形内壁(33)の外面(37)、または両面(36)、(37)のいずれの上に形成されてもよい。
【0047】
線条(35)が本発明のキャップ(20A−C)に備えられる場合、流体移動デバイス(70)が複数の線条(35)を有するキャップ(20A−C)を貫通するために要する力は、同じ材料、形および寸法で、線条(35)を含まないキャップの貫通に要する力より小さくなければならない。複数の線条(35)を有するキャップ(20A−C)の貫通に必要な力は、同じ材料、形および寸法で、線条(35)をもたないキャップの貫通に必要な力の多くとも約95%であることが好ましい。キャップ(20A−C)を「貫通する」ために、流体移動デバイス(70)は上記円錐形内壁(33)の好ましくは尖端(34)、またはその近くを突き通しさえすればよい。その力の値は、好ましくは多くとも約85%以上、さらにより好ましくは多くとも約75%、最も好ましくは多くとも約65%である。流体移動デバイス(70)が、図7に示すように、斜めに切断したチップを有する場合は、この数値は理想的には多くとも約50%である。線条のあるなしに関係なく、本発明の全てのキャップで、プラスチック製流体移動デバイス(70)(すなわちピペットチップ)がキャップを貫通するために必要な好ましい力は約8.0ポンド(3.63kg)未満、より好ましくは約6.0ポンド(2.72kg)未満、そして最も好ましくは約4.0ポンド(1.80kg)未満である。キャップの貫通に必要な力は、以下の実施例に記載される装置、材料およびプロトコルを用いて決定され得る。
【0048】
本発明のキャップ(20A−C)と共に用いる特に好ましい流体移動デバイスは図10−19に示されるピペットチップ(70A−C)である。このピペットチップ(70A−C)は一つ以上のの下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)を備える。それらは、必ずというわけではないが、好ましくは、概して垂直の方向で(以下のピペットチップ(70A−E)の局面を説明するために用いる場合、「垂直」とは、例えば図10に示すように、ピペットチップ(70A−E)の遠位端から近位端へ延びる対称軸(72)の方向を意味する)、ピペットチップ(70A−B)の遠位端で外面(153)から外側へ、またはピペットチップ(70C)の遠位端では内面(157)から内側へ延びる。(本明細書の任意の実施形態に用いられる用語「リブ構造」とは、一連の短い、または間欠的リブ構造(示されず)も考慮され、これは、例えば大きさおよび形が同じかまたは異なり、間隔が等しいかまたは等しくない一連の突起の形でもよい。)これらの下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)を付け加えると、ピペットチップ(70A−C)は強化され、その結果、それは曲がることなくキャップ(20A−C)を容易に貫通し得ることが判明した。ピペットチップ(70A−C)が曲がると、キャップ(20A−C)の貫通が妨げられ、ピペットチップ(70A−C)のオリフィス(161)が詰まり、および/またはその後ピペットチップ(70A−C)から分配される流体流を誤った方向に導き得る。
【0049】
下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)をピペットチップ(70A−B)の外面(153)の実質的に垂直な線に沿って(あるいはピペットチップ(70A−C)の硬度は高めるが、表面材料を貫通し、液体を引き出しまたは分配するピペットチップの機能を妨害しない他のあらゆる方向に)配置し、または一体化することができる一方、ピペットチップ(70A)の遠位端の外面(153)に少なくとも1個の下方リブ構造(151A)を配置し、下方リブ構造(151A)の端(162A)が斜めに切断したチップ(71A)のポイント(155A)と共に終わるようにすることが一般的には好ましい。(遠位端にあるオリフィス(161)周囲に平らなまたは鈍い(blunt)末端面を有するピペットチップ(示さず)でも下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)が使用できることを記載しておかねばならない。)もしもピペットチップ(70A−B)が一個より多いリブ構造を備える場合、下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)はピペットチップ(70A−B)の遠位端で外面(153)上に等しい距離だけ離して周囲に配置することが好ましいが、下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)のこのような正確な配置は必要事項ではない。
【0050】
ピペットチップ(70A−C)は、任意の周知の射出成形法を用いる製造中に、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)を含むように変形させた従来の単一部品のプラスチック製ピペットチップであることが理想的である。あるいは、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)をピペットチップ(70A−C)の外面または内面(153、137)に、例えば不活性接着剤を用いて適用してもよい。本明細書中に記載されるあらゆる改変の前に、容認できるピペットチップの例はMolecularBioProducts(San Diego、CA)からカタログ番号904−011として提供されるART(登録商標)1000μlピペットチップである。この特定のピペットチップは、キャリーオ−バー汚染が懸念されるときに特に好適に適用される。なぜならばそれはピペットチップ(70A−C)の内部チャンバ(154)(図18参照)内のある位置にフィルター(示されず)を含み、そのフィルターはピペッティング中に発生する汚染の可能性のある液体またはエーロゾルの通過を阻止または妨害するように機能するからである。下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の好適数は3個であるが、選択する正確な数は、少なくとも一部分は、ピペットチップ(70A−C)の製造に用いる樹脂または組み合わせ樹脂類のタイプによって、並びに貫通性キャップ(20A−C)またはその他の表面材料を突き通す(そのようなことがピペットチップ(70A−C)の意図した使用である場合)ために必要な予測される力によって決められるべきである。ピペットチップ(70A−C)を製造するためにより柔らかい材料が選択される場合、または表面を突き通すためにより大きい力が必要な場合、ピペットチップ(70A−C)に対する下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の数を増やすことが望ましい。
【0051】
ピペットチップ(70A−C)の硬さを増強するもう一つの手段は、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の厚さまたは幅を調節することである。好ましい実施形態において、斜めに切断したチップ(71A)でともに終わる下方リブ構造(151A)はピペットチップ(70A)に配置されたその他の下方リブ構造(152A)のどれよりも厚く、より広い幅を有する。図12および図13に示されるように、これらの好ましい下方リブ構造(151A)のより大きいものは、横断面が半径約0.020インチ(0.508mm)の半円形を実質的に形成し、一方、この好ましい実施形態におけるより小さい好ましい下方リブ構造(152A)は(それも実質的には横断面が半円形である)各々約0.012インチ(0.305mm)の半径を有する。当業者は、選択した樹脂の特性および一種類以上のあらかじめ選択した表面材料を貫通するために要する予想される力を考慮して、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の厚さおよび深さを容易に調節できるのは当然である。そして好ましい下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の形は横断面が実質的には中実の半円形であるが、本発明のリブ構造(151A−C)、(152A−C)は中実または中空のコアいずれかを有し得、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の形がピペットチップ(70A−C)の貫通またはその流体流特性を著しくは妨害しないという条件で、幾何学的および/または非幾何学的形(横断面)のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含むように形造られる。下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)に利用され得るおおまかな幾何学的形の例としては、三角形、四角形、矩形、半円形、およびほぼ完全な円が挙げられるが、これらに制限されない。
【0052】
下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)の好ましい位置はピペットチップ(70A−B)の遠位端の外面(153)上であるとはいえ、ピペットチップ(70C)の近位端の内面(157)に下方リブ構造を置くこともある種の利益をもたらす。例えば、下方リブ構造(151C)、(152C)をピペットチップ(70C)の内面(157)に置くと、鋳型の製造を容易に、且つより安価にすることによって、射出成形法を簡単にすることができる。その上、内面(157)に下方リブ構造(151C)、(152C)を形成すると、ピペットチップ(70C)の底面(示されず)における滴形成または滴の垂れる程度は減少し得、しかも流体と接触するピペットチップ(70C)の表面積が減少することによってピペットチップ(70C)の外面(153)への流体の付着が減少し得る。この特定の構造では、図10および図11に示される下方リブ構造(151A)、(152A)は図18に示すように円錐部分(166)の内側に鏡像様式で配置することができ、これらの内側に置かれる下方リブ構造(151C)、(152C)では厚さを注意深く選択し、ピペットチップ(70C)の遠位端にある開口部(161)の大きさを調節して、ピペットチップ(70C)内への、またはピペットチップ(70C)からの流体移動が実質的に妨害されないようにする。ピペットチップ(70C)内への、またはそこから出る流体の流れを過度に阻害するのを避けるように設計された可能な配列を図19に横断面図として示す。これらの内部、下方リブ構造(151C)(152C)の適切な寸法およびピペットチップ(70C)の開口部(161)の大きさの決定は、慣用的実験以外のものを必要とせず、特定の用途に依存する。
【0053】
図12に示される下方リブ構造(151A)、(152A)の好ましい遠位末端(162A)、(163A)は、ピペットチップ(70A)の遠位端の底面(158A)と同一平面であり、上記底面の一部を輪郭づけている。従って、ピペットチップ(70A)が図10−12に図示したように斜角の先端(71A)を有する場合、下方リブ構造(151A)、(152A)の各々の遠位末端(162A)、(163A)は、図10に示す対称軸(72)に対して斜角の先端(71A)と同じ角度を共有する。好ましいピペットチップ(70A)において、この角度は約30゜ないし約60゜、より好ましくは約35゜ないし約55゜、最も好ましくは45゜±5゜である。しかし、遠位末端(162A)、(163A)がピペットチップ(70A)の底面(158A)と同一平面であり、上記底面を一部分輪郭づけることは、本発明の必要事項ではない。例えば、図14および図16は別の形態を示している。そこではリブ構造(151B)の遠位末端(162B)は、斜角の先端(156B)の一点(155B)を形成せずに、そこから離れていて細くなり、ピペットチップ(70B)の点(155B)をよりクサビ形にする。図14−図16が示すように、下方リブ構造(151B)、(152B)はまた、上記遠位末端(162B)、(163B)の面がピペットチップ(70B)の遠位端の底面(158B)と同一平面ではなく、底面(158B)の上方に垂直な点に形成されるように配置される。(より小さい方の下方リブ構造(152B)は図14−図16にこの仕方で実際に描かれているが、大きい方の下方リブ構造(151B)の遠位端(162B)も同様に底面(158B)の上方に置くことができる。)ピペットチップ(70B)の遠位端における表面張力による液滴形成を最小にすることが所望な場合、図16に示すようなやり方で底面(158B)の表面積を減らすことが好都合である。
【0054】
図14−図16に示す下方リブ構造(152B)の遠位末端(163B)は鈍い先端であるが、別の設計も同様に容認される。一例として、より小さい方の下方リブ構造(152B)は図14に示される大きい方の下方リブ構造(151B)と同様なテーパ状の形をとることもできる。より小さい方の下方リブ構造(152B)のテーパ状の形は図15および図16に示す底面(158B)の外側円周(165B)で終わっても、底面(158B)の上方のある点で終わってもよい。各下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)のためにどんな形または末端の位置を選択しようと、大部分の場合に第一に考慮すべきことは、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の大きさ、形、数および位置がピペットチップ(70A−C)が表面材料を貫通するために必要な力、およびピペットチップ(70A−C)の強度に与える影響である。
【0055】
好ましい下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)が遠位末端(162A−B)、(163A−B)(これは概ねピペットチップ(70A−B)の底面(158A−B)に、またはその近くに位置する)から延びる距離は、同じピペットチップ(70A−B)にある下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)の間で変化してもよく、いかなる長さでもよい。とはいえ、好ましい長さは少なくとも約0.25インチ(6.35mm)、少なくとも約0.5インチ(12.7mm)、および少なくとも約1.0インチ(25.4mm)である。遠位末端(162A−B)、(163A−B)が底面(158A)、(158B)の「近くに」位置する場合、ピペットチップ(70A−B)の遠位端の外側円周(165A)、(165B)から各遠位末端(162A−B)、(163A−B)までの距離は、約0.5インチ(12.7mm)以下、より好ましくは約0.25インチ(6.35mm)以下である(「近く」のこの定義は、円錐部分(166)の内面(157)に位置する下方リブ構造(151C)、(152C)の遠位末端(図示されず)の記述および後で述べる連続リブ構造(176)の記述にも等しくあてはまる)。図10、図11、図14および図15に説明される好ましい実施形態において、ピペットチップ(70A−B)はピペットチップ(70A−B)の遠位端に円錐部分(166)を形成し、下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)はピペットチップ(70A−B)の底面(158A−B)から、またはその近くから円錐部分(166)の近位端の点まで延び、そこで円錐部分(166)は管部分(167)とともに集まる。この実施形態において、各下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)の近位末端(168)、(169)は、円錐部分(166)と管部分(167)とを分離する円周ライン(170)に合致した点に向かってテーパ状になる。下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)は底面(158A−B)の点またはその近くの点から管部分(167)のいかなる点にまでも、ピペットチップ(70A−B)の近位端の頂上面(173)の点またはその近くの点にまで(フランジ(172)が存在しない場合)、または図20に示すように、ピペットチップ(70D)の近位端のフランジ(172)の底面(171)にまでさえ延びることができる。
【0056】
下方リブ構造(151A)、(152A)を管部分(167)の一点または複数の点に延ばすことによって(例えば図20を参照のこと)、あるいは別個に、または専ら、上方リブ構造(174)を管部分(167)に配置することによって(「別個」に配置する例としては図14−図18を、「専ら」配置する例としては図21を参照)、ピペットチップ(70B−E)を用いて流体含有容器(50)と連結する表面材料を貫通する際に固有の利益が期待される。これらの利益のうちで最も重要なのは、ピペットチップ(70B−E)が収集デバイス(10)の容器(50)に入ることによって置換される空気量の少なくとも一部分を、貫通された表面材料の穿孔から排出させる空気ギャップまたは通路が生成することである。表面貫通時に、上方リブ構造(174)または連続リブ構造(176)と貫通された表面材料との間の接触点に接する領域にこれらの通路が生成する。貫通中にこれらの通路が生成することによって、ピペットチップ(70B−E)が収集デバイス(10)に挿入されたり、そこから引き抜かれたりする際に、上方リブ構造(174)および連続リブ構造(176)は、貫通された表面材料の穿孔を通過する空気の高圧移動を阻止する働きをする。
【0057】
流体移動針のような、比較的小さい直径を有する流体移動デバイスでは、収集デバイスに入る流体移動デバイスによる空気の置換はあまり心配ない。それにもかかわらず、収集デバイスの内部空間と周囲環境との間の圧力差はなお懸念され得る。収集デバイス内部の空気圧が周囲空気圧より著しく大きい場合、上記収集デバイス内の流体物質の少なくとも若干は、流体移動デバイスが収集デバイスから引き抜かれる際に貫通表面材料に作られた穿孔から逃げる。これは貫通された表面材料が通過する流体移動デバイスの周囲にシールを形成し得、そのシールは流体移動デバイスが上記収集デバイスから完全に引き抜かれる際に大きく破壊され、その時二種類の空気圧が急速に平衡状態になろうとして、エーロゾルまたは気泡の形態の流体物質が収集デバイスから逃げ得るからである。その上、貫通された表面材料は流体移動デバイス周囲にシールを形成するから、収集デバイス内に部分的真空が形成され得、それは流体移動デバイスから流体物質を引き込み得、それによってピペッティングの正確さに影響を与え、流体移動デバイスが収集デバイスから引き抜かれる際に多分流体物質を滴下させる。これらの潜在的問題を最小にし、または排除するために、流体移動デバイスが表面材料を通過する際に収集デバイスから空気を吐き出させる通路を造り、流体移動デバイスが引き抜かれる間この通路を維持することが重要である。これを達成するには、流体移動デバイスが収集デバイスに入り、そこから流体物質を取り出す際に、流体移動デバイスが貫通する表面材料と接触することが予想される流体移動デバイスの少なくとも若干部分に、上または連続リブ構造(174)、(176)を付加する。この方法で小さい空気ギャップが貫通表面材料と流体移動デバイスの一部との間に形成され、それによって流体移動デバイスが収集デバイスから完全に引き抜かれる前の内部および外部空気圧の平衡が容易になる。
【0058】
図14−16に示されるように、上方リブ構造(174)が下方リブ構造(151B)、(152B)とは区別される場合、上方リブ構造(174)は概ね垂直方向に配置される下方リブ構造(151B)、(152B)の同数と縦に一列に並ぶのが好ましい。上方リブ構造(174)は任意の周知の射出成形法を用いて管部分(167)と一体に成形するのが好ましいが、上方リブ構造(174)は例えば不活性接着剤を用いて管部分(167)に接着してもよい。1本の上方リブ構造(174)でも有益な空気ギャップを作ることができるが、上方リブ構造(174)の好ましい数は少なくとも3本である。しかし管部分(167)に配置され得る上方リブ構造(174)の数には制限はない。しかし上方リブ構造(174)の少なくとも一つの目的が、収集デバイス(10)の内部チャンバ(175)を排気させることである場合は、ピペッティング中に空気ギャップが形成され、それによって置換空気の十分な排出および/または収集デバイス(10)の内側および外側の空気圧の平衡が容易になるように、上方リブ構造(174)の大きさ、形、数および方向を選択すべきである。
【0059】
下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の場合と同様、横断面で見た上方リブ構造(174)は、上記上方リブ構造(174)の形(一種類または数種類)が、それらを組み込んだピペットチップ(70B−E)の貫通特性を著しく妨害しない限り、幾何学的および/または非幾何学的形のいずれでもよいし、それらの組み合わせでもよい。下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)と組み合わせて用いる際の上方リブ構造(174)の形は、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の形と同じでも異なっていてもよい。可能な形の例としては半円形、ほぼ完全な円形、三角形、四角形および矩形が挙げられる。各上方リブ構造(174)の横断面の形が幅約0.02インチ(0.508mm)、高さ(管部分(167)の外面(153)から測定して)約0.02インチ(0.508mm)の寸法の正方形であるのが好ましい。上方リブ構造(174)がピペットチップ(70B−E)の貫通特性を著しくは妨害せずに所望空気ギャップを作り出すことができるならば、上方リブ構造(174)の正確な寸法は重要でない。
【0060】
上記のように、ピペットチップ(70D)の下方および上方リブ構造は図20に示すように連続リブ構造(176)を形成し得、それによって円錐部分および管部分(166)、(167)の間が壊れないリブ構造(176)を作り出すこともできる。とはいえ、好ましいピペットチップ(70B)は異なる下方および上方リブ構造(151B)、(152B)、(174)を含む。図14−16に示されるこの好ましい実施形態において、下方リブ構造(151B)、(152B)はそれらの近位端でテーパ状となり、末端(168)、(169)を形成し、それらは円錐部分(166)と管部分(167)とを線引きする円周ライン(170)で終わる。この好ましい実施形態における上方リブ構造(174)は、円周ライン(170)で終わる遠位端に鈍い角度の末端(177)を有する。とはいえ、上方リブ構造(174)も同様に下方リブ構造(151B)、(152B)に対して鏡像様式でテーパ状となり、円周ライン(170)で終わることもできる。
【0061】
キャップ(20A−C)の貫通をさらに容易にするために、本発明の流体移動デバイス(70)、(70A−E)は、図7、10、12、14、16、18、20および21に示すように斜角の先端(71)、(71A−D)を含むのが好ましい。斜角の先端(71)(71A−D)を用いるとき、流体移動デバイス(70)(70A−E)(例えば樹脂製流体輸送針またはピペット)の遠位端は、流体移動デバイス(70)、(70A−E)の対称軸72に対して約30゜ないし約60゜の角度を有するのが好ましい。図7に示されるように、斜角の先端(71)、(71A−E)の角度が流体移動デバイス(70)、(70A−E)の対称軸(72)に対して約45゜±5゜であるのが最も好ましい。しかし流体移動デバイスの先端がキャップを貫通する際に上記流体移動デバイスの一体性が損なわれず、予測的かつ確実に流体を分配または引き出す上記流体移動デバイスの能力に影響がないという条件付きで、キャップの貫通性を改善するいかなる角度の斜角の先端も望ましい。
【0062】
有用であるためには、本発明の流体移動デバイスは、それらの近位端が自動的または手動操作の流体移動装置と連結したプローブによって確実に係合することができるように構成されねばならない。流体移動装置は、ピペットチップ等の流体移動デバイスへのまたは流体移動デバイスからの流体の移動を容易にするデバイスである。自動的流体移動装置の例は、テカン社(TECANAG)(Hombrechtikan、スイス)から販売されるゲネシスシリーズロボチックサンプルプロセッサー(GENESIS Series Robotic SampleProcessor)である。手動操作の流体移動装置の例はレイニンインスツルメントカンパニー(Rainin Instrument Company)(エメリーヴィル(Emeryville)、CA)から提供されるピペット−プラス(Pipet−Plus)(登録商標)ラッチ−モード(Latch−Mode)TMピペット(Pipette)である。
【0063】
図1−9の種々の実施形態に描かれている円錐形内壁(33)の説明に戻ると、選択される線条(35)の数およびこれらの線条(35)が尖端(34)にある、またはその近くにある出発点(31)から円錐形内壁(33)の外側円周(38)へと延びる距離は、円錐形内壁(33)を流体移動デバイス(70)が通過し、上記流体移動デバイス(70)がキャップ(20A−C)から除去された後に、上記円錐形内壁(33)の概ねクサビ形の部分(26)の少なくとも一部分が「開いた」形に維持されるのに十分でなければならないことが指摘さるべきである。図8に説明されるように、流体移動デバイス(70)がキャップ(20A−C)から除去された後、クサビ形部分(26)の尖端(29)の少なくとも一部が互いに物理的に接触していない場合は円錐形内壁(33)のクサビ形部分(26)は「開いた」形になる。(キャップ(20A−C)を流体移動デバイス(70)が貫通した後、クサビ形部分の少なくとも二つが互いに分かれている場合に円錐形内壁(33)は「開いた」形になるように見える。)クサビ形部分(26)を「開いた」形に維持することによって、キャップ(20A−C)と流体移動デバイス(70)との間の摩擦的接触は低下し、収集デバイス(10)の内部の空気の排出は容易になる。
【0064】
線条(35)が円錐形内壁(33)の尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外側円周に延びる距離は、線条(35)が全くない同一の円錐形内壁(33)に比較して円錐形内壁(33)の貫通性が十分改善される、いかなる距離でもよい。貫通性の改善は、既述のようにキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)を貫通するのに必要な力の減少として測定される。全ての線条(35)の延びる距離が同一である必要はないが、各線条(35)が、尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外周(38)までの距離の少なくとも約四分の一の距離だけ、放射状に外側に延びるのが好ましい。より好ましい方法において、各線条(35)は尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外周(38)までの距離の少なくとも約半分の距離だけ放射状に外側に延びる。そして本発明の最も好ましい実施形態においては、各線条(35)は尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外周(38)まで放射状に外側に延びる。
【0065】
線条(35)を尖端(34)から円錐形内壁(33)の外周(38)までどの位の距離延ばすべきかを決める際に考慮される別の要因は、流体移動デバイスの周囲の大きさである。流体移動デバイスの周囲の大きさが増加するにつれて、線条(35)が尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外周(38)に延びる距離も同様に増加して、流体移動デバイスが収集デバイス(10)に入るとき並びにそこから出る際の貫通性を改善し、十分な空気の通路を生成し、円錐形内壁(33)によって流体移動デバイスにかかる摩擦力を最小にする必要がある。線条(35)数の増加も円錐形内壁(33)による摩擦力を減らすのに役立つ。
【0066】
線条(35)はチャネル、溝、エッチングまたは一連の穿孔として円錐形内壁(33)に形成され得るから、円錐形内壁(33)に存在する上記線条(35)の厚さ(それは互いに同じでも異なっていてもよい)は円錐形内壁(33)の周囲領域の厚さより小さい。円錐形内壁(33)の異なる厚さを測定する際には、キャップ(20A−C)を形成後、先ず最初に室温で最低1時間、または水道水で最低10ないし15分間冷やして樹脂を十分硬化させる。その後キャップ(20A−C)の4部分(各々は横断面が異なる線条(35)を含むのが好ましい)を精密ナイフまたは実用ナイフを用いて線条(35)に対して直角に切断し得る。キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)のこれらの切片の各々で、キャリパーおよび/またはビデオベースの測定機器等の感度のよい任意の測定手段を用いて線条のある部分と線条のない部分の各々から一回づつ測定し、これらの部分の円錐形内壁(33)の内面(36)と外面(37)と間の厚さを測定することができる。線条のある部分では、厚さの測定は内面(36)と外面(37)との間の最も小さい断面厚さに基づくべきである。こうして得られた厚さの値を平均化し、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(35)を構成する線条のある部分および線条のない部分のおおよその厚さを計算できる。
【0067】
好ましい実施形態において、円錐形内壁(33)の線条のない部分の平均厚さの、円錐形内壁(33)の線条(35)の平均厚さに対する比に基づく厚さ比は、好ましくは約5:1ないし約1.25:1の範囲、より好ましくは約7.5:1ないし約2:1の範囲であり、最も好ましくは約10:1ないし約2.5:1の範囲である。円錐形内壁(33)の線条(35)の平均厚さは約0.002インチ(0.051mm)ないし約0.008インチ(0.203mm)の範囲であるのが好ましく、円錐形内壁(33)の周囲領域の平均厚さは約0.01インチ(0.254mm)ないし約0.02インチ(0.508mm)の範囲であるのが好ましい。(線条について記された厚さは、線条(35)が含まれない場合の円錐形内壁(33)の好ましい厚さでもある。)円錐形内壁(33)の周囲領域の平均厚さが約0.010インチ(0.254mm)ないし約0.017インチ(0.432mm);約0.012インチ(0.305mm)ないし約0.015インチ(0.381mm);そして約0.013インチ(0.330mm)であるのがより好ましい。少なくとも、円錐形内壁(33)の線条(35)と周囲領域との間の平均厚さの差は、流体移動デバイスが円錐形内壁(33)を通過する際に上記流体移動デバイスが遭遇する抵抗が、このような線条(35)のない場合、すなわち実質的に均一な厚さを有する円錐形内壁(33)において遭遇する抵抗よりも小さくなければならない。
【0068】
線条(35)が一連の穿孔を含む場合、その穿孔は、好ましくは、容器(50)中の流体物質が円錐形内壁(33)の内面(36)に通過するのを制限または阻止するような大きさである(上記内面には分析者が接触することがある)。これは流体物質が潜在的汚染物質(例えば病原体)を含む場合に特に重要である。穿孔が円錐形内壁(33)の線条(35)の一部または全てを構成する場合、分析者と収集デバイス(10)の容器(50)に含まれる流体物質との間に汚染性接触が起きないことをさらに確実にするために、製造中に前述のシール(80)を環状頂部壁(22)の上面(24)(キャップ20A−C)または環状頂部表面(48)(キャップ20C)に取り付けることができ、それによって円錐形内壁(33)に通ずる孔は完全に閉鎖されたままである。
【0069】
それにもかかわらず、シール(80)を用いた場合でさえ、一連の穿孔は本発明の好ましい線条(35)とはならない。これは特に、収集デバイス(10)が輸送され、穿孔からの流体物質の漏出を起こし得る温度および圧の変動にさらされる可能性がある場合、特に収集デバイス(10)が輸送中真直に立っていないと予想される場合である。さらに、円錐形内壁(33)に存在する穿孔を通って内面(36)まで漏出した流体は任意に存在する芯(90)によって吸収され得、多分芯(90)を飽和させる。このような影響を受けた芯(90)を経て流体移動デバイスを挿入すると、エアゾール形成および/または泡立ちが実際に促進され、したがって汚染の可能性が広がるかも知れない。よって、一連の穿孔を線条(35)として使用することは、収集デバイス(10)が直立の状態に保たれることが確かで、温度および圧の容認できない変化にさらされない場合以外は薦められない。
【0070】
図5および図6に示すように、環状外側フランジ(40)、(40A)は容器(50)の外面(53)の上部(62)(図1参照)を把持するようになっている内面(41)、(41A)を有し、キャップ(20A−C)と容器(50)との間に実質的漏出防止シールが形成される。より詳細に述べれば、キャップ(20A−C)の環状頂部壁(22)、(22A)の下面(23)と容器(50)の環状リム(51)の上面(52)との間に実質的漏出防止シールが形成され得る。正常な操作条件では、この実質的漏出防止シールは標本が容器(50)の内部チャンバ(175)から、日常的操作中に分析者が接触するかも知れない容器(50)の外面(53)領域に漏出するのを防止する。正常な取り扱い条件においては、過剰かつ異常の力(すなわちキャップまたは容器に孔を開けたり、それらを押し潰したりするのに十分な力)の適用、並びに収集デバイスの取り扱いおよび輸送では通常経験しないような温度変動および圧力変動が排除される。
【0071】
環状外側フランジ(40)の内面(41)は、図5に示すようにねじ山(42)を含むようになっており、それによって容器(50)の外面(53)の上部(62)(図1参照)(上記容器(50)のこの部分に、螺合するねじ山(54)がある)にキャップ(20A−C)をねじ込むことができる。螺合するねじ山(42)、(54)はキャップ(20A−B)のねじ山(42)と容器(50)のねじ山(54)との間のインターロック接触を容易にする。スクリュー型キャップは当業者に周知であり、熟練せる分析者は容認できる寸法および製法を容易に理解する。理想的にはねじ山(42)、(54)はキャップ(20A−C)および容器(50)それぞれと一体的に成形される。
【0072】
本発明によって考慮される環状外側フランジ(40A)の内面(41A)のもう一つの適合法は、図6に示されるスナップ構造である。ここでは環状外側フランジ(40A)の内面(41A)はリム(43)を含むように適合され、それは容器(50)の上部(62)の外面(53)にある対合するリム(55)にパチンとはめ込まれ得る(図1参照)。これらのリム(43)、(55)はキャップ(20C)の環状外側フランジ(40A)および容器(50)の外面(53)とそれぞれ一体的に成形されるのが好ましい。このスナップ構造を構成するために、キャップ(20C)および容器(50)を形成するために選択する材料は十分弾力性でなければならず、キャップ(20C)のリム(43)の内方部分(45)の直径は容器(50)のリム(55)の外方部分(56)の直径より小さくなければならない。それによってキャップ(20C)にあるリム(43)の内方部分(45)(リム(43)の内方部分(45)の円周によって規定される)は、機械力の適用を必要とせずに、リム(55)の外方部分(56)の円周によって規定される容器(50)上のリム(55)の外方部分(56)にフィットすることができる。その上、リム(43)、(55)の位置は、キャップ(20C)が容器(50)にフィットした後、容器(50)にあるリム(55)の下部(57)がキャップ(20C)にあるリム(43)の上部(44)に、重なるように、納まるような位置でなければならない。さらに、容器(50)のリム(55)がキャップ(20C)のリム(43)上に納まったとき、キャップ(20C)の環状頂部壁(22A)の下面(23)と容器(50)の環状リム(51)の上面(52)との間には実質的漏出防止シールが形成されなければならない。
【0073】
キャップ(20A−C)および容器(50)を物理的に、封止可能に結合するために取られた方法にもかかわらず、この配置の実質的漏出防止性は図5および図6に示されるキャップ(20A−C)に二つの簡単な改良を加えることによってさらに改善することができる。第一の改良は環状外側フランジ(40)、(40A)の内面(41)、(41A)において、容器(50)の環状リム(51)と環状外側フランジ(40)、(40A)とが接触する点に、角度のある部分(47)を形成することである。この方法で、内面(41)、(41A)の角度のある部分(47)と容器(50)の環状リム(51)との間の摩擦接触が、容器(50)内から流体を通過させない、より確実なバリヤーとなる。(これらの図においてキャップ(20A−C)の環状頂部壁(22)、(22A)の下面(23)と容器(50)のリム(51)の上面(52)との間に示されるスペースは、キャップ(20A−C)が容器(50)に確実にフィットした場合には、存在しないか、またはこれ程顕著にはならない)。これに加えて、円錐形内壁(33)の外周(38)を、環状外側リム(39)(図5参照)または環状スカート(121)(図6参照)を含むように変形することができる。上記リムまたはスカートは、キャップ(20A−C)および容器(50)が物理的に封止可能に結合する際に、容器(50)の側壁(58)の内面(59)と摩擦的に接触するように設計される。側壁(58)の内面(59)と、環状スカート(121)の環状外側リム(39)または外壁(122)のどちらかとの間の接触は、容器(50)からの流体の漏出をさらに阻止するはずである。
【0074】
前述の環状外側フランジ(40)、(40A)に代わるものは、容器(50)の開口上部(62)内の側壁(58)の内面(59)を把持するようになっている外面を有する環状フランジ(図示されていない)である。このような環状フランジは、環状外側フランジ(40)、(40A)の内面(41)、(41)で容器(50)の上部(62)の外面(53)を把持する場合について既述した方法と同様な方法で容器(50)の上部(62)内に摩擦的にフィットするように形成することができる。もう一つの形において、上記環状フランジは、環状フランジの外面にも容器(50)の内面(59)にもリムまたはねじ山を含む必要なく、容器(50)の上部(62)内にぴったりとフィットするような大きさにすることができる。他の全ての点で、このキャップは、芯(90)および/またはシール(80)を含むキャップ(20A−C)について本明細書に記載される特徴を含むように設計できる。環状外側フランジ(40)、(40A)を全部取り除いて、上記環状頂部壁(22)を、容器(50)の環状リム(51)の上面(52)に接着剤等(例えば不活性接着剤)で結合できる下面を有する環状リング(特別には示されていない)に変えることもできる。
【0075】
容器(50)とキャップ(20A−C)がピッタリと結合したときに容器(50)の環状リム(51)とキャップ(20A−C)の環状頂部壁(22)、(22A)の下面(23)との間に形成されるシールを改良するために、O−リング形の環状シール(図示されず)を環状頂部壁(22)、(22A)の下面(23)にピッタリと納まるような大きさにしてもよい。上記環状シールは弾力性材料(例えばネオプレン)でよく、その厚さは、容器(50)のリム(55)上にキャップ(20C)のリム(43)をパチンとはめ込むことや、容器(50)にキャップ(20A−C)をそれぞれのねじ山(42)、(54)がインターロックするようにねじ込むことが妨害されることがないように選択される。
【0076】
(実施例)
本発明のキャップ(20A−C)を貫通するのに必要な力の量を測定するために、UniversalTension/Compression Tester(「圧縮試験機(Compression Tester)」)、TCD200型、および圧力ゲージ、DFGS−50を、JohnChatillon&Sons,Inc.(Greensboro,N.C.)から入手した。圧縮試験機は自動装置であるから、キャップの貫通に必要な圧力を測定する際に、純粋な手動操作では不可能であり得る比較的高い再現性を可能とする。
【0077】
この試験に用いる全てのキャップ(20A−C)はHDPEから作られ、線条(35)領域を除けば、約0.0109インチ(0.277mm)と約0.0140インチ(0.356mm)との間の実質的に均一な厚さを有した。キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の深さは環状頂部壁(22)、(22A)の対称軸(30)に沿って、円錐形内壁(33)の外周(38)の平面から、上記円錐形内壁の尖端(34)まで移動して測定する際、約0.29インチ(7.37mm)であった。円錐形内壁(33)の外周(38)の直径は約0.565インチ(14.35mm)であった。試験した全キャップ(20A−C)で、円錐形内壁(33)は環状頂部壁(22)、(22A)の対称軸(30)から約35゜または約45゜の単一の角度を有した。
【0078】
被検キャップ(20A−C)が線条(35)を含む場合は、各線条(35)のほぼ中心の、円錐形内壁(33)の厚さは約0.0045インチ(0.114mm)から約0.0070インチ(0.178mm)の範囲であった。その際全ての被検キャップ(20A−C)の全ての線条(35)は実質的に同じ厚さであり、約0.015インチ(0.381mm)の巾を有した。線条のあるキャップ(20A−C)では線条(35)の総数は常に8本で、それらの線条(35)は全て、射出成形プロセス中に円錐形内壁(33)の内面(36)に形成された。被検キャップ(20A−C)の線条(35)は尖端(34)からまたはその近くから円錐形内壁(33)の外周(38)まで十分にまたはその距離のほぼ半分だけ延びていた。
【0079】
キャップ(20A−C)を、約13mm×82mmのポリプロピレン製の容器(50)にねじ込みで固定した。圧力ゲージで突き通す前に容器(50)を安定にするために、各容器(50)を、その容器(50)を受け取り、安定的に保持するためにあけられた穴を有するアルミニウムブロック内に固定した。収集デバイス(10)が対称軸(30)から判断して、圧力ゲージ下に直立位置に固定されるならば、収集デバイス(10)を圧力ゲージの下に置くために選択される正確な方法は重要でない。
【0080】
キャップ(20A−C)を貫通するために必要な力を測定するために、キャップ(20A−C)を付けた容器(50)を先ず最初に圧力ゲージの下に中心を合わせた。その圧力ゲージのベースには2インチ(50.8mm)の延長部があり、Genesisシリーズ1000μlTecan−Tipピペットチップの力を伝える。上記ピペットチップは鈍い末端か、または約45゜の鋭角の遠位端を有した。ピペットチップがキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の尖端(34)に位置する際にキャップ(20A−C)は中心にあると考えられた。キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)は、自然にピペットチップをキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の尖端(34)に向けるような形を有するから、絶対的センタリングの必要はなかった。上記ピペットチップは11.25インチ(285.75mm)/分の一定速度で動くから、キャップ(20A−C)とピペットチップとの間に若干のすき間があるならば、キャップ(20A−C)の上のピペットチップの最初の高さは重要ではなかった。しかし試験の目的では、ピペットチップは一般に環状頂部壁(22)、(22A)の上面(24)、(24A)の上少なくとも約0.2インチ(5.08mm)の所に置かれ、容器(50)内に2.8インチ(71.12mm)まで貫通でき、それによって容器(50)の底壁(60)の内面(61)との実際の接触を避けた。必要な貫通力はポンドで測定され、全ての被検キャップ(20A−C)では貫通力は約6.5ポンド(2.95kg)未満であった。完全な線条のあるキャップ(20A−C)および鋭い先端のピペットチップでは、貫通力は一般に約4.0ポンド(1.89kg)未満で、若干の場合、必要な貫通力は約3.6ポンド(1.63kg)以下であった。
【0081】
本発明を特定の好ましい実施形態についてかなり詳細に記載し、示したが、当業者は本発明のその他の実施形態を容易に理解する。よって、本発明は添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる全ての変更および変化を含むと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の好ましい実施形態によれば、以下のキャップなどが提供される。
(項1) キャップであって、以下:
環状頂部壁;
該環状頂部壁の底面から下向きに懸下する、環状フランジであって、該環状フランジは、開放端容器の側壁表面を把持するよう適合される、環状フランジ;
該環状頂部壁の内周囲により規定される、開口部;および
円錐形内壁であって、該開口部から、該環状頂部壁の対称軸に実質的に位置する尖端へと内向きにテーパ状であり、該円錐形内壁は、該対称軸に対して単一の角度を有する、円錐形内壁、
を備え、ここで、該キャップが、固定された一体的な部品である、キャップ。
(項2) 前記環状フランジが、前記容器の外面を把持するよう適合された内壁を有する、環状外側フランジである、上記項1に記載のキャップ。
(項3) 前記環状外側フランジの前記内壁が、前記容器の外面を把持するための螺旋状ねじ山を備える、上記項2に記載のキャップ。
(項4) キャップであって、以下:
環状頂部壁;
該環状頂部壁の内周囲により規定される、開口部;および
ほぼ円錐形の内壁であって、該開口部から、該環状頂部壁の対称軸に実質的に位置する尖端へと内向きにテーパ状であり、該円錐形の内壁は、流体移動デバイスによる該円錐形内壁の貫通可能性を改善するために、複数の線条を備えるよう適合され、該線条の各々は、該尖端またはその近くの出発点から、半径方向外向きに延びる、内壁、
を備える、キャップ。
(項5) 前記環状頂部壁が、下面を有し、該下面が、流体保持容器の開放端において、環状縁部に固定され得る、上記項4に記載のキャップ。
(項6) 前記キャップを流体保持容器の開放端と固定的に結合させるための手段をさらに備える、上記項4に記載のキャップ。
(項7) 前記環状頂部壁の底面から下向きに懸下する環状フランジをさらに備え、該環状フランジが、流体保持容器の開放端の側壁表面を把持するよう適合される、上記項4に記載のキャップ。
(項8) 前記環状フランジが、前記容器の外面を把持するよう適合された、内壁を有する環状外側フランジである、上記項7に記載のキャップ。
(項9) 前記環状外側フランジの前記内壁が、前記容器の外面を把持するための螺旋状のねじ山を備える、上記項7に記載のキャップ。
(項10) 前記環状外側フランジが、前記環状頂部壁の上に垂直に伸びる上部を備え、該環状外側フランジが、該環状外側フランジに対して実質的に垂直である環状頂面を備える、上記項2、3、10および11のいずれか1項に記載のキャップ。
(項11) 前記環状外側フランジの前記上部内に位置する芯をさらに備える、上記項10に記載のキャップ。
(項12) 前記芯がパイル状織物である、上記項11に記載のキャップ。
(項13) 前記開口部を被覆するためのシールをさらに備え、該シールが、前記環状頂部壁の頂面に固定されている、上記項12に記載のキャップ。
(項14) 前記シールが、金属箔を備える、上記項13に記載のキャップ。
(項15) 前記円錐形内壁の、前記対称軸に対する角度が、約25°〜約65°である、上記項1〜14のいずれか1項に記載のキャップ。
(項16) 前記線条の各々が、前記尖端またはその近くの出発点から、前記円錐形内壁の外周囲へと部分的に延びる、上記項1〜15のいずれか1項に記載のキャップ。
(項17) 前記線条が、前記尖端またはその近くの出発点から、前記円錐形内壁の外周囲へと完全に延びる、上記項1〜15のいずれか1項に記載のキャップ。
(項18) 線条のない部分の前記円錐形内壁と、線条のある部分の該円錐形内壁との間の厚みの比が、約10:1〜約1.25:1の範囲内である、上記項1〜17のいずれか1項に記載のキャップ。
(項19) 前記線条のある部分の前記円錐形内壁の平均の厚みが、約0.051mmと約0.203mmとの間であり、そして前記線条のない部分の該円錐形内壁の平均の厚みが、約0.25mmと約0.51mmとの間である、上記項18に記載のキャップ。
(項20) 前記円錐形内壁が、約3〜約12の前記線条を備える、上記項1〜19のいずれか1項に記載のキャップ。
(項21) 前記線条が、前記内部円錐形内壁の、前記内面、前記外面、または該内面と該外面との両方に形成される、上記項1〜20のいずれか1項に記載のキャップ。
(項22) 前記線条の各々が、前記円錐形内壁の前記内面に形成される、上記項21に記載のキャップ。
(項23) 前記線条の各々が、前記円錐形内壁に形成される溝またはチャネルを備える、上記項21または22に記載のキャップ。
(項24) キットであって、パッケージされた組合せとして、上記項1〜23のいずれか1項に記載のキャップ、ならびに以下:
流体物質を受容および保持するための、容器;
1種以上の試薬;
流体移動デバイス;および
標本回収デバイス、
からなる群から選択される第二の成分を備える、キット。
(項25) 物質を、容器および上記項1〜3のいずれか1項に記載のキャップを備える収集デバイスから取り出すための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)該キャップに約8ポンド未満の力を付与して、プラスチック製流体移動デバイスを用いて、該キャップを貫通する工程;
b)該物質の少なくとも一部を、該容器から該流体移動デバイス内へと引き込む工程;および
c)該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程、
を包含する、方法。
(項26) 物質を、容器および上記項1〜23のいずれか1項に記載のキャップを備える収集デバイスから取り出すための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)該キャップを該容器に固定的に結合させることによって、標本回収デバイスを該容器の側壁の内壁に沿って位置決めする工程;
b)該キャップを、流体移動デバイスを用いて貫通する工程;
c)該物質の少なくとも一部を、該容器から該流体移動デバイス内へと引き込む工程;および
d)該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程、
を包含する、方法。
(項27) 上記項11〜23のいずれか1項に記載のキャップを備える収集デバイスの内部に、エーロゾルを収容するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)該キャップを、流体移動デバイスを用いて貫通する工程であって、これによって、該収集デバイスの内部チャンバから外部大気への通路を作製する工程;
b)流体物質の少なくとも一部を、該内部チャンバから、該流体移動デバイスを用いて回収する工程;
c)該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程;および
d)該収集デバイス内に存在し得るエーロゾルを、該キャップ内に固定的に位置する前記芯を用いて収容する工程であって、その結果、該流体移動デバイスの、該芯を通る移動が、実質的に妨害されない、工程、
を包含する、方法。
(項28) 前記取り外す工程の間に、前記流体移動デバイスを前記芯で拭く工程をさらに包含する、上記項27に記載の方法。
(項29) 前記芯が、裏地に取り付けられた繊維を備え、該裏地が、前記キャップ内でほぼ円形の配向に配置されている、上記項27に記載の方法。
(項30) 工程c)において前記収集デバイスから取り出された前記流体物質中に存在する核酸を増幅する工程をさらに包含する、上記項29に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本出願は1999年5月14日出願の米国仮出願第60/134,265号の利益を主張する。この内容は参考として本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、臨床分析や患者のモニタリングまたは診断のための生物学的標本を受容し、保持する目的で設計されたもの等、流体保持容器と組み合わせて使用するキャップに関するものである。より詳細に述べれば、本発明は流体を流体保持容器に移し、または上記容器から移動するために用いられる流体移動デバイスが貫通できるキャップに関するものであり、その際流体移動中は前記容器とキャップとは物理的にかつ封止可能に結合している。
【0003】
さらに本発明は、本発明のキャップを貫通するために使用できる流体移動デバイスにも関係する。より詳細に述べれば、これらの流体移動デバイスは、前記流体移動デバイスの貫通または強度特性を改善し、および/または収集デバイス内からの置換された空気を排出するための空気ギャップの形成にも役立ち得る一つ以上のリブ構造が配設されるよう適合される。前記空気ギャップは収集デバイスの内部空気圧をこの収集デバイスを取り巻く周囲空気圧と平衡させるためにも役立ち得る。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
収集デバイスは、例えば臨床検査室に送達するための生物学的標本を受容し、貯蔵するために一般的に用いられる、キャップと容器とを組み合わせたタイプのものである。前記検査室で前記標本は分析され、特定状態の存在もしくは状態、または特定の感染性物質の存在が明らかにされ得る。普通、分析のために収集され臨床検査室に送達される生物学的標本の種類としては、血液、尿、痰、唾液、膿汁、粘液および脳脊髄液が挙げられる。これらの種類の標本は病原体を含むことがあるから、その収集デバイスは、収集部位から分析場所に移動する途中、実質的に漏出を防止するように構成されることを確実にすることが重要である。収集デバイスのこの特徴は、臨床的検査室と採集施設とが互いにかなり離れた所に位置する場合、特に重要である。
【0005】
漏出を防ぐために、収集デバイスのキャップは代表的にはねじを回して締めるか、パチンと締めるか、その他に摩擦で容器コンポーネントにフィットするように設計され、それによってキャップと容器との間に実質的に漏出防止シールが形成される。標本の漏出防止に加えて、収集デバイスのキャップと容器との間に形成される実質的漏出防止シールは周囲環境からの潜在的汚染性影響への標本の曝露も軽減する。漏出防止シールのこの局面はアッセイの定性的または定量的結果を変化し得る汚染物の導入を阻止するために重要である。
【0006】
漏出防止シールは移動中の標本の浸出を防止しなければならないが、一方、標本を分析する前に前記容器からそのキャップを物理的に取り外すことが、汚染の別の機会を提供する。キャップを取り外す際、移動中にキャップの下側に集まり得る標本は分析者と接触する可能性があり、恐らくその分析者は、流体サンプル中に存在する有害な病原体にさらされる。そしてもしその標本がタンパク質性または粘液様であるならば、またはもし前記移動媒質が洗剤または界面活性剤を含む場合は、移動中に容器の開口部周辺に生成したかも知れない膜または気泡が、キャップを容器から取り外したときに飛び出し、それによって標本が環境にばらまかれる可能性がある。ある収集デバイスからの標本の残り(それは分析者の手袋をはめた手に存在することもある)が、そのキャップの日常的または不注意な取り外しが原因で、別の収集デバイスの標本と接触することもあり得る。もう一つのリスクは、キャップと容器とを互いから物理的に分離する場合の、汚染性エーロゾルが生成する可能性であり、それは多分、同じ共通の場所で同時にまたはその後にアッセイするその他の標本を、交差汚染によって、偽陽性の結果または誇張された結果に導くことがある。
【0007】
交差汚染に関する懸念は、実施されるアッセイが核酸の検出を含む場合や周知のポリメラーゼ連鎖反応手順または転写介在増幅手順などの増幅手順を含む場合には特に重大である。増幅は、標本中に存在する標的核酸配列の量を増やすことによってアッセイの感度を高めることを目的としているから、他のコンテナからの病原体担持標本、または陽性対照サンプルからの標的核酸がごく少量だけ別の陰性標本に移されたとしても、偽陽性の結果が出ることがある。
【0008】
汚染性の標本エーロゾルが生成する可能性を最小にし、標本とヒトまたは環境との間の直接接触を制限するために、流体移動デバイス(例えばピペットチップ)が貫通でき、そのキャップが容器と物理的に、封止可能に結合したままになる、収集デバイスキャップを提供することが所望である。また、予測的かつ確実に流体を分配するまたは引き出す能力を果たし得る前記流体移動デバイスに対する損傷を防ぐために、前記流体移動デバイスがキャップを貫通するために必要とする力を制限するようにキャップを設計しなければならない。理想的には、前記収集デバイスは手動および自動フォーマット両方に用いることができ、プラスチック製のピペットチップと共に適切に使用される。
【0009】
その上、収集デバイスに入る上記流体移動デバイスによって占められるスペースの体積は前記収集デバイス内の等量の空気を置換するに違いないから、上記流体移動デバイスが結合したキャップを通過するにつれて空気がその収集デバイスから放出される速度を制御する手段が所望である。このような手段がなければ、収集デバイスからの空気の周囲環境への加圧移動は、潜在的に有害なエーロゾルまたは汚染性のエーロゾルの形成および放出、あるいは上記流体サンプル中にタンパク質または界面活性剤が存在する場合は気泡の形成および放出を促進し得る。そこで、エーロゾルまたは気泡の形態での流体サンプルの放出を阻止または最小にするために、貫通された収集デバイスからの空気放出を制御できる流体移動デバイスが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
キャップであって、以下:
環状頂部壁;
該環状頂部壁の内周囲により規定される、開口部;および
円錐形内壁であって、該開口部から、該環状頂部壁の対称軸に実質的に位置する尖端へと内向きにテーパ状であり、該円錐形内壁は、該対称軸に対して単一の角度を有する、円錐形内壁、を備える、キャップ。
(項目2)
上記環状頂部壁が、下面を有し、該下面が、容器の環状縁部の上面に固定され得る、項目1に記載のキャップ。
(項目3)
上記キャップを容器と固定的に結合させるための手段をさらに備える、項目1に記載のキャップ。
(項目4)
開放端容器の側壁表面を把持するよう適合される環状フランジをさらに備え、上記環状頂部壁が該環状フランジに対して実質的に垂直である、項目1に記載のキャップ。
(項目5)
上記環状フランジが、上記容器の外面を把持するよう適合された内壁を有する、環状外側フランジである、項目4に記載のキャップ。
(項目6)
キャップであって、以下:
環状頂部壁;
該環状頂部壁の内周囲により規定される、開口部;および
円錐形内壁であって、該開口部から、該環状頂部壁の対称軸に実質的に位置する尖端へと内向きにテーパ状であり、該円錐形内壁は、流体移動デバイスによる該円錐形内壁の貫通可能性を改善するために、複数の線条を備えるよう適合され、該線条の各々は、該尖端またはその近くの出発点から、半径方向外向きに延びる、内壁、を備える、キャップ。
(項目7)
上記環状頂部壁が、下面を有し、該下面が、容器の環状縁部の上面に固定され得る、項目6に記載のキャップ。
(項目8)
上記キャップを容器と固定的に結合させるための手段をさらに備える、項目6に記載のキャップ。
(項目9)
開放端容器の側壁表面を把持するよう適合される環状フランジをさらに備え、上記環状頂部壁が、該環状フランジに対して実質的に垂直である、項目6に記載のキャップ。
(項目10)
上記環状フランジが、上記容器の外面を把持するよう適合された、内壁を有する環状外側フランジである、項目9に記載のキャップ。
(項目11)
上記環状外側フランジの上記内壁が、上記容器の外面を把持するためのねじ山を備える、項目10に記載のキャップ。
(項目12)
上記環状外側フランジが、上記環状頂部壁の上に垂直に伸びる上部を備え、該環状外側フランジが、該環状外側フランジに対して実質的に垂直である環状頂面を備える、項目11に記載のキャップ。
(項目13)
上記環状外側フランジの上記上部内に位置する芯をさらに備える、項目12に記載のキャップ。
(項目14)
上記芯がパイル状織物である、項目13に記載のキャップ。
(項目15)
上記キャップが高密度ポリエチレンから一体的に成形されている、項目6に記載のキャップ。
(項目16)
上記開口部を被覆するためのシールをさらに備え、該シールが、上記環状頂部壁の頂面に固定されている、項目6に記載のキャップ。
(項目17)
上記シールが、金属箔を備える、項目16に記載のキャップ。
(項目18)
上記開口部を被覆するためのシールをさらに備え、該シールが、上記環状頂面に固定されている、項目12に記載のキャップ。
(項目19)
上記シールが、金属箔を備える、項目18に記載のキャップ。
(項目20)
上記円錐形内壁の、上記対称軸に対する角度が、約25°〜約65°である、項目6に記載のキャップ。
(項目21)
上記線条の各々が、上記尖端またはその近くの出発点から、上記円錐形内壁の外周囲へと部分的に延びる、項目6に記載のキャップ。
(項目22)
上記線条が、上記尖端またはその近くの出発点から、上記円錐形内壁の外周囲へと完全に延びる、項目6に記載のキャップ。
(項目23)
線条のない部分の上記円錐形内壁と、線条のある部分の該円錐形内壁との間の厚みの比が、約10:1〜約1.25:1の範囲内である、項目6に記載のキャップ。
(項目24)
上記線条のある部分の上記円錐形内壁の平均の厚みが、約0.002インチと約0.008インチとの間であり、そして上記線条のない部分の該円錐形内壁の平均の厚みが、約0.01インチと約0.02インチとの間である、項目6に記載のキャップ。
(項目25)
上記円錐形内壁が、約3〜約12の上記線条を備える、項目6に記載のキャップ。
(項目26)
上記線条が、上記内部円錐形内壁の、上記内面、上記外面、または該内面と該外面との両方に形成される、項目6に記載のキャップ。
(項目27)
上記線条が、上記円錐形内壁の溝またはチャネルを備える、項目6に記載のキャップ。
(項目28)
表面材料であって、該表面材料に約8ポンド未満の力を付与するプラスチックピペットチップにより貫通され得る、表面材料;および
キャップ内に固定的に配置された芯であって、該芯に約4ポンド未満の力を付与する該ピペットチップにより貫通され得る、芯、
を備える、キャップ。
(項目29)
収集デバイスと一緒に使用するためのオーバーキャップであって、
環状フランジ
該環状フランジに対して実質的に垂直である環状頂部壁;
該環状頂部壁の内周囲により規定される開口部;および
芯であって、該環状頂部壁の底面の下で、該環状フランジの内面内に位置する、芯、
を備える、オーバーキャップ。
(項目30)
上記環状フランジの上記内面が、上記オーバーキャップをキャップの上に摩擦により取り付けるための、内向きに延びる複数のリブを備える、項目29に記載のオーバーキャップ。
(項目31)
上記芯がパイル状織物である、項目29に記載のオーバーキャップ。
(項目32)
上記オーバーキャップが、上記開口部を覆うためのシールをさらに備え、該シールが、上記環状頂部壁の頂面に固定されている、項目29に記載のオーバーキャップ。
(項目33)
上記シールが金属箔を備える、項目32に記載のオーバーキャップ。
(項目34)
キットであって、パッケージされた組合せとして、項目9に記載のキャップ、ならびに以下:
流体物質を受容および保持するための、容器;
1種以上の試薬;
芯を備えるオーバーキャップ;
流体移動デバイス;および
標本回収デバイス、からなる群から選択される第二の成分を備える、キット。
(項目35)
キットであって、パッケージされた組合せとして、項目12に記載のキャップ、ならびに以下:
流体物質を受容および保持するための、容器;
1種以上の試薬;
流体移動デバイス;および
標本回収デバイス、からなる群から選択される第二の成分を備える、キット。
(項目36)
中空管状本体;
流体移動装置のプローブを固定的に受容するように構成された開口上端部;
流体物質を受容するための開口下端部;および
1つ以上のリブ構造であって、外面から外向きに、そして該開口下端部またはその近くの点からほぼ垂直な方向に延びる、1つ以上のリブ構造、
を備える、流体移動デバイス。
(項目37)
流体移動装置のプローブを固定的に受容するための近位端を有する中空管部分;
近位端を有する中空円錐部分であって、該近位端はまた、該管部分の遠位端を規定し、該円錐部分は、内面および外面を有し、該内面および外面は、該円錐部分の該近位端から、オリフィスを有する遠位端へとテーパ状である、中空円錐部分;ならびに
1つ以上の下方リブ構造であって、該円錐部分の該外面から外向きに延びる、1つ以上の下方リブ構造、
を備える、プラスチックピペットチップ。
(項目38)
上記管部分の外面から外向きに延びる1つ以上の上方リブ構造をさらに備え、該上方リブ構造のうちの少なくとも1つは、該管部分の遠位端またはその近くに遠位末端を有する、項目37に記載のピペットチップ。
(項目39)
上記下方リブ構造のうちの少なくとも1つ、および上記上方リブ構造のうちの少なくとも1つが、連続的なリブ構造を形成する、項目38に記載のピペットチップ。
(項目40)
流体移動装置のプローブを固定的に受容するための近位端を有する中空管部分;
近位端を有する中空円錐部分であって、該近位端はまた、該管部分の遠位端を規定し、該円錐部分は、内面および外面を有し、該内面および該外面は、該円錐部分の該近位端から、オリフィスを有する遠位端へとテーパ状である、中空円錐部分;ならびに
該円錐部分の該内面から内向きに延びる、1つ以上の下方リブ構造、
を備える、プラスチックピペットチップ。
(項目41)
上記管部分の外面から外向きに延びる1つ以上の上方リブ構造をさらに備え、該上方リブ構造のうちの少なくとも1つは、該管部分の遠位端またはその近くに遠位末端を有する、項目40に記載のピペットチップ。
(項目42)
流体移動装置のプローブを摩擦により受容するための近位端を有する中空管部分;
近位端を有する中空円錐部分であって、該近位端はまた、該管部分の遠位端を規定し、該円錐部分は、内面および外面を有し、該内面および該外面は、該円錐部分の該近位端から、オリフィスを有する遠位端へとテーパ状である、中空円錐部分;ならびに
該管部分の外面から外向きに延びる1つ以上の上方リブ構造であって、該上方リブ構造のうちの少なくとも1つは、該管部分の遠位端またはその近くに遠位末端を有する、1つ以上の上方リブ構造、
を備える、プラスチックピペットチップ。
(項目43)
物質を収集デバイスから取り出すための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)キャップに約8ポンド未満の力を付与して、プラスチック製流体移動デバイスを用いて、該収集デバイスの該キャップを貫通する工程;
b)該物質の少なくとも一部を、該流体移動デバイス内へと引き込む工程であって、該物質は、該収集デバイスの容器内に存在する、工程;および
c)該物質の少なくとも一部を含む該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程、を包含する、方法。
(項目44)
物質を、標本回収デバイスを含む収集デバイスから取り出すための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)貫通可能なキャップを容器に固定的に結合させることによって、標本回収デバイスを該容器の側壁の内面に沿って位置決めする工程;
b)該キャップを、流体移動デバイスを用いて貫通する工程;
c)該物質の少なくとも一部を該流体移動デバイス内へと引き込む工程であって、該物質は、該収集デバイスの容器内に存在する、工程;および
d)該物質の少なくとも一部を含む該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程、を包含する、方法。
(項目45)
流体移動デバイスにより貫通され得るキャップを備える収集デバイスの内部に、エーロゾルを収容するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)該キャップを、流体移動デバイスを用いて貫通する工程であって、これによって、該収集デバイスの内部チャンバから外部大気への通路を作製する工程;
b)流体物質の少なくとも一部を、該内部チャンバから、該流体移動デバイスを用いて回収する工程;
c)該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程;および
d)該収集デバイス内に存在し得るエーロゾルを、該キャップ内に固定的に位置する芯を用いて収容する工程であって、その結果、該流体移動デバイスの、該芯を通る移動が、実質的に妨害されない、工程、を包含する、方法。
(項目46)
上記取り外す工程の間に、上記流体移動デバイスを上記芯で拭く工程をさらに包含する、項目45に記載の方法。
(項目47)
上記芯が、裏地に取り付けられた繊維を備え、該裏地が、上記キャップ内でほぼ円形の配向に配置されている、項目46に記載の方法。
(項目48)
上記繊維が合成繊維である、項目47に記載の方法。
(項目49)
上記芯がパイル状織物である、項目48に記載の方法。
(項目50)
工程c)において上記収集デバイスから取り出された上記流体物質中に存在する核酸を増幅する工程をさらに包含する、項目45に記載の方法。
(発明の要旨)
本発明は、容器の開口端のところで容器の内側または外側壁表面を把持するように取り付けられた環状フランジ、上記環状フランジに実質的に垂直な環状頂部壁、環状頂部壁の内側周囲によって輪郭づけられる開口部、および前記開口部から実質的に環状頂部壁の対称軸に位置する尖端(apex)に向かって、内方にテーパ状の円錐形内壁を含む、一体型に成形されたキャップを提供することによって前述の一組の問題を解決する。上記環状フランジおよび円錐形内壁は各々、実質的に平行せる内面および外面を有し、環状頂部壁は実質的に平行せる上面および下面を有する。本発明の代替の局面において、キャップは容器の表面を把持するために取り付けられる環状フランジを含まず、その代わりに前記環状頂部壁が環状リングを形成し、そのリングの下面は、固定剤(例えば接着剤)等の手段によって容器の環状縁の上面に固定することができるか、あるいはその容器の上面と一体的に成形できる。
【0011】
本発明は、中空管状本体を有する流体移動デバイスであって、上記流体移動デバイスの外面か、内面か、または内側と外側との両面に一つ以上のリブ構造を含む上記流体移動デバイスを提供することによって、上記もう一組の問題を解決する。上記リブ構造が外面に位置する際にはそれらは流体移動デバイスの外面とキャップの貫通される表面材料との間に換気チャネルを形成することが期待される。これらの換気チャネルは貫通される収集デバイス内から空気を好都合に放出しやすくし、一方流体サンプルがエーロゾルまたは気泡の形態で形成および/または放出されるのを最小に抑制することが判明した。流体移動デバイスの外面のリブ構造はまた、流体移動デバイスの強度特性を高め、貫通性キャップを突き通すために必要とされる力を減らすことが期待される。これらの強度特性および力低下特性は内面に位置するリブ構造を有する流体移動デバイスとも関連することが期待される。
【0012】
本発明の第一実施形態において、円錐形内壁は上記環状頂部壁の対称軸に関して単一の角度を有する。この実施形態のキャップは、好ましい局面において、プラスチック製ピペットチップからなる流体移動デバイスが貫通可能であり、ピペットチップがキャップを貫通した後にそのピペットチップが正確に流体物質を引き出す能力を顕著には侵害しない。
【0013】
本発明の第二の実施形態において、キャップの円錐形内壁は、複数の線条を含み、それらの線条は上記円錐形内壁の尖端から、または尖端に近い一つ以上の出発点から放射状に外側に向かって延びている。これら線条の各々は一部分または完全に上記円錐形内壁の上記尖端から、または尖端近くの出発点から円錐形内壁の外側円周に延びている。これらの線条は上記円錐形内壁の少なくとも一つの面にチャネル、溝、エッチング、または一連の穿孔の形態で存在し得、各線条の厚さは上記円錐形内壁の線条のない部分の厚さより小さい。上記線条は好都合なことに、上記キャップの貫通に必要な力を減らし、同時に円錐形内壁の上記線条によって輪郭づけられる部分が、通過する流体移動デバイスから離れるにつれて、上記円錐形内壁の部分と流体移動デバイスとの間に空気の通路を作り出すことが判明した。
【0014】
本発明の第三の実施形態において、環状フランジは、上記環状頂部壁上を垂直に延びる上部を有し、その結果環状頂部壁の上面は、芯材料を実質上円錐形内壁の上におよび環状フランジ内に配置、維持するための棚として役立ち得る。上記芯材料は、気泡、エーロゾルの広がりを制限するために、および/または流体移動デバイスを収集デバイスのキャップを通して引き出す際に、前記流体移動デバイスの外側に存在する流体を除去するワイピング(ふき取り)作用を与えるためのいかなる材料、または材料の組み合わせでもよい。上記芯材料は好ましくは毛細管作用によって上記流体移動デバイスから流体をふき取る。
【0015】
本発明の第四の実施形態において、キャップはさらに、環状頂部壁、または環状フランジの上部の環状頂部表面に固定されるか、あるいは上記環状フランジの内面内にぴったりと置かれたシールを含む(例えばシールが付着している中空樹脂ディスクであって、環状フランジの内面内に摩擦でフィットし、そこを流体移動デバイスが通過できるような大きさの中空樹脂ディスク)。上記シールは流体移動デバイスが貫通できるのが好ましいが、上記シールを流体移動デバイスが貫通する前に上記シールをキャップから分離することができるような方法で上記シールをキャップに適用しまたはキャップと結合させることもできる。上記シールは汚染物を上記円錐形内壁から(そして存在すれば、芯材料からも)分離しておくために、そしてキャップを流体移動デバイスが貫通する際に上記収集デバイスからのエーロゾルの放出阻止に役立つために、および/または芯材料を前記環状フランジ内に保持するために取り付けられる。上述のように、シールは好ましくは金属箔またはプラスチック等の貫通可能な材料から作られ、貫通前には円錐の開口部を完全にまたは部分的に覆う。
【0016】
本発明の第五実施形態においては、キャップ表面への約8ポンド未満の力の付与によってプラスチック製ピペットチップが貫通できるキャップが提供される。この特定のキャップにも、キャップの貫通可能表面材料の上または下に位置し、ピペットチップが通過するために約4ポンド未満の圧力を必要とする芯材料が含まれる。上記芯材料は、プラスチック製ピペットチップがキャップを通過中および/または通過後、結合した容器から逃げるエーロゾルまたは気泡を少なくとも一部分は捕捉できるように、そのキャップに配置される。
【0017】
本発明の第六の実施形態においては、本発明のキャップの上に置くことができる、芯材料を含むオーバーキャップが提供される。上記オーバーキャップの環状頂部壁は、キャップの円錐形内壁を通過する流体移動デバイスを受け入れる大きさを有する開口部を規定する内部円周を含む。オーバーキャップの環状フランジの内面にはさらにリブ構造が含まれ、オーバーキャップの内面とキャップの環状外側フランジとの間を摩擦によりフィットさせ得る。オーバーキャップの環状頂部壁にはまたシールが取り付けられ、一旦、キャップが貫通された収集デバイスからのエーロゾルまたは気泡の放出をさらに少なくし、そして/または芯材料をオーバーキャップの環状フランジ内に保持する。取り出して分析すべきサンプルが、検出工程の実施前に増幅しなければならない標的核酸分析物を含むことが疑われる場合には、任意に上記オーバーキャップ(エーロゾルおよび気泡を分離コンポーネントに封じ込めるという利点をもたらす)を、例えば芯材料のないキャップを有する収集デバイスと共に用いることができる。
【0018】
本発明の第七実施形態においては、本発明のキャップおよびオーバーキャップの貫通を容易にするために用いられ得、そして/または入ってくる流体移動デバイスによって容器から追い出される空気の排出を改善し得る流体移動デバイスが提供される。この特殊の流体移動デバイスは中空構造を有し(ただしこの流体移動デバイスはエーロゾル阻止フィルターを備え得る)、流体を引き出しおよび/または分配するロボットまたは手動操作の流体移動器具と連動するプローブまたは延長部分と係合するように設計され、一つ以上のリブ構造を含む。これらのリブ構造は上記流体移動デバイスの本体の外面から外側に延び、好ましくは流体移動デバイスの遠位端の一点または複数の点あるいはその近くからほぼ垂直方向に延びる。これらのリブ構造に起因する強度および質量の増大は貫通可能キャップを通過するために必要な力を減らし得、若干の例では前記流体移動デバイスが容認可能に複数回通過することも可能となる。
【0019】
本発明の第八の実施形態において、空気および/または流体が通過するための中空の管および円錐部分と、前記円錐部分に位置する一つ以上の下方リブ構造とを有するプラスチック製ピペットチップが提供される。それらリブ構造は前記円錐部分の外面から外側に延びている。これらの下方リブ構造は本発明の第七実施形態による利点と同様の利点をもたらすことが期待される。
【0020】
本発明の第九実施形態において、空気および/または流体が通過するための中空の管および円錐部分、ならびに前記円錐部分に位置し、前記円錐部分の内面から内側に延びる一つ以上の下方リブ構造を有するプラスチック製ピペットチップが提供される。第七実施形態におけるように、これらの下方リブ構造は本発明のキャップおよびオーバーキャップの通過を容易にすることが期待される。
【0021】
本発明の第十実施形態において、空気および/または流体が通過するための中空の管および円錐部分、ならびに上記管部分に位置する一つ以上の上方リブ構造を有するプラスチック製ピペットチップが提供される。上記リブ構造は管部分の外面から外側に延び、これらの上方リブ構造の少なくとも一つは上記管部分の遠位端またはその近くで終わる。これらの上方リブ構造はキャップの貫通される表面材料と上記ピペットチップとの間の空気ギャップの形成を助けるように設計され、結合した収集デバイスにピペットチップが貫入する際にこの収集デバイスの内部から追い出される空気の移動を容易にし、そして/またはキャップ貫通時に収集デバイスの内側および外側の空気圧を平衡化することができる。
【0022】
本発明の第十一実施形態において、上記の第八および第十実施形態の、または第九および第十実施形態の下方リブ構造および上方リブ構造とを組み合わせたプラスチック製ピペットチップが提供される。その際下方リブ構造は上方リブ構造とは離れていてもよいし、下方および上方リブ構造の対が、円錐部分の一点または複数点から管部分の一点または複数点まで延びる連続リブ構造を形成してもよい。
【0023】
本発明の第十二実施形態では、収集デバイスからある物質を取り出すための方法であって、上記のような収集デバイスのキャップをプラスチック製流体移動デバイスが貫通することを含み、その際キャップ表面に約8ポンド未満の力をかけることを必要とする上記方法が提供される。ひとたびキャップが貫通されると、上記収集デバイスの容器中の物質が、上記収集デバイスから除去される前の流体移動デバイスによって引き出される。
【0024】
本発明の第十三実施形態において、収集デバイスからある物質を取り出すための方法であって、容器と貫通性キャップとをぴったりと結合させる手段によって、標本回収デバイス(スワブ等)を前記容器の側壁の内面に沿って配置することを含んでなる方法が提供される。その後流体移動デバイスが上記キャップを貫通し、流体移動デバイスは上記容器から上記物質を引き出した後、収集デバイスから除去される。
【0025】
本発明の第十四実施形態において、プラスチック製ピペットチップ等の流体移動デバイスで、結合するキャップを貫通することによって通路が作られた後、収集デバイスの内側にエーロゾルを含むための方法が提供される。流体移動デバイスがキャップを通過中、および/または流体移動デバイスを収集デバイスから除去する間、上記形成された通路は一部分開き得る。そこで流体移動デバイスが上記キャップを通過して上記収集デバイスに入る際、流体移動デバイスが上記収集デバイスから引き抜かれる際、および/または流体移動デバイスが上記収集デバイスから完全に引き抜かれた後に、エーロゾル含有(一部分または完全に)が起こることがある。エーロゾルが含まれる疑いのある際に選択される材料、および貫通性キャップの内側におけるその材料の配列は次のようでなければならない:すなわち上記材料は、流体移動デバイスが収集デバイス内へまたは収集デバイスから移動するのを実質的には妨害しない。この方法は、上記収集デバイスが標的核酸分析物を含む疑いがある流体サンプルを含み、その分析物はその後公知の任意の増幅手順を用いて増幅され、それから検出されるという場合に特に有用である。
【0026】
本発明のキャップは少なくとも一つの容器、試薬(例えば移動媒体または陽性対照)、オーバーキャップ、流体移動デバイスおよび標本回収デバイス(例えば標本採取のためのスワブ等)とのパッケージされた組み合わせにおいて提供され得る。同様に、本発明のオーバーキャップもまた、キャップ、容器、試薬、流体移動デバイス、および標本回収デバイスのうちの少なくとも1つとの、パッケージされた組み合わせとして提供され得る。パッケージされた組み合わせとは、上記の物品が単に同じコンテナ(例えば輸送のための郵便または配達容器)に入れられて提供される必要があることを意味し、それぞれの物品がそのコンテナ内で互いに物理的に結合するか、または同じラッパー内で結合していることは要求されないことが理解される。
【0027】
本発明のこれらのおよびその他の特徴、局面、および利点は下記の詳細な説明、添付の特許請求の範囲および付随する図面を考慮すれば、当業者に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の好ましいキャップ(20A)と任意のシール(80)とを含む収集デバイス(10)の分解斜視図である。図中、容器(50)はねじ山(54)を含み、それはキャップ(20A)のねじ山(42)(この図には示されていない)と対になっている。
【図2】図2は、図1のキャップ(20A)の拡大平面図である。図中、キャップ(20A)の円錐形内壁(33)には部分的に延びる線条(35)がある。
【図3】図3は、図1のキャップ(20A)の拡大底面図である。図中、キャップ(20A)の円錐形内壁(33)には部分的に延びる線条(35)がある。
【図4】図4は、本発明の別のキャップ(20B)の拡大平面図である。図中、キャップ(20B)の円錐形内壁(33)には十分に延びた線条(35)がある。
【図5】図5は、図1および図2に示されるキャップ(20A)および容器(50)の、図2の線5−5に沿って切り取られた拡大部分断面側面図である。キャップ(20A)の環状頂部壁(22)に適用された任意のシール(80)も示されている。
【図6】図6は、キャップ(20C)および容器(50)の拡大部分断面側面図である。図中、キャップ(20C)は延長した環状外側フランジ(40A)と、環状頂部面(48)に付着した任意のシール(80)と、上記環状外側フランジ(40A)の上部(46)内に含まれる芯(90)とを含み、容器(50)およびキャップ(20C)には係合するリム(55)、(43)がある。
【図7】図7は、図5に示されるキャップ(20A)と容器(50)の拡大部分断面側面図である。流体移動デバイス(70)(すなわち鋭角の先端を有するピペットチップ71)が貫通し、スワブ(130)が側壁(58)の内面(59)に沿って配置されている。
【図8】図8は、図7に示される流体移動デバイス(70)を除去した後の図5のキャップ(20A)の拡大平面図である。
【図9】図9は、図5に示されるキャップ(20A)および容器(50)と組み合わせたオーバーキャップ(100)の拡大部分断面側面図である。図中、オーバーキャップ(100)は環状頂部壁(104)の下面(105)の下に芯(90)を含み、任意のシール(80)が環状頂部壁(104)の上面(106)にある。
【図10】図10は、下方リブ構造(151A)、(152A)と鋭角の先端(71A)とを有するピペットチップ(70A)の拡大側立面図である。
【図11】図11は、2本の下方リブ構造(152A)と流体受口(161)とを含む、図(10)に示されるピペットチップのもう一つの拡大側立面図である。
【図12】図12は、図10に示されるピペットチップ(70A)の円錐部分(166)の遠位部分の拡大斜視図である。
【図13】図13は、図11に示されるピペットチップ(70A)の、線13−13に沿って切り取った拡大底面図である。
【図14】図14は、テーパー状遠位端または平滑遠位端(162B)、(163B)を有する下方リブ構造(151B)、(152B)、および上方リブ構造(174)を有するピペットチップ(70B)の拡大側立面図である。
【図15】図15は、2本の下方リブ構造(152B)、2本の上方リブ構造(174)、および流体受口(161)を含む、図14に示されるピペットチップ(70B)の別の拡大側立面図である。
【図16】図16は、図14に示されるピペットチップ(70B)の遠位部分の拡大斜視図である。
【図17】図17は、上方リブ構造(174)を有するピペットチップ(70C)およびピペットチップ(70C)の円錐部分(166)の内面(157)の下方リブ構造(151C)、(152C)の拡大側立面図である。
【図18】図18は、図17の線17−17に沿って切り取った、図17のピペットチップ(70C)の拡大断面図であり、円錐部分(166)の内面(157)にある下方リブ構造(151C)、(152C)が示される。
【図19】図19は、図17の線19−19に沿って切り取った、図17に示すピペットチップ(70C)の拡大底面図である。
【図20】図20は、円錐部分(166)の遠位端から管部分(167)の近位端に延びる連続リブ構造(176)を有するピペットチップ(70D)の拡大側立面図である。
【図21】図21は、管部分(167)に上方リブ構造(174)があり、円錐部分(166)には下方リブ構造がないピペットチップ(70E)の拡大側立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
図により、本発明のキャップ(20A−C)と、流体標本を受容し、保存するための容器(50)とを組み合わせて用い、その後に特定の病原体を診断する、核酸ベースのアッセイまたは免疫アッセイを用いる分析等の分析を行うことができる。所望の標本が生物学的流体である場合、その標本は血液、尿、唾液、痰、粘液またはその他の体内分泌物、膿、羊水、脳脊髄液または精液等である。しかし本発明はこれらの特異的生物学的流体以外の物質、例えば非制限的に、環境サンプル(例えば水)、化学物質およびアッセイ試薬、並びに流体ミリューに完全または部分的に溶解し得る固体物質(例えば組織標本、粉末、粒子、顆粒および食品類)等も考慮する。本発明のキャップ(20A−C)と共に用いる容器(50)は、キャップ(20A−C)と一緒になって実質的に漏出を防止するシールを形成できるのが好ましく、容器(50)が目的の物質(例えば流体標本またはアッセイ試薬)を受容し、保持する形を有することを条件に、上記容器はいかなる形または組成でもよい。容器(50)がアッセイすべき標本を含む場合、容器(50)の組成は本質的に不活性で、したがってそれがアッセイの性能または結果を著しくは妨害しないことが特に重要である。
【0030】
本発明のキャップ(20A−C)は多数の異なるポリマーおよびヘテロポリマー樹脂から調製され得る。それらにはポリオレフィン(例えば高密度ポリエチレン(「HDPE」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、HDPEとLDPEとの混合物、またはポリプロピレン)、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレンおよびポリカーボネート等が挙げられるが、これらに制限するものではない。HDPEの一例はアラソン(Alathon)M5370の商品名で市販され、ハンツヴィル(ノースカロライナ)のポリマーランド(Polymerland)から市販される;LDPEの一例は商品名722で販売され、ダウケミカル社(ミドランド、ミシガン)から市販される;ポリプロピレンの一例はレキセン(Rexene)13T10ACS279の商品名で販売され、ハンツマン(Huntsman)コーポレーション(ソルトレイクシティー、ユタ)から市販される。LDPEはHDPEに比べて軟らかく、展性のより大きい材料であるが、ねじ込みキャップをねじ容器に回してはめ込む際には、キャップがより硬いHDPE材料から形成されている場合に比べて、LDPEの軟らかさはより大きい摩擦抵抗を生み出す。HDPEから製造されたキャップはLDPEから製造されたものより硬く、この硬さがHDPEキャッから製造されたLDPEキャップより通過しにくくしている。本発明のキャップ(20A−C)は好ましくはHDPEから形成されるが、好ましくは、例えば容量で約20%LDPE:80%HDPE〜約50%LDPE:約50%HDPEの範囲のLDPEとHDPEとの混合物等を含む樹脂類の組み合わせから形成され得る。
【0031】
ここに提供される指針に基づいて、当業者は、慣用的実験以外のいかなる実験も必要とせずに、特定の使用条件下で硬性と貫通特性との最高の組み合わせをもたらす樹脂、または樹脂類の混合物を選択することができる。さらに、当業者は、受容可能なキャップ(20A−C)樹脂の範囲が上記収集デバイス(10)の形成のために用いられる樹脂の性質にも左右されることを理解する。なぜならばこれら二つのコンポーネントの形成に用いる樹脂の特性は収集デバイス(10)のキャップ(20A−C)と容器(50)とがいかに良く漏出防止シールを形成し得るか、そしてキャップ(20A−C)が容器(50)にいかに容易に確実にねじ込めるかに影響するからである。(現在好ましい容器(10)はポリプロピレンから作られている。)そしてキャップ(20A−C)の硬性および貫通特性をさらに微調整するために、成形材料を例えば加熱、照射または冷却によって処理することができることを当業者は理解する。
【0032】
選択した樹脂類の種類または混合物には関係なく、キャップ(20A−C)は好ましくは、射出成形の当業者には周知の方法、例えばキャップ(20A−C)の形を成形するために用いるキャップ−キャビティーへの均質樹脂流を促進するためのマルチ−ゲート方式等を用いて単品として射出成形される。均質樹脂流は、キャップ(20A−C)の貫通性表面には特に重要な、濃度の一貫性を実現するために望ましい。一体型に成形されたキャップ(20A−C)を製造した後、環状頂部壁(22)の内部円周(25)(図2を参照)か、または環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)の円周かどちらかによって規定される開口内に芯(90)を入れることができる(図6を参照)。上記芯(90)は好ましくはキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の上方に置かれ、収集デバイス(10)の外へのエーロゾルの広がりをさらに含んだり制限したりするのに役立つ。その上、図5および6に示すように、シール(80)を環状頂部壁(22)(キャップ(20A−B))の上面(24)かまたは環状頂部表面(48)(キャップ(20C))に備え付けて、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)上の開口を覆う防御カバーとする(存在すれば、芯(90)もキャップ(20A−C)に保持される)。
【0033】
円錐形内壁(33)の外側円周(38)は環状頂部壁(22)の内側円周(25)と単一面(示されず)で一致するが(環状内側フランジ(49)が存在しない場合等)、図5のキャップ(20A)は好ましい実施形態である。なぜならばこのキャップは、円錐形内壁(33)の外側円周(38)から環状頂部壁(22)の内側円周(25)にほぼ垂直に延びる環状内側フランジ(49)を含み、芯(90)を受け入れるために必要な開口内に付加的垂直スペースを与えるからである。しかし芯(90)がキャップ(20A−C)に含まれる場合は図6に示すような環状外側フランジ(40A)の延長が特に好ましい。この配置において、環状外側フランジ(40A)は、環状頂部壁(22A)の上面(24A)の上に位置する上部(46)を有し、上記環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)が環状頂部壁(22A)の上面(24A)で終わるように構成される。この好ましい配置によると、環状頂部壁(22A)の内側円周(25)は環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)によって規定される円周より小さい。このようにして、環状頂部壁(22A)の上面(24A)は円錐形内壁(33)の上に芯(90)を配置し、保持するための棚として機能することができる。
【0034】
芯(90)を含むことは、エーロゾルが容器(50)から環境へ移動するのを遅らせるだけでなく、流体移動デバイス(70)を容器(50)およびキャップ(20A−C)から抜き取る際に上記流体移動デバイス(70)の外側に対するふき取り作用を行うためにも(芯が)取り付けられる。好ましいやり方では、芯(90)は流体移動デバイス(70)の外側から毛細管作用によって流体を引き離すように働く。ここに用いられる用語「芯」は、流体移動デバイス(70)の外側に存在する流体を除去するふき取り機能、および/または流体移動デバイス(70)から外部へ除去された流体を保持する吸収機能を行う材料を意味する。本発明のキャップ(20A−C)と共に用いられる芯(90)材料の例には、非制限的に、パイル織物、スポンジ、フォーム(スキン層を含むか含まない)、フェルト、スライバーニット、ゴアテックス(登録商標)、スパンデックス(登録商標)、およびその他の天然および合成材料がある。これらの材料を機械的または化学的に処理して、芯(90)の所望機能をさらに改善することもできる。例えば、ナッピングを用いて表面積を、したがって芯(90)の流体保持能力を高めることができる。芯(90)の材料を界面活性剤等の湿潤剤で前処理して流体移動デバイス(70)の外側表面に存在する流体の表面張力を下げることもできる。アクリル性結合剤を使用して、例えば前記湿潤剤を芯(90)材料に実際に結合させてもよい。
【0035】
大部分の標準空気置換ピペットチップの場合のように、流体移動デバイス(70)が均一直径でない場合には、流体移動デバイス(70)を収集デバイス(10)から抜き去る際に、芯(90)の材料が上記流体移動デバイス(70)のより小さい直径部分の周囲で変形し得るのが好ましい。従って例えばパイル織物、スポンジ、フォームおよびスパンデックス等の材料は、圧縮力にさらされた後、速やかに反発する能力を有するため、好ましい。パイル織物は特に好ましい芯(90)材料である。その例にはローラー・ファブリックス(ミルウォーキー、ウィスコンシン)からPartNo.ASW112として市販される、アクリル構造の3/8インチ(9.53mm)パイル織物等がある。その他の容認されるパイル織物は1/4インチ(6.35mm)〜5/16インチ(7.95mm)範囲のアクリルおよびポリエステル材料から作られ、マウント・ベルモン・ミルズ社(ルフランス、サウスカロライナ)からPartNo.0446、0439および0433として市販される。芯(90)材料は容器(50)内に含まれる流体サンプルに対して不活性であるのが好ましい。
【0036】
芯(90)材料は流体を流体移動デバイス(70)の外側から引き離し、および/またはエーロゾルおよび/または泡の形の流体を捕獲するように設計されているので、芯(90)の材料および寸法は流体の過剰飽和を避けるように選択されねばならない。もしも芯(90)が過剰に飽和すると、流体は流体移動デバイス(70)の外部から十分にふき取られないかも知れず、そして/または流体移動デバイス(70)の挿入時および/または収集デバイス(10)内部からの空気の置換時に泡が生成するかも知れない。こうして、芯(90)が関与する推定流体移動回数が与えられるならば、所与のキャップ(20A−C)構造、流体移動デバイス(70)および流体物質を用いた場合に十分なふき取り作用、およびエーロゾルおよび/または泡の閉じ込めを実現するように芯(90)の寸法および吸着特性を合わせることが重要である。そのため、所与の適用において、芯(90)に含まれる推定される流体量が増加するにつれて、芯(90)材料の量および/またはその吸収性を、使用中の芯(90)が過度に飽和しないように調節する必要がある。
【0037】
収集デバイス(10)からの空気流を相対的に阻害しないように芯(90)を構成してキャップ(20A−C)中に配置することも重要である。この特性は芯(90)が乾燥している際に重要であるだけでなく、それが所与の適用で期待される最大量の流体を吸収した際にも重要である。しかし、芯(90)のこの特性は、芯(90)が逃げるエーロゾルおよび/または泡を捕獲するのに十分な密度を有するという要求と均衡を図る必要があることを理解しなければならない。そこで、当業者はエーロゾルおよび泡を捕捉できるマトリックスを有し、同時に、貫通性キャップ(20A−C)の下地材料を貫通すると直ちに収集デバイス(10)から空気を排出させ得るような芯(90)材料を選択または設計しなければならない。
【0038】
図6に示されるように、芯(90)はキャップ(20C)の環状頂部表面(48)の水平面の下(またはキャップ(20A−B)の環状頂部壁(22)の上面(24))および環状頂部壁(22A)の上にフィットするような寸法であることが好ましい。その際、芯はシール(80)と環状頂部壁(22A)によって制限される。芯(90)がキャップ(20A−B)を突き通して行く、または上記キャップから除去されつつある流体移動デバイス(70)との摩擦接触によってこの位置からの移動が実質的にないことをより確実にするために、芯(90)の上または下に、キャップ(20A−C)の内面(21)、(123)から内方に伸びる少なくとも一つの環状棚(示されず)を備えることができる。このような環状棚は、キャップ(20A−C)がシール(80)を含まない場合は特に有益である。その上、芯(90)の可動性をさらに阻止する目的で、芯を、示唆される環状棚、シール(80)および環状頂部壁(22A)の少なくとも一つに接着剤で、またはその他の方法で付着することができる。あるいは芯(90)を環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)に、接着剤またはその他の方法で付着することができる。
【0039】
好ましい実施形態において、環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)によって規定される開口部は、例えば感圧接着剤を使用して、金属箔(80)(または箔積層体)でシールされる。この接着剤は環状頂部表面(48)(キャップ20C)または環状頂部壁(22)の上面(24)(キャップ20A−B)に塗布される。芯(90)の材料および形状は、流体移動デバイス(70)をキャップ(20A−C)および容器(50)に挿入する際、またはそこから引き抜く際に、上記流体移動デバイス(70)に対する摩擦的妨害が最小になるように設計されねばならない。この際、例えばスポンジまたはフォームの場合、芯(90)の中心に穿孔をあけるか、または一つ以上のスリットを作ることが必要になる。それらは摩擦的妨害を最小にするが同時に流体移動デバイス(70)に若干の摩擦的妨害は与えるような寸法を有し、それによってエーロゾルの移動が制限され、ふき取り作用が実現する。もしもパイル織物を芯(90)として使用するならば、上記パイル織物は、好ましくは、個々の繊維の自由端は互いに内側に向き、パイル織物裏地からは離れる方向に配置される。この裏地は、環状内側フランジ(49)の内面(21)か、または環状外側フランジ(40A)の上部(46)の内面(123)内に、概ね円形になるようにキャップ(20A−C)に取り付けられる。容器(50)およびキャップ(20A−C)内に、またはそれらから移動する流体移動デバイス(70)に対して上記パイル織物が過剰の摩擦的妨害を生じ、それによって流体移動デバイスの移動を実質的に阻害する程、上記パイル織物を緻密に巻かないように注意すべきである。もしも芯(90)を貫通するために必要な力が、それを含むキャップ(20A−C)の貫通に必要な力より大きい場合、流体移動デバイス(70)の移動は「実質的に妨害される」ようにみえる。芯(90)の通過に必要な力は約4.0ポンド(1.81kg)未満が好ましく、約2.0ポンド(0.91kg)未満がより好ましく、約1.0ポンド(0.45kg)未満がさらにより好ましく、約0.5ポンド(0.23kg)未満が最も好ましい。
【0040】
シール(80)が含まれる場合、それはプラスチックフィルム(例えば二軸ポリプロピレン)または金属箔材料(例えばアルミニウム箔)からなることが好ましい。それらは接着剤を含む、当業者に公知の手段によって、環状頂部表面(48)(キャップ20C)に、または環状頂部壁(22)(20A−B)の上面(24)に付着可能である。金属シール(80)としては、プラスチックライナーがさらに挙げられる。それは例えば金属材料の一面または両面に適用されたHDPEの薄板等であり、それはヒートシーラーを用いる際に環状頂部壁(22)へのシール(80)の付着を促進する。ヒートシーリングは周知の方法であり、熱の発生およびシールされる表面(この場合は環状頂部表面(48)(キャップ20C)または環状頂部壁(22)(キャップ20A−B)の上面(24)である)への加圧を含む。熱を用いて環状頂部表面(48)または環状頂部壁(22)(そしてもしも樹脂薄板が含まれるなら、シール(80)も)の材料を軟かくして、上記シール(80)を永久的に受け入れる。そしてキャップ(20A−C)に圧をかけ、その間にシール(80)は環状頂部表面(48)または環状頂部壁(22)の上面(24)に固定される。高周波または高振幅音波のいずれかを用いる任意の公知の超音波溶接法を用いてシール(80)をキャップ(20A−C)に固着させてもよい。
【0041】
収集デバイス(10)からのエーロゾル放出が特に懸念される場合、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の通過時に収集デバイス(10)から放出されるエーロゾル量を、シール(80)を用いてさらに減らすことができる。これらの環境下では、シール(80)のために選択される材料は、ピペットチップまたは液輸送針等の流体移動デバイス(70)がそれを通過する際に生ずる裂けが最小になるような材料でなければならない。しかしキャップ(20A−C)が貫通された際に収集デバイス(10)内に真空が発生するのを回避するために、多少の裂けは望ましい。本発明のキャップ(20A−C)に対して用いることができるピペットの一例は、Eppendorf−Netherler−HinzGmbH(Hamburg、Germany)から提供されるGenesisシリーズ1000μl Tecan−Tip(フィルターつき)である。シール(80)は、収集デバイス(10)から放出されるエーロゾルの量を制限することに加えて、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)および/または挿入された芯(90)を不都合な環境汚染物質から防御するためにも役立つ。
【0042】
図5に示すように、本発明のキャップ(20A−C)は円錐形内壁(33)を備えるように設計され、その円錐形内壁は環状頂部壁(22)の内側円周(25)によって規定される開口部(図2参照)から実質的に上記環状頂部壁(22)の対称軸(30)に位置する尖端(34)まで内方にテーパ状である。上記円錐形内壁(33)の形は流体移動デバイス(70)を上記円錐形内壁(33)の尖端(34)に導くために役立ち、その尖端で上記流体移動デバイス(70)が図7に示すように、キャップ(20A−C)を貫通する。そのため上記円錐形内壁(33)の角度は、流体移動デバイス(70)のチップ(71)による上記尖端(34)の貫通が実質的に妨害されないように選択されねばならない。従って、円錐形内壁(33)の対称軸(30)に対する角度は、約25〜約65゜であることが好ましく、約35〜約55゜であることがより好ましく、約45゜±5゜であることが最も好ましい。理想的には円錐形内壁(33)は対称軸(30)に対して単一の角度を有する。
【0043】
図7に示されるように、本発明のキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の形は、標本担持綿棒(130)等の標本回収デバイスを、それが流体移動デバイスの収集デバイス(10)への、または収集デバイスからの移動を実質的には妨害しないように、容器(50)の側壁(58)の内面(59)に沿って位置づけるように役立つこともできることを発見した。このような妨害とは、流体移動デバイスが収集デバイス(10)に入ったり、そこから出たりする際に綿棒(130)と上記流体移動デバイスとの間に何らかの物理的接触を起こすことであり得るか、または単に、上記流体移動デバイスが収集デバイス(10)に入り、そこから流体サンプルの正確な量を引き出すために上記綿棒(130)の位置が邪魔にならないことを意味し得る。綿棒(130)が収集デバイス(50)内の流体移動デバイスの通路から確実に十分離れているためには、収集デバイス(10)を完全に組み立てたときに、綿棒(130)が円錐形内壁(33)の外側表面(37)の下に、容器の側壁(58)の内面(59)に沿ってぴったりとフィットするような大きさにしなければならない。このようにきちっとフィットさせるための一方法は、中間部スコアライン(示されず)を含むように製造された綿棒(130)を使用することである。これによって綿棒(130)の上部を使用後、手で折り取り、捨て、標本を含む綿棒(130)下部のみを収集デバイス(10)に残すことができる。綿棒(130)に対するスコアラインの正確な位置は、キャップ(20A−C)を容器(50)に摩擦的にフィットさせた際の、収集デバイス(10)の内部の寸法に基づいて決めなければならない。折れる綿棒は米国特許第5,623,942号に詳細に記載されており、この内容は参考として本明細書に援用される。
【0044】
本発明のもう一つの実施形態は図9に示され、図2−5に示されるキャップ(20A−B)上にフィットするように取り付けられる(一般にはシール(80)はない)、好ましくは射出成形プラスチックからなるオーバーキャップ(100)を含む。キャップ(20A−B)の環状外側フランジ(40)と上記オーバーキャップ(100)の環状フランジ(102)の内面(101)の一部との間が摩擦によりフィットすることが好ましい。キャップ(20A−B)とオーバーキャップ(100)との間のこの摩擦によるフィットを実現するために、オーバーキャップ(100)は、上記オーバーキャップ(100)の内面(101)から内方に延びる一本以上のリブ(103)を備え、かつ上記オーバーキャップ(100)がキャップ(20A−B)上に置かれた場合に環状外側フランジ(40)と物理的に接触するよう形成される。この実施形態のオーバーキャップ(100)は、オーバーキャップ(100)の環状フランジ(102)の内面(101)内、そしてオーバーキャップ(100)の環状頂部壁(104)の下面(105)の下に、例えば、摩擦的フィットまたは接着剤等によって固定された芯(90)を含む。芯(90)は上で議論したいずれかの理由で用いることができ、上に述べたエーロゾル遅延またはふき取り特性を有するいかなる材料で作ってもよい。シール(80)も含むことができ、例えば流体移動デバイス(70)が円錐形内壁(33)を貫通する際に収集デバイス(10)からのエーロゾル流に対する付加的障壁として作用する。使用する場合、シール(80)を、上記の加熱および超音波法を含む従来の方法を用いてオーバーキャップ(100)の環状頂部壁(104)に適用することが好ましい。キャップ(20A−B)の円錐形内壁(33)に流体移動デバイス(70)を貫通させるために、オーバーキャップ(100)の環状頂部壁(104)は流体移動デバイス(70)を受け入れるような寸法の開口部(107)を備える。この場合開口部(107)の大きさは環状頂部壁(104)が流体移動デバイス(70)の収集デバイス(10)の容器(50)内への、および容器からの移動を妨害しないように十分大きい。
【0045】
好ましいキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)には、尖端(34)から、または尖端近くの1個所以上の出発点(31)から(図4参照)半径方向に外側に、円錐形内壁(33)の外側円周(38)に向かって延びる複数の線条(35)がある。線条(35)が尖端「近くの」出発点(31)から延びる場合、上記出発点(31)は円錐形内壁(33)において尖端(34)から少なくとも約0.05インチ(1.27mm)の距離内、好ましくは尖端(34)から少なくとも約0.025インチ(0.635mm)の距離内に位置する。円錐形内壁(33)の線条(35)の出発点(31)全てが尖端(34)からわずかに離れた位置にある場合は、以下に述べるように、射出成形プロセス中に尖端(34)の樹脂厚さがより均一になり、線条(35)は貫通の際によりなめらかに「開く」傾向があることが判明した。
【0046】
図1−6、8および9に示されるように、線条(35)は、流体移動デバイス(70)による円錐形内壁(33)の貫通を促進することが判明した。キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の線条(35)の例としては、チャネル、溝、エッチングまたは一連の穿孔が挙げられ、これらは公知の射出成形技術を用いてコアピン上に形成でき、または周知の技術を用いてキャップ(20A−C)形成後に物理的にエッチングするかまたは切断ツールで突き通すことによって形成することができる。線条(35)の数は、キャップ(20A−C)の貫通に必要な力の減少によって測定して、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の貫通性を改善するために十分な数であればよい。とはいえ、キャップ(20A−C)の線条の数は約3〜約12が好ましく、約6〜約10がより好ましく、約8が最も好ましい。図2に示される一実施形態において、全ての線条(35)は尖端(34)から大体等しい距離だけ延び、想像線(28)が周辺に沿って引き上げられて線条(35)の終点(27)と一緒になるとき、円錐形内壁(33)に概ねクサビ形の部分が形成される。図4には十分延びた線条(35)について同様な形状が示される。図2および図4に図示されるこれらのクサビ形部分(26)は概略寸法および形が同じであることが望ましい。線条(35)は円錐形内壁(33)の内面(36)または円錐形内壁(33)の外面(37)、または両面(36)、(37)のいずれの上に形成されてもよい。
【0047】
線条(35)が本発明のキャップ(20A−C)に備えられる場合、流体移動デバイス(70)が複数の線条(35)を有するキャップ(20A−C)を貫通するために要する力は、同じ材料、形および寸法で、線条(35)を含まないキャップの貫通に要する力より小さくなければならない。複数の線条(35)を有するキャップ(20A−C)の貫通に必要な力は、同じ材料、形および寸法で、線条(35)をもたないキャップの貫通に必要な力の多くとも約95%であることが好ましい。キャップ(20A−C)を「貫通する」ために、流体移動デバイス(70)は上記円錐形内壁(33)の好ましくは尖端(34)、またはその近くを突き通しさえすればよい。その力の値は、好ましくは多くとも約85%以上、さらにより好ましくは多くとも約75%、最も好ましくは多くとも約65%である。流体移動デバイス(70)が、図7に示すように、斜めに切断したチップを有する場合は、この数値は理想的には多くとも約50%である。線条のあるなしに関係なく、本発明の全てのキャップで、プラスチック製流体移動デバイス(70)(すなわちピペットチップ)がキャップを貫通するために必要な好ましい力は約8.0ポンド(3.63kg)未満、より好ましくは約6.0ポンド(2.72kg)未満、そして最も好ましくは約4.0ポンド(1.80kg)未満である。キャップの貫通に必要な力は、以下の実施例に記載される装置、材料およびプロトコルを用いて決定され得る。
【0048】
本発明のキャップ(20A−C)と共に用いる特に好ましい流体移動デバイスは図10−19に示されるピペットチップ(70A−C)である。このピペットチップ(70A−C)は一つ以上のの下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)を備える。それらは、必ずというわけではないが、好ましくは、概して垂直の方向で(以下のピペットチップ(70A−E)の局面を説明するために用いる場合、「垂直」とは、例えば図10に示すように、ピペットチップ(70A−E)の遠位端から近位端へ延びる対称軸(72)の方向を意味する)、ピペットチップ(70A−B)の遠位端で外面(153)から外側へ、またはピペットチップ(70C)の遠位端では内面(157)から内側へ延びる。(本明細書の任意の実施形態に用いられる用語「リブ構造」とは、一連の短い、または間欠的リブ構造(示されず)も考慮され、これは、例えば大きさおよび形が同じかまたは異なり、間隔が等しいかまたは等しくない一連の突起の形でもよい。)これらの下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)を付け加えると、ピペットチップ(70A−C)は強化され、その結果、それは曲がることなくキャップ(20A−C)を容易に貫通し得ることが判明した。ピペットチップ(70A−C)が曲がると、キャップ(20A−C)の貫通が妨げられ、ピペットチップ(70A−C)のオリフィス(161)が詰まり、および/またはその後ピペットチップ(70A−C)から分配される流体流を誤った方向に導き得る。
【0049】
下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)をピペットチップ(70A−B)の外面(153)の実質的に垂直な線に沿って(あるいはピペットチップ(70A−C)の硬度は高めるが、表面材料を貫通し、液体を引き出しまたは分配するピペットチップの機能を妨害しない他のあらゆる方向に)配置し、または一体化することができる一方、ピペットチップ(70A)の遠位端の外面(153)に少なくとも1個の下方リブ構造(151A)を配置し、下方リブ構造(151A)の端(162A)が斜めに切断したチップ(71A)のポイント(155A)と共に終わるようにすることが一般的には好ましい。(遠位端にあるオリフィス(161)周囲に平らなまたは鈍い(blunt)末端面を有するピペットチップ(示さず)でも下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)が使用できることを記載しておかねばならない。)もしもピペットチップ(70A−B)が一個より多いリブ構造を備える場合、下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)はピペットチップ(70A−B)の遠位端で外面(153)上に等しい距離だけ離して周囲に配置することが好ましいが、下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)のこのような正確な配置は必要事項ではない。
【0050】
ピペットチップ(70A−C)は、任意の周知の射出成形法を用いる製造中に、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)を含むように変形させた従来の単一部品のプラスチック製ピペットチップであることが理想的である。あるいは、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)をピペットチップ(70A−C)の外面または内面(153、137)に、例えば不活性接着剤を用いて適用してもよい。本明細書中に記載されるあらゆる改変の前に、容認できるピペットチップの例はMolecularBioProducts(San Diego、CA)からカタログ番号904−011として提供されるART(登録商標)1000μlピペットチップである。この特定のピペットチップは、キャリーオ−バー汚染が懸念されるときに特に好適に適用される。なぜならばそれはピペットチップ(70A−C)の内部チャンバ(154)(図18参照)内のある位置にフィルター(示されず)を含み、そのフィルターはピペッティング中に発生する汚染の可能性のある液体またはエーロゾルの通過を阻止または妨害するように機能するからである。下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の好適数は3個であるが、選択する正確な数は、少なくとも一部分は、ピペットチップ(70A−C)の製造に用いる樹脂または組み合わせ樹脂類のタイプによって、並びに貫通性キャップ(20A−C)またはその他の表面材料を突き通す(そのようなことがピペットチップ(70A−C)の意図した使用である場合)ために必要な予測される力によって決められるべきである。ピペットチップ(70A−C)を製造するためにより柔らかい材料が選択される場合、または表面を突き通すためにより大きい力が必要な場合、ピペットチップ(70A−C)に対する下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の数を増やすことが望ましい。
【0051】
ピペットチップ(70A−C)の硬さを増強するもう一つの手段は、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の厚さまたは幅を調節することである。好ましい実施形態において、斜めに切断したチップ(71A)でともに終わる下方リブ構造(151A)はピペットチップ(70A)に配置されたその他の下方リブ構造(152A)のどれよりも厚く、より広い幅を有する。図12および図13に示されるように、これらの好ましい下方リブ構造(151A)のより大きいものは、横断面が半径約0.020インチ(0.508mm)の半円形を実質的に形成し、一方、この好ましい実施形態におけるより小さい好ましい下方リブ構造(152A)は(それも実質的には横断面が半円形である)各々約0.012インチ(0.305mm)の半径を有する。当業者は、選択した樹脂の特性および一種類以上のあらかじめ選択した表面材料を貫通するために要する予想される力を考慮して、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の厚さおよび深さを容易に調節できるのは当然である。そして好ましい下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の形は横断面が実質的には中実の半円形であるが、本発明のリブ構造(151A−C)、(152A−C)は中実または中空のコアいずれかを有し得、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の形がピペットチップ(70A−C)の貫通またはその流体流特性を著しくは妨害しないという条件で、幾何学的および/または非幾何学的形(横断面)のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含むように形造られる。下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)に利用され得るおおまかな幾何学的形の例としては、三角形、四角形、矩形、半円形、およびほぼ完全な円が挙げられるが、これらに制限されない。
【0052】
下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)の好ましい位置はピペットチップ(70A−B)の遠位端の外面(153)上であるとはいえ、ピペットチップ(70C)の近位端の内面(157)に下方リブ構造を置くこともある種の利益をもたらす。例えば、下方リブ構造(151C)、(152C)をピペットチップ(70C)の内面(157)に置くと、鋳型の製造を容易に、且つより安価にすることによって、射出成形法を簡単にすることができる。その上、内面(157)に下方リブ構造(151C)、(152C)を形成すると、ピペットチップ(70C)の底面(示されず)における滴形成または滴の垂れる程度は減少し得、しかも流体と接触するピペットチップ(70C)の表面積が減少することによってピペットチップ(70C)の外面(153)への流体の付着が減少し得る。この特定の構造では、図10および図11に示される下方リブ構造(151A)、(152A)は図18に示すように円錐部分(166)の内側に鏡像様式で配置することができ、これらの内側に置かれる下方リブ構造(151C)、(152C)では厚さを注意深く選択し、ピペットチップ(70C)の遠位端にある開口部(161)の大きさを調節して、ピペットチップ(70C)内への、またはピペットチップ(70C)からの流体移動が実質的に妨害されないようにする。ピペットチップ(70C)内への、またはそこから出る流体の流れを過度に阻害するのを避けるように設計された可能な配列を図19に横断面図として示す。これらの内部、下方リブ構造(151C)(152C)の適切な寸法およびピペットチップ(70C)の開口部(161)の大きさの決定は、慣用的実験以外のものを必要とせず、特定の用途に依存する。
【0053】
図12に示される下方リブ構造(151A)、(152A)の好ましい遠位末端(162A)、(163A)は、ピペットチップ(70A)の遠位端の底面(158A)と同一平面であり、上記底面の一部を輪郭づけている。従って、ピペットチップ(70A)が図10−12に図示したように斜角の先端(71A)を有する場合、下方リブ構造(151A)、(152A)の各々の遠位末端(162A)、(163A)は、図10に示す対称軸(72)に対して斜角の先端(71A)と同じ角度を共有する。好ましいピペットチップ(70A)において、この角度は約30゜ないし約60゜、より好ましくは約35゜ないし約55゜、最も好ましくは45゜±5゜である。しかし、遠位末端(162A)、(163A)がピペットチップ(70A)の底面(158A)と同一平面であり、上記底面を一部分輪郭づけることは、本発明の必要事項ではない。例えば、図14および図16は別の形態を示している。そこではリブ構造(151B)の遠位末端(162B)は、斜角の先端(156B)の一点(155B)を形成せずに、そこから離れていて細くなり、ピペットチップ(70B)の点(155B)をよりクサビ形にする。図14−図16が示すように、下方リブ構造(151B)、(152B)はまた、上記遠位末端(162B)、(163B)の面がピペットチップ(70B)の遠位端の底面(158B)と同一平面ではなく、底面(158B)の上方に垂直な点に形成されるように配置される。(より小さい方の下方リブ構造(152B)は図14−図16にこの仕方で実際に描かれているが、大きい方の下方リブ構造(151B)の遠位端(162B)も同様に底面(158B)の上方に置くことができる。)ピペットチップ(70B)の遠位端における表面張力による液滴形成を最小にすることが所望な場合、図16に示すようなやり方で底面(158B)の表面積を減らすことが好都合である。
【0054】
図14−図16に示す下方リブ構造(152B)の遠位末端(163B)は鈍い先端であるが、別の設計も同様に容認される。一例として、より小さい方の下方リブ構造(152B)は図14に示される大きい方の下方リブ構造(151B)と同様なテーパ状の形をとることもできる。より小さい方の下方リブ構造(152B)のテーパ状の形は図15および図16に示す底面(158B)の外側円周(165B)で終わっても、底面(158B)の上方のある点で終わってもよい。各下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)のためにどんな形または末端の位置を選択しようと、大部分の場合に第一に考慮すべきことは、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の大きさ、形、数および位置がピペットチップ(70A−C)が表面材料を貫通するために必要な力、およびピペットチップ(70A−C)の強度に与える影響である。
【0055】
好ましい下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)が遠位末端(162A−B)、(163A−B)(これは概ねピペットチップ(70A−B)の底面(158A−B)に、またはその近くに位置する)から延びる距離は、同じピペットチップ(70A−B)にある下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)の間で変化してもよく、いかなる長さでもよい。とはいえ、好ましい長さは少なくとも約0.25インチ(6.35mm)、少なくとも約0.5インチ(12.7mm)、および少なくとも約1.0インチ(25.4mm)である。遠位末端(162A−B)、(163A−B)が底面(158A)、(158B)の「近くに」位置する場合、ピペットチップ(70A−B)の遠位端の外側円周(165A)、(165B)から各遠位末端(162A−B)、(163A−B)までの距離は、約0.5インチ(12.7mm)以下、より好ましくは約0.25インチ(6.35mm)以下である(「近く」のこの定義は、円錐部分(166)の内面(157)に位置する下方リブ構造(151C)、(152C)の遠位末端(図示されず)の記述および後で述べる連続リブ構造(176)の記述にも等しくあてはまる)。図10、図11、図14および図15に説明される好ましい実施形態において、ピペットチップ(70A−B)はピペットチップ(70A−B)の遠位端に円錐部分(166)を形成し、下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)はピペットチップ(70A−B)の底面(158A−B)から、またはその近くから円錐部分(166)の近位端の点まで延び、そこで円錐部分(166)は管部分(167)とともに集まる。この実施形態において、各下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)の近位末端(168)、(169)は、円錐部分(166)と管部分(167)とを分離する円周ライン(170)に合致した点に向かってテーパ状になる。下方リブ構造(151A−B)、(152A−B)は底面(158A−B)の点またはその近くの点から管部分(167)のいかなる点にまでも、ピペットチップ(70A−B)の近位端の頂上面(173)の点またはその近くの点にまで(フランジ(172)が存在しない場合)、または図20に示すように、ピペットチップ(70D)の近位端のフランジ(172)の底面(171)にまでさえ延びることができる。
【0056】
下方リブ構造(151A)、(152A)を管部分(167)の一点または複数の点に延ばすことによって(例えば図20を参照のこと)、あるいは別個に、または専ら、上方リブ構造(174)を管部分(167)に配置することによって(「別個」に配置する例としては図14−図18を、「専ら」配置する例としては図21を参照)、ピペットチップ(70B−E)を用いて流体含有容器(50)と連結する表面材料を貫通する際に固有の利益が期待される。これらの利益のうちで最も重要なのは、ピペットチップ(70B−E)が収集デバイス(10)の容器(50)に入ることによって置換される空気量の少なくとも一部分を、貫通された表面材料の穿孔から排出させる空気ギャップまたは通路が生成することである。表面貫通時に、上方リブ構造(174)または連続リブ構造(176)と貫通された表面材料との間の接触点に接する領域にこれらの通路が生成する。貫通中にこれらの通路が生成することによって、ピペットチップ(70B−E)が収集デバイス(10)に挿入されたり、そこから引き抜かれたりする際に、上方リブ構造(174)および連続リブ構造(176)は、貫通された表面材料の穿孔を通過する空気の高圧移動を阻止する働きをする。
【0057】
流体移動針のような、比較的小さい直径を有する流体移動デバイスでは、収集デバイスに入る流体移動デバイスによる空気の置換はあまり心配ない。それにもかかわらず、収集デバイスの内部空間と周囲環境との間の圧力差はなお懸念され得る。収集デバイス内部の空気圧が周囲空気圧より著しく大きい場合、上記収集デバイス内の流体物質の少なくとも若干は、流体移動デバイスが収集デバイスから引き抜かれる際に貫通表面材料に作られた穿孔から逃げる。これは貫通された表面材料が通過する流体移動デバイスの周囲にシールを形成し得、そのシールは流体移動デバイスが上記収集デバイスから完全に引き抜かれる際に大きく破壊され、その時二種類の空気圧が急速に平衡状態になろうとして、エーロゾルまたは気泡の形態の流体物質が収集デバイスから逃げ得るからである。その上、貫通された表面材料は流体移動デバイス周囲にシールを形成するから、収集デバイス内に部分的真空が形成され得、それは流体移動デバイスから流体物質を引き込み得、それによってピペッティングの正確さに影響を与え、流体移動デバイスが収集デバイスから引き抜かれる際に多分流体物質を滴下させる。これらの潜在的問題を最小にし、または排除するために、流体移動デバイスが表面材料を通過する際に収集デバイスから空気を吐き出させる通路を造り、流体移動デバイスが引き抜かれる間この通路を維持することが重要である。これを達成するには、流体移動デバイスが収集デバイスに入り、そこから流体物質を取り出す際に、流体移動デバイスが貫通する表面材料と接触することが予想される流体移動デバイスの少なくとも若干部分に、上または連続リブ構造(174)、(176)を付加する。この方法で小さい空気ギャップが貫通表面材料と流体移動デバイスの一部との間に形成され、それによって流体移動デバイスが収集デバイスから完全に引き抜かれる前の内部および外部空気圧の平衡が容易になる。
【0058】
図14−16に示されるように、上方リブ構造(174)が下方リブ構造(151B)、(152B)とは区別される場合、上方リブ構造(174)は概ね垂直方向に配置される下方リブ構造(151B)、(152B)の同数と縦に一列に並ぶのが好ましい。上方リブ構造(174)は任意の周知の射出成形法を用いて管部分(167)と一体に成形するのが好ましいが、上方リブ構造(174)は例えば不活性接着剤を用いて管部分(167)に接着してもよい。1本の上方リブ構造(174)でも有益な空気ギャップを作ることができるが、上方リブ構造(174)の好ましい数は少なくとも3本である。しかし管部分(167)に配置され得る上方リブ構造(174)の数には制限はない。しかし上方リブ構造(174)の少なくとも一つの目的が、収集デバイス(10)の内部チャンバ(175)を排気させることである場合は、ピペッティング中に空気ギャップが形成され、それによって置換空気の十分な排出および/または収集デバイス(10)の内側および外側の空気圧の平衡が容易になるように、上方リブ構造(174)の大きさ、形、数および方向を選択すべきである。
【0059】
下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の場合と同様、横断面で見た上方リブ構造(174)は、上記上方リブ構造(174)の形(一種類または数種類)が、それらを組み込んだピペットチップ(70B−E)の貫通特性を著しく妨害しない限り、幾何学的および/または非幾何学的形のいずれでもよいし、それらの組み合わせでもよい。下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)と組み合わせて用いる際の上方リブ構造(174)の形は、下方リブ構造(151A−C)、(152A−C)の形と同じでも異なっていてもよい。可能な形の例としては半円形、ほぼ完全な円形、三角形、四角形および矩形が挙げられる。各上方リブ構造(174)の横断面の形が幅約0.02インチ(0.508mm)、高さ(管部分(167)の外面(153)から測定して)約0.02インチ(0.508mm)の寸法の正方形であるのが好ましい。上方リブ構造(174)がピペットチップ(70B−E)の貫通特性を著しくは妨害せずに所望空気ギャップを作り出すことができるならば、上方リブ構造(174)の正確な寸法は重要でない。
【0060】
上記のように、ピペットチップ(70D)の下方および上方リブ構造は図20に示すように連続リブ構造(176)を形成し得、それによって円錐部分および管部分(166)、(167)の間が壊れないリブ構造(176)を作り出すこともできる。とはいえ、好ましいピペットチップ(70B)は異なる下方および上方リブ構造(151B)、(152B)、(174)を含む。図14−16に示されるこの好ましい実施形態において、下方リブ構造(151B)、(152B)はそれらの近位端でテーパ状となり、末端(168)、(169)を形成し、それらは円錐部分(166)と管部分(167)とを線引きする円周ライン(170)で終わる。この好ましい実施形態における上方リブ構造(174)は、円周ライン(170)で終わる遠位端に鈍い角度の末端(177)を有する。とはいえ、上方リブ構造(174)も同様に下方リブ構造(151B)、(152B)に対して鏡像様式でテーパ状となり、円周ライン(170)で終わることもできる。
【0061】
キャップ(20A−C)の貫通をさらに容易にするために、本発明の流体移動デバイス(70)、(70A−E)は、図7、10、12、14、16、18、20および21に示すように斜角の先端(71)、(71A−D)を含むのが好ましい。斜角の先端(71)(71A−D)を用いるとき、流体移動デバイス(70)(70A−E)(例えば樹脂製流体輸送針またはピペット)の遠位端は、流体移動デバイス(70)、(70A−E)の対称軸72に対して約30゜ないし約60゜の角度を有するのが好ましい。図7に示されるように、斜角の先端(71)、(71A−E)の角度が流体移動デバイス(70)、(70A−E)の対称軸(72)に対して約45゜±5゜であるのが最も好ましい。しかし流体移動デバイスの先端がキャップを貫通する際に上記流体移動デバイスの一体性が損なわれず、予測的かつ確実に流体を分配または引き出す上記流体移動デバイスの能力に影響がないという条件付きで、キャップの貫通性を改善するいかなる角度の斜角の先端も望ましい。
【0062】
有用であるためには、本発明の流体移動デバイスは、それらの近位端が自動的または手動操作の流体移動装置と連結したプローブによって確実に係合することができるように構成されねばならない。流体移動装置は、ピペットチップ等の流体移動デバイスへのまたは流体移動デバイスからの流体の移動を容易にするデバイスである。自動的流体移動装置の例は、テカン社(TECANAG)(Hombrechtikan、スイス)から販売されるゲネシスシリーズロボチックサンプルプロセッサー(GENESIS Series Robotic SampleProcessor)である。手動操作の流体移動装置の例はレイニンインスツルメントカンパニー(Rainin Instrument Company)(エメリーヴィル(Emeryville)、CA)から提供されるピペット−プラス(Pipet−Plus)(登録商標)ラッチ−モード(Latch−Mode)TMピペット(Pipette)である。
【0063】
図1−9の種々の実施形態に描かれている円錐形内壁(33)の説明に戻ると、選択される線条(35)の数およびこれらの線条(35)が尖端(34)にある、またはその近くにある出発点(31)から円錐形内壁(33)の外側円周(38)へと延びる距離は、円錐形内壁(33)を流体移動デバイス(70)が通過し、上記流体移動デバイス(70)がキャップ(20A−C)から除去された後に、上記円錐形内壁(33)の概ねクサビ形の部分(26)の少なくとも一部分が「開いた」形に維持されるのに十分でなければならないことが指摘さるべきである。図8に説明されるように、流体移動デバイス(70)がキャップ(20A−C)から除去された後、クサビ形部分(26)の尖端(29)の少なくとも一部が互いに物理的に接触していない場合は円錐形内壁(33)のクサビ形部分(26)は「開いた」形になる。(キャップ(20A−C)を流体移動デバイス(70)が貫通した後、クサビ形部分の少なくとも二つが互いに分かれている場合に円錐形内壁(33)は「開いた」形になるように見える。)クサビ形部分(26)を「開いた」形に維持することによって、キャップ(20A−C)と流体移動デバイス(70)との間の摩擦的接触は低下し、収集デバイス(10)の内部の空気の排出は容易になる。
【0064】
線条(35)が円錐形内壁(33)の尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外側円周に延びる距離は、線条(35)が全くない同一の円錐形内壁(33)に比較して円錐形内壁(33)の貫通性が十分改善される、いかなる距離でもよい。貫通性の改善は、既述のようにキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)を貫通するのに必要な力の減少として測定される。全ての線条(35)の延びる距離が同一である必要はないが、各線条(35)が、尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外周(38)までの距離の少なくとも約四分の一の距離だけ、放射状に外側に延びるのが好ましい。より好ましい方法において、各線条(35)は尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外周(38)までの距離の少なくとも約半分の距離だけ放射状に外側に延びる。そして本発明の最も好ましい実施形態においては、各線条(35)は尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外周(38)まで放射状に外側に延びる。
【0065】
線条(35)を尖端(34)から円錐形内壁(33)の外周(38)までどの位の距離延ばすべきかを決める際に考慮される別の要因は、流体移動デバイスの周囲の大きさである。流体移動デバイスの周囲の大きさが増加するにつれて、線条(35)が尖端(34)または尖端(34)近くの出発点(31)から円錐形内壁(33)の外周(38)に延びる距離も同様に増加して、流体移動デバイスが収集デバイス(10)に入るとき並びにそこから出る際の貫通性を改善し、十分な空気の通路を生成し、円錐形内壁(33)によって流体移動デバイスにかかる摩擦力を最小にする必要がある。線条(35)数の増加も円錐形内壁(33)による摩擦力を減らすのに役立つ。
【0066】
線条(35)はチャネル、溝、エッチングまたは一連の穿孔として円錐形内壁(33)に形成され得るから、円錐形内壁(33)に存在する上記線条(35)の厚さ(それは互いに同じでも異なっていてもよい)は円錐形内壁(33)の周囲領域の厚さより小さい。円錐形内壁(33)の異なる厚さを測定する際には、キャップ(20A−C)を形成後、先ず最初に室温で最低1時間、または水道水で最低10ないし15分間冷やして樹脂を十分硬化させる。その後キャップ(20A−C)の4部分(各々は横断面が異なる線条(35)を含むのが好ましい)を精密ナイフまたは実用ナイフを用いて線条(35)に対して直角に切断し得る。キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)のこれらの切片の各々で、キャリパーおよび/またはビデオベースの測定機器等の感度のよい任意の測定手段を用いて線条のある部分と線条のない部分の各々から一回づつ測定し、これらの部分の円錐形内壁(33)の内面(36)と外面(37)と間の厚さを測定することができる。線条のある部分では、厚さの測定は内面(36)と外面(37)との間の最も小さい断面厚さに基づくべきである。こうして得られた厚さの値を平均化し、キャップ(20A−C)の円錐形内壁(35)を構成する線条のある部分および線条のない部分のおおよその厚さを計算できる。
【0067】
好ましい実施形態において、円錐形内壁(33)の線条のない部分の平均厚さの、円錐形内壁(33)の線条(35)の平均厚さに対する比に基づく厚さ比は、好ましくは約5:1ないし約1.25:1の範囲、より好ましくは約7.5:1ないし約2:1の範囲であり、最も好ましくは約10:1ないし約2.5:1の範囲である。円錐形内壁(33)の線条(35)の平均厚さは約0.002インチ(0.051mm)ないし約0.008インチ(0.203mm)の範囲であるのが好ましく、円錐形内壁(33)の周囲領域の平均厚さは約0.01インチ(0.254mm)ないし約0.02インチ(0.508mm)の範囲であるのが好ましい。(線条について記された厚さは、線条(35)が含まれない場合の円錐形内壁(33)の好ましい厚さでもある。)円錐形内壁(33)の周囲領域の平均厚さが約0.010インチ(0.254mm)ないし約0.017インチ(0.432mm);約0.012インチ(0.305mm)ないし約0.015インチ(0.381mm);そして約0.013インチ(0.330mm)であるのがより好ましい。少なくとも、円錐形内壁(33)の線条(35)と周囲領域との間の平均厚さの差は、流体移動デバイスが円錐形内壁(33)を通過する際に上記流体移動デバイスが遭遇する抵抗が、このような線条(35)のない場合、すなわち実質的に均一な厚さを有する円錐形内壁(33)において遭遇する抵抗よりも小さくなければならない。
【0068】
線条(35)が一連の穿孔を含む場合、その穿孔は、好ましくは、容器(50)中の流体物質が円錐形内壁(33)の内面(36)に通過するのを制限または阻止するような大きさである(上記内面には分析者が接触することがある)。これは流体物質が潜在的汚染物質(例えば病原体)を含む場合に特に重要である。穿孔が円錐形内壁(33)の線条(35)の一部または全てを構成する場合、分析者と収集デバイス(10)の容器(50)に含まれる流体物質との間に汚染性接触が起きないことをさらに確実にするために、製造中に前述のシール(80)を環状頂部壁(22)の上面(24)(キャップ20A−C)または環状頂部表面(48)(キャップ20C)に取り付けることができ、それによって円錐形内壁(33)に通ずる孔は完全に閉鎖されたままである。
【0069】
それにもかかわらず、シール(80)を用いた場合でさえ、一連の穿孔は本発明の好ましい線条(35)とはならない。これは特に、収集デバイス(10)が輸送され、穿孔からの流体物質の漏出を起こし得る温度および圧の変動にさらされる可能性がある場合、特に収集デバイス(10)が輸送中真直に立っていないと予想される場合である。さらに、円錐形内壁(33)に存在する穿孔を通って内面(36)まで漏出した流体は任意に存在する芯(90)によって吸収され得、多分芯(90)を飽和させる。このような影響を受けた芯(90)を経て流体移動デバイスを挿入すると、エアゾール形成および/または泡立ちが実際に促進され、したがって汚染の可能性が広がるかも知れない。よって、一連の穿孔を線条(35)として使用することは、収集デバイス(10)が直立の状態に保たれることが確かで、温度および圧の容認できない変化にさらされない場合以外は薦められない。
【0070】
図5および図6に示すように、環状外側フランジ(40)、(40A)は容器(50)の外面(53)の上部(62)(図1参照)を把持するようになっている内面(41)、(41A)を有し、キャップ(20A−C)と容器(50)との間に実質的漏出防止シールが形成される。より詳細に述べれば、キャップ(20A−C)の環状頂部壁(22)、(22A)の下面(23)と容器(50)の環状リム(51)の上面(52)との間に実質的漏出防止シールが形成され得る。正常な操作条件では、この実質的漏出防止シールは標本が容器(50)の内部チャンバ(175)から、日常的操作中に分析者が接触するかも知れない容器(50)の外面(53)領域に漏出するのを防止する。正常な取り扱い条件においては、過剰かつ異常の力(すなわちキャップまたは容器に孔を開けたり、それらを押し潰したりするのに十分な力)の適用、並びに収集デバイスの取り扱いおよび輸送では通常経験しないような温度変動および圧力変動が排除される。
【0071】
環状外側フランジ(40)の内面(41)は、図5に示すようにねじ山(42)を含むようになっており、それによって容器(50)の外面(53)の上部(62)(図1参照)(上記容器(50)のこの部分に、螺合するねじ山(54)がある)にキャップ(20A−C)をねじ込むことができる。螺合するねじ山(42)、(54)はキャップ(20A−B)のねじ山(42)と容器(50)のねじ山(54)との間のインターロック接触を容易にする。スクリュー型キャップは当業者に周知であり、熟練せる分析者は容認できる寸法および製法を容易に理解する。理想的にはねじ山(42)、(54)はキャップ(20A−C)および容器(50)それぞれと一体的に成形される。
【0072】
本発明によって考慮される環状外側フランジ(40A)の内面(41A)のもう一つの適合法は、図6に示されるスナップ構造である。ここでは環状外側フランジ(40A)の内面(41A)はリム(43)を含むように適合され、それは容器(50)の上部(62)の外面(53)にある対合するリム(55)にパチンとはめ込まれ得る(図1参照)。これらのリム(43)、(55)はキャップ(20C)の環状外側フランジ(40A)および容器(50)の外面(53)とそれぞれ一体的に成形されるのが好ましい。このスナップ構造を構成するために、キャップ(20C)および容器(50)を形成するために選択する材料は十分弾力性でなければならず、キャップ(20C)のリム(43)の内方部分(45)の直径は容器(50)のリム(55)の外方部分(56)の直径より小さくなければならない。それによってキャップ(20C)にあるリム(43)の内方部分(45)(リム(43)の内方部分(45)の円周によって規定される)は、機械力の適用を必要とせずに、リム(55)の外方部分(56)の円周によって規定される容器(50)上のリム(55)の外方部分(56)にフィットすることができる。その上、リム(43)、(55)の位置は、キャップ(20C)が容器(50)にフィットした後、容器(50)にあるリム(55)の下部(57)がキャップ(20C)にあるリム(43)の上部(44)に、重なるように、納まるような位置でなければならない。さらに、容器(50)のリム(55)がキャップ(20C)のリム(43)上に納まったとき、キャップ(20C)の環状頂部壁(22A)の下面(23)と容器(50)の環状リム(51)の上面(52)との間には実質的漏出防止シールが形成されなければならない。
【0073】
キャップ(20A−C)および容器(50)を物理的に、封止可能に結合するために取られた方法にもかかわらず、この配置の実質的漏出防止性は図5および図6に示されるキャップ(20A−C)に二つの簡単な改良を加えることによってさらに改善することができる。第一の改良は環状外側フランジ(40)、(40A)の内面(41)、(41A)において、容器(50)の環状リム(51)と環状外側フランジ(40)、(40A)とが接触する点に、角度のある部分(47)を形成することである。この方法で、内面(41)、(41A)の角度のある部分(47)と容器(50)の環状リム(51)との間の摩擦接触が、容器(50)内から流体を通過させない、より確実なバリヤーとなる。(これらの図においてキャップ(20A−C)の環状頂部壁(22)、(22A)の下面(23)と容器(50)のリム(51)の上面(52)との間に示されるスペースは、キャップ(20A−C)が容器(50)に確実にフィットした場合には、存在しないか、またはこれ程顕著にはならない)。これに加えて、円錐形内壁(33)の外周(38)を、環状外側リム(39)(図5参照)または環状スカート(121)(図6参照)を含むように変形することができる。上記リムまたはスカートは、キャップ(20A−C)および容器(50)が物理的に封止可能に結合する際に、容器(50)の側壁(58)の内面(59)と摩擦的に接触するように設計される。側壁(58)の内面(59)と、環状スカート(121)の環状外側リム(39)または外壁(122)のどちらかとの間の接触は、容器(50)からの流体の漏出をさらに阻止するはずである。
【0074】
前述の環状外側フランジ(40)、(40A)に代わるものは、容器(50)の開口上部(62)内の側壁(58)の内面(59)を把持するようになっている外面を有する環状フランジ(図示されていない)である。このような環状フランジは、環状外側フランジ(40)、(40A)の内面(41)、(41)で容器(50)の上部(62)の外面(53)を把持する場合について既述した方法と同様な方法で容器(50)の上部(62)内に摩擦的にフィットするように形成することができる。もう一つの形において、上記環状フランジは、環状フランジの外面にも容器(50)の内面(59)にもリムまたはねじ山を含む必要なく、容器(50)の上部(62)内にぴったりとフィットするような大きさにすることができる。他の全ての点で、このキャップは、芯(90)および/またはシール(80)を含むキャップ(20A−C)について本明細書に記載される特徴を含むように設計できる。環状外側フランジ(40)、(40A)を全部取り除いて、上記環状頂部壁(22)を、容器(50)の環状リム(51)の上面(52)に接着剤等(例えば不活性接着剤)で結合できる下面を有する環状リング(特別には示されていない)に変えることもできる。
【0075】
容器(50)とキャップ(20A−C)がピッタリと結合したときに容器(50)の環状リム(51)とキャップ(20A−C)の環状頂部壁(22)、(22A)の下面(23)との間に形成されるシールを改良するために、O−リング形の環状シール(図示されず)を環状頂部壁(22)、(22A)の下面(23)にピッタリと納まるような大きさにしてもよい。上記環状シールは弾力性材料(例えばネオプレン)でよく、その厚さは、容器(50)のリム(55)上にキャップ(20C)のリム(43)をパチンとはめ込むことや、容器(50)にキャップ(20A−C)をそれぞれのねじ山(42)、(54)がインターロックするようにねじ込むことが妨害されることがないように選択される。
【0076】
(実施例)
本発明のキャップ(20A−C)を貫通するのに必要な力の量を測定するために、UniversalTension/Compression Tester(「圧縮試験機(Compression Tester)」)、TCD200型、および圧力ゲージ、DFGS−50を、JohnChatillon&Sons,Inc.(Greensboro,N.C.)から入手した。圧縮試験機は自動装置であるから、キャップの貫通に必要な圧力を測定する際に、純粋な手動操作では不可能であり得る比較的高い再現性を可能とする。
【0077】
この試験に用いる全てのキャップ(20A−C)はHDPEから作られ、線条(35)領域を除けば、約0.0109インチ(0.277mm)と約0.0140インチ(0.356mm)との間の実質的に均一な厚さを有した。キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の深さは環状頂部壁(22)、(22A)の対称軸(30)に沿って、円錐形内壁(33)の外周(38)の平面から、上記円錐形内壁の尖端(34)まで移動して測定する際、約0.29インチ(7.37mm)であった。円錐形内壁(33)の外周(38)の直径は約0.565インチ(14.35mm)であった。試験した全キャップ(20A−C)で、円錐形内壁(33)は環状頂部壁(22)、(22A)の対称軸(30)から約35゜または約45゜の単一の角度を有した。
【0078】
被検キャップ(20A−C)が線条(35)を含む場合は、各線条(35)のほぼ中心の、円錐形内壁(33)の厚さは約0.0045インチ(0.114mm)から約0.0070インチ(0.178mm)の範囲であった。その際全ての被検キャップ(20A−C)の全ての線条(35)は実質的に同じ厚さであり、約0.015インチ(0.381mm)の巾を有した。線条のあるキャップ(20A−C)では線条(35)の総数は常に8本で、それらの線条(35)は全て、射出成形プロセス中に円錐形内壁(33)の内面(36)に形成された。被検キャップ(20A−C)の線条(35)は尖端(34)からまたはその近くから円錐形内壁(33)の外周(38)まで十分にまたはその距離のほぼ半分だけ延びていた。
【0079】
キャップ(20A−C)を、約13mm×82mmのポリプロピレン製の容器(50)にねじ込みで固定した。圧力ゲージで突き通す前に容器(50)を安定にするために、各容器(50)を、その容器(50)を受け取り、安定的に保持するためにあけられた穴を有するアルミニウムブロック内に固定した。収集デバイス(10)が対称軸(30)から判断して、圧力ゲージ下に直立位置に固定されるならば、収集デバイス(10)を圧力ゲージの下に置くために選択される正確な方法は重要でない。
【0080】
キャップ(20A−C)を貫通するために必要な力を測定するために、キャップ(20A−C)を付けた容器(50)を先ず最初に圧力ゲージの下に中心を合わせた。その圧力ゲージのベースには2インチ(50.8mm)の延長部があり、Genesisシリーズ1000μlTecan−Tipピペットチップの力を伝える。上記ピペットチップは鈍い末端か、または約45゜の鋭角の遠位端を有した。ピペットチップがキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の尖端(34)に位置する際にキャップ(20A−C)は中心にあると考えられた。キャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)は、自然にピペットチップをキャップ(20A−C)の円錐形内壁(33)の尖端(34)に向けるような形を有するから、絶対的センタリングの必要はなかった。上記ピペットチップは11.25インチ(285.75mm)/分の一定速度で動くから、キャップ(20A−C)とピペットチップとの間に若干のすき間があるならば、キャップ(20A−C)の上のピペットチップの最初の高さは重要ではなかった。しかし試験の目的では、ピペットチップは一般に環状頂部壁(22)、(22A)の上面(24)、(24A)の上少なくとも約0.2インチ(5.08mm)の所に置かれ、容器(50)内に2.8インチ(71.12mm)まで貫通でき、それによって容器(50)の底壁(60)の内面(61)との実際の接触を避けた。必要な貫通力はポンドで測定され、全ての被検キャップ(20A−C)では貫通力は約6.5ポンド(2.95kg)未満であった。完全な線条のあるキャップ(20A−C)および鋭い先端のピペットチップでは、貫通力は一般に約4.0ポンド(1.89kg)未満で、若干の場合、必要な貫通力は約3.6ポンド(1.63kg)以下であった。
【0081】
本発明を特定の好ましい実施形態についてかなり詳細に記載し、示したが、当業者は本発明のその他の実施形態を容易に理解する。よって、本発明は添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に含まれる全ての変更および変化を含むと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の好ましい実施形態によれば、以下のキャップなどが提供される。
(項1) キャップであって、以下:
環状頂部壁;
該環状頂部壁の底面から下向きに懸下する、環状フランジであって、該環状フランジは、開放端容器の側壁表面を把持するよう適合される、環状フランジ;
該環状頂部壁の内周囲により規定される、開口部;および
円錐形内壁であって、該開口部から、該環状頂部壁の対称軸に実質的に位置する尖端へと内向きにテーパ状であり、該円錐形内壁は、該対称軸に対して単一の角度を有する、円錐形内壁、
を備え、ここで、該キャップが、固定された一体的な部品である、キャップ。
(項2) 前記環状フランジが、前記容器の外面を把持するよう適合された内壁を有する、環状外側フランジである、上記項1に記載のキャップ。
(項3) 前記環状外側フランジの前記内壁が、前記容器の外面を把持するための螺旋状ねじ山を備える、上記項2に記載のキャップ。
(項4) キャップであって、以下:
環状頂部壁;
該環状頂部壁の内周囲により規定される、開口部;および
ほぼ円錐形の内壁であって、該開口部から、該環状頂部壁の対称軸に実質的に位置する尖端へと内向きにテーパ状であり、該円錐形の内壁は、流体移動デバイスによる該円錐形内壁の貫通可能性を改善するために、複数の線条を備えるよう適合され、該線条の各々は、該尖端またはその近くの出発点から、半径方向外向きに延びる、内壁、
を備える、キャップ。
(項5) 前記環状頂部壁が、下面を有し、該下面が、流体保持容器の開放端において、環状縁部に固定され得る、上記項4に記載のキャップ。
(項6) 前記キャップを流体保持容器の開放端と固定的に結合させるための手段をさらに備える、上記項4に記載のキャップ。
(項7) 前記環状頂部壁の底面から下向きに懸下する環状フランジをさらに備え、該環状フランジが、流体保持容器の開放端の側壁表面を把持するよう適合される、上記項4に記載のキャップ。
(項8) 前記環状フランジが、前記容器の外面を把持するよう適合された、内壁を有する環状外側フランジである、上記項7に記載のキャップ。
(項9) 前記環状外側フランジの前記内壁が、前記容器の外面を把持するための螺旋状のねじ山を備える、上記項7に記載のキャップ。
(項10) 前記環状外側フランジが、前記環状頂部壁の上に垂直に伸びる上部を備え、該環状外側フランジが、該環状外側フランジに対して実質的に垂直である環状頂面を備える、上記項2、3、10および11のいずれか1項に記載のキャップ。
(項11) 前記環状外側フランジの前記上部内に位置する芯をさらに備える、上記項10に記載のキャップ。
(項12) 前記芯がパイル状織物である、上記項11に記載のキャップ。
(項13) 前記開口部を被覆するためのシールをさらに備え、該シールが、前記環状頂部壁の頂面に固定されている、上記項12に記載のキャップ。
(項14) 前記シールが、金属箔を備える、上記項13に記載のキャップ。
(項15) 前記円錐形内壁の、前記対称軸に対する角度が、約25°〜約65°である、上記項1〜14のいずれか1項に記載のキャップ。
(項16) 前記線条の各々が、前記尖端またはその近くの出発点から、前記円錐形内壁の外周囲へと部分的に延びる、上記項1〜15のいずれか1項に記載のキャップ。
(項17) 前記線条が、前記尖端またはその近くの出発点から、前記円錐形内壁の外周囲へと完全に延びる、上記項1〜15のいずれか1項に記載のキャップ。
(項18) 線条のない部分の前記円錐形内壁と、線条のある部分の該円錐形内壁との間の厚みの比が、約10:1〜約1.25:1の範囲内である、上記項1〜17のいずれか1項に記載のキャップ。
(項19) 前記線条のある部分の前記円錐形内壁の平均の厚みが、約0.051mmと約0.203mmとの間であり、そして前記線条のない部分の該円錐形内壁の平均の厚みが、約0.25mmと約0.51mmとの間である、上記項18に記載のキャップ。
(項20) 前記円錐形内壁が、約3〜約12の前記線条を備える、上記項1〜19のいずれか1項に記載のキャップ。
(項21) 前記線条が、前記内部円錐形内壁の、前記内面、前記外面、または該内面と該外面との両方に形成される、上記項1〜20のいずれか1項に記載のキャップ。
(項22) 前記線条の各々が、前記円錐形内壁の前記内面に形成される、上記項21に記載のキャップ。
(項23) 前記線条の各々が、前記円錐形内壁に形成される溝またはチャネルを備える、上記項21または22に記載のキャップ。
(項24) キットであって、パッケージされた組合せとして、上記項1〜23のいずれか1項に記載のキャップ、ならびに以下:
流体物質を受容および保持するための、容器;
1種以上の試薬;
流体移動デバイス;および
標本回収デバイス、
からなる群から選択される第二の成分を備える、キット。
(項25) 物質を、容器および上記項1〜3のいずれか1項に記載のキャップを備える収集デバイスから取り出すための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)該キャップに約8ポンド未満の力を付与して、プラスチック製流体移動デバイスを用いて、該キャップを貫通する工程;
b)該物質の少なくとも一部を、該容器から該流体移動デバイス内へと引き込む工程;および
c)該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程、
を包含する、方法。
(項26) 物質を、容器および上記項1〜23のいずれか1項に記載のキャップを備える収集デバイスから取り出すための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)該キャップを該容器に固定的に結合させることによって、標本回収デバイスを該容器の側壁の内壁に沿って位置決めする工程;
b)該キャップを、流体移動デバイスを用いて貫通する工程;
c)該物質の少なくとも一部を、該容器から該流体移動デバイス内へと引き込む工程;および
d)該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程、
を包含する、方法。
(項27) 上記項11〜23のいずれか1項に記載のキャップを備える収集デバイスの内部に、エーロゾルを収容するための方法であって、該方法は、以下の工程:
a)該キャップを、流体移動デバイスを用いて貫通する工程であって、これによって、該収集デバイスの内部チャンバから外部大気への通路を作製する工程;
b)流体物質の少なくとも一部を、該内部チャンバから、該流体移動デバイスを用いて回収する工程;
c)該流体移動デバイスを該収集デバイスから取り外す工程;および
d)該収集デバイス内に存在し得るエーロゾルを、該キャップ内に固定的に位置する前記芯を用いて収容する工程であって、その結果、該流体移動デバイスの、該芯を通る移動が、実質的に妨害されない、工程、
を包含する、方法。
(項28) 前記取り外す工程の間に、前記流体移動デバイスを前記芯で拭く工程をさらに包含する、上記項27に記載の方法。
(項29) 前記芯が、裏地に取り付けられた繊維を備え、該裏地が、前記キャップ内でほぼ円形の配向に配置されている、上記項27に記載の方法。
(項30) 工程c)において前記収集デバイスから取り出された前記流体物質中に存在する核酸を増幅する工程をさらに包含する、上記項29に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックピペットチップであって、
上部分および下部分を備える中空本体であって、該上部分は、管状形状を有し、そして流体移動装置のプローブを固定的に係合するように構成された近位端を有し、そして該下部分は、円錐形状を有し、そして流体物質を受容するように構成された遠位端開口部を有する、中空本体;ならびに
該本体の外側表面に配置された複数の間隔を空けたリブであって、該リブのうちの少なくとも1つは、該遠位端開口部の位置またはその近くから延び、該ピペットチップは、キャップの表面材料を貫通するように適合されており、そして該リブは、ピペットチップと、該キャップの貫通される表面材料との間で空気ギャップを形成することを補助する、リブ、
を備える、プラスチックピペットチップ。
【請求項2】
前記リブの各々が、前記ピペットチップの外面上で長手軸方向の配向を有する、請求項1に記載のピペットチップ。
【請求項3】
前記ピペットチップが、少なくとも3つの前記リブを備える、請求項1または2に記載のピペットチップ。
【請求項4】
前記リブが、円周方向に間隔を空けている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項5】
前記リブのうちの1つ以上が、断面が半円形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項6】
前記リブのうちの1つ以上の遠位末端がテーパ状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項7】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記本体の前記上部分の少なくとも一部に位置する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項8】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記本体の前記上部分および前記下部分の各々の少なくとも一部に位置する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項9】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記遠位端開口部またはその近くの位置から、前記ピペットチップの前記近位端まで延びる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項10】
前記リブの各々が、前記遠位端開口部またはその近くの位置から、前記ピペットチップの前記近位端まで延びる、請求項9に記載のピペットチップ。
【請求項11】
前記リブの各々が、前記遠位端開口部またはその近くの位置から延びる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項12】
前記リブのうちの1つ以上の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から6.35mm以下にある、請求項1〜11のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項13】
前記リブの各々の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から6.35mm以下にある、請求項12に記載のピペットチップ。
【請求項14】
前記リブのうちの1つ以上の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から12.7mm以下にある、請求項1〜11のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項15】
前記リブの各々の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から12.7mm以下にある、請求項14に記載のピペットチップ。
【請求項16】
キャップおよび流体保持容器を固定的に結合させて有する閉鎖収集デバイスの内容物にアクセスする方法であって、
(a)該キャップの表面材料を、プラスチックピペットチップの外面から延びる複数のリブを有するプラスチックピペットチップで貫通する工程であって、これによって、該リブが該キャップの該表面材料に接触し、そして該表面材料と該ピペットチップとの間に空気通路を形成することを補助する、工程;
(b)該容器内に存在する流体を該ピペットチップ内に引き込む工程;および
(c)該ピペットチップを該収集デバイスから取り出す工程、
を包含する、方法。
【請求項17】
前記ピペットチップが、上部分および下部分を備え、該上部分は、管状形状を有し、そして工程(a)〜(c)の間、流体移動装置のプローブにより固定的に係合される近位端を有し、そして該下部分は、円錐形状および遠位端開口部を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記リブの各々が、前記ピペットチップの外面上で長手軸方向の配向を有する、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記ピペットチップが、少なくとも3つの前記リブを備える、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記リブが、円周方向に間隔を空けている、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記リブのうちの1つ以上が、断面が半円形である、16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記リブのうちの1つ以上の遠位末端がテーパ状である、16〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記本体の前記上部分の少なくとも一部に位置する、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記本体の前記上部分および前記下部分の各々の少なくとも一部に位置する、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記遠位端開口部またはその近くの位置から、前記ピペットチップの前記近位端まで延びる、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記リブの各々が、前記遠位端開口部またはその近くの位置から、前記ピペットチップの前記近位端まで延びる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記リブの各々が、前記遠位端開口部またはその近くの位置から延びる、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記リブのうちの1つ以上の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から6.35mm以下にある、請求項16〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記リブの各々の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から6.35mm以下にある、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記リブのうちの1つ以上の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から12.7mm以下にある、請求項16〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記リブの各々の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から12.7mm以下にある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記流体が生物学的標本を含む、請求項16〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
工程c)において前記収集デバイスから取り出された前記流体中に存在する核酸を、核酸ベースの増幅手順に供する工程をさらに包含する、請求項16〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
プラスチックピペットチップであって、
上部分および下部分を備える中空本体であって、該上部分は、管状形状を有し、そして流体移動装置のプローブを固定的に係合するように構成された近位端を有し、そして該下部分は、円錐形状を有し、そして流体物質を受容するように構成された遠位端開口部を有する、中空本体;ならびに
該本体の外側表面に配置された複数の間隔を空けたリブであって、該リブのうちの少なくとも1つは、該遠位端開口部の位置またはその近くから延び、該ピペットチップは、キャップの表面材料を貫通するように適合されており、そして該リブは、ピペットチップと、該キャップの貫通される表面材料との間で空気ギャップを形成することを補助する、リブ、
を備える、プラスチックピペットチップ。
【請求項2】
前記リブの各々が、前記ピペットチップの外面上で長手軸方向の配向を有する、請求項1に記載のピペットチップ。
【請求項3】
前記ピペットチップが、少なくとも3つの前記リブを備える、請求項1または2に記載のピペットチップ。
【請求項4】
前記リブが、円周方向に間隔を空けている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項5】
前記リブのうちの1つ以上が、断面が半円形である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項6】
前記リブのうちの1つ以上の遠位末端がテーパ状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項7】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記本体の前記上部分の少なくとも一部に位置する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項8】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記本体の前記上部分および前記下部分の各々の少なくとも一部に位置する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項9】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記遠位端開口部またはその近くの位置から、前記ピペットチップの前記近位端まで延びる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項10】
前記リブの各々が、前記遠位端開口部またはその近くの位置から、前記ピペットチップの前記近位端まで延びる、請求項9に記載のピペットチップ。
【請求項11】
前記リブの各々が、前記遠位端開口部またはその近くの位置から延びる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項12】
前記リブのうちの1つ以上の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から6.35mm以下にある、請求項1〜11のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項13】
前記リブの各々の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から6.35mm以下にある、請求項12に記載のピペットチップ。
【請求項14】
前記リブのうちの1つ以上の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から12.7mm以下にある、請求項1〜11のいずれか1項に記載のピペットチップ。
【請求項15】
前記リブの各々の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から12.7mm以下にある、請求項14に記載のピペットチップ。
【請求項16】
キャップおよび流体保持容器を固定的に結合させて有する閉鎖収集デバイスの内容物にアクセスする方法であって、
(a)該キャップの表面材料を、プラスチックピペットチップの外面から延びる複数のリブを有するプラスチックピペットチップで貫通する工程であって、これによって、該リブが該キャップの該表面材料に接触し、そして該表面材料と該ピペットチップとの間に空気通路を形成することを補助する、工程;
(b)該容器内に存在する流体を該ピペットチップ内に引き込む工程;および
(c)該ピペットチップを該収集デバイスから取り出す工程、
を包含する、方法。
【請求項17】
前記ピペットチップが、上部分および下部分を備え、該上部分は、管状形状を有し、そして工程(a)〜(c)の間、流体移動装置のプローブにより固定的に係合される近位端を有し、そして該下部分は、円錐形状および遠位端開口部を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記リブの各々が、前記ピペットチップの外面上で長手軸方向の配向を有する、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記ピペットチップが、少なくとも3つの前記リブを備える、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記リブが、円周方向に間隔を空けている、請求項16〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記リブのうちの1つ以上が、断面が半円形である、16〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記リブのうちの1つ以上の遠位末端がテーパ状である、16〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記本体の前記上部分の少なくとも一部に位置する、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記本体の前記上部分および前記下部分の各々の少なくとも一部に位置する、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記リブのうちの少なくとも1つが、前記遠位端開口部またはその近くの位置から、前記ピペットチップの前記近位端まで延びる、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記リブの各々が、前記遠位端開口部またはその近くの位置から、前記ピペットチップの前記近位端まで延びる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記リブの各々が、前記遠位端開口部またはその近くの位置から延びる、請求項17〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記リブのうちの1つ以上の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から6.35mm以下にある、請求項16〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記リブの各々の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から6.35mm以下にある、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記リブのうちの1つ以上の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から12.7mm以下にある、請求項16〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記リブの各々の前記遠位末端が、前記ピペットチップの前記遠位端の底面から12.7mm以下にある、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記流体が生物学的標本を含む、請求項16〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
工程c)において前記収集デバイスから取り出された前記流体中に存在する核酸を、核酸ベースの増幅手順に供する工程をさらに包含する、請求項16〜32のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−6153(P2011−6153A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198396(P2010−198396)
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【分割の表示】特願2000−617848(P2000−617848)の分割
【原出願日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【出願人】(500506530)ジェン−プロウブ インコーポレイテッド (58)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月3日(2010.9.3)
【分割の表示】特願2000−617848(P2000−617848)の分割
【原出願日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【出願人】(500506530)ジェン−プロウブ インコーポレイテッド (58)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]